JP3991189B2 - 正極活物質及びその製造方法並びにそれを用いた二次電池 - Google Patents

正極活物質及びその製造方法並びにそれを用いた二次電池 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電池用正極活物質の製造方法と、それを用いた非水電解質二次電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
リチウム二次電池等の非水電解質二次電池は高いエネルギー密度を示し、高電圧であることから小型携帯端末や移動体通信装置などへの電源として広く使用されている。リチウム二次電池用正極活物質には、リチウムの挿入・脱離の繰り返しによっても結晶構造が安定で、かつ電気化学的作動容量が大きいことが要求される。作動電圧が4V付近のものとしては、層状構造のリチウムコバルト酸化物やリチウムニッケル酸化物、又はスピネル構造を持つリチウムマンガン酸化物等を基本構成とするリチウム含有遷移金属酸化物が知られている。
【0003】
現在、4V級の作動電位を有する非水電解質二次電池の正極活物質として、LiCoO2、LiNiO2、LiMnO2、LiMn24等のリチウムと遷移金属との複合酸化物が知られている。なかでも、高エネルギー密度を期待できるα−NaFeO2構造を有する正極活物質の中で、LiCoO2等で表されるリチウムコバルト複合酸化物は民生用のリチウムイオン電池などに広く用いられているが、コバルトが希少金属であり、価格が高いといった問題があった。また、LiNiO2等で表されるリチウムニッケル複合酸化物は、LiCoO2やLiMn24と比較しても高いエネルギー密度を示すことからその実用化検討が数多くなされている。しかしながら、前記LiNiO2は、充放電に伴って結晶構造に変化が起こるため、充放電性能が悪いという問題点があった。
【0004】
この原因について、Kanno,R.;Kubo,H.;Kawamoto,Y.Kamiyama,T.;Izumi,F.;Takeda,Y.;Takano,M.Phase Relationship and Lithium Deintercalation in Lithium Nickel Oxides.J.Solid Sate Chem.110(2),1994,216-225.によれば、原料に用いるNi(II)塩を600℃以上の酸素雰囲気下でNi(III)に酸化させる過程でLiがLi2O等の形態で脱離することによるとされている。このような欠損したサイトにNiあるいはLiが不規則に拡散するため、Li移動が阻害され、これによって容量低下を引き起こすと考えられている。
【0005】
これを解決する手段として、LiNiO2のNiサイトを異種元素で置換する技術が広く開示されている。たとえば米国特許第5626635号公報(1997年)にはLi−Mn−Ni−O元素系に係わる技術が開示されている。また米国特許第6040090号公報(2000年)や特開平8−213015号公報にはLi−Mn−Ni−Co−O元素系に係わる技術が開示されている。これらの活物質は、いずれも高い初期放電性能を示すが、充放電の繰り返しによる容量低下が大きく、実用化には至っていなかった。
【0006】
また、特開平8−171910号公報には、Niの一部をMnに確実に置換するために800℃以上の高温で合成すると、結晶中でLiの入るべきサイトにNiやMnが入り込んでしまい、結晶構造が乱れてしまいサイクル可逆性や放電容量が低下することが指摘されている。このため、該公報ではLiNi1-αMnαO2で表されるαの値を0.05〜0.30とし、600℃〜800℃で焼成することで、問題を解決している。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記問題点に鑑みてなされたものであり、高いエネルギー密度と良好な繰り返し充放電性能を持つ二次電池用正極活物質の製造方法及びそれを用いた二次電池を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、LixMnaNibCoc2(但し、a,b,cは、その関係を示す3元状態図上において、点A(a,b,c)=(0.5,0.5,0)、点B(a,b,c)=(0.45,0.55,0)、点C(a,b,c)=(0.25,0.35,0.4)、点D(a,b,c)=(0.3,0.3,0.4)からなる4点を結んだ直線で囲まれる領域で示される範囲であり、0.95≦x/(a+b+c)≦1.05である)で示される複合酸化物からなる正極活物質である。
【0009】
また、少なくともMn及びNiを構成元素に含む正極活物質を製造する方法であって、Mn、Ni及びCoからなる遷移金属元素群のうち前記正極活物質を構成する全ての遷移金属元素の化合物を含む混合物を950℃以上1100℃以下の温度範囲で熱処理することを特徴とする正極活物質の製造方法である。
【0010】
また、前記化合物は、3価の遷移金属の化合物であることを特徴とする正極活物質の製造方法である。
【0011】
また、前記化合物は、3価の遷移金属の化合物であり、前記混合物は、湿式混合して得られたものである正極活物質の製造方法である。
【0012】
また、Ni及びCoからなる遷移金属元素群のうち前記正極活物質を構成する全ての遷移金属元素の3価の化合物を溶解してなる水溶液と、Mnの化合物を溶解してなる水溶液とを、リチウム元素を含むアルカリ性水溶液に加えて沈殿物を生成させ、前記沈殿物として得られた混合物を熱処理することを特徴とする正極活物質の製造方法である。
【0013】
また、前記混合物は、ホウ素化合物を含むことを特徴とする正極活物質の製造方法である。
【0014】
また、前記混合物に含まれるMn化合物がMn23・nH2Oである正極活物質の製造方法である。
【0015】
また、前記混合物に含まれるNi化合物がNi23・nH2Oである正極活物質の製造方法である。
【0016】
また、前記混合物に含まれるCo化合物がCo23・nH2Oである正極活物質の製造方法である。
【0017】
また、これらの製造方法を用いて得られたことを特徴とする、LixMnaNibCoc2(但し、a,b,cは、その関係を示す3元状態図上において、点A(a,b,c)=(0.5,0.5,0)、点B(a,b,c)=(0.45,0.55,0)、点C(a,b,c)=(0.25,0.35,0.4)、点D(a,b,c)=(0.3,0.3,0.4)からなる4点を結んだ直線で囲まれる領域で示される範囲であり、0.95≦x/(a+b+c)≦1.05である)で示される複合酸化物からなる正極活物質の製造方法である。
【0018】
また、これらの製造方法を用いて得られたことを特徴とする、正極活物質である。
【0019】
また、前記正極活物質を含む正極と、リチウムイオンを吸蔵放出可能な負極材料を用いた負極と、非水系電解質とを有する二次電池である。
【0020】
本発明の作用効果は以下の通りである。ただし、作用機構については推定を含んでおり、その作用機構の正否は、本発明を制限するものではない。
【0021】
すなわち、本発明者らは、上記問題点について鋭意検討するなかで、原料あるいは前駆物質として用いる金属水酸化物や金属複合水酸化物等の金属酸化物中の金属元素の酸化数に着目した。すなわち、α−NaFeO構造の複合酸化物を合成するにあたって、原料に用いるMn化合物、Ni化合物及びCo化合物の金属元素の酸化数は、いずれも3価でなければ、合成された金属複合酸化物をリチウム電池の正極活物質として用いた場合、金属リチウムの電位に対して4V付近の電位における放電容量が十分に得られないばかりではなく、原子価の異なる元素の存在により、電池性能の劣化が発生することを明らかにした。具体的には、異なる原子価を有する金属元素が存在すると、粉末エックス線回折図上では単一相と帰属されても、前記複合酸化物の結晶構造に局所的な歪みが存在し、前記複合酸化物結晶内のLiイオンの伝導が阻害されるばかりでなく、充放電の繰り返しによって前記結晶構造が崩壊する原因となると考えられる。
【0022】
すなわち、本発明は、原料あるいは前駆物質の原子価を3価で統一し、出発原料の酸化状態を均一とすることで、熱処理工程で温度や雰囲気を制御する必要がなく、不純物がなく結晶化度の非常に高い複合酸化物の合成が効率的に行える方法を提供するものである。このようにして得られた正極活物質は、エネルギー密度が大きく、充放電の繰り返しによっても容量低下の少ない二次電池用正極活物質となる。
【0023】
本発明の製造方法により合成される複合酸化物LixMnaNibCoc2において、a、b、cの値は、熱処理前の混合物に含まれるそれぞれの遷移金属化合物の混合比を定めることにより、任意に設定することができる。
【0024】
熱処理前の混合物に用いる遷移金属化合物は、前記遷移金属元素の酸化数が全て3価であるものを選択する範囲において、特に限定されるものではないが、三酸化二マンガン、三酸化二ニッケル、三酸化二コバルトから選択することが好ましく、なかでも、一水和物M(III) 23・nH2O(但し、MはMn、NiまたはCo、n=1)の形のものを選べば、取扱が容易であって、相転移を低温で行わせることができるという点で、より好ましい。
【0025】
熱処理前の前記混合物は、さらにホウ素化合物を含んでいることが好ましい。前記混合物がホウ素を含んでいると、熱処理時に焼結効果が発現し、結晶性の高い目的物質を効率よく作製することができるため、好ましい。用いるホウ素化合物としては、特に限定されるものではないが、ホウ酸、酸化ホウ素などを好適に使用することができる。前記混合物に含ませるホウ素化合物の量は特に限定されるものではないが、目的物である複合酸化物をLixMnaNibCoc2で表したとき、遷移金属元素の量(a+b+c)に対して元素比で0.001〜0.1倍とすると、電池性能を損なわず、良好な焼結効果が発揮できるので好ましい。
【0026】
前記遷移金属化合物と共に用いる原料としてのリチウム化合物はどのような化合物を使用しても問題とはならないが、例えば水酸化リチウム、炭酸リチウムなどを好適に使用することができる。
【0027】
熱処理温度の選択は極めて重要である。例えば前記混合物に含まれる遷移金属化合物の元素比をMn:Ni:Co=11:9:0として、850℃で熱処理を行った場合には、前記した特開平8−171910号公報が指摘する通り、繰り返し充放電性能や放電容量が良好ではない。ところが、本発明者らが鋭意検討した結果、実に驚くべきことに、例えば同じく前記混合物に含まれる遷移金属化合物の元素比をMn:Ni:Co=11:9:0として、前記熱処理温度を950℃以上とした場合には、高い放電容量を有し、特に繰り返し充放電性能に優れた複合酸化物が合成できることを見いだした。熱処理温度を850℃とした前者の物質はこげ茶色の色相を呈しているのに対し、熱処理温度を例えば1000℃とした後者の複合酸化物は前者とは明らかに異なる黒色の色相を呈していた。一方、熱処理温度が1100℃を超えると、放電容量が低下する傾向があるため、熱処理温度は1100℃以下とすることが好ましい。
【0028】
熱処理前の前記混合物は、前記混合物を構成するそれぞれの遷移金属化合物やリチウム化合物が互いに均一に混合されていることが極めて重要である。均一に混合された前記混合物を得る方法としては、特に限定されるものではなく、あらかじめ粒径を調整した遷移金属化合物(Mn(III)酸化物やNi(III)酸化物やCo(III)酸化物)を乾式混合してもよく、前記遷移金属化合物を含んだ状態で湿式混合してもよい。なかでも、湿式混合法を用いると、該湿式混合の過程において、それぞれの粒子が混合されると共に粉砕され、続く造粒工程を簡便に行わせることができることから、粒径の制御を別途行う必要がなく、且つ均一な混合物が得られやすいので、好ましい。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態を例示するが、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではない。
【0030】
本発明に係る非水電解質電池は、正極活物質を主要構成成分とする正極と、負極と、電解質塩が非水溶媒に含有された非水電解質とから構成され、一般的には、正極と負極との間に、セパレータが設けられる。
【0031】
非水電解質は、一般にリチウム電池等への使用が提案されているものが使用可能である。非水溶媒としては、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、クロロエチレンカーボネート、ビニレンカーボネート等の環状炭酸エステル類;γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン等の環状エステル類;ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート等の鎖状カーボネート類;ギ酸メチル、酢酸メチル、酪酸メチル等の鎖状エステル類;テトラヒドロフラン又はその誘導体;1,3−ジオキサン、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、1,4−ジブトキシエタン、メチルジグライム等のエーテル類;アセトニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル類;ジオキソラン又はその誘導体;エチレンスルフィド、スルホラン、スルトン又はその誘導体等の単独又はそれら2種以上の混合物等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0032】
電解質塩としては、例えば、LiClO4,LiBF4,LiAsF6,LiPF6,LiSCN,LiBr,LiI,Li2SO4,Li210Cl10,NaClO4,NaI,NaSCN,NaBr,KClO4,KSCN等のリチウム(Li)、ナトリウム(Na)又はカリウム(K)の1種を含む無機イオン塩、LiCF3SO3,LiN(CF3SO22,LiN(C25SO22,LiN(CF3SO2)(C49SO2),LiC(CF3SO23,LiC(C25SO23,(CH34NBF4,(CH34NBr,(C254NClO4,(C254NI,(C374NBr,(n−C494NClO4,(n−C494NI,(C254N−maleate,(C254N−benzoate,(C254N−phtalate、ステアリルスルホン酸リチウム、オクチルスルホン酸リチウム、ドデシルベンゼンスルホン酸リチウム等の有機イオン塩等が挙げられ、これらのイオン性化合物を単独、あるいは2種類以上混合して用いることが可能である。
【0033】
さらに、LiBF4とLiN(C25SO22のようなパーフルオロアルキル基を有するリチウム塩とを混合して用いることにより、さらに電解質の粘度を下げることができるので、低温特性をさらに高めることができ、より望ましい。
【0034】
非水電解質における電解質塩の濃度としては、高い電池特性を有する非水電解質電池を確実に得るために、0.1mol/l〜5mol/lが好ましく、さらに好ましくは、0.5mol/l〜2.5mol/lである。
【0035】
本発明のリチウム二次電池の正極にはリチウム含有遷移金属酸化物で構成された電極が、負極にはグラファイトで構成された電極が好適に使用される。
【0036】
正極の主要構成成分である正極活物質としては、リチウム含有遷移金属酸化物、リチウム含有リン酸塩、リチウム含有硫酸塩などを単独あるいは混合して用いることが望ましい。リチウム含有遷移金属酸化物としては、一般式LixMX2,LixMNy2(M、NはIからVIII族の金属、Xは酸素、硫黄などのカルコゲン化合物を示す。)であり、例えばLiyCo1-xx2、LiyMn2-xX4(Mは、IからVIII族の金属(例えは、Li,Ca,Cr,Ni,Fe,Coの1種類以上の元素)等が挙げられる。該リチウム含有遷移金属酸化物の異種元素置換量を示すx値については置換できる最大量まで有効であるが、好ましくは放電容量の点から0≦x≦1である。また、リチウム量を示すy値についてはリチウムを可逆的に利用しうる最大量が有効であり、好ましくは放電容量の点から0≦y≦2である。)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0037】
また、前記リチウム含有化合物に他の正極活物質を混合して用いてもよく、他の正極活物質としては、CuO,Cu2O,Ag2O,CuS,CuSO4等のI族金属化合物、TiS2,SiO2,SnO等のIV族金属化合物、V25,V612,VOx,Nb25,Bi23,Sb23等のV族金属化合物、CrO3,Cr23,MoO3,MoS2,WO3,SeO2等のVI族金属化合物、MnO2,Mn23等のVII族金属化合物、Fe23,FeO,Fe34,Ni23,NiO,CoO3,CoO等のVIII族金属化合物等で表される、例えばリチウム−コバルト系複合酸化物やリチウム−マンガン系複合酸化物等の金属化合物、さらに、ジスルフィド,ポリピロール,ポリアニリン,ポリパラフェニレン,ポリアセチレン,ポリアセン系材料等の導電性高分子化合物、擬グラファイト構造炭素質材料等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0038】
正極は、前記リチウム含有遷移金属酸化物を導電剤及び結着剤、さらに必要に応じてフィラーと混練して正極合剤とした後、この正極合剤を集電体としての箔やラス板等に塗布、又は圧着して50℃〜250℃程度の温度で、2時間程度加熱処理することにより作製される。
【0039】
負極材料としては、リチウムイオンを析出あるいは吸蔵することのできる形態のものであればどれを選択しても良い。例えば、リチウム金属、リチウム合金(リチウム−アルミニウム,リチウム−鉛,リチウム−スズ,リチウム−アルミニウム−スズ,リチウム−ガリウム,及びウッド合金等のリチウム金属含有合金)、リチウム複合酸化物(リチウム−チタン)、酸化珪素の他、炭素材料(例えばグラファイト、ハードカーボン、低温焼成炭素、非晶質カーボン等)等が挙げられる。これらの中でもグラファイトは、金属リチウムに極めて近い作動電位を有し、高い作動電圧での充放電を実現できる。また、電解質塩としてリチウム塩を採用した場合に自己放電を少なくでき、かつ充放電における不可逆容量を少なくできるので、負極材料として好ましい。例えば、人造黒鉛、天然黒鉛が好ましい。特に,負極材料粒子表面を不定形炭素等で修飾してあるグラファイトは、充電中のガス発生が少ないことから望ましい。
【0040】
以下に、好適に用いることのできるグラファイトのエックス線回折等による分析結果を示す;
格子面間隔(d002) 0.333〜0.350nm
a軸方向の結晶子の大きさLa 20nm 以上
c軸方向の結晶子の大きさLc 20nm 以上
真密度 2.00〜2.25g/cm3
また、グラファイトに、スズ酸化物,ケイ素酸化物等の金属酸化物、リン、ホウ素、アモルファスカーボン等を添加して改質を行うことも可能である。特に、グラファイトの表面を上記の方法によって改質することで、電解質の分解を抑制し電池特性を高めることが可能であり望ましい。さらに、グラファイトに対して、リチウム金属、リチウム−アルミニウム,リチウム−鉛,リチウム−スズ,リチウム−アルミニウム−スズ,リチウム−ガリウム,及びウッド合金等のリチウム金属含有合金等を併用することや、あらかじめ電気化学的に還元することによってリチウムが挿入されたグラファイト等も負極材料として使用可能である。
【0041】
正極活物質の粉体及び負極材料の粉体は、平均粒子サイズ100μm以下であることが望ましい。特に、正極活物質の粉体は、非水電解質電池の高出力特性を向上する目的で10μm以下であることが望ましい。粉体を所定の形状で得るためには粉砕機や分級機が用いられる。例えば乳鉢、ボールミル、サンドミル、振動ボールミル、遊星ボールミル、ジェットミル、カウンタージェトミル、旋回気流型ジェットミルや篩等が用いられる。粉砕時には水、あるいはヘキサン等の有機溶剤を共存させた湿式粉砕を用いることもできる。分級方法としては、特に限定はなく、篩や風力分級機などが、乾式、湿式ともに必要に応じて用いられる。
【0042】
以上、正極及び負極の主要構成成分である正極活物質及び負極材料について詳述したが、前記正極及び負極には、前記主要構成成分の他に、導電剤、結着剤、増粘剤、フィラー等が、他の構成成分として含有されてもよい。
【0043】
導電剤としては、電池性能に悪影響を及ぼさない電子伝導性材料であれば限定されないが、通常、天然黒鉛(鱗状黒鉛,鱗片状黒鉛,土状黒鉛等)、人造黒鉛、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、カーボンウイスカー、炭素繊維、金属(銅,ニッケル,アルミニウム,銀,金等)粉、金属繊維、導電性セラミックス材料等の導電性材料を1種又はそれらの混合物として含ませることができる。
【0044】
これらの中で、導電剤としては、電子伝導性及び塗工性の観点よりアセチレンブラックが望ましい。導電剤の添加量は、正極又は負極の総重量に対して0.1重量%〜50重量%が好ましく、特に0.5重量%〜30重量%が好ましい。特にアセチレンブラックを0.1〜0.5μmの超微粒子に粉砕して用いると必要炭素量を削減できるため望ましい。これらの混合方法は、物理的な混合であり、その理想とするところは均一混合である。そのため、V型混合機、S型混合機、擂かい機、ボールミル、遊星ボールミルといったような粉体混合機を乾式、あるいは湿式で混合することが可能である。
【0045】
前記結着剤としては、通常、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE),ポリフッ化ビニリデン(PVDF),ポリエチレン,ポリプロピレン等の熱可塑性樹脂、エチレン−プロピレン−ジエンターポリマー(EPDM),スルホン化EPDM,スチレンブタジエンゴム(SBR)、フッ素ゴム等のゴム弾性を有するポリマーを1種又は2種以上の混合物として用いることができる。結着剤の添加量は、正極又は負極の総重量に対して1〜50重量%が好ましく、特に2〜30重量%が好ましい。
【0046】
前記増粘剤としては、通常、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース等の多糖類等を1種又は2種以上の混合物として用いることができる。また、多糖類の様にリチウムと反応する官能基を有する増粘剤は、例えばメチル化する等してその官能基を失活させておくことが望ましい。増粘剤の添加量は、正極又は負極の総重量に対して0.5〜10重量%が好ましく、特に1〜2重量%が好ましい。
【0047】
フィラーとしては、電池性能に悪影響を及ぼさない材料であれば何でも良い。通常、ポリプロピレン,ポリエチレン等のオレフィン系ポリマー、無定形シリカ、アルミナ、ゼオライト、ガラス、炭素等が用いられる。フィラーの添加量は、正極又は負極の総重量に対して添加量は30重量%以下が好ましい。
【0048】
正極及び負極は、前記活物質、導電剤及び結着剤をN−メチルピロリドン,トルエン等の有機溶媒に混合させた後、得られた混合液を下記に詳述する集電体の上に塗布し、乾燥することによって、好適に作製される。前記塗布方法については、例えば、アプリケーターロールなどのローラーコーティング、スクリーンコーティング、ドクターブレード方式、スピンコーティング、バーコータ等の手段を用いて任意の厚み及び任意の形状に塗布することが望ましいが、これらに限定されるものではない。
【0049】
集電体としては、構成された電池において悪影響を及ぼさない電子伝導体であれば何でもよい。例えば、正極用集電体としては、アルミニウム、チタン、ステンレス鋼、ニッケル、焼成炭素、導電性高分子、導電性ガラス等の他に、接着性、導電性及び耐酸化性向上の目的で、アルミニウムや銅等の表面をカーボン、ニッケル、チタンや銀等で処理した物を用いることができる。負極用集電体としては、銅、ニッケル、鉄、ステンレス鋼、チタン、アルミニウム、焼成炭素、導電性高分子、導電性ガラス、Al−Cd合金等の他に、接着性、導電性、耐還元性の目的で、銅等の表面をカーボン、ニッケル、チタンや銀等で処理した物を用いることができる。これらの材料については表面を酸化処理することも可能である。
【0050】
集電体の形状については、フォイル状の他、フィルム状、シート状、ネット状、パンチ又はエキスパンドされた物、ラス体、多孔質体、発砲体、繊維群の形成体等が用いられる。厚みの限定は特にないが、1〜500μmのものが用いられる。これらの集電体の中で、正極としては、耐酸化性に優れているアルミニウム箔が、負極としては、耐還元性、且つ電導性に優れ、安価な銅箔、ニッケル箔、鉄箔、及びそれらの一部を含む合金箔を使用することが好ましい。さらに、粗面表面粗さが0.2μmRa以上の箔であることが好ましく、これにより正極活物質又は負極材料と集電体との密着性は優れたものとなる。よって、このような粗面を有することから、電解箔を使用するのが好ましい。特に、ハナ付き処理を施した電解箔は最も好ましい。さらに、該箔に両面塗工する場合、箔の表面粗さが同じ、又はほぼ等しいことが望まれる。
【0051】
非水電解質電池用セパレータとしては、優れたレート特性を示す多孔膜や不織布等を、単独あるいは併用することが好ましい。非水電解質電池用セパレータを構成する材料としては、例えばポリエチレン,ポリプロピレン等に代表されるポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート,ポリブチレンテレフタレート等に代表されるポリエステル系樹脂、ポリフッ化ビニリデン、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−パーフルオロビニルエーテル共重合体、フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン−トリフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン−フルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロアセトン共重合体、フッ化ビニリデン−エチレン共重合体、フッ化ビニリデン−プロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−トリフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体等を挙げることができる。
【0052】
非水電解質電池用セパレータの空孔率は強度の観点から98体積%以下が好ましい。また、充放電特性の観点から空孔率は20体積%以上が好ましい。
【0053】
また、非水電解質電池用セパレータは、例えばアクリロニトリル、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、メチルメタアクリレート、ビニルアセテート、ビニルピロリドン、ポリフッ化ビニリデン等のポリマーと電解質とで構成されるポリマーゲルを用いてもよい。
【0054】
本発明の非水電解質を上記のようにゲル状態で用いると、漏液を防止する効果がある点で好ましい。
【0055】
さらに、非水電解質電池用セパレータは、上述したような多孔膜や不織布等とポリマーゲルを併用して用いると、電解質の保液性が向上すため望ましい。即ち、ポリエチレン微孔膜の表面及び微孔壁面に厚さ数μm以下の親溶媒性ポリマーを被覆したフィルムを形成し、前記フィルムの微孔内に電解質を保持させることで、前記親溶媒性ポリマーがゲル化する。
【0056】
前記親溶媒性ポリマーとしては、ポリフッ化ビニリデンの他、エチレンオキシド基やエステル基等を有するアクリレートモノマー、エポキシモノマー、イソシアナート基を有するモノマー等が架橋したポリマー等が挙げられる。該モノマーは、ラジカル開始剤を併用して加熱や紫外線(UV)を用いたり、電子線(EB)等の活性光線等を用いて架橋反応を行わせることが可能である。
【0057】
前記親溶媒性ポリマーには、強度や物性制御の目的で、架橋体の形成を妨害しない範囲の物性調整剤を配合して使用することができる。前記物性調整剤の例としては、無機フィラー類{酸化ケイ素、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化鉄などの金属酸化物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムなどの金属炭酸塩}、ポリマー類{ポリフッ化ビニリデン、フッ化ビニリデン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ポリアクリロニトリル、ポリメチルメタクリレート等}等が挙げられる。前記物性調整剤の添加量は、架橋性モノマーに対して通常50重量%以下、好ましくは20重量%以下である。
【0058】
前記アクリレートモノマーについて例示すると、二官能以上の不飽和モノマーが好適に挙げられ、より具体例には、2官能(メタ)アクリレート{エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、アジピン酸・ジネオペンチルグリコールエステルジ(メタ)アクリレート、重合度2以上のポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、重合度2以上のポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレン/ポリオキシプロピレン共重合体のジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ヘキサメチレングリコールジ(メタ)アクリレート等}、3官能(メタ)アクリレート{トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、グリセリンのエチレンオキシド付加物のトリ(メタ)アクリレート、グリセリンのプロピレンオキシド付加物のトリ(メタ)アクリレート、グリセリンのエチレンオキシド、プロピレンオキシド付加物のトリ(メタ)アクリレート等}、4官能以上の多官能(メタ)アクリレート{ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジグリセリンヘキサ(メタ)アクリレート等}が挙げられる。これらのモノマーを単独もしくは、併用して用いることができる。
【0059】
前記アクリレートモノマーには、物性調整等の目的で1官能モノマーを添加することもできる。前記一官能モノマーの例としては、不飽和カルボン酸{アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、けい皮酸、ビニル安息香酸、マレイン酸、フマール酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、メチレンマロン酸、アコニット酸等}、不飽和スルホン酸{スチレンスルホン酸、アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等}又はそれらの塩(Li塩、Na塩、K塩、アンモニウム塩、テトラアルキルアンモニウム塩等)、またこれらの不飽和カルボン酸をC1〜C18の脂肪族又は脂環式アルコール、アルキレン(C2〜C4)グリコール、ポリアルキレン(C2〜C4)グリコール等で部分的にエステル化したもの(メチルマレート、モノヒドロキシエチルマレート、など)、及びアンモニア、1級又は2級アミンで部分的にアミド化したもの(マレイン酸モノアミド、N−メチルマレイン酸モノアミド、N,N−ジエチルマレイン酸モノアミドなど)、(メタ)アクリル酸エステル[C1〜C18の脂肪族(メチル、エチル、プロピル、ブチル、2−エチルヘキシル、ステアリル等)アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル、又はアルキレン(C2〜C4)グリコール(エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール等)及びポリアルキレン(C2〜C4)グリコール(ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール)と(メタ)アクリル酸とのエステル];(メタ)アクリルアミド又はN−置換(メタ)アクリルアミド[(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド等];ビニルエステル又はアリルエステル[酢酸ビニル、酢酸アリル等];ビニルエーテル又はアリルエーテル[ブチルビニルエーテル、ドデシルアリルエーテル等];不飽和ニトリル化合物[(メタ)アクリロニトリル、クロトンニトリル等];不飽和アルコール[(メタ)アリルアルコール等];不飽和アミン[(メタ)アリルアミン、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等];複素環含有モノマー[N−ビニルピロリドン、ビニルピリジン等];オレフィン系脂肪族炭化水素[エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレン、ペンテン、(C6〜C50)α−オレフィン等];オレフィン系脂環式炭化水素[シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロヘプテン、ノルボルネン等];オレフィン系芳香族炭化水素[スチレン、α−メチルスチレン、スチルベン等];不飽和イミド[マレイミド等];ハロゲン含有モノマー[塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニリデン、ヘキサフルオロプロピレン等]等が挙げられる。
【0060】
前記エポキシモノマーについて例示すると、グリシジルエーテル類{ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、臭素化ビスフェノールAジグリシジルエーテル、フェノールノボラックグリシジルエーテル、クレゾールノボラックグリシジルエーテル等}、グリシジルエステル類{ヘキサヒドロフタル酸グリシジルエステル、ダイマー酸グリシジルエステル等}、グリシジルアミン類{トリグリシジルイソシアヌレート、テトラグリシジルジアミノフェニルメタン等}、線状脂肪族エポキサイド類{エポキシ化ポリブタジエン、エポキシ化大豆油等}、脂環族エポキサイド類{3,4エポキシ−6メチルシクロヘキシルメチルカルボキシレート、3,4エポキシシクロヘキシルメチルカルボキシレート等}等が挙げられる。これらのエポキシ樹脂は、単独もしくは硬化剤を添加して硬化させて使用することができる。
【0061】
前記硬化剤の例としては、脂肪族ポリアミン類{ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、3,9−(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトロオキサスピロ[5,5]ウンデカン等}、芳香族ポリアミン類{メタキシレンジアミン、ジアミノフェニルメタン等}、ポリアミド類{ダイマー酸ポリアミド等}、酸無水物類{無水フタル酸、テトラヒドロメチル無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水メチルナジック酸}、フェノール類{フェノールノボラック等}、ポリメルカプタン{ポリサルファイド等}、第三アミン類{トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、2−エチル−4−メチルイミダゾール等}、ルイス酸錯体{三フッ化ホウ素・エチルアミン錯体等}等が挙げられる。
【0062】
前記イソシアナート基を有するモノマーについて例示すると、トルエンジイソシアナート、ジフェニルメタンジイソシアナート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアナート、2,2,4(2,2,4)−トリメチル−ヘキサメチレンジイソシアナート、p−フェニレンジイソシアナート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアナート、3,3'−ジメチルジフェニル4,4’−ジイソシアナート、ジアニシジンジイソシアナート、m−キシレンジイソシアナート、トリメチルキシレンジイソシアナート、イソフォロンジイソシアナート、1,5−ナフタレンジイソシアナート、trans−1,4−シクロヘキシルジイソシアナート、リジンジイソシアナート等が挙げられる。
【0063】
前記イソシアナート基を有するモノマーを架橋するにあたって、ポリオール類及びポリアミン類[2官能化合物{水、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール等}、3官能化合物{グリセリン、トリメチロールプロパン、1,2,6−ヘキサントリオール、トリエタノールアミン等}、4官能化合物{ペンタエリスリトール、エチレンジアミン、トリレンジアミン、ジフェニルメタンジアミン、テトラメチロールシクロヘキサン、メチルグルコシド等}、5官能化合物{2,2,6,6−テトラキス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサノール、ジエチレントリアミンなど}、6官能化合物{ソルビトール、マンニトール、ズルシトール等}、8官能化合物{スークロース等}]、及びポリエーテルポリオール類{前記ポリオール又はポリアミンのプロピレンオキサイド及び/又はエチレンオキサイド付加物}、ポリエステルポリオール[前記ポリオールと多塩基酸{アジピン酸、o,m,p−フタル酸、コハク酸、アゼライン酸、セバシン酸、リシノール酸}との縮合物、ポリカプロラクトンポリオール{ポリε−カプロラクトン等}、ヒドロキシカルボン酸の重縮合物等]等、活性水素を有する化合物を併用することができる。
【0064】
前記架橋反応にあたって、触媒を併用することができる。前記触媒について例示すると、有機スズ化合物類、トリアルキルホスフィン類、アミン類[モノアミン類{N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、トリエチルアミン等}、環状モノアミン類{ピリジン、N−メチルモルホリン等}、ジアミン類{N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチル1,3−ブタンジアミン等}、トリアミン類{N,N,N’,N’−ペンタメチルジエチレントリアミン等}、ヘキサミン類{N,N,N’N’−テトラ(3−ジメチルアミノプロピル)−メタンジアミン等}、環状ポリアミン類{ジアザビシクロオクタン(DABCO)、N,N’−ジメチルピペラジン、1,2−ジメチルイミダゾール、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7(DBU)等}等、及びそれらの塩類等が挙げられる。
【0065】
本発明に係る非水電解質電池は、電解質を、例えば、非水電解質電池用セパレータと正極と負極とを積層する前又は積層した後に注液し、最終的に、外装材で封止することによって好適に作製される。また、正極と負極とが非水電解質電池用セパレータを介して積層された発電要素を巻回してなる非水電解質電池においては、電解質は、前記巻回の前後に発電要素に注液されるのが好ましい。注液法としては、常圧で注液することも可能であるが、真空含浸方法や加圧含浸方法も使用可能である。
【0066】
リチウム二次電池の外装体の材料としては、ニッケルメッキした鉄やステンレススチール、アルミニウム、金属樹脂複合フィルム等が一例として挙げられる。例えば、金属箔を樹脂フィルムで挟み込んだ構成の金属樹脂複合フィルムが好ましい。前記金属箔の具体例としては、アルミニウム、鉄、ニッケル、銅、ステンレス鋼、チタン、金、銀等、ピンホールのない箔であれば限定されないが、好ましくは軽量且つ安価なアルミニウム箔が好ましい。また、電池外部側の樹脂フィルムとしては、ポリエチレンテレフタレートフィルム,ナイロンフィルム等の突き刺し強度に優れた樹脂フィルムを、電池内部側の樹脂フィルムとしては、ポリエチレンフィルム,ナイロンフィルム等の、熱融着可能であり、かつ耐溶剤性を有するフィルムが好ましい。
【0067】
リチウム二次電池の構成については特に限定されるものではなく、正極、負極及び単層又は複層のセパレータを有するコイン電池やボタン電池、さらに、正極、負極及びロール状のセパレータを有する円筒型電池、角型電池、扁平型電池等が一例として挙げられる。
【0068】
【実施例】
以下に、実施例に基づき本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の記載により限定されるものではなく、試験方法や構成する電池の正極活物質、負極材料、正極、負極、電解質、セパレータ並びに電池形状等は任意である。なお、本発明の正極活物質を合成するにあたって用いるリチウム塩(LiOHなど)の量は、最終生成物の組成を確認しながら適宜調整することが好ましい。例えば、目的とする正極活物質組成比に対して前記リチウム塩の量を1〜2割増しとしてもよい。
【0069】
(実施例1)〜共沈法によるLi1.0Mn0.35Ni0.42Co0.232の作製
Mn23・H2O、Ni23・H2O及びCo23・H2Oを、Mn:Ni:Co=0.35:0.42:0.23の元素比となるようにそれぞれ測り取り、前記Mn23・H2Oの塩酸水溶液と前記Ni23・H2O及びCo23・H2Oの塩酸水溶液とをそれぞれ0.1mol/lの水酸化ナトリウム水溶液中に、室温で、pHを11に保持したまま滴下混合し、沈殿生成物をろ別・洗浄した。次に、前記沈殿物質と水酸化リチウム水溶液とを、Li:Ni:Mn=1:0.35:0.42:0.23の元素比となるよう含浸混合させた後、酸素雰囲気下、400℃で5時間、続いて1000℃で5時間熱処理することで、Li1.0Mn0.35Ni0.42Co0.232で示される組成の正極活物質を得た。
【0070】
(実施例2)〜粉体混合法によるLi1.0Mn0.35Ni0.42Co0.232の作製LiOH、Mn23・H2O、Ni23・H2O及びCo23・H2Oを、Li:Mn:Ni:Co=1:0.35:0.42:0.23の元素比となるように水に懸濁させ、全ての粒子径が1μm未満となるよう湿式粉砕し、スラリー化した。得られたスラリーを乾燥させた後、400℃で5時間、続いて1000℃で5時間熱処理することで、Li1.0Mn0.35Ni0.42Co0.232で示される組成の正極活物質を得た。
【0071】
(実施例3)〜ホウ素添加
LiOH、Mn23・H2O、Ni23・H2O、Co23・H2O及びB23を、Li:Mn:Ni:Co:B=1:0.35:0.42:0.23:0.001の元素比となるように水に懸濁させ、全ての粒子径が1μm未満となるよう湿式粉砕し、スラリー化した。得られたスラリーを乾燥させた後、400℃で5時間、続いて1000℃で5時間熱処理することで、Li1.0Mn0.35Ni0.42Co0.232で示される組成の正極活物質を得た。
【0072】
(実施例4)〜1100℃熱処理
LiOH、Mn23・H2O、Ni23・H2O及びCo23・H2Oを、Li:Mn:Ni:Co=1:0.35:0.42:0.23の元素比となるように水に懸濁させ、全ての粒子径が1μm未満となるよう湿式粉砕し、スラリー化した。得られたスラリーを乾燥させた後、400℃で5時間、続いて1100℃で5時間熱処理することで、Li1.0Mn0.35Ni0.42Co0.232で示される組成の正極活物質を得た。
【0073】
(実施例5)〜950℃熱処理
LiOH、Mn23・H2O、Ni23・H2O及びCo23・H2Oを、Li:Mn:Ni:Co=1:0.35:0.42:0.23の元素比となるように水に懸濁させ、全ての粒子径が1μm未満となるよう湿式粉砕し、スラリー化した。得られたスラリーを乾燥させた後、400℃で5時間、続いて950℃で5時間熱処理することで、Li1.0Mn0.35Ni0.42Co0.232で示される組成の正極活物質を得た。
【0074】
(実施例6)
LiOH、Mn23・H2O及びNi23・H2Oを、Li:Mn:Ni=1:0.45:0.55の元素比となるように水に懸濁させ、全ての粒子径が1μm未満となるよう湿式粉砕し、スラリー化した。得られたスラリーを乾燥させた後、400℃で5時間、続いて1000℃で5時間熱処理することで、Li1.0Mn0.45Ni0.552で示される組成の正極活物質を得た。
【0075】
(実施例7)
LiOH、Mn23・H2O及びNi23・H2Oを、Li:Mn:Ni=1:0.5:0.5の元素比となるように水に懸濁させ、全ての粒子径が1μm未満となるよう湿式粉砕し、スラリー化した。得られたスラリーを乾燥させた後、400℃で5時間、続いて1000℃で5時間熱処理することで、Li1.0Mn0.5Ni0.52で示される組成の正極活物質を得た。
【0076】
(実施例8)
LiOH、Mn23・H2O、Ni23・H2O及びCo23・H2Oを、Li:Mn:Ni:Co=1:0.3:0.3:0.4の元素比となるように水に懸濁させ、全ての粒子径が1μm未満となるよう湿式粉砕し、スラリー化した。得られたスラリーを乾燥させた後、400℃で5時間、続いて1000℃で5時間熱処理することで、Li1.0Mn0.3Ni0.3Co0.42で示される組成の正極活物質を得た。
【0077】
(実施例9)
LiOH、Mn23・H2O、Ni23・H2O及びCo23・H2Oを、Li:Mn:Ni:Co=1:0.25:0.4:0.35の元素比となるように水に懸濁させ、全ての粒子径が1μm未満となるよう湿式粉砕し、スラリー化した。得られたスラリーを乾燥させた後、400℃で5時間、続いて1000℃で5時間熱処理することで、Li1.0Mn0.25Ni0.4Co0.352で示される組成の正極活物質を得た。
【0078】
(比較例1)〜1200℃熱処理
LiOH、Mn23・H2O、Ni23・H2O及びCo23・H2Oを、Li:Mn:Ni:Co=1:0.35:0.42:0.23の元素比となるように水に懸濁させ、全ての粒子径が1μm未満となるよう湿式粉砕し、スラリー化した。得られたスラリーを乾燥させた後、400℃で5時間、続いて1200℃で5時間熱処理することで、Li1.0Mn0.35Ni0.42Co0.232で示される組成の正極活物質を得た。
【0079】
(比較例2)〜900℃熱処理
LiOH、Mn23・H2O、Ni23・H2O及びCo23・H2Oを、Li:Mn:Ni:Co=1:0.35:0.42:0.23の元素比となるように水に懸濁させ、全ての粒子径が1μm未満となるよう湿式粉砕し、スラリー化した。得られたスラリーを乾燥させた後、400℃で5時間、続いて900℃で5時間熱処理することで、Li1.0Mn0.35Ni0.42Co0.232で示される組成の正極活物質を得た。
【0080】
(比較例3)〜750℃熱処理
LiOH、Mn23・H2O、Ni23・H2O及びCo23・H2Oを、Li:Mn:Ni:Co=1:0.35:0.42:0.23の元素比となるように水に懸濁させ、全ての粒子径が1μm未満となるよう湿式粉砕し、スラリー化した。得られたスラリーを乾燥させた後、400℃で5時間、続いて750℃で5時間熱処理することで、Li1.0Mn0.35Ni0.42Co0.232で示される組成の正極活物質を得た。
【0081】
(比較例4)
Mn(NO32、Ni(NO32及びCo(NO32を、Mn:Ni:Co=0.35:0.42:0.23の元素比となるようにそれぞれ測り取り、以降の工程は実施例1と同様にして、共沈法によりLi1.0Mn0.35Ni0.42Co0.232で示される組成の正極活物質を得た。
【0082】
(比較例5)
Mn(NO32、Ni23・H2O及びCo(NO32を、Mn:Ni:Co=0.35:0.42:0.23の元素比となるようにそれぞれ測り取り、以降の工程は実施例1と同様にして、共沈法によりLi1.0Mn0.35Ni0.42Co0.232で示される組成の正極活物質を得た。
【0083】
(比較例6)
Mn23・H2O、Ni(NO32及びCo(NO32を、Mn:Ni:Co=0.35:0.42:0.23の元素比となるようにそれぞれ測り取り、以降の工程は実施例1と同様にして、共沈法によりLi1.0Mn0.35Ni0.42Co0.232で示される組成の正極活物質を得た。
【0084】
(比較例7)
Mn(NO32、Ni(NO32及びCo23・H2Oを、Mn:Ni:Co=0.35:0.42:0.23の元素比となるようにそれぞれ測り取り、以降の工程は実施例1と同様にして、共沈法によりLi1.0Mn0.35Ni0.42Co0.232で示される組成の正極活物質を得た。
【0085】
(比較例8)
LiOH、Mn23・H2O、NiO、CoO及びB23を、Li:Mn:Ni:Co:B=1:0.35:0.42:0.23:0.001の元素比となるように水に懸濁させ、全ての粒子径が1μm未満となるよう湿式粉砕し、スラリー化した。以降の工程は実施例2と同様にして、粉体混合法によってLi1.0Mn0.35Ni0.42Co0.232で示される組成の正極活物質を得た。
【0086】
(比較例9)
LiOH、MnO2、Ni23・H2O、CoO及びB23を、Li:Mn:Ni:Co:B=1:0.35:0.42:0.23:0.001の元素比となるように水に懸濁させ、全ての粒子径が1μm未満となるよう湿式粉砕し、スラリー化した。以降の工程は実施例2と同様にして、粉体混合法によってLi1.0Mn0.35Ni0.42Co0.232で示される組成の正極活物質を得た。
【0087】
(比較例10)
LiOH、MnO2、NiO、Co23・H2O及びB23を、Li:Mn:Ni:Co:B=1:0.35:0.42:0.23:0.001の元素比となるように水に懸濁させ、全ての粒子径が1μm未満となるよう湿式粉砕し、スラリー化した。以降の工程は実施例2と同様にして、粉体混合法によってLi1.0Mn0.35Ni0.42Co0.232で示される組成の正極活物質を得た。
【0088】
(比較例11)
LiOH、Mn23・H2O及びNi23・H2Oを、Li:Mn:Ni=1:0.55:0.45の元素比となるように水に懸濁させ、全ての粒子径が1μm未満となるよう湿式粉砕し、スラリー化した。得られたスラリーを乾燥させた後、400℃で5時間、続いて1000℃で5時間熱処理することで、Li1.0Mn0.25Ni0.752で示される組成の正極活物質を得た。
【0089】
(比較例12)
LiOH、Mn23・H2O及びNi23・H2Oを、Li:Mn:Ni=1:0.25:0.75の元素比となるように水に懸濁させ、全ての粒子径が1μm未満となるよう湿式粉砕し、スラリー化した。得られたスラリーを乾燥させた後、400℃で5時間、続いて1000℃で5時間熱処理することで、Li1.0Mn0.4Ni0.62で示される組成の正極活物質を得た。
【0090】
(比較例13)
LiOH、Mn23・H2O、Ni23・H2O及びCo23・H2Oを、Li:Mn:Ni:Co=1:0.25:0.3:0.45の元素比となるように水に懸濁させ、全ての粒子径が1μm未満となるよう湿式粉砕し、スラリー化した。得られたスラリーを乾燥させた後、400℃で5時間、続いて1000℃で5時間熱処理することで、Li1.0Mn0.25Ni0.3Co0.452で示される組成の正極活物質を得た。
【0091】
(比較例14)
LiOH、Mn23・H2O、Ni23・H2O及びCo23・H2Oを、Li:Mn:Ni:Co=1:0.25:0.5:0.25の元素比となるように水に懸濁させ、全ての粒子径が1μm未満となるよう湿式粉砕し、スラリー化した。得られたスラリーを乾燥させた後、400℃で5時間、続いて1000℃で5時間熱処理することで、Li1.0Mn0.25Ni0.4Co0.352で示される組成の正極活物質を得た。
【0092】
図2に、上記実施例及び比較例によって合成された複合酸化物を3元状態図上に示す。○印は上記実施例によるものであり、●印は上記比較例によるものである。
【0093】
(本発明電池1〜9及び比較電池1〜14)
上記のようにして合成した正極活物質、導電剤であるアセチレンブラック及び結着剤であるポリフッ化ビニリデン(PVdF)を、重量比85:10:5の割合で混合し、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)を加えて十分混練し、正極ペーストを得た。前記正極ペーストを厚さ20μmのアルミニウム箔集電体上の一方の面に塗布し、約25℃の常温中で自然乾燥後、他方の面に同様に塗布し、減圧下130℃で12時間乾燥した後、プレス加工し、1cm2の円盤状に裁断し、正極1とした。
【0094】
負極材料である人造黒鉛(平均粒径6μm、エックス線回折法による面間隔(d002)0.337nm、c軸方向の結晶子の大きさ(Lc)55nm)及びポリフッ化ビニリデン(PVdF)を重量比95:5の割合で混合し、N―メチル−2−ピロリドン(NMP)を加えて十分混練し、負極ペーストを得た。次に、前記負極ペーストを厚さ15μmの銅箔集電体上厚さ12μmの電解銅箔の一方の面に塗布し、約25℃の常温中で自然乾燥後、他方の面に同様に塗布し、減圧下130℃で12時間乾燥した後、プレス加工し、1cm2の円盤状に裁断し、負極2とした。
【0095】
エチレンカーボネート及びジエチルカーボネートを体積比1:1の割合で混合した混合溶媒に、含フッ素系電解質塩であるLiPF6を1mol/lの濃度で溶解させ、非水電解質を作成した。前記電解質中の水分量は20ppm未満とした。
【0096】
上述した部材を用いてコイン型非水電解質電池を露点が−50℃以下の乾燥雰囲気下において作製した。正極1は正極集電体6の付いた正極缶4に圧着して用いた。負極2は負極集電体7の付いた負極缶5に圧着して用いた。上記正極1、負極2、電解質及びセパレータ3を用いて図1に示す直径20mm、厚さ1.6mmのコイン型リチウム二次電池を作製した。8は絶縁パッキングである。正極活物質として、実施例1〜9及び比較例1〜14で得られたLi1.0Mn0.35Ni0.42Co0.232を用い、それぞれ本発明電池1〜9及び比較電池1〜14とする。
【0097】
(サイクル試験)
前記本発明電池1〜9及び比較電池1〜14をそれぞれ多数個作製し、初期充放電を10サイクル行った。このときの充電条件は、電流0.1ItA(10時間率)、4.2Vの定電流定電圧充電とし、放電条件は、電流0.1ItA(10時間率)、終止電圧を3.0Vの定電流放電とした。
【0098】
続いて、サイクル試験を行った。該サイクル試験の充電条件は、1.0ItA(1時間率)、4.2Vの定電流定電圧充電とし、放電条件は、電流1.0ItA(1時間率)、終止電圧を3.0Vの定電流放電とした。
【0099】
表1に本発明電池1〜9及び比較電池1〜14の充放電試験結果を記載した。
【0100】
【表1】
Figure 0003991189
3価の遷移金属化合物を原料に用い、組成をLi1.0Mn0.35Ni0.42Co0.232とし、熱処理温度を950〜1100℃とした実施例1〜5の正極活物質を用いた本発明電池1〜5では、製造方法によらず、極めて良好な電池性能を示した。すなわち、放電容量が160mAh/gと極めて高く、さらに、実に驚くべきことに、繰り返し充放電を30サイクル行った後においても、本発明電池5を除いては放電容量が全く低下しないという信じ難いまでの良好なサイクル性能が確認された。
【0101】
これに対して、熱処理温度を1200℃とした比較例1の正極活物質を用いた比較電池1では、前記本発明電池1〜3と比べて放電容量が大きく低下する結果となった。これは、熱処理中に原料に用いたリチウムの脱離が起こり、充放電可能なリチウム量が減少したためと考えられる。
【0102】
熱処理温度を950℃未満とした比較例2,3の正極活物質を用いた比較電池2,3では、やはり放電容量の低下が確認された。この原因については必ずしも明らかではないが、前記したように活物質の色が異なっていることなどから、実施例の正極活物質とは何らかの点で異なったものとなっている可能性が高い。
【0103】
正極活物質を構成する遷移金属元素の比率を変えた実施例や比較例について検討したなかで、遷移金属元素のうちMnの元素比が0.5を超える組成比とした比較例11の正極活物質を用いた本発明電池11では、他に比べて特に放電容量が低い結果となった。この材料についてさらに検討した結果、スピネル結晶構造を有していることがわかった。
【0104】
原料に2価の遷移金属化合物を含む混合物を熱処理して得られた比較例4〜10の正極活物質を用いた比較電池4〜10では、特にサイクル性能が良好でない結果を与えた。
【0105】
この結果から、電池性能は共沈法や粉体混合などの作成法には依存せず、出発原料の酸化数に大きく依存する結果となった。比較電池4〜10のサイクル性能が良好でない原因としては、必ずしも明らかではないが、熱処理工程において2価の遷移金属化合物原料からの3価への変化が円滑に行われず、残存する2価の遷移金属元素が、結晶構造の歪みや構造の崩壊を生じさせ、特に4V付近での充放電が悪くなったものと推定される。
【0106】
なお、本実施例では、ボタン型電池について例示したが、本発明の効果は電池形状に限定されるものではなく、例えば、捲回式電極を発電要素とした場合や、電池形状を円筒型とした場合でも、全く同様の結果が得られる。
【0107】
【発明の効果】
本発明によれば、上述した通りであるので、高いエネルギー密度と良好な繰り返し充放電性能を持つ二次電池用正極活物質の製造方法及びそれを用いた二次電池を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明電池の断面図である。
【図2】 実施例に記載の複合酸化物の組成を示す3元状態図である。
【符号の説明】
1 正極
2 負極
3 セパレータ
4 正極缶
5 負極缶
6 正極集電体
7 負極集電体
8 絶縁パッキング

Claims (7)

  1. 少なくともMn及びNiを構成元素に含み、Li x Mn a Ni b Co c 2 (但し、a,b,cは、その関係を示す3元状態図上において、点A(a,b,c)=(0.5,0.5,0)、点B(a,b,c)=(0.45,0.55,0)、点C(a,b,c)=(0.25,0.35,0.4)、点D(a,b,c)=(0.3,0.3,0.4)からなる4点を結んだ直線で囲まれる領域で示される範囲であり、0.95≦x/(a+b+c)≦1.05である)で示される複合酸化物からなる正極活物質を製造する方法であって、Mn、Ni及びCoからなる遷移金属元素群のうち前記正極活物質を構成する全ての遷移金属について、それぞれの遷移金属の3価の化合物とリチウム塩とを含む混合物を950℃以上1100℃以下の温度範囲で熱処理することを特徴とする正極活物質の製造方法。
  2. 前記混合物は、湿式混合して得られたものである請求項1記載の正極活物質の製造方法。
  3. 少なくともMn及びNiを構成元素に含み、Li x Mn a Ni b Co c 2 (但し、a,b,cは、その関係を示す3元状態図上において、点A(a,b,c)=(0.5,0.5,0)、点B(a,b,c)=(0.45,0.55,0)、点C(a,b,c)=(0.25,0.35,0.4)、点D(a,b,c)=(0.3,0.3,0.4)からなる4点を結んだ直線で囲まれる領域で示される範囲であり、0.95≦x/(a+b+c)≦1.05である)で示される複合酸化物からなる正極活物質を製造する方法であって、Ni及びCoからなる遷移金属元素群のうち前記正極活物質を構成する全ての遷移金属元素について、それぞれの遷移金属の3価の化合物を溶解してなる水溶液と、Mnの3価の化合物を溶解してなる水溶液とを、アルカリ性水溶液に加えて沈殿物を生成させる工程を含むことを特徴とする正極活物質の製造方法。
  4. Mnの3価の化合物がMn23 ・H 2Oである請求項1〜3のいずれかに記載の正極活物質の製造方法。
  5. Niの3価の化合物がNi23 ・H 2Oである請求項1〜4のいずれかに記載の正極活物質の製造方法。
  6. Coの3価の化合物がCo23 ・H 2Oである請求項1〜5のいずれかに記載の正極活物質の製造方法。
  7. 請求項1〜のいずれかに記載の正極活物質を含む正極と、リチウムイオンを吸蔵放出可能な負極材料を用いた負極と、非水系電解質とを有する二次電池。
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