JP3990905B2 - 電子部品実装装置の装着ヘッド - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子部品実装装置の装着ヘッドに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
電子部品を回路基板上の所定位置に装着する電子部品実装装置の装着ヘッドとして、複数の吸着ノズルを備えたものが知られている。
このような装着ヘッドは、吸着ノズル及び吸着ノズルを駆動させる機構を備えた部品装着手段を複数連設して構成されるものであり、図3に示すように、各部品装着手段100は吸着ノズル101を上下動させるZ軸モータ102、吸着ノズル101を回転させる回転モータ103、下端に吸着ノズル101を保持する中空シャフト104、中空シャフト104を支持するブラケット105、ブラケット105の上下動を案内するリニアウェイ106、これら部品が取り付けられる支持部材107等から概略構成される。
【0003】
ブラケット105の上下にはベアリング105aが取り付けられており、このベアリング105aによりシャフト104は軸回りに回転自在に支持されている。ブラケット105後部の上下二箇所にはリニアウェイ106のスライドユニット106aが接合されており、このスライドユニット106aは、支持部材107の上下方向に沿って取り付けられたリニアウェイ106のレール106bに摺動自在に支持されている。
【0004】
また、ブラケット105は、その前部においてボールねじ108のナット108aに接合している。ボールねじ108のねじ軸108bの上端には従動プーリ108cが取り付けられており、この従動プーリ108cとZ軸モータ102の回転軸102aに取り付けられた駆動プーリ102bとに掛け回されたタイミングベルト109を介して、Z軸モータ102の駆動がねじ軸108bに伝達され、ブラケット105、ひいては吸着ノズル101がリニアウェイ106に案内された状態で上下動するようになっている。
【0005】
また、支持部材107の上部には上下に貫通した開口(図示せず)が形成されており、回転モータ103は、この開口に回転軸103aを挿通した状態で、支持部材107に取り付けられている。回転モータ103の回転軸103aには駆動プーリ103bが取り付けられ、この駆動プーリ103bに掛け回されたタイミングベルト109は、ボールスプライン110のナット110aと一体に回転する従動プーリ103cにも掛け回されている。そして、回転モータ103の駆動がタイミングベルト109及びナット110aを介してボールスプライン110のスプライン軸110bに伝達される。
【0006】
ここで、ボールスプライン110のスプライン軸110bは、その下端においてカップリング111を介して中空シャフト104に連結しており、スプライン軸110bが回転することで中空シャフト104、ひいては吸着ノズル101が回転するようになっている。
そして、この部品装着手段100を、図4に示すように、左右方向に複数(例えば4つ)連接することで装着ヘッド200が構成されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述のように、装着ヘッド200がリニアウェイ106によって吸着ノズル101の上下動を案内する構成を備えている場合、例えば、装着ヘッド200が停止状態から左右方向へ移動し再び停止するまでの一連の動作によりスライドユニット106aに働く慣性力により、スライドユニット106aはレール106bに嵌合した部分を中心として水平面内で、矢印で示す方向に微小角度回転してしまい、吸着ノズル101の位置にずれが生じることになる。
そして、吸着ノズル101の位置ずれにより、例えば、吸着ノズル101が電子部品供給部から電子部品を吸着できないという問題や、回路基板上への電子部品の実装精度が低下するという問題があった。また、吸着ノズル101の位置ずれが収まるまで実装作業が行えないため、実装作業効率が低下するという問題があった。
【0008】
また、スプライン軸110bの軸回りの回転がカップリング111を介して中空シャフト104に伝達される構成を備えることで装着ヘッド200の重量増加や、構造が比較的複雑なものとなることも、上述のような実装精度悪化の一因となっていた。
【0009】
本発明の課題は、上述の問題を考慮したものであり、実装精度を向上させた電子部品実装装置の装着ヘッドを提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するため、請求項1記載の電子部品実装装置の装着ヘッド(5)は、電子部品を真空吸着し、回路基板(3)上の所定位置に装着する吸着ノズル(2)と、上下方向に沿って配設され、下端において前記吸着ノズルを保持するシャフト(30)と、前記シャフトを支持した状態で上下動するブラケット(シャフト支持用ブラケット80)と、前記ブラケットを上下動可能に案内する上下動案内手段(リニアウェイ70)と、前記シャフトに連結し、該シャフトを軸回りに回転させるボールスプライン(62)と、前記上下動案内手段と前記ボールスプラインとを支持する支持部材(40)と、を備える部品装着手段(10)を複数連設して構成される電子部品実装装置の装着ヘッドであって、
前記ボールスプラインは前記支持部材に対して上下動せず、
前記上下動案内手段に案内される前記ブラケットは、前記ボールスプラインより下方とならないことを特徴とする。
【0011】
請求項1記載の電子部品実装装置の装着ヘッドによれば、上下動案内手段に案内されるブラケットは、ボールスプラインより下方とならない。つまり、構造上水平方向へのがたの発生が少ないボールスプラインを、上下動案内手段に案内されるブラケットより下方、即ち吸着ノズルに近い位置に配設することにより、装着ヘッド移動時に上下動案内手段に生じるがたをボールスプラインで吸収する。従って、吸着ノズルの位置ずれを防止し、装着ヘッドの実装精度を向上させることができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の電子部品実装装置の装着ヘッドの実施の形態について図面を用いて説明する。
図1及び図2に示すように、電子部品実装装置1は、電子部品を供給する電子部品供給手段2(例えば、テープフィーダ)、回路基板3を搬送するための基板搬送装置4、吸着ノズル20を支持して上下動及び回動させる部品装着手段10、部品装着手段10を左右方向に複数連設して構成される装着ヘッド5、装着ヘッド5を水平面内で前後左右方向(XY方向)に移動させるXY移動装置6、吸着ノズル20による電子部品の吸着状態を撮像する撮像手段7、これら各種装置の駆動を制御する制御手段(図示せず)等から概略構成される。なお、図1には装着ヘッド5を覆うヘッドカバー8が図示されている。
【0013】
なお、電子部品実装装置1の動作、即ち、吸着ノズル20による電子部品の吸着・実装動作や、XY移動装置6の動作等については周知であるため説明を省略し、以下、装着ヘッド5の構成についておもに説明する。
【0014】
装着ヘッド5は、上述のように部品装着手段10を左右方向に複数(例えば4つ)連設して構成され、各部品装着手段10は吸着ノズル20、シャフト30、支持部材40、上下動手段50、回転手段60、リニアウェイ70(上下動案内手段)、シャフト支持用ブラケット80等から概略構成される。なお、吸着ノズル20への負圧の供給は図示しない真空発生装置により行われる。
【0015】
シャフト30は、その下端に吸着ノズル20を保持した状態で上下方向に沿って配設される中空構造を備えた棒状部材である。
シャフト30は、その上部において後述するシャフト支持用ブラケット80により軸回りに回転自在に支持されている。また、シャフト30がシャフト支持用ブラケット80に支持された部分より下方にかけては、軸方向に延びる複数のボール溝(図示せず)が形成されており、このボール溝に後述するボールスプライン62のナット62a(ボールナット)が嵌合している。
【0016】
支持部材40は部品装着手段10を構成する各種装置を支持する側面視略コ字状の部材であり、鉛直方向(上下方向)に延びる鉛直部41と、鉛直部41の上端から前方に延出する上延出部42と、鉛直部41の下端から前方に延出する下延出部43とを備える。
【0017】
鉛直部41は、その前面に上下方向に延びる溝41aを備えた平面視略コ字状に形成され、溝の内部にリニアウェイ70のレール71が取り付けられている。レール71はリニアウェイ70のスライドユニット72を上下方向に摺動可能に支持しており、このスライドユニット72はシャフト支持用ブラケット80に接合している。
【0018】
シャフト支持用ブラケット80は、その後部においてスライドユニット72に接合した状態で前方に延出する部材である。シャフト支持用ブラケット80の前部には開口(図示せず)が形成されており、この開口にボールねじ52のねじ軸52aが挿通されている。
また、ボールねじ52のナット52b(ボールナット)はシャフト支持用ブラケット80に接合している。そして、ねじ軸52aの軸回りの回転によりボールナット52bとシャフト支持用ブラケット80とが一体に、リニアウェイ70に案内された状態で上下動するようになっている。
【0019】
また、シャフト支持用ブラケット80のほぼ中央部にもシャフト30が挿通される開口(図示せず)が形成されている。開口に挿通された状態のシャフト30にはシャフト支持用ブラケット80を上下から挟むようにしてボールベアリング82が固定されている。
そして、このボールベアリング82の作用により、シャフト30はシャフト支持用ブラケット80に回転自在に支持されると共に、シャフト支持用ブラケット80と一体に上下動するようになっている。
なお、ボールベアリング82を用いずに、シャフト30をシャフト支持用ブラケット80に回転自在に支持した状態でシャフト支持用ブラケット80と一体に移動可能な手段を用いるものとしてもよい。
【0020】
上延出部42の前部には上下に貫通した開口(図示せず)が形成されており、また、上延出部42の前部下面には略矩形状のZ軸モータ用ブラケット42aが取り付けられている。そして、Z軸モータ51は、その回転軸51aが開口に挿通された状態でZ軸モータ用ブラケット42aを介して上延出部42に取り付けられている。
また、上延出部42の前後方向の略中央部にも上下に貫通した開口(図示せず)が形成されており、この開口の内周部分に軸受けとしてのボールベアリング42bが配設されている。そして、ボールねじ52のねじ軸52aは、開口に挿通された状態で、ボールベアリング42bにより軸回りに回転自在に軸支されている。
【0021】
下延出部43は、側面視四角枠状に形成されたボールスプライン支持部43aと、軸受け部の前面から前方に延出する回転モータ支持部43bとを備える。
回転モータ支持部43bの前部には上下に貫通した開口(図示せず)が形成されており、また、回転モータ支持部43bの前部上面には略矩形状の回転モータ用ブラケット43cが取り付けられている。そして、回転モータ61は、その回転軸61aが開口に挿通された状態で回転モータ用ブラケット43cを介して回転モータ支持部43bに取り付けられている。
【0022】
ボールスプライン支持部43aを構成する上下の板体にはそれぞれ上下に貫通した開口(図示せず)が形成されており、これら上下両開口には後述するスプラインハウジング62bを軸回りに回転自在に支持するベアリング43dが配設されている。
【0023】
上下動手段50は吸着ノズル20を上下動させるために配設され、Z軸モータ51(上下動モータ)、ボールねじ52等を備える。
Z軸モータ51は、上述のようにその回転軸51aが上延出部42の開口に挿通された状態でZ軸モータ用ブラケット42aを介して上延出部42に接合しており、また、ボールねじ52のねじ軸52aも上述のようにボールベアリング42bにより軸回りに回転自在に軸支されている。これら回転軸51aとねじ軸52aの上端にはそれぞれ駆動プーリ53と従動プーリ54が取り付けられ、駆動プーリ53と従動プーリ54にタイミングベルト55が掛け回されている。そして、回転軸51aの軸回りの回転がタイミングベルト55を介してねじ軸52aに伝達され、ねじ軸52aが軸回りに回転し、上述のようにボールナット62a52bとシャフト支持用ブラケット80とが一体に上下方向に移動するようになっている。
なお、図示はしないが、Z軸モータ51には、吸着ノズル20の上下方向の位置を検出するためのエンコーダが配設されており、エンコーダから送信される出力信号に基づいて制御手段はZ軸モータ51の駆動制御を行なう。
【0024】
回転手段60は吸着ノズル20を軸回りに回転させるために配設され、回転モータ61及びボールスプライン62を備える。
【0025】
回転モータ61は、上述のようにその回転軸61aが回転モータ支持部43bの開口に挿通された状態で回転モータ用ブラケット43cを介して下延出部43に接合している。
回転モータ61の回転軸61aには駆動プーリ61bが取り付けられ、また、ボールスプライン62のハウジング62bに従動プーリ61cが取り付けられている。そして、これら駆動プーリ61bと従動プーリ61cとにタイミングベルト61dが掛け回されている。
【0026】
ボールスプライン62は、シャフト30に連結し、シャフト30を軸回りに回転させるために設けられ、ナット62aと円筒形のハウジング62bを備える。
【0027】
ハウジング62bは、上述のようにボールスプライン支持部43aの上下に配設されたベアリング43dにより軸回りに回転自在に支持されており、開口内にシャフト30が挿通されている。
ナット62aは、ハウジング62bの内面側に固着された状態で、シャフト30の上下方向の略中央部に嵌合している。そして、回転モータ61の回転軸61aが軸回りに回転することで、駆動プーリ61b及びタイミングベルト61dを介して従動プーリ61cが回転し、この従動プーリ61cに接合したハウジング62b及びナット62aを介してシャフト30及び吸着ノズル20が軸回りに回転するようになっている。
【0028】
なお、図2の側面図中には、ナット62a、タイミングベルト61d、駆動プーリ61b及び従動プーリ61cと同じものがそれぞれの上方にも示されているが、これは、隣り合う2つの部品装着手段のうちの他方、即ち紙面に対して奥側の部品装着手段が備えるナット、タイミングベルト、駆動プーリ及び従動プーリである。このように隣り合って配設されるナット、タイミングベルト、駆動プーリ及び従動プーリを上下交互に配設することで、駆動時の干渉を防ぐものである。
また、図示はしないが、回転モータ61には、吸着ノズル20の軸回りの回転位置(回転角度)を検出するためのエンコーダが配設されており、エンコーダから送信される出力信号に基づいて制御手段は回転モータ61の駆動制御を行なう。
そして、図示は省略するが、このような構造を備える部品装着手段10を左右方向に複数連設して装着ヘッド5が構成されている。
【0029】
本実施の形態に示した装着ヘッドによれば、ボールスプライン62が、シャフト支持用ブラケット80とリニアウェイ70のスライドユニット72との接合部分より下方に配設される。つまり、リニアウェイ70と比較して、構造上水平方向へのがたの発生が少ないボールスプライン62を吸着ノズル20に近い位置に配設することにより、装着ヘッド5移動時にリニアウェイ70に生じるがたをボールスプライン62で吸収することができ、装着ヘッド5の実装精度を向上させることができる。
【0030】
また、例えば、従来の装着ヘッドでは回転モータの駆動力を吸着ノズルに伝達するために、スプライン軸と中空シャフトとをカップリング等の連結手段を用いて連結していたが、本実施の形態に示した装着ヘッド5では、ボール溝が形成されたシャフト30がスプライン軸としての機能するため、カップリング等の連結手段が必要無くなり、装着ヘッド5の重量を抑え、吸着ノズル20の電子部品実装精度を向上させることができる。
【0031】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、具体的な形状・構造等について適宜変更可能である。
例えば、本実施の形態においては、上下動案内部材としてリニアウェイ70を用いた場合について説明したが、これに限らず、例えば、リニアモーションガイド(LMガイド)やボールねじ等の周知の直動装置を用いても良い。
また、支持部材40の形状についても、本実施の形態では側面視略コ字状としたが、これに限るものではなく、例えば支持部材40の上延出部42や下延出部43が鉛直部41から後方に延出するものとしてもよく、このような支持部材40の形状の変更に伴い、Z軸モータ51や回転モータ61の取り付け位置も適宜変更可能である。
【0032】
【発明の効果】
請求項1記載の電子部品実装装置の装着ヘッドによれば、上下動案内手段に案内されるブラケットは、ボールスプラインより下方とならない。つまり、構造上水平方向へのがたの発生が少ないボールスプラインを上下動案内手段に案内されるブラケットより下方、即ち吸着ノズルに近い位置に配設することにより、装着ヘッド移動時に上下動案内手段に生じるがたをボールスプラインで吸収する。従って、吸着ノズルの位置ずれを防止し、装着ヘッドの実装精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態の電子部品実装装置の構造を示す要部斜視図である。
【図2】装着ヘッドの構造を示す側面図である。
【図3】従来の装着ヘッドの構造を示す側面図である。
【図4】従来の装着ヘッドの構造を示す平面図である。
【符号の説明】
3 回路基板
5 装着ヘッド
10 部品装着手段
20 吸着ノズル
30 シャフト
62 ボールスプライン
70 上下動案内手段(リニアウェイ)
80 ブラケット(シャフト支持用ブラケット)
Claims (1)
- 電子部品を真空吸着し、回路基板上の所定位置に装着する吸着ノズルと、上下方向に沿って配設され、下端において前記吸着ノズルを保持するシャフトと、前記シャフトを支持した状態で上下動するブラケットと、前記ブラケットを上下動可能に案内する上下動案内手段と、前記シャフトに連結し、該シャフトを軸回りに回転させるボールスプラインと、前記上下動案内手段と前記ボールスプラインとを支持する支持部材と、を備える部品装着手段を複数連設して構成される電子部品実装装置の装着ヘッドであって、
前記ボールスプラインは前記支持部材に対して上下動せず、
前記上下動案内手段に案内される前記ブラケットは、前記ボールスプラインより下方とならないことを特徴とする電子部品実装装置の装着ヘッド。
Priority Applications (1)
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