JP3988295B2 - 糸状はんだとその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、各種電子部品をプリント配線板に実装するためのやに入りはんだに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、電子機器の小型軽量化により、表面実装型電子部品のファインピッチ化、小型化が進み、プリント配線板製造時の不良は、半導体のリード間がつながるはんだブリッジが多くなっている。そのため、プリント配線板を良品とするため、はんだごてでフラックスを添加した糸状のやに入りはんだを用いてはんだブリッジを修正している。
【0003】
このやに入りはんだは、図3に示すように、はんだ付け部の酸化膜を除去しはんだ濡れ性を向上させるためのフラックス32が3重量%添加し残りがはんだ合金31からなり、はんだ径の太いやに入りはんだを作製し、所定の太さになるまで圧延により細くして作製している。太さは修正する対象部品により異なり、半導体のリードピッチが狭くなるほど細いやに入りはんだが必要となる。また、接合部の信頼性、部品の耐熱性、はんだ溶融温度からはんだ合金の組成を選択して使用している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、昨今の環境問題、特に鉛入りはんだ製品は、廃棄による環境への鉛汚染の問題が提起されてきており、鉛フリーはんだの検討がはじめられてきているが、上記した従来のやに入りはんだでは、径の細いやに入りはんだを製造することは困難である。
【0005】
つまり、鉛フリーはんだの候補として検討されているはんだ組成は、ほとんどが現在使用のSn−Pb合金より融点が高いため、修正時に熱量が必要となり、はんだごての新設、電子部品への熱衝撃等考えられる。そのため、低融点化するために例えばBiを添加することを検討されているが、Biを合金に添加すると融点は低下するが、機械的強度が増し伸びが低下するため、やに入りはんだを細く糸状に圧延することが難しく、リードピッチの細い半導体の修正には使用できないという問題を有していた。
【0006】
また、Bi以外の低融点化が可能な合金でやに入りはんだ作製すると、例えばIn等考えられているが、圧延は可能となるが、コストが高くなるという問題を有していた。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明のやに入りはんだは、断面が同心円状になっており、中心部の金属組成と外側の金属組成が異なり、2種類以上の金属層からなることを特徴とするものである。ここで、金属とは、単元素でも、また合金でもよい。
【0008】
本発明によれば、中心部の金属でやに入りはんだを作製し糸状に細くした後、外側の金属を形成することにより、中心部の金属にはBiを添加しない鉛フリーはんだ合金でやに入りはんだを形成し、外側の金属にBiを添加した鉛フリーはんだを形成することが可能であり、はんだごてにより同心円状のやに入りはんだを溶融すると、中心部の金属と外側の金属で新しい組成の合金を形成し低い温度で溶融し、実装してある電子部品に対する熱衝撃の少ない信頼性の高いはんだ付けが可能であり、また、中心部のやに入りはんだの金属にはBiを添加していないので細い糸状のやに入りはんだを提供することができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明の請求項1に記載の発明は、糸状のやに入りはんだにおいて、同心円状の中心部にフラックスを有しその外側の層に第1の合金層を、さらにその外側の層には第2の合金層を配したことを特徴とするやに入りはんだであり、はんだごてで半導体リード部のはんだブリッジを修正する際、第1合金層の金属と第2合金層の金属が溶融し、混ざり合うことにより融点の低い合金を形成することにより、はんだ付け温度を低くし、半導体への熱衝撃を少なくするという作用を有し、また、第1合金層の金属を第2合金層の金属でカバーすることにより第1合金層の金属の酸化を防止することが可能となり、はんだ濡れ性を向上するという作用を有している。
【0010】
本発明の請求項2に記載の発明は、第1の合金層の溶融温度が第2の合金層の溶融温度より高いことを特徴とするやに入りはんだであり、第2合金層の金属を形成する際に、第1合金層の金属の方が第2合金層の金属より融点が高いので、第1合金層の金属と第2合金層の金属が混ざり合うことがなく、はんだ径およびはんだ組成が一定になるという作用を有している。
【0011】
本発明の請求項3に記載の発明は、第1の合金層となる金属でやに入りはんだを形成し、このやに入りはんだの外側にフラックスを塗布し、第2の合金層となる金属を溶融させた浴を通過させることにより形成することを特徴とするやに入りはんだの製造方法であり、伸びの劣る合金を含んだはんだの径を糸状に細いやに入りはんだを提供できるという作用を有している。
【0012】
以下、本発明の実施の形態について図面に基づいて説明する。
(実施の形態1)
図1は本発明の第一実施の形態例を示すやに入りはんだの断面図である。本発明は、糸状のやに入りはんだにおいて、同心円状の中心部にフラックスを有しその外側の層に第1の合金層を、さらにその外側の層には第2の合金層を配したことを特徴とするやに入りはんだであり、半導体のリード間のはんだブリッジをはんだごてにて修正する際に、第1合金層の金属と第2合金層の金属が溶融し混ざり合い、新しい組成の合金を形成することにより、溶融温度の低いはんだ付けが可能となる。また、大気中に放置すると第2合金層の金属で第1合金層の金属の酸化を防ぐためはんだ濡れ性をよくすることを特徴とするものである。
【0013】
すなわち、図1に示すように、はんだ付け場所の酸化膜を除去し塗れ性をよくするためのフラックス3を添加した第1合金層であるSn−Zn合金1からなる糸状のやに入りはんだを中心として、まわりに第2合金層であるSn−Bi合金2を設け、同心円状やに入りはんだ4を形成している。
【0014】
従来のやに入りはんだの形状で鉛フリーはんだを作ると、例えば、はんだ合金としてSn−Ag合金やSn−Zn合金でフラックスを添加して形成すると、溶融温度がSn−Pb合金より高いため、はんだ付け時に電子部品に熱衝撃が加わり信頼性の低いプリント配線板となる。また、低融点化のためにBiを添加すれば、合金の伸びが低下して圧延によりはんだ径を細く糸状にすることが不可能であり、太いやに入りはんだでは、リードピッチの狭い半導体のブリッジの修正には使用することができないという問題を有していた。さらに、酸化しやすいSn−Zn合金では、大気中に放置するとZnが酸化し、はんだ濡れ性が劣化するという問題を有していた。
【0015】
本発明のやに入りはんだでは、Biを添加しないSn−Zn合金1でやに入りはんだを作製し、細く圧延した後Sn−Bi合金2を形成するので、細いやに入りはんだを作ることが可能である。また、中心部のSn−Zn合金1と外側のSn−Bi合金2は、はんだごてで溶融することにより、新しい合金Sn−Zn−Biを形成し、低い温度ではんだ付けが可能とる。はんだ付け温度は、ZnとBiの添加量により決定され、Sn−Zn合金1に対してSn−Bi合金2の形成量を変えることにより調整することが可能である。 さらに、ZnをSn−Bi合金2でカバーしているので、大気中に放置してもZnの酸化を防止することが可能であり、はんだ濡れ性が劣化することはない。
【0016】
尚、この実施例では、第1合金層としてSn−Zn合金、第2合金層としてSn−Bi合金で示しているが、他の金属、合金でも同等の効果を有している。
【0017】
以上のように、同心円状やに入りはんだとすることにより、コストの安い低融点の鉛フリーやに入りはんだを形成することができ、電子部品に対して熱衝撃が少なく、濡れ性の高いはんだ付けが可能となり、信頼性の高いプリント配線板を提供することが可能である。
【0018】
(実施の形態2)
図2は本発明の第二実施の形態例を示すやに入りはんだの製造方法の模式図である。 本発明のやに入りはんだの製造方法は、第1の合金層となる金属でやに入りはんだを形成し、このやに入りはんだの外側にフラックスを塗布し、第2の合金層となる金属を溶融させた浴を通過させることにより形成することを特徴とするやに入りはんだの製造方法であり、Bi等の伸びを低下する金属を添加しない第1合金層の金属でやに入りはんだを形成するので、従来のやに入りはんだ(例えばSn−Pb合金)と同等に細く圧延することが可能であり、圧延したやに入りはんだの周りに低融点化する金属を含んだ第2合金層の金属で外側を形成するので、細い低融点の鉛フリーやに入りはんだを製造することを特徴とするものである。
【0019】
すなわち、図2において、従来のやに入りはんだの製造方法で第1合金層であるSn−Zn合金11にフラックス12を添加したやに入りはんだ13を製造した後、圧延ローラー14によりやに入りはんだ13を目標の径まで細く圧延し、この細く圧延したやに入りはんだ13を芯として第2合金層の外側に金属を形成して同心円状やに入りはんだを形成する。
【0020】
形成する方法は、やに入りはんだ13のまわりにフラックス塗布機15によりディップ用フラックス16を塗布し、はんだ浴17にて溶融状態に保った第2合金層の溶融Sn−Bi合金18を通過することにより、フラックス21を添加したSn−Zn合金20のまわりにSn−Bi合金19を形成した同心円状やに入りはんだ22を作製している。
【0021】
従来のやに入りはんだの製造方法では、フラックスを添加した1種類の合金を圧延してやに入りはんだを製造していたため、この合金の機械的特性、特に伸びによりやに入りはんだの径の限界、使用できる合金の限界があるという問題を有していた。
【0022】
本発明では、圧延可能な金属組成で細く糸状にしたやに入りはんだを製造した後、外側に、別の金属をディップングにより形成することができるので、金属の機械的特性にかかわらず、同心円状やに入りはんだの径は、中心部のやに入りはんだの径と外側に形成した金属の厚みにより制御することが可能である。
【0023】
さらに、第1合金層の金属の溶融温度が第2合金層の金属より高いことにより、外側の金属を形成するときに中心部と外側が混ざり合うことがなく、中心部のやに入りはんだの形状も変化することがないので、組成が均一で、細いやに入りはんだを作ることができる。 この実施例では、2種類の金属で示しているが、層数が増えても同等の効果を有している。 以上のように、やに入りはんだを形成した後に外側に金属をディッピングにより形成することにより、伸びの低い金属でも細いやに入りはんだを作ることが可能となる。
【0024】
【発明の効果】
以上のように、本発明のやに入りはんだでは、2種類以上の金属を同心円状に形成することにより、機械的特性の劣る金属を添加した合金でも細い糸状にすることが可能であり、鉛フリーはんだで、融点の低い合金組成のやに入りはんだが作製でき、コストの安い、品質信頼性の高い、はんだ修正を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一実施の形態例におけるやに入りはんだの断面図
【図2】本発明の第二実施の形態例におけるやに入りはんだの製造方法の模式図
【図3】従来のやに入りはんだの断面図
【符号の説明】
1 Sn−Zn合金
2 Sn−Bi合金
3 フラックス
4 同心円状やに入りはんだ
11 Sn−Zn合金
12 フラックス
13 やに入りはんだ
14 圧延ローラー
15 フラックス塗布機
16 ディップ用フラックス
17 はんだ浴
18 溶融Sn−Bi合金
19 Sn−Bi合金
20 Sn−Zn合金
21 フラックス
22 同心円状やに入りはんだ
31 はんだ合金
32 フラックス7
Claims (3)
- 糸状に圧延加工され内部にフラックスを有する鉛フリーはんだと、前記鉛フリーはんだの外側の層にBiを添加した鉛フリーはんだを配したことを特徴とする糸状はんだ。
- 糸状に圧延加工され内部にフラックスを有するSn−Zn合金と、前記Sn−Zn合金の外側の層にSn−Bi合金を配したことを特徴とする糸状はんだ。
- Sn−Zn合金を糸状に圧延加工するステップと、前記糸状のSn−Zn合金をSn−Bi合金の溶融させた浴に通過させて前記Sn−Zn合金の外側の層に前記Sn−Bi合金を形成するステップを有することを特徴とする糸状はんだの製造方法。
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