JP3987245B2 - 冷熱発生機能付き液化ガス気化設備 - Google Patents

冷熱発生機能付き液化ガス気化設備 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、液化天然ガス(以下、「LNG」と略称する)等の低温液化ガスを加熱して気化し、低温液化ガスの有する冷熱を利用する冷熱発生機能付き液化ガス気化設備に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、都市ガスの原料や火力発電所の燃料などに、LNGが広く用いられている。LNGは、海外の天然ガス産地で液化されて−160℃付近の低温のLNGの状態で運搬され、海岸に臨むLNG基地に貯蔵され、需要に応じて気化される。
【0003】
図5は、LNG基地でLNGの気化に用いる気化設備の一例として、本件出願人の商標で「トライエックス式気化器」と呼ばれるLNG気化器1の概略的な構成を示す。LNG気化装置1では、LNGを気化させるLNG蒸発器2と、気化したLNGの温度を常温付近まで上昇させるNG加温器3とを備える。LNG蒸発器2とNG加温器3との間は、中間部4で接続される。LNG蒸発器2およびNG加温器3は、それぞれシェル・アンド・チューブ型の熱交換器を構成している。LNG蒸発器2内には、上方に複数の伝熱管5が配置され、下方にも複数の伝熱管6が配置される。NG加温器3内には、複数の伝熱管7が配置される。LNG蒸発器2内で、下方の伝熱管6は、中間媒体液8の液中に浸漬される。中間媒体としては、R22などのフロン系の冷媒や炭化水素系の冷媒が使用される。
【0004】
中間媒体液8の液面の上方に伝熱管5が配置され、その周囲には中間媒体蒸気9が充満する。NG加温器3内では、伝熱管7に熱源としての海水が供給される。NG加温器3の胴体内には邪魔板10が配置され、伝熱管7の周囲にはLNG蒸発器2で蒸発した天然ガスが流れて、海水からの熱で加温される。伝熱管7を流れた海水は、中間部4を経て、LNG蒸発器2の下方の伝熱管6中を流れる。この海水が有する熱によって、中間媒体液8が蒸発する。LNG蒸発器2の上方の伝熱管5には、LNGが流れ、中間媒体蒸気9の有する熱で加熱されて蒸発する。なお、LNG気化器1の立地条件によっては、海水よりも河川水を利用する方が有利なこともある。いずれにしても、熱源としては、周囲の環境から豊富に得られる環境水が利用される。
【0005】
図6は、図5に示すようなトライエックス方式のLNG気化装置1の原理を示す。LNGは、LNG蒸発器2内の伝熱管5を通り、中間媒体蒸気9によって加熱され、さらにNG加温器3で海水によって加温されて、常温付近の天然ガス(以下、「NG」と略称することがある)として取出すことができる。NG加温器3でNGと熱交換して冷却された海水は、さらにLNG蒸発器の中間媒体液8中を通る伝熱管6に導かれ、中間媒体液8を加温して蒸発させる。中間媒体液8から蒸発した中間媒体蒸気9は、伝熱管5の周囲で伝熱管5内のLNGを加熱して蒸発させる。LNGの加熱および蒸発に要する熱は、中間媒体蒸気9が液化する際の潜熱によって供給される。
【0006】
トライエックス方式のようなLNG気化装置1に関連する技術の一例は、本件出願人から、たとえば特願平7−73826として出願され、特開平8−269468として出願公開されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
図5に示すようなLNG気化装置1は、海水を熱源として用いているので、海水温度が下がる冬季条件おいても設計流量のLNGを気化することができるように、伝熱面積が設計されている。たとえば、冬季運転では、LNGの流量が150t/hで、その温度が−150℃から2℃まで上昇させるために、海水を5900t/hの流量の割合で使用し、海水の温度が6℃から1.6℃まで低下するものとして設計する。このときの中間媒体としてフロン冷媒のR22を使用すると、中間媒体の温度は−11℃となる。この中間媒体の温度は、冷熱の利用に好ましい範囲である。
【0008】
しかしながら、冷熱の需要が大きくなる夏季の運転では、冬季運転と同様にLNGの流量を150t/hとし、LNGの温度を−150℃から23℃まで上昇させるのに、海水を4000t/hの流量で使用し、その温度を27℃から20℃まで変化させると、フロンR22を中間媒体とするときの温度は7℃となる。夏季の運転でのLNGの流量を75t/hとし、LNGの温度を−150℃から23℃まで上昇させるのに、海水を3500t/hの流量の割合で使用し、その温度を27℃から23℃まで変化させるものとすると、中間媒体の温度は16℃となる。したがって、夏季の運転状況では、中間媒体の温度が高くなるので、中間媒体の冷熱を利用しようとしても、用途が限定されて困難となる。
【0009】
図5に示すようなトライエックス方式のLNG気化装置1の伝熱面積は、夏季で海水温度が高いときには、伝熱面積に余裕ができ、同一流量のLNGを気化させるのに必要な海水流量を減らすことができる。しかしながら、伝熱管6,7内部等における生物付着の防止や凍結防止のため、夏季においても海水流量をある一定値以下に絞ることはできないため、海水からの入熱も絞ることができない。このため、海水温度が高いときは、中間媒体の温度が冬季より上昇してしまい、夏季における中間媒体を利用したLNG冷熱の取出しは困難となる。
【0010】
気化熱源として、海水の代りに圧縮機の吸気冷却用の冷却水や空調用等の冷水を使用することも考えられる。しかしながら、市中での都市ガスの需要に応じて送出するLNGの気化熱量と、吸気冷却の冷却熱量とがバランスしていないと、LNGを需要に見合っただけ気化させながら、かつ必要なだけの冷熱を取出すことはできない。
【0011】
たとえば、ガスタービン発電設備で6620kWの発電能力を有する場合に、吸気温度を35℃で50%RHから15℃で90%RHまで下げるのに必要な熱量は880Mcal/hとなり、これはLNG約5t/hの冷熱に相当する。これに対して、LNG気化能力150t/hの気化器では、LNGを気化させるのに必要な熱量は27,300Mcal/hであり、吸気温度を下げるために必要な冷熱量と気化器で必要な熱量とはバランスしない場合が多い。
【0012】
本発明の目的は、中間媒体を利用して低温液化ガスを加熱し、気化させる際に、低温液化ガスが有する冷熱を有効に利用することができる冷熱発生機能付き液化ガス気化設備を提供することである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明は、常温付近の液状熱源で、液状の中間媒体を蒸発させる蒸発器と、
蒸発器から抽出される液状の中間媒体と冷却媒体とを熱交換し、中間媒体を蒸発させて冷却媒体を冷却する熱交換器と、
蒸発器および熱交換器からの中間媒体の蒸気で、低温液化ガスを加熱して気化させる気化器と、
熱交換器で冷却される冷却媒体が供給され、冷却媒体の冷熱を利用する冷却装置とを含むことを特徴とする冷熱発生機能付き液化ガス気化設備である。
【0014】
本発明に従えば、蒸発器では常温付近の液状熱源で液状の中間媒体を蒸発させる。熱交換器では、蒸発器から抽出される液状の中間媒体と冷却媒体とを熱交換し、中間媒体を蒸発させて冷却媒体を冷却する。気化器では、蒸発器および熱交換器からの中間媒体の蒸気で低温液化ガスを加熱して気化させる。中間媒体の蒸気は、液化ガスが気化する際の冷熱を受けて冷却され、液化される。液化した中間媒体には、低温液化ガスから冷熱が移行する。熱交換器で中間媒体蒸気が発生する際には、残余の中間冷媒体液は冷却される。冷却装置には、熱交換器で冷却され、中間媒体から冷熱が移行している冷却媒体が供給されり。冷却装置では、中間媒体を介して低温液化ガスから移行した冷熱の利用を図ることができる。
【0015】
また本発明で前記常温付近の液状熱源は、海水もしくは河川水であることを特徴とする。
【0016】
本発明に従えば、海水もしくは河川水を液状熱源として液化ガスを気化させることができる。海水や河川水が熱源となるので、液化ガスの気化設備などが海岸や河川に臨んでいれば、熱源を豊富に得ることができる。
【0017】
また本発明で前記中間媒体は、前記蒸発器、前記熱交換器および前記気化器間を、自然循環することを特徴とする。
【0018】
本発明に従えば、蒸発器での中間媒体の蒸発で残余の中間媒体は冷却され、また比重が大きくなって下方に流れやすくなる。この冷媒を熱交換器に導き、冷却媒体と熱交換して蒸発させ、蒸発した中間媒体で液化ガスを加熱し、気化させることができる。液化ガスの加熱および気化で中間媒体の蒸気は冷却され、再び液化して蒸発器に戻る。中間媒体を蒸発器、熱交換器および気化器間で自然循環させるので、ポンプなどを用いなくても円滑に中間媒体の循環を生じさせることができる。
【0019】
また本発明で前記蒸発器は、シェル・アンド・チューブ型であり、シェル内に複数本配置される伝熱管中を前記常温付近の液状熱源が流れ、シェル内で中間媒体の液面を変化させて中間媒体に浸される伝熱管の本数を変化させ、前記冷却媒体の温度が一定になるように制御する制御手段を含むことを特徴とする。
【0020】
本発明に従えば、シェル・アンド・チューブ型蒸発器のシェル内で、常温付近の液状熱源が流れる複数の伝熱管を浸す中間媒体の液面を、冷却媒体の温度が一定になるように制御するので、常温付近の液状熱源の流速を絞る必要はなく、伝熱面積を調整して安定した液化ガスの気化を行わせることができる。
【0021】
また本発明は、前記蒸発器のシェル内で、低温液化ガスによって冷却されて凝縮した中間媒体が、直接中間媒体液に浸かっていない伝熱管に接触して蒸発しないように、伝熱管の上方にトレイが設置され、凝縮した中間媒体液が該蒸発器の下部から供給されることを特徴とする。
【0022】
本発明に従えば、蒸発器の中間媒体の液面を制御し、液状の中間媒体が流れる複数の伝熱管のうち、主として液面下の伝熱管を熱源として中間媒体を蒸発させる。中間媒体液に浸かっていない伝熱管に、蒸発器で低温液化ガスによる冷却で凝縮する中間媒体が直接接触して蒸発することがないように、伝熱管の上方にトレイが設置され、凝縮した中間媒体液が蒸発器の下部から供給されるので、液面制御による冷却媒体の温度制御の効果を大きくすることができる。
【0023】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の実施の一形態としての冷熱発生機能付き液化ガス気化設備の概略的な構成を示す。液化ガスであるLNGは、図5に示すようなトライエックス方式のLNG気化装置1と基本的に同等なLNG気化装置11によって気化される。LNG気化装置11には、図5のLNG蒸発器2およびNG加温器3と同等なLNG蒸発器12およびNG加温器13が備えられる。シェル・アンド・チューブ型のLNG蒸発器12のシェル内の下方には、中間媒体として用いるフロンR22を蒸発させるフロン蒸発器14が備えられる。図1では、説明の便宜上フロン蒸発器14を、LNG蒸発器12とは分離して示しているけれども、図5に示すようなトライエックス方式のLNG気化装置1と同様に、LNG蒸発器12と同一の胴体内に収容することができる。
【0024】
LNG蒸発器12内の伝熱管15には、−150℃で40ataのLNGが、たとえば150t/hの流量で供給される。フロン蒸発器14内の伝熱管16には、NG加温器13内の伝熱管17を通った海水が流れる。フロン蒸発器14内では、伝熱管16内を流れる海水からの熱によって、液状のフロンである中間媒体液18の一部が蒸発し、LNG蒸発器12内の中間媒体蒸気19となる。海水は、常温付近の液状熱源として利用される。河川水も、海水と同様に利用することができる。このとき、フロン蒸発器14内に貯留されている中間媒体液18は、蒸発する中間媒体蒸気19によって冷却されるので、冷水製造熱交換器20に、媒体液管21を介して供給する。媒体液管21を介して供給するフロンの温度を3℃とし、その流量を15m3/hとする。冷水製造熱交換器20では、フロンが3℃で蒸発し、その蒸気圧は5.6ataとなる。蒸発したフロンの蒸気は、媒体蒸気管22を介して、LNG蒸発器12に導かれる。LNG蒸発器12内で、フロンの蒸気は、伝熱管15内のLNGによって冷却され、凝縮して液化する。液化した中間媒体液は、媒体液管23を介してフロン蒸発器14の下部に戻される。フロン蒸発器14内で蒸発したフロンは、媒体蒸気管24を介して、LNG蒸発器12に導かれる。なお、図5に示すトライエックス方式のLNG気化装置1のように、LNG蒸発器12とフロン蒸発器14とが一体化されていれば、媒体液管23と媒体蒸気管24とは不要である。以上説明したような中間媒体であるフロンの循環は、自然循環によって行わせることができる。
【0025】
LNG蒸発器12内の伝熱管15で加熱され、気化したNGは、NG管25を介してNG加温器13に供給される。このときのNGの温度は、たとえば−20℃である。NG加温器13で、27℃で4000m3/hの流量の海水と熱交換したNGの温度は、22℃まで上昇し、NG管26に供給される。NG加温器13には、海水供給管27を介して海水が供給され、NG加温器13内の伝熱管17中を流れて、さらにフロン蒸発器14内の伝熱管16を流れ、海水排出管28から外部に排出される。このときの海水の温度は、20℃まで低下する。
【0026】
NG管26を流れるNGの流量が150t/hであるとき、たとえば148.5t/hは都市ガス供給管29から市中へ供給される。NGの残量1.5t/hの流量分は、ガスタービン発電機30の燃焼器31に供給され、タービン32を回転駆動させる。タービン32の回転駆動力は、発電機33を回転駆動して、電力を発生させるとともに、空気圧縮機34を回転駆動して、燃焼器31に供給する空気を圧縮する。
【0027】
本実施形態では、空気圧縮機34が吸引する吸気を、冷却装置としての吸気冷却器35で冷却する。吸気冷却器35には、冷水製造熱交換器20から冷水供給管36を介して、5℃の冷水が供給される。吸気冷却器35で、空気圧縮機34への吸気を冷却した冷水は、13℃まで温度が上昇し、冷水戻り管37を介して冷水製造熱交換器20に戻る。冷水製造熱交換器20と吸気冷却器35との間の冷水の循環系統には、ポンプ38が設けられ、吸気冷却器35を、冷水製造熱交換器20を含むLNG気化装置11からある程度まで離すことができる。冷水の循環量は、たとえば110m3/hである。
【0028】
ガスタービン発電機30でのガスタービン出力は、大気温度が35℃のときには、発電出力として5380kWであり、発電効率として28.5%となる。本実施形態の吸気冷却器35は、35℃で50%RHの吸気を、15℃まで冷却し、95%RHの相対湿度にすることができる。35℃で50%RHの相対湿度の吸気の流量を73500Nm3/hとすると、15℃に冷却するときの発電出力は6620kWとなり、冷却しないときの発電出力に対して、1240kW回復していることが判る。また、冷却したときの発電効率は、30.3%となり、冷却しないときの発電効率に比較して、1.8%発電効率が向上することが判る。
【0029】
図2は、図1のガスタービン発電機30の吸気温度特性を示す。吸気冷却器35によって吸気を冷却する方が、発電出力が高くなることが判る。
【0030】
本実施形態のLNG気化装置11では、中間媒体であるフロン液をフロン蒸発器14から抽出し、別に設置してある冷熱利用目的の冷水製造熱交換器20で、冷熱分を取出し、LNG気化に不足する熱源は従来と同様に、海水を利用して気化を行う。LNG気化の必要熱量と、吸気冷却熱量とがバランスしない場合でも、従来どおりに海水の熱量でLNGを気化させることができ、冷熱利用量の変動がLNG送出に対する影響を及ぼさないようにすることができる。
【0031】
また、図5に示すようなLNG気化装置1と図1のLNG気化装置11とは、基本的な構成がほぼ同一であるので、既設のLNG気化装置1を改造すれば、本実施形態のLNG気化装置11と同様に冷熱利用を可能にすることができる。必要冷熱量に合わせて、小型のLNG気化装置11を新たに設置する必要がなく、経済的である。
【0032】
図3は、図1のLNG蒸発器12とフロン蒸発器14とを、図5のトライエックス方式のLNG気化装置1と同様に一体化させるときに、中間媒体液18の液面を制御して、冷水製造熱交換器20から冷水供給管36を介して吸気冷却器35などの冷却装置に供給する冷水の温度を一定に制御する状態を示す。中間媒体を抽出して、冷水製造熱交換器20で冷水を冷却するように冷熱を取出すためには、中間媒体液18の温度を冷水の温度よりも一定温度以上さらに低い温度にする必要がある。中間媒体液18への海水からの入熱を少なくするために、伝熱管16内を流れる海水流量を絞ると、流速が小さくなって生物付着や凍結などが問題になる。したがって、海水の流速を絞ることによっては、海水からの入熱を制御して中間媒体の温度を下げるのに限界がある。そこで、中間媒体液18の液面を制御することによって、海水からの入熱を制御する。海水流量を絞らないために、生物付着や凍結を抑止しながら、中間媒体の温度を下げることが可能となる。
【0033】
中間媒体の液面を制御することで、海水からの入熱を制御することができる原理は、一般に中間媒体の液に浸かっていない伝熱管16は、液に浸かっている伝熱管16よりも管外の境膜伝熱係数が低く、海水からの中間媒体への入熱が少なくなることによる。このとき、液面制御による効果を大きくするために、中間媒体液18に浸かっていない伝熱管16に、上方の伝熱管15の周囲で凝縮して流下する中間媒体液が直接触れて伝熱管16の表面で中間媒体が蒸発しないように、トレイ40を設置して、流下した中間媒体液を下方に供給することが好ましい。
【0034】
図3に示すようなフロン蒸発器14としての伝熱管16のうち中間媒体液18に浸かっている伝熱管16の伝熱係数はU=1000〜3000kcal/m2 ・h・℃であり、中間媒体液18に浸かっていない伝熱管16の伝熱係数は、U=10〜30kcal/m2・h・℃である。中間媒体液18に浸かっていない伝熱管16の周囲では、自然対流での伝熱が行われ、その伝熱係数は、液に浸かっている伝熱管16の伝熱係数に比較して非常に小さい。中間媒体液18に浸かっている伝熱管16の周囲では、中間媒体液18の核沸騰が生じ、非常に大きな伝熱が行われる。したがって、中間媒体液18に浸っていない伝熱管16では、海水から中間媒体液18へ熱が伝わりにくく、液面を制御して、液に浸かっていない伝熱管16の本数を増やすことで、中間媒体の温度を下げることができる。
【0035】
図4は、本発明の実施の他の形態として、中間媒体を自然循環させるために必要な条件を示す。本実施形態で図1の実施形態に対応する部分には同一の参照符を付す。LNG蒸発器12の底部から冷水製造熱交換器20に中間媒体液を導く媒体液管23には、液面制御弁41が設けられる。LNG蒸発器12内の中間媒体液18の液面は、指示調節レベル計42によって検出され、液面レベルを制御するために液面制御弁41の開度が調節される。冷水製造熱交換器20から冷水を外部に供給する冷水供給管36には、流量制御弁43と、指示調節温度計44とが設けられる。流量制御弁43の開度は、指示調節温度計44が検出する冷水の温度が5〜7℃の範囲となるように調節される。
【0036】
冷水製造熱交換器20で蒸発した中間媒体がLNG蒸発器12に導かれる媒体蒸気管24には、指示調節圧力計45が設けられ、中間媒体蒸気の圧力を検出する。指示調節温度計44が検出する冷水の温度は、指示調節圧力計45が検出する中間冷媒蒸気の圧力ととともに、指示調節レベル計42に入力され、前述の液面レベルの制御は、冷水の温度が一定になるように行われる。
【0037】
中間媒体の自然循環は、中間媒体の蒸発が行われるフロン蒸発器14を構成するLNG蒸発器12の下部に対し、冷水製造熱交換器20を低い位置に設置することによって可能となる。LNG熱交換器12内の中間媒体液18の液面と冷水製造熱交換器20内の中間媒体の液面とのヘッド差を△Hとすると、液面制御弁41でのバルブ圧損を△Pv、媒体液管23での液配管圧損を△Ppl、および媒体蒸気管24でのガス配管圧損を△Ppgとすると、次の第1式の関係が成立する範囲で、中間媒体の自然循環が可能になる。ただし、冷水製造熱交換器20の配置計画上、液面のヘッド差△Hが充分にとれない場合は、ポンプにて中間媒体を冷水製造熱交換器20へ供給することもできる。
△H > △Pv+△Ppl+△Ppg …(1)
【0038】
冷水温度を一定に制御するためには、指示調節圧力計45が検出する冷水製造熱交換器20内の中間媒体の蒸発圧力が一定になるように制御すればよい。中間媒体の圧力を一定にするためには、液面制御弁41によって、LNG蒸発器12内の中間媒体液18の液面を制御して、海水から中間媒体に伝わる熱量を制御する。このとき、海水は、伝熱管内での生物付着防止や凍結防止が可能となるように、次のようにして、LNG気化量に見合ったある一定流量を流し続ける。
【0039】
▲1▼LNG流量が増加した場合
中間媒体の温度が低下 → 中間媒体圧力低下 → 液面制御弁41絞る →
液面上昇 → 海水からの入熱増加
▲2▼LNG流量が減少した場合
中間媒体の温度が上昇 → 中間媒体圧力上昇 → 液面制御弁41開く →
液面低下 → 海水からの入熱減少
▲3▼冷水流量低下
中間媒体の温度が低下 → 中間媒体圧力低下 → 液面制御弁41絞る →
液面上昇 → 海水からの入熱増加
▲4▼冷水流量増加
中間媒体の温度が上昇 → 中間媒体圧力上昇 → 液面制御弁41開く →
液面低下 → 海水からの入熱減少
【0040】
中間媒体の循環に自然循環を利用しないときは、図1に示すように、モータ等で駆動されるポンプ22を用いる必要がある。しかしながら、LNGやLPGは可燃性があり、その気化設備の近傍は危険場所となるので、モータ等には防爆品を使用する必要がある。防爆品は通常品に比較して高価であり、その使用は、製造コストを上昇させる。自然循環を利用すれば、防爆品の使用に伴うコスト上昇を回避することができる。
【0041】
以上説明した実施形態では、中間媒体としてフロンR22を用いているけれども、R23とR134aのようなHFC系フロンの混合冷媒を用いることもできる。また、プロパンなどの炭化水素系の冷媒や、アンモニアなどの冷媒を中間媒体として用いることもできる。
【0042】
また、中間媒体がLNGから取出した冷熱を、さらに冷水製造熱交換器20で冷水を冷却媒体として冷熱を取出すようにしているけれども、冷却媒体として他にエチレングリコールなどのブラインを利用することもできる。さらに、冷却媒体としての冷水の冷熱を吸気冷却器35で利用しているけれども、空気調和や冷凍・冷蔵などに利用することもできる。
【0043】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、中間媒体を利用して常温付近の液状熱源で低温液化ガスを気化させ、低温液化ガスを気化する際に、低温液化ガスから回収される冷熱を、中間媒体から冷却媒体に移行させて有効に利用することができる。
【0044】
また本発明によれば、常温の液状熱源として海水もしくは河川水を用い、液状熱源の温度が高くなり、しかも冷熱の需要が増大する夏季でも、低温液化ガスから冷熱を有効に回収して利用することができる。また、液化ガスの気化も安定して行うことができる。
【0045】
また本発明によれば、中間媒体を自然循環させて、液化ガスを効率的に気化させ、冷熱を有効に利用することができる。中間媒体を循環させるのにポンプを使用すると、可燃性の液化ガスの気化設備の近傍は危険場所のために、モータ等に防爆品を使用しなければならず、設備コストが上昇してしまう。このようなコスト上昇は、自然循環を利用することによって、回避することができる。
【0046】
また本発明によれば、液化ガスから中間媒体に移行し、さらに冷却媒体に移行する冷熱を、冷却媒体の温度が一定になるように制御することができる。
【0047】
また本発明によれば、蒸発器で液面よりも上方の伝熱管に、気化器で凝縮した中間媒体液がかからないようにして、液面制御によって冷却媒体の温度を変化させる効果を大きくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態としてのLNG気化装置11の概略的な構成を示す配管系統図である。
【図2】図1のガスタービン発電機30の吸気温度特性を示すグラフである。
【図3】図1のLNG気化装置11の内部構成を示す簡略化した断面図である。
【図4】本発明の実施の他の形態として、図1のLNG蒸発器12内で中間媒体液18の液面を制御する構成を示す配管系統図である。
【図5】従来からのLNG気化装置1の概略的な構成を示す配管系統図である。
【図6】図5のLNG気化装置11の原理的構成を示す簡略化した配管系統図である。
【符号の説明】
11 LNG気化装置
12 LNG蒸発器
13 NG加温器
14 フロン蒸発器
15,16,17 伝熱管
18 中間媒体液
19 中間媒体蒸気
20 冷水製造熱交換器
22,38 ポンプ
30 ガスタービン発電機
31 燃焼器
32 タービン
33 発電機
34 空気圧縮機
35 吸気冷却器
40 トレイ
41 液面制御弁
42 指示調節レベル計
44 指示調節温度計
45 指示調節圧力計

Claims (5)

  1. 常温付近の液状熱源で、液状の中間媒体を蒸発させる蒸発器と、
    蒸発器から抽出される液状の中間媒体と冷却媒体とを熱交換し、中間媒体を蒸発させて冷却媒体を冷却する熱交換器と、
    蒸発器および熱交換器からの中間媒体の蒸気で、低温液化ガスを加熱して気化させる気化器と、
    熱交換器で冷却される冷却媒体が供給され、冷却媒体の冷熱を利用する冷却装置とを含むことを特徴とする冷熱発生機能付き液化ガス気化設備。
  2. 前記常温付近の液状熱源は、海水もしくは河川水であることを特徴とする請求項1記載の冷熱発生機能付き液化ガス気化設備。
  3. 前記中間媒体は、前記蒸発器、前記熱交換器および前記気化器間を、自然循環することを特徴とする請求項1または2記載の冷熱発生機能付き液化ガス気化設備。
  4. 前記蒸発器は、シェル・アンド・チューブ型であり、シェル内に複数本配置される伝熱管中を前記常温付近の液状熱源が流れ、シェル内で中間媒体の液面を変化させて中間媒体に浸される伝熱管の本数を変化させ、前記冷却媒体の温度が一定になるように制御する制御手段を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の冷熱発生機能付き液化ガス気化設備。
  5. 前記蒸発器のシェル内で、低温液化ガスによって冷却されて凝縮した中間媒体が、直接中間媒体液に浸かっていない伝熱管に接触して蒸発しないように、伝熱管の上方にトレイが設置され、凝縮した中間媒体液が該蒸発器の下部から供給されることを特徴とする請求項4記載の冷熱発生機能付き液化ガス気化設備。
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