JP3986141B2 - チイラン環を有するアルコキシシランを用いたシーラント用樹脂組成物 - Google Patents
チイラン環を有するアルコキシシランを用いたシーラント用樹脂組成物 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、チイラン環とアルコキシシリル基を有する化合物を含有するシーラント用樹脂組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、接着性向上のためにエポキシ化合物が幅広く利用されている。このようなエポキシ化合物や、エポキシ基の酸素原子が硫黄原子に代わったチイラン環を有するチイラン化合物を、ゴムに加え、グラフトポリマーとする方法は、公知である。
一方、シリカ系補強剤を配合したゴムには、一般に、ゴムとシリカとの間を結合させ補強効果を出すために、シランカップリング剤を用いている。ゴムとシリカとの間を結合させるようなシランカップリング剤としては、種々のものが知られており、これらの中では、シリカ側との反応に関してはアルコキシシランが、また、ゴム側との反応に関してはチオール基が優れていると考えられる。しかしながら、チオール基はゴムの加硫を早め、いわゆる焼け(スコーチ)を発生してしまうという問題がある。そこで、現在は、チオール基をテトラスルフィド結合にしてスコーチを防止したシランカップリング剤が広く用いられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者等は、チオール基をチイラン基に変えることにより、スコーチを防止すると共に、チイラン基が、フィラーとして用いられるシリカやカーボンブラック等表面の水酸基、老化防止剤等として用いられるアミン化合物のアミノ基といった官能基と反応してチオール基を発生し、ゴムと速やかに反応することにより、ゴムとシリカあるいはゴムとカーボンブラックとの間に結合を作り補強効果を発現することを見出し、さらに、樹脂とシリカあるいはカーボンブラックとの間の補強効果も発現することを見出して、本発明を完成するに至った。
【0004】
そこで、本発明の目的は、ゴムあるいは樹脂と、シリカあるいはカーボンブラック等のフィラーとの結合に優れる化合物であって、該化合物を含有するゴム組成物のスコーチ時間を長くし、該化合物を含有するゴム組成物あるいは樹脂組成物に優れたtanδバランス、耐摩耗性を付与する新規化合物、および、新規化合物を含有するゴム組成物、新規化合物を含有する空気入りタイヤ用ゴム組成物、さらに、新規化合物を含有するシーラント用樹脂組成物を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は、1分子中にチイラン環とアルコキシシリル基を有する化合物、シリカおよびカーボンブラックを含有する空気入りタイヤ用ゴム組成物であって、
前記1分子中にチイラン環とアルコキシシリル基を有する化合物が、下記式(1)または(2)で表される化合物である空気入りタイヤ用ゴム組成物を提供する。
【化5】
(R 1 、R 2 は、同一であっても異なっていてもよく、それぞれが独立に、メチル基またはエチル基である。nは0〜2の整数である。)
【0006】
また、本発明は、1分子中にチイラン環とアルコキシシリル基を有する化合物、シリカおよびカーボンブラックを含有する空気入りタイヤ用ゴム組成物であって、
前記1分子中にチイラン環とアルコキシシリル基を有する化合物が、前記式(1)で表される化合物の縮合物であって下記式(3)で表される化合物、または、前記式(2)で表される化合物の縮合物であって下記式(4)で表される化合物である空気入りタイヤ用ゴム組成物を提供する。
【化6】
(R1、R2は、同一であっても異なっていてもよく、それぞれが独立に、メチル基またはエチル基である。R3はメチル基、エチル基、メチルオキシ基、またはエチルオキシ基である。mは2以上の整数である。)
【0007】
前記空気入りタイヤ用ゴム組成物は、更にジエチレングリコールを含有するのが好ましい。
【0008】
さらに、本発明は、1分子中にチイラン環とアルコキシシリル基を有する化合物を含有するシーラント用樹脂組成物であって、
前記1分子中にチイラン環とアルコキシシリル基を有する化合物が、前記式(1)または(2)で表される化合物であるシーラント用樹脂組成物を提供する。
【0009】
また、本発明は、1分子中にチイラン環とアルコキシシリル基を有する化合物を含有するシーラント用樹脂組成物であって、
前記1分子中にチイラン環とアルコキシシリル基を有する化合物が、前記式(1)で表される化合物の縮合物であって前記式(3)で表される化合物、または、前記式(2)で表される化合物の縮合物であって前記式(4)で表される化合物であるシーラント用樹脂組成物を提供する。
【0010】
前記シーラント用樹脂組成物は、ウレタンプレポリマーを含有するのが好ましい。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明についてさらに詳細に説明する。
本発明の空気入りタイヤ用ゴム組成物およびシーラント用樹脂組成物で用いる化合物(以下、「本発明の新規化合物」ともいう。)は、1分子中にチイラン環とアルコキシシリル基を各々1個以上有する上記式(1)〜(4)で表される構造を有する化合物であれば特に限定はない。例えば下記一般式で表される。
【0012】
【化7】
【0013】
上記式中、Aは、炭化水素基、例えば脂肪族基、芳香族基、またはこれらの組み合わせであってもよく、また、炭素、水素に加えてその他の原子、例えば酸素原子、硫黄原子、窒素原子等を含んでもよい。Aの好ましい例としては、炭素数2〜6のアルキレン基、例えばエチレン基;炭素数4〜8のアルキレンエーテル基、例えばメチルプロピルエーテル基;炭素数5〜10の炭化水素エステル基等が挙げられる。
【0014】
上記本発明の新規化合物の好ましい態様として、下記式(1)および(2)により示される化合物を示すことができる。
【0015】
【化8】
【0016】
ここでR1、R2は、同一であっても異なっていてもよく、それぞれ独立に、メチル基またはエチル基である。
nは0、1、または2であり、好ましくは0または1である。
【0017】
上記式(1)および(2)で表される化合物の好ましい例として、上記式(1)、(2)の各々について下記式(5)、(6)で表される化合物を示すことができる。
【0018】
【化9】
【0019】
また、本発明の新規化合物の好ましい態様として、上記式(1)により示される化合物の縮合物であって下記式(3)で表される化合物、および、上記式(2)により示される化合物の縮合物であって下記式(4)で表される化合物を示すことができる。
【0020】
【化10】
ここで、R1、R2は、同一であっても異なっていてもよく、それぞれが独立に、メチル基またはエチル基である。R3はメチル基、エチル基、メチルオキシ基、またはエチルオキシ基である。mは2以上の整数である。
【0021】
上記式(3)および(4)で表される化合物の好ましい例として、上記式(3)、(4)の各々について下記式(7)、(8)で表される化合物を示すことができる。
【0022】
【化11】
【0023】
前記式(1)あるいは式(2)で表される本発明の1分子中にチイラン環とアルコキシシリル基を有する新規化合物は、以下の2つの方法により合成することができる。
方法1:エポキシ基含有アルコキシシラン化合物とチイラン(エポスルフィド)化剤とを反応させる。
方法2:アルケニル基含有エポキシ化合物とチオ尿素とを反応させチイラン環を合成した後、Si−H基を含有するアルコキシシラン化合物を反応させる。
【0024】
方法1におけるエポキシ基含有アルコキシシラン化合物としては、エチレンオキシド基や、シクロペンテンオキシド基、シクロヘキセンオキシド基等の環式脂肪族エポキシ基と、アルコキシシラン基とを各々1個以上有する化合物を用いることができる。また、アルコキシシラン基含有エポキシ樹脂を用いることもできる。特に、前記式(1)、(2)で示される本発明の新規化合物の合成には、エチレンオキシド基とアルコキシシラン基、シクロヘキセンオキシド基とアルコキシシラン基を各々分子末端に有する化合物、例えば下記式(9)、(10)により示されるエポキシ基含有アルコキシシラン化合物等の市販品を各々好適に用いることができる。
チイラン(エピスルフィド)化剤としては、チオ尿素を好適に用いることができる。
【0025】
【化12】
【0026】
方法1においては、チイラン化剤として例えばチオ尿素をエポキシ基の好ましくは1.0〜1.5倍当量、より好ましくは1.0〜1.2倍当量使用し、アセトン等の非反応性の有機溶液中で、室温下、12時間程度撹拌混合し、その後、アセトン等の溶液を減圧留去して目的の本発明の化合物を得る。
【0027】
方法2に用いるアルケニル基含有エポキシ化合物としては、エチレンオキシド基、シクロヘキセンオキシド基等の環式脂肪族エポキシ基等のエポキシ基と、アルケニル基とを各々1個以上有する化合物を用いることができ、また、アルケニル基含有エポキシ樹脂を用いることもできる。特に、前記式(1)により示される本発明の新規化合物合成には、エチレンオキシド基とアルケニル基を有する化合物、例えば下記式(11)、前記式(2)により示される本発明の新規化合物合成には、シクロヘキセンオキシド基とアルケニル基を有する化合物、例えば下記式(12)により示されるアルケニル基含有エポキシ化合物等の市販品を各々好適に用いることができる。
【0028】
【化13】
【0029】
Si−H基を含有するアルコキシシラン化合物としては、下記式(13)に示されるアルコキシシラン化合物を用いることができる。式中、R1、R2は、前記式(1)、(2)におけるR1、R2と同義である。
【0030】
【化14】
【0031】
方法2においては、Si−H基を含有するアルコキシシラン化合物を、アルケニル基含有エポキシ化合物中のアルケニル基と該アルコキシシラン化合物のケイ素に結合した水素原子とが等モル、もしくはアルコキシシラン化合物が若干過剰になるよう、白金やクロロ白金酸等の白金族金属含有化合物等の触媒の存在下、混合することにより目的とする本発明の化合物を合成することができる。白金等の触媒の添加量は、上記エポキシ化合物と上記アルコキシシラン化合物の間の反応を促進するために十分な量があればよく、用いる触媒に応じて適量を定めればよい。
【0032】
本発明の1分子中にチイラン環とアルコキシシリル基を有する新規化合物である、前記式(3)で表される化合物と前記式(4)で表される化合物は、それぞれ、前記式(1)で表される化合物、前記式(2)で表される化合物のそれぞれを、分子内のアルコキシシリル基を加水分解し、縮重合させて得ることができる。
【0033】
本発明の新規化合物は、上記構成をとることにより、ゴム、樹脂等のポリマーと、シリカあるいはカーボンブラック等のフィラーとの間に架橋し、優れた補強効果を発現することができる。
【0034】
本発明の新規化合物の中で、例えば前記式(1)あるいは前記式(2)で表される化合物の、上記架橋反応は、図1に示すように起こると考えられる。
図1に示すように、本発明の新規化合物中のチイラン環が、シリカやカーボンブラック等のフィラー表面の水酸基、あるいは、老化防止剤等として用いられるアミン化合物のアミノ基と反応してチオール基が生成する。生成したチオール基は、ゴムあるいは樹脂表面と優れた反応性を示して結合する。本発明の新規化合物中のアルコキシシリル基は、通常のシランカップリング剤の反応と同様に、加水分解して、シリカやカーボンブラック等のフィラー表面と良好に結合する。また、チオール基生成と共に、開環したチイラン環の分子末端もシリカやカーボンブラック等のフィラー表面と結合する。このようにして、本発明の新規化合物は、ゴム、樹脂といったポリマーと、シリカやカーボンブラック等のフィラーとの間に結合を作り補強効果を発現すると考えられる。
【0035】
本発明の新規化合物は、ゴム、あるいは、樹脂に配合して好適に用いることができる。特に、接着性に優れ幅広い用途に使用可能なシランカップリング剤として好適である。
ゴム組成物、あるいは樹脂組成物中での、本発明の新規化合物の含有量は、組成物に配合されるフィラーに対し、好ましくは2〜50重量%、より好ましくは2〜30重量%である。該範囲であれば、優れた補強効果が得られるからである。
ゴム組成物、あるいは樹脂組成物に含有されるフィラーの量は、ゴム、あるいは、樹脂の種類、所望の物性に応じて、適宜決めることができる。
【0036】
本発明の新規化合物を配合することのできるゴムとしては、特に限定はなく、例えば、NR、NBR、SBR、IR、BR、IIR等が挙げられる。
ゴム組成物には、ゴムと本発明の新規化合物以外に、本発明の目的を損なわない範囲で、通常ゴムに配合される添加剤を配合することができる。その他の添加剤としては、シリカ、カーボンブラック等のフィラー、硫黄、酸化亜鉛等の加硫剤、ステアリン酸、ステアリン酸亜鉛等の加硫助剤、加硫促進剤、DPPD、DNPD等のアミン系あるいはDTBMP等のフェノール系の老化防止剤、アロマオイル等の軟化剤、可塑剤、二酸化チタン、酸化亜鉛等の無機顔料、アゾ顔料等の有機顔料等が挙げられる。
本発明の新規化合物を含有するゴム組成物の製造方法としては、公知の製造方法によればよく、例えば、ゴムと、フィラーと、フィラーに対し特定量の本発明の新規化合物と、さらに必要に応じてジエチレングリコール等のその他の添加剤を加え、ロール、バンバリーミキサー等により混合し、続いて、加硫系として亜鉛華、硫黄、ステアリン酸、必要に応じてその他の加硫促進剤を加えて混合し、例えば140〜250℃で約5〜60分間、加熱加硫する方法を示すことができる。
本発明の新規化合物を含有するゴム組成物は、上記構成により、加硫時のスコーチ時間が長く、また、ゴムの動的特性を示すtanδバランス、耐摩耗性に優れている。このようなゴム組成物は、特に空気入りタイヤ用ゴム組成物として好適に用いることができる。
【0037】
本発明の新規化合物を配合することのできる樹脂としては、好ましくは、ウレタンプレポリマー、ポリサルファイド樹脂、変性シリコーン樹脂等が挙げられる。
樹脂組成物には、樹脂と本発明の新規化合物以外に、2液型であれば硬化剤、さらに、本発明の目的を損なわない範囲で、その他の添加剤、例えば、シリカ、カーボンブラック等のフィラー、DOP、DBP等の可塑剤、トルエン、キシレン等の溶剤、ブチルヒドロキシトルエン、ジフェニルアミン等の酸化防止剤、ヒンダードフェノール系、ヒンダードアミン系の老化防止剤、二酸化チタン、酸化亜鉛等の無機顔料、アゾ顔料等の有機顔料、クロロアルキルホスフェート、ネオペンチルブロマイド−ポリエーテル等の難燃剤、硬化促進剤等を配合してもよい。
本発明の新規化合物を含有する樹脂組成物の製造方法としては、例えば、2液型の場合は、樹脂、フィラー、フィラーに対し特定量の本発明の新規化合物、さらに必要に応じて可塑剤等のその他の添加剤を添加、混合して、主剤液を調整し、一方、硬化剤、硬化促進剤、フィラー等を添加、混合して硬化剤液を調整し、両液を混合して製造する方法を示すことができる。1液型の場合は、樹脂、フィラー、フィラーに対し特定量の本発明の新規化合物、硬化促進剤、フィラー等を添加し、好ましくは含水率の低い状態で、両液を撹拌混練して製造する方法を示すことができる。
上述のようにして得られる、本発明の新規化合物を含有する樹脂組成物は、接着性、耐水性、耐老化性、耐劣化性に優れる。このような樹脂組成物は、塗料、接着剤、コーティング剤、プライマー、特にシーラント用の樹脂組成物として好適に用いることができる。
【0038】
【実施例】
以下に、実施例に基づき、本発明を具体的に説明する。
(実施例1−1)
三口フラスコに、エポキシシラン(A−187、日本ユニカー社製、化学構造式は前記式(9)で与えられる、NMRチャートを図2に示す)118g(0.5mol)を溶かしたアセトン溶液300mlを入れ、これに、チオ尿素53.3g(0.7mol)を含むアセトン溶液300mlを滴下した。滴下終了後、12時間室温下で攪拌した。アセトンを減圧留去後、エーテルを加え、濾過し、濾物を数回エーテルで洗浄した。得られたエーテル溶液を硫酸マグネシウムで乾燥し、エーテルを減圧留去後、減圧乾燥することにより、1分子中にチイラン環とアルコキシシリル基を有する化合物を合成した。得られた化合物の構造を、NMRにて確認した。NMRチャートを図3に示す。
化学構造式は前記式(5)で示される。
なお、後述の表1では、SC(1)として示した。
【0039】
(実施例1−2)
エポキシシランとして、前記式(10)で与えられる化合物(A−186、日本ユニカー社製)を用いた以外は、実施例1と同様にして1分子中にチイラン環とアルコキシシリル基を有する化合物を合成した。
化学構造式は前記式(6)で示される。
なお、後述の表1では、SC(2)として示した。
【0040】
(実施例2−1〜2−4、比較例1〜3)
実施例1−1〜1−2で得られた1分子中にチイラン環とアルコキシシリル基を有する化合物を用いて、下記表1に示す組成で空気入りタイヤ用ゴム組成物を合成した。
【0041】
得られたゴム組成物について、未加硫物性としてムーニースコーチ試験を、加硫物性としてtanδの測定と磨耗試験を、以下の方法で行い評価した。
(1)ムーニースコーチ試験
得られた未加硫のゴム組成物に関して、JIS K 6300に記載の方法に準拠してムーニースコーチタイムを測定した。
(2)tanδ(損失正接)
加硫後のゴム組成物に関して、JIS K 7198に記載の方法に準拠して測定温度0℃、60℃にてtanδを求め、これらの値から、tanδバランス(=tanδ at 0℃/tanδ ar 60℃)を求めた。
(3)耐摩耗性
JIS K 6264に記載の方法に準拠して、摩耗抵抗指数を求めた。
結果を表1に示す。
【0042】
【表1】
【0043】
比較例2、3では、配合したシラン化合物がチオール基(メルカプト基)を有しているため、ムーニースコーチタイムが短い。これに対し実施例2−1〜2−4では、配合した本発明の新規化合物SC(1)、SC(2)がチオール基を有さず、チイラン環を有するのでムーニースコーチタイムが長く焼けが起こりにくい。また、実施例2−1〜2−4で得られたゴム組成物は、本発明の新規化合物SC(1)、SC(2)を含有していない比較例1で得られたゴム組成物に比べて、60℃におけるtanδ(tanδ at 60℃)が向上しており減衰性能が向上している。また、耐摩耗性も13〜15ポイント向上している。さらにtanδバランスも良好である。
【0044】
上記実施例、比較例で用いた化合物は以下に示すとおりである。
油展SBR:Nipol1712(日本ゼオン社製)
チイランSC(1):γ−チオグリシドキシプロピルトリメトキシシラン
チイランSC(2):β−(3,4チオエポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン
メルカプトシラン:A−189(日本ユニカー社製)
シリカ:ニップシールAQ(日本シリカ社製)
ジエチレングリコール:(日本触媒化学社製)
カーボンブラック:ダイヤブラックI(三菱化学社製)
亜鉛華:銀嶺亜鉛華R(東邦亜鉛社製)
ステアリン酸:工業用ステアリン酸(日本油脂社製)
老化防止剤:N−フェニル−N’−(1,3−ジメチルブチル)−p−フェニレンジアミン:6C(住友化学社製)
アロマオイル:テゾレックス3号(昭和シェル石油社製)
硫 黄 :粉末硫黄(軽井沢製錬所社製)
加硫促進剤CZ:N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド:ノクセラーCZ(大内新興化学社製)
加硫促進剤DPG:1,3−ジフェニルグアニジン:サンセラーDG(三新化学社製)
【0045】
(実施例3−1〜3−5、比較例4〜5)
ポリオキシプロピレンジオール(平均分子量2000)500g、および、ポリオキシプロピレントリオール(平均分子量5000)750gを、4,4’−ジイソシアネートフェニルメタン214g、および、フタル酸ジオクチル1460gとN2ガス中、80℃で反応させ、NCO%が1.1であるウレタンプレポリマーAを得た。次に、得られたウレタンプレポリマーA100gを無水状態で、乾燥させたカーボンブラック102g、ジオクチル錫ジラウレート0.2g、および、下記表2に示すカップリング剤(チイランSC1、チイランSC2、あるいはY−9669)と混合してポリウレタンシーラントを得た。
【0046】
得られたポリウレタンシーラントについて、以下の方法で硬化性、接着性の試験を行い評価した。
(1)硬化性試験
20℃、相対湿度55%の条件下において、シーラントの表面にポリエチレンフィルムが付着しなくなるまでの硬化時間(タックフリータイム)を測定した。
(2)接着性試験
シーラントを板ガラスに3mm厚で塗布し、20℃65%RH(相対湿度)中で3日間放置後、ナイフカットによる手剥離試験を行った。さらにサンプルを40℃水中あるいは50%ウィンドウウオッシャ液中に10日間放置した後に上記と同様の方法で手剥離試験を行った。
結果を表2に示す。
【0047】
【表2】
【0048】
上記の結果から、各実施例と比較例4を比べると、実施例で得られたシーラントの方が硬化時間が早いことが分かる。また、各実施例と比較例5(シランカップリング剤非添加系)を比べると、実施例で得られたシーラントの方が接着性に優れていることが分かる。
【0049】
実施例3−1〜3−5、比較例5〜6で用いた化合物は以下に示すとおりである。
ジオクチル錫ジラウレート:(和光純薬社製)
Y−9669:N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン(日本ユニカー社製)
【0050】
【発明の効果】
本発明の新規化合物は、分子内にチオール基を有さないので、本発明の新規化合物を含有するゴム組成物では、スコーチが起こりにくい。また、本発明の新規化合物を含有するゴム組成物、あるいは、樹脂組成物は、tanδバランス、耐摩耗性に優れる。このような本発明の新規化合物は、幅広い用途に使用可能なシランカップリング剤と有用である。また、本発明の新規化合物を含有するゴム組成物は特に空気入りタイヤ用ゴム組成物として好適であり、本発明の新規化合物を含有する樹脂組成物は、接着剤、塗料、コーティング剤、プライマー等、特にシーラントとして好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の新規化合物による架橋反応機構を示す模式図である。
【図2】 式(9)で表されるエポキシシランのNMRチャートを示す図である。
【図3】 式(5)で表される1分子中にチイラン環とアルコキシシリル基を有する化合物のNMRチャートを示す図である。
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