JPH11180988A - チイラン環を有するアルコキシシラン化合物とそれを用いた組成物 - Google Patents

チイラン環を有するアルコキシシラン化合物とそれを用いた組成物

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JPH11180988A
JPH11180988A JP34805797A JP34805797A JPH11180988A JP H11180988 A JPH11180988 A JP H11180988A JP 34805797 A JP34805797 A JP 34805797A JP 34805797 A JP34805797 A JP 34805797A JP H11180988 A JPH11180988 A JP H11180988A
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圭介 知野
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Abstract

(57)【要約】 【課題】ポリマーとフィラーとの結合に優れる化合物で
あって、該化合物を含有するゴム組成物のスコーチ時間
を長くし、該化合物を含有するゴム組成物あるいは樹脂
組成物に優れたtanδバランス、耐摩耗性を付与する
新規化合物、および、新規化合物を含有するゴム組成
物、新規化合物を含有する空気入りタイヤ用ゴム組成
物、さらに、新規化合物を含有するシーラント用樹脂組
成物の提供。 【解決手段】1分子中にチイラン環とアルコキシシリル
基を有する化合物により上記課題を解決する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、チイラン環とアル
コキシシリル基を有する新規化合物と、この新規化合物
を含有する、ゴム組成物、空気入りタイヤ用ゴム組成
物、および、シーラント用樹脂組成物に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】従来、接着性向上のためにエポキシ化合
物が幅広く利用されている。このようなエポキシ化合物
や、エポキシ基の酸素原子が硫黄原子に代わったチイラ
ン環を有するチイラン化合物を、ゴムに加え、グラフト
ポリマーとする方法は、公知である。一方、シリカ系補
強剤を配合したゴムには、一般に、ゴムとシリカとの間
を結合させ補強効果を出すために、シランカップリング
剤を用いている。ゴムとシリカとの間を結合させるよう
なシランカップリング剤としては、種々のものが知られ
ており、これらの中では、シリカ側との反応に関しては
アルコキシシランが、また、ゴム側との反応に関しては
チオール基が優れていると考えられる。しかしながら、
チオール基はゴムの加硫を早め、いわゆる焼け(スコー
チ)を発生してしまうという問題がある。そこで、現在
は、チオール基をテトラスルフィド結合にしてスコーチ
を防止したシランカップリング剤が広く用いられてい
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明者等は、チオー
ル基をチイラン基に変えることにより、スコーチを防止
すると共に、チイラン基が、フィラーとして用いられる
シリカやカーボン等表面の水酸基、老化防止剤等として
用いられるアミン化合物のアミノ基といった官能基と反
応してチオール基を発生し、ゴムと速やかに反応するこ
とにより、ゴムとシリカあるいはゴムとカーボンとの間
に結合を作り補強効果を発現することを見出し、さら
に、樹脂とシリカあるいはカーボンとの間の補強効果も
発現することを見出して、本発明を完成するに至った。
【0004】そこで、本発明の目的は、ゴムあるいは樹
脂と、シリカあるいはカーボン等のフィラーとの結合に
優れる化合物であって、該化合物を含有するゴム組成物
のスコーチ時間を長くし、該化合物を含有するゴム組成
物あるいは樹脂組成物に優れたtanδバランス、耐摩
耗性を付与する新規化合物、および、新規化合物を含有
するゴム組成物、新規化合物を含有する空気入りタイヤ
用ゴム組成物、さらに、新規化合物を含有するシーラン
ト用樹脂組成物を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、1
分子中にチイラン環とアルコキシシリル基を有する化合
物を提供する。
【0006】前記化合物が、下記式(1)または(2)
で表される化合物であるのが好ましい。
【化3】 (R1 、R2 は、同一であっても異なっていてもよく、
それぞれが独立に、メチル基またはエチル基である。n
は0〜2の整数である。)
【0007】前記化合物が、前記式(1)で表される化
合物の縮合物であって下記式(3)で表される化合物、
または前記式(2)で表される化合物の縮合物であって
下記式(4)で表される化合物であるのが好ましい。
【化4】 (R1 、R2 は、同一であっても異なっていてもよく、
それぞれが独立に、メチル基またはエチル基である。R
3 はメチル基、エチル基、メチルオキシ基、またはエチ
ルオキシ基である。mは2以上の整数である。)
【0008】また、本発明は、前記化合物を含有するゴ
ム組成物を提供する。
【0009】また、本発明は、前記化合物を含有するゴ
ム組成物を含有する空気入りタイヤ用ゴム組成物を提供
する。
【0010】さらに、本発明は、前記化合物を含有する
シーラント用樹脂組成物を提供する。
【0011】
【発明の実施の形態】以下に、本発明についてさらに詳
細に説明する。本発明の新規化合物は、1分子中にチイ
ラン環とアルコキシシリル基を各々1個以上有する構造
であれば特に限定はない。例えば下記一般式で表され
る。
【0012】
【化5】
【0013】上記式中、Aは、炭化水素基、例えば脂肪
族基、芳香族基、またはこれらの組み合わせであっても
よく、また、炭素、水素に加えてその他の原子、例えば
酸素原子、硫黄原子、窒素原子等を含んでもよい。Aの
好ましい例としては、炭素数2〜6のアルキレン基、例
えばエチレン基;炭素数4〜8のアルキレンエーテル
基、例えばメチルプロピルエーテル基;炭素数5〜10
の炭化水素エステル基等が挙げられる。
【0014】上記本発明の新規化合物の好ましい態様と
して、下記式(1)および(2)により示される化合物
を示すことができる。
【0015】
【化6】
【0016】ここでR1 、R2 は、同一であっても異な
っていてもよく、それぞれ独立に、メチル基またはエチ
ル基である。nは0、1、または2であり、好ましくは
0または1である。
【0017】上記式(1)および(2)で表される化合
物の好ましい例として、上記式(1)、(2)の各々に
ついて下記式(5)、(6)で表される化合物を示すこ
とができる。
【0018】
【化7】
【0019】また、本発明の新規化合物の好ましい態様
として、下記式(1)により示される化合物の縮合物で
あって下記式(3)で表される化合物、および、下記式
(2)により示される化合物の縮合物であって下記式
(4)で表される化合物を示すことができる。
【0020】
【化8】 ここで、R1 、R2 は、同一であっても異なっていても
よく、それぞれが独立に、メチル基またはエチル基であ
る。R3 はメチル基、エチル基、メチルオキシ基、また
はエチルオキシ基である。mは2以上の整数である。
【0021】上記式(3)および(4)で表される化合
物の好ましい例として、上記式(3)、(4)の各々に
ついて下記式(7)、(8)で表される化合物を示すこ
とができる。
【0022】
【化9】
【0023】前記式(1)あるいは式(2)で表される
本発明の1分子中にチイラン環とアルコキシシリル基を
有する新規化合物は、以下の2つの方法により合成する
ことができる。 方法1:エポキシ基含有アルコキシシラン化合物とチイ
ラン(エポスルフィド)化剤とを反応させる。 方法2:アルケニル基含有エポキシ化合物とチオ尿素と
を反応させチイラン環を合成した後、Si−H基を含有
するアルコキシシラン化合物を反応させる。
【0024】方法1におけるエポキシ基含有アルコキシ
シラン化合物としては、エチレンオキシド基や、シクロ
ペンテンオキシド基、シクロヘキセンオキシド基等の環
式脂肪族エポキシ基と、アルコキシシラン基とを各々1
個以上有する化合物を用いることができる。また、アル
コキシシラン基含有エポキシ樹脂を用いることもでき
る。特に、前記式(1)、(2)で示される本発明の新
規化合物の合成には、エチレンオキシド基とアルコキシ
シラン基、シクロヘキセンオキシド基とアルコキシシラ
ン基を各々分子末端に有する化合物、例えば下記式
(9)、(10)により示されるエポキシ基含有アルコ
キシシラン化合物等の市販品を各々好適に用いることが
できる。チイラン(エピスルフィド)化剤としては、チ
オ尿素を好適に用いることができる。
【0025】
【化10】
【0026】方法1においては、チイラン化剤として例
えばチオ尿素をエポキシ基の好ましくは1.0〜1.5
倍当量、より好ましくは1.0〜1.2倍当量使用し、
アセトン等の非反応性の有機溶液中で、室温下、12時
間程度撹拌混合し、その後、アセトン等の溶液を減圧留
去して目的の本発明の化合物を得る。
【0027】方法2に用いるアルケニル基含有エポキシ
化合物としては、エチレンオキシド基、シクロヘキセン
オキシド基等の環式脂肪族エポキシ基等のエポキシ基
と、アルケニル基とを各々1個以上有する化合物を用い
ることができ、また、アルケニル基含有エポキシ樹脂を
用いることもできる。特に、前記式(1)により示され
る本発明の新規化合物合成には、エチレンオキシド基と
アルケニル基を有する化合物、例えば下記式(11)、
前記式(2)により示される本発明の新規化合物合成に
は、シクロヘキセンオキシド基とアルケニル基を有する
化合物、例えば下記式(12)により示されるアルケニ
ル基含有エポキシ化合物等の市販品を各々好適に用いる
ことができる。
【0028】
【化11】
【0029】Si−H基を含有するアルコキシシラン化
合物としては、下記式(13)に示されるアルコキシシ
ラン化合物を用いることができる。式中、R1 、R
2 は、前記式(1)、(2)におけるR1 、R2 と同義
である。
【0030】
【化12】
【0031】方法2においては、Si−H基を含有する
アルコキシシラン化合物を、アルケニル基含有エポキシ
化合物中のアルケニル基と該アルコキシシラン化合物の
ケイ素に結合した水素原子とが等モル、もしくはアルコ
キシシラン化合物が若干過剰になるよう、白金やクロロ
白金酸等の白金族金属含有化合物等の触媒の存在下、混
合することにより目的とする本発明の化合物を合成する
ことができる。白金等の触媒の添加量は、上記エポキシ
化合物と上記アルコキシシラン化合物の間の反応を促進
するために十分な量があればよく、用いる触媒に応じて
適量を定めればよい。
【0032】本発明の1分子中にチイラン環とアルコキ
シシリル基を有する新規化合物である、前記式(3)で
表される化合物と前記式(4)で表される化合物は、そ
れぞれ、前記式(1)で表される化合物、前記式(2)
で表される化合物のそれぞれを、分子内のアルコキシシ
リル基を加水分解し、縮重合させて得ることができる。
【0033】本発明の新規化合物は、上記構成をとるこ
とにより、ゴム、樹脂等のポリマーと、シリカあるいは
カーボン等のフィラーとの間に架橋し、優れた補強効果
を発現することができる。
【0034】本発明の新規化合物の中で、例えば前記式
(1)あるいは前記式(2)で表される化合物の、上記
架橋反応は、図1に示すように起こると考えられる。図
1に示すように、本発明の新規化合物中のチイラン環
が、シリカやカーボン等のフィラー表面の水酸基、ある
いは、老化防止剤等として用いられるアミン化合物のア
ミノ基と反応してチオール基が生成する。生成したチオ
ール基は、ゴムあるいは樹脂表面と優れた反応性を示し
て結合する。本発明の新規化合物中のアルコキシシリル
基は、通常のシランカップリング剤の反応と同様に、加
水分解して、シリカやカーボン等のフィラー表面と良好
に結合する。また、チオール基生成と共に、開環したチ
イラン環の分子末端もシリカやカーボン等のフィラー表
面と結合する。このようにして、本発明の新規化合物
は、ゴム、樹脂といったポリマーと、シリカやカーボン
等のフィラーとの間に結合を作り補強効果を発現すると
考えられる。
【0035】本発明の新規化合物は、ゴム、あるいは、
樹脂に配合して好適に用いることができる。特に、接着
性に優れ幅広い用途に使用可能なシランカップリング剤
として好適である。ゴム組成物、あるいは樹脂組成物中
での、本発明の新規化合物の含有量は、組成物に配合さ
れるフィラーに対し、好ましくは2〜50重量%、より
好ましくは2〜30重量%である。該範囲であれば、優
れた補強効果が得られるからである。ゴム組成物、ある
いは樹脂組成物に含有されるフィラーの量は、ゴム、あ
るいは、樹脂の種類、所望の物性に応じて、適宜決める
ことができる。
【0036】本発明の新規化合物を配合することのでき
るゴムとしては、特に限定はなく、例えば、NR、NB
R、SBR、IR、BR、IIR等が挙げられる。ゴム
組成物には、ゴムと本発明の新規化合物以外に、本発明
の目的を損なわない範囲で、通常ゴムに配合される添加
剤を配合することができる。その他の添加剤としては、
シリカ、カーボンブラック等のフィラー、硫黄、酸化亜
鉛等の加硫剤、ステアリン酸、ステアリン酸亜鉛等の加
硫助剤、加硫促進剤、DPPD、DNPD等のアミン系
あるいはDTBMP等のフェノール系の老化防止剤、ア
ロマオイル等の軟化剤、可塑剤、二酸化チタン、酸化亜
鉛等の無機顔料、アゾ顔料等の有機顔料等が挙げられ
る。本発明の新規化合物を含有するゴム組成物の製造方
法としては、公知の製造方法によればよく、例えば、ゴ
ムと、フィラーと、フィラーに対し特定量の本発明の新
規化合物と、さらに必要に応じてジエチレングリコール
等のその他の添加剤を加え、ロール、バンバリーミキサ
ー等により混合し、続いて、加硫系として亜鉛華、硫
黄、ステアリン酸、必要に応じてその他の加硫促進剤を
加えて混合し、例えば140〜250℃で約5〜60分
間、加熱加硫する方法を示すことができる。本発明の新
規化合物を含有するゴム組成物は、上記構成により、加
硫時のスコーチ時間が長く、また、ゴムの動的特性を示
すtanδバランス、耐摩耗性に優れている。このよう
なゴム組成物は、特に空気入りタイヤ用ゴム組成物とし
て好適に用いることができる。
【0037】本発明の新規化合物を配合することのでき
る樹脂としては、好ましくは、ポリウレタン樹脂、ポリ
サルファイド樹脂、変性シリコーン樹脂等が挙げられ
る。樹脂組成物には、樹脂と本発明の新規化合物以外
に、2液型であれば硬化剤、、さらに、本発明の目的を
損なわない範囲で、その他の添加剤、例えば、シリカ、
カーボンブラック等のフィラー、DOP、DBP等の可
塑剤、トルエン、キシレン等の溶剤、ブチルヒドロキシ
トルエン、ジフェニルアミン等の酸化防止剤、ヒンダー
ドフェノール系、ヒンダードアミン系の老化防止剤、二
酸化チタン、酸化亜鉛等の無機顔料、アゾ顔料等の有機
顔料、クロロアルキルホスフェート、ネオペンチルブロ
マイド−ポリエーテル等の難燃剤、硬化促進剤等を配合
してもよい。本発明の新規化合物を含有する樹脂組成物
の製造方法としては、例えば、2液型の場合は、樹脂、
フィラー、フィラーに対し特定量の本発明の新規化合
物、さらに必要に応じて可塑剤等のその他の添加剤を添
加、混合して、主剤液を調整し、一方、硬化剤、硬化促
進剤、フィラー等を添加、混合して硬化剤液を調整し、
両液を混合して製造する方法を示すことができる。1液
型の場合は、樹脂、フィラー、フィラーに対し特定量の
本発明の新規化合物、硬化促進剤、フィラー等を添加
し、好ましくは含水率の低い状態で、両液を撹拌混練し
て製造する方法を示すことができる。上述のようにして
得られる、本発明の新規化合物を含有する樹脂組成物
は、接着性、耐水性、耐老化性、耐劣化性に優れる。こ
のような樹脂組成物は、塗料、接着剤、コーティング
剤、プライマー、特にシーラント用の樹脂組成物として
好適に用いることができる。
【0038】
【実施例】以下に、実施例に基づき、本発明を具体的に
説明する。 (実施例1−1)三口フラスコに、エポキシシラン(A
−187、日本ユニカー社製、化学構造式は前記式
(7)で与えられる、NMRチャートを図2に示す)1
18g(0.5mol)を溶かしたアセトン溶液300
mlを入れ、これに、チオ尿素53.3g(0.7mo
l)を含むアセトン溶液300mlを滴下した。滴下終
了後、12時間室温下で攪拌した。アセトンを減圧留去
後、エーテルを加え、濾過し、濾物を数回エーテルで洗
浄した。得られたエーテル溶液を硫酸マグネシウムで乾
燥し、エーテルを減圧留去後、減圧乾燥することによ
り、1分子中にチイラン環とアルコキシシリル基を有す
る化合物を合成した。得られた化合物の構造を、NMR
にて確認した。NMRチャートを図3に示す。化学構造
式は前記式(7)で示される。なお、後述の表1では、
SC(1)として示した。
【0039】(実施例1−2)エポキシシランとして、
前記式(6)で与えられる化合物(A−186、日本ユ
ニカー社製)を用いた以外は、実施例1と同様にして1
分子中にチイラン環とアルコキシシリル基を有する化合
物を合成した。化学構造式は前記式(6)で示される。
なお、後述の表1では、SC(2)として示した。
【0040】(実施例2−1〜2−4、比較例1〜3)
実施例1−1〜1−2で得られた1分子中にチイラン環
とアルコキシシリル基を有する化合物を用いて、下記表
1に示す組成でゴム組成物を合成した。
【0041】得られたゴム組成物について、未加硫物性
としてムーニースコーチ試験を、加硫物性としてtan
δの測定と磨耗試験を、以下の方法で行い評価した。 (1)ムーニースコーチ試験 得られた未加硫のゴム組成物に関して、JIS K 6
300に記載の方法に準拠してムーニースコーチタイム
を測定した。 (2)tanδ(損失正接) 加硫後のゴム組成物に関して、JIS K 7198に
記載の方法に準拠して測定温度0℃、60℃にてtan
δを求め、これらの値から、tanδバランス(=ta
nδ at 0℃/tanδ at 60℃)を求めた。 (7)耐摩耗性 JIS K 6264に記載の方法に準拠して、摩耗抵
抗指数を求めた。結果を表1に示す。
【0042】
【表1】
【0043】比較例2、3では、配合したシラン化合物
がチオール基(メルカプト基)を有しているため、ムー
ニースコーチタイムが短い。これに対し実施例2−1〜
2−4では、配合した本発明の新規化合物SC(1)、
SC(2)がチオール基を有さず、チイラン環を有する
のでムーニースコーチタイムが長く焼けが起こりにく
い。また、実施例2−1〜2−4で得られたゴム組成物
は、本発明の新規化合物SC(1)、SC(2)を含有
していない比較例1で得られたゴム組成物に比べて、6
0℃におけるtanδ(tanδ at 60℃)が向上
しており減衰性能が向上している。また、耐摩耗性も1
3〜15ポイント向上している。さらにtanδバラン
スも良好である。
【0044】上記実施例、比較例で用いた化合物は以下
に示すとおりである。 油展SBR:Nipol1712(日本ゼオン社製) チイランSC(1):γ−チオグリシドキシプロピルト
リメトキシシラン チイランSC(2):β−(3,4チオエポキシシクロ
ヘキシル)エチルトリメトキシシラン メルカプトシラン:A−189(日本ユニカー社製) シリカ:ニップシールAQ(日本シリカ社製) ジエチレングリコール:(日本触媒化学社製) カーボンブラック:ダイヤブラックI(三菱化学社製) 亜鉛華:銀嶺亜鉛華R(東邦亜鉛社製) ステアリン酸:工業用ステアリン酸(日本油脂社製) 老化防止剤:N−フェニル−N’−(1,3−ジメチル
ブチル)−p−フェニレンジアミン:6C(住友化学社
製) アロマオイル:テゾレックス3号(昭和シェル石油社
製) 硫 黄 :粉末硫黄(軽井沢製錬所社製) 加硫促進剤CZ:N−シクロヘキシル−2−ベンゾチア
ジルスルフェンアミド:ノクセラーCZ(大内新興化学
社製) 加硫促進剤DPG:1,3−ジフェニルグアニジン:サ
ンセラーDG(三新化学社製)
【0045】(実施例3−1〜3−5、比較例4〜5)
ポリオキシプロピレンジオール(平均分子量2000)
500g、および、ポリオキシプロピレントリオール
(平均分子量5000)750gを、4,4’−ジイソ
シアネートフェニルメタン214g、および、フタル酸
ジオクチル1460gとN2 ガス中、80℃で反応さ
せ、NCO%が1.1であるウレタンプレポリマーAを
得た。次に、得られたウレタンプレポリマーA100g
を無水状態で、乾燥させたカーボンブラック102g、
ジオクチル錫ジラウレート0.2g、および、下記表2
に示すカップリング剤(チイランSC1、チイランSC
2、あるいはY−9669)と混合してポリウレタンシ
ーラントを得た。
【0046】得られたポリウレタンシーラントについ
て、以下の方法で硬化性、接着性の試験を行い評価し
た。 (1)硬化性試験 20℃、相対湿度55%の条件下において、シーラント
の表面にポリエチレンフィルムが付着しなくなるまでの
硬化時間(タックフリータイム)を測定した。 (2)接着性試験 シーラントを板ガラスに3mm厚で塗布し、20℃65
%RH(相対湿度)中で3日間放置後、ナイフカットに
よる手剥離試験を行った。さらにサンプルを40℃水中
あるいは50%ウィンドウウオッシャ液中に10日間放
置した後に上記と同様の方法で手剥離試験を行った。結
果を表2に示す。
【0047】
【表2】
【0048】上記の結果から、各実施例と比較例4を比
べると、実施例で得られたシーラントの方が硬化時間が
早いことが分かる。また、各実施例と比較例5(シラン
カップリング剤非添加系)を比べると、実施例で得られ
たシーラントの方が接着性に優れていることが分かる。
【0049】実施例3−1〜3−5、比較例5〜6で用
いた化合物は以下に示すとおりである。 ジオクチル錫ジラウレート:(和光純薬社製) Y−9669:ビス−(3−トリエトキシシリル−プロ
ピル)−テトラスルフィ(デグッサ社製)
【0050】
【発明の効果】本発明の新規化合物は、分子内にチオー
ル基を有さないので、本発明の新規化合物を含有するゴ
ム組成物では、スコーチが起こりにくい。また、本発明
の新規化合物を含有するゴム組成物、あるいは、樹脂組
成物は、tanδバランス、耐摩耗性に優れる。このよ
うな本発明の新規化合物は、幅広い用途に使用可能なシ
ランカップリング剤と有用である。また、本発明の新規
化合物を含有するゴム組成物は特に空気入りタイヤ用ゴ
ム組成物として好適であり、本発明の新規化合物を含有
する樹脂組成物は、接着剤、塗料、コーティング剤、プ
ライマー等、特にシーラントとして好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の新規化合物による架橋反応機構を示
す模式図である。
【図2】 式(9)で表されるエポキシシランのNMR
チャートを示す図である。
【図3】 式(5)で表される1分子中にチイラン環と
アルコキシシリル基を有する化合物のNMRチャートを
示す図である。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】1分子中にチイラン環とアルコキシシリル
    基を有する化合物。
  2. 【請求項2】1分子中にチイラン環とアルコキシシリル
    基を有する化合物が下記式(1)または(2)で表され
    る化合物である請求項1に記載の化合物。 【化1】 (R1 、R2 は、同一であっても異なっていてもよく、
    それぞれが独立に、メチル基またはエチル基である。n
    は0〜2の整数である。)
  3. 【請求項3】1分子中にチイラン環とアルコキシシリル
    基を有する化合物が、前記式(1)で表される化合物の
    縮合物であって下記式(3)で表される化合物、または
    前記式(2)で表される化合物の縮合物であって下記式
    (4)で表される化合物である請求項1に記載の化合
    物。 【化2】 (R1 、R2 は、同一であっても異なっていてもよく、
    それぞれが独立に、メチル基またはエチル基である。R
    3 はメチル基、エチル基、メチルオキシ基、またはエチ
    ルオキシ基である。mは2以上の整数である。)
  4. 【請求項4】請求項1〜3のいずれかに記載の化合物を
    含有するゴム組成物。
  5. 【請求項5】請求項4に記載のゴム組成物を含有する空
    気入りタイヤ用ゴム組成物。
  6. 【請求項6】請求項1〜3のいずれかに記載の化合物を
    含有するシーラント用樹脂組成物。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2006137857A (ja) * 2004-11-12 2006-06-01 Yokohama Rubber Co Ltd:The タイヤトレッド用ゴム組成物
JP2007051146A (ja) * 2005-08-17 2007-03-01 Degussa Ag 有機珪素化合物、その製造および該化合物の使用
JP2007070530A (ja) * 2005-09-08 2007-03-22 Sumitomo Rubber Ind Ltd ゴムおよびそれを含むタイヤ用ゴム組成物
JP2008202660A (ja) * 2007-02-19 2008-09-04 Tokai Rubber Ind Ltd 免震ゴム積層体

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