JP3985028B2 - フライアッシュ粉体の製法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、イオン性不純物を洗浄・除去し、樹脂に対する濡れ性(親和性)に優れたフライアッシュ粉体の製法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
種々の用途に利用されているプラスチック製品は、圧縮成形法,押出成形法、射出成形法に代表されるように、樹脂組成物を加温等により一度流動性を有する状態とした後、所定の成形金型内で、所望の形状に成形することにより製造される。上記樹脂組成物中には、機械的特性や増量等を目的として、従来からシリカや炭酸カルシウム、タルク等に代表される無機質充填剤が添加されている。
【0003】
特に、半導体素子を樹脂封止する半導体用封止材では、その熱膨張係数が小さいことや電気絶縁性を有し、高周波領域においても誘電体損失が小さいという観点から、無機質充填剤として従来から溶融シリカが用いられている。このような溶融シリカのなかでも、以前は破砕状の溶融シリカが使用されていたが、最近では、半導体の高集積化に伴うパッケージ形態の変化により、半導体用封止材の耐半田性や耐ヒートサイクル性等の観点から、無機質充填剤に対して高密充填性が要求されるようになってきた。従来の半導体用封止材においては、無機質充填剤の配合量は全体の約70重量%程度であったが、最近の高密充填性を要求される用途では、その配合量は90重量%以上に設定する場合がある。
【0004】
しかし、従来の破砕状溶融シリカ等のみを用いて90重量%以上も高配合して半導体用封止材を作製した場合、成形時の樹脂粘度が著しく高くなり、その結果、パッケージにおいて未充填、ボイド、ワイヤー流れ等が多発し、実質上成形できないという問題があった。したがって、このような高密充填性が要求される半導体用封止材の用途では、球状溶融シリカ等の球状無機質充填剤が用いられている。最近では、その良好な成形性および金型摩耗の低減の観点から、半導体用封止材の汎用的な分野やその他のプラスチック成形材料の分野でも、球状無機質充填剤が利用されるようになっている。
【0005】
このような球状無機質充填剤として現実に入手が容易なものとしては、破砕状結晶シリカを溶射法により球状化させた球状溶融シリカがあげられるが、高価であるという難点があり、安価かつ大量に提供可能な、球状溶融シリカに相当する無機質充填剤が望まれている。また、上記溶射法による球状溶融シリカでは、破砕状結晶シリカを粉砕して溶射するため、その粒径は粉砕粒度によって決まることから実質的に平均粒子径5μmが限界であった。そのため、高密充填に必要とされる5μmを下回る粒径の球状シリカは、溶射法の製造段階にてバックフィルターに捕集される僅かな微粉を収集するか、あるいは極めて高価な合成法によって得られる球状シリカで対応しているのが現状である。このように、従来は、その供給量の低さや合成の困難さのため、粒径5〜8μm程度の球状シリカ微粉末や、さらに粒径5μmを下回る球状シリカ超微粉末は、極めて高価となることから、安価な球状微粉末である無機質充填剤が望まれていた。
【0006】
一方、石炭による火力発電所から大量に排出されるフライアッシュは球状物質であり、コンクリート混和物として配合すると、コンクリートの流動性が向上する等、成形材料として利用した場合にその流動性が向上することが知られている。また、上記フライアッシュは排出成分であるため、経済性に富み、樹脂との親和性に優れ、その硬度や熱膨張係数が球状溶融シリカと同等を有することから、前述の要求仕様をほぼ満足するものであり、さらに種々の分級装置により前述の微粉,超微粉領域のフライアッシュが分級フライアッシュとして大量に製造されており、その経済性という観点からも優位であることは明らかである。
【0007】
しかし、フライアッシュ表面にはイオン性不純物が大量に存在しており、しかも樹脂との親和性に乏しいため、このままプラスチック用無機質充填剤として利用した場合、マトリックス成分となる樹脂に対して均一に分散されずに凝集する等の問題が生じ、半導体用封止材等に代表される各種分野への実用に供することは困難であった。このような問題を解決すべく、フライアッシュを高温で焼成した後、鉱酸水溶液で洗浄することにより不純物であるアルカリ金属イオン量を減少させる方法が提案されている(特許文献1参照)。
【0008】
【特許文献1】
特開平11−199218号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記アルカリ金属イオン量の低減のみに着目して得られた微粉末のシリカ粉末では、各種樹脂との親和性(濡れ性)に関して未だ不充分であり、各種用途、例えば、近年その信頼性の要求がより一層高くなっている上記半導体用封止材の用途としては、不充分であった。
【0010】
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、イオン性不純物の含有量が低減され、かつ各種樹脂との親和性(濡れ性)に優れたフライアッシュ粉体の製法の提供をその目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明は、フライアッシュ粉体原料を500〜900℃の温度で焼成した後、酸濃度15.0mol/リットル以上の酸性水溶液を用いて上記焼成後のフライアッシュ粉体原料を洗浄し、続いて、純水を用いて洗浄し、乾燥して粉体化した後、さらに、500〜900℃の温度で再焼成することにより、下記(A)のフライアッシュ粉体を得るフライアッシュ粉体の製法を要旨とする。
(A)10gのフライアッシュ粉体を100mlの純水中に20℃で6時間浸漬した後の抽出水の電気伝導度が、200μS/cm以下であり、〔Si−OH〕/〔Si〕のシラノール基含有比率が0.10以下であるフライアッシュ粉体。
【0012】
本発明者らは、排出物質であるフライアッシュの有効利用に着目し、その利用の際に抱える問題を解決した、すなわち、イオン性不純物が除去され、しかも樹脂に対する親和性(濡れ性)に優れ実用に適したフライアッシュ粉体を得るために一連の研究を重ねた。その結果、10gのフライアッシュ粉体を100mlの純水中に20℃で6時間浸漬した後の抽出水の電気伝導度を、200μS/cm以下に設定するとともに、〔Si−OH〕/〔Si〕のシラノール基含有比率が0.10以下であるフライアッシュ粉体とすることにより、樹脂との親和性(濡れ性)に優れ、各種用途における無機質充填剤として実用に適したものとなることを突き止めた。そして、このようなフライアッシュ粉体は、フライアッシュ粉体原料を500〜900℃の温度で焼成した後、特定の酸濃度の酸性水溶液を用いて上記焼成後のフライアッシュ粉体原料を洗浄し、続いて、純水を用いて洗浄し、乾燥して粉体化し、さらに500〜900℃の温度で再焼成することにより得られることを見出し本発明に到達した。
【0013】
【発明の実施の形態】
つぎに、本発明の実施の形態について詳しく説明する。
【0014】
本発明のフライアッシュ粉体の製法は、上記のように、フライアッシュ粉体原料を500〜900℃の温度で焼成した後、酸濃度15.0mol/リットル以上の酸性水溶液を用いて上記焼成後のフライアッシュ粉体原料を洗浄し、続いて、純水を用いて洗浄し、乾燥して粉体化した後、さらに、500〜900℃の温度で再焼成する方法である。この製法により得られるフライアッシュ粉体は、フライアッシュ粉体10gを100mlの純水中に20℃で6時間浸漬した後の抽出水の電気伝導度が、200μS/cm以下で、〔Si−OH〕/〔Si〕のシラノール基含有比率が0.10以下であるフライアッシュ粉体であって、イオン性不純物を洗浄・除去した精製粉体であり、実質的に下記の式(1)に示すシラノール基を含有しないものである。特に好ましくは、フライアッシュ粉体10gを100mlの純水中に160℃で24時間浸漬した後の抽出水の電気伝導度が、50μS/cm以下である。
【0015】
【化1】
Figure 0003985028
【0016】
そして、本発明において、上記実質的にシラノール基を含有しないとは、フライアッシュ粉体表面のシラノール基を、トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル−1−トリクロロシラン(tridecafluoro-1,1,2,2-tetrahydrooctyl-1-trichlorosilane :以下TDFSと略す)で化学修飾した後、X線光電子分光法による分析(ESCA分析)を行って定量した結果、シラノール基含有比率0.10以下、より好ましくは0.090以下、特に好ましくは0.040以下であることをいう。以詳しく説明する。すなわち、フライアッシュ粉体1gをフッ素系カップリング剤として用いる10%TDFSを含む95%エタノールで希釈し、塩沈を繰り返し、ソックスレー抽出を100時間以上行って、未反応のTDFSを除去する。その洗浄後、試料粉体を110℃で乾燥させ、シラノール基を化学修飾した試料を得る。この試料粉体を導電性粘着テープに固定して、ESCA分析を行う。
【0017】
なお、上記ESCA分析に使用する装置および測定条件は以下の通りである。すなわち、分析測定装置は、島津製作所社製のShimadzu/Kratos AXIS-Hisを用い、X線源にはAl Kα(モノクロメータ使用)を用い、X線出力は150W(15kV)とする。光電子取り出し角は試料表面に対して90℃とし、分析面積は300×700μmとする。また結合エネルギーはC1sのピークトップを285.0eVとしてシフト補正する。そして、化学修飾法によりシラノール基の定量は、トータルのSiに対するシラノール基の比率〔Si−OH〕/〔Si〕=(〔F1s〕/13)/{〔Si2p〕−(〔F1s〕/13)}で算出する。上記式において、〔F1s〕,〔Si2p〕はそれぞれF1s,Si2pシグナルから得られたF,Siの原子(atomic)%である。その算出の結果、本発明において実質的にシラノール基を含有しないとは、〔Si−OH〕/〔Si〕の比率、すなわち、シラノール基含有比率が0.10以下、より好ましくは0.090以下、特に好ましくは0.040以下となることを示す。
【0018】
本発明のフライアッシュ粉体の製法での原料となるフライアッシュは、煙道ガス中の細かい灰の粒子であり、通常、球形に近い形状を有している。そして、いわゆる石炭を用いた火力発電プラント内で部分的に不完全な燃焼を経過し、かつ、脱硝装置や電気集塵機を通過したフライアッシュには、イオン性不純物として、例えば、アンモニウムイオン、硫酸イオン、カルシウムイオン、ナトリウムイオン、マグネシウムイオン、クロルイオン等が大量に含まれている。これらイオン性不純物量は、その炭種によっても異なるが、その一例として、未洗浄の平均粒子径6μmである分級フライアッシュ10gを100mlの超純水中に浸漬し、20℃で6時間浸漬し、フライアッシュ中のイオン性不純物を抽出した際の抽出水の電気伝導度は、約1000μS/cmと極めて高く、アンモニウムイオン量が500ppm程度、硫酸イオン量が500ppm程度、カルシウムイオン量が200ppm程度、ナトリウムイオン量が20ppm程度検出され、抽出液のpHは約10である。
【0019】
そして、例えば、半導体用封止材に通常使用されている現行の溶融シリカに代えて上記未洗浄の平均粒子径6μmの分級フライアッシュを使用して半導体用封止材を製造し、これを硬化して充分に後硬化させた硬化体を粉砕し、その硬化体粉砕物10gを100mlの超純水中に浸漬し、160℃の高温高圧状態でフライアッシュ中のイオン性不純物を超純水中に24時間抽出させた際の、その抽出水の20℃における電気伝導度は、上記現行の溶融シリカの場合に比べて、440μS/cmと約10倍程の値を示すとともに、特に硫酸イオン濃度は1360ppmと約100倍の濃度であった。このように、未洗浄のフライアッシュをそのまま半導体用封止材の配合成分として用いると、上記のように抽出水のイオン性不純物量が多いため、得られる半導体用封止材の硬化体の体積抵抗率は、100℃で1.0×1014Ω・cmと1/10以下となり、各種耐湿試験において、極めて悪い結果が得られる。
【0020】
本発明のフライアッシュ粉体の製法により得られるフライアッシュ粉体は、上記のようなイオン性不純物を多く含有するフライアッシュ粉体原料を用い、これを特定の方法を経由させて精製したものである。そして、本発明により得られるフライアッシュ粉体の原料となるフライアッシュ粉体原料としては、その用途等に応じて所望の平均粒子径を有するものを適宜選択して用いられる。その平均粒子径は、例えば、レーザー回折散乱式粒度分布測定装置を用いて測定することができる。
【0021】
このように、本発明のフライアッシュ粉体の製法により得られるフライアッシュ粉体は、10gのフライアッシュ粉体を100mlの純水中に20℃で6時間浸漬した後の抽出水の電気伝導度が、200μS/cm以下であり、シラノール基を実質的に含有しないものであり、好ましくは、抽出水の電気伝導度が10μS/cm以下となるレベルまで精製されているものである。
【0022】
特に好ましくは、10gのフライアッシュ粉体を100mlの純水中に160℃で24時間浸漬した後の抽出水の電気伝導度が、50μS/cm以下であり、シラノール基を実質的に含有しないレベルまで精製されているものである。
【0023】
上記純水としては、例えば、少量のイオン性不純物を含む工業用水や水道水、あるいは、イオン性不純物をほとんど含まないイオン交換水や超純水等があげられる。そして、なかでも、イオン交換水や超純水を使用することが好ましい。具体的には、電気伝導度が1μS/cm以下の純水を用いることが好適である。
【0024】
本発明のフライアッシュ粉体の製法は、下記のとおりである。
【0025】
まず、フライアッシュ粉体原料を500〜900℃の温度で焼成する。その後、酸濃度15.0mol/リットル以上の濃酸性水溶液を用いて上記焼成後のフライアッシュ粉体原料を洗浄し、続いて、純水を用いて洗浄した後、乾燥して粉体化する。ついで、500〜900℃の温度で再焼成することにより製造する。
【0026】
最初に行われる上記500℃〜900℃の範囲によるフライアッシュ粉体の焼成工程は、上記のように、酸性水溶液および純水による洗浄工程の前に行われ、フライアッシュ粉体粒子表面の未燃焼カーボンとアンモニアが除去され、後の洗浄がより効率的に行えるようになる。
【0027】
上記焼成工程後に、酸性水溶液を用いて焼成後のフライアッシュ粉体を洗浄することにより、フライアッシュ粉体中のカルシウム等のアルカリ成分が溶出され、その結果、極めて低い含有量にまでイオン性不純物を除去することが可能となる。
【0028】
上記酸性水溶液としては、フライアッシュ粉体中のアルカリ成分を溶出することができるものであれば特に限定するものではなく、例えば、塩酸、硫酸、燐酸等の各種水溶液があげられる。そして、酸性水溶液の酸濃度は、酸性水溶液中においてフライアッシュ粉体の分散が良好となる酸濃度で、混合・攪拌処理することが、より効率的な予備洗浄という観点から好ましい。そして、本発明においては、上記酸性水溶液として、先に述べたように、酸濃度が15.0mol/リットル以上の酸性水溶液であり、より詳しく述べると、20℃で15.0mol/リットル以上の濃酸性水溶液が用いられる。この場合の酸濃度の上限は特にないが、市販の濃塩酸であれば、通常、約15mol/リットルである。そして、上記15.0mol/リットル以上の酸性水溶液を用いる場合は、シラノール基の生成が顕著となるため、先に述べたように、最終的に、500℃〜900℃の範囲で再焼成を行う必要がある。
【0029】
上記酸性水溶液を用いた洗浄工程後に行われる純水を用いた洗浄工程は、純水中に焼成・酸性水溶液洗浄後のフライアッシュ粉体を浸漬させ、好ましくは振とうや攪拌操作を行い、効率的にイオン性不純物を抽出水中に溶出させることによりフライアッシュ粉体粒子表面に付着していると考えられるイオン性不純物を低減させる。
【0030】
上記洗浄工程に用いられる純水としては、特に限定するものではなく先に述べたと同様、例えば、少量のイオン性不純物を含む工業用水や水道水、あるいは、イオン性不純物をほとんど含まないイオン交換水や超純水等があげられる。そして、目標とするイオン性不純物量に合わせて、よりイオン性不純物量の低減を図る場合には、洗浄度合いに応じて、イオン交換水や超純水を使用することが好ましい。具体的には、電気伝導度が1μS/cm以下の純水を用いることが好ましい。
【0031】
さらに、上記純水を用いた洗浄工程における純水の温度についても特に限定するものではなく0〜100℃の範囲であればよい。より詳しく説明すると、0〜20℃程度の常温水による抽出洗浄操作、固液分離操作、乾燥操作を連続して4〜5回程度繰り返した後、80〜100℃の高温熱湯水による抽出洗浄操作、固液分離操作、乾燥操作をこれも連続して4〜5回程度繰り返す方法が、より経済的かつ効率的にイオン性不純物量を低減することが可能となり好ましい。なお、100℃以上の高温高圧水による洗浄を行えば、さらにイオン性不純物を低減できるが、装置が大がかりなものとなり、経済性が著しく低下する。
【0032】
また、上記純水を用いた洗浄工程における、フライアッシュ粉体と純水の混合・攪拌時の固液比についても特に限定するものではないが、フライアッシュ粉体の割合を多くして洗浄回数を増やす方が洗浄水量の低減化が図られ好ましい。
【0033】
そして、上記洗浄工程における抽出洗浄時の混合・攪拌機については特に限定するものではなく、分散性に優れる一般的なディスパー攪拌機等が用いられる。また、上記固液分離方法については、分離後のフライアッシュケーキの含水率が低い方が固液分離操作の繰り返し回数を低減することができ、より経済的にイオン性不純物の低減化が図られる。この際の固液分離方法についても特に限定するものではなく、例えば、加圧濾過等のフィルターを利用した濾過による方法や、遠心分離法や自然沈降等のフライアッシュと水との比重差を利用したデカンター分離方法等があげられる。
【0034】
つぎに、上記純水を用いた洗浄工程後に行われる乾燥工程では、フライアッシュケーキから完全に水分を除去する必要があり、その乾燥方法としては、特に限定するものではなく、例えば、固液分離後のフライアッシュケーキを高温のオーブンで乾燥固化する方法や、スプレードライヤーによる加温乾燥固化する方法等があげられる。なお、乾燥時にフライアッシュが凝集した場合は、適度に解す操作を施すことが好ましい。
【0035】
そして、前記酸性水溶液を用いた洗浄工程において、15.0mol/リットル以上の酸性水溶液を用いた場合は、上記乾燥工程を経由して粉体化したフライアッシュ粉体を、さらに500〜900℃の温度条件で再焼成する必要がある。このように、再焼成することにより、フライアッシュ粉体の粒子表面に生成したシラノール基が低減され、混練り性、成形性、流動性が良好となる。
【0036】
このように、上記温度条件で再焼成することにより得られる作用・効果は、つぎのように考えられる。すなわち、上記15.0mol/リットル以上の高濃度の酸性水溶液を用いた洗浄工程においては、フライアッシュ粉体の粒子表面にシラノール基のようなOH基を有する基が顕著に生成すると考えられ、洗浄処理されたフライアッシュ粉体と、樹脂組成物を得るために混合配合する樹脂成分が親水性でない場合、濡れ性が悪くなる。一例をあげると、半導体用封止材に用いられる樹脂成分は、エポキシ樹脂,フェノール樹脂等であり、これらは基本的に疎水性であるため、純水洗浄したままでは濡れ性が悪く、混練不良を生起する。その結果、成形性、流動性が低下することが懸念され、実質上成形材料としては使用することが困難となる。したがって、上記再焼成を行うことによって、フライアッシュ粉体表面のOH基を有する基であるシラノール基が低減され、優れた成形性および流動性が得られると考えられる。なお、シラノール基を除去するため、特殊なシランカップリング剤による表面処理も考えられるが、高価な処理法であり、経済性の観点から、安価で簡便な再焼成処理が推奨される。
【0037】
このようにして得られるフライアッシュ粉体は、各種分野の充填材料、例えば、電気絶縁材料、塗料の充填材、半導体用封止材等に利用可能である。一例として、半導体用封止材においては、信頼特性、流動特性の観点から非常に高価な球状溶融シリカが多く用いられているが、本発明により得られるフライアッシュ粉体は、安価であり、さらに球状を有しており、半導体用封止材の無機質充填剤として効果的に用いることができる。
【0038】
本発明により得られるフライアッシュ粉体の用途の一例として、先に述べたように、半導体用封止材の無機質充填剤があげられる。そして、その使用形態としては従来の無機質充填剤と同様に用いられ、特にその使用方法においては限定されるものではない。
【0039】
本発明により得られるフライアッシュ粉体を用いた用途の一例である半導体封止用樹脂組成物は、特に限定するものではなく、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、硬化促進剤および無機質充填剤を含有するものであり、通常、粉末状あるいはこれを打錠したタブレット状になっている。そして、上記無機質充填剤の一部または全部を本発明のフライアッシュ粉体に代えて用いられる。
【0040】
上記エポキシ樹脂、フェノール樹脂、硬化促進剤および無機質充填剤としては、特に限定するものではなく、半導体封止用材料として従来から用いられているものが適宜使用される。さらには、上記エポキシ樹脂、フェノール樹脂、硬化促進剤、無機質充填剤以外に、公知の難燃剤や難燃助剤、離型剤、顔料や着色料、シランカップリング剤、低応力化剤等他の添加剤を必要に応じて適宜に添加することができる。
【0041】
本発明により得られるフライアッシュ粉体を用いた半導体封止用樹脂組成物は、例えば、上記各成分を配合し混合した後、ミキシングロール機等の混練機にかけ加熱状態で溶融混合し、これを室温に冷却した後、公知の手段によって粉砕し、必要に応じて打錠するという一連の工程により製造することができる。
【0042】
このようなエポキシ樹脂組成物を用いての半導体素子の封止は、特に制限するものではなく、通常のトランスファー成形等の公知のモールド方法により行うことができる。
【0043】
つぎに、実施例について参考例および比較例と併せて説明する。
【0044】
下記に示すように、各種フライアッシュ粉体を製造した。
【0045】
【参考例1〜3】
〔フライアッシュ粉体A〕
5kgのフライアッシュ粉体原料(平均粒子径2μm)を準備し、これを600℃の温度で8時間焼成した。ついで、酸性水溶液である濃度約1.0mol/リットルの塩酸水溶液50kg中で24時間攪拌混合した後、加圧フィルター濾過操作によりほぼ完全に固液分離した。フィルター上のケーキ状フライアッシュを常温の純水50kgに入れ、約30分混合攪拌した後、同様の加圧フィルター濾過操作により、ほぼ完全に固液分離した。この常温純水による洗浄操作を計10回繰り返した後、90℃の超純水で同様の洗浄操作を計15回繰り返した。得られたフライアッシュケーキを120℃の乾燥機中で24時間乾燥固化した後、凝集を充分に解することにより目的とするフライアッシュ粉体Aを作製した。
【0046】
〔フライアッシュ粉体B〕
平均粒子径5μmのフライアッシュ粉体原料を用いた。それ以外はフライアッシュ粉体Aと同様にしてフライアッシュ粉体Bを作製した。
【0047】
〔フライアッシュ粉体C〕
平均粒子径25μmのフライアッシュ粉体原料を用いた。それ以外はフライアッシュ粉体Aと同様にしてフライアッシュ粉体Cを作製した。
【0048】
【実施例1〜3】
〔フライアッシュ粉体D〕
5kgのフライアッシュ粉体原料(平均粒子径2μm)を準備し、これを600℃の温度で8時間焼成した。ついで、酸性水溶液である濃度約15.0mol/リットルの濃塩酸水溶液50kg中で24時間攪拌混合した後、加圧フィルター濾過操作によりほぼ完全に固液分離した。フィルター上のケーキ状フライアッシュを常温の純水50kgに入れ、約30分混合攪拌した後、同様の加圧フィルター濾過操作により、ほぼ完全に固液分離した。この常温純水による洗浄操作を計10回繰り返した後、90℃の超純水で同様の洗浄操作を計15回繰り返した。得られたフライアッシュケーキを120℃の乾燥機中で24時間乾燥固化した後、凝集を充分に解してフライアッシュ粉体を得た。つぎに、得られたフライアッシュ粉体をさらに、600℃の温度で8時間再焼成を行うことにより目的とするフライアッシュ粉体Dを作製した。
【0049】
〔フライアッシュ粉体E〕
平均粒子径5μmのフライアッシュ粉体原料を用いた。それ以外はフライアッシュ粉体Dと同様にしてフライアッシュ粉体Eを作製した。
【0050】
〔フライアッシュ粉体F〕
平均粒子径25μmのフライアッシュ粉体原料を用いた。それ以外はフライアッシュ粉体Dと同様にしてフライアッシュ粉体Fを作製した。
【0051】
【比較例1〜6】
〔フライアッシュ粉体G〕
上記フライアッシュ粉体Dの作製において、600℃の温度で8時間の再焼成処理を行わなかった。それ以外はフライアッシュ粉体Dと同様にしてフライアッシュ粉体Gを作製した。
【0052】
〔フライアッシュ粉体H〕
上記フライアッシュ粉体Eの作製において、600℃の温度で8時間の再焼成処理を行わなかった。それ以外はフライアッシュ粉体Eと同様にしてフライアッシュ粉体Hを作製した。
【0053】
〔フライアッシュ粉体I〕
上記フライアッシュ粉体Fの作製において、600℃の温度で8時間の再焼成処理を行わなかった。それ以外はフライアッシュ粉体Fと同様にしてフライアッシュ粉体Iを作製した。
【0054】
〔フライアッシュ粉体J〕
5kgのフライアッシュ粉体原料(平均粒子径2μm)を準備し、これを600℃の温度で8時間焼成することによりフライアッシュ粉体Jを作製した。
【0055】
〔フライアッシュ粉体K〕
平均粒子径5μmのフライアッシュ粉体原料を用いた。それ以外はフライアッシュ粉体Jと同様にしてフライアッシュ粉体Kを作製した。
【0056】
〔フライアッシュ粉体L〕
平均粒子径25μmのフライアッシュ粉体原料を用いた。それ以外はフライアッシュ粉体Jと同様にしてフライアッシュ粉体Lを作製した。
【0057】
このようにして得られた各フライアッシュ粉体A〜Lの製造工程を後記の表1に示すとともに、上記各フライアッシュ粉体A〜Lにおける、抽出水の電気伝導度をつぎのようにして測定した。すなわち、上記各フライアッシュ粉体を加圧容器の中に5.0g採取し、50mlの超純水(電気伝導度が1μS/cm以下)中に160℃で24時間浸漬して抽出水を得た。そして、この抽出水の電気伝導度を電気伝導度計(ホリバ社製、型式DS−15,セル定数0.1)を用いて測定した。その結果を下記の表2に示した。
【0058】
また、上記各フライアッシュ粉体A〜Fのシラノール基の含有比率を前述のシラノール基の含有比率測定方法に従って、測定した。その結果を後記の表2に併せて示した。
【0059】
【表1】
Figure 0003985028
【0060】
【表2】
Figure 0003985028
【0061】
上記表2から明らかなように、初期焼成処理のみのフライアッシュ粉体J〜Lの抽出水電気伝導度は5420〜5700μS/cmと極めて高い値を示すのに対し、塩酸水溶液および純水による洗浄処理工程を経由して得られたフライアッシュ粉体A〜Fの抽出水電気伝導度は50μS/cm以下と低く、一連の洗浄工程によって、イオン性不純物が低減されている。また、シラノール基含有比率においては、15.0mol/リットルの濃塩酸水溶液を用いた洗浄工程を経由しながら再焼成処理を行わなかったフライアッシュ粉体G〜Iのシラノール基含有比率は0.190とシラノール基が高い比率で残存したのに対し、本発明の製法により得られたフライアッシュ粉体D〜Fでは0.035とシラノール基の比率が0.10以下に低減されている。
【0062】
つぎに、液状エポキシ樹脂(EP−827、油化シェル社製)と上記各フライアッシュ粉体A〜Lの濡れ性の違いによる分散性の状態変化を試験した。試験方法は、5.0gの液状エポキシ樹脂(EP−827)と10.0gのフライアッシュ粉体をビーカに入れ、加温しながら170℃で一定に保ち、単にガラス棒で5分間攪拌・混合した。その後の混合スラリーの状態を目視観察して、評価した。その結果を下記の表3に示した。
【0063】
【表3】
Figure 0003985028
【0064】
上記表3から明らかなように、シラノール基含有比率の多いフライアッシュ粉体G〜Iを液状エポキシ樹脂(EP−827)と混合攪拌させた試料では、フライアッシュ粉体が均一に分散せず、粉体粒子が凝集したようになり、つやのない粒状となった。これに対して、シラノール基含有比率の少ない、いわゆる実質的に含有しないのと同等のフライアッシュ粉体D〜Fでは粉体粒子が均一に分散し、つやのあるクリーム状になった。
【0065】
このように、上記表2および表3の結果から、焼成工程、酸性水溶液を用いての洗浄工程、純水を用いての洗浄工程を基本工程として製造された、電気伝導度が50μS/cm以下で、シラノール基を低減させた実施例品ではエポキシ樹脂に対する濡れ性が向上し、分散性が向上したことがわかる。なお、フライアッシュ粉体J〜Lでは、上記初期焼成処理のみ経由して作製されたものであるため、シラノール基は少なく、均一に分散し、濡れ性は良好であるが、イオン性不純物を多く含有しているため電気伝導度が極端に高く、電気・電子分野等の高い信頼性が要求される用途には不適当であることは明らかである。
【0066】
つぎに、上記フライアッシュ粉体D〜Fを用いて、半導体用封止材である半導体封止用エポキシ樹脂組成物を作製した。
【0067】
上記エポキシ樹脂組成物の配合成分は、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂100重量部(以下「部」と略す)と、臭素化エポキシ樹脂15部と、フェノールノボラック樹脂58部と、硬化促進剤(1,8−ジアザビシクロ〔5,4,0〕ウンデセン−7)2部と、カーボンブラック2部と、シランカップリング剤1部と、カルナバワックス3部と、各フライアッシュ粉体〜Fをそれぞれ800部用いた。そして、これら各成分を配合し、ミキシングロール機(温度100℃)で3分間溶融混練した。つぎに、この溶融物を冷却した後粉砕することにより種類の半導体封止用エポキシ樹脂組成物を得た。
【0068】
そして、半導体素子を16ピンデュアルインラインパッケージ(16pin DIP)リードフレームに装着し、ワイヤーボンディングを行い、上記各エポキシ樹脂組成物を用いて、トランスファー成形により樹脂封止し、175℃×120秒の条件で硬化して175℃×5時間のポストキュアーを行い半導体装置を製造した。
【0069】
このように、従来の無機質充填剤である溶融球状シリカ粉末に代えて上記フライアッシュ粉体D〜Fを用いて作製した半導体封止用エポキシ樹脂組成物により樹脂封止され製造された半導体装置は、その使用に際して何ら問題のないものであった。
【0070】
【発明の効果】
以上のように、本発明は、フライアッシュ粉体原料を500〜900℃の温度で焼成した後、特定の酸濃度の酸性水溶液を用いて上記焼成後のフライアッシュ粉体原料を洗浄し、続いて、純水を用いて洗浄し、乾燥して粉体化した後、さらに、500〜900℃の温度で再焼成することにより、10gのフライアッシュ粉体を100mlの純水中に20℃で6時間浸漬した後の抽出水の電気伝導度が、200μS/cm以下であり、〔Si−OH〕/〔Si〕のシラノール基含有比率が0.10以下であるフライアッシュ粉体製法である。このような製法により、極めて低い含有量までイオン性不純物が除去されて、しかも実質的にシラノール基を含有しない上記フライアッシュ粉体が得られ、例えば、従来から用いられている球状溶融シリカ等の無機質充填剤と同等の特性を有する低コストのものが得られるのである。そして、この製法により得られる粉体は、樹脂組成物との濡れ性が良好となり、その結果、成形性、流動性に優れるようになる。
【0071】
したがって、本発明により得られるフライアッシュ粉体は、例えば、電気絶縁材料,塗料用充填材、半導体用封止材として有用である。特に、半導体用封止材として用いる場合、信頼性、流動性の観点から、従来から使用されている高価な球状溶融シリカに代わるものとして好ましく用いられ、低コスト化が実現する。

Claims (3)

  1. フライアッシュ粉体原料を500〜900℃の温度で焼成した後、酸濃度15.0mol/リットル以上の酸性水溶液を用いて上記焼成後のフライアッシュ粉体原料を洗浄し、続いて、純水を用いて洗浄し、乾燥して粉体化した後、さらに、500〜900℃の温度で再焼成することにより、下記(A)のフライアッシュ粉体を得ることを特徴とするフライアッシュ粉体の製法。
    (A)10gのフライアッシュ粉体を100mlの純水中に20℃で6時間浸漬した後の抽出水の電気伝導度が、200μS/cm以下であり、〔Si−OH〕/〔Si〕のシラノール基含有比率が0.10以下であるフライアッシュ粉体。
  2. 上記(A)のフライアッシュ粉体において、10gのフライアッシュ粉体を浸漬する純水の電気伝導度が1μS/cm以下である請求項1記載のフライアッシュ粉体の製法。
  3. 上記純水を用いた洗浄工程が、0〜100℃での電気伝導度が1μS/cm以下の純水を用いた水洗,濾別,乾燥の繰り返し工程である請求項1または2記載のフライアッシュ粉体の製法。
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