JP2000234107A - 鱗片状銀粉およびその製造方法 - Google Patents
鱗片状銀粉およびその製造方法Info
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Abstract
ない鱗片状銀粉の提供。 【解決手段】 銀粉に例えばノイゲンET190(第一工業
製薬 非イオン性界面活性剤 H.L.B.値=19)のよ
うな非イオン性界面活性剤の所定量を添加して、アトラ
イターミル等の粉砕機で粉砕溶媒中において湿式粉砕
後、濾過、乾燥、解砕すれば、生成する鱗片状銀粉の表
面および内部に、熱硬化性樹脂と反応する官能基を持っ
た有機物が存在せず、かつイオン解離する有機物が存在
しない導電性ペーストに好適な鱗片状銀粉を製造するこ
とができる。
Description
スクリーン印刷等により回路を形成するのに用いられる
導電性ペーストに好適な鱗片状銀粉およびその製造方法
に関する。
り回路を形成するのに用いられる導電性ペーストは、そ
の用途により、高温焼成タイプと加熱硬化タイプに大き
く分類され、高温焼成タイプは550℃〜900℃程度
の高温が加えられるため、銀粒子同士が融着し、バルク
の銀と同程度の低抵抗を示す。この用途に用いられる銀
粉は球状銀粉であることが多いのに対し、加熱硬化タイ
プでは室温〜200℃程度の比較的低温で樹脂を硬化さ
せ、これにより生じた銀粒子同士の接触により導電性が
発現する。加熱硬化タイプでは高温焼成タイプと比較し
て抵抗が高く、より低抵抗化を期待されている。そのた
め、この用途に用いられる銀粉は鱗片状銀粉であること
が多い。なぜなら、鱗片状銀粉ならば、その形状のため
面接触が期待でき、導通が取りやすいためである。
耐熱性の劣る素材での回路形成や電気的導通を得るため
の接着に用いられることが多かった。こうした用途に加
えて、最近では、環境負荷低減の観点から、多くのエネ
ルギーを消費する高温焼成タイプから加熱硬化タイプへ
の流れが産業界において見られる。また、環境汚染問題
を背景として、半田における鉛使用廃止が議論されてい
るが、その解決手段の一つとして導電性接着剤が有力な
候補と目されている。
トに使用される鱗片状銀粉は、例えば、銀塩のアンモニ
ア錯体や酸化銀を還元して生成した球状銀粉をボールミ
ル、振動ミル等により機械的に粉砕をすることにより製
造されてきた。この際、凝集による銀粒子の粗粒子化を
防止するために、脂肪酸や金属石鹸のような滑性を付与
する目的を持った物質が被粉砕物である銀粉に添加され
てきた。
術にあっては、粉砕前および/または粉砕時に添加され
た脂肪酸は銀粉表面に強固に付着、残存し、除去が困難
であり、表面に付着した脂肪酸は、導電性ペースト加熱
硬化時にアウトガス成分として塗膜にボイドを形成し、
抵抗値を上げる原因になったり、また、ペースト樹脂と
の馴染みを非常に悪化させ、ペーストが練れない原因と
なることは既に知られていた。また、金属石鹸の場合に
はイオン不純分が問題となり、イオン汚染を嫌うIC周
りに用いる導電性ペーストには使用できなかった。
低抵抗、高接着強度、寸法安定性等の基本特性は維持し
つつ、作業性改善のために一液型で、ポットライフ(可
使用時間)が長く、好ましくは室温にて保存可能な導電
性ペーストが要望されている。
てきた結果、ペースト樹脂と銀粉表面に付着した添加剤
の反応が問題となる系が存在することが明らかになって
きた。
の脂肪酸は硬化阻害を起こす。これは、脂肪酸のカルボ
キシル基とエポキシ樹脂中のエポキシ基が反応したもの
と思われる。同様に、添加剤として脂肪酸の塩類、アミ
ン類、酸アミド、各種カップリング剤を使用したものに
もある種の縮重合をともなう熱硬化性樹脂との間で問題
が生じることが、新規に明らかになってきた。
を保つためにも、導電性フィラーとして用いられる銀粉
の側で対処するのが好ましい。
面に有機物の付着物がないのが好ましいが、粉砕助剤を
添加しないと実質的に鱗片化処理ができないという問題
があった。
果を持ち、熱硬化性樹脂と反応せず、イオン不純分の少
ない添加剤を使用した鱗片状銀粉の製造方法および銀粉
を提供することにある。
のアンモニア錯体や酸化銀を還元して生成した球状銀粉
をボールミル、振動ミル等により機械的に粉砕をするこ
とにより製造される銀粉であり、走査型電子顕微鏡(SE
M)により観察される形状が非球状(例えば、鱗片状、
板状、フレーク状と形容される形状)に加工されたもの
が支配的な銀粉を意味する。
達成すべく鋭意研究した結果、銀粉に非イオン性界面活
性剤を添加して、ボールミル、アトライターミル、ビー
ズミル等の粉砕機により粉砕溶媒中において湿式粉砕す
るようにすれば、生成する鱗片状銀粉の表面および内部
に熱硬化性樹脂と反応する官能基を持った有機物が存在
せず、かつ、生成する鱗片状銀粉の表面および内部にイ
オン解離する有機物が存在しない鱗片状銀粉を製造で
き、導電性ペーストに好適な鱗片状銀粉が得られること
を見いだし、本発明に到達した。ここで用いられる粉砕
前の銀粉には脂肪酸等の熱硬化性樹脂と反応する不純分
が残存していると不可となるが、非イオン性界面活性剤
の場合には問題とならない。さらに言うならば、球状粉
還元生成時等に表面処理が施されていないのが好まし
い。
鱗片状銀粉を製造する方法において、非イオン性界面活
性剤を粉砕前および/または粉砕中に、銀粉および/ま
たは粉砕溶媒に添加し湿式粉砕により鱗片化処理するこ
とを特徴とする鱗片状銀粉の製造方法;第2に、前記非
イオン性界面活性剤がポリオキシエチレンアルキルエー
テル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、
ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレ
ンソルビタン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステ
ルの少なくとも1種類である上記第1記載の製造方法;
第3に、前記非イオン性界面活性剤の添加量が粉砕前の
銀粉の重量に対して0.1から25重量%である上記第
1または第2記載の製造方法;第4に、前記粉砕溶媒が
水、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロ
パノール、1-ブタノール、2-ブタノール、1-ペンタノー
ル、2-ペンタノール、3-ペンタノール、ジメチルケト
ン、ジエチルケトン、ジエチルエーテル、ジメチルエー
テル、ジフェニルエーテル、トルエン、キシレンの少な
くとも1種類である上記第1ないし第3のいずれかに記
載の製造方法;第5に、前記非イオン性界面活性剤の
H.L.B.値は粉砕溶媒が水の場合には6から20、有
機溶媒の場合には0.1から6である上記第1ないし第
4のいずれかに記載の製造方法;第6に、鱗片状銀粉の
表面および内部に熱硬化性樹脂と反応する官能基を持っ
た有機物が存在せず、かつ鱗片状銀粉の表面および内部
にイオン解離する有機物が存在しないことを特徴とする
鱗片状銀粉を提供するものである。
面活性剤を添加して、ボールミル、アトライターミル、
ビーズミル等の粉砕機により粉砕溶媒中において湿式雰
囲気で粉砕することにより、生成する鱗片状銀粉の表面
および内部に樹脂と反応する官能基を持った有機物が存
在せず、かつ、生成する鱗片状銀粉の表面および内部に
イオン解離する有機物が存在しない鱗片状銀粉を製造す
ることができる。ここで用いられる粉砕前の銀粉には脂
肪酸等の熱硬化性樹脂と反応する添加剤が残存している
と不可となるが、非イオン性界面活性剤の場合には問題
とならない。さらに言うならば、球状粉還元生成時等に
表面処理が施されていないのが好ましい。
る。
はポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエ
チレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン
脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸
エステル、ソルビタン脂肪酸エステルの少なくとも1種
類であることが望ましい。
は、熱硬化性樹脂と反応する官能基を保有せず、結果的
に樹脂の硬化阻害を起こすことはない。ここで言う硬化
阻害とはペーストの使用意図に反した現象全般を指す。
具体的には1)ペースト混練時に硬化が始まり、粘度上昇
を起こし、ペースト化できない場合、2)ポットライフが
非常に短く、保存中に硬化が始まる場合等の予期せぬ硬
化。および、3)加熱をしても硬化しない場合のいずれも
含む。なおかつイオン解離する官能基を保有しないため
イオン不純分の原因とはなり得ない。
ず、なおかつイオン解離する官能基を保有しない添加剤
は他にも存在するが、鱗片化処理時の粒度分布制御性の
良さ、鱗片化処理後の除去の容易さを考慮すると、非イ
オン性界面活性剤が最も有効である。例えば、エチレン
ワックス、流動パラフィン等の炭化水素では、鱗片化時
の制御が非常に困難である。
ーズミル等を用いて溶媒中、湿式雰囲気で行なえばよ
い。粉砕溶媒としては水または有機溶媒が使用可能であ
るが、特に、水、メタノール、エタノール、1-プロパノ
ール、2-プロパノール、1-ブタノール、2-ブタノール、
1-ペンタノール、2-ペンタノール、3-ペンタノール、ジ
メチルケトン、ジエチルケトン、ジエチルエーテル、ジ
メチルエーテル、ジフェニルエーテル、トルエン、キシ
レンの少なくとも1種類が好ましい。
剤の親水性親油性バランスを示すH.L.B.値0から2
0の間に存在すると規定されている。本発明では、H.
L.B.値が0.1から20のものを、粉砕溶媒の特性に
合わせて任意に使用できる。H.L.B.値はすなわち、
粉砕溶媒が水の場合には、H.L.B.値が好ましくは6
から20、更に好ましくは8から20のものを用いるこ
とができる。6より小さい場合には、水とのなじみが悪
く不適である。一方、粉砕溶媒がアルコール等の有機溶
媒の場合には、H.L.B.値が好ましくは0.1から
6、更に好ましくは0.1から4のものを用いることが
できる。親水基を全く保有しない場合はH.L.B.値が
0となり、銀粉の鱗片化処理時の添加剤としては不適で
ある(例えば、エチレンワックス、流動パラフィン等の
炭化水素)。また6より大きな場合には鱗片化処理時に
凝集が起こりやすくなるため不適である。
状銀粉製造時、粉砕前、および/または粉砕中に、銀粉
および/または粉砕溶媒に行なう。添加は、1回のみで
も2回以上でも良く、2回以上添加する場合は、非イオ
ン性界面活性剤の種類は同一でも、異なっていてもよい
が、粉砕前に予め銀粉に添加しておくのが特に好まし
い。これは、予め添加することなしに粉砕を始めると、
銀粒子が凝集し、粗粒化し易いためである。また、粉砕
前の銀粉には、球状粉還元生成時等に表面処理が施され
ていないのが好ましいが、上記非イオン性界面活性剤の
場合は付着していても問題なく使用できる。
銀粉の重量に対して0.1重量%から50重量%、好ま
しくは0.1重量%から25重量%である。0.1重量
%より少ないときは粒子が凝集しやすく、50重量%よ
り多くても顕著な差が見られないためである。
表面および内部に熱硬化性樹脂と反応する官能基を持っ
た有機物が存在せず、かつ、生成する鱗片状銀粉の表面
および内部にイオン解離する有機物が存在しない。
は、熱硬化性樹脂との反応がないためペースト作製時の
樹脂選択の自由度を高め、特に、添加剤が原因となって
起こるペーストのポットライフの短期間化という問題を
解決する。
汚染が問題となるIC周りにも使用できる。さらに、導
電性も良好であった。
するが、本発明の範囲はこれらによって限定されるもの
ではない。
ノイゲンET190(第一工業製薬 非イオン性界面活性剤
H.L.B.値=19)を1重量%添加し、予備混合後、
400mlの純水中で、5.25kgのSUSボールと
共にアトライターミルにて40分粉砕を行なった。粉砕
後のスラリーをSUSボールと分離後、吸引濾過により
固液分離を行なった後、70℃で20時間真空乾燥を行
なった。得られた乾燥物を小型粉砕器にて解砕した。こ
うして得られた鱗片状銀粉は熱硬化性樹脂と硬化阻害を
起こすこともなく、導電性も良好であった。
1と同様の条件で粉砕を行なった。
脂と硬化阻害を起こすこともなく、導電性も良好であっ
た。
非イオン性界面活性剤 H.L.B.値=12)とした以外
は、実施例1と同様の条件で粉砕を行なった。こうして
得られた鱗片状銀粉は熱硬化性樹脂と硬化阻害を起こす
こともなく、導電性も良好であった。
3と同様の条件で粉砕を行なった。
脂と硬化阻害を起こすこともなく、導電性も良好であっ
た。
イオン性界面活性剤 H.L.B.値=9)とした以外は、
実施例1と同様の条件で粉砕を行なった。こうして得ら
れた鱗片状銀粉は熱硬化性樹脂と硬化阻害を起こすこと
もなく、導電性も良好であった。
非イオン性界面活性剤 H.L.B.値=8)とした以外
は、実施例1と同様の条件で粉砕を行なった。こうして
得られた鱗片状銀粉は熱硬化性樹脂と硬化阻害を起こす
こともなく、導電性も良好であった。
ノイゲンEA33(第一工業製薬 非イオン性界面活性剤
H.L.B.値=4)を5重量%添加し、予備混合後、40
0mlのエタノール(和光純薬 試薬1級)中で、5.
25kgのSUSボールと共にアトライターミルにて6
0分粉砕を行なった。粉砕後のスラリーをSUSボール
と分離後、吸引濾過により固液分離を行なった後、70
℃で20時間真空乾燥を行なった。得られた乾燥物を小
型粉砕器にて解砕した。こうして得られた鱗片状銀粉は
熱硬化性樹脂と硬化阻害を起こすこともなく、導電性も
良好であった。
非イオン性界面活性剤 H.L.B.値=6)とした以外
は、実施例7と同様の条件で粉砕を行なった。こうして
得られた鱗片状銀粉は熱硬化性樹脂と硬化阻害を起こす
こともなく、導電性も良好であった。
イオン性界面活性剤 H.L.B.値=3.7)とした以外
は、実施例7と同様の条件で粉砕を行なった。こうして
得られた鱗片状銀粉は熱硬化性樹脂と硬化阻害を起こす
こともなく、導電性も良好であった。
い、粉砕溶媒をエタノール(和光純薬 試薬1級)に変
えた以外は実施例1と同様の条件で粉砕を行なった。こ
うして得られた鱗片状銀粉は熱硬化性樹脂と硬化阻害を
起こした。
級)に変えた以外は実施例7と同様の条件で粉砕を行な
った。こうして得られた鱗片状銀粉は熱硬化性樹脂と硬
化阻害を起こした。
級)に変えた以外は実施例7と同様の条件で粉砕を行な
った。こうして得られた鱗片状銀粉は熱硬化性樹脂と硬
化阻害を起こした。
ば、銀粉を粉砕して鱗片状銀粉を製造する際、所定量の
非イオン性界面活性剤を添加し、湿式粉砕により鱗片化
処理をするので、得られた銀粉は熱硬化樹脂と硬化阻害
を起こすことなく、電子部品の実装やスクリーン印刷等
により回路を形成するのに用いられる導電性ペーストに
好適な鱗片状銀粉を製造することができる。
Claims (6)
- 【請求項1】 銀粉を粉砕して鱗片状銀粉を製造する方
法において、非イオン性界面活性剤を粉砕前および/ま
たは粉砕中に、銀粉および/または粉砕溶媒に添加し湿
式粉砕により鱗片化処理することを特徴とする鱗片状銀
粉の製造方法。 - 【請求項2】 前記非イオン性界面活性剤がポリオキシ
エチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキ
ルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステ
ル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ソ
ルビタン脂肪酸エステルの少なくとも1種類である請求
項1記載の製造方法。 - 【請求項3】 前記非イオン性界面活性剤の添加量が粉
砕前の銀粉の重量に対して0.1から25重量%である
請求項1または2記載の製造方法。 - 【請求項4】 前記粉砕溶媒が水、メタノール、エタノ
ール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノー
ル、2-ブタノール、1-ペンタノール、2-ペンタノール、
3-ペンタノール、ジメチルケトン、ジエチルケトン、ジ
エチルエーテル、ジメチルエーテル、ジフェニルエーテ
ル、トルエン、キシレンの少なくとも1種類である請求
項1ないし3のいずれかに記載の製造方法。 - 【請求項5】 前記非イオン性界面活性剤のH.L.B.
値は粉砕溶媒が水の場合には6から20、有機溶媒の場
合には0.1から6である請求項1ないし4のいずれか
に記載の製造方法。 - 【請求項6】 鱗片状銀粉の表面および内部に熱硬化性
樹脂と反応する官能基を持った有機物が存在せず、かつ
鱗片状銀粉の表面および内部にイオン解離する有機物が
存在しないことを特徴とする鱗片状銀粉。
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JP03186699A JP4263799B2 (ja) | 1999-02-09 | 1999-02-09 | 鱗片状銀粉の製造方法 |
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Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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