JP3983945B2 - ブラシレスモータのターミナルケース取付構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、ブラシレスモータのターミナルケース取付構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
ブラシレスモータは、車両用空調装置のブロアファンモータとして使用されるものであって、その具体例を図7に示す。
【0003】
ブラシレスモータ101の概要は、ベース部材となる回路保護ケース103からモータシャフト105が立上がり、そのモータシャフト105にはブロアファン107が取付けられている。
【0004】
ブロアファン107は、駆動部109からの回転動力が前記モータシャフト105を介して与えられる。駆動部109は、前記モータシャフト105に装着されたヨーク111と、ヨーク111の内周面にS極,N極,S極の順に設けられた複数の磁石113と、磁石113と対向し、前記モータシャフト105を回転自在に支持する固定ハウジング115に設けられたステータ117とから成っている。
【0005】
駆動部109を駆動制御する駆動回路及びモータシャフト105の回転を制御するモータ制御回路は一枚の電気回路基板119に設けられ、電気回路基板119は、前記回路保護ケース103内に収納配置されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
電気回路基板119に設けられた駆動回路は、熱をもつ所から、その熱がモータ制御回路に悪影響を及ぼすことがないよう防止する手段が既に特願平11−237316号として提案されている。
【0007】
この手段は、駆動回路を仕切壁によりモータ制御回路から独立させ、ヒートシンクによって冷却するようになっている。
【0008】
具体的には、ターミナルケースの上面に、駆動回路の電子部品が実装された金属基板をそれの裏面側が上を向くようにして、組付け、その金属基板の裏面側に、ヒートシンクの伝熱面を上から重ね合わせた構造とするものである。
【0009】
これにより、金属基板の熱は伝熱面に伝わり、その伝導熱はヒートシンクの放熱部から放熱されるようになる。このため、ヒートシンクと金属基板との確実な密着状態が求められる。
【0010】
特に、ヒートシンクと伝熱面と金属基板とは、接合時に放熱接着剤が塗布され、塗布した放熱接着剤が固化するまで、ヒートシンクの伝熱面と金属基板との確実な密着管理が要求されていたものである。
【0011】
ヒートシンクの伝熱面と金属基板との確実な密着状態は、ヒートシンクと金属基板とを接合し、直接固定ねじでねじ止めすることで達成されるが、金属基板に取付孔を、ヒートシンクにねじ孔をそれぞれ設ける等の別工程が必要となる。また、ターミナルケースを取付ける取付けねじとは別に、専用の固定ねじが必要で、作業能率の面及びねじの管理工数及びコストの面でも望ましくなかった。
【0012】
そこで、この発明は、専用の固定ねじを用いることなく、ターミナルケースの取付け完了と同時にヒートシンクと金属基板の確実な密着状態が得られるようにしたブラシレスモータのターミナルケース取付構造を提供することを目的としている。
【0013】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、この発明の請求項1によれば、インナケースから複数立上がる支持体の上面に、電子部品が表面に実装される金属基板の裏面側が上を向く状態で固定セットされたターミナルケースの取付けフランジをセットし、前記インナケースの上方に位置するアッパケースの組付孔にセットされ、放熱部がアッパケースの上方に突出し、周縁フランジが組付孔の開口周縁と下から接触し合うヒートシンクの伝熱面を前記金属基板の上から重ね合わせる一方、前記アッパケースをインナケースへの取付け時に、前記アッパケースによりヒートシンクをターミナルケース側へ押圧する押圧力によって前記ターミナルケースの取付けフランジに、ターミナルケース本体をヒートシンク側へ向け押圧する押圧変形代を有するようにする。
【0014】
これにより、取付け完了時に、取付けフランジの押圧変形代によって、ターミナルケース本体は、ヒートシンク側へ向け押圧される結果、ヒートシンクとターミナルケース本体との間に挟まれた金属基板は、ヒートシンクの伝熱面と全領域面にわたって確実に密着し合う状態が得られるようになる。
【0015】
また、この発明の請求項2によれば、ターミナルケースの取付けフランジを、ターミナルケース本体より薄肉に形成する。
【0016】
これにより、取付け完了時、ターミナルケース本体が下降する反作用で支持体の上面にセットされた取付けフランジは、変形し易くなり、上向きに押圧する押圧変形代が確実に確保される。
【0017】
【発明の効果】
以上のように、この発明のターミナルケース取付構造によれば、取付け完了と同時に、取付けフランジに、上向きの押圧変形代を確保することができる。この結果、押圧変形代によりターミナルケース本体をヒートシンク側へ常時押圧するこが可能となり、ヒートシンクの伝熱面とターミナルケースの金属基板とを全領域面にわたって確実に密着させることができる。しかも、ねじ孔等の加工及び専用ねじが不要となり、加工性,コスト性の面において大変好ましいものとなる。
【0018】
また、薄肉によって容易に変形することが可能となり、取付けフランジに、確実な押圧変形代を確保することができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、図1乃至図6の図面を参照しながらこの発明の実施の形態について具体的に説明する。
【0020】
図3において、1は自動車用空気調和装置に使用されるブラシレスモータ、3はブラシレスモータ1によって回転動力が与えられる送風用のブロアファンをそれぞれ示している。
【0021】
ブロアファン3は、モータシャフト5の先端部に一体に取付けられている。モータシャフト5は、回転保護ケース7から立上がると共に上下の軸受9,10を介して固定ハウジング11に回転自在に支持されている。固定ハウジング11は、前記モータシャフト5を支持する上下に長い垂直筒部13と円盤状の水平部15とで形成されている。水平部15は、ゴム等の材質から成る弾性部材17を介して前記回路保護ケース7の取付けボス部19に取付けねじ21によって一体に固着されている。
【0022】
回路保護ケース7は、上下に着脱自在に組合わせ固定された上部ケース23と、下部ケース25とからなり、回路保護ケース7内には、ステータ27の回転を制御する駆動回路部29及びモータ制御回路部31が配置されている。
【0023】
ステータ27は、ヨーク33の内側に設けられた永久磁石35と対向し合うと共に、絶縁物37を介して巻線39が施されたコア41が所定間隔で複数設けられた形状となっていて、前記固定ハウジング11の垂直筒部13に一体に固定支持されている。
【0024】
ヨーク33は、前記ステータ27を取囲むと共に、前記モータシャフト5に固着された軸受部43と一体に連続する下方が開放された円筒状の形状となっていて、複数の冷却風取入口45を有している。
【0025】
ヨーク33の内壁面に設けられた永久磁石35は、180度対向した位置にN極,N極,S極,S極となるように配置されている。したがって、ステータ27に方向の異なる電流が流れることで、対向し合うコア41と永久磁石35との間で、S・NあるいはS・S又はN・Nとなり、吸引・反発力が発生し、回転駆動力が得られるようになっている。
【0026】
一方、駆動回路部29は、仕切壁47により前記モータ制御回路部31と独立していて、コンデンサ49や図外の電源コネクタ等の電気回路部品を備えたインナケース51と、ステータ27のコイル39を流れる電流の通路経路を切り換えるスイッチング素子53等を備えたターミナルケース55とが電気的に接続された構造となっている。なお、スイッチング素子53としては、MOS型電界効果トランジスタを採用している。
【0027】
スイッチング素子53の電子部品はアルミベースから成る金属基板57の表面に実装されると共に、金属基板57は裏面(図1上側)が上を向いた状態でターミナルケース55の上面に固定セットされている。
【0028】
ターミナルケース55は合成樹脂の材質で作られていて、図1に示すように、上面に金属基板57が固定セットされたターミナルケース本体59に、そのターミナルケース本体59より薄肉とした一対の取付けフランジ61を有する形状となっている。
【0029】
ターミナルケース55は、取付けフランジ61がインナケース51から立上がる支持体63の上面にセットされる一方、金属基板57の裏面(図1上側)にヒートシンク65の伝熱面67が上から重ね合せ結合している。
【0030】
ヒートシンク65は、熱伝導性のよい材質で作られていて、アッパケース69の組付孔71から多数の冷却用フインが上方へ突出した放熱部73と、組付孔71の開口周縁の下から接触し合う周縁フランジ75とを有している。
【0031】
アッパケース69は回路保護ケース7の上部ケース23に支持されていて、アッパケース69から下方へ向け延長された取付軸77は、前記ターミナルケース55の取付けフランジ61を貫通して、前記インナケース51の支持体63内へ挿入している。支持体63内に挿入された取付軸77のねじ部77aには、インナケース51の下方から支持体63内へ挿入された取付けねじ79が螺合し、下方へ向け引き込むよう螺合固定している。
【0032】
これにより、取付軸77に作用する下向きの力Fにより、ヒートシンク65を介してターミナルケース本体59を下方へ押圧する押圧力F1が働くため、支持体63の上面にセットされた取付けフランジ61は、その反作用で鎖線位置から実線位置へ変形する。この変形代は、元へ戻ろうとする上向きの押圧変形代αとして働くようになっている。
【0033】
一方、制御回路部31は、前記上部ケース23に支持された電気回路基板81に形成されている。電気回路基板81には、前記モータシャフト5の下部に設けられたセンサ磁石83と協働して永久磁石35の回転位置を検出するホール素子(図示省略)、スイッチング素子57の流通経路切換時期を制御するマイクロコンピュータ85等の電気回路部品が実装されている。
【0034】
なお、制御回路部31、前記駆動回路部29とは制御用の複数のバスバーによって電気的に接続している。
【0035】
このように構成されたブラシレスモータ1にターミナルケース55を取付けるには、図2に示すように、インナケース51から立上がる支持体63の上面に、ターミナルケース55の取付けフランジ61をセットし、上を向いた電子部品が実装されていない金属基板57の裏面側に、放熱接着剤Eを均一に塗布する。次にヒートシンク65の伝熱面67を、放熱接着剤Eが塗布された金属基板57の上から重ね合わせた後、アッパケース69の組付孔71から前記ヒートシンク65の放熱部73が上方へ突出するよう組付ける。と同様に、取付軸77を、前記取付けフランジ61を貫通し、支持体63内へ挿入する。続いて、インナケース51の下方から前記支持体63内へ挿入した取付けねじ79を取付軸77のねじ部77aへ螺合する。この時、取付軸77は下方F1へ引き込まれるようにして固定支持される。この時、ターミナルケース本体59は下向きに押圧F1されるため、その反作用で、支持体63の上面にのった取付けフランジ61は薄肉によって容易に変形する。この変形代はターミナルケース本体59を上向きに押圧する押圧変形代αとして働く結果、ターミナルケース59の取付け完了と同時に、ヒートシンク65の伝熱面67と金属基板57の全領域にわたって確実な密着状態が得られるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明にかかるターミナルケースの取付け状態を示した要部の切断面図。
【図2】図1の分解図。
【図3】この発明を実施したブラシレスモータ全体の概要切断面図。
【図4】ターミナルケースを裏面からみた説明図。
【図5】インナケースを裏面からみた説明図。
【図6】図1のA−A線からみた説明図。
【図7】従来例を示したブラシレスモータの概要切断面図。
【符号の説明】
51 インナケース
55 ターミナルケース
57 金属基板
61 取付けフランジ
63 支持体
65 ヒートシンク
67 伝熱面
69 アッパケース
71 組付孔
73 放熱部
75 周縁フランジ
79 取付けねじ
Claims (2)
- インナケース(51)から複数立上がる支持体(63)の上面に、電子部品が表面に実装される金属基板(57)の裏面側が上を向く状態で固定セットされたターミナルケース(55)の取付けフランジ(61)をセットし、前記インナケース(51)の上方に位置するアッパケース(69)の組付孔(71)にセットされ、放熱部(73)がアッパケース(69)の上方に突出し、周縁フランジ(75)が組付孔(71)の開口周縁と下から接触し合うヒートシンク(65)の伝熱面(67)を前記金属基板(57)の上から重ね合わせる一方、前記アッパケース(69)をインナケース(51)への取付け時に、前記アッパケース(69)によりヒートシンク(65)をターミナルケース(55)側へ押圧する押圧力(F1)によって前記ターミナルケース(55)の取付けフランジ(61)に、ターミナルケース本体(59)をヒートシンク(65)側へ向け押圧する押圧変形代(α)を有するようにしたことを特徴とするブラシレスモータのターミナルケース取付構造。
- ターミナルケース(55)の取付けフランジ(61)は、ターミナルケース本体(59)より薄肉に作られていることを特徴とする請求項1記載のブラシレスモータのターミナルケース取付構造。
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