以下、本願に係る回転電機の好適な実施の形態につき図面を用いて説明する。各図において同一、または相当する部分については、同一符号を付して説明する。なお、各図間の図示では、対応する各構成部のサイズ及び縮尺は、それぞれ独立している。
1.実施の形態1
実施の形態1に係る回転電機について図面を参照して説明する。図1は、回転電機を、回転軸4の軸心Cを通る平面で切断した模式的な断面図である。図2は、パワーモジュール120の平面図である。
本願において、回転軸4の軸心Cに平行な方向を軸方向Zと定義し、軸方向の一方側Z2を軸方向のリヤ側Z2と称し、軸方向の一方側Z2とは反対側である軸方向の他方側Z1を軸方向のフロント側Z1と称し、径方向Y及び周方向Xは、回転軸4の軸心Cについての径方向及び周方向である。
<回転電機本体部200>
回転電機は、回転電機本体部200を備えている。回転電機本体部200は、複数相の巻線を備えた固定子3と、固定子3の径方向内側Y1に配置された回転子6と、回転子6と一体回転する回転軸4と、固定子3及び回転子6を収容すると共に、回転軸4を回転可能に支持するブラケットと、を備えている。
本実施の形態では、ブラケットは、軸方向のフロント側Z1のフロント側ブラケット1及び軸方向のリヤ側Z2のリヤ側ブラケット2から構成されている。フロント側ブラケット1は、円筒状の外周壁と、外周壁の軸方向のフロント側Z1端部から径方向内側Y1に延びた円板状の側壁とを有しており、側壁の中心部に回転軸4が貫通し、フロント側ベアリング71が固定される貫通孔が設けられている。リヤ側ブラケット2は、円筒状の外周壁と、外周壁の軸方向のリヤ側Z2端部から径方向内側Y1に延びた円板状の側壁とを有しており、側壁の中心部に回転軸4が貫通し、リヤ側ベアリング72が固定される貫通孔が設けられている。フロント側ブラケット1とリヤ側ブラケット2は、軸方向Zに延びたボルト(不図示)によって連結されている。
回転軸4の軸方向のフロント側Z1の端部は、フロント側ブラケット1の貫通孔を貫通して、フロント側ブラケット1よりも軸方向のフロント側Z1に突出しており、この突出部にプーリ9が固定されている。プーリ9と、エンジンのクランクシャフトに固定されたプーリ9との間にベルトが掛け渡され(不図示)、回転電機とエンジンとの間で、回転駆動力の伝達を行う。
回転軸4の軸方向のリヤ側Z2の端部は、リヤ側ブラケット2の貫通孔を貫通して、リヤ側ブラケット2よりも軸方向のリヤ側Z2に突出しており、この突出部に一対のスリップリング90が設けられている。一対のスリップリング90は、回転子6の界磁巻線62に接続されている。
回転子6は、界磁巻線62と界磁鉄心61とを備えている。回転子6は、ランデル型(クローポール型ともいう)とされている。界磁鉄心61は、円筒状の中心部と、中心部の軸方向のフロント側Z1の端部から中心部の径方向外側Y2まで延びたフロント側の爪部と、中心部の軸方向のリヤ側Z2の端部から中心部の径方向外側Y2まで延びたリヤ側の爪部と、を備えている。界磁巻線62の絶縁処理された銅線は、界磁鉄心61の中心部の外周面に同心状に巻回されている。フロント側の爪部とリヤ側の爪部とは、周方向Xに交互に設けられており、互いに異なる磁極となる。例えば、フロント側の爪部とリヤ側の爪部は、それぞれ6個又は8個設けられる。
固定子3は、微小な隙間をあけて回転子6を取り囲むよう配設され、スロットを設けた円筒状の固定子鉄心31と、固定子鉄心31のスロットに巻装された複数相の巻線32と、を備えている。複数相の巻線32は、例えば、1組の3相巻線、2組の3相巻線、又は1組の5相巻線等とされ、回転電機の種類に応じて設定される。
複数相の巻線32は、固定子鉄心31から軸方向のフロント側Z1に突出したフロント側コイルエンド部、固定子鉄心31から軸方向のリヤ側Z2に突出したリヤ側コイルエンド部を有している。複数相の巻線32のリード線は、リヤ側ブラケット2を貫通して、軸方向のリヤ側Z2に延びている(不図示)。
フロント側ブラケット1とリヤ側ブラケット2とは、軸方向Zに間隔を空けて設けられている。固定子鉄心31は、フロント側ブラケット1の軸方向のリヤ側Z2の開口端部とリヤ側ブラケット2の軸方向のフロント側Z1の開口端部とにより軸方向両端から挟持されている。
固定子3(界磁鉄心61)の軸方向のフロント側Z1の端部には、複数のブレードを有するフロント側送風ファン81が固定され、固定子3(界磁鉄心61)の軸方向のリヤ側Z2の端部には、複数のブレードを有するリヤ側送風ファン82が取り付けられ、それらは、回転子6と一体回転する。フロント側送風ファン81及びリヤ側送風ファン82は、それぞれ、径方向外側Y2に送風し、径方向外側Y2に配置されたフロント側コイルエンド部及びリヤ側コイルエンド部等を冷却する。
フロント側ブラケット1は、フロント側送風ファン81の径方向外側Y2の部分に、周方向に分散して複数の開口部12(以下、排気開口部12と称す)を設けており、軸方向のフロント側Z1の部分に、周方向に分散して複数の開口部11(以下、吸気開口部11と称す)を設けている。矢印W1で示すように、吸気開口部11を通って、外側から空気(冷却風)が吸引され、フロント側送風ファン81により径方向外側Y2に送られ、排気開口部12を通って外側に排出される。
リヤ側ブラケット2は、リヤ側送風ファン82の径方向外側Y2の部分に、周方向に分散して複数の開口部22(以下、排気開口部22と称す)を設けており、軸方向のリヤ側Z2の端部に、周方向に分散して複数の開口部21(以下、吸気開口部21と称す)を設けている。矢印W2で示すように、吸気開口部21を通って、後述する電力供給ユニット300側から空気(冷却風)が吸引され、リヤ側送風ファン82により径方向外側Y2に送られ、排気開口部22を通って外側に排出される。
<電力供給ユニット300>
回転電機は、回転電機本体部200に電力を供給する電力供給ユニット300を備えている。電力供給ユニット300は、回転電機本体部200の軸方向のリヤ側Z2に配置され、回転電機本体部200に固定されている。
電力供給ユニット300は、直流電源から巻線への電力供給をオンオフする電力用半導体素子を設けたパワーモジュール120とパワーモジュール120に熱的に接続された冷却器110とを有するパワー回路部126と、電力用半導体素子をオンオフ制御する制御回路170を有する制御回路部104と、直流電源に接続される電源端子とパワーモジュール120とを接続する電力配線導体を有する電力配線部134とを、備えている。
本実施の形態では、複数のパワーモジュール120により、直流電源と固定子3に設けられた複数相の巻線32との間で、直流交流電力変換を行うインバータが構成されている。また、単数又は複数のパワーモジュール120により、直流電源と回転子6に設けられた界磁巻線62との間で、直流直流電力変換を行うコンバータが構成されている。
電力供給ユニット300は、リヤ側ブラケット2から軸方向のリヤ側Z2に突出した回転軸4の突出部に設けられた一対のスリップリング90に接触する一対のブラシ(不図示)を備えている。また、回転軸4の軸方向のリヤ側Z2の突出部には、回転軸4の回転情報を検出する回転センサ92が備えられている。回転センサ92には、ホール素子、レゾルバ、センサICが用いられる。回転センサ92は磁気誘導又は電磁誘導によって回転軸4の回転情報を検出している。
電力供給ユニット300は、カバー101を備えている。カバー101は、制御回路部104、パワー回路部126、及び電力配線部134等の電力供給ユニット300の構成要素の軸方向のリヤ側Z2及び径方向外側Y2を覆っている。カバー101は、軸方向のフロント側Z1に開口する有底筒状に形成されている。後述する実施の形態5の図11に示されているように、カバー101の外周部には、パワーモジュール120を外部の直流電源に接続するための正極側の電源端子151及び負極側の電源端子152、並びに制御回路170を外部の制御装置に接続するための制御用コネクタ153が設けられている。
カバー101の外周壁101bには、カバー開口部101cが設けられており、外側に開口している。軸方向のリヤ側Z2を覆うカバー101のリヤ側底壁101aには、開口部が設けられていない。カバー101の軸方向のフロント側Z1は開口しており、開口部は、回転電機本体部200(リヤ側ブラケット2)により覆われている。カバー101は、樹脂、金属、セラミック等で構成される。
制御回路170は、電子部品(不図示)と、電子部品が実装された板状(本例では、円板状)の制御基板103と、を備えている。制御基板103は、プリント基板、セラミック基板、金属基板等により構成されている。制御基板103は、リヤ側ブラケット2よりも軸方向のリヤ側Z2に間隔を空けて配置されている。制御基板103は、径方向Y及び周方向Xに延在している。特に、車載機器においては高い振動耐久性が必要なため、制御基板103は、制御回路ケース102に、ねじ、熱加締め、リベット、接着等により固定されている。固定点は、例えば50~60mm間隔で配置されている。この間隔は一例であり、振動条件及び製品形状に合わせて変えられてもよい。
制御回路部104は、制御回路170(本例では、制御基板103)の軸方向のフロント側Z1を覆う制御回路ケース102を備えている。制御回路ケース102は、リヤ側ブラケット2よりも軸方向のリヤ側Z2に間隔を空けて配置されている。制御回路ケース102は、径方向Y及び周方向Xに延在している。パワー回路部126(パワーモジュール120及び冷却器110)、電力配線部134、ブラシ、及び回転センサ92等は、軸方向Zにおける制御回路ケース102(制御回路部104)とリヤ側ブラケット2との間の空間に配置されている。
本実施の形態では、制御回路ケース102の軸方向のフロント側Z1の面は、軸方向Zに直交している。なお、制御回路ケース102の軸方向のフロント側Z1の面は、軸方向Zに直交する平面に対して、例えば、30度以内の角度で傾いていてもよい。制御回路ケース102は、制御基板103の外周側を覆う周壁を備えている。制御基板103の軸方向のリヤ側Z2は、カバー101のリヤ側底壁101aにより覆われている。
制御回路ケース102は、後述するパワーモジュール120の制御用接続部材124が貫通する開口部(不図示)が設けられている。制御用接続部材124は、制御基板103に接続される。
回転軸4は、リヤ側ブラケット2から制御回路ケース102の前まで、軸方向のリヤ側Z2に延出している。よって、回転軸4は、制御回路ケース102及び制御基板103を貫通しておらず、制御回路ケース102の軸方向のフロント側Z1に隙間を空けて配置されている。この構成によれば、制御回路ケース102及び制御基板103に、回転軸4をよけるための開口部を設ける必要がなくなる。よって、制御基板103の外径を減少させ、パワーモジュール120の外径を小型化、低コスト化することができる。
なお、リヤ側ブラケット2と軸方向Zに見て重複する範囲内に電子部品を配置できれば、制御基板103に回転軸4が貫通する貫通孔が設けられてもよい。また、制御基板103は、リヤ側ブラケット2と軸方向Zに見て重複する範囲内に収まれば、円板状でなくてもよく、2枚以上の回路基板により構成されてもよく、それぞれの回路基板の材料が異なっていてもよい。
<パワーモジュール120>
電力供給ユニット300は、固定子3の1つの相の巻線に対して、図3に示すような、正極側の電源端子151に接続される正極側の電力用半導体素子127Hと、負極側の電源端子152に接続される負極側の電力用半導体素子127Lとが直列接続された直列回路を1セット設けている。正極側の電力用半導体素子127Hと負極側の電力用半導体素子127Lとが直列接続されている接続点が、対応する相の巻線に接続される。例えば、1組の3相の巻線が設けられる場合は、3セットの直列回路が設けられ、2組の3相の巻線が設けられる場合は、6セットの直列回路が設けられる。
電力供給ユニット300は、界磁巻線62用に、1つ以上の電力用半導体素子を設けたコンバータを備えている。例えば、コンバータは、2つの電力用半導体素子が直列接続された直列回路を2セット設けたり、3つの電力用半導体素子が直列接続された直列回路を設けたりする。コンバータは、正極側の電源端子151、負極側の電源端子152、界磁巻線62に接続される。
電力用半導体素子には、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)、パワーMOSFET(Power Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)等のスイッチング素子が用いられる。これらは、モータなどの機器を駆動するインバータに用いられるもので、数アンペアから数百アンペアの定格電流を制御するものである。電力用半導体素子の材料として、シリコン(Si)、シリコンカーバイド(SiC)、ガリウムナイトライド(GaN)などが用いられてもよい。
本実施の形態では、固定子巻線用の1つのパワーモジュール120は、正極側の電力用半導体素子127Hと負極側の電力用半導体素子127Lとの1つの直列回路を設けている。図2及び図3に示すように、パワーモジュール120は、正極側の電力用半導体素子127Hのコレクタ端子に接続された正極側接続部材121と、負極側の電力用半導体素子127Lのエミッタ端子に接続された負極側接続部材122と、正極側の電力用半導体素子127Hのエミッタ端子と負極側の電力用半導体素子127Lのコレクタ端子との接続点に接続された巻線接続部材123と、正極側及び負極側の電力用半導体素子127H、127Lのゲート端子等に接続された制御用接続部材124と、を備えている。
界磁巻線用の1つのパワーモジュール120は、正極側接続部材121、負極側接続部材122、巻線接続部材123、及び制御用接続部材124を備えている(不図示)。
正極側接続部材121、負極側接続部材122、巻線接続部材123、制御用接続部材124には、導電性が良好で熱伝導率の高い銅または銅合金などの金属を用いてもよく、表面はAu、Ni、Snなどの金属材料でめっきされていてもよい。また、各端子の金属及びめっきの材質は、2種類以上で構成されてもよい。
なお、1つのパワーモジュール120には、1つの電力用半導体素子が設けられてもよく、或いは3つ以上の電力用半導体素子が設けられてもよい。電力用半導体素子の数に合わせて、接続部材等の構成が変更される。
正極側接続部材121は、後述する電力配線部134の正極側のバスバー131に接続され、負極側接続部材122は、後述する電力配線部134の負極側のバスバー132に接続され、巻線接続部材123は、後述する巻線配線部材に接続され、制御用接続部材124は、制御回路170に接続される。
電力用半導体素子は、金属基板又はセラミック基板の配線パターン、バスバー等に、はんだ、銀ペースト等の導電性材料で接合されている。金属基板は、アルミ、銅等のベース材料で構成される。セラミック基板は、アルミナ、窒化アルミ、窒化ケイ素等で構成される。バスバーは、鉄、アルミ、銅等で構成される。配線パターン及びバスバーを合わせてリードと称す。
パワーモジュール120は、冷却器110が熱的に接続される冷却器接続面128を有している。本実施の形態では、電力用半導体素子は、金属基板、セラミック基板、バスバー等の一方側の面に固定され、金属基板、セラミック基板、バスバー等の他方側の面は、冷却器接続面128を構成している。なお、電力用半導体素子が固定される金属基板、セラミック基板、バスバー等の面と同じ側に、冷却器接続面128が設けられてもよい。また、互いに反対側になるパワーモジュール120の2つの面が、冷却器接続面128とされてもよく、それぞれの面に、冷却器110が接続されてもよい。
本実施の形態では、冷却器接続面128と冷却器110と間の接続には、接触熱抵抗を低減するため、伝熱材が介在している。金属基板、セラミック基板の場合は、伝熱材には、例えばグリース、接着剤、シート、ゲル等の絶縁性を有する材料、又ははんだ、銀ペースト等の導電性部材が用いられる。冷却器110との絶縁が必要なリードの場合は、伝熱材には、絶縁性を有する材料が用いられる。これらにより、パワーモジュール120と冷却器110が伝熱材を介して熱的に接続されるため、部材及び接合工程を削減し熱抵抗を低減できる。
リードと冷却器110が同電位の場合は、はんだ等の導電性部材で接続してもよく、或いは、電力用半導体素子に接合されたリードを、ばね又はねじ等により冷却器110に機械的に押圧させてもよい。接合から機械的な押圧に変えることで、熱抵抗を低減しつつ、温度サイクル及び高温での劣化が軽減され、長期信頼性が向上する。また、冷却器110は、パワーモジュール120と一体的にモジュール化されていてもよい。
パワーモジュール120は、樹脂125を備えている。樹脂125は、電力用半導体素子、正極側接続部材121、負極側接続部材122、巻線接続部材123、制御用接続部材124、及びその他の構成部品を封止する。樹脂125には、例えばエポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂等のポッティング樹脂、フッ素樹脂等の電力用半導体素子の表面のコーティング材料、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)等の成形材料が用いられる。樹脂125によって電力用半導体素子等の構成部品を覆うことで、例えば、異物が混入した場合、塩、泥等が入った水等がかかった場合でも絶縁性を確保することができる。また、エポキシ樹脂等の硬度が高い材料を使うことで、部品を固定でき耐振性を向上できる。なお、樹脂125以外の方法でパワーモジュール120を絶縁し固定できれば、樹脂125はなくてもよい。
本実施の形態では、パワーモジュール120は、直方体状に形成されており、各接続部材121~124が、直方体状の部分から突出している。冷却器接続面128は、直方体の1つの面とされている。なお、パワーモジュール120は、直方体状以外の形状に形成されてもよい。
<冷却器110>
冷却器110は、パワーモジュール120(冷却器接続面128)に熱的に接続される。冷却器110は、電力用半導体素子、及び導通経路に電流が流れるときに発生する熱を外部に放熱する役割を有している。
本実施の形態では、冷却器110を流れる冷媒は、回転子6の回転によって生じる冷却風である。すなわち、冷却器110は、空冷式の冷却器であり、ヒートシンクとされている。冷却器110は、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、銅合金等の金属、セラミック、樹脂等の5W/m・K以上の熱伝導率を有する材料を用いて構成される。
冷却器110は、パワーモジュール120(冷却器接続面128)に熱的に接続される基礎部110cと、基礎部110cからパワーモジュール120とは反対側に突出した複数の突出部110dとを備えている。複数の突出部110dを設けることより、放熱面積を増やすことができる。本実施の形態では、基礎部110cは、平板状に形成され、複数の突出部110dは、互いに間隔を空けて並べられた複数の平板状に形成されている。なお、複数の突出部110dは、複数の平板状でなくてもよく、複数の柱状であってもよく、1つ以上の凹又は凸が形成されていればよい。また、基礎部110cは、平板状でなくてもよく、厚みが一定でなくてもよく、各面が湾曲してもよく、凹凸を有してもよい。また、放熱性を確保できれば、冷却器110に、複数の突出部110dが設けられなくてもよい。ヒートシンク110は、押し出し加工、かしめ、圧入、切削、ダイキャスト、鋳造、鍛造、切おこし、ろう付け、摩擦撹拌接合などによって製造される。
また、互いに反対側になるパワーモジュール120の2つの面が、冷却器接続面128とされ、それぞれの面に、ヒートシンク110が接続されてもよい。つまり、電力半導体素子の発熱を外気へ伝えることができれば、ヒートシンク110の取り付け位置、個数、形状などは任意でよい。
<電力配線部134>
電力配線部134は、直流電源に接続される電源端子とパワーモジュール120とを接続する電力配線導体を有している。本実施の形態では、電力配線部134は、電力配線導体として、1つ又は複数の板状のバスバーを有し、1つ又は複数のバスバーは、樹脂133により一体成形されている。
電力配線部134は、電力配線導体として、正極側の電源端子151に接続される板状の正極側のバスバー131と負極側の電源端子152に接続される板状の負極側のバスバー132とを有し、正極側のバスバー131と負極側のバスバー132とは、間隔を空けて対向した状態で、樹脂133により一体成形されている。
正極側のバスバー131及び負極側のバスバー132の板面は、軸方向Zに直交しており、正極側のバスバー131と負極側のバスバー132とは、軸方向Zに間隔を空けて配置されており、正極側のバスバー131と負極側のバスバー132との間には、樹脂133が配置されている。電力配線部134は、全体として平板状に形成されており、板面が軸方向Zに直交している。なお、正極側のバスバー131と負極側のバスバー132との配置が反対であってもよい。
正極側のバスバー131は、樹脂封止された部分から、パワーモジュール120側(本例では、軸方向のリヤ側Z2)に突出した複数の突出部(不図示)を有しており、各突出部が各パワーモジュール120の正極側接続部材121に接続される。負極側のバスバー132は、樹脂封止された部分から、パワーモジュール120側(本例では、軸方向のリヤ側Z2)に突出した複数の突出部(不図示)を有しており、各突出部が各パワーモジュール120の負極側接続部材122に接続される。
樹脂133には、例えばエポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂等のポッティング樹脂、フッ素樹脂等の電力用半導体素子の表面のコーティング材料、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)等の成形材料が用いられる。バスバーは、鉄、アルミ、銅等で構成される。
なお、電力配線部134には、パワーモジュール120の巻線接続部材123と固定子巻線又は界磁巻線とを接続する電力配線導体(例えば、板状のバスバー)が設けられてもよく、樹脂により一体成形されてもよい。
<各部の配置構成>
ブラケット(本例では、リヤ側ブラケット2)よりも軸方向のリヤ側Z2(軸方向の一方側)において、軸方向のリヤ側Z2に、電力配線部134、パワー回路部126(パワーモジュール120及び冷却器110)、制御回路部104の順に配置されている。そして、パワー回路部126の冷却器110は、電力配線部134と熱的に接続されている。
電力配線部134の電力配線導体は、パワーモジュール120に流れる電流に比例した大電流が流れるため、発熱量が大きくなる。パワーモジュール120を冷却する冷却器110により、電力配線部134も同時に冷却させることができ、専用の冷却器を設ける必要がなく、装置が大型化することを抑制できる。また、発熱量が概ね比例関係になるパワーモジュール120と電力配線導体とを同じ冷却器110により冷却するので、冷却器110の冷却性能を設計するだけで、双方の冷却性を確保することができる。
また、電力配線部134を、リヤ側ブラケット2の軸方向のリヤ側Z2であって、パワー回路部126のフロント側Z1に配置するので、特許文献1のように、回転軸4の周りに配置する場合よりも、制御回路部104等の他の部品への伝熱を低減して、熱的な信頼性の低下を抑制することができる。なお、電力配線部134の熱が、リヤ側ブラケット2に伝達されても、熱的な信頼性が高い部品であるため大きな問題にならない。また、上述したように、電力配線部134の熱が、パワー回路部126に伝達されても、冷却器110により冷却されるため、問題にならない。
本実施の形態では、パワーモジュール120は、パワーモジュール120の厚み方向TDが、軸方向Zに沿うように配置されている。冷却器110は、パワーモジュール120の軸方向のフロント側Z1(軸方向の他方側)に配置されている。パワーモジュール120の厚み方向TDは、パワーモジュール120の厚さが最も薄くなる厚さの方向である。本実施の形態では、パワーモジュール120の厚み方向TDは、軸方向Zに平行になるように配置されている。なお、パワーモジュール120の厚み方向TDは、軸方向Zに対して傾いていてもよい(例えば、数度から数十度)。
この構成によれば、パワー回路部126の軸方向Zの幅が増加することを抑制し、回転電機が軸方向Zに大型化することを抑制できる。また、冷却器110の軸方向のフロント側Z1に電力配線部134を配置して、電力配線部134の熱を効率よく冷却器110に伝達することができる。
上述したように、電力配線部134は、板状の正極側のバスバー131と板状の負極側のバスバー132とを有し、正極側のバスバー131と負極側のバスバー132とは、間隔を空けて対向した状態で、樹脂133により一体成形されている。この構成によれば、正極側のバスバー131により生じる磁界と負極側のバスバー132により生じる磁界とを打ち消し合わせることができる。
また、正極側のバスバー131及び負極側のバスバー132の板面は、軸方向Zに直交しており、正極側のバスバー131と負極側のバスバー132とは、軸方向Zに間隔を空けて配置されており、正極側のバスバー131と負極側のバスバー132との間には、樹脂133が配置されている。電力配線部134は、全体として平板状に形成されており、板面が軸方向Zに直交している。この構成によれば、パワー回路部126の軸方向のフロント側Z1の空間において、電力配線部134を径方向Y及び周方向Xに延在させ、軸方向Zの厚さを薄くすることができ、回転電機が軸方向Zに大型化することを抑制できる。
冷却器110の軸方向のフロント側Z1の端部が、電力配線部134の軸方向のリヤ側Z2の端部に熱的に接続されている。冷却器110と電力配線部134とは、上述したような伝熱材を介して熱的に接続されてもよいし、直接接して熱的に接続されてもよい。
パワー回路部126及び電力配線部134は、樹脂で一体成形されていてもよい。例えば、電力配線部134の樹脂133に、ヒートシンクの突出部110dの先端部が埋め込まれ、一体成型される。この構成によれば、パワー回路部126と電力配線部134の熱伝導を向上させ、冷却性を向上させることができる。
冷却器110の複数の板状の突出部110dは、互いに周方向Xに間隔を空け、径方向Yに延びている。なお、冷却器110には、径方向Yに冷媒が流れる流路が形成されていればよく、突出部110dは柱状であってもよく、或いは、冷却器110に径方向Yに貫通する単数又は複数の貫通孔が形成されていてもよい。
冷却器110の径方向外側Y2のカバー101の部分には、カバー開口部101cが設けられている。図1に矢印W1で示すように、冷媒としての空気が、カバー開口部101cを通って外部から吸引された後、冷却器110(本例では、突出部110d)を径方向内側Y1に流れ、冷却器110を冷却する。冷却器110から径方向内側Y1に排出された空気は、リヤ側ブラケット2の軸方向のリヤ側Z2の吸気開口部21を通って軸方向のフロント側Z1に流れる。その後、空気は、リヤ側送風ファン82により径方向外側Y2に送風され、リヤ側コイルエンド部等を冷却した後、リヤ側ブラケット2の径方向外側Y2に設けられた排気開口部22から外部に排出される。このように、リヤ側送風ファン82により吸引される冷却風を、冷却器110に流し、冷却させることができる。
また、冷却風は、パワーモジュール120、制御回路ケース102、及び電力配線部134の周囲を径方向内側Y1に流れ、これらを冷却する。制御回路ケース102の軸方向のフロント側Z1の面に凹凸が設けられ、制御回路170の冷却性が高められてもよい。制御回路ケース102は、ヒートシンクと同様に、アルミニウム等の5W/m・K以上の熱伝導率を有する材料を用いて構成されてもよい。
また、軸方向Zにおけるリヤ側ブラケット2と電力配線部134との間に、冷却風が流れる冷媒通路が形成されてもよい。例えば、リヤ側ブラケット2と電力配線部134とが軸方向Zに離間して配置されることにより、冷媒通路が設けられてもよい。或いは、リヤ側ブラケット2の軸方向のリヤ側Z2の面又は電力配線部134の軸方向のフロント側Z1の面に、凹凸が設けられて、凹凸の隙間が冷媒通路とされてもよい。
図1に示す例では、軸方向Zにおけるパワーモジュール120と制御回路ケース102(制御回路部104)との間には、隙間が設けられているが、パワーモジュール120と制御回路ケース102とが当接し、熱的に接続されてもよい。制御回路ケース102により、パワーモジュール120を冷却することができる、又は冷却器110により、制御回路部104を冷却することができる。或いは、パワーモジュール120と制御回路ケース102とを当接させても、積極的に熱を伝達させなくてもよい。
本実施の形態では、図4に模式図を示すように、パワー回路部126は、複数のパワーモジュール120を有し、複数のパワーモジュール120は、回転軸4の周りの円弧状の領域に、周方向Xに並んで配置されている。電力配線部134は、複数のパワーモジュール120の軸方向のフロント側Z1(軸方向の他方側)における、回転軸4の周りの円弧状の領域を周方向Xに延びている。
この構成によれば、制御回路部104とリヤ側ブラケット2との間の、回転軸4の周囲の円筒状の空間を利用して、パワー回路部126及び電力配線部134を円弧状に配置することができ、回転電機が軸方向Zに大型化することを抑制できる。また、周方向Xに延びた電力配線部134により、周方向に配置された複数のパワーモジュール120に直流電源の電力を分配することができる。
複数のパワーモジュール120には、固定子巻線用の複数のパワーモジュール120(図4には、3つ)が含まれ、界磁巻線用の単数又は複数のパワーモジュール120(図4には、1つ)が含まれる。
冷却器110は、図4に示すように、複数のパワーモジュール120に共通化され、周方向Xに延びた円弧状に形成されてもよく、或いは、2つ以上に周方向Xに分割されてもよい。
2.実施の形態2
次に、実施の形態2に係る回転電機について説明する。上記の実施の形態1と同様の構成部分は説明を省略する。本実施の形態に係る回転電機の基本的な構成は実施の形態1と同様であるが、パワー回路部126の配置などが実施の形態1と異なる。図5は、本実施の形態に係る回転電機を、回転軸4の軸心Cを通る平面で切断した模式的な断面図である。
実施の形態1と同様に、ブラケット(リヤ側ブラケット2)よりも軸方向のリヤ側Z2(軸方向の一方側)において、軸方向のリヤ側Z2に、電力配線部134、パワー回路部126(パワーモジュール120及び冷却器110)、制御回路部104の順に配置されている。
本実施の形態では、実施の形態1と異なり、パワー回路部126の冷却器110は、制御回路部104と熱的に接続されている。この構成によれば、パワーモジュール120を冷却する冷却器110により、制御回路部104も同時に冷却させることができ、専用の冷却器を設ける必要がなく、装置が大型化することを抑制できる。
本実施の形態では、パワーモジュール120は、パワーモジュール120の厚み方向TDが、軸方向Zに沿うように配置されている。冷却器110は、パワーモジュール120の軸方向のリヤ側Z2(軸方向の一方側)に配置されている。パワーモジュール120の厚み方向TDは、軸方向Zに平行になるように配置されている。なお、パワーモジュール120の厚み方向TDは、軸方向Zに対して傾いていてもよい(例えば、数度から数十度)。すなわち、パワー回路部126は、実施の形態1と比べ、軸方向のフロント側Z1とリヤ側Z2とが反転されている。
この構成によれば、パワー回路部126の軸方向Zの幅が増加することを抑制し、回転電機が軸方向Zに大型化することを抑制できる。また、冷却器110の軸方向のリヤ側Z2に制御回路部104を配置して、制御回路部104の熱を効率よく冷却器110に伝達することができる。
冷却器110の突出部110dは、基礎部110cから軸方向のリヤ側Z2に突出している。冷却器110の軸方向のリヤ側Z2の端部が、制御回路部104の軸方向のフロント側Z1の部分(本例では、制御回路ケース102)に熱的に接続されている。冷却器110と制御回路部104とは、上述したような伝熱材を介して熱的に接続されてもよいし、直接接して熱的に接続されてもよい。制御回路ケース102は、ヒートシンクと同様に、アルミニウム等の5W/m・K以上の熱伝導率を有する材料を用いて構成されてもよい。
パワー回路部126及び制御回路部104は、樹脂で一体成形されていてもよい。例えば、制御回路ケース102が樹脂で構成され、この樹脂に、ヒートシンクの突出部110dの先端部が埋め込まれ、一体成型される。この構成によれば、パワー回路部126と制御回路部104の熱伝導を向上させ、冷却性を向上させることができる。
実施の形態1と同様に、冷却器110の複数の板状の突出部110dは、互いに周方向Xに間隔を空け、径方向Yに延びている。なお、冷却器110は、径方向Yに冷媒が流れる流路が形成されていればよく、突出部110dは柱状であってもよく、或いは、冷却器110に径方向Yに貫通する単数又は複数の貫通孔が形成されていてもよい。
冷却器110の径方向外側Y2のカバー101の部分には、カバー開口部101cが設けられている。図5に矢印W1で示すように、冷媒としての空気が、カバー開口部101cを通って外部から吸引された後、冷却器110(突出部110d)を径方向内側Y1に流れ、冷却器110を冷却する。
また、冷却風は、パワーモジュール120、制御回路ケース102、及び電力配線部134の周囲を径方向内側Y1に流れ、これらを冷却する。電力配線部134の軸方向のリヤ側Z2の面に凹凸が設けられ、電力配線部134の冷却性が高められてもよい。
また、軸方向Zにおけるリヤ側ブラケット2と電力配線部134との間に、冷却風が流れる冷媒通路が形成されてもよい。
軸方向Zにおけるパワーモジュール120と電力配線部134との間には、隙間が設けられているが、パワーモジュール120と電力配線部134とが当接し、熱的に接続されてもよい。パワーモジュール120を介して、冷却器110により、電力配線部134を冷却することができる。
実施の形態1と同様に、パワー回路部126は、複数のパワーモジュール120を有し、複数のパワーモジュール120は、回転軸4の周りの円弧状の領域に、周方向Xに並んで配置されている。電力配線部134は、複数のパワーモジュール120の軸方向のフロント側Z1(軸方向の他方側)における、回転軸4の周りの円弧状の領域を周方向Xに延びている。
3.実施の形態3
次に、実施の形態3に係る回転電機について説明する。上記の実施の形態1と同様の構成部分は説明を省略する。本実施の形態に係る回転電機の基本的な構成は実施の形態1と同様であるが、連結部材140が設けられている点が実施の形態1と異なる。図6は、本実施の形態に係る回転電機を、回転軸4の軸心Cを通る平面で切断した模式的な断面図である。
電力供給ユニット300は、電力配線部134と制御回路部104とを相互に連結する軸方向Zに延びた連結部材140を備えている。連結部材140の軸方向Zの引っ張り力により、パワー回路部126が、電力配線部134と制御回路部104との間に挟み込まれている。
この構成によれば、冷却器110と電力配線部134との間の接触熱抵抗が下がるため、電力配線部134の熱が冷却器110に伝達され易くなり、冷却効率を向上させることができる。また、パワーモジュール120と制御回路ケース102との間の接触熱抵抗を下げて、制御回路ケース102によるパワーモジュール120の冷却性能又は冷却器110による制御回路部104の冷却性能を向上させることができる。なお、パワーモジュール120と制御回路ケース102との間で、積極的に熱を伝達させなくてもよい。
本実施の形態では、連結部材140は、軸方向Zに延びるボルトとナットとにより構成されている。ボルトの軸方向のフロント側Z1の端部が、電力配線部134の樹脂133に埋め込まれて固定されている。ボルトの軸方向のリヤ側Z2の端部が、制御回路ケース102を貫通し、ナットがリヤ側Z2から螺合されることにより、制御回路ケース102と電力配線部134とが軸方向Zに互いに引っ張られている。連結部材140は、周方向Xの複数個所に設けられている。
なお、実施の形態2の構成において、連結部材140が設けられ、連結部材140の軸方向Zの引っ張り力により、パワー回路部126が、電力配線部134と制御回路部104との間に挟み込まれてもよい。
4.実施の形態4
次に、実施の形態4に係る回転電機について説明する。上記の実施の形態1と同様の構成部分は説明を省略する。本実施の形態に係る回転電機の基本的な構成は実施の形態1と同様であるが、冷却器110の冷媒が液体である点が実施の形態1から3と異なる。図7は、本実施の形態に係る回転電機を、回転軸4の軸心Cを通る平面で切断した模式的な断面図である。
本実施の形態では、冷却器110を流れる冷媒は、液体である。よって、冷却器110は、液体が流れる流路を有する冷却器本体部141と、冷却器本体部141に液体を流出入する2つのパイプ部142と、を有している。冷却器本体部141は、中空のタンク状に形成されている。例えば、冷却器本体部141は、2つの有底筒状の金属製の部品を、シール剤で接合して成形されたり、グラビティ鋳造によって成形した中空の金属部品とされたりする。冷却器110に流出入する液体は、冷却水とされ、ラジエータにより冷却される。熱容量の大きく、温度の低い液体を用いることにより、冷却性能を向上させることができる。
図7には、実施の形態1の空気冷却式の冷却器110を、液体冷却式の冷却器110に置き換えた例を示しているが、実施の形態2又は3の空気冷却式の冷却器110を、液体冷却式の冷却器110に置き換えてもよい。冷却器110、電力配線部134、及び制御回路部104等の配置関係等は、実施の形態1から3と同様である。
5.実施の形態5
次に、実施の形態5に係る回転電機について説明する。上記の実施の形態1と同様の構成部分は説明を省略する。本実施の形態に係る回転電機の基本的な構成は実施の形態1と同様であるが、パワー回路部126の向きが実施の形態1と異なる。図8は、本実施の形態に係る回転電機を、回転軸4の軸心Cを通る平面で切断した模式的な断面図である。図9は、パワー回路部126の斜視図であり、図10は、パワー回路部126の側面図である。
パワーモジュール120は、パワーモジュール120の厚み方向TDが、軸方向Zに直交する方向に沿うように配置されている。冷却器110は、パワーモジュール120の厚み方向TDの一方側又は他方側に配置されている。本実施の形態では、パワーモジュール120の厚み方向TDが、周方向Xに沿うように配置されている。冷却器110は、パワーモジュール120の周方向Xの一方側又は他方側に配置されている。
パワーモジュール120は、直方体状に形成されており、各接続部材121~124が、直方体状の部分から突出している。直方体の各辺は、軸方向Zに平行又は直交するように配置されている。パワーモジュール120の周方向Xの幅は、径方向Yの幅及び軸方向Zの幅よりも短くなっており、厚み方向TDの幅となっている。
冷却器110は、実施の形態1と同様の空気冷却式である。冷却器110は、パワーモジュール120に熱的に接続される基礎部110cと、基礎部110cからパワーモジュール120とは反対側の周方向Xの一方側又は他方側に突出した複数の突出部110dとを備えている。冷却器110は、外形が直方体状に形成されており、直方体の各辺は、軸方向Zに平行又は直交するように配置されている。なお、冷却器110は、実施の形態4と同様の液体冷却式であってもよい。
冷却器110の軸方向のフロント側Z1の端部が、電力配線部134の軸方向のリヤ側Z2の端部に、熱的に接続されている。冷却器110と電力配線部134とは、上述したような伝熱材を介して熱的に接続されてもよいし、直接接して熱的に接続されてもよい。
冷却器110の軸方向のリヤ側Z2の端部が、制御回路部104(本例では、制御回路ケース102)の軸方向のフロント側Z1の端部に、熱的に接続されている。冷却器110と制御回路ケース102とは、上述したような伝熱材を介して熱的に接続されてもよいし、直接接して熱的に接続されてもよい。
このように、冷却器110は、電力配線部134及び制御回路部104の双方に熱的に接続されている。よって、パワーモジュール120を冷却する冷却器110によって、電力配線部134及び制御回路部104の双方を同時に冷却させることができ、専用の冷却器を設ける必要がなく、装置が大型化することを抑制できる。
本実施の形態では、複数の板状の突出部110dは、互いに軸方向Zに間隔を空け、径方向Yに延びている。なお、冷却器110は、径方向Yに冷媒が流れる流路が形成されていればよく、突出部110dは柱状であってもよく、或いは、冷却器110に径方向Yに貫通する単数又は複数の貫通孔が形成されていてもよい。
図11の斜視図に示すように、冷却器110の径方向外側Y2のカバー101の部分には、カバー開口部101cが設けられている。図8に矢印W1で示すように、冷媒としての空気が、カバー開口部101cを通って外部から吸引された後、冷却器110(突出部110d)を径方向内側Y1に流れ、冷却器110を冷却する。
また、冷却風は、パワーモジュール120、制御回路ケース102、及び電力配線部134の周囲を径方向内側Y1に流れ、これらを冷却する。
また、軸方向Zにおけるリヤ側ブラケット2と電力配線部134との間に、冷却風が流れる冷媒通路が形成されてもよい。
実施の形態1と同様に、パワー回路部126は、複数のパワーモジュール120を有し、複数のパワーモジュール120は、回転軸4の周りの円弧状の領域に、周方向Xに並んで配置されている。電力配線部134は、複数のパワーモジュール120の軸方向のフロント側Z1(軸方向の他方側)における、回転軸4の周りの円弧状の領域を周方向Xに延びている。
2つのパワーモジュール120が、それぞれに熱的に接続された冷却器110を互いに向い合せるように配置されてもよい。本実施の形態では、図12に側面図を示すように、周方向の一方側X1に配置されたパワーモジュール120の周方向の他方側X2の冷却器接続面128に冷却器110が熱的に接続され、周方向の他方側X2に配置されたパワーモジュール120の周方向の一方側X1の冷却器接続面128に冷却器110が熱的に接続され、2つの冷却器110が周方向Xに互いに向い合せるように配置されてもよい。
また、図13に示すように、実施の形態3と同様に、電力配線部134と制御回路部104とを相互に連結する軸方向Zに延びた連結部材140が備えられてもよい。連結部材140の軸方向Zの引っ張り力により、冷却器110を、電力配線部134と制御回路部104との間に挟み込ませてもよい。冷却器110と電力配線部134及び制御回路部104との間の接触熱抵抗を下げることができ、冷却効率を向上させることができる。
6.実施の形態6
次に、実施の形態6に係る回転電機について説明する。上記の実施の形態1と同様の構成部分は説明を省略する。本実施の形態に係る回転電機の基本的な構成は実施の形態1と同様であるが、パワー回路部126の向き及び制御回路部104等の形状が実施の形態1と異なる。図14は、本実施の形態に係る回転電機を、回転軸4の軸心Cを通る平面で切断した模式的な断面図である。
パワーモジュール120は、パワーモジュール120の厚み方向TDが、軸方向Zに直交する方向に沿うように配置されている。冷却器110は、パワーモジュール120の厚み方向TDの一方側に配置されている。本実施の形態では、パワーモジュール120の厚み方向TDが、径方向Yに沿うように配置されている。冷却器110は、パワーモジュール120の径方向の内側Y1に配置されている。
パワーモジュール120は、直方体状に形成されており、各接続部材121~124が、直方体状の部分から突出している。直方体の各辺は、軸方向Zに平行又は直交するように配置されている。パワーモジュール120の径方向Yの幅は、周方向Xの幅及び軸方向Zの幅よりも短くなっており、厚み方向TDの幅となっている。
冷却器110は、実施の形態1と同様の空気冷却式である。冷却器110は、パワーモジュール120に熱的に接続される基礎部110cと、基礎部110cからパワーモジュール120とは反対側の径方向の内側Y1に突出した複数の突出部110dとを備えている。冷却器110は、外形が直方体状に形成されており、直方体の各辺は、軸方向Zに平行又は直交するように配置されている。
実施の形態5と同様に、冷却器110の軸方向のフロント側Z1の端部が、電力配線部134の軸方向のリヤ側Z2の端部に、熱的に接続されている。冷却器110と電力配線部134とは、上述したような伝熱材を介して熱的に接続されてもよいし、直接接して熱的に接続されてもよい。
冷却器110の軸方向のリヤ側Z2の端部が、制御回路部104(本例では、制御回路ケース102)の軸方向のフロント側Z1の端部に、熱的に接続されている。冷却器110と制御回路ケース102とは、上述したような伝熱材を介して熱的に接続されてもよいし、直接接して熱的に接続されてもよい。
このように、冷却器110は、電力配線部134及び制御回路部104の双方に熱的に接続されている。よって、パワーモジュール120を冷却する冷却器110によって、電力配線部134及び制御回路部104の双方を同時に冷却させることができ、専用の冷却器を設ける必要がなく、装置が大型化することを抑制できる。
本実施の形態では、複数の板状の突出部110dは、互いに周方向Xに間隔を空け、軸方向Zに延びている。なお、冷却器110は、軸方向Zに冷媒が流れる流路が形成されていればよく、突出部110dは柱状であってもよく、或いは、冷却器110に軸方向Zに貫通する単数又は複数の貫通孔が形成されていてもよい。
カバー101及び制御回路部104の軸心C付近には、軸方向Zに貫通する開口部105が設けられている。図14に矢印W1で示すように、冷媒としての空気が、外部から開口部105を通って軸方向のフロント側Z1に吸引された後、冷却器110(突出部110d)を軸方向のフロント側Z1に流れ、冷却器110を冷却する。その後、リヤ側ブラケット2の軸方向のリヤ側Z2の吸気開口部21を通って軸方向のフロント側Z1に流れる。実施の形態1から3、5よりも、冷却風の向きが曲げられる回数が減るので損失が少なくなり、より効率的に冷却することができる。
実施の形態1と同様に、パワー回路部126は、複数のパワーモジュール120を有し、複数のパワーモジュール120は、回転軸4の周りの円弧状の領域に、周方向Xに並んで配置されている。電力配線部134は、複数のパワーモジュール120の軸方向のフロント側Z1(軸方向の他方側)における、回転軸4の周りの円弧状の領域を周方向Xに延びている。
また、図13と同様に、電力配線部134と制御回路部104とを相互に連結する軸方向Zに延びた連結部材140が備えられてもよい。連結部材140の軸方向Zの引っ張り力により、冷却器110を、電力配線部134と制御回路部104との間に挟み込ませてもよい。冷却器110と電力配線部134及び制御回路部104との間の接触熱抵抗を下げることができ、冷却効率を向上させることができる。
本願は、様々な例示的な実施の形態及び実施例が記載されているが、1つ、または複数の実施の形態に記載された様々な特徴、態様、及び機能は特定の実施の形態の適用に限られるのではなく、単独で、または様々な組み合わせで実施の形態に適用可能である。従って、例示されていない無数の変形例が、本願明細書に開示される技術の範囲内において想定される。例えば、少なくとも1つの構成要素を変形する場合、追加する場合または省略する場合、さらには、少なくとも1つの構成要素を抽出し、他の実施の形態の構成要素と組み合わせる場合が含まれるものとする。