以下、本願に係る回転電機の好適な実施の形態につき図面を用いて説明する。各図において同一、または相当する部分については、同一符号を付して説明する。なお、各図間の図示では、対応する各構成部のサイズ及び縮尺は、それぞれ独立している。
1.実施の形態1
実施の形態1に係る回転電機100について図面を参照して説明する。図1は、回転電機100の斜視図である。図2は、回転電機100を、モジュール放熱部材110及び回転軸4の軸心Cを通る平面で切断した模式的な断面図である。図3は、1つのパワーモジュール160及びモジュール放熱部材110の斜視図である。図4は、1つのパワーモジュール160に設けられた電力用半導体素子の回路図であり、図5は、パワーモジュール160及びモジュール放熱部材110を径方向外側Y2から見た側面図である。
本願において、回転軸4の軸心Cに平行な方向を軸方向Zと定義し、軸方向の一方側Z1をフロント側Z1と称し、軸方向の一方側Z1とは反対側である軸方向の他方側Z2をリア側Z2と称する。径方向Y及び周方向Xは、回転軸4の軸心Cについての径方向及び周方向である。
<回転電機本体部200>
回転電機100は、回転電機本体部200を備えている。回転電機本体部200は、複数相の巻線を備えた固定子3と、固定子3の径方向内側Y1に配置された回転子6、回転子6と一体回転する回転軸4と、固定子3及び回転子6を収容すると共に、回転軸4を回転可能に支持するブラケットと、を備えている。
本実施の形態では、ブラケットは、フロント側Z1のフロント側ブラケット1及びリア側Z2のリア側ブラケット2から構成されている。フロント側ブラケット1は、円筒状の外周壁と、外周壁のフロント側Z1の端部から径方向内側Y1に延びた円板状の側壁とを有しており、側壁の中心部に回転軸4が貫通し、フロント側ベアリング71が固定される貫通孔が設けられている。リア側ブラケット2は、円筒状の外周壁と、外周壁のリア側Z2の端部から径方向内側Y1に延びた円板状の側壁とを有しており、側壁の中心部に回転軸4が貫通し、リア側ベアリング72が固定される貫通孔が設けられている。フロント側ブラケット1とリア側ブラケット2は、軸方向Zに延びたボルト15によって連結されている。
回転軸4のフロント側Z1の端部は、フロント側ブラケット1の貫通孔を貫通して、フロント側ブラケット1よりもフロント側Z1に突出しており、この突出部にプーリ9が固定されている。プーリ9と、エンジンのクランクシャフトに固定されたプーリ9との間にベルトが掛け渡され(不図示)、回転電機100とエンジンとの間で、回転駆動力の伝達を行う。
回転軸4のリア側Z2の端部は、リア側ブラケット2の貫通孔を貫通して、リア側ブラケット2よりもリア側Z2に突出しており、この突出部に一対のスリップリング90が設けられている。一対のスリップリング90は、回転子6の界磁巻線62に接続されている。
回転子6は、界磁巻線62と界磁鉄心61とを備えている。回転子6は、ランデル型(クローポール型ともいう)とされている。界磁鉄心61は、円筒状の中心部と、中心部のフロント側Z1の端部から中心部の径方向外側Y2まで延びたフロント側の爪部と、中心部のリア側Z2の端部から中心部の径方向外側Y2まで延びたリア側の爪部と、を備えている。界磁巻線62の絶縁処理された銅線は、界磁鉄心61の中心部の外周面に同心状に巻回されている。フロント側の爪部とリア側の爪部とは、周方向Xに交互に設けられており、互いに異なる磁極となる。例えば、フロント側の爪部とリア側の爪部は、それぞれ6個又は8個設けられる。
固定子3は、微小な隙間をあけて回転子6を取り囲むように配設され、スロットを設けた円筒状の固定子鉄心31と、固定子鉄心31のスロットに巻装された複数相の巻線32と、を備えている。複数相の巻線32は、例えば、1組の3相巻線、2組の3相巻線、又は1組の5相巻線等とされ、回転電機の種類に応じて設定される。
複数相の巻線32は、固定子鉄心31からフロント側Z1に突出したフロント側コイルエンド部、固定子鉄心31からリア側Z2に突出したリア側コイルエンド部を有している。複数相の巻線32のリード線は、リア側ブラケット2を貫通して、リア側Z2に延びている(不図示)。
フロント側ブラケット1とリア側ブラケット2とは、軸方向Zに間隔を空けて設けられている。固定子鉄心31は、フロント側ブラケット1のリア側Z2の開口端部とリア側ブラケット2のフロント側Z1の開口端部とにより軸方向両端から挟持されている。
回転子6(界磁鉄心61)のフロント側Z1の端部には、複数のブレードを有するフロント側送風ファン81が固定され、回転子6(界磁鉄心61)のリア側Z2の端部には、複数のブレードを有するリア側送風ファン82が取り付けられ、それらは、回転子6と一体回転する。フロント側送風ファン81及びリア側送風ファン82は、径方向外側Y2に配置されたフロント側コイルエンド部及びリア側コイルエンド部等を冷却する。
リア側ブラケット2は、リア側送風ファン82の径方向外側Y2の部分に、周方向に分散して複数の開口部22(以下、排気開口部22と称す)を設けており、リア側Z2の部分に、周方向に分散して複数の開口部21(以下、吸気開口部21と称す)を設けている。
<電力供給ユニット300>
回転電機100は、回転電機本体部200に電力を供給する電力供給ユニット300を備えている。電力供給ユニット300は、回転電機本体部200のリア側Z2に配置され、回転電機本体部200に固定されている。電力供給ユニット300は、複数の電力用半導体素子を有し、直流電源と複数相の巻線との間で直流交流変換を行うインバータと、電力用半導体素子を制御する制御回路170とを備えている。本実施の形態では、インバータは、電力用半導体素子を設けたパワーモジュール160により構成されている。また、電力供給ユニット300は、パワーモジュール160に熱的に接続された放熱部材であるモジュール放熱部材110と、少なくともモジュール放熱部材110の配置空間において冷媒が流れる冷媒流路180と、モジュール放熱部材110の配置空間に流れた冷媒により制御回路170を冷却する制御回路冷却機構と、を備えている。
電力供給ユニット300は、リア側ブラケット2からリア側Z2に突出した回転軸4の突出部に設けられた一対のスリップリング90に接触する一対のブラシと、ブラシ及びスリップリング90を介して界磁巻線62に供給する電力をオンオフする界磁巻線用の電力用半導体素子(不図示)とを備えている。界磁巻線用の電力用半導体素子(スイッチング素子)は、制御回路170によりオンオフ制御される。また、回転軸4のリア側Z2の突出部には、回転軸4の回転情報を検出する回転センサ(不図示)が備えられている。回転センサには、ホール素子、レゾルバ、磁気センサ、電磁誘導方式等が用いられる。
電力供給ユニット300は、パワーモジュール160及び制御回路170等の電力供給ユニット300の各構成部品を覆うカバー101を備えている。カバー101は、制御回路170、パワーモジュール160、及びモジュール放熱部材110等のリア側Z2及び径方向外側Y2を覆っている。カバー101は、フロント側Z1に開口する有底筒状に形成されている。径方向外側Y2を覆うカバー101の外周壁101bには、インバータを外部の直流電源に接続するための正極側電源端子151及び負極側電源端子152、並びに制御回路170を外部の制御装置に接続するための制御用コネクタ153が設けられている。
カバー101の外周壁101bには、後述するカバー開口部101cが設けられており、外側に開口している。リア側Z2を覆うカバー101のリア側底壁101aには、開口部が設けられていない。カバー101のフロント側Z1は開口しており、開口部は、回転電機本体部200(リア側ブラケット2)により覆われている。
制御回路170は、回路素子105と、回路素子105が搭載された回路基板103とを有している。回路基板103は、回路素子105が実装されたプリント基板、セラミック基板、金属基板等により構成されている。
制御回路170(回路基板103)は、リア側ブラケット2のリア側Z2に間隔を空けて配置されている。制御回路170(回路基板103)は、径方向Y及び周方向Xに延在している。本実施の形態では、回路基板103は、円板状に形成され、その表面は、軸方向Zに直交している。なお、回路基板103の表面は、軸方向Zに直交する平面に対して、例えば、30度以内の角度で傾いていてもよい。
回転軸4は、リア側ブラケット2から回路基板103のフロント側Z1の面まで、リア側Z2に延出している。よって、回転軸4は、回路基板103を貫通しておらず、回路基板103のフロント側Z1に隙間を空けて配置されている。この構成によれば、回路基板103に、回転軸4をよけるための開口部を設ける必要がなくなる。よって、回路基板103の外径を減少させ、パワーモジュール160の外径を小型化、低コスト化することができる。
なお、リア側ブラケット2と軸方向Zに見て重複する範囲内に回路素子105を配置できれば、回路基板103に回転軸4が貫通する貫通孔が設けられてもよい。また、回路基板103は、リア側ブラケット2と軸方向Zに見て重複する範囲内に収まれば、円板状でなくてもよく、2枚以上の回路基板により構成されてもよく、それぞれの回路基板の材料が異なっていてもよい。
電力供給ユニット300は、1つの相の巻線に対して、図4に示すような、直流電源の正極側に接続される正極側の電力用半導体素子166Hと、直流電源の負極側に接続される負極側の電力用半導体素子166Lとが直列接続された直列回路を1セット設けている。正極側の電力用半導体素子166Hと負極側の電力用半導体素子166Lとが直列接続されている接続点が、対応する相の巻線に接続される。例えば、1組の3相の巻線が設けられる場合は、3セットの直列回路が設けられ、2組の3相の巻線が設けられる場合は、6セットの直列回路が設けられる。なお、正極側及び負極側の電力用半導体素子166H、166Lの双方又は一方が、それぞれ、並列に接続された2つ以上の電力用半導体素子により構成されてもよい。
電力用半導体素子には、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)、パワーMOSFET(Power Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)等のスイッチング素子が用いられる。これらは、モータなどの機器を駆動するインバータに用いられるもので、数アンペアから数百アンペアの定格電流を制御するものである。電力用半導体素子の材料として、シリコン(Si)、シリコンカーバイド(SiC)、ガリウムナイトライド(GaN)などが用いられてもよい。
本実施の形態では、1つのパワーモジュール160は、正極側の電力用半導体素子166Hと負極側の電力用半導体素子166Lとの1つの直列回路を設けている。図3及び図4に示すように、パワーモジュール160は、正極側の電力用半導体素子166Hのコレクタ端子に接続された正極側接続部材161と、負極側の電力用半導体素子166Lのエミッタ端子に接続された負極側接続部材162と、正極側の電力用半導体素子166Hのエミッタ端子と負極側の電力用半導体素子166Lのコレクタ端子との接続点に接続された巻線接続部材163と、正極側及び負極側の電力用半導体素子166H、166Lのゲート端子等に接続された制御用接続部材164と、を備えている。正極側接続部材161、負極側接続部材162、巻線接続部材163、制御用接続部材164には、導電性が良好で熱伝導率の高い銅または銅合金などの金属を用いてもよく、表面はAu、Ni、Snなどの金属材料でめっきされていてもよい。また、各端子の金属及びめっきの材質は、2種類以上で構成されてもよい。なお、1つのパワーモジュール160には、1つの電力用半導体素子が設けられてもよく、或いは3つ以上の電力用半導体素子が設けられてもよい。電力用半導体素子の数に合わせて、接続部材等の構成が変更される。
正極側接続部材161は、正極側電源端子151に接続される正極側配線部材に接続され、負極側接続部材162は、負極側電源端子152に接続される正極側配線部材に接続され、巻線接続部材163は、対応する相の巻線に接続される巻線配線部材に接続され、制御用接続部材164は、制御回路170に接続される。
電力用半導体素子は、金属基板又はセラミック基板の配線パターン、バスバー等に、はんだ、銀ペースト等の導電性材料で接合されている。金属基板は、アルミ、銅等のベース材料で構成される。セラミック基板は、アルミナ、窒化アルミ、窒化ケイ素等で構成される。バスバーは、鉄、アルミ、銅等で構成される。配線パターン及びバスバーを合わせてリードと称す。
パワーモジュール160は、モジュール放熱部材110が熱的に接続される放熱部材固定面16を有している。本実施の形態では、電力用半導体素子は、金属基板、セラミック基板、バスバー等の一方側の面に固定され、金属基板、セラミック基板、バスバー等の他方側の面が、放熱部材固定面16を構成している。なお、電力用半導体素子が固定される金属基板、セラミック基板、バスバー等の面と同じ側に、放熱部材固定面16が設けられてもよい。また、互いに反対側になるパワーモジュール160の2つの面が、放熱部材固定面16とされてもよく、それぞれの面に、モジュール放熱部材110が熱的に接続されてもよい。
本実施の形態では、放熱部材固定面16とモジュール放熱部材110と間の接続には、接触熱抵抗を低減するため、伝熱材が介在している。金属基板、セラミック基板の場合は、伝熱材には、例えばグリース、接着剤、シート、ゲル等の導電性もしくは絶縁性を有する材料、又ははんだ、銀ペースト等の導電性部材が用いられる。モジュール放熱部材110との絶縁が必要なリードの場合は、伝熱材には、絶縁性を有する材料が用いられる。これらにより、パワーモジュール160とモジュール放熱部材110が伝熱材を介して熱的に接続されるため、部材及び接合工程を削減し熱抵抗を低減できる。
リードとモジュール放熱部材110が同電位の場合は、はんだ等の導電性部材で接続してもよく、或いは、電力用半導体素子に接合されたリードを、ばね又はねじ等によりモジュール放熱部材110に機械的に押圧させてもよい。接合から機械的な押圧に変えることで、熱抵抗を低減しつつ、温度サイクル及び高温での劣化が軽減され、長期信頼性が向上する。また、モジュール放熱部材110は、パワーモジュール160と一体的にモジュール化されていてもよい。
パワーモジュール160は、封止樹脂165を備えている。封止樹脂165は、電力用半導体素子、正極側接続部材161、負極側接続部材162、巻線接続部材163、制御用接続部材164、及びその他の構成部品を封止する。封止樹脂165には、例えば、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂等のポッティング樹脂、フッ素樹脂等の電力用半導体素子の表面のコーティング材料、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)等の成形材料が用いられる。封止樹脂165によって電力用半導体素子等の構成部品を覆うことで、例えば、異物が混入した場合、塩、泥等が入った水等がかかった場合でも絶縁性を確保することができる。また、エポキシ樹脂等の硬度が高い材料を使うことで、部品を固定でき耐振性を向上できる。なお、封止樹脂165以外の方法でパワーモジュール160を絶縁し固定できれば、封止樹脂165はなくてもよい。
<モジュール放熱部材110の配置構成>
パワーモジュール160及びモジュール放熱部材110は、軸方向Zにおけるリア側ブラケット2と制御回路170(回路基板103)との間の空間に配置されている。パワーモジュール160の放熱部材固定面16は、径方向Y及び軸方向Zに延在している。冷媒流路180では、モジュール放熱部材110の配置空間において径方向Yに冷媒としての空気が流れる。なお、冷媒は、空気以外の媒体(例えば、冷却水)であってもよい。
この構成によれば、パワーモジュール160の放熱部材固定面16は、径方向Y及び軸方向Zに延在し、モジュール放熱部材110は、放熱部材固定面16の周方向Xの一方側又は他方側に配置される。よって、パワーモジュール160及びモジュール放熱部材110が周方向Xに延在することを抑制することができ、パワーモジュール160及びモジュール放熱部材110の周方向Xの配置面積が大きくなることを抑制できる。よって、パワーモジュール160及びモジュール放熱部材110の搭載によって、電力供給ユニット300の外径が拡大することを抑制できる。
モジュール放熱部材110は、放熱部材固定面16の周方向Xの一方側又は他方側に配置される。そして、モジュール放熱部材110の配置空間において、冷媒が径方向Yに流れる冷媒流路180が設けられるので、軸方向Zに間隔を空けて配置されたリア側ブラケット2と回路基板103との間の空間を利用して冷媒流路180を設けることができる。そのため、冷媒をパワーモジュール160のリア側Z2に流すために、回路基板103の配置面積を小さくする必要がない。
本実施の形態では、放熱部材固定面16は、平面とされており、軸心Cを通る平面に沿って延在している。なお、放熱部材固定面16は、径方向Y及び軸方向Zに延在していれば、凹凸があってもよく、曲面であってもよい。また、放熱部材固定面16は、軸心Cを通り、放熱部材固定面16に交差する平面に対して、例えば、30度以内の角度で傾いていてもよい。
本実施の形態では、パワーモジュール160は、直方体状に形成されており、各接続部材161〜164が、直方体状の本体部分から突出している。放熱部材固定面16は、直方体の1つの面とされている。直方体の各辺は、軸方向Zに平行又は直交するように配置されている。パワーモジュール160の周方向Xの幅は、径方向Yの幅及び軸方向Zの幅よりも短くなっている。なお、直方体の各辺は、軸方向Zに平行又は直交せずに、傾いて配置されていてもよい。また、パワーモジュール160は、直方体状以外の形状に形成されてもよい。
制御用接続部材164は、パワーモジュール160のリア側Z2の面からリア側Z2に突出しており、パワーモジュール160のリア側Z2に配置された回路基板103に接続される。図2には、1つの制御用接続部材164を代表して示している。正極側接続部材161、負極側接続部材162、巻線接続部材163は、パワーモジュール160の放熱部材固定面16とは反対側の面から突出している。
モジュール放熱部材110は、パワーモジュール160の放熱部材固定面16に熱的に接続される。モジュール放熱部材110は、放熱部材固定面16の周方向Xの一方側又は他方側に配置される。モジュール放熱部材110は、電力用半導体素子、及び導通経路に電流が流れるときに発生する熱、他の部品から入ってくる熱を外部に放熱する役割を有している。モジュール放熱部材110は、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、銅合金等の金属、セラミック、樹脂等の5W/m・K以上の熱伝導率を有する材料を用いて構成される。
モジュール放熱部材110は、径方向Y及び軸方向Zに延在し、放熱部材固定面16に熱的に接続される板状の基礎部110aと、基礎部110aから放熱部材固定面16とは反対側に突出した複数の突出部110bとを備えている。複数の突出部110bを設けることより、放熱面積を増やすことができる。本実施の形態では、複数の突出部110bのそれぞれは、軸方向Zに互いに間隔を空けて、周方向X及び径方向Yに延在した板状に形成されている。本実施の形態では、複数の板状の突出部110bは、周方向X及び径方向Yに平行に延在した平板とされている。なお、複数の板状の突出部110bは、周方向X及び径方向Yに延在していればよく、周方向X及び径方向Yに平行な平面(軸方向Zに直交する平面)に対して、例えば、30度以内の角度で傾いていてもよい。
基礎部110aは、パワーモジュール160の放熱部材固定面16と同等の面積の面を有する直方体状に形成されている。突出部110bは、矩形平板状に形成されている。なお、基礎部110aは、放熱部材固定面16に固定される面を有していれば、直方体状以外の形状に形成されてもよく、突出部110bは、矩形平板状以外の板状に形成されてもよい。また、放熱性を確保できれば、モジュール放熱部材110に、複数の突出部110bが設けられなくてもよい。
本実施の形態では、図5に示すように、放熱部材固定面16が周方向Xの一方側を向く向きで、パワーモジュール160が配置されている。そして、放熱部材固定面16の周方向Xの一方側にモジュール放熱部材110が固定され、モジュール放熱部材110の周方向Xの一方側に、冷媒としての空気が径方向Yに流れる冷媒流路180が形成されている。なお、図5では、右側を周方向Xの一方側とし、左側を周方向Xの他方側としている。放熱部材固定面16が周方向Xの他方側を向く向きで、パワーモジュール160が配置されてもよく、放熱部材固定面16の周方向Xの他方側にモジュール放熱部材110が固定されてもよい。
モジュール放熱部材110の径方向外側Y2のカバー101の部分には、カバー開口部101cが設けられている。よって、冷媒としての空気をモジュール放熱部材110の配置空間に集中的に流すことができ、冷却効率を高めることができる。なお、モジュール放熱部材110及びパワーモジュール160の数に合わせて、カバー開口部101cが複数設けられてもよい。
本実施の形態では、図5に示すように、カバー開口部101cの開口面積は、モジュール放熱部材110の配置空間に応じた面積とされている。図2に示すように、カバー開口部101cと、モジュール放熱部材110及びパワーモジュール160との隙間が小さくなるように、モジュール放熱部材110及びパワーモジュール160の径方向外側Y2の端面が、カバー開口部101cの径方向位置に寄って配置されている。よって、空気をモジュール放熱部材110の周方向Xの一方側の流路に効率的に流すことができる。
図2に示すように、モジュール放熱部材110の配置空間のリア側Z2には制御回路170(回路基板103)が配置され、モジュール放熱部材110の配置空間のフロント側Z1にはリア側ブラケット2が配置されているので、冷媒をモジュール放熱部材110の配置空間に集めることができ、冷却効率を高めることができる。
本実施の形態では、図2に矢印で示すように、冷媒流路180では、冷媒としての空気が、カバー101のカバー開口部101cを通って外側から吸引された後、モジュール放熱部材110の配置空間を径方向内側Y1に流れる。その後、空気は、リア側ブラケット2のリア側Z2の吸気開口部21をフロント側Z1に流れて、リア側送風ファン82に吸引される。なお、空気は逆向きに流れてもよい。
<制御回路冷却機構の配置構成>
上述したように、回転電機100は、モジュール放熱部材110の配置空間に流れた冷媒により制御回路170を冷却する制御回路冷却機構を備えている。
この構成によれば、モジュール放熱部材110の配置空間に流れた冷媒を利用して、制御回路冷却機構により制御回路170を冷却することができる。冷媒を、モジュール放熱部材110及び制御回路冷却機構に分けて供給する必要がなく、流路圧力損失を下げることができるため、流速が上がり、モジュール放熱部材110及び制御回路冷却機構の双方の冷却効率を向上することができる。パワーモジュール160及び制御回路170の冷却性を向上することで、耐熱性の高い部品を使用する必要性を低減し、部品コストを低減することができる。また、制御回路冷却機構を、モジュール放熱部材110の配置空間の下流側に配置することができ、冷媒の流れ方向(本例では、径方向Y)に対する冷却機構全体の幅(本例では、軸方向Z)が広がることを抑制し、大型化することを抑制できる。
制御回路冷却機構は、制御回路170の冷媒流路180側に配置されて、制御回路170に熱的に接続され、冷媒により冷却される放熱部材である回路放熱部材106を備えている。回路放熱部材106は、制御回路170の熱を外部に放熱する役割を有している。回路放熱部材106は、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、銅合金等の金属、セラミック、樹脂等の5W/m・K以上の熱伝導率を有する材料を用いて構成される。回路放熱部材106により、制御回路170の熱を、冷媒により効率的に外部に放出することができる。回路放熱部材106が配置された制御回路170の部分を特に冷却することができ、この部分に発熱量の大きい回路素子105を配置すれば、冷却効率を向上することができる。
本実施の形態では、上述したように、制御回路170(回路基板103)は、リア側ブラケット2のリア側Z2に間隔を空けて配置されている。パワーモジュール160及びモジュール放熱部材110は、軸方向Zにおけるリア側ブラケット2と制御回路170(回路基板103)との間の空間に配置されている。冷媒は、軸方向Zにおけるリア側ブラケット2と制御回路170との間に位置するモジュール放熱部材110の配置空間を流れる。そして、回路放熱部材106は、制御回路170側(本例では回路基板103)からフロント側Z1に突出している。この構成によれば、リア側Z2に配置された制御回路170の配置を変更することなく、制御回路170とリア側ブラケット2との間を流れる冷媒により回路放熱部材106を冷却し、制御回路170を冷却することができる。
回路放熱部材106は、モジュール放熱部材110よりも径方向内側Y1において、制御回路170側(回路基板103)からフロント側Z1に突出している。この構成によれば、モジュール放熱部材110の配置空間から径方向内側Y1に流れた冷媒を、そのまま回路放熱部材106にあてることができ、効率的にモジュール放熱部材110を冷却することができる。モジュール放熱部材110及び回路放熱部材106を径方向Yに並べて配置することができ、リア側ブラケット2と制御回路170(回路基板103)との間隔が軸方向Zに広がることを抑制し、回転電機100を小型化することができる。また、回路放熱部材106により、冷媒の流れる方向を、径方向内側Y1からフロント側Z1に変えることができ、フロント側Z1の回転電機本体部200側に供給することができる。
本実施の形態では、回路放熱部材106は、径方向Yに見てモジュール放熱部材110と重複する位置まで、制御回路170からフロント側Z1に突出している。回路放熱部材106は、モジュール放熱部材110の軸方向Zの中心位置よりも、フロント側Z1に突出している。また、回路放熱部材106は、リア側ブラケット2のリア側Z2の吸気開口部21よりも径方向内側Y1の径方向位置に配置される部分を有しており、冷媒を吸気開口部21に効率的に導ける。なお、本例では、回路放熱部材106の全体が、吸気開口部21よりも径方向内側Y1の径方向位置に配置されている。モジュール放熱部材110は、フロント側Z1に延びる直方体状に形成されている。モジュール放熱部材110は、冷却性能を高めるため、複数の突出部材(フィン)を設けていてもよく、任意の形状に形成されてもよい。
本実施の形態では、回路素子105は、回路基板103のリア側Z2の面に実装されている。回路基板103のフロント側Z1側の面は、樹脂などの保護部材に覆われてもよい。なお、回路素子105は、回路基板103のフロント側Z1の面に実装されてもよい。回路基板103を挟んで回路放熱部材106の反対側(リア側Z2)に、回路素子105が配置されている。反対側に配置された回路素子105を効率的に冷却することができる。回路放熱部材106の反対側に配置される回路素子105は、発熱量が大きい回路素子105(例えば、CPU(Central Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit))とされてもよい。
本実施の形態では、回路放熱部材106は、制御回路170(回路基板103)のフロント側Z1の面に固定されている。本実施の形態では、回路放熱部材106と制御回路170(回路基板103)との間には、接触熱抵抗を低減するため、伝熱材が介在してもよい。伝熱材には、例えば接着剤、グリース、シート、ゲル、はんだ、銀ペースト等が用いられる。回路放熱部材106は、ねじ等の固定部材により制御回路170(回路基板103)に固定されてもよい。
モジュール放熱部材110及びパワーモジュール160が周方向に分散して複数設けられる場合は、各モジュール放熱部材110に対応して、回路放熱部材106も、周方向に分散して複数設けられてもよい。
2.実施の形態2
次に、実施の形態2に係る回転電機100について説明する。上記の実施の形態1と同様の構成部分は説明を省略する。図6は、本実施の形態に係る回転電機100を、モジュール放熱部材110及び回転軸4の軸心Cを通る平面で切断した模式的な断面図である。
本実施の形態では、制御回路170の冷媒流路180側(本例では、フロント側Z1)を覆い、制御回路170に熱的に接続されたケース102が備えられている。そして、制御回路冷却機構は、ケース102の冷媒流路180側に配置されて、ケース102に熱的に接続され、冷媒により冷却される放熱部材である回路放熱部材106を備えている。よって、回路放熱部材106は、ケース102を介して、制御回路170に熱的に接続されている。
この構成によれば、冷媒に含まれる異物から、ケース102により制御回路170を保護することができる共に、ケース102を介して制御回路170の熱を回路放熱部材106に伝達し、冷却することができる。
本実施の形態では、ケース102は、回路基板103のフロント側Z1を覆う底壁と、回路基板103の外周側を覆う周壁と、を備えている。回路基板103のリア側Z2は、カバー101のリア側底壁101aにより覆われている。
ケース102には、樹脂、アルミニウム、アルミニウム合金等の伝熱性が良好な材料が用いられる。ケース102は、冷媒により冷却される。すなわち、ケース102のフロント側Z1の面は、ケース102のフロント側Z1を流れる冷媒により冷却される。
ケース102は、パワーモジュール160の制御用接続部材164が貫通する貫通孔が設けられている。制御用接続部材164は、回路基板103に接続される。
パワーモジュール160及びモジュール放熱部材110は、軸方向Zにおけるリア側ブラケット2とケース102との間の空間に配置されている。冷媒は、軸方向Zにおけるリア側ブラケット2とケース102との間に位置するモジュール放熱部材110の配置空間を流れる。
実施の形態1と同様に、回路放熱部材106は、制御回路170側(本例ではケース102)からフロント側Z1に突出している。また、冷媒は、モジュール放熱部材110の配置空間を径方向内側Y1に流れ、回路放熱部材106は、モジュール放熱部材110よりも径方向内側Y1において、制御回路170側(ケース102)からフロント側Z1に突出している。
回路放熱部材106は、ケース102のフロント側Z1の面に固定されている。回路放熱部材106とケース102との間には、接触熱抵抗を低減するため、伝熱材が介在してもよい。伝熱材には、例えば、接着剤、グリース、シート、ゲル、はんだ、銀ペースト等が用いられる。回路放熱部材106は、ねじ等の固定部材によりケース102(回路基板103)に固定されてもよい。或いは、回路放熱部材106は、ケース102と一体的に形成されてもよい。
回路素子105は、回路基板103のリア側Z2の面に実装されている。ケース102及び回路基板103を挟んで回路放熱部材106の反対側(リア側Z2)に、回路素子105が配置されている。当該回路素子105を効率的に冷却することができる。回路放熱部材106の反対側に配置される回路素子105は、発熱量が大きい回路素子105(例えば、CPU、ASIC)とされてもよい。また、回路素子105の熱がケース102で分散するので、制御回路170を全体的に冷却させることができる。なお、回路素子105は、回路基板103のフロント側Z1の面に実装されてもよい。この場合は、発熱量が大きい回路素子105が、ケース102を挟んでリア側Z2に配置されてもよい。
本実施の形態では、制御回路170のフロント側Z1の面は、ケース102のリア側Z2の面に熱的に接続されている。制御回路170とケース102との間には、接触熱抵抗を低減するため、伝熱材が介在している。伝熱材には、例えば、樹脂、シート、ゲル等が用いられる。制御回路170は、パワーモジュール160と同様の封止樹脂165等の伝熱性の封止部材によりケース102内に封止されてもよい。
3.実施の形態3
次に、実施の形態3に係る回転電機100について説明する。上記の実施の形態1と同様の構成部分は説明を省略する。図7は、本実施の形態に係る回転電機100を、モジュール放熱部材110及び回転軸4の軸心Cを通る平面で切断した模式的な断面図である。
本実施の形態では、制御回路170の冷媒流路180側(本例では、フロント側Z1)を覆うケース102が備えられている。そして、制御回路冷却機構は、制御回路170に熱的に接続された回路放熱部材106を備えている。回路放熱部材106は、ケース102に設けられた貫通孔102aを貫通して、冷媒流路180側(本例では、フロント側Z1)に突出して、冷媒により冷却される。
この構成によれば、冷媒に含まれる異物から、ケース102により制御回路170を保護することができる共に、ケース102を介さずに、回路放熱部材106により直接、制御回路170を冷却することができ、回路放熱部材106付近に配置された回路素子105の冷却効率を向上させることができる。
実施の形態2と同様に、ケース102は、回路基板103のフロント側Z1を覆う底壁と、回路基板103の外周側を覆う周壁と、を備えている。回路基板103のリア側Z2は、カバー101のリア側底壁101aにより覆われている。
ケース102には、樹脂、アルミニウム、アルミニウム合金等の材料が用いられる。ケース102は、パワーモジュール160の制御用接続部材164が貫通する貫通孔が設けられている。制御用接続部材164は、回路基板103に接続される。
パワーモジュール160及びモジュール放熱部材110は、軸方向Zにおけるリア側ブラケット2とケース102との間の空間に配置されている。冷媒は、軸方向Zにおけるリア側ブラケット2とケース102との間に位置するモジュール放熱部材110の配置空間を流れる。
回路放熱部材106は、制御回路170側(本例では回路基板103)から、ケース102の貫通孔102aを貫通してフロント側Z1に突出している。また、冷媒は、モジュール放熱部材110の配置空間を径方向内側Y1に流れ、回路放熱部材106は、モジュール放熱部材110よりも径方向内側Y1において、制御回路170側(ケース102の貫通孔102a)からフロント側Z1に突出している。
実施の形態1と同様に、回路放熱部材106は、回路基板103のフロント側Z1の面に固定されている。回路基板103を挟んで回路放熱部材106の反対側(リア側Z2)に、回路素子105が配置されている。当該回路素子105を効率的に冷却することができる。回路放熱部材106の反対側に配置される回路素子は、発熱量が大きい回路素子105(例えば、CPU、ASIC)とされてもよい。なお、回路素子105は、回路基板103のフロント側Z1の面に実装されてもよい。
本実施の形態では、制御回路170のフロント側Z1の面と、ケース102のリア側Z2の面とは、隙間を空けて配置されている。なお、実施の形態2と同様に、制御回路170のフロント側Z1の面とケース102のリア側Z2の面とが、伝熱材を介して熱的に接続されてもよい。
4.実施の形態4
次に、実施の形態4に係る回転電機100について説明する。上記の実施の形態1又は3と同様の構成部分は説明を省略する。図8は、本実施の形態に係る回転電機100を、モジュール放熱部材110及び回転軸4の軸心Cを通る平面で切断した模式的な断面図である。
実施の形態3と同様に、制御回路170を覆うケース102が備えられている。そして、制御回路冷却機構は、制御回路170に熱的に接続された回路放熱部材106を備えている。回路放熱部材106は、ケース102に設けられた貫通孔102aを貫通して、冷媒流路180側(本例ではフロント側Z1)に突出して、冷媒により冷却される。
実施の形態1及び3と同様に、回路基板103を挟んで回路放熱部材106の反対側(リア側Z2)に、回路素子105が配置されている。本実施の形態では、回路放熱部材106と回路素子105との間に挟まれる回路基板103の部分には、回路基板103を貫通するスルーホール107が設けられている。スルーホール107には、金属材料が充填されてもよい。スルーホール107を設けることにより、回路素子105から、回路放熱部材106への熱伝導を高めることができ、回路素子105をより効率的に冷却することができる。
5.実施の形態5
次に、実施の形態5に係る回転電機100について説明する。上記の実施の形態1と同様の構成部分は説明を省略する。図9は、本実施の形態に係る回転電機100を、モジュール放熱部材110及び回転軸4の軸心Cを通る平面で切断した模式的な断面図である。
実施の形態3と同様に、制御回路170の冷媒流路180側(本例では、フロント側Z1)を覆うケース102が備えられている。実施の形態2と同様に、制御回路冷却機構は、ケース102の冷媒流路180側(フロント側Z1)に配置されて、ケース102に熱的に接続され、冷媒により冷却される放熱部材である回路放熱部材106を備えている。
本実施の形態では、回路素子105は、回路基板103の冷媒流路180側(本例では、フロント側Z1)に配置されている。ケース102を挟んで回路放熱部材106の反対側(リア側Z2)に、回路素子105aが配置されており、反対側に配置された回路素子105aは、ケース102に熱的に接続されている。回路放熱部材106により、回路素子105aを効率的に冷却することができる。
また、回路基板103のフロント側Z1に配置された別の回路素子105bは、回路放熱部材106を設けている。回路放熱部材106は、ケース102に設けられた貫通孔102aを貫通し、冷媒流路180側(本例では、フロント側Z1)に突出して、冷媒により冷却される。本実施の形態では、回路放熱部材106は、回路素子105bと一体的に構成されている。なお、回路放熱部材106は、回路素子105bとは別体とされてもよい。この構成によれば、回路素子105bの熱を、冷媒流路180側に突出した回路放熱部材106により直接、冷却することができる。
6.実施の形態6
次に、実施の形態6に係る回転電機100について説明する。上記の実施の形態1と同様の構成部分は説明を省略する。図10及び図11は、本実施の形態に係る回転電機100を、モジュール放熱部材110及び回転軸4の軸心Cを通る平面で切断した模式的な断面図である。
実施の形態3と同様に、制御回路170の冷媒流路180側(本例では、フロント側Z1)を覆うケース102が備えられている。そして、制御回路冷却機構は、制御回路170に熱的に接続された回路放熱部材106を備えている。回路放熱部材106は、ケース102に設けられた貫通孔102aを貫通して、冷媒流路180側(本例では、フロント側Z1)に突出して、冷媒により冷却される。
本実施の形態では、回路素子105は、回路基板103のリア側Z2に配置されている。回路放熱部材106は、回路基板103を貫通しており、リア側Z2に配置された回路素子105に、回路基板103を介さずに、熱的に接続されている。
1つの回路放熱部材106aは、モジュール放熱部材110よりも径方向内側Y1において、制御回路170側からフロント側Z1に突出している。別の回路放熱部材106bは、モジュール放熱部材110のリア側Z2の空間において、制御回路170側からフロント側Z1に突出している。
本実施の形態では、回路放熱部材106のフロント側Z1への突出高さが低く、回路放熱部材106は、径方向Yに見てモジュール放熱部材110と重複していない。モジュール放熱部材110の配置空間を径方向内側Y1に流れた冷媒を、リア側Z2に誘導し、回路放熱部材106に供給する誘導部材108が備えられている。誘導部材108は、リア側Z2及び径方向内側Y1の合成方向に延びている。
この構成によれば、回路放熱部材106の突出高さが低く、モジュール放熱部材110の径方向内側Y1に回路放熱部材106が配置されていない場合でも、誘導部材108により、冷媒をリア側Z2に誘導し、回路放熱部材106に供給し、冷却することができる。これにより、回路基板103上の回路素子105の配置の自由度が生まれ、制御回路170の小型化を図ることができる。
誘導部材108は、周方向Xにも延びた板状の部材であってもよい。誘導部材108の面積が増加し、誘導される冷媒の流量を増加させることができる。
図10に示す例では、誘導部材108は、モジュール放熱部材110に設けられている。この場合は、誘導部材108の分だけ、モジュール放熱部材110の表面積を増やすことができ、パワーモジュール160の冷却効率を高めることができる。なお、誘導部材108は、回路放熱部材106に設けられてもよい。
図11に示す例では、誘導部材108は、ケース102に設けられている。この場合は、誘導部材108をケース102と同じ材料で形成して、軽量化を図ることができる。誘導部材108をケース102と一体的に形成して、部品点数を削減することができる。
誘導部材108は、モジュール放熱部材110及びケース102と別体であってもよい。この場合は、誘導部材108は、ねじ止め等により、他の部材に固定される。また、誘導部材108の配置の自由度を高めることができ、適切な位置に、適切な大きさで誘導部材108を配置することができる。
7.実施の形態7
次に、実施の形態7に係る回転電機100について説明する。上記の実施の形態1と同様の構成部分は説明を省略する。図12は、本実施の形態に係る回転電機100を、モジュール放熱部材110及び回転軸4の軸心Cを通る平面で切断した模式的な断面図である。
実施の形態3と同様に、制御回路170の冷媒流路180側(本例では、フロント側Z1)を覆うケース102が備えられている。そして、制御回路冷却機構は、制御回路170に熱的に接続された回路放熱部材106を備えている。回路放熱部材106は、ケース102に設けられた貫通孔102aを貫通して、冷媒流路180側(本例では、フロント側Z1)に突出して、冷媒により冷却される。
実施の形態6と同様に、回路素子105は、回路基板103のリア側Z2に配置されている。回路放熱部材106は、回路基板103を貫通しており、リア側Z2に配置された回路素子105に、回路基板103を介さずに、熱的に接続されている。
1つの回路放熱部材106aは、モジュール放熱部材110よりも径方向内側Y1において、制御回路170側からフロント側Z1に突出している。別の回路放熱部材106bは、モジュール放熱部材110のリア側Z2の空間において、制御回路170側からフロント側Z1に突出している。
実施の形態6と同様に、回路放熱部材106のフロント側Z1への突出高さが低く、回路放熱部材106は、径方向Yに見てモジュール放熱部材110と重複していない。モジュール放熱部材110の配置空間を径方向内側Y1に流れた冷媒を、リア側Z2に誘導し、回路放熱部材106に供給する誘導部材を備えている。誘導部材は、リア側Z2及び径方向内側Y1の合成方向に延びている。
本実施の形態では、外側に突出したパワーモジュール160の接続部材が、誘導部材を構成している。図12に示すように、電力用半導体素子と制御回路170とを接続する制御用接続部材164の形状が実施の形態1と異なっており、制御用接続部材164が、誘導部材を構成している。制御用接続部材164は、パワーモジュール160の本体部(封止樹脂165)からリア側Z2及び径方向内側Y1の合成方向に斜めに延びた後、リア側Z2に延びている。斜めに延びた部分により、モジュール放熱部材110の配置空間付近を流れる冷媒をリア側Z2に誘導することができ、その先に配置された回路放熱部材106aに供給することができる。制御用接続部材164が誘導部材とされているので、部品点数を増加させることなく、制御回路170の冷却性能を向上させることができる。なお、図12には、1つの制御用接続部材164を代表して示しているが、他の制御用接続部材164は、図示のような形状を有してもよいし、他の形状を有してもよい。また、図示のような形状の複数の制御用接続部材164が、周方向Xに間隔を空けて並べられてもよい。
図12に示すように、電力用半導体素子を正極側電源端子151側に接続する正極側接続部材161の形状が実施の形態1と異なっており、正極側接続部材161が、誘導部材を構成している。正極側接続部材161は、パワーモジュール160の本体部からリア側Z2及び径方向内側Y1の合成方向に斜めに延びている。斜めに延びた部分により、モジュール放熱部材110の配置空間付近を流れる冷媒をリア側Z2に誘導することができ、その先に配置された回路放熱部材106bに供給することができる。封止樹脂165も、本体部からリア側Z2及び径方向内側Y1の合成方向に斜めに延びている。正極側接続部材161が誘導部材とされているので、部品点数を増加させることなく、制御回路170の冷却性能を向上させることができる。なお、図12には、正極側接続部材161を示しているが、誘導部材108とされるのは、正極側接続部材161及び負極側接続部材162の一方又は双方とされてよい。
8.実施の形態8
次に、実施の形態8に係る回転電機100について説明する。上記の実施の形態1と同様の構成部分は説明を省略する。図13は、本実施の形態に係る回転電機100を、モジュール放熱部材110及び回転軸4の軸心Cを通る平面で切断した模式的な断面図である。
実施の形態3と同様に、制御回路170の冷媒流路180側(本例では、フロント側Z1)を覆うケース102が備えられている。そして、制御回路冷却機構は、制御回路170に熱的に接続された回路放熱部材106を備えている。回路放熱部材106は、ケース102に設けられた貫通孔102aを貫通して、冷媒流路180側(本例では、フロント側Z1)に突出している。
回路放熱部材106は、モジュール放熱部材110のリア側Z2の空間において、制御回路170側からフロント側Z1に突出している。モジュール放熱部材110に、リア側Z2及び径方向内側Y1の合成方向に冷媒を流す誘導流路112が形成されている。
軸方向Zに間隔をあけて並べられた複数の板状の突出部110b(フィン)のそれぞれに、リア側Z2及び径方向内側Y1の合成方向に沿って貫通孔(又は切欠き)が形成されており、この貫通孔が、誘導流路112を形成している。貫通孔が形成された合成方向の先に、回路放熱部材106が配置されている。或いは、基礎部110aに、リア側Z2及び径方向内側Y1の合成方向に延びる貫通孔が形成されてもよい。回路放熱部材106の配置位置に合わせて、任意の位置に誘導流路112が形成されてもよい。モジュール放熱部材110に誘導流路112が形成されているので、部品点数を増加させることなく、制御回路170の冷却性能を向上させることができる。回路放熱部材106が、モジュール放熱部材110のリア側Z2に配置されている場合でも、冷媒を供給することができる。また、回路基板103上の回路素子105の配置の自由度が生まれ、制御回路170の小型化を図ることができる。
9.実施の形態9
次に、実施の形態9に係る回転電機100について説明する。上記の実施の形態1と同様の構成部分は説明を省略する。図14は、本実施の形態に係る対にされた2つのパワーモジュール160及びモジュール放熱部材110の斜視図である。
本実施の形態では、2つのパワーモジュール160が、放熱部材固定面16を周方向Xに互いに対向させて配置されている。2つのパワーモジュール160の間に、1つ以上のモジュール放熱部材110が配置されると共に、冷媒が径方向に流れる冷媒流路180が形成されている。本実施の形態では、2つのパワーモジュール160の間に、2つのモジュール放熱部材110が配置され、2つのパワーモジュール160の放熱部材固定面16のそれぞれに、モジュール放熱部材110が1つずつ熱的に接続され、2つのモジュール放熱部材110の間の空間が、冷媒が径方向Yに流れる冷媒流路180とされている。
この構成によれば、2つのパワーモジュール160で、冷媒が流れる冷媒流路180を共通化し、集約することができる。また、2つのパワーモジュール160を、周方向Xに近接して配置できるため、パワーモジュール160及びモジュール放熱部材110の周方向Xの配置面積を減少させ、電力供給ユニット300を小型化できる。2つのパワーモジュール160が周方向Xに並べて配置されるので、各パワーモジュール160のリア側Z2に制御回路170を配置することができ、各パワーモジュール160から制御用接続部材164をリア側Z2に延ばして制御回路170に接続することができる。
2つのモジュール放熱部材110のフロント側Z1の端部が、固定部材113により互いに固定されている。なお、2つのモジュール放熱部材110のリア側Z2の端部も、固定部材により互いに固定されてもよい。固定部材113により、2つのパワーモジュール160及びモジュール放熱部材110の相互の配置精度を高めることができる。固定部材113は、例えば、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、リエーテルエーテルケトン(PEEK)等の樹脂材料から構成されていてもよく、或いは、鉄、アルミ、銅、などの純金属、又は鉄、アルミ、銅等から成る合金から構成されてもよい。各固定部材113は、モジュール放熱部材110に、例えば、ねじ止め、接着、かしめ、溶接等によって固定される。
さらに、固定部材113が、高い熱伝導率、例えば5W/m2・K以上の熱伝導率を有する材料にて構成されている場合、向かい合った2つのモジュール放熱部材110の温度を均等化することができる。パワーモジュール160は、それぞれ異なるタイミングで動作して通電タイミングが異なることから、パワーモジュール160に搭載される電力用半導体素子の温度がばらつき、モジュール放熱部材110の温度がばらつく可能性があるが、ばらつきを抑制することができる。
本実施の形態でも、2つのパワーモジュール160の間に配置されたモジュール放熱部材110に、リア側Z2及び径方向内側Y1の合成方向に冷媒を流す誘導流路が形成されている。本例では、固定部材113に、2つのモジュール放熱部材110の間の冷媒流路180から、リア側Z2に貫通する貫通孔112が形成されており、当該貫通孔112が、誘導流路となっている。冷媒は、貫通孔112からリア側Z2及び径方向内側Y1の合成方向に流れる。冷媒の流れる方向の先に、回路放熱部材106が配置される。回路放熱部材106の配置位置に合わせて、任意の位置に誘導流路(貫通孔112)が形成されてもよい。
モジュール放熱部材110に誘導流路が形成されているので、部品点数を増加させることなく、制御回路170の冷却性能を向上させることができる。回路放熱部材106が、モジュール放熱部材110のリア側Z2に配置されている場合でも、冷媒を供給することができる。また、回路基板103上の回路素子105の配置の自由度が生まれ、制御回路170の小型化を図ることができる。
なお、固定部材113が設けられなくてもよい。向かい合った2つモジュール放熱部材110のそれぞれに、実施の形態8のような、リア側Z2及び径方向内側Y1の合成方向に延びる誘導流路としての貫通孔が形成されてもよい。或いは、2つのパワーモジュール160の間に、1つのモジュール放熱部材110が配置され、1つのモジュール放熱部材110に、径方向Yに貫通する冷媒の冷媒流路180が形成されてもよい。この場合は、1つのモジュール放熱部材110に、径方向Yに貫通する冷媒流路180から、リア側Z2、又はリア側Z2及び径方向内側Y1の合成方向に貫通する誘導流路としての貫通孔が設けられてもよい。
本願は、様々な例示的な実施の形態及び実施例が記載されているが、1つ、または複数の実施の形態に記載された様々な特徴、態様、及び機能は特定の実施の形態の適用に限られるのではなく、単独で、または様々な組み合わせで実施の形態に適用可能である。従って、例示されていない無数の変形例が、本願明細書に開示される技術の範囲内において想定される。例えば、少なくとも1つの構成要素を変形する場合、追加する場合または省略する場合、さらには、少なくとも1つの構成要素を抽出し、他の実施の形態の構成要素と組み合わせる場合が含まれるものとする。