JP3982812B2 - エアーナイフの洗浄方法、エアーナイフ及びウェットエッチング装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、エアーナイフの洗浄方法、エアーナイフ及びウェットエッチング装置に係り、さらに詳しくは、半導体装置用の基板に付着したエッチング薬液の液切りを行うエアーナイフの洗浄方法の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体装置用の基板上、例えば液晶表示装置用のTFT基板上に形成された半導体、絶縁体、金属などの薄膜は、レジスト膜の形成、露光、現像、エッチング、レジスト膜の剥離などの一連の工程を経て、半導体素子、配線などにパターニングされる。このうち、薄膜の不要部を除去するエッチング工程は、エッチング薬液を用いるウエットエッチング処理と、ガス放電を用いるドライエッチング処理に分類することができる。
【0003】
図3は、従来のウェットエッチング装置の概略構成を示したブロック図である。このウェットエッチング装置は、液晶表示装置用のガラス基板10にエッチング薬液を塗布してエッチング処理を行う装置であり、エッチング処理後にエッチング薬液の洗浄及び基板10の乾燥が行われる。
【0004】
このウェットエッチング装置は、ローダー部1、エッチング処理部2、水洗処理部3、乾燥処理部4及びアンローダー部5からなる。ローダー部1は、前工程から搬送されてきた基板10を受け入れる基板搬入部であり、レジスト膜の成膜、露光及び現像が行われた基板10がカセット等の搬送容器に格納された状態で搬入される。ローダー部1では、カセットから基板10が取り出され、搬送ローラー6により、エッチング処理部2、水洗処理部3、乾燥処理部4を順に経て、アンローダー部5へと搬送される。
【0005】
エッチング処理部2では、ローダー部1から搬送された基板10に対し、薬液スプレー20からエッチング薬液が散布される。このエッチング薬液によりレジストに被覆されていない薄膜が除去されパターニングされる。また、エッチング処理部2内の後段には、エッチング薬液の液切りを行う液切り処理部21が設けられている。つまり、エッチング処理部2は、エッチング槽及び液切り処理部21からなる。液切り処理部21では、基板搬送路の上下方向に2個のエアーナイフ7が設けられ、基板進行方向の前方から後方へ向けて、基板10の表裏面に対し一定の角度を有する方向にエアーブローを行って、基板10の表裏面に付着したエッチング薬液の液切りを行っている。
【0006】
水洗処理部3では、エッチング処理後の基板10に対し純水を散布して水洗処理を行っている。水洗処理部3には、基板搬送路の上下方向に純水スプレー30,31が設けられ、液切り後の基板10の表裏面に付着したエッチング薬液を洗浄している。
【0007】
乾燥処理部4は、水洗処理後の基板10を乾燥させる乾燥処理が行われる。乾燥処理部4内の前段には、基板搬送路の上下方向に設けられた2個のエアーナイフ8から、水洗処理後の基板10に対しエアーブローを行って、基板10の表裏面に付着した純水の液切りを行っている。
【0008】
アンローダー部5は、基板10を後工程へと搬出する基板搬出部であり、乾燥処理後の基板10は、アンローダー部5でカセット等の搬送容器に格納された後に搬出される。
【0009】
図4は、図3の液切り処理部21に設けられたエアーナイフ7の概略構成を示した外観図である。このエアーナイフ7は、エアーナイフ本体70及び71からなり、エアー供給管73が接続されている。エアーナイフ本体70及び71は、内部に中空部を有するように係合され、この中空部は、細長いスリット状のエアー噴出口72及びエアー供給管73との接続部を除き密閉されている。このため、エアー供給管73から供給されたエアーは、エアー噴出口72から勢いよく噴出され、エッチング液の液切りを行うことができる。
【0010】
この様にして、エッチング槽及び水洗処理部3の間に液切り用のエアーナイフ7を設けて、基板に付着したエッチング液をエアーブローで吹き飛ばし、その大部分を水洗処理前に除去することにより、水洗処理部3がエッチング液で汚染されるのを防止できる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、エアーナイフ7に付着したエッチング液が結晶化することによって、エアーナイフの液切れ能力が低下し、あるいは、結晶化したエッチング液が基板に再付着して製造歩留まりを低下させるという問題があった。
【0012】
図5は、エッチング液の結晶9が付着した状態のエアーナイフを示した図である。スリット状のエアー噴出口72においてエッチング液が結晶化した場合の様子が示されている。エアー噴出口72に析出したエッチング液の結晶9は、エアー噴出口72からのエアー噴出を妨げ、あるいは、エアー噴出口72を押し広げてスリット幅を変化させる。このため、エアーナイフ7の液切り能力が低下し、水洗処理部へのエッチング薬液の持ち出し量が増加するため、水洗処理部3が汚染され、ひいては製造歩留まりを低下させることになる。
【0013】
また、エアーナイフ7のエアー噴出口72に析出した結晶9が、エアー噴出口72からのエアーとともに基板に吹き付けられると、基板上に形成されたパターンを壊して、パターン不良などを生じさせることになる。
【0014】
エアー噴出口72にエッチング液の結晶9が付着した場合、エアーナイフ7を洗浄すれば、上述したような不具合を解消することができる。ところが、エアーナイフを洗浄するためには、ウェットエッチング装置からエアーナイフ7を取り外し、分解清掃する必要がある。分解清掃した場合には、その後、組立及び取り付けを行う必要があり、エアー噴出口72のスリット幅や、エアーナイフの取り付け位置の調整を行う必要がある。このため、エアーナイフの分解清掃は、生産能力を著しく低下させるという問題があった。
【0015】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、エアーナイフの取り外しや分解などの作業を必要とせず、簡単に洗浄することができるエアーナイフの洗浄方法を提供することを目的とする。また、このような洗浄が可能なエアーナイフを提供することを目的とする。更に、このような洗浄が可能なエアーナイフをエッチング薬液の液切りに用いたウェットエッチング装置を提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明によるエアーナイフの洗浄方法は、エアーをスリット状のエアー噴出口から噴出させ、エッチング処理後の基板に付着したエッチング薬液の液切りを行うエアーナイフの洗浄方法であって、薬液切り処理の休止時にエアーナイフへ純水を供給し、エアー噴出口から噴出させる洗浄ステップと、純水の供給停止後であって液切り処理の再開前にエアーを供給し、エアーナイフ内を乾燥させる乾燥ステップとを有し、上記洗浄ステップにおいて、エアー及び純水を交互に供給し、上記エアーナイフ内でバブリングを発生させるように構成される。
【0017】
また、本発明によるエアーナイフの洗浄方法は、上記洗浄ステップが、上記エアーナイフ内に設けられた中空部内にエアーを供給するための共通のエアー供給管を介して、上記中空部内へエアー及び純水を交互に供給するステップであるように構成される。また、上記洗浄ステップが、上記中空部内から上記エアー噴出口へのエアーの噴出方向とは異なる方向からエアー及び純水を上記中空部内へ供給するステップであるように構成される。
【0018】
また、本発明によるエアーナイフは、エッチング処理後の基板に付着したエッチング薬液の液切りを行うエアーナイフであって、エアーが供給されるエアー供給管と、供給されたエアーを噴出させるスリット状のエアー噴出口と、純水を供給する純水供給管と、上記エアー供給管が接続され、エアー及び純水が供給される中空部とを備え、薬液切り処理の休止時に上記エアー供給管を介して上記中空部内にエアー及び純水が交互に供給され、上記中空部内でバブリングを発生させるとともに、純水の供給停止後であって液切り処理の再開前にエアーが供給されるように構成される。
【0019】
また、本発明によるウェットエッチング装置は、基板にエッチング薬液を塗布するエッチング処理部と、スリット状のエアー噴出口からエアーを噴出させ、基板に付着したエッチング薬液の液切りを行うエアーナイフと、液切りされた基板を純水により洗浄する水洗処理部とを備え、エッチング処理の休止時に上記エアーナイフ内に設けられた中空部内へエアー及び純水が交互に供給され、上記中空部内でバブリングを発生させるとともに、上記エアー噴出口からエアー及び純水を噴出させてエアーナイフを洗浄し、純水の供給停止後であってエッチング処理の再開前にエアーが供給されるように構成される。
【0020】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明によるエアーナイフの配管構成例を示した配管系統図である。図示されたエアーナイフ7は、図3のウェットエッチング装置において、液切り処理部21に設けられた上下で一対のエアーナイフである。
【0021】
各エアーナイフ7には、共通のエアー供給管73から分岐したエアー供給管がそれぞれ接続されエアーが供給される。このエアー供給管73には、エアー供給を制御するためのエアー用バルブ75、例えば、開閉式の電磁弁が分岐点よりもエアー供給側に設けられている。また、エアー供給管73の分岐点とエアー用バルブ75の間には、純水供給管74が接続されている。この純水供給管74にも、純水供給量を調整することができる純水用バルブ76、例えば、開閉式の電磁弁が設けられている。
【0022】
ウェットエッチング装置内を基板が搬送され、エッチング処理が行われている通常時には、エアー用バルブ75が開かれ、純水用バルブ76は閉じられている。このため、従来のエアーナイフと全く同様にして、一対のエアーナイフ7に対しエアーのみが供給され、エアー噴出口72からはエアーのみが噴出される。
【0023】
一方、ウェットエッチング装置内で基板が搬送されないエッチング処理の休止時、例えば、エッチング薬液の交換時に純水用バルブ76が開かれ、一対のエアーナイフ7に対し純水が供給され、エアー噴出口72から純水を噴出させる。なお、純水の供給は、少なくとも液切り処理の休止時に行われる必要がある。
【0024】
エアーナイフ7に純水を供給すれば、エアーナイフ内部や、エアー噴出口72を純水で洗浄することができる。特に、純水をエアー噴出口72から噴出させることによって、エアー噴出口72に析出し、スリット幅を変化させていたエッチング薬液の結晶9も純水に溶解させて排出、除去または押し出すことができる。
【0025】
エアーナイフを純水で洗浄する際、エアー用バルブ75を閉じて、純水のみを供給してもよいが、エアー用バルブ75及び純水用バルブ76をともに開いて、エアーナイフ7に対しエアー及び純水を同時に供給し、あるいは交互に供給すれば、エアー供給管73内やエアーナイフ7内で容易にバブリングを生じさせることができる。バブリングによって細かな気泡を含んだ純水をエアー噴出口72から噴出させることにより、エアー噴出口72に付着した結晶9をより効果的に除去することができる。
【0026】
図2は、エアーナイフ7内でバブリングが発生する際の様子を示した説明図であり、エアーナイフ7の内部構造の一例が断面図により示されている。エアーナイフ7内には中空部77が設けられ、エアー供給管73に接続されるとともに、エアー噴出口72が設けられている。
【0027】
中空部77及びエアー供給管73は、内部形状が異なり、その断面積は中空部77の方が広くなっている。さらに、中空部77は、エアー供給管73からの供給方向と、エアー噴出口72への噴出方向とが異なっている。このため、中空部77に供給されたエアーや純水は、その供給圧力によって中空部77内で撹拌される。
【0028】
このため、エアー供給管73から純水のみを供給した場合、中空部77を純水で満たせば、撹拌された純水によって中空部77を洗浄することができる。また、純水とエアーを同時に供給した場合には、純水とエアーとが中空部77内で撹拌され、バブリングを発生させることができる。
【0029】
さらに、純水とエアーを交互に供給すれば、効果的にバブリングを発生させることができる。すなわち、中空部77内がエアーで満たされている状態において、エアー用バルブ75を閉じ、純水用バルブ76を開いて、中空部77に純水のみを供給すれば、容易にバブリングを発生させることができる。その後、中空部77内が純水で満たされた状態になった後、エアー用バルブ75を開き、純水用バルブ76を閉じて、中空部77にエアーのみを供給すれば、バブリングを発生させることができる。
【0030】
エアーナイフ7の洗浄が完了した後、純水用バルブ76を閉じて、エアーのみを一定時間供給して、エアー供給管73の内部、エアーナイフ7のエアー噴出口72や中空部77を乾燥させる。これらの乾燥が完了した後、ウェットエッチング装置によるエッチング処理が再開される。なお、少なくともこれらの乾燥後に液切り処理が再開される必要がある。
【0031】
本実施の形態によれば、薬液切り処理の休止時にエアーナイフ7へ純水を供給し、エアー噴出口72から純水を噴出させている。このため、エアーナイフ7の内部やエアー噴出口72を洗浄する際、ウェットエッチング装置からエアーナイフ7を取り外して分解清掃する必要がなく、洗浄後にエアー噴出口72のスリット幅の調整やエアーナイフ7の取り付けなどを行う必要もない。
【0032】
また、洗浄時のエアーナイフに対し、純水及びエアーを同時に供給し、あるいは、純水及びエアーを交互に供給している。このため、エアー供給管内又はエアーナイフ内において容易にバブリングを発生させることができ、効果的に洗浄することができる。
【0033】
また、純水の供給停止後であって液切り処理の再開前にエアーを供給し、エアーナイフ内を乾燥させているため、洗浄完了後のエアー供給管73内部及びエアーナイフ7内部に純水が残ることがない。
【0034】
この様にしてエアーナイフを洗浄すれば、エッチング薬液の交換時などに定期的にエアーノズルの洗浄を行うことが可能となる。従って、エアーナイフ7の液切り能力が低下し、エッチング薬液の持ち出し量が増加による水洗処理部3の汚染を防止することができる。また、エアーナイフに付着した結晶9が、基板に当たることによる品質劣化、歩留まり低下を抑制することができる。
【0035】
【発明の効果】
本発明によれば、薬液切り処理の休止時にエアーナイフへ純水を供給し、エアー噴出口72から純水を噴出させている。このため、例えば、ウェットエッチング装置においてエッチング薬液を交換する際などにエアーノズルの洗浄を容易に行うことができる。また、純水の供給停止後であって液切り処理の再開前にエアーを供給し、エアーナイフ内に純水が残ることがない。
【0036】
また、本発明によれば、エアーノズルの洗浄時に、エアー及び純水を同時に供給し、あるいは、エアー及び純水を交互に供給し、エアーナイフ内でバブリングを発生させている。このため、効果的にエアーナイフの洗浄を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明によるエアーナイフの配管構成例を示した配管系統図である。
【図2】 エアーナイフ7内でバブリングが発生する際の様子を示した説明図である。
【図3】 従来のウェットエッチング装置の概略構成を示したブロック図である。
【図4】 図3の液切り処理部21に設けられたエアーナイフ7の概略構成を示した外観図である。
【図5】 エッチング液の結晶が付着した状態のエアーナイフを示した図である。
【符号の説明】
1 ローダー部、 2 エッチング処理部、
3 水洗処理部、 4 乾燥処理部、
5 アンローダー部、 6 搬送ローラー、
7 エアーナイフ、 10 基板、
20 薬液スプレー、 21 液切り処理部、
30,31 純水スプレー、
70,71 エアーナイフ本体、
72 エアー噴出口、 73 エアー供給管、
74 純水供給管、 75 エアー用バルブ、
76 純水用バルブ、 77 中空部
Claims (5)
- エアーをスリット状のエアー噴出口から噴出させ、エッチング処理後の基板に付着したエッチング薬液の液切りを行うエアーナイフの洗浄方法であって、
薬液切り処理の休止時にエアーナイフへ純水を供給し、エアー噴出口から噴出させる洗浄ステップと、
純水の供給停止後であって液切り処理の再開前にエアーを供給し、エアーナイフ内を乾燥させる乾燥ステップとを有し、
上記洗浄ステップにおいて、エアー及び純水を交互に供給し、上記エアーナイフ内でバブリングを発生させることを特徴とするエアーナイフの洗浄方法。 - 上記洗浄ステップが、上記エアーナイフ内に設けられた中空部内にエアーを供給するための共通のエアー供給管を介して、上記中空部内へエアー及び純水を交互に供給するステップであることを特徴とする請求項1に記載のエアーナイフの洗浄方法。
- 上記洗浄ステップが、上記中空部内から上記エアー噴出口へのエアーの噴出方向とは異なる方向からエアー及び純水を上記中空部内へ供給するステップであることを特徴とする請求項2に記載のエアーナイフの洗浄方法。
- エッチング処理後の基板に付着したエッチング薬液の液切りを行うエアーナイフであって、エアーが供給されるエアー供給管と、供給されたエアーを噴出させるスリット状のエアー噴出口と、純水を供給する純水供給管と、上記エアー供給管が接続され、エアー及び純水が供給される中空部とを備え、薬液切り処理の休止時に上記エアー供給管を介して上記中空部内にエアー及び純水が交互に供給され、上記中空部内でバブリングを発生させるとともに、純水の供給停止後であって液切り処理の再開前にエアーが供給されることを特徴とするエアーナイフ。
- 基板にエッチング薬液を塗布するエッチング処理部と、スリット状のエアー噴出口からエアーを噴出させ、基板に付着したエッチング薬液の液切りを行うエアーナイフと、液切りされた基板を純水により洗浄する水洗処理部とを備え、エッチング処理の休止時に上記エアーナイフ内に設けられた中空部内へエアー及び純水が交互に供給され、上記中空部内でバブリングを発生させるとともに、上記エアー噴出口からエアー及び純水を噴出させてエアーナイフを洗浄し、純水の供給停止後であってエッチング処理の再開前にエアーが供給されることを特徴とするウェットエッチング装置。
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