JP3982619B2

JP3982619B2 - パーフォレーター用シート

Info

Publication number: JP3982619B2
Application number: JP2002205727A
Authority: JP
Inventors: 浩之堀; 吉夫岩崎
Original assignee: Meiji Rubber and Chemical Co Ltd
Current assignee: Meiji Rubber and Chemical Co Ltd
Priority date: 2002-07-15
Filing date: 2002-07-15
Publication date: 2007-09-26
Anticipated expiration: 2022-07-15
Also published as: JP2004042541A

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
この発明は、パーフォレーター用シートに係り、詳しくは、パーフォレーション加工に対して耐久性に優れたパーフォレーター用シートに関する。
【０００２】
【従来の技術】
従来から、オフセット輪転印刷機やグラビア輪転印刷機等の輪転印刷機には、パーフォレーションを入れるパーフォレーターが備え付けられている。これらのパーフォレーターは、印刷物にパーフォレーション加工をする機械であって、通常は輪転印刷機の最終工程のエッチング胴にエッチング刃を取り付けて構成されており、このエッチング刃によってパーフォレーション加工が行われる。
【０００３】
図３は、パーフォレーターの一例を示す。パーフォレーターは、圧胴１に巻き付けたＰＳ版２にエッチング刃３を取り付けてなるエッチング胴５と、前記エッチング胴５に対向して配設され、前記エッチング刃３の押圧を吸収するためにクッション用シート６を巻き付けてなるクッション胴７とからなる。前記エッチング刃３の高さ（ＰＳ版２から刃先までの高さ）は、一般に０．８ｍｍのものが使用されている。
【０００４】
前記クッション胴７のクッション用シート６には、従来オフセット印刷機のブランケット胴に使用されるオフセット印刷用ブランケットが用いられている。一般に用いられているオフセット印刷用ブランケットは、図４に示すように、印刷面となる表面エラストマー層６ａ、表面布層６ｂ、発泡層である圧縮性層６ｃ、中間布層６ｄ、接着エラストマー層６ｅ、中間布層６ｆ、接着エラストマー層６ｇ、補強布層６ｈを順次積層してなる。前記表面エラストマー層６ａの厚さは、０．３〜０．４ｍｍであり、その下側の表面布層６ｂの厚さは、０．２５〜０．３５ｍｍであり、表面エラストマー層６ａと表面布層６ｂとを合わせた厚さは、０．７５ｍｍ以下である。
【０００５】
【発明が解決しようとする課題】
上記のような通常のオフセット印刷用ブランケットをクッション用シート６に使用した場合には、次のような問題があった。表面エラストマー層６ａを補強している表面布層６ｂまでの厚さ寸法が、エッチング刃３の高さ寸法よりも小さいために、図５に示すように、パーフォレーション加工時に刃先が圧縮性層６ｃに達することになる。
【０００６】
従って、パーフォレーション加工を繰り返しているうちに、表面布層６ｂが破断され、クッション用シート６として使用できなくなる。また、一般に用いられているオフセット印刷用ブランケットの表面エラストマー層６ａの硬度は、５０〜５５（ＪＩＳ−Ａ）と柔らかく形成されているから、クラックが発生し易く、耐久性において著しく劣るという問題がある。
【０００７】
これらの対策として、オフセット印刷用ブランケットの表面エラストマー層６ａの表面にプラスチックテープを貼って、表面を保護することが行われている。しかしながら、プラスチックテープを貼着すると表面エラストマー層６ａにクラックの発生がなく耐久性は向上するものの、逆にエッチング刃が短期間に摩耗してしまうという問題がある。また、エッチング刃が摩耗することによってパーフォレーションの品質が低下し、長時間の加工ではエッチング刃を交換しなければならなくなる。このエッチング刃の交換作業によってコストがアップし、また生産性が著しく低下するという問題があった。
【０００８】
この発明は、かかる現況に鑑みてなされたもので、安価で、しかも耐久性に優れたパーフォレーター用シートを提供することを目的とする。
【０００９】
【課題を解決するための手段】
この発明は上記目的を達成するために次のような構成とした。即ち、一枚または複数枚の支持体層と前記支持体層の表面に積層されたエラストマー層とからなり、前記エラストマー層の厚さ寸法をパーフォレーション加工用エッチング刃の高さ寸法よりも大きく形成したことを特徴とする。前記エラストマー層の厚さ寸法はパーフォレーション加工用エッチング刃の高さ寸法の１．２倍以上とすることが望ましい。また、前記エラストマー層の硬度が、７０〜９０（ＪＩＳ−Ａ）であることが望ましい。
【００１０】
前記エラストマー層の厚さ寸法をパーフォレーション加工用エッチング刃の高さ寸法よりも大きく形成することによって、エッチング刃が支持体層に到達することがないから、エッチング刃による支持体層の断裂が防止される。また、エラストマー層の硬度が７０（ＪＩＳ−Ａ）より低いと、エッチング刃の食い込みが大きくなり支持体層に達して支持体層を断裂させる。一方、エラストマー層の硬度が９０（ＪＩＳ−Ａ）より高いと、エッチング刃の食い込みは防止されるものの、エッチング刃の摩耗が大きくなりエッチング刃の耐久性が劣ることになる。
【００１１】
図１は、この発明の実施形態を示す断面図である。補強層１０と表面布層１１とを接着エラストマー１２で一体に積層し、表面布層１１に表面エラストマー層１３が一体に積層されている。前記表面エラストマー層１３の厚さＨは、エッチング刃１５の高さ寸法よりも大きく形成されている。
【００１２】
前記補強層１０と表面布層１１には綿布の他、レーヨン布、ポリエステル布等公知の織布を使用することができ、また、表面エラストマー層１３には、例えば、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、アクリルゴム等の耐油性ゴムに硫黄等の加硫剤、加硫促進剤、老化防止剤等の１種以上を添加し、スプレッダー、ナイフコータ、ロールコータ等によって所定の厚さに塗布積層することができる。
【００１３】
【実施例】
次に、この発明の実施例を比較例と共に説明する。まず、表面エラストマー層の厚さと耐久性との関係について評価した。シートの構造は、図１に示す構成とし、２層の布層（補強層１０と表面布層１１）を接着層（接着エラストマー１２）で一体に積層し、表面層（表面エラストマー層１３）を積層した。表面エラストマー層１３の硬度は、すべて５０（ＪＩＳ−Ａ）とし、表面エラストマー層の厚さは、それぞれ表１に示す通り変更した。
【００１４】
【表１】

【００１５】
シートの耐久性の評価は次のようにして行った。
耐久試験機には、印刷機の圧胴とブランケット胴のユニットを改造した圧縮・回転試験機（ベアラ−コンタクト方式）を用いた。圧胴とブランケット胴の胴径は、直径１７３ｍｍ、面長４１４ｍｍである。
【００１６】
試験方法は、次のようにして行った。まず、ニップでのシートの圧縮量が、０．２０ｍｍになるようにシートを下敷きとともにブランケット胴に装着し、一定トルク（２００ｋｇｆ・ｃｍ）で下敷きが胴に接触するように巻回した。その後、数分間回転させた後、増し締めを行った。エッチング胴にエッチング刃を取り付け、回転速度１００００ｒｐｍで回転させた。
【００１７】
１００回転毎に試験機を止めてシートを観察した。シートの表面布層１１に破断等の問題が見られなければ、再度、回転速度１００００ｒｐｍで回転させ、１００回転毎に試験機を止めてシートを観察した。これを繰り返して行った。耐久試験の結果は、表２に示す通りである。
【００１８】
【表２】

【００１９】
次に、表面エラストマー層の硬度と耐久性との関係について評価した。シートの構造は、図１に示す構成と同じである。表面エラストマー層の厚さは、エッチング刃の１．６倍とし、硬度をそれぞれ表３に示す通り変更した。
【００２０】
【表３】

【００２１】
次に、耐久性及びエッチング刃の摩耗性を評価した。シートの耐久性及びエッチング刃摩耗試験機は、上記耐久試験機と同様に構成した。即ち、印刷機の圧胴とブランケット胴のユニットを改造した圧縮・回転試験機（ベアラ−コンタクト方式）を用いた。圧胴とブランケット胴の胴径は、直径１７３ｍｍ、面長４１４ｍｍである。
【００２２】
試験方法は、次のようにして行った。まず、ニップでのシートの圧縮量が、０．２０ｍｍになるようにシートを下敷きとともにブランケット胴に装着し、一定トルク（２００ｋｇｆ・ｃｍ）で下敷きが胴に接触するように巻回した。その後、数分間回転させた後、増し締めを行った。エッチング胴にエッチング刃を取り付け、回転速度１００００ｒｐｍで回転させた。
【００２３】
１０００回転毎に試験機を止めてシートの表面とエッチング刃を観察した。表面エラストマー層にクラック及びエッチング刃に摩耗が認められた時点で試験を終了させた。シートの耐久性及びエッチング刃の摩耗性試験の結果は、表４に示す通りである。
【００２４】
【表４】

【００２５】
【発明の効果】
上記から明らかなように、この発明に係るパーフォレーター用シートによれば、表面エラストマー層の厚さを使用されるエッチング刃の高さよりも大きくすることで、繰り返しのパーフォレーション加工に対してきわめて耐久性を向上させることができる。即ち、表面布層のエッチング刃による断裂を防ぎ、パーフォレーション加工に使用するシートの耐久性を向上させることができる。また、表面エラストマー層の硬度を７０〜９０（ＪＩＳ−Ａ）にすることにより、エッチング刃の摩耗を防ぎ、生産効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】この発明に係るパーフォレーター用シートの断面図である。
【図２】同じく、エッチング刃との関係を示す説明用断面図である。
【図３】パーフォレーターの原理的な構造を示す図である。
【図４】従来の印刷用オフセットブランケットの断面図である。
【図５】同じく、エッチング刃との関係を示す説明用断面図である。
【符号の説明】
１０：補強層
１１：表面布層
１２：接着エラストマー
１３：表面エラストマー

Claims

一枚または複数枚の支持体層と前記支持体層の表面に積層されたエラストマー層とからなり、前記エラストマー層の厚さ寸法をパーフォレーション加工用エッチング刃の高さ寸法よりも大きく形成したことを特徴とするパーフォレーター用シート。
エラストマー層の厚さ寸法をパーフォレーション加工用エッチング刃の高さ寸法の１．２倍以上としたことを特徴とする請求項１に記載のパーフォレーター用シート。
エラストマー層の硬度が、７０〜９０（ＪＩＳ−Ａ）であることを特徴とする請求項１または請求項２に記載のパーフォレーター用シート。