JP3485488B2 - 印刷用ブランケット - Google Patents

印刷用ブランケット

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JP3485488B2
JP3485488B2 JP04684199A JP4684199A JP3485488B2 JP 3485488 B2 JP3485488 B2 JP 3485488B2 JP 04684199 A JP04684199 A JP 04684199A JP 4684199 A JP4684199 A JP 4684199A JP 3485488 B2 JP3485488 B2 JP 3485488B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、特に高速オフセッ
ト輪転印刷機等の高速印刷機に好適に使用される、継ぎ
目のない円筒状の印刷用ブランケットに関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】従来、オフセット印刷においては、平板
状の印刷用ブランケットをブランケット胴に巻き付け、
当該ブランケット胴に設けられたギャップ部内で固定す
る方法が採られている。しかし、この構成ではブランケ
ットに継ぎ目が生じ、この継ぎ目部分がブランケット胴
と版胴等との間のニップ部を通過する度に版胴の圧接力
が変動して、振動や衝撃荷重が生じる。その結果、印刷
品質が低下したり、ギャップ部で損紙が生じるという問
題があった。特に、ブランケット胴が1100rpm以
上の高速で回転する高速印刷時には、上記の問題が顕著
であった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】そこで近年、オフセッ
ト輪転印刷機等による高速印刷に適した印刷用ブランケ
ットとして、図5(a) に示すような、周方向に継ぎ目の
ない円筒状の印刷用ブランケット50が提案されている
(特開平5−301483号公報、特開平6−2705
73号公報)。
【0004】円筒状の印刷用ブランケット50は、例え
ば図5(b) に示すように、ブランケット胴のシリンダに
外挿される円筒状のスリーブ11を支持体とし、このス
リーブ11の外周面に、主にゴムを用いたベース層12
と、多孔質の圧縮性層14と、綿糸、化学繊維等の線材
をブランケットの周面に沿って巻き付けた非伸縮性層1
5と、インキの授受を行う表面印刷層16とを接着層g
1,g3を介してこの順に積層したものであって、上記
各層には継ぎ目がないことを特徴とする。
【0005】しかしながら、上記従来構造の印刷用ブラ
ンケットで高速印刷を行うと、ブランケット胴のシリン
ダとブランケットのスリーブとの間にせん断力がかか
り、少なからずスリップが生じる。このスリップの程度
が大きくなると、部分的にスリーブがシリンダから微小
に突き上げられてその箇所に力が集中してかかり、その
結果、スリーブが破断するという問題が生じる。なお、
従来構造の印刷用ブランケットにおいてスリーブが破断
すると、ブランケット自体も破損し、印刷機に巻き込ま
れてしまい、印刷機にもダメージが及ぶという問題もあ
る。
【0006】そこで本発明の目的は、優れた耐久性を有
し、オフセット輪転印刷機等での高速印刷に長期間に亘
って使用することのできる新規な印刷用ブランケットを
提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題を
解決するために鋭意研究を重ねた結果、(I) 円筒状のスリーブの外周に、少なくとも(a) 直径が
0.1〜1mmである単線または撚り線の金属細線か
なる高強度ストランドを周方向に螺旋状に巻きつけた層
と、(b) 周方向に継ぎ目のない少なくとも1層の圧縮性
層と、(c) 周方向に継ぎ目のない表面印刷層とをこの順
に積層したとき、または、(II) 円筒状のスリーブの外周に、少なくとも (a) 直径が
0.1〜1mmである単線または撚り線の金属細線、も
しくは芳香族ポリアミド繊維からなる高強度ストランド
を周方向に螺旋状に巻きつけた層と、 (b) 周方向に継ぎ
目のない少なくとも1層の圧縮性層と、 (c) 木綿糸、ポ
リエステル糸またはレーヨン糸を周方向に螺旋状に巻き
つけた非伸縮性層と、 (d) 周方向に継ぎ目のない表面印
刷層とをこの順に積層したとき は、オフセット輪転印刷
機等での高速印刷に使用してもシリンダとスリーブとの
間でスリップが発生するのを充分に抑制することがで
き、たとえスリップが発生しても、部分的なスリーブの
立ち上がりが発生しないためにスリーブの破損を防止す
ることができ、ひいては印刷用ブランケットの耐久性を
著しく向上させることができるという新たな事実を見出
し、本発明を完成するに至った。
【0008】本発明の印刷用ブランケットによれば、強
度の高いストランドをブランケットの周方向に螺旋状に
巻いた層が設けられていることによって、ブランケット
胴のシリンダへの保持力が大きくなる。従って、高速印
刷時においても、シリンダとスリーブとの間でスリップ
が発生するのを高度に抑制することができる。
【0009】
〔高強度ストランド層〕
本発明の印刷用ブランケットにおける高強度ストランド
層は、前述のように、高強度のストランドをブランケッ
トの周方向に螺旋状に巻きつけた層である。
【0010】この高強度ストランド層は、ブランケット
の圧縮特性を良好なものにするという観点から、圧縮性
層とスリーブとの間に設けられる。また、高強度のスト
ランドをブランケットの周方向に螺旋状に巻きつけた層
は、ベース層と一体化したものであってもよい。すなわ
ち、高強度ストランド層がベース層中に設けられていて
もよい。
【0011】本発明に用いられる高強度ストランドとし
ては、例えばスチール等の金属細線、アラミド繊維(芳
香族ポリアミド繊維)等の合成繊維などが挙げられる。
中でも単線または撚り線のスチール、もしくはアラミド
繊維が好適に用いられる。高強度ストランドの径は当該
ストランドの機械的強度等に応じて、0.1〜1mmの
範囲で設定される。高強度ストランドの径が0.1mm
を下回ると、高強度ストランド層の作製が困難になって
作業効率が低下する。逆に、1mmを超えると印圧のム
ラが生じる原因となり、印刷物の品質に悪影響が生じ
る。高強度ストランドの径は、上記範囲の中でも特に
0.2〜0.7の範囲であるのがより好ましい。
【0012】高強度ストランドの引張強度は5〜300
kg/mm2 であるのが好ましく、10〜50kg/m
2 であるのがより好ましい。高強度ストランドの強度
が前記範囲を下回ると、ブランケット胴のシリンダに対
するブランケットの保持力を向上させることができず、
シリンダとスリーブとの間でのスリップの発生を効果的
に抑制することができなくなるおそれがある。逆に、強
度が前記範囲を超えるストランドを用いてもスリップの
発生を抑制する効果に大きな変化はなく、かえってコス
トが高くなるなどの問題が生じるおそれがある。また、
強度が前記範囲を超えるストランドの中で、ブランケッ
トの周方向に巻きつける用途に適したものは極めて少な
い。
【0013】高強度ストランドを螺旋状に巻き付ける際
の張力は、例えば線材が木綿糸の場合、100〜800
g、好ましくは200〜700g、より好ましくは30
0〜500gの範囲にあるのが適当である。張力が上記
範囲を下回ると、非伸縮性層を設けたことによる上記効
果が不十分となり、印刷用ブランケットの版胴や紙等へ
の圧接力が低下するため、印刷画像のベタ部分における
インキの乗りが悪化する(ベタ着肉性が低下する)こと
によって、上記ベタ部にかすれ等が発生するおそれがあ
る。また、逆に張力が上記範囲を超えた場合には、線材
の巻回時に圧縮性層が荷重を受けすぎて、へたりが生じ
るおそれがある。
【0014】なお、従来構造の印刷用ブランケットの中
には、線材をブランケットの周方向に螺旋状に巻きつけ
てなる非伸縮性層を圧縮性層とベース層との間に、ある
いは図5に示すように表面印刷層16と圧縮性層14と
の間に設けた構造のものがある。しかし、従来の非伸縮
性層に用いられる線材は、後述するように綿糸、化繊糸
の撚糸が主であって、本発明に用いる高強度ストランド
に比べて強度が極めて低い。また、非伸縮性層に用いら
れる線材は、ブランケットの圧縮性を阻害しないように
ある程度の伸縮性を必要としており、かかる点において
も本発明に使用される高強度ストランドとは異なってい
る。従って、本発明の印刷用ブランケットにおいて、非
伸縮層に用いられる線材を圧縮性層とスリーブとの間に
設けても本発明の効果を得ることはできない。
【0015】〔スリーブ〕スリーブにはごく薄い金属材
料からなるものや、ガラス繊維強化プラスチックからな
るもの等、従来公知のスリーブがいずれも使用可能であ
る。特に、剛性、強度、弾性等の機械的、物理的特性を
考慮して、厚みが0.1〜0.2mm程度で、ニッケル
等の金属製であるスリーブが好適に使用される。
【0016】〔ベース層〕ベース層を構成するゴムとし
ては、特に振動や衝撃荷重を吸収する効果に優れた、振
動に対して高減衰性を有する合成ゴムが好ましい。また
上記合成ゴムは、印刷インキ等に対する耐性を考慮する
と、耐油性にすぐれていることが好ましい。かかる合成
ゴムの具体例としては、これに限定されないが、たとえ
ばアクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム(NB
R)、クロロプレンゴム(CR)、ウレタンゴム(U)
等があげられる。
【0017】スリーブの直上に、直接または接着層を介
してベース層を形成することにより、このベース層が圧
縮性層よりも強度が強いことに起因して、印刷用ブラン
ケット10の使用時における動的疲労や発熱によるへた
りを抑制する効果が得られる。また、ベース層よりも外
側(表面印刷層側)を研磨等によって剥離してもスリー
ブが保護されるため、スリーブを再利用する際の作業が
容易になる。
【0018】ベース層の厚みは特に限定されないが、
0.2〜10.0mm、好ましくは0.4〜5.0m
m、より好ましくは0.8〜2.0mmの範囲にあるの
が適当である。ベース層の厚みが上記範囲を下回ると、
ベース層による前述の効果が十分に得られないおそれが
ある。逆に上記範囲を超えると、網点の変形等を生じや
すくなるおそれがある。
【0019】〔圧縮性層〕圧縮性層はエラストマーから
なる、多孔質でかつ継ぎ目のない層である。圧縮性層
は、圧縮性層用の未加硫のゴム糊を塗布するか、あるい
は圧縮性層用の未加硫のゴムコンパウンドからなるシー
トを巻きつけて加硫することによって形成される。前記
シートは、加硫の際にその継ぎ目が溶融、一体化して継
ぎ目のない状態となる。
【0020】圧縮性層は通常、表面印刷層または非伸縮
性層と、高強度ストランド層との間に1層設けられるの
が好ましいが、これに限定されるものではない。また、
圧縮性層は2層以上設けられていてもよく、例えば非伸
縮性層と高強度ストランド層との間と、表面印刷層と非
伸縮性層との間とにそれぞれ1層ずつ設けてもよい。圧
縮性層を構成するエラストマーとしては、特に振動や衝
撃荷重を吸収する効果に優れた、振動に対する減衰性の
高い合成ゴムを用いるのが好ましい。また、前記合成ゴ
ムは、印刷インキ等に対する耐性を考慮すると、耐油性
に優れたものであることが好ましい。かかる合成ゴムの
具体例としては、これに限定されないが、例えばアクリ
ロニトリル−ブタジエン共重合ゴム(NBR)、クロロ
プレンゴム(CR)、ウレタンゴム(U)等があげられ
る。
【0021】圧縮性層の厚みは、空隙率が後述する範囲
を満足する場合において、0.1〜2.0mm、好まし
くは0.2〜1.0mm、より好ましくは0.3〜0.
7mmの範囲で設定される。圧縮性層の厚みが上記範囲
を超えると、圧縮時の反力が低くなって、インキの着肉
が悪くなったり、ベタ着肉性が低下するおそれがある。
逆に、厚みが上記範囲を下回ると、網点の変形が生じ易
くなるため、印刷品質が低下するおそれがある。
【0022】圧縮性層の多孔質構造は、気泡がそれぞれ
独立している独立気泡構造と、圧縮性層の内部から表面
まで気泡が連続している連続気泡構造とのいずれであっ
てもよい。圧縮性層内の気泡(気孔)の割合を示す空隙
率は特に限定されないが、独立気孔構造の場合も、連続
気泡構造の場合も、ともに30〜70%、好ましくは4
0〜60%、より好ましくは45〜55%の範囲にある
のが適当である。圧縮性層の空隙率が上記範囲を下回る
と体積圧縮性が乏しくなって、バルジの発生を抑制する
効果と、バルジの発生に伴う表面印刷層の周方向への伸
びを抑制する効果とが不十分になり、ダブリやスラー等
の網点の変形が生じ易くなるおそれがある。逆に、空隙
率が上記範囲を超えると、圧縮時の反力が低下して、網
点再現性とベタ着肉性との両立が困難になるおそれがあ
る。
【0023】圧縮性層を独立気泡構造とするには、前述
の未加硫のゴム糊やコンパウンド中に発泡剤や中空状微
小粒子を含有させればよい。発泡剤を使用した場合に
は、加硫時の熱によって発泡剤が分解して気体を発生
し、それによって独立気泡が形成される。中空状微小粒
子はそれ自体が独立気泡を形成する。前記発泡剤として
は、ゴム用発泡剤として従来公知のものがいずれも使用
可能である。具体的には、これに限定されないが、アゾ
ジカルボンアミド、N,N′−ジニトロソペンタメチレ
ンテトラミン、p,p′−オキシビスベンゼンスルホニ
ルヒドラジド等があげられる。一方、前記中空状微小粒
子としては、熱可塑性樹脂、フェノール樹脂等の熱硬化
性樹脂、ガラス等の無機質などによって形成された閉じ
られた殻体中に空気等の気体を封入したものがあげられ
る。なかでも、柔軟な熱可塑性樹脂により殻体を形成し
たものが、圧縮性層の柔軟性を維持する上で好ましい。
かかる熱可塑性樹脂製の殻体を備えた中空状微小粒子と
しては特に限定されないが、例えば塩化ビニリデンとア
クリロニトリルとの共重合体にて殻体を形成した、エク
スパンセル(EXPANCEL)社製のエクスパンセル
シリーズ等があげられる。
【0024】圧縮性層を連続気泡構造とするには、前述
の未加硫のゴム糊やコンパウンド中に、ゴムの特性に影
響を及ぼさない溶剤で抽出可能な粒子を含有し、加硫し
た後、前記粒子を抽出する、いわゆるリーチング法を利
用すればよい。このリーチング法によれば、粒子を抽出
した跡が表面まで連続した気泡(気孔)になり、連続気
泡を構成する。
【0025】上記リーチング法によって連続気泡を形成
する際の抽出用の溶剤としては、安全性やコストの観点
から水を用いるのが好適である。水により抽出可能な粒
子としては、例えば食塩、でんぷん、砂糖、ポリビニル
アルコール、ゼラチン、尿素、セルロース、硫酸ナトリ
ウム、塩化カリウム等の、種々の水溶性の有機物、無機
物の粒子があげられる。
【0026】上記発泡剤の添加量、中空状微小粒子の粒
径および添加量、またはリーチング法における粒子の粒
径および添加量は、前述した圧縮性層の空隙率に応じて
適宜設定される。 〔非伸縮性層〕非伸縮性層は、線材に張力をかけながら
ブランケットの周方向に螺旋状に巻き付けることにより
形成される。
【0027】線材としては、巻き付ける際の作業のし易
さ、接着層に対するなじみの良さ、線材の軸方向におけ
る非伸縮性の強さ(すなわち引張強さ)等の観点から、
木綿糸、ポリエステル糸、レーヨン糸等が好適に用いら
れる。線材の直径は特に限定されないが、0.1〜0.
5mm、好ましくは0.15〜0.45mm、より好ま
しくは0.20〜0.40mmの範囲にあるのが適当で
ある。線材の直径が上記範囲を下回ると螺旋状に巻きつ
ける作業が困難となるおそれがある。逆に、上記範囲を
超えると、版胴に圧接された際の圧力を圧縮性層によっ
て吸収する作用が妨げられて、印刷用ブランケットの表
面にバルジが生じやすくなり、印刷品質が低下するおそ
れがある。
【0028】上記線材を螺旋状に巻き付ける際の、隣合
う線材同士の間隔wは、0.5mm以下、好ましくは
0.25mm以下の範囲で設定される。間隔wが上記範
囲を超えると線材の間隔がまばらになるため、非伸縮性
層を設けたことによる効果、すなわちニップ変形部を通
過して圧縮力から開放されたブランケットの弾性反発に
よる、径方向への過大な拡がりと、それが原因となって
表面印刷層が波打ついわゆる定常波の発生とを防止する
効果が不十分になるおそれがある。
【0029】線材を螺旋状に巻き付ける際の張力は、例
えば線材が木綿糸の場合、100〜800g、好ましく
は200〜700g、より好ましくは300〜500g
の範囲にあるのが適当である。張力が上記範囲を下回る
と、非伸縮性層を設けたことによる上記効果が不十分と
なり、印刷用ブランケットの版胴や紙等への圧接力が低
下するため、印刷画像のベタ部分におけるインキの乗り
が悪化する(ベタ着肉性が低下する)ことによって、上
記ベタ部にかすれ等が発生するおそれがある。また、逆
に張力が上記範囲を超えた場合には、線材の巻回時に圧
縮性層が荷重を受けすぎて、へたりが生じるおそれがあ
る。
【0030】〔表面印刷層〕表面印刷層は、エラストマ
ーからなる、体積非圧縮性でかつ継ぎ目のない層であっ
て、表面印刷層のもとになる未加硫のゴム糊を塗布する
か、あるいは未加硫のゴムコンパウンドからなるシート
を巻き付けて加硫することにより形成される。前記シー
トは、加硫の際にその継ぎ目が溶融、一体化して継ぎ目
のない状態となる。
【0031】表面印刷層を構成するエラストマーとして
は、振動や衝撃荷重を吸収する効果に優れた、振動に対
して高減衰性を有するとともに、耐油性に優れたものが
好適に使用され、その具体例としては、圧縮性層を構成
するエラストマーとして例示したのと同じ合成ゴムがあ
げられる。また、多硫化ゴム(T)や水素添加NBR等
を使用することもできる。
【0032】表面印刷層の厚みは、0.05〜0.4m
m、好ましくは0.1〜0.35mm、より好ましくは
0.15〜0.30mmの範囲で設定される。表面印刷
層の厚みが上記範囲を下回ると、圧縮時の反力が低下し
て、網点やベタの着肉性が低下するおそれがある。逆
に、厚みが上記範囲を超えると、バルジの発生と、それ
に伴う表面印刷層の周方向への伸びを抑制する効果が不
十分になって、ドットゲインの発生やダブリやスラーと
いった網点の変形が生じやすくなり、網点再現性が低下
するおそれがある。
【0033】〔接着層〕接着層は、例えば加硫接着剤等
の、接着層用のゴム糊をドクターブレードやドクターロ
ール等を使用して塗布することによって形成される。接
着層の厚みは特に限定されないが、0.01〜0.1m
m、好ましくは0.02〜0.07mm、より好ましく
は0.03〜0.05mmの範囲にあるのが適当であ
る。接着層の厚みが上記範囲を下回ると、その接着力が
不十分になるおそれがある。逆に、その厚みが上記範囲
を超えると、ブランケットの特性に悪影響を及ぼすおそ
れがある。
【0034】以上詳述した本発明の印刷用ブランケット
を構成する各層は、スリーブに近い層から外側の層へ順
次、積層形成される。なお、各層は、形成する毎に加硫
してもよいし、複数層をまとめて加硫してもよい。但
し、例えば圧縮性層が連続気泡構造を有する場合には、
リーチング法用の粒子を抽出する関係上、当該圧縮性層
を形成した後、その表面に積層する層を形成する前に加
硫して、前記粒子を抽出しておくのが好ましい。
【0035】なお、本発明の印刷用ブランケットの構成
は、以上詳述した図1〜3の実施形態には限定されず、
本発明の要旨を変更しない範囲で種々の設計変更を施す
ことができる。
【0036】
〔印刷用ブランケットの製造〕
実施例1 ニッケル製のスリーブ11(ストークス社製、内径16
9.5mm、長さ910mm、厚み0.125mm)の
外周面に接着剤(ロードケミカル社製の商品名「ケムロ
ック205」)を塗布して乾燥させ、さらに同社製の接
着剤「ケムロック252X」を塗布して乾燥させて、2
層構造の接着層g1(合計の厚み0.05mm)を形成
した。
【0037】次に、表1に示すベース層用のゴムコンパ
ウンド(未加硫)を厚み2.0mm、幅900mmのシ
ート状に成形して、前記接着層g1の表面に貼り付け
た。そして、上記シートの表面をナイロンバンドでラッ
ピングし、140℃、3kg/cm2 、90分の条件で
缶加硫した後、その表面を研磨して、厚さ1.4mmの
ベース層12を形成した。
【0038】
【表1】
【0039】こうして得られたベース層12の表面に、
表2に示す接着層用のゴム糊を糊引き機にて塗布し、高
強度のストランド〔住友電気工業(株)製の高強度糸
(スチール製細線、素線径0.27mm、1×3、撚り
線径0.59mm)〕を400±50gfの張力をかけ
ながら螺旋状に巻き付けて高強度ストランド層13を形
成した。なお、隣合う高強度ストランド13aの間隔は
0.25mm以下となるように調整した。
【0040】
【表2】
【0041】次に、表3に示す圧縮性層用のゴム糊(未
加硫)を回転体用の糊引き機にて前記高強度ストランド
層13の表面に塗布し、12時間自然乾燥させた。乾燥
後、その表面を木綿のシートでラッピングし、140
℃、3kg/cm2 、90分の条件で缶加硫した。加硫
後、その表面を研磨して、厚さ0.5mmの圧縮性層1
4を形成した。圧縮性層14はショア硬さC形(JIS
C)が80で、独立気泡構造を有しており、空泡率は
30%であった。
【0042】
【表3】
【0043】こうして得られた圧縮性層14の表面に、
表2に示す接着層用のゴム糊を糊引き機にて塗布し、3
0分間自然乾燥させて厚さ0.05mmの接着層g3を
形成した。さらに、接着層g3の表面に、線材15a
(直径0.4mmの綿糸、森内織物(株)製の「エジプ
トコットン60−6」)を400±50gfの張力をか
けながら螺旋状に巻き付けた。なお、隣合う線材15a
の間隔は0.25mm以下となるように調整した。そし
て、線材15aの表面を木綿のシートでラッピングし、
140℃、3kg/cm2 、90分の条件で缶加硫し
て、厚み0.4mmの非伸縮性層15を形成した。
【0044】最後に、上記非伸縮性層15の表面に、表
4に示す表面印刷層用のゴム糊を塗布し、12時間自然
乾燥させた。さらに、その表面を木綿のシートでラッピ
ングし、140℃、3kg/cm2 、90分の条件で缶
加硫した。加硫後、その表面を研磨して厚さ0.3mm
の表面印刷層15を形成し、図1に示す層構成を有する
印刷用ブランケット10を得た。なお、表面印刷層15
は、ショア硬さA形(JIS A)が65で、表面の十
点平均粗さRzが3〜5μmであった。
【0045】
【表4】
【0046】実施例2 ニッケル製のスリーブ11上に、接着層g1を介して、
前記シート状のベース層用ゴムコンパウンドを貼付け、
所定の厚さに対してほぼ半分程度の厚みでベース層を形
成した。次いで、このベース層上に高強度ストランド
〔東京製綱(株)製の高強度糸(スチール製細線)、素
線径0.22mm、1×4、撚り線径0.53mm〕を
周方向に巻きつけ、さらにその表面に前記シート状のベ
ース層用ゴムコンパウンドを貼り付けた。貼り付けられ
た2枚のベース層用ゴムコンパウンドは、後述する加硫
工程における加圧により、高強度ストランドを挟んで一
体となる。こうして、内部に高強度ストランド13aを
有するベース層22を形成した。
【0047】 次いで、前記ベース層22の表面に、表
3に示す圧縮性層用のゴム糊を塗布し、実施例1での圧
縮性層の形成方法と同様にして厚さ0.3mmの圧縮性
層14a形成した。さらに実施例1と同様にして、非伸
縮層15および表面印刷層16の形成を行い、図2に示
す層構成を有する印刷用ブランケット20を作製した
【0048】比較例1 高強度ストランド層を設けなかったほかは、実施例1と
同様にして各層の形成を行い、図5に示す層構成を有す
る印刷用ブランケット50を作製した。 比較例2 高強度ストランドに代えて綿糸を用いたほかは、実施例
2と同様にして、内部に綿糸を有するベース層を形成し
た。前記綿糸には、実施例1の圧縮性層に使用したもの
と同じものを用いた。
【0049】 次いで、内部に綿糸を有するベース層2
2の表面に表3に示す圧縮性層用のゴム糊を塗布し、実
施例1での圧縮性層の形成方法と同様にして厚さ0.3
mmの圧縮性層を形成した。さらに実施例3と同様にし
て、圧縮性層上に表面印刷層を形成して、印刷用ブラン
ケットを得た。 〔耐久試験〕 上記実施例1〜および比較例1、2で得られた印刷用
ブランケットを用いて、ブランケットの耐久性を評価し
た。
【0050】耐久性は、耐久試験機を使用し、シリンダ
とスリーブの滑り量と、印刷用ブランケットの破断の有
無をテストして評価した。テストは、シリンダに印刷用
ブランケットを装着したものを各実施例および比較例で
2つずつ用意し、それぞれの印刷用ブランケット40
を、図4に示すようにブランケット胴の軸42を移動さ
せる手段43を備えた装置に装着して、ニップ幅wが1
5mmとなるように圧接した上で1000rpmで高速
回転させた。こうして、24時間後のブランケット40
とシリンダ41のずれ量を測定した。
【0051】また、スリーブ内径を0.03mm大きく
して、スリーブの割れを発生し易い状態に設定したサン
プルで高速回転を行い、割れの発生の有無を確認した。
以上の結果を表5に示す。
【0052】
【表5】
【0053】表5より明らかなように、本発明の印刷用
ブランケットによれば、スリーブとブランケットとのズ
レが極めて低く抑えられており、長期間亘って高速印刷
に供してもスリーブが破損することがない。すなわち、
耐久性が極めて優れている。一方、従来の印刷用ブラン
ケットである比較例1および2ではいずれもスリーブの
ずれ量が大きく、スリーブの割れも比較的短い期間で発
生しており、耐久性が不十分であった。
【0054】なお、高強度ストランド層を圧縮性層より
表面印刷層側に設けた場合には、ブランケットの圧縮特
性が低下して衝撃吸収性が不十分になり、網点太り、ダ
ブリ等の問題が生じた。また、高強度ストランドとして
直径1mm以上のスチール製細線を用いた場合には、印
圧差が生じて印刷物に筋ムラが発生した。
【0055】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明によれば、
耐久性に優れ、高速印刷に長期間に亘って使用できる新
規な印刷用ブランケットを提供することができる。従っ
て、本発明の印刷用ブランケットは、オフセット輪転印
刷機等での使用に好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】同図(a) は本発明にかかる印刷用ブランケット
の一実施形態を示す斜視図、同図(b) はその断面図であ
る。
【図2】本発明にかかる印刷用ブランケットの他の実施
形態を示す断面図である。
【図3】本発明にかかる印刷用ブランケットの他の実施
形態を示す断面図である。
【図4】耐久試験機の概略を示す模式図である。
【図5】従来の印刷用ブランケットを示す断面図であ
る。
【符号の説明】
10,20,30 印刷用ブランケット 11 スリーブ 13a 高強度ストランド 14,14a 圧縮性層 16 表面印刷層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平10−166750(JP,A) 特開 平10−272862(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B41N 10/00 - 10/04

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】円筒状のスリーブの外周に、少なくとも
    (a) 直径が0.1〜1mmである単線または撚り線の金
    属細線からなる高強度ストランドを周方向に螺旋状に巻
    きつけた層と、(b) 周方向に継ぎ目のない少なくとも1
    層の圧縮性層と、(c) 周方向に継ぎ目のない表面印刷層
    とをこの順に積層したことを特徴とする印刷用ブランケ
    ット。
  2. 【請求項2】 円筒状のスリーブの外周に、少なくとも
    (a) 直径が0.1〜1mmである単線または撚り線の金
    属細線、もしくは芳香族ポリアミド繊維からなる高強度
    ストランドを周方向に螺旋状に巻きつけた層と、(b) 周
    方向に継ぎ目のない少なくとも1層の圧縮性層と、(c)
    木綿糸、ポリエステル糸またはレーヨン糸を周方向に螺
    旋状に巻きつけた非伸縮性層と、 (d) 周方向に継ぎ目の
    ない表面印刷層とをこの順に積層したことを特徴とする
    印刷用ブランケット。
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