JP3980098B2 - エポキシ化合物およびヒドロキシイミノジコハク酸の製造方法 - Google Patents

エポキシ化合物およびヒドロキシイミノジコハク酸の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はエポキシ化合物の製造方法、詳しくはエチレン系化合物を過酸化水素を用いてエポキシ化して対応するエポキシ化合物およびさらにヒドロキシイミノジコハク酸を高収率かつ着色を生じることなく製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
エチレン系化合物を過酸化水素でエポキシ化して対応するエポキシ化合物を製造する方法は古くから知られ、反応に使用する触媒、反応条件などについての研究も盛んに行われており、多数の特許および文献がある。
【0003】
本発明者らも、無水マレイン酸を過酸化水素でエポキシ化してエポキシコハク酸を製造する方法として、反応温度を2段階とすることにより少量のエポキシ化触媒により高収率でエポキシコハク酸塩を得る方法を提案している(特開平4−290879号公報)。
【0004】
しかしながら、無水マレイン酸の過酸化水素によるエポキシ化に際して用いる反応容器の材質について検討されて例はなく、過酸化水素を取り扱う際の容器の材料として、ガラス、ステンレス鋼、アルミニウムなどが使用できることが知られているにすぎない。
【0005】
本発明者らはエポキシコハク酸を工業的規模で生産するために、工業材料として一般に用いられているステンレス鋼製の反応容器を用いてエポキシ化反応を行ったところ、無水マレイン酸に対するエポキシコハク酸の収率が低下し、また反応後の反応溶液が着色するという問題があることが判明した。本発明者らはこの点について研究したところ、過酸化水素の一部は反応時に気化して反応容器中の気相部のステンレス鋼製表面に接触し、その結果ステンレス鋼の作用により分解することが分かった。すなわち、無水マレイン酸に対し等モル量の過酸化水素を供給した場合、過酸化水素が分解されるため、結局のところ無水マレイン酸に対するエポキシコハク酸の収率が低下するというのである。また、エポキシコハク酸が着色する原因は未だ解明されていないが、過酸化水素の分解がなんらかの副反応を引き起こし、その副反応によって生じた副生物がエポキシコハク酸中に残存するために着色するものと考えられている。
【0006】
このような収率の低下は、生産性の低下となり、また着色は製品価値を著しく低下させるものであり、いずれも望ましいものではない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、金属製反応容器中でエチレン系化合物を過酸化水素を用いてエポキシ化して対応するエポキシ化合物を製造する際に生じる過酸化水素の分解、ひいては目的とするエポキシ化合物の収率の低下および着色という問題を解決して、エポキシ化合物を高収率かつ着色を生じることなく製造することを目的とするものである。
【0008】
さらに本発明は、着色を生じることなく高品質にヒドロキシイミノジコハク酸を製造することを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らの研究によれば、エポキシ化反応を金属製反応容器中で行う場合、反応系中の気相部が接触する反応系内表面積と反応容器中の反応液量との割合を特定範囲に調整するか、あるいは反応系中の気相部が接触する反応系内表面を不動態化すると上記問題が解決できることを知り、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、本発明は、エチレン系化合物を過酸化水素を用いてエポキシ化して対応するエポキシ化合物を製造する際に、該エポキシ化反応をステンレス鋼製反応系中で、かつ反応系中の気相部が接触する反応系内表面積(S:m2 )と反応系中の反応液量(V:m3 )とが式:0<S/V≦2(m2 /m3 )を満足する条件下に行うことを特徴とするエポキシ化合物の製造方法である。
【0011】
また、本発明は、エチレン系化合物を過酸化水素を用いてエポキシ化して対応するエポキシ化合物を製造する際に、該エポキシ化反応を少なくとも反応系中の気相部が接触する反応系内表面が、反応系内表面を不動態化してなる部分とステンレス鋼部分とを含む反応系中で、かつ反応系中の気相部が接触するステンレス鋼部分の反応系内表面積(S:m)と反応系中の反応液量(V:m)とが式:0<S/V≦2(m/m)を満足する条件下に行うことを特徴とするエポキシ化合物の製造方法である。
【0013】
さらに、本発明は、前記エポキシ化合物の製造方法により得られたエポキシコハク酸とL−アスパラギン酸を反応させることを特徴とするヒドロキシイミノジコハク酸の製造方法である。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明における「反応系」とは、反応容器および反応容器に設けられたパイプ、バルブなどを総称するものであり、上記の「反応系中の気相部が接触する反応系内表面積」とは、反応容器、パイプ、バルブなど気相部が接触する内表面積の合計を意味する。反応容器の内表面積はもとより、パイプ、バルブなどの内表面積もその径および長さから容易に算出することができる。
【0015】
本発明における「金属製反応容器」としては、ステンレス鋼製反応容器が好適に用いられる。かくして、本発明で使用する金属製反応容器の代表例としては、SUS304、304L、316、316Lなどのステンレス鋼製の反応容器を挙げることができる。
【0016】
本発明で用いるエチレン系化合物の代表例としては、マレイン酸、イタコン酸、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、シトラコン酸、2−ペンテン酸、2−ヘキセン酸、3,4,5,6−テトラヒドロフタル酸、3,4,5,6−テトラヒドロ安息香酸など、およびこれらのアルカリ金属塩(特に、ナトリウムまたはカリウム塩)を挙げることができる。なお、マレイン酸、シトラコン酸などの無水物を形成することができる化合物の場合には、それらの無水物も包含される。
【0017】
これらエチレン系化合物のなかでも、下記一般式(1):
【0018】
【化1】
Figure 0003980098
【0019】
(式中、Mは水素原子またはアルカリ金属、R1 、R2 およびR3 は同一でも異なっていてもよく、各々、水素原子、メチル基または−(CH2 −COOM(ここで、Mは水素原子またはアルカリ金属、nは0または1の整数である)で表される基である)で表される化合物、および無水物を形成し得る化合物の場合には、その無水物が好適に用いられる。一般式(1)で表されるエチレン系化合物の代表例としては、マレイン酸、イタコン酸、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、シトラコン酸など、およびそのアルカリ金属(特に、ナトリウムまたはカリウム)塩、ならびに無水マレイン酸、無水シトラコン酸などを挙げることができる。なお、アルカリ金属塩の場合、モノアルカリ金属塩でも、ジアルカリ金属塩でもよい。本発明の方法は、特に無水マレイン酸のエポキシ化によるエポキシコハク酸の製造に好適に用いられる。
【0020】
本発明の方法によれば、前記の金属製反応系中でエチレン系化合物を過酸化水素を用いてエポキシ化して対応するエポキシ化合物を製造する際に、このエポキシ化反応を反応系中の気相部が接触する反応系内表面積(S:m2 )と反応系中の反応液量(V:m3 )とが式0<S/V≦2(m2 /m3 )を満足するような条件下に行う。この要件が満たされる限り、エチレン系化合物のエポキシ化反応を行う際の方法および条件については特に制限はなく、この種の反応に一般に用いられている方法および条件下に行うことができる。
【0021】
例えば、無水マレイン酸をエポキシ化してエポキシコハク酸を製造する方法を例に挙げて説明するに、先ず前記の金属製反応容器に無水マレイン酸を水溶液としてアルカリ化合物および触媒としてのタングステン酸(またはその塩)および/またはモリブデン酸(またはその塩)とともに充填する。アルカリ化合物は反応液のpHを4〜6程度の範囲に調整するために使用するものであり、反応液のpHをこの範囲に調整することによりエポキシ化を効率よく行うことができる。アルカリ化合物としては、特に水酸化ナトリウムが好適に用いられる。次に、無水マレイン酸水溶液を60〜90℃程度の温度に昇温した後に過酸化水素を滴下してエポキシ化反応を行わせる。過酸化水素としては、通常、30〜70重量%程度の濃度の水溶液が用いられる。なお、この場合、エポキシコハク酸はナトリウム塩として得られる。本発明のエポキシ化反応は一段階反応でも、あるいは特開平4−290879号公報に記載のような二段階反応、すなわち第一段では60〜80℃の範囲の温度で反応を行い、第二段では第一段よりも少なくとも5℃昇温させた温度で反応を行ってもよい。
【0022】
上記のように、無水マレイン酸のエポキシ化反応は、通常、無水マレイン酸、反応媒体(例えば水)、触媒などを反応容器に仕込んだ後に過酸化水素を徐々に導入または滴下して行うので、上記の式S/Vは反応段階に応じて若干変わるが、本発明の方法によれば、全ての反応段階を通して、0<S/V≦2、好ましくは0<S/V≦1.5、さらに好ましくは0<S/V≦1(m2 /m3 )となるような条件下にエポキシ化反応を行う。上記のような条件は、反応容器などの反応系内表面積などを求めた上に、反応媒体、無水マレイン酸および過酸化水素の使用量を調整することにより容易に実現することができる。S/Vが2を超えると過酸化水素の分解が顕著となって収率の低下および着色という問題が生じる。
【0023】
本発明の他の方法によれば、エチレン系化合物を過酸化水素を用いてエポキシ化して対応するエポキシ化合物を製造する際に、このエポキシ化反応を少なくとも反応系中の気相部が接触する反応系内表面を不動態化してなる反応系中で行う。ここで、不動態化とは、非金属化を意味し、代表的なものとしてガラス化、樹脂化などを挙げることができる。したがって、この方法の実施に用いることができる反応容器の具体例としては、ガラス容器のほかに、金属製容器であって、その少なくとも気相部が接触する内表面をガラスライニング、樹脂ライニング、セラミックコーティングなどを施した容器を挙げることができる。
【0024】
反応系内の気相部が接触する反応系内表面を不動態化してなる反応系中でエポキシ化反応を行う場合には、反応容器としてガラス容器または少なくとも気相部が接触する内表面を不動態化した金属製容器を用い、さらに気相部が接触するパイプ、バルブなどの内表面をガラスライニング、樹脂ライニング、セラミックコーティングなどにより不動態化すればよい。
【0025】
また、本発明のもう一つの他の方法によれば、エチレン系化合物を過酸化水素を用いてエポキシ化して対応するエポキシ化合物を製造する際に、このエポキシ化反応を少なくとも反応容器中の気相部が接触する反応容器内表面を不動態化してなる反応容器中で行う。ここで、不動態化とは前記と同じである。したがって、この方法の実施に用いることができる反応容器の具体例としては、ガラス容器のほかに、金属製容器であって、その少なくとも気相部が接触する内表面をガラスライニング、樹脂ライニング、セラミックコーティングなどを施した容器を挙げることができる。
【0026】
さらに、本発明は、上記本発明のエポキシ化合物の製造方法により得られたエポキシコハク酸とL−アスパラギン酸を反応させることによりヒドロキシイミノジコハク酸を製造する方法をも提供する。前記反応におけるエポキシコハク酸とL−アスパラギン酸の反応モル比は1.05:1〜1:1.05が好ましい。また、前記反応は水性溶媒中または大部分が水性溶媒中で行うことが好ましい。かかる場合、水以外の溶媒としては、メタノール、エタノール等のアルコール、ジオキサン等が挙げられる。また、前記反応は、通常、水酸化アルカリまたは水酸化アンモニウムの水溶液を添加することにより中性からアルカリ性の条件下に行われる。
【0027】
具体的には、例えば、20〜30重量%のアスパラギン酸水溶液中に、水酸化アルカリ、好ましくは水酸化ナトリウム約2モル当量を加え、次いでこれに約1モル当量のエポキシコハク酸ジアルカリ塩、好ましくはジナトリウム塩を加え反応物質が完全に反応し終わるまで撹拌する。反応時間は1〜8時間であり、反応促進のため、反応温度を80〜100℃とすることができる。反応終了後、溶媒を例えばロータリーエバポレーターを用いて留去することにより、無色固体の3−ヒドロキシ−2−2’−イミノジコハク酸のテトラアルカリ塩をほぼ定量的収率で得ることができる。また、遊離の3−ヒドロキシ−2−2’−イミノジコハク酸は、本粗製品または溶媒含有粗製品から既知の方法により、例えば塩酸、硫酸等の酸を添加することによって得ることができる。
【0028】
【実施例】
つぎに、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明する。
【0029】
[実施例1]
ガラス製の1L(リットル、以下同じ)四つ口フラスコ内の気相部にS/V=1.1〜0.8(m2 /m3 )となるように表面積が4.5cm2 のSUS316Lのテストピースを設置した。この反応器を用いて無水マレイン酸のエポキシ化によるエポキシコハク酸の合成を行った。
【0030】
無水マレイン酸98.1g(1モル)を水365gに溶解し、これに48%水酸化ナトリウム水溶液116.7g(1.4モル)およびタングステン酸ナトリウム2水和物0.33g(0.001モル)を加えた後、撹拌しながら70℃に昇温した。内容物は70℃になった時に、ほぼ均一な溶液となり、そのpHは5.5であった。これに60%過酸化水素56.7g(1.0モル)を滴下し反応を開始させた。反応の進行に伴いpHが下がるので48%水酸化ナトリウム水溶液を加えることによりpHを4.5〜5.5にコントロ−ルしながら70℃で60分保った。次いで、反応液を80℃に昇温して反応を継続させ、反応開始から3時間経過したところで48%水酸化ナトリウム水溶液によって反応液中の有機酸を等量中和して反応を終了させた。
【0031】
反応後の反応液は無色透明であった。エポキシコハク酸ジナトリウム塩の収率(無水マレイン酸基準)は92.6モル%であった。
【0032】
[比較例1]
実施例1において、S/V=3.3〜2.3(m2 /m3 )となるように表面積が13.5cm2 のSUS316Lのテストピースを用いた以外は実施例1と同様にして反応を行った。
【0033】
反応後の反応液は黄色透明であって、着色していた。エポキシコハク酸ジナトリウム塩の収率(無水マレイン酸基準)は80.0モル%であった。
【0034】
実施例1および比較例1の結果から、ステンレス鋼反応器中で、かつS/V>2の条件下でエポキシ化反応を行うと目的とするエポキシ化合物の収率が低下し、また得られるエポキシ化合物は着色していることが分かる。
【0035】
[実施例2]
ガラス製の1L四つ口フラスコを用いて無水マレイン酸のエポキシ化によるエポキシコハク酸の合成を行った。
【0036】
無水マレイン酸98.1g(1モル)を水365gに溶解し、これに48%水酸化ナトリウム水溶液116.7g(1.4モル)およびタングステン酸ナトリウム2水和物0.33g(0.001モル)を加えた後、撹拌しながら70℃に昇温した.内容物は70℃になった時に、ほぼ均一な溶液となり、そのpHは5.5であった。これに60%過酸化水素56.7g(1.0モル)を滴下し反応を開始させた。反応の進行に伴いpHが下がるので48%水酸化ナトリウム水溶液を加えることによりpHを4.5〜5.5にコントロ−ルしながら70℃で60分保った。次いで、反応液を80℃に昇温して反応を継続させ、反応開始から3時間経過したところで48%水酸化ナトリウム水溶液によって反応液中の有機酸を等量中和して反応を終了させた。
【0037】
反応後の反応液は無色透明であった。エポキシコハク酸ジナトリウム塩の収率(無水マレイン酸基準)は92.3モル%であった。
【0038】
[実施例3]
反応容器の胴部がSUS316L製(内径12cm、高さ32cm)、蓋部がガラス製の四つ口セパラブルフラスコを用い、無水マレイン酸のエポキシ化によるエポキシコハク酸の合成を行った。
【0039】
無水マレイン酸588.4g(6.0モル)を水2190gに溶解し、これに48%水酸化ナトリウム水溶液700.2g〈8.4モル)、およびタングステン酸ナトリウム2水和物1.98g(0.006モル)を加えた後、撹拌しながら70℃に加温した。内容物は70℃になった時にほぼ均一な溶液となり、pHは5.5であった。ここに60%過酸化水素水340.2g(6.0モル)を滴下し、反応を開始させた。反応の進行に伴いpHが下がるので、48%水酸化ナトリウム水溶液を加えることによってpHを4.5〜5.5にコントロ−ルしながら70℃で60分保った。次いで80℃に昇温し、反応開始から3時間経過したところで48%水酸化ナトリウム水溶液によって反応液中の有機酸を等量中和し、反応を終了させた。この間のS/Vは1.5〜0.3(m2 /m3 )であった。反応後の反応液は無色透明であった。また、エポキシコハク酸ジナトリウム塩の収率(無水マレイン酸基準)は91.5モル%であった。
【0040】
[比較例2]
実施例3と同じ反応容器を用い、以下のように無水マレイン酸からエポキシコハク酸を合成するための反応を行った。
【0041】
無水マレイン酸559.0g(5.7モル)を水2081gに溶解し、これに48%水酸化ナトリウム水溶液665.2g(8.0モル)、およびタングステン酸ナトリウム2水和物1.88g(0.0057モル)を加えた後、撹拌しながら70℃に加温した。内容物は70℃になった時にほぼ均一な溶液となり、pHは5.5であった。これに60%過酸化水素水323.2g(5.7モル)を滴下し、反応を開始させた。反応の進行に伴いpHか下がるので、48%水酸化ナトリウム水溶液を加えることによってpHを4.5〜5.5にコントロールしながら70℃で60分保った。次いで80℃に昇温し、反応開始から3時間経過したところで48%水酸化ナトリウム水溶液によって反応液中の有機酸を等量中和し、反応を終了させた。この間のS/Vは3.9〜2.2(m2 /m3 )であった。反応後の反応液は黄色透明であって、着色していた。また、エポキシコハク酸ジナトリウム塩の収率(無水マレイン酸基準)は80.3モル%であった。
【0042】
[実施例4]
実施例1で合成したエポキシコハク酸ジナトリウム塩水溶液(エポキシコハク酸ジナトリウム塩の濃度23.7重量%)371g(0.5モル)にL−アスパラギン酸66.6g(0.5モル)を添加した後、48重量%の水酸化ナトリウムで溶液のpHを11に調製し、85℃で6時間反応した。反応後の溶液を高速液体クロマトグラフィーで分析したところ、ヒドロキシイミノジコハク酸テトラナトリウム塩が収率92.7モル%(L−アスパラギン酸基準)、純度89.7重量%(反応液中の全有機酸塩に対する濃度)で生成していた。
【0043】
また、実施例2、実施例3で合成したエポキシコハク酸ジナトリウム塩水溶液を上記と同様にL−アスパラギン酸と反応させたところ、それぞれ収率92.8モル%および91.9モル%(L−アスパラギン酸基準)、純度89.8重量%および88.6重量%(反応液中の全有機酸塩に対する濃度)でヒドロキシイミノジコハク酸テトラナトリウム塩が得られた。
【0044】
[比較例3]
比較例1で合成したエポキシコハク酸ジナトリウム塩水溶液(エポキシコハク酸ジナトリウム塩の濃度20.5重量%)429g(0.5モル)にL−アスパラギン酸66.6g(0.5モル)を添加した後、48重量%の水酸化ナトリウムで溶液のpHを11に調製し、85℃で6時間反応した。反応後の反応液は、反応前より黄色がさらに濃くなっていた。また、反応後の溶液を高速液体クロマトグラフィーで分析したところ、ヒドロキシイミノジコハク酸テトラナトリウム塩が収率90.1モル%(L−アスパラギン酸基準)、純度80.6重量%(反応液中の全有機酸塩に対する濃度)で生成していた。
【0045】
また、比較例2で合成したエポキシコハク酸ジナトリウム塩水溶液を上記と同様にL−アスパラギン酸と反応させたところ、収率89.6モル%(L−アスパラギン酸基準)、純度80.4重量%(反応液中の全有機酸塩に対する濃度)でヒドロキシイミノジコハク酸テトラナトリウム塩が得られた。また、反応後の反応液は、反応前より黄色がさらに濃くなっていた。
【0046】
【発明の効果】
このように、本発明の方法によれば、エチレン系化合物を過酸化水素を用いてエポキシ化し対応するエポキシ化合物を高収率かつ着色を生じることなく製造することができる。また、本発明の方法によれば、このようにして得られたエポキシコハク酸を用いることにより、着色を生ずることなく高品質にヒドロキシイミノジコハク酸を製造することができる。

Claims (4)

  1. エチレン系化合物を過酸化水素を用いてエポキシ化して対応するエポキシ化合物を製造する際に、該エポキシ化反応をステンレス鋼製反応系中で、かつ反応系中の気相部が接触する反応系内表面積(S:m)と反応系中の反応液量(V:m)とが式:0<S/V≦2(m/m)を満足する条件下に行うことを特徴とするエポキシ化合物の製造方法。
  2. エチレン系化合物を過酸化水素を用いてエポキシ化して対応するエポキシ化合物を製造する際に、該エポキシ化反応を少なくとも反応系中の気相部が接触する反応系内表面が、反応系内表面を不動態化してなる部分とステンレス鋼部分とを含む反応系中で、かつ反応系中の気相部が接触するステンレス鋼部分の反応系内表面積(S:m)と反応系中の反応液量(V:m)とが式:0<S/V≦2(m/m)を満足する条件下に行うことを特徴とするエポキシ化合物の製造方法。
  3. 無水マレイン酸を過酸化水素を用いてエポキシ化してエポキシコハク酸を製造する際に、該エポキシ化反応をステンレス鋼製反応系中で、かつ反応系中の気相部が接触する反応系内表面積(S:m )と反応系中の反応液量(V:m )とが式:0<S/V≦2(m /m )を満足する条件下に行ってエポキシコハク酸を得、得られたエポキシコハク酸とL−アスパラギン酸を反応させることを特徴とするヒドロキシイミノジコハク酸の製造方法。
  4. 無水マレイン酸を過酸化水素を用いてエポキシ化してエポキシコハク酸を製造する際に、該エポキシ化反応を少なくとも反応系中の気相部が接触する反応系内表面が、反応系内表面を不動態化してなる部分とステンレス鋼部分とを含む反応系中で、かつ反応系中の気相部が接触するステンレス鋼部分の反応系内表面積(S:m )と反応系中の反応液量(V:m )とが式:0<S/V≦2(m /m )を満足する条件下に行ってエポキシコハク酸を得、得られたエポキシコハク酸とL−アスパラギン酸を反応させることを特徴とするヒドロキシイミノジコハク酸の製造方法。
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