JP3979528B2 - 建設機械におけるホース支持構造 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、建設機械に配設される油圧ホース等のホースを支持するための建設機械におけるホース支持構造の技術分野に属するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、建設機械には、油圧ホース、燃料ホース等の多くのホースが設けられるが、これらホースを所定の位置に配管するべく、複数のホースを束ねた状態で、機体側に固定される機体側フレームに支持せしめることがある。この場合、ホースは、その用途により高圧用、中圧用、低圧用等の耐圧力の異なるもの、あるいはポンプに接続されているためポンプ脈動により振動するもの等種々の性状を有しており、これら性状の異なるホース同士の干渉を避けるように配慮することが好ましい。そこで従来、複数本のホースを両側から挟持する第一、第二のクランプ部材と、これら両クランプ部材を固定するボルトとを用いて構成したホースクランプ装置が提唱されている(例えば、特許文献1、特許文献2参照。)。
【0003】
【特許文献1】
実開平5−96670号公報
【特許文献2】
特開平9−178050号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかるに、前記特許文献1および特許文献2のホースクランプ装置は、複数のホースを第一、第二のクランプ部材間に挟持せしめた状態で、両クランプをボルトを用いて固定する構成であるから、ホースをクランプ装置に取付け、取外しするときにボルトの緊締、弛緩作業が必要であって、面倒であるという問題がある。さらに、特許文献2のものは、外径の異なるホース同士を束ねることが難しいという問題もあり、これらに本発明が解決しようとする課題があった。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記の如き実情に鑑み、これらの課題を解決することを目的として創作されたものであって、請求項1の発明は、ホースを機体側フレームに支持するための支持部材を、機体側フレームに固定される固定部材と、ホースが貫通する複数の貫通孔、および該複数のホース貫通孔から外周部に至る拡開可能な切込みが複数形成され、かつ前記固定部材に切込みの拡開が規制された状態で着脱自在に係合するクランプ部材とを用いて構成するにあたりクランプ部材は、弾性材から形成される直方体形状をし、前記外周部に至る複数の切込みの全てがクランプ部材上面に至るようにして形成され、かつ固定部材に対し上方からクランプ部材の左右方向側面を嵌め込むことにより該固定部材に係合装着されるものとして、両端側が立ち上がるように配されたホースの復元力および自重によって下方に押圧支持されると共に、クランプ部材の上方に燃料タンクを配してクランプ部材の上方移動を規制してクランプ部材の固定部材からの係合解除を防止するようにしたことを特徴とする建設機械におけるホース支持構造である。
そして、この様にすることにより、ホースをクランプ部材の切込みからホース貫通孔に挿通し、この状態でクランプ部材を固定部材に係合させるだけの簡単な作業でホースを支持できることになって、作業の簡略化に寄与できる。しかもこの支持部材は、固定部材とクランプ部材とからなる構造簡単なものであって、部品点数も少なく、部品管理上やコスト的にも有利である。
請求項2の発明は、二つ以上のホース貫通孔同士のあいだに拡開可能な切込みが形成されたものの複数が左右方向に並列状に形成されていることを特徴とする請求項1記載の建設機械におけるホース支持構造である。
【0006】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図面において、1は油圧ショベルの上部旋回体の基台となる旋回フレームであって、該旋回フレーム1には、図示しない運転室、カウンタウエイト、フロントアタッチメント取付座が配されると共に、燃料タンク2、作動油タンク3等のタンク類、油圧ポンプ4、コントロールバルブユニット5等の油圧機器類、図示しないエンジン、ラジエータ、バッテリ等の機械装置類等が搭載されている。
【0007】
一方、6は高圧用、中圧用、低圧用の各種油圧ホースであって、これらホース6は、前記燃料タンク2および作動油タンク3の下方を通って、作動油タンク3、油圧ポンプ4およびコントロールバルブユニット5を連結するべく配管されているが、この場合にホース6は、油圧ポンプ4、コントロールバルブユニット5に接続される両端側が立上げられた状態になっていると共に、燃料タンク2の下方に位置するホース中間部が、旋回フレーム1の上面に立設される機体側フレーム1aに支持部材7を介して支持されている。
【0008】
前記支持部材7は、機体側フレーム1aに溶接等により固着される固定部材8と、該固定部材8に着脱自在に係合するクランプ部材9とを用いて構成されている。
【0009】
クランプ部材9は、弾性材から形成される直方体形状をしたものであって、前記高圧用、中圧用、低圧用等の種々の油圧ホース6に対応するべく径の異なる複数のホース貫通孔9aが開設されている。これらホース貫通孔9aのうち、クランプ部材9の上面9bに近い側に配される上側のホース貫通孔9aからは、クランプ部材9の上面9bに至る切込み9cが形成されている。そして、該切込み9cを拡開することにより、クランプ部材9の上面9b側から上側のホース貫通孔9aにホース6を挿入することができるようになっている。さらに、上側のホース貫通孔9aと下側のホース貫通孔9aとのあいだにも切込み9dが形成されており、該切込み9dを拡開することで、前記上側のホース貫通孔9aに挿通せしめたホース6を下側のホース貫通孔9aに挿通させることができるようになっている。而して、クランプ部材9の上面9a側から全てのホース貫通孔9aにホース6を挿通できると共に、前記切込み9c、9dの拡開が規制された状態では、各貫通孔9aに挿通されたホース6が貫通孔9aから抜け出すことができないように保持される構成になっている。さらに、このクランプ部材9の下面9eから一側面9fに亘る部位には、後述する固定部材8に係合する凹溝状の係合溝9gが形成されている。
【0010】
前記固定部材8は、丸棒をL字形状に折曲形成したものであって、基端部が機体側フレーム1aに溶接により固着され、先端側が旋回フレーム1に対して略水平方向に延びる水平部8aと、該水平部8aの先端部から上方に向けて折曲された折曲部8bとを有する。そして、水平部8aがクランプ部材9の下面9eの係合溝9g部分に係合し、かつ折曲部8bが一側面9fの係合溝9g部分に係合するように、固定部材8の上方側からクランプ部材9を嵌め込むことにより、固定部材8にクランプ部材9を装着できるようになっている。
【0011】
前記固定部材8に装着されたクランプ部材9は、機体側フレーム1aと折曲部8bとによって、切込み9c、9dの拡開が規制される方向に挟持された状態になっている。つまり、上記折曲部8bは、本発明の挟持部に相当するものであって、該折曲部8bと機体側フレーム1aとのあいだに挟持されることで切込み9c、9dの拡開が規制されることにより、前述したように、各貫通孔9aに挿通されたホース6が貫通孔9aから抜け出すことができないように構成されている。
【0012】
また、固定部材8に装着されたクランプ部材9は、固定部材8および機体側フレーム1aによって上方以外の方向の移動は規制された状態になっているが、さらにクランプ部材9は、両端側が立ち上がるように配されたホース6の復元力、およびホース6の自重によって下方に押圧された状態になっているため、クランプ部材9の上方への移動も規制されている。しかも本実施の形態では、クランプ部材9の上方に燃料タンク2が配されるため、該燃料タンク2によってもクランプ部材9の上方への移動が規制され、而して、機体の揺れや振動等によってクランプ部材9が固定部材8から外れてしまうことを確実に防止できるようになっている。因みに、燃料タンク2は、ホース6を支持部材7により機体側フレーム1aに支持せしめた後に設置される。
【0013】
叙述の如く構成されたものにおいて、複数のホース6は機体側フレーム1aに支持部材7を介して支持されることになるが、該支持部材7は、機体側フレーム1aに固着される固定部材8と、ホース貫通孔9aおよび拡開自在な切込み9cが形成されたクランプ部材9とから構成されている。そして、切込み9cを拡開してホース6をホース貫通孔9aに挿通し、この状態で固定部材8にクランプ部材9を上方側から係合せしめることにより、クランプ部材9を固定部材8に装着することができる。この様にして固定部材8に装着されたクランプ部材9は、両端側が立ち上がるように配されたホース6の復元力、およびホース6の自重によって下方に押圧された状態になっており、これによりクランプ部材16と固定部材8との係合が外れてしまうことを防止できる。さらに、クランプ部材9の上方には燃料タンク2が配されており、該燃料タンク2によってもクランプ部材9と固定部材8との係合解除が防止されることになる。
【0014】
この結果、複数のホース6を支持部材7を介して機体側フレーム1aに支持するにあたり、ホース6をクランプ部材9の切込み9cからホース貫通孔9aに挿通し、この状態でクランプ部材9を上方から固定部材8に係合させるだけの簡単な作業で良く、しかもクランプ部材9は、ホース6の復元力、ホース6の自重、およびクランプ部材9の上方に配される燃料タンク2によって固定部材8との係合解除が防止されているから、専用の係合解除防止手段を別途設ける必要がなく、ホース6を支持せしめる作業を大幅に簡略化することができる。しかもこの支持部材7は、固定部材8とクランプ部材9とからなる構造簡単なものであって、部品点数も少なく、部品管理上やコスト的にも有利である。
【0015】
さらにこのものにおいて、クランプ部材9は、径の異なるホース貫通孔9aが複数形成されていて、各種のホース6に対応できるものであるが、この場合、上側のホース貫通孔9には上面9bに至る拡開自在な切込み9cが形成されていると共に、上側のホース貫通孔9aと下側のホース貫通孔9aとの間にも拡開自在な切込み9dが形成されている。これにより、クランプ部材9の上面9b側から全てのホース貫通孔9aにホース6を挿通できることになって、ホース6をクランプ部材9に簡単に装着できる許りか、クランプ部材9の外周部に至る切込み9cの数を可及的に少なくでき、外周面に至る多数の切込み9cによってクランプ部材16の強度が損なわれたり、切込み9cの拡開規制が困難になったりするような不具合を回避できる。
【0016】
尚、本発明は上記実施の形態に限定されないことは勿論であって、ホースを、旋回フレーム1の上面あるいは旋回フレーム1に固定される床面等に支持する場合には、支持部材7を、図6(A)に示す第二の実施の形態の如く、U形状の固定部材17と、該固定部材17が係合するU形状の係合溝18aが凹設されたクランプ部材18とから構成したり、あるいは、図6(B)に示す第三の実施の形態の如く、床面等に立設された一対の固定部材19と、該固定部材19に係合する係合溝20aが両側面部に凹設されたクランプ部材20とから構成することもできる。尚、図6(A)、(B)において、18b、18cはクランプ部材18に形成されるホース貫通孔、切込みであり、20b、20cはクランプ部材20に形成されるホース貫通孔、切込みである。
さらに、支持部材によって支持されるホースとしては、油圧ホースに限定されることなく、燃料用ホース等、建設機械に配管される各種ホースに適用できる。
また、クランプ部材は、複数のホース貫通孔が横一列状、あるいは多列状に並んで形成されたものや、ホース貫通孔が一つだけ形成されているものであっても良い。
またさらに、上記実施の形態では、クランプ部材と固定部材との係合が外れてしまうことを防止する防止手段として、ホースの復元力、ホースの自重、およびクランプ部材の上方に配される燃料タンクを列挙したが、これらのうちの何れか一つの防止手段でも充分であり、また、クランプ部材が固定部材から抜け出す方向に配置される部材としては、燃料タンク以外の他の部材であっても勿論よい。
【図面の簡単な説明】
【図1】上部旋回体の一部を示す側面図である。
【図2】(A)、(B)、(C)はそれぞれクランプ部材の正面図、側面図、底面図である。
【図3】ホースを省略した支持部材の取付状態を示す正面図である。
【図4】固定部材にクランプ部材を装着する前段階の斜視図である。
【図5】固定部材にクランプ部材を装着した状態を示す斜視図である。
【図6】(A)、(B)はそれぞれ第二、第三の実施の形態におけるホースを省略した支持部材の取付状態を示す正面図である。
【符号の説明】
1a 機体側フレーム
2 燃料タンク
6 ホース
7 支持部材
8 固定部材
8b 折曲部
9 クランプ部材
9a ホース貫通孔
9c 切込み
9d 切込み
17 固定部材
18 クランプ部材
19 固定部材
20 クランプ部材

Claims (2)

  1. ホースを機体側フレームに支持するための支持部材を、機体側フレームに固定される固定部材と、ホースが貫通する複数の貫通孔、および該複数のホース貫通孔から外周部に至る拡開可能な切込みが複数形成され、かつ前記固定部材に切込みの拡開が規制された状態で着脱自在に係合するクランプ部材とを用いて構成するにあたりクランプ部材は、弾性材から形成される直方体形状をし、前記外周部に至る複数の切込みの全てがクランプ部材上面に至るようにして形成され、かつ固定部材に対し上方からクランプ部材の左右方向側面を嵌め込むことにより該固定部材に係合装着されるものとして、両端側が立ち上がるように配されたホースの復元力および自重によって下方に押圧支持されると共に、クランプ部材の上方に燃料タンクを配してクランプ部材の上方移動を規制してクランプ部材の固定部材からの係合解除を防止するようにしたことを特徴とする建設機械におけるホース支持構造。
  2. 二つ以上のホース貫通孔同士のあいだに拡開可能な切込みが形成されたものの複数が左右方向に並列状に形成されていることを特徴とする請求項1記載の建設機械におけるホース支持構造。
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