JP3978136B2 - アンテナ装置 - Google Patents

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Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、伝送線を規定する第一セクション及び第二セクションを持つ折りたたみ構造を有するアンテナ装置及びこのような装置を実装した無線通信装置に関する。
【０００２】
【従来の技術】
例えば携帯電話機など、無線通信システムに用いられる端末はますます小型化してきている。従って、放射の性能又は効率を犠牲にすることなく、より小さなアンテナを提供する必要がある。他の要件は、種々の異なった無線システム、例えばGSM(汎欧州デジタルセルラーシステム)、UMTS(ユニバーサル移動電話システム)及びブルートゥースで動作することができるアンテナを提供することである。
【０００３】
種々のコンパクトなアンテナ装置、例えばヘリカルアンテナ及びメアンダライン(折れ曲がった)アンテナが既知であり、後者は例えば国際特許出願公開第WO 97/49141号に開示されている。
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、改良されたコンパクトなアンテナを提供することである。
【０００５】
【課題を解決するための手段】
本発明の第一の側面によれば、伝送線を規定する第一セクション及び第二セクションを有する折りたたみ構造を有するアンテナ装置であって、第一セクション及び第二セクションのそれぞれが、その自由端にそれぞれの給電点を持つ物理的に短縮された電気素子を有するアンテナ装置が提供される。
【０００６】
第一セクション及び第二セクションは厳密に平行である必要はなく、例えば、これらは、傾斜した伝送線を規定することができる。同様に、第一セクション及び第二セクションは厳密に対称である必要ではないが、伝送線が規定されるようにほぼ同一の経路を取る必要はある。
【０００７】
このような装置は各動作モードに対して一つの給電点を使用することを可能にする。異なった動作モードは、伝送及び受信機能、異なったシステム(例えばGSM及びUMTS)、異なった周波数帯又はこれらのモードのあらゆる組み合わせから構成され得る。各モードに対して別個の給電点を使用することで、全モードで最適な給電及び効率を提供することが著しく容易になる。
【０００８】
トップローディングが第一セクションと第二セクションとの間に設けられることができ、これにより、アンテナの性能が向上し、折りたたみ構造を通じてより均一な電流分布が提供される。追加の短絡回路素子が装置のインピーダンスを変化させるのに使用されることができる。
【０００９】
給電により示される相対インピーダンスは、第一セクション及び第二セクションの導体を異なった幅に構成するか、又は、セクションの一つが平行に接続された複数の導体を有するように構成することにより、変更することができる。
【００１０】
アンテナ装置は、特にPCB又はLTCCなどの基板上に作製されていれば、ディスクリート部品を含むことができる。このような部品は、折りたたみ構造上の電流分布を変化させるか、又はスイッチング機能を実行することができる。
【００１１】
マルチバンド動作は、同容積内で低減された縮尺での折りたたみ構造の複製により可能にされることができる。
【００１２】
本発明の第二の側面によると、本発明により作製されたアンテナ装置を含む無線通信装置が提供される。
【００１３】
本発明は、メアンダラインアンテナ又は他の物理的に短くされた電気アンテナを折り曲げることにより、低減された容積で向上された性能が提供されることができるという、従来技術には存在しない認識に基づいている。
【００１４】
本発明の実施例が、ここで例示により添付図面を参照して説明される。
【００１５】
同一の参照番号は対応する機能を示すのに用いられた。
【００１６】
【発明の実施の形態】
図１を参照すると、本発明の基本的な実施例は第一メアンダラインセクション102及び第二メアンダラインセクション104を有する折りたたみアンテナ100を有する。示されるセクション102及び104は「ジグザグ」な型であるが、他の形、例えばヘリカル又はスクエア波(後者は国際特許出願公開番号WO 97/49141に示される)も可能である。メアンダラインの設計の主要な基準は、電流の水平成分(即ちセクション102及び104の軸に対して垂直な成分)が相殺され、電流の垂直成分は相殺されないというものである。折りたたみの両側102及び104がほぼ同一の経路を取り、これにより伝送線を規定するという条件の下では、アンテナは完全に対称的でなくてもよい。この要件の理由は以下の説明から明らかになる。
【００１７】
第一給電点103及び第二給電点105が第一セクション102及び第二セクション104の自由端にそれぞれ設けられ、第一供給源106及び第二供給源108からの信号が供給される。第一供給源106が使用されているときは、第二供給源108はダイオード110によりアースに接続されている。同様に、第二供給源108が使用されているときは、第一供給源はスイッチング手段(示されない)によりアースに接続されている。スイッチングは、ダイオード110の種々の代替物、例えばオンチップトランジスタや、又は、供給源106と108とが異なった周波数で動作すれば、受動的LC共振回路等によってすらも達成されることができる。
【００１８】
図１に示される構成は、我々の同時係属の未公開の英国特許出願第0025709.7号(出願人参照番号PHGB000145)に開示される安価で歪みの小さいスイッチの使用を可能にする。アンテナには複数の給電も設けられることができ、これにより、我々の同時係属の未公開の国際特許出願第PCT/EPO1/06760号(出願人参照番号PHGB000083)に開示される分散型多重化装置での動作が可能になる。
【００１９】
折りたたみアンテナ100の電気的挙動は、二つのセクション102及び104で同一方向に流れる非平衡電流と、二つのセクション102及び104で反対方向に流れる平衡電流と、の重ねあわせとして考えることができる。放射は非平衡電流によってのみ発生させられる。放射モードのインピーダンスは、全長の同一な折りたたまれていない構造のインピーダンスの約四倍であり、典型的には短いアンテナの低いインピーダンスが約50オームに変換されることを可能にする。平衡モードのインピーダンスは適切な長さの短絡回路伝送線のインピーダンスの約二倍である。
【００２０】
アンテナ100により示される全インピーダンスは、二つのモードのインピーダンスの並列結合である。各セクション102及び104の電気的全長を波長の四分の一より短くすることにより、平衡モードのインピーダンスは、長さが波長の四分の一より短い短絡回路スタブのインピーダンスになる、すなわち誘導的になる。従って、このインピーダンスを、平衡モードの容量性リアクタンスを無視するのに用いることができる。
【００２１】
従って、基本的な実施例は、折りたたまれない等価のアンテナよりも短い長さを持ち、また、効率的なスイッチング及び(複数の給電を介した)多重周波数での動作をサポートする、コンパクトなアンテナを提供する。これは通常プリント構造として、無線トランシーバ中に元々存在する回路基板の一部、又は、別個のモジュールとして構築される。各モード(例えば伝送及び受信)に対して独立の給電を持つことにより、整合回路の設計が簡略化されつつ、アンテナをより狭い帯域に、従ってより小さく、することができる。
【００２２】
プリント構造の使用により新しい可能性も提供される。図２は、よく知られているようにアンテナのインピーダンスを改良し、より均一な電流分布を与えるトップローディング202の追加によりアンテナ200が更に短縮された実施例を示す。
【００２３】
短絡回路204がセクション102と104との間に設けられ、これは、(アンテナの二つのセクション102及び104のそれぞれの対応する点は放射モードでは同一電位にあるため)放射モードの動作に影響を与えることなく(短絡回路スタブの長さを変化させることにより)平衡モードのインピーダンスを変化させる。よって、給電インピーダンスは、短絡回路204の位置を調整することにより容易に好都合な値に調整することができる。
【００２４】
給電におけるアンテナインピーダンスは他の態様によっても変化させられることができる。一つは、給電点103及び105のそれぞれにおける、独立した整合回路の追加による態様であり、これにより各給電のより効率的な整合及びブロードバンド化が可能になる。他の態様は、トラック幅、ワイヤ径、又はトラック若しくはワイヤの数を変化させることによりアンテナの各側の相対インピーダンスを変化させることである。
【００２５】
図３は、第一セクション302にはより幅の広いトラックが用いられ、第二セクション104の幅は変化していない、アンテナ300の実施例を示す。従って、第一給電点103において示されるインピーダンスは第二給電点105におけるインピーダンスと比較して低減されている。よって、トランシーバでは、第一給電103は伝送電力増幅器に、第二給電105は受信低ノイズ増幅器に、接続されることができ、これにより改良された動作条件が提供される。
【００２６】
図４は、平行な二つのトラック402が第一セクションに用いられる、アンテナ400の他の実施例を示し、これは同様に、第二給電点105と比較して第一給電点103において低減されたインピーダンスを示す。明らかに、任意のアプリケーションの特定の要件に合わせた種々の変形例が可能である。
【００２７】
PCB(プリント回路基板)及びLTCC(低温焼成セラミック)等の基板上にプリント構造として容易に作製されるアンテナの他の利点は、アンテナ構造の中にディスクリート部品を含むことができる可能性である。図５は、アンテナ電流分布を変化させる塊の受動部品502及び504が実装されたアンテナ500の実施例を示す。
【００２８】
スイッチング部品はアンテナ構造に実装されることもでき、例えばアンテナ構造の一部を動作に含めるか含めないかのスイッチングをすることにより、マルチモード動作を可能にする。図６は、図１のアンテナに基づいた、二重にチューニングされたアンテナ600の例を示す。第一セクション102及び第二セクション104は分流スイッチ610により連結され、更に、第一直列スイッチ612及び第二直列スイッチ614により他のメアンダラインセクション602及び604に連結される。
【００２９】
図６に示されるように、分流スイッチ610は閉じており、直列スイッチ612及び614は開回路である。これにより、アンテナの最上部は回路外にスイッチングされる。三つ全てのスイッチの状態を反対にすることで、電流は他のセクション602及び604を介するように経路を設定される。よって、デュアルバンド動作が任意のバンドのペアで可能になる。従って、アンテナ600は、LC共振回路が該LC共振回路の共振周波数においてアンテナの実効長さを変化させる、LCトラップウィップとの電子的な等価物である。他のスイッチは、マルチバンド動作を可能にすることの他に、図２の短絡回路トラック204により提供された方法と同じ方法で(特性をスイッチングすることなく)アンテナのインピーダンスを変化させることにも使用されることができる。このようなスイッチングは、他のディスクリート部品を回路内外へスイッチングするのにも使用することができる。
【００３０】
スイッチ610、612及び614はいかなる適切な部品を用いても構築することができる。これらは、ダイオードの他にマイクロ電磁システム(MEMS)スイッチのようなより新しい開発例も含む。MEMSは、従来の可変キャパシタに伴う非線形性の問題のない可変キャパシタとしても用いられることができる。
【００３１】
図７は、容積変化を最小にしてアンテナ構造を複製することによりマルチバンドアンテナ700が得られる他の実施例を示す。第一セクション102及び第二セクション104を有する第一折りたたみメアンダラインに加えて、アンテナ700は第三セクション702及び第四セクション704並びに第三供給源706及び第四供給源708を有する他の折りたたみメアンダラインを有する。図示された構成は四つのバンドで動作可能である。他のメアンダラインが基板の異なった層又は側にプリントされていたら、これは第一メアンダラインと重なることすらできる。より少数の給電点が必要なのであれば、第一給電点103及び第三給電点703、又は第一給電点105及び第三給電点705、又は両方の給電点の組は、合成されることができる。
【００３２】
全ての上記技術は容易に組み合わせられることができ、これは多様なアプリケーションに適した低容積アンテナの設計を可能にする。
【００３３】
上述の実施例は、セクション102及び104のそれぞれが単一の直線を有する軸を持つ折りたたみモノポールアンテナに関するが、他の構造、例えば「L」型も可能である。唯一の制約は、セクション102及び104が、典型的には実質的に平行であることにより、伝送線を規定するのに十分に類似した経路を辿るということである。
【００３４】
本発明の上述の実施例はメアンダラインアンテナ100を用いる。しかし、他の種類の物理的に短縮された電気アンテナを代わりに用いることもできる。このようなアンテナは、自身の電気的長さよりも物理的に小さく、主に電場を受信する、モノポール又はダイポールに類似したアンテナである。このような代替アンテナの例はヘリカルアンテナである。
【００３５】
本開示を読むことにより、他の変形例も当業者には明らかになるであろう。このような変形は、アンテナ装置及びその構成要素の、既知の、設計、製造及び使用に関するほかの特徴と関連していることができ、これらの特徴は、ここで説明された特徴に代わって、又は追加して、使用することができる。
【００３６】
本発明や請求項において、要素の前に付した「一つの(a又はan)」という単語は、その要素が複数あることを排除するものではない。更に、「有する(comprising)」という単語は、記載された以外の要素又はステップの存在を排除するものではない。
【図面の簡単な説明】
【図１】 本発明により作製された基本的なアンテナ装置の図。
【図２】 トップローディングを有するアンテナ装置の図。
【図３】 トラック幅に違いを与えることにより提供される、異なったインピーダンスのセクションを有するアンテナ装置の図。
【図４】 追加のトラックの実装により提供される、異なったインピーダンスのセクションを有するアンテナ装置の図。
【図５】 ディスクリート部品を実装したアンテナ装置の図。
【図６】 スイッチングされたアンテナ装置の図。
【図７】 マルチバンドアンテナ装置の図。

Claims (11)

  1. 第一および第二の物理的に短縮されたセクションを有し、
    前記第一セクション及び前記第二セクションの対応する第一端部と前記第一セクション及び前記第二セクションへの給電手段とを短絡して相互接続しているアンテナ装置であって、
    前記第一セクション及び前記第二セクションが伝送線を規定する折りたたみ構造を有し、
    前記第一セクション及び前記第二セクションへの給電手段が、当該第一セクション及び当該第二セクションの第二端部それぞれに、第一および第二供給源それぞれに接続する第一および第二の給電点を有し、
    前記第一および第二の給電点に連結して、前記給電点の一方が該当する供給源に接続しているときに、他方の給電点をアースに接続するスイッチング手段をさらに有する、
    ことを特徴とするアンテナ装置。
  2. 前記第一セクション及び前記第二セクションが互いに実質的に平行であることを特徴とする請求項１に記載の装置。
  3. 前記第一および第二の物理的に短縮されたセクションがメアンダライン素子であることを特徴とする請求項１又は２に記載の装置。
  4. 前記折りたたみ構造が更に前記第一セクションの第一端部と第二セクションの第一端部との間にトップロードを有することを特徴とする請求項１乃至３のいずれか一項に記載の装置。
  5. 前記第一セクションと前記第二セクションとの間に追加の短絡回路が設けられることを特徴とする請求項１乃至４のいずれか一項に記載の装置。
  6. 前記第一セクションと前記第二セクションとが異なった幅の導体を有することを特徴とする請求項１乃至５のいずれか一項に記載の装置。
  7. 前記第一セクションと前記第二セクションとの内少なくとも一つが、平行に接続された同様の形状の複数の導体を有することを特徴とする請求項１乃至６のいずれか一項に記載の装置。
  8. 前記第一セクションと前記第二セクションとの内少なくとも一つがディスクリート部品を実装することを特徴とする請求項１乃至７のいずれか一項に記載の装置。
  9. 前記第一セクション及び前記第二セクションのそれぞれの一部を回路内及び回路外へスイッチングするように動作可能なスイッチング手段が設けられることを特徴とする請求項８に記載の装置。
  10. 少なくとも一つの追加の折りたたみ構造を更に有することを特徴とする請求項１乃至９のいずれか一項に記載の装置。
  11. 請求項１乃至１０のいずれか一項に記載のアンテナ装置を含む無線通信装置。
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