JP3976897B2 - 超音波装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、超音波装置に関し、特に、アナログ受波信号をデジタル化するアナログデジタル変換器を用いたデジタル整相を用いた医用超音波装置に適用して有効な技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の超音波装置は、複数の超音波振動子により超音波を被検体に送波し、被検体内からの反射波を同じ超音波振動子により受波し、その受波信号を増幅して、各振動子からの受波信号を電気的にフォーカスするすなわち受波信号の位相を揃えるために焦点(受波フォーカス点)からの波面により遅延処理(整相)をした後に、加算して超音波ビームを形成していた。また、この受波フォーカス点は多段(ダイナミック)に時間とともに変えていた。
【0003】
従来の超音波装置では、一般的に、図14に示すように、振動子アレー110が1〜a個の振動子から構成されており、基準となる素子である第n+1番目の素子からフォーカス点Pまでの距離をr0、ビームの方向をθとした場合、第1番目の素子からフォーカス点Pまでの距離X0と第n+1番目の素子からフォーカス点Pまでの距離r0とでは、伝搬時間差τ0が生じていた。このために、P点からの反射信号は、第n+1番目の基準素子よりも距離が近い第1番目の素子のほうに早く到着するので、受波信号の位相を揃えるために、第n+1番目の基準素子との伝搬時間差τ0を第1番目の素子で受波した信号に遅延量τ0として加えていた。
【0004】
アナログ処理(いわゆる、アナログ整相)を行う場合には、前述の遅延時間はアナログ遅延線のタップ切り替えデータに変換されていた。
【0005】
一方、デジタル処理を行う場合、すなわち、受波信号をアナログーデジタル変換して整相するデジタル整相の場合には、整相方式により遅延の与え方は異なるが、たとえば、遅延量τ0をメモリからの読み出しアドレスによるサンプリング間隔の遅延(サンプリング遅延)と、サンプリング間隔以下の遅延処理を補間処理によって行っていた。たとえば、電子走査型超音波診断装置では、1フレーム分の画像は、100〜300程度のラスタ(走査するビーム数)からなり、該ラスタは、送波方向に対し、ダイナミックな受波フォーカスを行って形成し、その方向をスキャンすることによって、1フレーム分の画像を形成していた。
【0006】
また、超音波映像法には、数10μm程度の気泡や油状のマイクロバブル等を血管に注入することで血流イメージの高感度化をするとともに、マイクロバブルが発する入射周波数に対して2倍の出射周波数となる反射信号を受波し、この反射信号を画像化することにより、血流イメージを良好にするハーモニック映像法があった。また、マイクロバブルのような造影材を入れなくても、送波周波数(基本周波数)の2倍の周波数となる反射信号の高調波成分を画像化するという、いわゆる、非線形による倍周波数の画像化も近年盛んに行われてきている。基本周波数と倍周波数の撮像において、アナログ整相では、遅延時間は中心周波数に無関係となるので、フォーカスデータの変更はなかった。しかしながら、デジタル整相では、サンプリング遅延のみではなく、ADCのサンプリング時間より小さい微小時間を遅延するための種々の工夫(補間処理)がなされており、その多くが中心周波数の関数であった。
【0007】
図15は基本的なサンプリング法を説明するためのであり、特に、図15(a)は各素子に対応するA/D変換器(ADC)が波面によらず共通のクロックでサンプルする方法を説明するための図であり、波面(フォーカス点)とのずれを補間処理によって補正していた。特に、その処理は周波数に依存した補間処理がほとんどであった。一方、図15(b)はフォーカス点からの受波波面に合わせてADCのサンプリングをする方法を説明するための図である。この方式は、ADCサンプリングクロックを多層に持ち、サンプリング周期以下の微小遅延をどのタイミングのサンプリングクロックを選択するかによって実現する方法であり、波面同期サンプリング整相法と呼ばれる。いずれの方法においても、粗遅延は、書き込んだメモリからの読み出しアドレスの差で実現していた。当然ながらその粗遅延精度はサンプリング周期であった。サンプリング(量子化)の方法には、4f0サンプリング(クアドラチャーサンプリング)、固定サンプリング等の方法があった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者は、前記従来技術を検討した結果、以下の問題点を見いだした。
従来の超音波装置では、素子の中心周波数f0を送受波周波数とし、受波信号をこの中心周波数の4倍の周波数でサンプリングするいわゆる90度サンプリングを行い、そのサンプリングした受波信号から中心周波数f0の画像を生成する超音波装置では、倍周波数の画像処理を行うことができなかった。
【0009】
一方、周波数f0の受波信号から生成した画像と、周波数2f0の受波信号から生成した画像とでは、前述するマイクロバブルの使用の如何にかかわらず、それぞれが異なる情報を含んだ画像となるので、同一の送波信号からそれぞれ異なる周波数の画像である周波数f0の画像と周波数2f0の画像とを生成し、この2つの画像に基づいた診断を行うことが要望されている。
【0010】
しかしながら、従来のデジタル整相を用いた超音波装置では、前述するように、受波信号から画像を生成する過程における補間処理等の整相処理が、素子の中心周波数である周波数f0を基準とする90度サンプリングを前提として構成されているので、従来の超音波装置で周波数2f0の画像を生成しようとした場合には、受波信号のサンプリングが180度サンプリングとなってしまい、周波数2f0の画像を生成することができなかった。すなわち、従来の超音波装置では、中心周波数の画像と2倍の周波数の画像との2周波数の処理を行うことができないという問題があった。
【0011】
本発明の目的は、中心周波数に関連して処理をする整相方式の超音波装置において、2周波数の処理を行うことが可能な技術を提供することにある。
【0012】
本発明の他の目的は、医師等の検者の診断効率を向上することが可能な技術を提供することにある。
【0013】
本発明の他の目的は、医師等の検者の診断精度を向上することが可能な技術を提供することにある。
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述及び添付図面によって明らかになるであろう。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、下記のとおりである。
(1)超音波を送受する複数個の超音波振動子からなる超音波送受手段と、受波信号の遅延処理を行う受波整相手段と、前記遅延処理後の受波信号を加算する加算手段と、前記受波整相手段および加算手段により形成された受波ビームを超音波像として順次表示する表示手段とを有する超音波装置において、前記受波整相手段は、送波信号の周波数の8倍の周波数で前記受波信号をサンプリングするサンプリング手段と、該サンプリング手段がサンプリングした受波信号を前記送波信号の8倍の周波数間隔で遅延処理する8倍遅延処理手段と、前記サンプリング手段がサンプリングした受波信号を前記送波信号の周波数の4倍の周波数間隔で遅延処理する4倍遅延処理手段とを具備し、1回の超音波の送受波によって、前記受波整相手段および加算手段は、4倍遅延処理後の受波信号から前記送波信号の周波数の受信ビームを形成し、8倍遅延処理後の受波信号から倍周波数の受信ビームを形成する。
【0015】
(2)超音波を送受する複数個の超音波振動子からなる超音波送受手段と、受波信号の遅延処理を行う受波整相手段と、前記遅延処理後の受波信号を加算する加算手段と、前記受波整相手段および加算手段により形成された受波ビームを超音波像として順次表示する表示手段とを有する超音波装置において、前記受波整相手段は、1度の送波で得られた受波信号から送波信号の周波数から形成した超音波ビームと2倍の周波数から形成した超音波ビームとを形成する手段を具備する。
【0016】
(3)超音波を送受する複数個の超音波振動子からなる超音波送受手段と、受波信号の遅延処理を行う受波整相手段と、前記遅延処理後の受波信号を加算する加算手段と、前記受波整相手段および加算手段により形成された受波ビームを超音波像として順次表示する表示手段とを有する超音波装置において、前記超音波送受手段は、前記超音波振動子の中心周波数の第1の送波信号と、該第1の送波信号と異なる周波数の第2の送波信号とを1度の送波で同一方向に送波させる送波手段を具備する。
【0017】
前述した(1)の手段によれば、送波信号の周波数(送波周波数)f0の8倍のサンプリング周波数8f0でサンプリング手段が受波信号のサンプリングを行うことによって、送波周波数(基本周波数)の2倍の周波数(倍周波数2f0)となる反射信号の高調波成分を画像化する場合に必要となる90度サンプリングを実現することができる。
【0018】
ここで、8倍遅延処理手段がサンプリングされた受波信号を送波信号の8倍の周波数間隔で遅延処理し、4倍遅延処理手段がサンプリングされた受波信号を送波信号の周波数の4倍の周波数間隔で遅延処理することによって、1回の超音波の送受波で同一の超音波装置において、同時に基本周波数f0と倍周波数2f0の超音波像を形成し表示手段に表示することが可能となる。
【0019】
したがって、医師等の検者は、容易に異なる反射周波数の超音波画像を比較検討することができるので、診断効率を向上することができる。
【0020】
また、医師等の検者は、容易に異なる反射周波数の超音波画像を比較検討することができるので、診断精度を向上できる。
【0021】
前述した(2)の手段によれば、1度の送波で得られた受波信号から、ビーム形成手段が送波信号の周波数から形成した超音波ビームと2倍の周波数から形成した超音波ビームとを形成することによって、1回の超音波の送受波で同一の超音波装置において、同時に送波信号の周波数と倍周波数の超音波像を形成し表示手段に表示することが可能となる。
【0022】
したがって、医師等の検者は、容易に異なる反射周波数の超音波画像を比較検討することができるので、診断効率を向上することができる。
【0023】
また、医師等の検者は、容易に異なる反射周波数の超音波画像を比較検討することができるので、診断精度を向上できる。
【0024】
前述した(3)の手段によれば、送波手段が超音波振動子の中心周波数の第1の送波信号と、該第1の送波信号と異なる周波数の第2の送波信号とを1度の送波で同一方向に送波させることによって、受波整相手段の遅延処理を行うときの周波数を変化させるのみで、中心周波数と倍周波数(非線形によるものではないが、もともとの倍周波数送波に近いビームを得る)の超音波ビームを得ることが可能となる。
【0025】
このとき、たとえば、受波整相手段に1度の送波で得られた受波信号から第1の送波信号の周波数から形成した超音波ビームと第2の送波信号の周波数から形成した超音波ビームとを形成するビーム形成手段を設けることによって、1回の超音波の送受波で同一の超音波装置において、同時に送波信号の周波数と倍周波数の鮮明な超音波像を形成し表示手段に表示することが可能となる。
【0026】
したがって、医師等の検者は、容易に異なる反射周波数の超音波画像を比較検討することができるので、診断効率をさらに向上することができる。
【0027】
また、医師等の検者は、容易に異なる反射周波数の超音波画像を比較検討することができるので、診断精度をさらに向上できる。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について、発明の実施の形態(実施例)とともに図面を参照して詳細に説明する。
なお、発明の実施の形態を説明するための全図において、同一機能を有するものは同一符号を付け、その繰り返しの説明は省略する。
【0029】
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1の超音波装置の概略構成を説明するためのブロック図であり、110は探触子(超音波送受手段)、111は素子選択部、112は送波整相部、113は受波整相部(受波整相手段)、102は加算手段、105は信号処理手段、106は表示手段を示す。
【0030】
図1において、探触子110は、たとえば、周知の超音波振動子(あるいは、超音波素子とも呼ぶ。ただし、以下、「素子」と略記する)がa個(ただし、aは2以上の自然数)配列された周知の超音波探触子であり、素子選択部111に接続される。この探触子110の各素子は、素子選択部111を介して供給される駆動信号に対応する超音波を発生し、図示しない被検体に送波する。また、被検体の内部すなわち生体内で反射されてくる超音波を電気信号に変換して、素子選択部111を介して受波整相部113に出力する。
【0031】
素子選択部111は、周知の切り替え手段からなる選択手段であり、図示しない制御手段の制御出力に基づいて、送波整相部112から出力される駆動信号を探触子110の各素子に伝達する系と、各素子から出力されるアナログの受波信号を受波整相部113に伝達する系とを切り替える。
【0032】
送波整相部112は、図示しない制御手段の出力に基づいて、送波フォーカス点までの各振動子間から送波される超音波の到達時間差を補正する遅延時間差で、探触子110の各素子を駆動する駆動信号を発生し出力する周知の送波整相手段である。
【0033】
受波整相部113は、各素子に1個づつ対応して接続されており、各素子が受波したアナログの受波信号を周知のA/D変換器(以下、「ADC」と記す)でデジタルの受波信号(以下、「受波信号データ」と記す)すなわちデジタルデータに変換した後、各素子で受波した受波信号に対する各素子間の受波フォーカス点までの到達時間差を補正するための遅延処理を行い、次に、図示しないADCによるデジタル変換に伴う欠落時間の補間処理を行う手段であり、詳細については後述する。ただし、本実施の形態1の受波整相部113では、素子の中心周波数すなわち送波信号の基本周波数(送波周波数)f0の8倍の周波数でサンプリングを行い、4倍の周波数4f0(いわゆる、基本周波数f0での受波整相)と8倍の周波数8f0(いわゆる、倍周波数2f0での受波整相)の遅延処理を行う。なお、詳細については、後述する。
【0034】
加算手段102は、図示しない制御手段の制御出力に基づいて、a個の各受波整相部113から出力される補間処理後の受波信号データを加算する周知の加算手段であり、本実施の形態1においては、図示しない情報処理装置上で動作するプログラムによって実現する。すなわち、加算手段102は、受波整相部113から出力される補間処理および位相揃え後の周波数4f0もしくは8f0の受波信号データの整相加算を行い、受波信号データからそれぞれの周波数の受波超音波ビームを作成する。
【0035】
信号処理手段105は、フィルタリング、圧縮、エッジ強調、時間可変増幅およびスキャン変換等の周知の画像処理を行った後、該補正処理後の受波信号データを表示手段106に出力するためのビデオ信号に変換する手段である。本実施の形態1においては、信号処理手段105は前述する画像補正処理は図示しない情報処理装置上で動作するプログラムによって実現し、画像補正処理後の受波信号データのビデオ信号への変換は周知のビデオ信号変換手段によって実現する。
【0036】
表示手段106は周知の表示手段であり、たとえば、CRT(CathodeRay Tube)を用いたいわゆるカラーCRTディスプレイ装置を用いる。
【0037】
次に、図1に基づいて、本実施の形態1の超音波装置の動作を説明すると、素子選択部111で選択された探触子110に送波整相部112により、収束ビームを形成するタイミングで探触子110の各素子が駆動され、被検体に超音波を放射する。被検体からの超音波エコーすなわち反射超音波は、探触子110の各素子で受波され、素子選択部111により、第1〜第a番目の素子に対応する受波整相部113に導かれ、遅延操作(整相操作)が行われる。各受波整相部113からの出力は、加算手段102によって加算され、整相加算出力となる。この整相加算出力はデジタル信号処理105によって所定のフィルタ処理がなされた後に、表示手段106に出力されて、たとえば、断層像あるいはCFM(カラーフローマッピング)像として、表示画面上にリアルタイムに表示される。
【0038】
次に、図2に本実施の形態1の受波整相部の概略構成を説明するための図を示し、図3に本実施の形態1の遅延手段、加算手段および信号処理手段の概略構成を説明するための図を示し、以下、図2および図3に基づいて、本実施の形態1の超音波装置の構成を説明する。特に、図2および図3は説明を簡単にするために1ch分を示している。
【0039】
図2および図3において、100はADC(サンプリング手段)、101は遅延手段、103はサンプリング信号発生手段、104は遅延制御手段、107はメモリ、108は4f0補間処理手段(補間手段、4倍遅延処理手段)、109は8f0補間処理手段(補間手段、8倍遅延処理手段)を示している。ただし、図2に示すように、本実施の形態1においては、各受波整相部113が、それぞれADC100と遅延手段101とを有している。
【0040】
ADC100は、サンプリング信号発生手段103からのサンプリング信号に基づいて、探触子110の各素子から入力されるアナログの受波信号をデジタルの受波信号である受波信号データに変換するための周知のA/D変換器であり、変換後の受波信号データを遅延手段101のメモリ107に出力する。
【0041】
サンプリング信号発生手段103は、素子の中心周波数すなわち送波周波数であるf0の8倍の周波数のサンプリング信号を発生し、ADC100に供給する手段であり、その基本的な構成は、従来のf0の4倍の周波数のサンプリング信号を発生するサンプリング信号発生手段と同じである。
【0042】
遅延手段101は、ADCからの受波信号データを一時的に格納しておくメモリ107と、該メモリ107に格納される受波信号データの内から1つおきに受波信号データを読み出しこのときの読み出しアドレスによって各素子間の受波フォーカス点までの到達時間差を補正するための遅延処理を行うと共に、中心周波数の4倍の周波数すなわち周波数4f0でADC100によるデジタル変換に伴う欠落時間の補間処理を行い、補間出力を加算手段102に出力する周知の4f0補間処理手段108を有する。また、本実施の形態1においては、遅延手段101は、メモリ107に格納される受波信号データの内から順番に受波信号データを読み出し、このときの読み出しアドレスによって各素子間の受波フォーカス点までの到達時間差を補正するための遅延処理を行うと共に、中心周波数の8倍の周波数すなわち周波数8f0でADC100によるデジタル変換に伴う欠落時間の補間処理を行い、補間出力を加算手段102に出力する周知の8f0補間処理手段109を有する。ただし、メモリ107は、たとえば、周知の2ポートSRAMを用い、周波数8f0で読み出した出力を、図3に示すように振り分けるものである。または、メモリ107に周知のFIFOを用いた場合も周波数8f0で出力し、図3に示すように振り分けるものである。さらには、メモリ107は並列に設けてあっても良い。
【0043】
遅延制御手段104は、遅延手段101のメモリ107への書き込みおよび読み出し信号や、4f0補間処理手段108および8f0補間処理手段109の動作信号等を発生し、遅延動作を制御する手段である。
【0044】
加算手段102は、それぞれa個の4f0補間処理手段108および8f0補間処理手段109から出力される補間処理後の受波信号データを加算する周知の加算手段であり、本実施の形態1においては、図示しない情報処理装置上で動作するプログラムによって実現する。すなわち、加算手段102は、遅延手段101から出力される補間処理および位相揃え後の受波信号データの整相加算を行い、受波信号データから受波超音波ビームを作成する。
【0045】
信号処理手段105は、4f0補間処理手段に接続する加算手段102の出力に対して、フィルタリング、圧縮、エッジ強調、時間可変増幅およびスキャン変換等の周知の画像処理を行った後、該補正処理後の受波信号データを表示手段に出力するためのビデオ信号に変換する4f0信号処理手段105aと、8f0補間処理手段に接続する加算手段102の出力に対して、フィルタリング、圧縮、エッジ強調、時間可変増幅およびスキャン変換等の周知の画像処理を行った後、該補正処理後の受波信号データを表示手段に出力するためのビデオ信号に変換する8f0信号処理手段105bとからなる。本実施の形態1においては、4f0信号処理手段105aと8f0信号処理手段105bとは、たとえば、周知のDSP(Digital Signal Processor)等のハードで構成される、または、図示しない情報処理装置上で動作するプログラムによって実現し、画像補正処理後の受波信号データのビデオ信号への変換は周知のビデオ信号変換手段によって実現する。
【0046】
まず、探触子100の各素子で受波された受波信号は、ADC100で、デジタルデータ(受波信号データ)に変換される。この時のサンプリング周波数は、サンプリング信号発生手段103より基本周波数の8倍に設定され、サンプリングする(従来は、基本周波数の画像化のみなのでクアドラチャサンプルのサンプリング周波数は4倍周波数であった。)。デジタルデータに変換された受波信号すなわち受波信号データは、遅延手段101において、遅延処理され。加算手段102により、整相加算され、信号処理部105によって、検波、圧縮、エッジ強調等の各種フィルタ処理を施され、表示フォーマットに変換された後に表示の補間処理等を施されて、表示部106の表示画面上に表示される。
【0047】
次に、図4に本実施の形態1の超音波装置のタイムシーケンスを示し、以下、図4に基づいて、本実施の形態1の超音波装置の動作を説明する。ただし、図4は、サンプリングクロックが8f0の各素子共通クロックで図14(a)に示すように、同期サンプリングを行った場合を示している。
【0048】
周波数8f0でサンプリングされた受波信号データは、まず、遅延手段101内のメモリ107に書き込まれる。メモリ107からの読み出しにより、サンプリング間隔の遅延と4f0,8f0の処理のために並列に読み出す。ただし、メモリ107に格納されるデジタルデータ(受波信号データ)は、たとえば、図4に示すように、デジタルデータが順番に、D1,D2…と書き込まれている場合について説明する。このデータを読み出す際に、基本周波数f0を再現するために、4f0補間処理手段108は、4f0処理の読み出しデータのように、2クロックごとにデータを読み出して、4f0サンプルを実現する(ただし、このときのサンプリングは、周波数f0に対して2個毎に読み出すので4倍周波数であり、90度サンプルとなる)。また、倍周波数の2f0を再現するために、8f0補間処理手段109は、8f0処理の読み出しデータのように、サンプルクロックごとにデータを読み出して、8f0サンプルを実現する(ただし、このときのサンプリングは2f0に対して4倍周波数であるので、90度サンプルとなる)。ただし、前述の説明は、簡単のために、クロックタイミングはメモリのデータと読み出しデータを同一時刻に示したが、実際には、遅延時間を考慮したクロック数分後に読み出されるのは当然のことである。それぞれの補間処理手段108,109の出力は、並列のままそれぞれの加算手段102に入力し、加算手段102によって整相加算され、それぞれの出力は、各々4f0信号処理手段105aもしくは8f0信号処理手段105bで処理され、表示手段106の表示画面上に表示される。このときの表示は、たとえば、両者を合成して表示画面の左側に基本周波数f0の超音波像を表示し、右側に倍周波数2f0の超音波像を表示する。以上の説明から明らかなように、本実施の形態1の超音波装置では、1回の送波で同時に基本、倍周波数を処理できる構成となる。
【0049】
以上説明したように、本実施の形態1の超音波装置では、素子の中心周波数すなわち送波周波数f0の8倍のサンプリング周波数8f0でADC100が受波信号のサンプリングを行うことによって、送波周波数(基本周波数)の2倍の周波数となる反射信号の高調波成分を画像化する場合に必要となる90度サンプリングを実現し、このADC100でサンプリングした受波信号データを順番に使用して超音波ビームを形成する8f0補間処理手段109および8f0信号処理手段105bによって、各素子間の受波フォーカス点までの到達時間差を補正するための遅延処理、および同期サンプリングによるデジタル変換に伴う欠落時間の補間処理、並びに、フィルタリング、圧縮、エッジ強調、時間可変増幅およびスキャン変換等の周知の画像処理を行うことよって、送波周波数(基本周波数)f0の2倍の周波数の反射信号2f0の高調波成分を画像化を行うと共に、ADC100でサンプリングした受波信号データを1つおきに使用して超音波ビームを形成する4f0補間処理手段108および4f0信号処理手段105aによって、各素子間の受波フォーカス点までの到達時間差を補正するための遅延処理、および同期サンプリングによるデジタル変換に伴う欠落時間の補間処理、並びに、フィルタリング、圧縮、エッジ強調、時間可変増幅およびスキャン変換等の周知の画像処理を行うことよって、送波周波数(基本周波数)f0の反射信号f0の画像化を行うので、この2つの画像を表示手段106の表示画面上に同時に表示することができる。したがって、医師等の検者は、容易に異なる反射周波数の超音波画像を比較検討することができるので、診断効率を向上することができる。また、医師等の検者は、容易に異なる反射周波数の超音波画像を比較検討することができるので、診断精度を向上できる。
【0050】
(実施の形態2)
図5は本発明の実施の形態2の超音波装置の概略構成を説明するための図であり、特に、図5(a)は実施の形態2の超音波装置の1チャンネル分の受波整相手段の概略構成を説明するための図であり、図5(b)はサンプリング信号発生手段103の選択手段103aに供給される4相クロックの一例を示す図である。ただし、本実施の形態2の超音波装置は、波面同期サンプリングと呼ばれる方式でしかも4f0サンプルである。
【0051】
したがって、本実施の形態2の超音波装置では、図5(a)から明らかなように、高精度の整相をADC100に供給する図5(b)に示すサンプリングクロックで実現しているので、実施の形態1の超音波装置における補間処理手段108,109が必要ない。すなわち、本実施の形態2の遅延手段101では、微小遅延を補間処理ではなく、公知技術であるサンプリングクロックを多相有して、基準となのADC100のサンプリングクロックから所定の微小時間ずれたクロックを選択部103aが選択し、このクロックで受波信号をサンプリングすることによって、基準となる超音波振動子との遅延時間をサンプリング時間間隔より小さな微小遅延を実現し、そのサンプリングされた受波信号をメモリ107に記憶し、受波信号の遅延をサンプリング間隔で行う。また、ADC100のサンプリングクロックは、図示しない周知の4相クロック発生手段が発生し、この4相クロックの内の1つをサンプリング信号発生手段103の選択部103aが選択することにより与えられる。ただし、本実施の形態2における4相クロックの周期Tは、T=1/(8f0)であり、相間すなわち各クロックのずれはΔT時間づつであり、受波信号の波面に同期している。
【0052】
次に、図5(b)に基づいて、図5(a)に示す本実施の形態2の受波整相手段113の動作を説明する。
【0053】
サンプリング信号発生手段103の選択部103aは、4相クロックより受波信号の波面に同期するクロックを選択して、ADC100に付与する。この場合は、基本は4f0でよかったが、1回の送波で同時に基本周波数と、倍周波数を処理するために、8f0でサンプリングする。したがって、ΔT=1/(32f0)となる。このサンプリングクロックでデジタル化された受波信号は、メモリ107に一旦記憶された後、実施の形態1と同様に、4f0と8f0の受波信号データが並列に読み出され加算手段102でそれぞれ整相加算され、そのデータがそれぞれに接続される信号処理手段105a,105bで並列に信号処理され、表示手段106の表示画面上に表示される。
【0054】
同じ波面同期サンプルにおいて、4f0サンプル(90度サンプル)でなくRFのまま実部のみ処理する方式、すなわち、基本的に、倍周波数とその帯域の高周波数側を再現できる(サンプリング定理を満たす)サンプリング周波数でサンプリグし、メモリに取り込み粗遅延し、全チャンネル整相加算し、信号処理する方式では、信号処理において、並列にし、バンドパスフィルタにより、基本周波数と、倍周波数を分離し、処理することにより、1回の送波で両方を処理できる。
【0055】
以上説明したように、本実施の形態2の超音波装置では、図示しない4相クロック発生手段が発生した周期がT=1/(8f0)であり、各相間のずれがΔT=1/(32f0)の4相クロックを、サンプリング信号発生手段103の選択部103aが適宜選択し、この選択したクロックをADC100のサンプリングクロックとすることによって、送波周波数(基本周波数)の2倍の周波数となる反射信号の高調波成分を画像化する場合に必要となる90度サンプリングを実現すると共に、この4相クロックによって高精度の整相を実現し、この受波信号データを順番に使用して超音波ビームを形成する8f0信号処理手段105bによって、フィルタリング、圧縮、エッジ強調、時間可変増幅およびスキャン変換等の周知の画像処理を行うことよって、送波周波数(基本周波数)f0の2倍の周波数の反射信号2f0の高調波成分を画像化を行うと共に、ADC100でサンプリングした受波信号データを1つおきに使用して超音波ビームを形成する4f0信号処理手段105aにより、フィルタリング、圧縮、エッジ強調、時間可変増幅およびスキャン変換等の周知の画像処理を行うことよって、送波周波数(基本周波数)f0の反射信号f0の画像化を行うので、この2つの画像を表示手段106の表示画面上に同時に表示することができる。したがって、医師等の検者は、容易に異なる反射周波数の超音波画像を比較検討することができるので、診断効率を向上することができる。また、医師等の検者は、容易に異なる反射周波数の超音波画像を比較検討することができるので、診断精度を向上できる。
【0056】
(実施の形態3)
図6は本発明の実施の形態3の超音波装置の概略構成を説明するための図であり、特に、図6(a)は実施の形態2の超音波装置の1チャンネル分のサンプリング信号発生手段の概略構成を説明するための図であり、図6(b)は本実施の形態3の超音波装置の動作の一例を説明するための図であり、図6(c)は本実施の形態3の超音波装置の動作の他の例を説明するための図である。ただし、図6中において、nはラスタ(超音波ビーム)の本数を示している。
【0057】
ただし、本実施の形態3の超音波装置は、サンプリングクロックを発生するサンプリング信号発生手段103の構成が異なるのみで、他の構成は実施の形態1の超音波装置と同じである。したがって、本実施の形態3においは、構成が異なるサンプリング信号発生手段103について詳細に説明する。また、前述の実施の形態1,2の超音波装置では、基本的に1回の送波によってメモリの出力を並列処理により、同時に基本周波数と、倍周波数を処理するものであったが、本実施の形態3では、並列処理せずに、2回の送波で交互に基本周波数と倍周波数とを処理する点が異なる。
【0058】
図6(a)に示すように、本実施の形態3のサンプリング信号発生手段103bは、図示しないクロック発生手段が発生した周波数4f0(周波数がf0の画像を生成するためのサンプリング周波数)のクロックと周波数8f0(周波数が2f0の画像を生成するためのサンプリング周波数)のクロックとから、所定の側のクロックをサンプリングクロックとして選択し、ADC100に出力する選択部103bの構成が異なるのみで、他の構成は実施の形態1の超音波装置と同様となる。
【0059】
次に、図6(b)に基づいて、本実施の形態3の超音波装置の動作を説明する。ただし、図6(b)では、超音波ビームのビーム方向であるラスタ毎に、それぞれのサンプリング周波数の計測を行う場合を示している。
【0060】
図6(b)から明らかなように、この場合には、本実施の形態3の超音波装置では、各ラスタ毎にそれぞれ2回ずつの超音波の送波が行われると共に、1回目の送波では選択部103bは周波数4f0,8f0の内で一方の側をサンプリングクロックとして選択し、2回目の送波では選択部103bは他方の側をサンプリングクロックとして選択する。たとえば、第1番目のラスタの1回目の送波では、選択手段103bはサンプリングクロックとして周波数4f0を選択してADC100に供給する(t11)。次の送波すなわち第1番目のラスタの2回目の送波では、選択部103bはサンプリングクロックとして周波数8f0を選択してADC100に供給する(t12)。以降、各ラスタ毎に1回目と2回目の送波において、選択部103bが前述した順番でサンプリングクロックをADC100に供給することによって、基本周波数f0の画像を作成するための90度サンプリングである周波数4f0でサンプリングした受波信号データと、2倍周波数2f0の画像を作成するための90度サンプリングである周波数8f0でサンプリングした受波信号データとがそれぞれメモリ107に記憶される。
【0061】
メモリ107に記憶された受波信号データは、図6(b)に示すように、ラスタ毎に、順次、補間処理手段に読み出されて、各素子間の受波フォーカス点までの到達時間差を補正するための遅延処理が行われる。次に、補間処理手段によって、同期サンプリングによるデジタル変換に伴う欠落時間の補間処理が行われる。このときに、本実施の形態3では、メモリ107からの受波信号データの読み出しと同期して、遅延制御手段から補間処理手段に供給される整相周波数が、順次、周波数f0と周波数2f0と内の一方が供給される。たとえば、第1番目のラスタの1回目の送波では、遅延制御手段は整相周波数として周波数f0を選択して補間処理手段に供給する(t11)。次の送波すなわち第1番目のラスタの2回目の送波では、遅延制御手段は整相周波数として周波数2f0を選択して補間処理手段に供給する(t12)。以降、各ラスタ毎に1回目と2回目の送波において、遅延制御手段が前述した順番で整相周波数を補間処理手段に供給することによって、期サンプリングによるデジタル変換に伴う欠落時間の補間処理を行うことができる。この補間処理後の受波信号データは、順次、各ラスタの1回目と2回目の送波毎に加算された後に、信号処理手段でフィルタリング、圧縮、エッジ強調、時間可変増幅およびスキャン変換等の周知の画像処理を行うことによって、送波周波数f0の画像化と送波周波数2f0の画像化とを行い、この表示データを表示手段に出力する。このとき、表示手段では、t12,t22に示すように、各ラスタ毎に周波数f0と周波数2f0の表示データを重畳して表示する(たとえば、フレームメモリを有する場合は、フレームメモリの各ラスタに相当するところに画像データを書き込むことによって、2つの表示データを重畳して表示する)ことによって、2つの画像を表示手段106の表示画面上に同時に表示することができる。したがって、前述する実施の形態1と同様の効果を得ることができる。もちろん、交互に表示してもよく、あるいは、別々の領域にそれぞれを表示してもよい。
【0062】
以上の説明はラスタ毎に周波数4f0のクロックと周波数8f0のクロックとでそれぞれ順番にサンプリングを行う場合であるが、本実施の形態3の超音波装置はこれに限定されることはなく、図6(c)に示すように、1フレーム分を連続して、基本周波数f0で処理し、次のフレームで倍周波数2f0で処理しても良い。
【0063】
次に、図6(c)に基づいて、1フレーム毎に周波数4f0のサンプリングクロックと周波数8f0のサンプリングクロックとでそれぞれ順番に受波信号のサンプリングを行う場合について説明する。
【0064】
図6(c)から明らかなように、この場合には、本実施の形態3の超音波装置では、1フレーム毎に選択部103bは周波数4f0,8f0の内で一方の側をサンプリングクロックとして選択する。たとえば、第1番目のフレーム送波では、選択手段103bはラスタの番号に係わらずサンプリングクロックとして周波数4f0を選択してADC100に供給する(t1〜tn)。次のフレームすなわち第2番目のフレームの送波では、選択部103bはサンプリングクロックとして周波数8f0を選択してADC100に供給する(tn+1〜t2n)。以降、各フレームの送波において、選択部103bが前述した順番でサンプリングクロックをADC100に供給することによって、基本周波数f0の画像を作成するための90度サンプリングである周波数4f0でサンプリングした受波信号データと、2倍周波数2f0の画像を作成するための90度サンプリングである周波数8f0でサンプリングした受波信号データとがそれぞれメモリ107に記憶される。
【0065】
メモリ107に記憶された受波信号データは、前述の実施の形態1と同様に、ラスタ毎に、順次、補間処理手段によって補間処理が行われると共に、信号処理手段で周知の画像処理が行われて超音波ビームが形成される。ただし、遅延制御手段も、選択部103bと同期して、第1番目のフレームの送波時の期間には、整相周波数として周波数f0を選択して補間処理手段に供給し(t1〜tn)、第2番目のフレームの送波時の期間には、整相周波数として周波数2f0を選択して補間処理手段に供給する(tn+1〜t2n)。以降、この順番で遅延制御手段が整相周波数として周波数f0,周波数2f0を補間処理手段および信号処理手段に供給することによって、フレームごとに基本周波数(周波数f0)と倍周波数(周波数2f0)の超音波ビームすなわち超音波画像を生成することができる。
【0066】
表示手段では、信号処理手段から出力される超音波画像を、たとえば、フレームメモリを有する場合は、フレームメモリの各ラスタに相当するところに画像データを書き込むことによって、周波数f0と周波数2f0の2つの超音波画像を重畳して、すなわち、2つの超音波画像を表示手段の表示画面上に同時に表示できる。したがって、前述する実施の形態1と同様の効果を得ることができる。ただし、表示の仕方は、これに限定されるものではない。
【0067】
なお、本実施の形態3においては、同期サンプリングの超音波装置に適用する場合について説明したが、これに限定されることはなく、たとえば、実施の形態2の超音波装置において、サンプリング信号発生手段103の選択部103bに入力されるサンプリングクロックを周期が1/(4f0)の4相クロックと、周期が1/(8f0)の4相クロックとし、選択部103bが前述した図6(b)あるいは図6(c)に示すタイミングでこのクロックを選択してADC100に供給することによって、それぞれ波面同期サンプリングを実現することができる。このとき、それぞれの周期でサンプリングされた信号を順番に加算処理した後に、信号処することによって、前述する効果を得ることができる。
【0068】
また、本実施の形態3においては、たとえば、図7に示すように、90度サンプルであって、受波信号をADC100でサンプリングの後に、複素信号変換手段701を設け、この出力により複素信号とし、その後のメモリ107および補間処理手段702により整相を行う場合にも、たとえば、サンプリング信号発生手段103の選択部103bに周波数4f0と周波数8f0のクロックを供給し、該選択部103bが実施の形態3と同様に送波毎もしくは1フレーム毎に周波数4f0と周波数8f0とを選択してADC100に出力することによって、基本周波数(周波数f0)と倍周波数(周波数2f0)の超音波ビームすなわち超音波画像を生成することができるので、前述の実施の形態と同様の方法によって本願発明を適用することができ、この場合においても前述する効果がある。この補間方法には、複素位相回転や図11に示すラッチの内、第1のラッチ1105と第3のラッチ1107とをそれぞれ取り除き、1個にしたフィルタ補間方法等が適用できる。
【0069】
また、8f0サンプルとして、交互に4f0サンプルデータ、8f0サンプルデータを用いて処理するか、あるいは並列処理することによって、1回の送波で基本周波数と倍周波数との超音波ビームを生成することができる。
【0070】
さらには、90度サンプルでない固定周波数での同時サンプルの場合であって、受波信号をADC100でサンプリングの後に、受波信号をメモリ107に取り込み、粗遅延後に補間処理手段によってフィルタリング処理を行って補間する方式などにおいても、適用可能なことはいうまでもない。
【0071】
(実施の形態4)
図8は本実施の形態4の遅延手段、加算手段および信号処理手段の概略構成を説明するための図であり、図9は本実施の形態の遅延手段における補間処理のタイムシーケンスを説明するための図である。ただし、図8に示すADC100におけるサンプリング信号の周波数fsは、倍周波数のサンプリング定理を満たす周波数以上に設定されており、例えば、送波信号の周波数(送波周波数)f0の90度サンプリングに必要となる整相周波数である周波数8f0である。また、図9に示すクロックタイミングは、説明を簡単にするために、メモリ107への受波信号データの格納と、メモリ107からの受波信号データの読み出しを同一時刻として示したが、実際には、遅延時間を考慮したクロック数の分だけ遅れることとなる。ただし、一般的には、送波信号の周波数f0は探触子110の各素子の中心周波数に一致させるので、以下の説明においては、送波信号の周波数も周波数f0と記す。
【0072】
なお、本実施の形態4では、超音波装置および各素子に対応する受波整相部113の概略構成については、実施の形態1に示す構成と同じとなるので、本実施の形態4では、構成が異なる部分についてのみ説明する。
【0073】
図8において、801は補間処理手段、802はf0信号処理手段、803はf2信号処理手段を示しており、f0信号処理手段802は素子の中心周波数すなわち送波周波数f0で受波整相された受波信号データに対する周知の信号処理を行う手段であり、f2信号処理手段803は送波周波数f0の倍周波数2f0で受波整相された受波信号データに対する周知の信号処理を行う手段である。
【0074】
補間処理手段801は、メモリ107に格納される受波信号データを読み出すときの読み出しアドレスによって、各素子間の受波フォーカス点までの到達時間差を補正するための遅延処理(粗遅延処理)を行った後に、90度サンプリングに伴う遅延処理(補間処理)を時系列で行う手段であり、周知のフィルタリングによる補間や、複素数による位相回転によって実現される。
【0075】
次に、図9に基づいて、本実施の形態4の補間処理手段801の動作を説明すると、補間処理(1)〜(3)に示すように、メモリ107に格納される受波信号データの読み出しと、読み出した各受波信号データに対する補間処理とは、3通りに分けることができる。
【0076】
すなわち、図9中の補間処理(1)に示すように、ADC100によって、D1,D2,・・・の順番でサンプリングされメモリ107に格納される受波信号データに対して、補間処理手段801が順番に受波信号データを読み出し、この読み出した受波信号データに対してサンプリングクロックに同期して、交互に受波整相の周波数f0の補間処理と周波数2f0(周波数f2)の補間処理とを行う第1の補間処理がある。また、図9中の補間処理(2)に示すように、ADC100によって、D1,D2,・・・の順番でサンプリングされメモリ107に格納される受波信号データに対して、補間処理手段801が1データおきに受波信号データを読み出し、この読み出した受波信号データに対してサンプリングクロックに同期して、受波整相の周波数f0の補間処理と周波数2f0(周波数f2)の補間処理とを行う第2の補間処理がある。さらには、図9中の補間処理(3)に示すように、ADC100によって、D1,D2,・・・の順番でサンプリングされメモリ107に格納される受波信号データに対して、サンプリングクロックの倍の周期で受波信号データを読み出し、その周期で受波整相の周波数f0の補間処理と周波数2f0(周波数f2)の補間処理とを行うことによって、受波信号データの欠落をなくした第3の補間処理がある。
【0077】
前述する補間処理によって遅延された受波信号データは、加算手段102によって加算された後に、信号処理手段105で周知の信号処理がなされる。ただし、信号処理手段105では、補間処理手段801の受波整相の周波数f0,f2に対応する信号処理手段802,803に出力される。
【0078】
このように、本実施の形態においては、補間処理手段801と加算手段102とで、ビーム形成手段を構成する。
【0079】
次に、図10に図9中に示す補間処理(1)を実現するための遅延手段の構成を説明するための図を示し、以下、図10に基づいて、本実施の形態の超音波装置の動作を説明する。ただし、図10において、図10(a)は遅延手段の概略構成を説明するためのブロック図であり、図10(b)はその動作を説明するためのタイムシーケンスである。また、図10(a)に示す遅延手段は、一般的なビートダウンによる構成である。
【0080】
図10において、1001は周波数移動手段、1002はフィルタを示しており、周波数移動手段1001は、周知の情報処理装置上で動作するプログラムによって実現される手段であり、たとえば、送波周波数f0のサンプリング定理以上の周波数fsでサンプリングされた受波信号データを、周知の複素ミキシング手段を用い、その出力により複素信号とし、低周波(あるいはゼロ周波数)に移動することによって、オーバーサンプリングを実現しサンプリング周波数を低周波側に移動させる周知の周波数移動手段である。また、本実施の形態の周波数移動手段1001は、ADC100で変換された受波信号データをそのサンプリング周期に同期して交互に送波周波数f0および2f0、すなわち、cos(ω0t)(ただし、ω0=2πf0),sin(ω0t)と受波信号データとの乗算と、cos(ω2t)(ただし、ω2=2πf2=2π2f0),sin(ω2t)との乗算とを交互に行うことによって、ADC100でサンプリングされた受波信号データをf0でミキシングされた受波信号データM(f0)と、f2でミキシングされた受波信号データM(f2)とに交互に変換する。
【0081】
フィルタ1002は、周波数移動手段1001の出力の内、ミキシングで発生した和周波を削除し、又は/さらに、デシメートして信号数を減らす周知のフィルタである。
【0082】
次に、図10(b)に基づいて、本実施の形態4における遅延手段の動作を説明すると、1度の送波で得られた受波信号は、ADC100でサンプリング周波数fsでサンプリングされる。このときのサンプリングクロックを示したのが、図10(b)中のSckである。ただし、本実施の形態では、一度の送波で得られた受波信号から送波周波数f0の受波整相と倍周波数2f0の受波整相とを行う例であり、ADC100のサンプリング周波数fsは、少なくとも4f0以上である。周波数fsでサンプリングされた受波信号データR1,R2,R3・・・は、まず、周波数移動手段1001によって、交互に、受波整相周波数f0でミキシングされた受波信号データM1f0,M3f0・・・と、受波整相周波数f2でミキシングされた受波信号データM2f2,M4f4・・・とに変換される。ただし、前述するように、本実施の形態の周波数移動手段1001は、奇数番目にサンプリングされた受波信号データR1,R3・・・に対しては受波整相周波数f0の周波数移動を行い、偶数番目にサンプリングされた受波信号データR2,R4・・・に対して受波整相周波数f2の周波数移動を行う。
【0083】
周波数移動手段1001から出力された受波信号データは、フィルタ1002によって和周波削除され、目的の成分すなわち奇数番目の受波信号データの場合には受波整相周波数がf0となる受波信号データM1(f0),M3(f0)・・・のみが抽出され、偶数番目の受波信号データの場合には受波整相周波数がf2となる受波信号データM2(f2),M4(f2)・・・のみが抽出された後に、メモリ107に順次、受波信号データR1M1,R2M2,・・・として格納される。
【0084】
メモリ107に格納された受波信号データR1M1,R2M2,・・・は、補間処理手段801によって、サンプリングクロックSckに同期して順次読み出されることによって粗遅延が行われた後に、各受波信号データの受波整相周波数f0,f2で順次時系列に補間処理され、加算手段102に出力される。
【0085】
加算手段102では、探触子110の各素子からの受波信号データを整相加算した後に、受波整相周波数に対応する信号処理手段802,803に出力し、対応する信号処理手段802,803で周知の信号処理がなされた後に、表示手段106の画面上に表示される。
【0086】
なお、本実施の形態4においては、周波数移動を送波周波数f0の受波整相と倍周波数2f0の受波整相とで行う構成がこれに限定されることはなく、3倍周波数3f0あるいは4倍周波数4f0の受波整相等でもよいことはいうまでもない。
【0087】
また、本実施の形態4においては、補間処理を時系列で処理する構成としたが、これに限定されることはなく、たとえば、前述した実施の形態1の遅延手段と同様に、受波整相周波数f0に対応する補間処理手段と受波整相周波数f2に対応する補間処理手段とを設け、並列に処理してもよいことはいうまでもない。
【0088】
また、同時にf0とf2(2f0)とを処理する場合でなく、通常はf0で処理し、検者が倍周波数モードを選択したときに、同じ回路でf2処理をすることもある。この場合には、ミキシングデータおよび補間データは選択された中心周波数に関連したデータとなる。このとき、サンプリング周波数もf0に適した周波数、f2に適した周波数と変えてもよいことはいうまでもない。
【0089】
また、受波整相周波数f0,f2の選択は、フィルタ1002を並列に設け、入力で直並列変換し、フィルタ処理後に並直列変換する構成としてもよいことはいうまでもない。
【0090】
さらには、本実施の形態4では、受波信号データの処理を複素処理としたがこれに限定されることはなく、たとえば、実部処理のみでも可能である。
【0091】
図11は図9中に示す補間処理(1)を実現するための遅延手段の他の構成を説明するための図であり、特に、図11(a)はフィルタを用いた補間処理手段の概略構成を説明するためのブロック図であり、図11(b)はその動作を説明するためのタイムシーケンスである。ただし、図11(b)はDin入力から入力された受波信号データがシフトレジスタを構成する第1〜4のラッチの最終段に到達したタイミングからの動作を示すものである。
【0092】
図11において、1101は第1の乗算器、1102は第2の乗算器、1103は第3の乗算器、1104は加算器、1105は第1のラッチ、1106は第2のラッチ、1107は第3のラッチ、1108は第4のラッチを示している。本実施の形態の補間処理手段801では、Din入力が第1の乗算器1101の一方の入力に接続されると共に、該第1の乗算器1101の他方の入力には図示しない補間制御手段の第1のフィルタ係数Aiの出力が接続され、該第1の乗算器1101の出力は、加算手段1104の入力に接続される。また、Din入力は4段のシフトレジスタを構成する第1のラッチ1105の入力に接続されており、該第1のラッチ1105の出力は、第2のラッチ1106の入力に接続される。該第2のラッチ1106の出力は、第2の乗算器1102の一方の入力に接続されると共に、第3のラッチ1107の入力に接続される。該第3のラッチ1107の出力は第4のラッチ1108の入力に接続される。第4のラッチ1108の出力は第3の乗算器1103の一方の接続されると共に、該第3の乗算器1103の他方の入力は図示しない補間制御手段のフィルタ係数Ciの出力に接続され、その出力は加算器1104の入力に接続される。また、第2の乗算器1102の他方の入力は図示しない補間制御手段のフィルタ係数Biの出力に接続され、その出力は加算器1104の入力に接続される。加算器1104の出力は、Dout出力として、加算手段102に接続される。ただし、シフトレジスタを構成する第1〜4のラッチ1105〜1108のシフトクロックは、サンプリングクロックSckである。
【0093】
次に、図11(b)に基づいて、図11(a)に示す本実施の形態の補間処理手段の動作を説明する。
【0094】
図11中に示す第1番目のサンプリングクロックSckが入力されると、図11中にD1〜D5で示すように、各乗算器1101〜1103の一方の入力には、順番にDin入力から入力される受波信号データD5、第2のラッチ1106にラッチされる受波信号データD3、第4のラッチ1108にラッチされる受波信号データD1が入力される。一方、各乗算器1101〜1103の他方の入力には、図示しない補間制御手段から奇数番目の受波信号データの受波整相周波数f0に対応するフィルタ係数A1,B1,C1がそれぞれ入力される。したがって、Dout出力からは、図11(b)の第1番目のサンプリングクロックすなわち奇数番目の樹は信号データに基づく、D1*C1(f0)+D3*B1(f0)+D5*A1(f0)が出力される。
【0095】
次に、第2番目のサンプリングクロックSckが入力されると、Din入力から受波信号データD6が入力されると共に、第1〜4のラッチ1105〜1108にラッチされている受波信号データが順次1段分シフトされるので、各乗算器1101〜1103の一方の入力には、順番にDin入力から入力される受波信号データD6、第2のラッチ1106にラッチされる受波信号データD4、第4のラッチ1108にラッチされる受波信号データD2が入力される。このとき、各乗算器1101〜1103の他方の入力には、図示しない補間制御手段から奇数番目の受波信号データの受波整相周波数f0に対応するフィルタ係数A2,B2,C2がそれぞれ入力される。したがって、Dout出力からは、図11(b)の第2番目のサンプリングクロックすなわち偶数番目の受波信号データに基づく、D2*C2(f2)+D4*B2(f2)+D6*A2(f2)が出力される。
【0096】
以降、この動作を順次行うことによって、奇数番目の受波信号データと偶数番目の受波信号データとに基づく補間処理を時系列に行うことができる。
【0097】
なお、本実施の形態では、補間フィルタを時系列に使用する場合について説明したが、これに限定されることはなく、たとえば、特開平3−123879号公報に記載されるように、補間フィルタを並列に持ち各フィルタで専用の周波数にて補間処理を行う構成としてもよいことはいうまでもない。
【0098】
以上説明したように、本実施の形態4の超音波装置では、扱う最高周波数のサンプリング定理を満たすと共に、時系列での処理に伴って実効的なサンプリング周波数が低下する場合には、その周波数がサンプリング定理を満たすようなサンプリング周波数fsのADC100で変換された受波信号データを、遅延手段101が、サンプリング周期に同期し順次時系列で受波整相処理(遅延処理)することによって、送波信号の周波数f0とその倍の周波数2f0の受信ビームを1回の送受波で同時に形成することができるので、時差のないハーモニクス映像表示をすることが可能となる。
【0099】
したがって、医師等の検者は、容易に異なる反射周波数の超音波画像を比較検討することができるので、診断効率を向上することができる。
【0100】
また、医師等の検者は、容易に異なる反射周波数の超音波画像を比較検討することができるので、診断精度を向上できる。
【0101】
(実施の形態5)
図12は本発明の実施の形態5の超音波装置における送波整相部の概略構成を説明するための図であり、1201は加算手段、1202は送波整相回路、1203は駆動回路を示す。
【0102】
図12において、加算手段1201は図示しない送波信号発生手段から入力される異なった送波周波数の送波波形1と送波波形2と加算する周知の加算手段であり、加算後の送波波形信号を送波整相回路1202に出力する。
【0103】
送波整相回路1202は、予め設定された焦点位置情報に基づいて、探触子110の各素子に供給する送波信号に遅延を与える周知の送波整相回路であり、各素子に対応する送波信号を駆動回路1203に出力する。
【0104】
駆動回路1203は入力された送波信号をバッファリングする周知の駆動回路であり、バッファリング後の送波信号を、素子選択部111を介して探触子110の各素子に供給し駆動する。
【0105】
次に、図12に基づいて、本実施の形態5の超音波装置における送波整相部112の動作を説明すると、たとえば、検者が指示した複数周波数(ここでは、異なる2周波数である)の送波波形1,2が加算手段1201で加算されて、1つの送波信号が合成される。この合成された送波信号は、送波整相回路1202で各素子に対応した送波信号に変換された後に、駆動回路1203でバッファリングされ探触子110の各素子に供給される。各素子は駆動信号に対応した超音波を発生し、図示しない被検体に超音波を送波し、被検体内で反射された超音波が各素子で受波信号として検出される。このときの受波信号は、送波波形1の周波数に対応した受波信号1と、送波波形2の周波数に対応した受波信号2とが合成された受波信号となる。
【0106】
本実施の形態において、送波波形1の周波数をf0、送波波形2の周波数をf2とすることによって、前述する実施の形態1〜4の超音波装置において、基本周波数4f0(受波整相周波数f0)と倍周波数8f0(受波整相周波数f2)の受波整相処理を行うことができる。
【0107】
また、本実施の形態においては、図13に示すように、異なる送波周波数の送波信号に対応するそれぞれのフォーカス位置を変えた送波信号を合成し送波する、すなわち、異なる送波周波数の送波信号に対応するそれぞれのフォーカス位置を変えた送波信号を同時に送波する。たとえば、前述の送波波形1で門面フォーカス1301(このときのフォーカス位置は、フォーカス点1303となる)の送波信号を発生させ、送波波形2で門面フォーカス1302(このときのフォーカス位置は、フォーカス点1304となる)の送波信号を発生させることによって、異なるフォーカス位置の信号を同時に送波することが可能となると共に、各フォーカス位置に対応する受波信号の周波数が異なることとなるので、容易に異なるフォーカス位置の超音波画像を生成することが可能となる。ただし、受波整相時には、送波フォーカス位置(送波周波数)に合わせて受波整相周波数を多段に変更する、すなわち、時系列に交互に変化させるのではなく、深度に応じてたとえば、時間0からt1の領域1では、送波波形2の周波数に対応する受波整相を行い、それよりも深い(時間t1からt2の領域2)ときには、送波波形1の周波数に対応する受波整相を行うというように、受波整相周波数1回の送波からの経過した時間で変化させることによって、送波多段フォーカスと受波ダイナミックフォーカスとを同時に実現することが可能となる。
【0108】
したがって、検者は異なる深度の超音波画像を同時に観察することが可能となるので、診断効率を向上することができる。
【0109】
また、送波の多段フォーカスが可能となるので、フレームレートを低下させることなく高精細の超音波像の表示ができる。
【0110】
なお、前述した実施の形態1〜3の超音波装置においては、送波は基本周波数で行い、受波を基本周波数と倍周波数との2周波数で処理する方法について説明したが、これに限定されることはなく、送波を2周波数あるいは複数周波数として、その回数分送波し、それぞれの周波数で受波処理して表示してもよいことはいうまでもない。
【0111】
また、送波周波数を複数周波数として重畳して同一フォーカスとし、受波において並列処理することにも適応できる。
【0112】
また、本実施の形態1〜3の超音波診断装置では、表示形態は重畳あるいは交互としたが、検者が選択した表示形態を表示することが出来ることはいうまでもない。たとえば、タッチパネルやコンソールに倍周波処理の選択をするための選択スイッチを設け、その中に(あるいはファンクション)処理方法として、同時処理、交互処理(送波毎に基本波処理、倍周波処理を行うモード)、倍周波処理のみ(受波整相は倍周波処理のみを行う)、基本波処理のみのモードを持つ。表示方法として、前者2つのモードには、基本波処理画像と、倍周波処理画像を重畳して表示するモードと、交互に表示するモードと、別々の領域に表示するモードを有する。倍周波数処理のみのモードでは、倍周波数処理画像のみを表示する。また、重畳する場合、その比率や深度方向での重畳比率を調整することにより、全深度で良好な画像を得ることが出来る。
【0113】
さらには、本実施の形態1〜4の超音波装置では、送波信号の周波数(中心周波数)で整相処理して得られたデータと、送波信号の周波数の2倍の周波数で整相処理して得られたデータを重ねて、または、交互に表示できるので、血流イメージングを良好にできる。例えば、造影剤使用時では、体動は基本周波数で処理し、血流は倍周波数で処理することにより、体動を除去できる。あるいは、高分解能でみたい部位を倍周波数で処理できるので、超音波像の分解能を向上することができるという効果もある。
【0114】
以上、本発明者によってなされた発明を、前記発明の実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は、前記発明の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能であることは勿論である。
【0115】
【発明の効果】
本願において開示される発明のうち代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば、下記の通りである。
【0116】
(1)中心周波数に関連して処理をする整相方式の超音波装置において、2周波数の処理を行うことができる。
【0117】
(2)医師等の検者は、容易に異なる反射周波数の超音波画像を比較検討することができるので、診断効率を向上することができる。
【0118】
(3)医師等の検者は、容易に異なる反射周波数の超音波画像を比較検討することができるので、診断精度を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1の超音波装置の概略構成を説明するためのブロック図である。
【図2】本実施の形態1の受波整相部の概略構成を説明するための図である。
【図3】本実施の形態1の遅延手段、加算手段および信号処理手段の概略構成を説明するための図である。
【図4】本実施の形態1の超音波装置のタイムシーケンスである。
【図5】本発明の実施の形態2の超音波装置の概略構成を説明するための図である。
【図6】本発明の実施の形態3の超音波装置の概略構成を説明するための図である。
【図7】本発明の他の実施の形態の超音波装置の概略構成を説明するための図である。
【図8】本実施の形態4の超音波装置における遅延手段、加算手段および信号処理手段の概略構成を説明するための図である。
【図9】本実施の形態4の遅延手段における補間処理のタイムシーケンスを説明するための図である。
【図10】図9中に示す補間処理(1)を実現するための遅延手段の構成を説明するための図である。
【図11】図9中に示す補間処理(1)を実現するための遅延手段の他の構成を説明するための図である。
【図12】本発明の実施の形態5の超音波装置における送波整相部の概略構成を説明するための図である。
【図13】本発明の実施の形態5の超音波装置の動作を説明するための図である。
【図14】従来の超音波装置の送受波動作を説明するための図である。
【図15】従来の超音波装置における基本的なサンプリング法を説明するためのである。
【符号の説明】
100…ADC、101…遅延手段、102…加算手段、103…サンプリング信号発生手段、103a…選択部、104…遅延制御手段、105…信号処理手段、105a…4f0信号処理手段、105b…8f0信号処理手段、106…表示手段、107…メモリ、108…4f0補間処理手段、109…8f0補間処理手段、110…探触子、111…素子選択部、112…送波整相部、113…受波整相部、701…複素信号変換手段、702…補間処理手段、801は補間処理手段、802はf0信号処理手段、803はf2信号処理手段、1001は周波数移動手段、1002はフィルタ、1101〜1103は第1〜3の乗算器、1104は加算器、1105〜1108は第1〜4のラッチ、1201は加算手段、1202は送波整相回路、1203は駆動回路。
Claims (1)
- 超音波を送受する複数個の超音波振動子からなる超音波送受手段と、受波信号の遅延処理を行う受波整相手段と、前記遅延処理後の受波信号を加算する加算手段と、前記受波整相手段および加算手段により形成された受波ビームを超音波像として順次表示する表示手段とを有する超音波装置において、
前記受波整相手段は、送波信号の周波数の8倍の周波数で前記受波信号をサンプリングするサンプリング手段と、該サンプリング手段がサンプリングした受波信号を前記送波信号の8倍の周波数間隔で遅延処理する8倍遅延処理手段と、前記サンプリング手段がサンプリングした受波信号を前記送波信号の周波数の4倍の周波数間隔で遅延処理する4倍遅延処理手段とを具備し、1回の超音波の送受波によって、前記受波整相手段および加算手段は、4倍遅延処理後の受波信号から前記送波信号の周波数の受信ビームを形成し、8倍遅延処理後の受波信号から倍周波数の受信ビームを形成することを特徴とする超音波装置。
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