JP3976412B2 - 異形断面をもつ圧延異形形鋼 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、2つのフランジを有し異形断面をもつ圧延異形形鋼に関する。
【0002】
【従来の技術】
特開平9−122704号公報は、フランジの一方だけの外表面に多数の突起を有し他方のフランジ外表面は平滑面とした、非対称の熱間圧延山形鋼とその製造方法を開示している。そして、平滑フランジ面を他部材(グレーチングのベアリングバー)との接合面として利用している。この異形断面をもつ圧延山形鋼をグレーチングの枠材として使用した時、多数の突起はすべり止めとして働く。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来の上記異形断面をもつ圧延山形鋼をグレーチングの枠材として使用する場合、つぎの問題がある。
(i) グレーチングのベアリングバーと枠材との接合は溶接であるが、溶接部が外れた場合、ベアリングバーは枠材から落下してしまう。
(ii)グレーチングベアリングバーの構成平鋼の1本1本を山形鋼の平滑フランジ面に溶接しなければならないので、溶接に長時間を要し、かつグレーチングベアリングバー間の間隔も狭いので、溶接作業自体も難しい。
本発明の目的は、他部材(たとえば、グレーチングベアリングバー)との溶接接合が外れてもなお係合が成立して外れを抑制できる、異形断面をもつ圧延異形形鋼を提供することにある。
本発明のもう一つの目的は、他部材(たとえば、グレーチングベアリングバー)との溶接接合が外れてもなお係合が成立して外れを抑制でき、かつ他部材との溶接を容易に行える、異形断面をもつ圧延異形形鋼を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する本発明はつぎの通りである。
(1) グレーチングの枠材を構成する、互いにほぼ直交する2つのフランジを有する異形断面をもつ圧延異形山形鋼からなり、両方のフランジの外表面に突起を有し、
一方のフランジの突起は、異形形鋼の長手方向に連続する1本以上の突起からなり、他方のフランジの突起は、非連続で複数の突起からなり、
前記一方のフランジの1本以上の突起は、最も下の突起が、ベアリングバーを、下から支えるベアリングバー支持用の突起であり、
前記他方のフランジの突起はすべり止め用の突起である、
異形断面をもつ圧延異形形鋼。
(2) 前記一方のフランジの突起の本数が1であり、該1本の突起はベアリングバーを下から支持する(1)記載の異形断面をもつ圧延異形形鋼。
(3) 前記一方のフランジの突起の本数が2以上であり、この2本以上の突起は互いに平行であり、最も下の突起はベアリングバーを下から支持する(1)記載の異形断面をもつ圧延異形形鋼。
【0005】
上記(1)の異形断面をもつ圧延異形形鋼では、両方のフランジの外表面に突起を有するので、一方のフランジの突起を他部材、たとえばグレーチングのベアリングバー、を下から支える係合突起として用い、他方のフランジの突起をすべり止めとして利用することができる。
また、一方のフランジの突起突起を、異形形鋼の長手方向に連続する突起としたので、突起を他部材、たとえばグレーチングのベアリングバー、を下から支える係合突起として使用したり、グレーチングのベアリングバーの複数の平鋼部材とのプロジェクション溶接のための突起として利用するのに、適する。
他方のフランジの突起は、すべり止めとして利用される。この突起は、非連続の複数の突起からなる。
上記(2)の異形断面をもつ圧延異形形鋼において、突起が1本の場合は、その突起は、他部材、たとえばグレーチングのベアリングバー、を下から支える係合突起として使用される。
上記(3)の異形断面をもつ圧延異形形鋼において、突起が2本以上の場合は、そのうちの1本の突起は、他部材、たとえばグレーチングのベアリングバー、を下から支える係合突起として使用され、残りの少なくとも1本の突起は、グレーチングのベアリングバーの複数の平鋼部材とのプロジェクション溶接のための突起として利用される。
【0006】
【発明の実施の形態】
図1〜図3は本発明の第1実施例の異形断面をもつ圧延異形形鋼(圧延異形山形鋼)を示し、図4は本発明の第2実施例の異形断面をもつ圧延異形形鋼(圧延異形山形鋼)を示し、図5を本発明の第3実施例の異形断面をもつ圧延異形形鋼(圧延異形山形鋼)を示す。図6は本発明実施例の異形断面をもつ圧延異形形鋼(圧延異形山形鋼)を熱間圧延している途中の状態を示す。
本発明の何れの実施例にも共通するまたは類似する部分には本発明の全実施例にわたって同じ符合を付してある。
【0007】
まず、本発明の何れの実施例にも共通するまたは類似する部分を、たとえば、図1〜図3、図6を参照して説明する。
図1〜図3に示すように、本発明の異形断面をもつ圧延異形形鋼(圧延異形山形鋼)1は、互いにほぼ直交する(完全に直交するものを含む)2つのフランジ2、3を有し、両方のフランジ2、3の外表面に突起を有する圧延異形形鋼からなる。本発明の異形断面をもつ圧延異形形鋼1には、一方のフランジのみの外表面に突起を有する山形鋼を含まない。一方のフランジ2の突起4と他方のフランジ3の突起5は、山形鋼1を熱間圧延する時に同時に、圧延ロール(ツーハイロール)7、8(図6参照)により成形される突起からなり、圧延後プレスなどによって形成された突起ではない。
【0008】
一方のフランジ2は、圧延異形形鋼1がグレーチングの枠材として用いられる時にグレーチングのベアリングバー6が溶接接合されるフランジである。この一方のフランジ2の突起4は、圧延異形形鋼1の長手方向に連続する突起(ただし、全長にわたって連続している必要はなく、ところどころ切れていてもよい)からなる。
【0009】
一方のフランジ2の突起4の本数は1または2以上である。
突起4の本数が2以上である場合、2本以上の突起4は互いに平行である。
圧延異形形鋼1がグレーチングの枠材として用いられる場合でかつ突起4の本数が1である場合、この1本の突起4は、グレーチングのベアリングバー6の端部に、ベアリングバー6の下側からまたはベアリングバー6の高さ方向途中部位で、係合してベアリングバー6を受ける受け台としての係合突起として利用される。突起4がベアリングバー6の下側からベアリングバー6の端部に係合する場合は、突起4はフランジ2の端部(山形鋼1の山の頂点と反対側の端部)かその近傍に形成される。また、突起4がベアリングバー6の高さ方向途中部位でベアリングバー6の端部に係合する場合は、ベアリングバー6の端部の高さ方向途中部位に切欠6aが形成され、突起4が切欠6aに突入して、ベアリングバー6を受ける。ベアリングバー6は枠材としての圧延異形形鋼1のフランジ2の外表面に溶接接合されるが、この溶接が外れても突起4があるのでベアリングバー6が落下することがない。また、ベアリングバー6を圧延異形形鋼1のフランジ2の外表面に溶接接合する際の、ベアリングバー6位置決め用としても、突起4を利用することができる。
この場合、突起4をプロジェクション溶接用突起としてだけ使いベアリングバーの支え材として使用しなくてもよい。
【0010】
圧延異形形鋼1がグレーチングの枠材として用いられる場合でかつフランジ2の突起4の本数が2以上である場合、そのうちの1本の突起4aは、フランジ2の端部(山形鋼1の山の頂点と反対側の端部)かその近傍に形成され、残りの突起4bはフランジ2の幅方向の中間部分に形成される。
【0011】
そして、フランジ2の端部かその近傍に形成された突起4aは、グレーチングのベアリングバー6に下側から係合して受ける受け台としての係合突起として利用される。ベアリングバー6は枠材としての圧延異形形鋼1のフランジ2の外表面に溶接接合されるが、この溶接が外れても突起4aがあるのでベアリングバー6が落下することがない。また、ベアリングバー6を圧延異形形鋼1のフランジ2の外表面に溶接接合する際の、ベアリングバー6位置決め用としても、下端突起4aを利用することができる。
また、フランジ2の幅方向の中間部分に形成される突起4bは、ベアリングバー6をフランジ2にプロジェクション溶接接合する場合にベアリングバー6が圧接され通電されるプロジェクションとして利用される。プロジェクション溶接用突起4bを形成しておくことにより、単位面積あたりの圧接力が大になって良好なプロジェクション溶接接合が得られる。また、プロジェクション溶接用突起4bを連続突起としておくことにより、複数のグレーチングバー6を同時にプロジェクション溶接用突起4bに圧接して溶接することができる。
【0012】
他方のフランジ3の突起5は、圧延異形形鋼1がグレーチング枠材として使用される場合、フランジ3の外表面が上面に向けられて使用された時に、すべり止めとして働く。他方のフランジ3の突起5は、非連続の複数の突起からなるか、または少なくとも1本の連続する突起からなる。連続突起か非連続突起か、または突起5の平面視形状を如何なる形状とするか、は任意でよく、たとえば、製作の容易さおよびすべり止めとしての効果の大小等を考慮にいれて決定されればよい。
【0013】
本発明の異形断面をもつ圧延異形形鋼1は、図6に示すように、少なくとも1段の(通常は複数段の)、一対の回転ロール(ツーハイロール)7、8を用いて、熱間圧延にて、成形される。図示例では、上ロール7と下ロール8との間を通して材料を圧下させ、フランジ2、3の厚さを所望の厚さに順次成形していくとともに、フランジ外表面に突起4、5を形成していく。上ロール7の回転が可能なように、突起4、5の突起下側側面4c、5aの、突起より上側のフランジ2、3部分の外表面に対する鋭角側角度αが、突起より上側のフランジ2、3部分の外表面と鉛直面とのなす角度α´以下となるようにしてある。また、グレーチングバー6が突起4上に密着して乗るように、突起4の突起上側側面4dのフランジ2の外表面に対する角度βは90°としてある。突起5が非連続の複数の突起からなる場合、ツーハイロールで形鋼の長手方向に連続する連続突起を熱間圧延成形し、ついで分断ロールに通して連続突起を長手方向に分断して非連続の複数の突起とすることにより、効率的に突起を形成できる。
【0014】
つぎに、本発明の各実施例に特有な部分を説明する。
本発明の第1実施例では、図1〜図3に示すように、フランジ2には、下端部近傍にグレーチングバー6の受け台としての突起4aが1本形成されており、幅方向中間部にプロジェクション溶接用の突起4bが少なくとも1本(図示例では1本)形成されている。
フランジ3には、非連続の複数の突起5が形成されている。
【0015】
圧延異形形鋼1をグレーチング枠材とし、グレーチングバー6を下端の突起4aの上に載せて位置決めし、複数のグレーチングバー6をプロジェクション溶接用突起4bに圧接して通電し、複数のグレーチングバー6をグレーチング枠材に同時に溶接する。フランジ3の上表面とグレーチングバー6の上面は面一とされる。
【0016】
本発明の第2実施例では、図4に示すように、フランジ2には、下端部近傍にグレーチングバー6の受け台としての突起4aが1本形成されている。
フランジ3には、非連続の複数の突起5が形成されている。
圧延異形形鋼1をグレーチング枠材とし、グレーチングバー6を下端の突起4aの上に載せて位置決めする。フランジ3の上表面とグレーチングバー6の上面は面一とされる。複数のグレーチングバー6はグレーチングバー6の端部の上部近傍にてグレーチング枠材に隅肉溶接9などにより溶接される。
【0017】
本発明の第3実施例では、図5に示すように、フランジ2には、フランジ2の幅を上下方向に向けた場合にフランジ2の高さ方向中間部にグレーチングバー6の受け台としての突起4aが1本形成されている。グレーチングバー6の端部には凹状切欠6aがグレーチングバー6のプレス切断時に同時にプレス打ち抜きなどにより形成されている。そして、突起4aを切欠6aに突入させ係合させて突起4aによりグレーチングバー6を受ける。突起4aはグレーチングバー6の位置決めとしても利用できる。
フランジ3には、非連続の複数の突起5が形成されている。
圧延異形形鋼1をグレーチング枠材とし、グレーチングバー6を突起4aに係合させて位置決めする。フランジ3の上表面とグレーチングバー6の上面は面一とされる。複数のグレーチングバー6はグレーチングバー6の端部の上部近傍にてグレーチング枠材に隅肉溶接9などにより溶接される。
【0018】
【発明の効果】
請求項1の異形断面をもつ圧延異形形鋼によれば、両方のフランジの外表面に突起を有するので、一方のフランジの突起を他部材、たとえばグレーチングのベアリングバー、を下から支える係合突起として用い、他方のフランジの突起をすべり止めとして利用することができる。したがって、他部材との溶接接合が外れても、なお突起による他部材との係合が維持され、他部材が落下することを防止することができる。
また、一方のフランジの突起を、圧延異形形鋼の長手方向に連続する突起としたので、突起を他部材、たとえばグレーチングのベアリングバー、を支える係合突起として使用したり、グレーチングのベアリングバーの複数の平鋼部材とのプロジェクション溶接のための突起として利用するのに、適する。プロジェクション溶接のための突起として利用する場合は、複数のベアリングバーを同時に突起に押し付けて溶接することができ、溶接が容易かつ効率的になる。
また、他方のフランジの突起を、すべり止めとして利用できる。
請求項2の異形断面をもつ圧延異形形鋼によれば、突起を1本設けたので、その突起は、他部材、たとえばグレーチングのベアリングバー、を支える係合突起として使用できる。
請求項3の異形断面をもつ圧延異形形鋼によれば、突起を2本以上設けたので、そのうちの1本の突起を、他部材、たとえばグレーチングのベアリングバー、を支える係合突起として使用でき、残りの少なくとも1本の突起を、グレーチングのベアリングバーの複数の平鋼部材とのプロジェクション溶接のための突起として利用できる。プロジェクション溶接のための突起として利用する場合は、複数のベアリングバーを同時に突起に押し付けて溶接することができ、溶接が容易かつ効率的になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1実施例の異形断面をもつ圧延異形形鋼を利用したグレーチングの一部分の斜視図である。
【図2】 図1の圧延異形形鋼の長手方向に見た正面図である。
【図3】 図1の圧延異形形鋼のすべり止め突起が形成された方のフランジの一部分の平面図である。
【図4】 本発明の第2実施例の異形断面をもつ圧延異形形鋼を利用したグレーチングの一部分の斜視図である。
【図5】 本発明の第3実施例の異形断面をもつ圧延異形形鋼を利用したグレーチングの一部分の斜視図である。
【図6】 本発明の実施例の異形断面をもつ圧延異形形鋼の圧延途中の一対のロールと異形形鋼の正面図である。
【符号の説明】
1 異形断面をもつ圧延異形形鋼
2 一方のフランジ
3 他方のフランジ
4、4a、4b 突起
5 突起
6 ベアリングバー
7、8 ロール
Claims (3)
- グレーチングの枠材を構成する、互いにほぼ直交する2つのフランジを有する異形断面をもつ圧延異形山形鋼からなり、両方のフランジの外表面に突起を有し、
一方のフランジの突起は、異形形鋼の長手方向に連続する1本以上の突起からなり、他方のフランジの突起は、非連続で複数の突起からなり、
前記一方のフランジの1本以上の突起は、最も下の突起が、ベアリングバーを、下から支えるベアリングバー支持用の突起であり、
前記他方のフランジの突起はすべり止め用の突起である、
異形断面をもつ圧延異形形鋼。 - 前記一方のフランジの突起の本数が1であり、該1本の突起はベアリングバーを下から支持する請求項1記載の異形断面をもつ圧延異形形鋼。
- 前記一方のフランジの突起の本数が2以上であり、この2本以上の突起は互いに平行であり、最も下の突起はベアリングバーを下から支持する請求項1記載の異形断面をもつ圧延異形形鋼。
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