JP3975865B2 - 誘導加熱調理器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、トッププレートに載置した鍋の温度を精度良く検出することができる誘導加熱調理器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
鍋などの被加熱物を加熱する誘導加熱調理器において、被加熱物である鍋の温度を検出する方式として、鍋を載置するトッププレートを介してサーミスタで温度を検出する方式が一般的である。また、鍋底から放射される赤外線を検出して鍋底の温度を検知する方法も知られている。この従来例を図4で説明する。
【0003】
本体1上面にトッププレート2を設け、鍋3を載置する。この鍋3を電磁誘導加熱をする加熱コイル4と、この加熱コイル4に高周波電流供給手段5と、温度を検出する赤外線センサ6と、この出力から鍋底温度を算出する温度算出手段9と、温度算出手段9の出力に応じて加熱コイル4に供給する電力を制御する制御手段10を設けている。トッププレート2は、強度を高めるため特殊組成のガラスを再加熱してガラス中に微細結晶を析出させた結晶化ガラス(例えば、「リシア系セラミックス」Li2O−AL2O3−SiO2)が用いられているおり、2.6μm以下の波長の赤外線は80%以上透過し、3〜4μmの波長の赤外線は30%程度透過し、4μmよりも長い波長の赤外線はほとんど通さない。(図3はその透過特性例のグラフ図を、一般的な赤外線窓材の透過特性とともに示したものである。)従って、トッププレート2を透過して鍋3から放射される赤外線の4μm以下の波長成分で、赤外線センサ6が鍋底の温度を測定することとなる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
図4に示した従来構成の誘導加熱調理器は、トッププレート2を透過して鍋3から放射される赤外線を検出している。一般的に調理時の鍋3の温度は、約30℃〜230℃であり、この温度のピーク波長はステファン・ボルツマンの法則により6μm〜10μmの波長である。
【0005】
なお、赤外線放射エネルギの最大ピーク波長λmaxとの間には、一定の相関関係があって、T=200℃のときλmax=約6.1μm、T=150℃のときλmax=約6.8μm、T=140℃のときλmax=約7.0μm、T=100℃のときλmax=約7.8μm、T=20℃のときλmax=約9.9μmとなる。(図3下部に100℃と200℃の時の放射エネルギと波長の関係をグラフ図で示す。)トッププレート2が透過できる波長は上述の通り4μm以下の波長の赤外線であり、この4μm以下の波長成分だけでは、赤外線センサ受光面のバンドパスフィルタによる減衰等を考慮すると、鍋底からの全赤外線放射エネルギの20%程度にしかならず、残りの大部分はトッププレート2で吸収されてしまう。このため赤外線センサ6に届く赤外線エネルギは微弱であり、赤外線センサ6で電気信号に変換してもS/N比が悪く、調理時の温度を測定する用途に用いるには、精度が良くない。
【0006】
また、赤外線センサ6は一般的に周囲温度の影響を受けやすく、加熱コイル4やトッププレート2を介して伝わる鍋3からの伝導熱や、スイッチング素子(図示せず。加熱コイル4に高周波電流を供給する。)の発熱などにより周囲温度が大きく変化するような誘導加熱調理器本体内で、精度の良い放射温度をすることは難しかった。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、鍋を加熱する加熱コイルと、前記鍋底面からの赤外線を透過させる窓材と、前記窓材を埋め込む貫通穴を有し、かつ、前記加熱コイルの上部で鍋を載置するトッププレートと、前記トッププレート下面に配し鍋底面から放射される赤外線を集光し、且つ、前記トッププレート下面との空間に向けて反射させると共に外乱光を遮断する反射鏡と、この反射鏡の底部に配し集光された赤外線を検知する赤外線センサと、前記赤外線センサの受光面に装着した所定の帯域の波長の光を透過させるバンドパスフィルタと、前記赤外線センサの出力を増幅するアンプと、前記アンプの出力から鍋底面温度を算出する温度算出手段と、前記温度算出手段の出力に応じて加熱コイルに供給する電力を制御する制御手段とを備え、前記貫通穴の内面に、反射膜をコーティングした誘導加熱調理器としているものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
請求項1に記載の発明は、鍋を加熱する加熱コイルと、前記鍋底面からの赤外線を透過させる窓材と、前記窓材を埋め込む貫通穴を有し、かつ、前記加熱コイルの上部で鍋を載置するトッププレートと、前記トッププレート下面に配し鍋底面から放射される赤外線を集光し、且つ、前記トッププレート下面との空間に向けて反射させると共に外乱光を遮断する反射鏡と、この反射鏡の底部に配し集光された赤外線を検知する赤外線センサと、前記赤外線センサの受光面に装着した所定の帯域の波長の光を透過させるバンドパスフィルタと、前記赤外線センサの出力を増幅するアンプと、前記アンプの出力から鍋底面温度を算出する温度算出手段と、前記温度算出手段の出力に応じて加熱コイルに供給する電力を制御する制御手段とを備え、前記貫通穴の内面に、反射膜をコーティングしたことによって、トッププレート横面から外乱光と、横方向へ拡散する赤外線を防ぎ、赤外線センサ受光面の赤外線強度を増加させた誘導加熱調理器としているものである。
【0009】
請求項2に記載の発明は、窓材下面に回折格子を配したことによって赤外線センサ受光面の赤外線強度を増加させた誘導加熱調理器としているものである。
【0010】
請求項3に記載の発明は、バンドパスフィルタは、偏向板の機能も併せて持ち、通過光の散乱を抑制したことによって高精度に鍋の温度測定ができる誘導加熱調理器としているものである。
【0011】
請求項4に記載の発明は、窓材は、下面に赤外線の透過率を向上させる反射防止膜をコーティングしたことによって、高精度に鍋の温度測定ができる誘導加熱調理器としているものである。
【0012】
請求項5に記載の発明は、トッププレート中央下の支持台に反射鏡と赤外線センサとアンプを配したことによって、より安定に良い精度良くに鍋の温度測定ができる誘導加熱調理器としているものである。
【0013】
請求項6に記載の発明は、反射鏡と赤外線センサ及びアンプを冷却する冷却手段を備え、赤外線センサの冷却温度を制御する温度制御手段を設けたことによって、より安定に良い精度良くに鍋の温度測定ができる誘導加熱調理器としているものである。
【0014】
【実施例】
以下、本発明の実施例について、図面を参照しながら説明する。
【0015】
(実施例1)
図1は本実施例における調理器の構成を示すブロック図である。本実施例の誘導加熱調理器は、調理物を加熱調理する鍋3と、鍋3を加熱する加熱コイル4と、加熱コイル4に高周波電流を供給する高周波供給手段5と、トッププレート下面断熱材6を介して配し鍋3の底から放射される赤外線を集光し、且つ、前記トッププレート2下面との空間に向けて反射する反射鏡7と、赤外線を検知する赤外線センサ8と、赤外線センサ8の受光面に装着した所定の帯域の波長の光を透過させるバンドパスフィルタ9と、赤外線センサ8に一体化されその出力を増幅するアンプ10と、アンプ10の出力から鍋底面温度を算出する温度算出手段11と、この温度算出手段11の出力に応じて加熱コイル4に供給する高周波電流供給量を制御する制御手段12と、トッププレート2中央に鍋底面からの赤外線を透過させる窓材13を備えたものである。
【0016】
上記実施例1において、図示していない電源スイッチを投入し、操作スイッチで所定の温度を設定すると、制御手段12が高周波電流供給手段5を制御して加熱コイル4に所定の電力を供給する。加熱コイル4に高周波電流が供給されると、加熱コイル4から誘導磁界が発せられ、トッププレート2上の鍋3が誘導加熱される。この誘導加熱によって鍋3の温度が上昇し、鍋3内の調理物が調理される。
【0017】
一般に物体の放射する赤外線エネルギはその物体の絶対温度の4乗に比例するというステファン・ボルツマンの法則があり、温度が高くなればなるほど加速度的に大きなエネルギを赤外線として放射する。(図3にその関係を、100℃と200℃の時についてグラフ図で示す。)
式1 W=(2π5κ4/15c2h3)×T4=σT4
W:単位面積当たりの放射量(W/cm2・μm)
κ:ボルツマン定数=1.3807×10−23(W・s/K)
c:光速度=2.9979×1010(cm/s)
h:プランク定数=6.6261×10−34(W・s2)
σ:ステファン・ボルツマン定数=5.6706×10−12(W/cm2・K4)
T:放射物体の絶対温度(K)
赤外線センサ8は受光した赤外線のエネルギに比例した電圧を出力するもので、焦電素子や熱電対を一点に集めたサーモパイルなどを用いている。このため、鍋3の温度が上昇すると鍋底からの赤外線放射強度も強くなり、赤外線センサ8が受光する赤外線エネルギ量が増え、赤外線センサ8の出力信号電圧が高くなる。
【0018】
上述したように、トッププレート2は4μm以下の波長の赤外線しか透過せず、赤外線センサ8に届く赤外線エネルギは微弱であるが、モジュールとして赤外線センサ8と一体化されたアンプ10で500〜5000倍程度に増幅した後に出力することで、S/N比を確保し測定を可能としている。
【0019】
また、トッププレート2自身から放射される赤外線をカットするため所定の帯域の波長の光を透過させる(例えば、0.8〜6.5μm)のバンドパスフィルタ9を赤外線センサの受光面に装着している。さらに、トッププレート2下面に配し鍋底面から放射される赤外線を集光し、且つ、トッププレート2下面との空間に向けて反射させると共に、外乱光も遮断する反射鏡7を設けたことで、貫通穴から見える鍋底から放射される全ての赤外線を捕らえるので同空間は黒体と類似する特性を備え、鍋の材質や鍋底表面状態からくる放射率の違いによる赤外線検知出力の低下を低減できる。
【0020】
図2に鍋種を変えた時の放射率と検知出力との関係をグラフで示す。図2から読み取れるように、放射率0.3程度までは精度良い測定が行える検知出力を得ることが出来る。温度算出手段11はアンプ10の出力信号電圧から上記のステファン・ボルツマンの式を用いて鍋3の温度を算出し、制御手段12に送る。制御手段12は、この温度信号に応じて加熱コイル4に供給する電力を制御して、設定された鍋温度に制御する。
【0021】
特に本実施例1では鍋底の温度を熱伝導を用いて温度センサに導いてくるのではなく、非接触で鍋底の温度を直接検出することができるため、応答性が極めて速く、調理時に必要な微妙な火加減を実現できるものである。
【0022】
なお、赤外線センサ8及びアンプ9は素子温度を安定させるため、アルミか非磁性金属筒に収納し、アースに接続する。非磁性金属筒の場合はシールド効果を持たせるため、内面にシールド剤を塗布する。
【0023】
また、窓材13を埋め込むために空けた貫通穴による、トッププレート2の強度低下は、貫通穴周辺を下から支持する支持台(図示せず)で補強改善してある。
【0024】
また、反射鏡7の表面は赤外線を効率よく反射するように鏡面加工もしくは金メッキ加工を施してある。断熱材6も熱を遮断すると同時に赤外線を良く反射する素材を表面に施している。
【0025】
なお、赤外線センサ8とアンプ9を一体化しない方法も考えられるが、一体化して赤外線センサ8の検知出力を直ちに増幅した方が、S/N比及び耐ノイズ性の向上が図れる。
【0026】
(実施例2)
本実施例は、調理器としての基本構成は実施例1と同様であり、基本構成についての説明は省略する。この実施例2は、反射鏡を積分球の部分形状としたものであり、この点を中心に説明する。図5は本実施例の構成を示すブロック図である。本実施例では反射鏡の形状を部分積分球14とすることで、鍋底から放射される赤外線を効率よく赤外線センサ8へ導き、より簡易黒体と見なせる構成としているもので、精度の良い温度測定が行える誘導加熱調理器としている。
【0027】
(実施例3)
本実施例は、調理器としての基本構成は実施例1と同様であり、基本構成についての説明は省略する。この実施例2は、反射鏡をエクスポネンシャルホーン形状とし、その焦点に赤外線センサを配したものであり、この点を中心に説明する。図6は本実施例の構成を示すブロック図である。
【0028】
本実施例では反射鏡15の形状をエクスポネンシャルホーン形状とすることで、鍋底から放射される赤外線を効率よく焦点に集光する。この焦点に赤外線センサ8を配することでより効率よく赤外線を検知する構成としているもので、より精度の高い温度測定が行える誘導加熱調理器としている。
【0029】
(実施例4)
本実施例は、調理器としての基本構成は実施例1と同様であり、基本構成についての説明は省略する。この実施例4は、反射鏡をエクスポネンシャルホーン形状とするに加えて、その焦点にリフレクタを配したものであり、この点を中心に説明する。
【0030】
図7は本実施例における調理器の構成を示すブロック図である。本実施例では反射鏡15の形状をエクスポネンシャルホーン形状として、鍋底から放射される赤外線を効率よく焦点に集光する。この焦点にリフレクタ16を配し、集光された赤外線を反射鏡15下部に配した赤外線センサ8へ向け反射することでより効率よく赤外線を検知する構成としているもので、より精度の高い温度測定が行える誘導加熱調理器としている。
【0031】
(実施例5)
本実施例は、調理器としての基本構成は実施例1と同様であり、基本構成についての説明は省略する。この実施例5は、放物面形状とし、その焦点にリフレクタを配したものであり、この点を中心に説明する。
【0032】
図8は本実施例における調理器の構成を示すブロック図である。本実施例では反射鏡17の形状を放物面形状形状として、鍋底から放射される赤外線を効率よく焦点に集光する。この焦点にリフレクタ16を配し、集光された赤外線を反射鏡17下部に配した赤外線センサ8へ向け反射することでより効率よく赤外線を検知する構成としているもので、より精度の高い温度測定が行える誘導加熱調理器としている。
【0033】
(実施例6)
本実施例は、調理器としての基本構成は実施例1と同様であり、基本構成についての説明は省略する。この実施例6は、窓材下面に回析格子を配したものであり、この点を中心に説明する。
【0034】
図9は本実施例における回析格子の構成を示す要部断面図である。本実施例では窓材13の下面に回析格子18を配し、鍋底から放射される赤外線を効率よく赤外線センサ8の受光面の中央に集光し、より強い赤外線を検知する構成としているもので、精度の高い温度測定が行える誘導加熱調理器としている。
【0035】
(実施例7)
本実施例は、調理器としての基本構成は実施例1と同様であり、基本構成についての説明は省略する。この実施例7は、窓材下面にマイクロレンズを配したものであり、この点を中心に説明する。
【0036】
図10は本実施例におけるマイクロレンズの構成を示す要部断面図である。本実施例では窓材13の下面にマイクロレンズを配し、鍋底から放射される赤外線を効率よく赤外線センサ8の受光面の全体に集光し、より強い赤外線を検知する構成としているもので、精度の高い温度測定が行える誘導加熱調理器としている。
【0037】
(実施例8)
本実施例は、調理器としての基本構成は実施例1と同様であり、基本構成についての説明は省略する。この実施例8は、窓材を埋め込むトッププレートの貫通穴の内面に、反射膜をコーティングしたものであり、この点を中心に説明する。
【0038】
図11は本実施例における反射膜の構成を示す要部断面図である。本実施例ではトッププレート2の貫通穴の内面に、反射膜20をコーティングし、鍋底から放射される赤外線がトッププレート2の側面に散乱するのを防止して、効率よく赤外線センサ8の受光面へ集光する構成としているもので、精度の高い温度測定が行える誘導加熱調理器としている。
【0039】
(実施例9)
本実施例は、調理器としての基本構成は実施例1と同様であり、基本構成についての説明は省略する。この実施例9は、バンドパスフィルタは、偏向板の機能も併せて持たせたものであり、この点を中心に説明する。
【0040】
バンドパスフィルタ9に、偏向板の機能も併せて持たせることで、通過光の散乱を抑制し、鍋底から放射される赤外線が効率よく赤外線センサ8の受光面へ集光する構成としているもので、精度の高い温度測定が行える誘導加熱調理器としている。
【0041】
(実施例10)
本実施例は、調理器としての基本構成は実施例1と同様であり、基本構成についての説明は省略する。この実施例10は、窓材13の下面に反射防止膜をコーティングしたものであり、この点を中心に説明する。反射防止膜を窓材13の下面のみにコーティングすることで、透過率を5%程度アップさせることが出来るため、赤外線センサ8への受光量を増加させ、より精度の高い温度測定が可能となる。
【0042】
なお、反射防止膜をコーティングするのは、窓材13の下面のみなので、傷などに対する耐久性を考慮する必要がなく、安価な反射防止膜を使用できる。
また、反射防止膜の原材料は、窓材13の光の屈折率をn12とすれば、√(n12)の材質とし、多層に分けて徐々に屈折率を同式に従って変化させて塗布すれば、窓材13から大気中へ光が透過する時の反射光が大幅に低減すると共に、反射鏡7から反射してくる赤外線をブロックし、貫通穴から透過してくる全ての赤外線を補足出来る理想的な光学特性が得られる。
【0043】
(実施例11)
本実施例は、調理器としての基本構成は実施例1と同様であり、基本構成についての説明は省略する。この実施例11は、トッププレート中央下の支持台に反射鏡と赤外線センサとアンプを内蔵したものであり、この点を中心に説明する。図12は本実施例の構成を示す要部断面図である。反射鏡7と赤外線センサ8とアンプ9を、トッププレート2の強度補強のため貫通穴周辺を下から支持する支持台21の中に配している。6はトッププレート2と支持台19の間に挟んだ断熱材で、衝撃を吸収するクッションの役割も持たせている。
【0044】
また、支持台21の材質はアルミ等を用いることで、シールドを兼ねている。以上の構成により、赤外線センサ8内の素子温度が安定すると共に、シールドにより電磁的なノイズも低減し、精度の良い温度測定が可能となる。
【0045】
(実施例12)
本実施例は、調理器としての基本構成は実施例1と同様であり、基本構成についての説明は省略する。この実施例12は、赤外線センサを冷却する冷却手段を備え、赤外線センサの冷却温度を制御する温度制御手段を設けたものであり、この点を中心に説明する。
【0046】
図13は本実施例における調理器の構成を示すブロック図である。反射鏡7と赤外線センサ8とアンプ10を冷却する冷却手段22と、赤外線センサ8の冷却温度を制御する温度制御手段23を設けたものである。赤外線センサ8に使用する素子がサーモパイルや焦電素子の場合は常温(20〜30℃)に、HgCdTeやInGaAs素子の場合は−5℃以下にペルチェ素子などの電子冷却して、反射鏡7と赤外線センサ8及びアンプ10の温度を一定温度に精度良く保つことで、極めて安定した検知出力が得られ、より高精度に鍋の温度測定ができる誘導加熱調理器を提供できる。
【0047】
【発明の効果】
以上のように本発明の発明は、鍋を加熱する加熱コイルと、前記鍋底面からの赤外線を透過させる窓材と、前記窓材を埋め込む貫通穴を有すし、かつ、前記加熱コイルの上部で鍋を載置するトッププレートと、前記トッププレート下面に配し鍋底面から放射される赤外線を集光し、且つ、前記トッププレート下面との空間に向けて反射させると共に外乱光を遮断する反射鏡と、この反射鏡の底部に配し集光された赤外線を検知する赤外線センサと、前記赤外線センサの受光面に装着した所定の帯域の波長の光を透過させるバンドパスフィルタと、前記赤外線センサの出力を増幅するアンプと、前記アンプの出力から鍋底面温度を算出する温度算出手段と、前記温度算出手段の出力に応じて加熱コイルに供給する電力を制御する制御手段とを備え、前記貫通穴の内面に、反射膜をコーティングしたことによって、トッププレート横面から外乱光と、横方向へ拡散する赤外線を防ぎ、赤外線センサ受光面の赤外線強度を増加させた誘導加熱調理器が実現できるものである。
【0048】
また、窓材下面に回折格子を配することでより赤外線を効率よく集光することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例1における本実施例における調理器の構成を示すブロック図
【図2】 鍋種を変えた時の放射率と検知出力との関係を示すグラフ
【図3】 本発明の実施例2におけるトッププレート及び窓材の赤外線透過特性グラフ
【図4】 従来における誘導加熱調理器を示すブロック図
【図5】 本発明の実施例2における本実施例における調理器の構成を示すブロック図
【図6】 本発明の実施例3における本実施例における調理器の構成を示すブロック図
【図7】 本発明の実施例4における本実施例における調理器の構成を示すブロック図
【図8】 本発明の実施例5における本実施例における調理器の構成を示すブロック図
【図9】 本発明の実施例6の回析格子の構成を示す要部断面図
【図10】 本発明の実施例7のマイクロレンズの構成を示す要部断面図
【図11】 本発明の実施例11の反射膜の構成を示す要部断面図
【図12】 本発明の実施例12の支持台の構成を示す要部断面図
【図13】 本発明の実施例13における本実施例における調理器の構成を示すブロック図
【符号の説明】
1 調理器本体
2 トッププレート
3 鍋
4 加熱コイル
5 高周波電流供給手段
6 断熱材
7 反射鏡
8 赤外線センサ
9 バンドパスフィルタ
10 アンプ
11 温度算出手段
12 制御手段
13 窓材
14 積分球
15 エクスポネンシャルホーン
16 リフレクタ
17 放物面形状の反射鏡
18 回析格子
19 マイクロレンズ
20 反射膜
21 支持台
22 冷却手段
23 温度制御手段
Claims (6)
- 鍋を加熱する加熱コイルと、前記鍋底面からの赤外線を透過させる窓材と、前記窓材を埋め込む貫通穴を有し、かつ、前記加熱コイルの上部で鍋を載置するトッププレートと、前記トッププレート下面に配し鍋底面から放射される赤外線を集光し、且つ、前記トッププレート下面との空間に向けて反射させると共に外乱光を遮断する反射鏡と、この反射鏡の底部に配し集光された赤外線を検知する赤外線センサと、前記赤外線センサの受光面に装着した所定の帯域の波長の光を透過させるバンドパスフィルタと、前記赤外線センサの出力を増幅するアンプと、前記アンプの出力から鍋底面温度を算出する温度算出手段と、前記温度算出手段の出力に応じて加熱コイルに供給する電力を制御する制御手段とを備え、前記貫通穴の内面に、反射膜をコーティングした誘導加熱調理器。
- 窓材下面に回折格子を配した請求項1に記載の誘導加熱調理器。
- バンドパスフィルタは、偏向板の機能を備え通過光の散乱を抑制した請求項1〜2のいずれか1項に記載の誘導加熱調理器。
- 窓材は、下面に赤外線の透過率を向上させる反射防止膜をコーティングした請求項1〜3のいずれか1項に記載の誘導加熱調理器。
- トッププレート中央下の支持台に反射鏡と赤外線センサとアンプを配した請求項1から4のいずれか1項に記載の誘導加熱調理器。
- 反射鏡と赤外線センサ及びアンプを冷却する冷却手段を備え、赤外線センサの冷却温度を制御する温度制御手段を設けた請求項1〜5のいずれか1項に記載の誘導加熱調理器。
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