JP3975789B2 - 内燃機関の排気浄化装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は内燃機関の排気浄化装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
内燃機関の排気通路に配置されるパティキュレートフィルタ(以下、単にフィルタと称す)として、ハニカム構造をなす隔壁によって形成されている複数の排気流通路を具備するフィルタが公知である。このようなフィルタの一つとして、上流開口がテーパ壁によって閉鎖された排気流通路と、下流開口がテーパ壁によって閉鎖された排気流通路とが交互に配置されているフィルタが、特表平8−508199号公報に開示されている。また、同様のタイプのフィルタとして、各排気流通路を閉鎖しているテーパ壁の先端に小さな孔(以下、小孔と称す)を備えたフィルタが検討されている。
【0003】
このようにテーパ壁によって排気流通路の開口が閉鎖され且つテーパ壁の先端に小孔が形成されているフィルタでは、フィルタの両端にテーパ壁があるので、排気ガスがフィルタにスムーズに流入し、且つ、フィルタからスムーズに流出する。さらに、排気ガスはテーパ壁の小孔を介してフィルタに流入することができ、且つ、テーパ壁の小孔を介してフィルタから流出することができる。したがって、上述したタイプのフィルタに起因する排気ガスの圧力損失(以下、フィルタの圧損と称す)は非常に小さい。
ところで、フィルタが微粒子を捕集し続けていると、フィルタ内に捕集されている微粒子の量が徐々に多くなり、フィルタの圧損が高くなって内燃機関の運転に悪影響を及ぼしてしまう。そこで、従来では、フィルタの圧損が内燃機関に悪影響を及ぼすほどの値よりも大きくなったときに、フィルタの温度を高温にまで上昇させる処理(以下、昇温処理と称す)を実行し、これによって、フィルタ内に捕集されている微粒子を燃焼除去し、フィルタの圧損を低下させるようにしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上述したタイプのフィルタでは、その圧損がそもそも小さいことから、従来のように、フィルタの圧損が内燃機関に悪影響を及ぼすほどの値に達したときには、既に、フィルタ内に多量の微粒子が捕集されている可能性がある。ここで、一般的には、フィルタ内に捕集されている微粒子の量が多くなるほど、これら微粒子を燃焼除去することが困難になる。したがって、上述したタイプのフィルタにおいて、フィルタの圧損が内燃機関に悪影響を及ぼすほどの値に達したときに昇温処理を実行したとしても、フィルタ内に捕集されている微粒子を燃焼除去しづらくなっており、したがって、フィルタの圧損を十分に低下させることができなくなっている可能性がある。
【0005】
そこで、本発明の目的は、パティキュレートフィルタの圧損が上昇したときに、その上昇した圧損を確実に低下させることにある。
また、上述したタイプのフィルタにおいては、小孔が微粒子によって閉塞されたときにその圧損が急激に上昇する。そして、昇温処理はこのように圧損を急激に上昇させている微粒子を燃焼除去することを目的として実行されるので、上述したフィルタにおいて、微粒子によって閉塞されつつあるフィルタの部位を閉塞進行部位として特定し、この部位に応じて適切な昇温処理を実行することは、フィルタの圧損を上昇させている微粒子を確実に燃焼除去するという観点から重要である。
【0006】
一般的には、適切な昇温処理を実行するときに如何なる昇温処理が適切であるかを決定する場合以外に、何らかの処理を実行するときに如何なる処理が適切であるかを決定する場合にも、フィルタの閉塞進行部位を特定することは重要である。
【0007】
そこで、本発明の別の目的は、微粒子によって閉塞されつつあるパティキュレートフィルタの部位を特定することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、第1の発明では、機関排気通路内に排気ガス中の微粒子を捕集するためのパティキュレートフィルタを具備し、該パティキュレートフィルタが通路を画成する隔壁を有し、該隔壁が予め定められた平均細孔径の細孔を内包する多孔質の材料から形成されており、上記通路の端部開口が上記平均細孔径よりも大きいが通路の流路断面積よりも狭い流路断面積を有する小孔となるように隔壁の端部分が寄せ集められて該端部分同士が部分的に接続されており、さらに、上記パティキュレートフィルタの圧損に関連する第一のパラメータの値を検知するための検知手段を具備し、該検知手段によって検知された第一のパラメータ値と予め定められた判定値とを比較することによってパティキュレートフィルタを昇温させるための昇温処理を実行すべきであると判定されたときには該昇温処理を実行するようにした排気浄化装置において、パティキュレートフィルタの圧損値が大きくなると内燃機関が同一条件において出力可能な出力が低下し、該出力低下度合いとして許容する範囲を任意に設定した場合において、上記判定値が出力低下度合いを該許容範囲内において最大とするパティキュレートフィルタの圧損値よりも低い圧損値に対応する第一のパラメータ値となっており、異なる複数の昇温処理が実施可能であり、パティキュレートフィルタの圧損に関連する第二のパラメータの値に基づいて微粒子によって閉塞されつつあるパティキュレートフィルタの部位を閉塞進行部位として特定し、該特定された閉塞進行部位に応じて実行される昇温処理が選択され、上記第二のパラメータとしてパティキュレートフィルタの圧損上昇率が採用され、該圧損上昇率が閉塞進行部位特定用の基準上昇率よりも小さいときには閉塞進行部位が隔壁の細孔であると特定され、圧損上昇率が基準上昇率よりも大きいときには閉塞進行部位が小孔であると特定される。
【0009】
第2の発明では、第1の発明において、圧損上昇率が上記基準上昇率よりも高い閉塞進行部位特定用の第二の基準上昇率よりも小さいときには閉塞進行部位がパティキュレートフィルタの下流側の小孔であると特定され、この場合には、上記昇温処理として、パティキュレートフィルタ内において発熱反応を生じさせることによる昇温処理が実行され、一方、圧損上昇率が第二の基準上昇率よりも大きいときには閉塞進行部位がパティキュレートフィルタの上流側の小孔であると特定され、この場合には、上記昇温処理として、排気ガスの温度を上昇させることによる昇温処理が実行される。
【0010】
上記課題を解決するために、第3の発明では、機関排気通路内に排気ガス中の微粒子を捕集するためのパティキュレートフィルタを具備し、該パティキュレートフィルタが通路を画成する隔壁を有し、該隔壁が予め定められた平均細孔径の細孔を内包する多孔質の材料から形成されており、上記通路の端部開口が上記平均細孔径よりも大きいが通路の流路断面積よりも狭い流路断面積を有する小孔となるように隔壁の端部分が寄せ集められて該端部分同士が部分的に接続されており、さらに、上記パティキュレートフィルタの圧損に関連する第一のパラメータの値を検知するための検知手段を具備し、該検知手段によって検知された第一のパラメータ値と予め定められた判定値とを比較することによってパティキュレートフィルタを昇温させるための昇温処理を実行すべきであると判定されたときには該昇温処理を実行するようにした排気浄化装置において、パティキュレートフィルタの圧損値が大きくなると内燃機関が同一条件において出力可能な出力が低下し、該出力低下度合いとして許容する範囲を任意に設定した場合において、上記判定値が出力低下度合いを該許容範囲内において最大とするパティキュレートフィルタの圧損値よりも低い圧損値に対応する第一のパラメータ値となっており、異なる複数の昇温処理が実施可能であり、パティキュレートフィルタの圧損に関連する第二のパラメータの値に基づいて微粒子によって閉塞されつつあるパティキュレートフィルタの部位を閉塞進行部位として特定し、該特定された閉塞進行部位に応じて実行される昇温処理が選択され、上記第二のパラメータとして圧損値自体が採用され、パティキュレートフィルタの圧損値が閉塞進行部位特定用の基準圧損値よりも小さいときには閉塞進行部位がパティキュレートフィルタの下流側の小孔であると特定され、この場合には、上記昇温処理として、パティキュレートフィルタ内において発熱反応を生じさせることによる昇温処理が実行され、一方、パティキュレートフィルタの圧損値が上記基準圧損値よりも大きいときにはパティキュレートフィルタの上流側の小孔であると特定され、この場合には、上記昇温処理として、排気ガスの温度を上昇させることによる昇温処理が実行される。
【0011】
上記課題を解決するために、第4の発明では、機関排気通路内に排気ガス中の微粒子を捕集するためのパティキュレートフィルタを具備し、該パティキュレートフィルタが通路を画成する隔壁を有し、該隔壁が予め定められた平均細孔径の細孔を内包する多孔質の材料から形成されており、上記通路の端部開口が上記平均細孔径よりも大きいが通路の流路断面積よりも狭い流路断面積を有する小孔となるように隔壁の端部分が寄せ集められて該端部分同士が部分的に接続されており、さらに、上記パティキュレートフィルタの圧損に関連する第一のパラメータの値を検知するための検知手段を具備し、該検知手段によって検知された第一のパラメータ値と予め定められた判定値とを比較することによってパティキュレートフィルタを昇温させるための昇温処理を実行すべきであると判定されたときには該昇温処理を実行するようにした排気浄化装置において、パティキュレートフィルタの圧損値が大きくなると内燃機関が同一条件において出力可能な出力が低下し、該出力低下度合いとして許容する範囲を任意に設定した場合において、上記判定値が出力低下度合いを該許容範囲内において最大とするパティキュレートフィルタの圧損値よりも低い圧損値に対応する第一のパラメータ値となっており、パティキュレートフィルタよりも上流の機関排気通路に切替弁が配置され、切替弁が第一の位置に保持されるとパティキュレートフィルタの一方の端部から排気ガスがパティキュレートフィルタに流入し、切替弁が第二の位置に保持されるとパティキュレートフィルタの他方の端部から排気ガスがパティキュレートフィルタに流入し、パティキュレートフィルタの圧損に関する第二のパラメータの値に基づいて微粒子によって閉塞されつつあるパティキュレートフィルタの部位が閉塞進行部位として特定され、該特定された閉塞進行部位に応じた位置に切替弁の位置が位置決めれた上で昇温処理が実行され、上記第二のパラメータとして圧損上昇率が採用され、現在の切替弁の位置において圧損上昇率が閉塞進行部位特定用の基準上昇率よりも小さいときには閉塞進行部位がパティキュレートフィルタの排気ガス流出側の小孔であると特定され、圧損上昇率が基準上昇率よりも大きいときには閉塞進行部位がパティキュレートフィルタの排気ガス流入側の小孔であると特定され、内燃機関の運転状態が排気ガスの温度を上昇させるのに適している場合に小孔の閉塞が進行している側のパティキュレートフィルタの端部が上流になるように切替弁の位置が選択された上で、上記昇温処理として、排気ガスの温度を上昇させることによる昇温処理が実行される。
【0012】
上記課題を解決するために、第5の発明では、機関排気通路内に排気ガス中の微粒子を捕集するためのパティキュレートフィルタを具備し、該パティキュレートフィルタが通路を画成する隔壁を有し、該隔壁が予め定められた平均細孔径の細孔を内包する多孔質の材料から形成されており、上記通路の端部開口が上記平均細孔径よりも大きいが通路の流路断面積よりも狭い流路断面積を有する小孔となるように隔壁の端部分が寄せ集められて該端部分同士が部分的に接続されており、さらに、上記パティキュレートフィルタの圧損に関連する第一のパラメータの値を検知するための検知手段を具備し、該検知手段によって検知された第一のパラメータ値と予め定められた判定値とを比較することによってパティキュレートフィルタを昇温させるための昇温処理を実行すべきであると判定されたときには該昇温処理を実行するようにした排気浄化装置において、パティキュレートフィルタの圧損値が大きくなると内燃機関が同一条件において出力可能な出力が低下し、該出力低下度合いとして許容する範囲を任意に設定した場合において、上記判定値が出力低下度合いを該許容範囲内において最大とするパティキュレートフィルタの圧損値よりも低い圧損値に対応する第一のパラメータ値となっており、パティキュレートフィルタよりも上流の機関排気通路に切替弁が配置され、切替弁が第一の位置に保持されるとパティキュレートフィルタの一方の端部から排気ガスがパティキュレートフィルタに流入し、切替弁が第二の位置に保持されるとパティキュレートフィルタの他方の端部から排気ガスがパティキュレートフィルタに流入し、パティキュレートフィルタの圧損に関する第二のパラメータの値に基づいて微粒子によって閉塞されつつあるパティキュレートフィルタの部位が閉塞進行部位として特定され、該特定された閉塞進行部位に応じた位置に切替弁の位置が位置決めれた上で昇温処理が実行され、上記第二のパラメータとして圧損値自体が採用され、現在の切替弁の位置において圧損値が閉塞進行部位特定用の閾値よりも小さいときには閉塞進行部位がパティキュレートフィルタの排気ガス流出側の小孔であると特定され、圧損値が上記閾値よりも大きいときにはパティキュレートフィルタの排気ガス流入側の小孔であると特定され、内燃機関の運転状態が排気ガスの温度を上昇させるのに適している場合に小孔の閉塞が進行している側のパティキュレートフィルタの端部が上流になるように切替弁の位置が選択された上で、上記昇温処理として、排気ガスの温度を上昇させることによる昇温処理が実行される。
【0013】
第6の発明では、第1〜第5のいずれか一つの発明において、上記パティキュレートフィルタが捕集した微粒子を連続的に酸化除去することができ、これにより、通常の状態では、該パティキュレートフィルタの圧損値はほぼ一定の値で推移し、上記パラメータとしてパティキュレートフィルタの圧損自体が採用され、上記検知手段によって検知されたパティキュレートフィルタの圧損値が上記判定値を超えた場合に、昇温処理を実行すべきであると判定される。
【0014】
上記課題を解決するために、第7の発明では、機関排気通路内に排気ガス中の微粒子を捕集するためのパティキュレートフィルタを具備し、該パティキュレートフィルタが通路を画成する隔壁を有し、該隔壁が予め定められた平均細孔径の細孔を内包する多孔質の材料から形成されており、上記通路の端部開口が上記平均細孔径よりも大きいが通路の流路断面積よりも狭い流路断面積を有する小孔となるように隔壁の端部分が寄せ集められて該端部分同士が部分的に接続されており、さらに、上記パティキュレートフィルタの圧損に関するパラメータの値を検出するための検知手段を具備し、該検知手段によって検知されるパラメータ値に基づいて微粒子によって閉塞されつつあるパティキュレートフィルタの部位を閉塞進行部位として特定し、上記パラメータとしてパティキュレートフィルタの圧損上昇率が採用され、該圧損上昇率が閉塞進行部位特定用の基準上昇率よりも小さいときには閉塞進行部位が隔壁の細孔であると特定され、圧損上昇率が基準上昇率よりも大きいときには閉塞進行部位が小孔であると特定される。
【0015】
第8の発明では、第7の発明において、圧損上昇率が上記基準上昇率よりも高い閉塞進行部位特定用の第二の基準上昇率よりも小さいときには閉塞進行部位がパティキュレートフィルタの下流側の小孔であると特定され、圧損上昇率が第二の基準上昇率よりも大きいときには閉塞進行部位がパティキュレートフィルタの上流側の小孔であると特定される。
【0016】
上記課題を解決するために、第9の発明では、機関排気通路内に排気ガス中の微粒子を捕集するためのパティキュレートフィルタを具備し、該パティキュレートフィルタが通路を画成する隔壁を有し、該隔壁が予め定められた平均細孔径の細孔を内包する多孔質の材料から形成されており、上記通路の端部開口が上記平均細孔径よりも大きいが通路の流路断面積よりも狭い流路断面積を有する小孔となるように隔壁の端部分が寄せ集められて該端部分同士が部分的に接続されており、さらに、上記パティキュレートフィルタの圧損に関するパラメータの値を検出するための検知手段を具備し、該検知手段によって検知されるパラメータ値に基づいて微粒子によって閉塞されつつあるパティキュレートフィルタの部位を閉塞進行部位として特定し、上記パラメータとして圧損値自体が採用され、パティキュレートフィルタの圧損値が閉塞進行部位特定用の基準圧損値よりも小さいときには閉塞進行部位がパティキュレートフィルタの下流側の小孔であると特定され、パティキュレートフィルタの圧損値が上記基準圧損値よりも大きいときにはパティキュレートフィルタの上流側の小孔であると特定される。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の排気浄化装置を説明する。図1は本発明の排気浄化装置を備えた圧縮着火式内燃機関を示す。なお本発明は火花点火式内燃機関にも適用可能である。
【0019】
図1を参照すると、1は機関本体、2はシリンダブロック、3はシリンダヘッド、4はピストン、5は燃焼室、6は電気制御式燃料噴射弁、7は吸気弁、8は吸気ポート、9は排気弁、10は排気ポートを夫々示す。吸気ポート8は対応する吸気枝管11を介してサージタンク12に連結され、サージタンク12は吸気ダクト13を介して排気ターボチャージャ14のコンプレッサ15に連結される。
【0020】
吸気ダクト13内にはステップモータ16により駆動されるスロットル弁17が配置され、さらに吸気ダクト13周りには吸気ダクト13内を流れる吸入空気を冷却するための冷却装置18が配置される。図1に示した内燃機関では冷却装置18内に機関冷却水が導かれ、この機関冷却水により吸入空気が冷却される。一方、排気ポート10は排気マニホルド19および排気管20を介して排気ターボチャージャ14の排気タービン21に連結され、排気タービン21の出口は排気管20aを介してパティキュレートフィルタ(以下、単にフィルタと称す)22を内蔵したケーシング23に連結される。フィルタ22の上流側には、排気ガスの圧力を検出するための上流側圧力センサ39が取り付けられる。一方、フィルタ22の下流側には、排気ガスの圧力を検出するための下流側圧力センサ40が取り付けられる。
【0021】
排気マニホルド19とサージタンク12とは排気ガス再循環(以下、EGR)通路24を介して互いに連結され、EGR通路24内には電気制御式EGR制御弁25が配置される。またEGR通路24周りにはEGR通路24内を流れるEGRガスを冷却するための冷却装置26が配置される。図1に示した内燃機関では冷却装置26内に機関冷却水が導かれ、この機関冷却水によりEGRガスが冷却される。
【0022】
一方、各燃料噴射弁6は燃料供給管6aを介して燃料リザーバ、いわゆるコモンレール27に連結される。このコモンレール27内へは電気制御式の吐出量可変な燃料ポンプ28から燃料が供給され、コモンレール27内に供給された燃料は各燃料供給管6aを介して燃料噴射弁6に供給される。コモンレール27にはコモンレール27内の燃料圧を検出するための燃料圧センサ29が取り付けられ、燃料圧センサ29の出力信号に基づいてコモンレール27内の燃料圧が目標燃料圧となるように燃料ポンプ28の吐出量が制御される。
【0023】
電子制御ユニット30はデジタルコンピュータからなり、双方向性バス31により互いに接続されたROM(リードオンリメモリ)32、RAM(ランダムアクセスメモリ)33、CPU(マイクロプロセッサ)34、入力ポート35および出力ポート36を具備する。燃料圧センサ29の出力信号は対応するAD変換器37を介して入力ポート35に入力される。また、圧力センサ39、40の出力信号は対応するAD変換器37を介して入力ポート35に入力される。電子制御ユニット30は、これら圧力センサ39、40によって検出される排気ガスの圧力の間の差から、フィルタ22の圧損を算出する。
【0024】
アクセルペダル41にはアクセルペダル41の踏込量に比例した出力電圧を発生する負荷センサ42が接続され、負荷センサ42の出力電圧は対応するAD変換器37を介して入力ポート35に入力される。さらに、入力ポート35には、クランクシャフトが例えば30°回転する毎に出力パルスを発生するクランク角センサ43が接続される。一方、出力ポート36は、対応する駆動回路38を介して、燃料噴射弁6、スロットル弁駆動用ステップモータ16、EGR制御弁25、および、燃料ポンプ28に接続される。
【0025】
次に、図2〜図18を参照して本発明のフィルタ22について説明する。図2(A)はフィルタ22の端面図であり、図2(B)はフィルタ22の縦断面図である。図2(A)および図2(B)に示したように、フィルタ22はハニカム構造をなしており、互いに平行をなして延びる複数個の排気流通路50、51を具備する。
【0026】
これら排気流通路はテーパ壁52、53によって部分的に閉鎖されている。すなわち、排気ガス流入通路50は、当該通路50を画成する隔壁の下流端隔壁部分を寄せ集めてその一部分同士が接続されることにより形成されるテーパ壁(以下、下流側テーパ壁と称す)52によってその流路断面積がその他の領域の排気流通路の流路断面積よりも小さくされている。したがって、排気ガス流入通路50はその下流端にて下流側テーパ壁52によりその流路断面積よりも小さい開口面積を有する小孔55を有する。
【0027】
一方、排気ガス流出通路51は、当該通路51を画成する隔壁の上流端隔壁部分を寄せ集めてその一部同志が接続されることにより形成されるテーパ壁(以下、上流側テーパ壁と称す)53によってその流路断面積がその他の領域の排気流通路の流路断面積よりも小さくされている。したがって、排気ガス流出通路51はその上流端にて上流側テーパ壁53によりその流路断面積よりも小さい開口面積を有する小孔56を有する。
【0028】
これら排気ガス流入通路50および排気ガス流出通路51は薄肉の隔壁54を介して交互に配置される。言い換えると、排気ガス流入通路50および排気ガス流出通路51は、各排気ガス流入通路50は四つの排気ガス流出通路51により包囲され、各排気ガス流出通路51は4つの排気ガス流入通路50により包囲される。すなわち、隣接する2つの排気流通路のうち一方の排気流通路50はその下流端にて下流側テーパ壁52によりその流路断面積が小さくされ、他方の排気流通路51はその上流端にて上流側テーパ壁53によりその流路断面積が小さくされている。
【0029】
なお、小孔55、56の大きさが変わると、フィルタ22の微粒子捕集率と、フィルタ22に起因する排気ガスの圧力損失(以下、単にフィルタの圧損と称す)とが変わる。例えば、小孔55、56の大きさが大きければ、フィルタ22の微粒子捕集率は小さく、フィルタ22の圧損が小さい。したがって、小孔55、56の大きさは、フィルタ22の目標とする微粒子捕集率と、フィルタ22の目標とする圧損値とに基づいて、決定される。
【0030】
フィルタ22は、予め定められた平均径の細孔を内包する例えばコージェライトのような多孔質材料から形成されており、したがって排気ガス流入通路50内に流入した排気ガスは、図2(B)において矢印で示したように、周囲の隔壁54の細孔を通って隣接する排気ガス流出通路51内に流入する。もちろん、テーパ壁52、53も隔壁54と同じ材料から形成されているので、排気ガスは図3(A)に示したように、上流側テーパ壁53の細孔を通って排気ガス流出通路51内に流入することができ、また、図3(B)に示したように、下流側テーパ壁52の細孔を通って流出することができる。また、排気ガスは上流側テーパ壁53の先端に形成された小孔56を介しても排気ガス流出通路51内に流入することができ、下流側テーパ壁52の先端の小孔55を介しても排気ガス流入通路50から流出することができる。
【0031】
ところで、本発明のフィルタ22の圧損は、従来の目封じ型のフィルタの圧損よりも格段に小さい。すなわち、従来の目封じ型のフィルタが図4に示されているが、この目封じ型のフィルタでは、排気ガス流出通路の入口が栓72により閉塞されており、排気ガス流入通路の出口が栓73により閉塞されている。このように栓72、73によって排気ガス流出通路の入口および排気ガス流入通路の出口が閉塞されていると、71、74で示したように、排気ガスの流れが排気ガス流入通路の入口近傍や排気ガス流出通路の出口近傍にて乱流となる。このように排気ガスの流れが乱流となると、排気ガスは排気ガス流入通路に流入しづらく、排気ガス流出通路から流出しづらい。
【0032】
一方、本発明のフィルタ22では、排気ガス流出通路の入口が上流側テーパ壁53によって窄められており、排気ガス流入通路の出口が下流側テーパ壁52によって窄められている。このようにテーパ壁52、53によって排気ガス流出通路の入口および排気ガス流入通路の出口が窄められていると、図3に示したように、排気ガスの流れは、排気ガス流入通路の入口近傍や排気ガス流出通路の出口近傍にて乱流となることがほとんどない。このため、排気ガスは排気ガス流入通路にスムーズに流入し、排気ガス流出通路からスムーズに流出する。
【0033】
さらに、本発明のフィルタ22では、排気ガスが上流側テーパ壁53の先端に形成された小孔56を介して排気ガス流出通路51内に流入することができ、さらに排気ガスが下流側テーパ壁52の先端の小孔55を介して流出することができる。
このように、目封じ型のフィルタに比べて、全体として、本発明のフィルタ22には排気ガスが流入しやすく、且つ、本発明のフィルタ22から流出しやすいので、その圧損は比較的低い。
【0034】
ところで、フィルタ22内には排気ガス中の微粒子が捕集される。したがって、フィルタ22の圧損は、フィルタ22に排気ガスが流入し続けている限り、上昇する。ところが、詳細は後述するが、本発明のフィルタ22はそこに捕集した微粒子を比較的短時間のうちに酸化除去することができる酸化触媒を担持する。ここで、このフィルタ22の酸化触媒が単位時間当たりに酸化除去することができる微粒子の量(以下、酸化除去可能微粒子量と称す)には限りがあるが、フィルタ22に流入する微粒子の量(以下、流入微粒子量と称す)がフィルタ22が最大限に酸化除去することができる微粒子の量(以下、酸化除去可能微粒子量と称す)よりも少ない限り、フィルタ22内に一時的に堆積している微粒子の量は常にほぼ一定の量となっている。すなわち、フィルタ22内に堆積している微粒子は、酸化触媒によって酸化除去されつつある微粒子のみであることになる。したがって、図5に示されているように、フィルタ22の圧損値はいったんは上昇するものの、やがては、ほぼ一定の値(以下、安定値と称す)Psで推移するようになる。
【0035】
ところが、流入微粒子量がフィルタ22の酸化除去可能微粒子量よりも多くなると、フィルタ22内には酸化除去されずに堆積してしまう微粒子の量が多くなる。この場合、微粒子は積層状に堆積し、微粒子によって隔壁54の細孔や小孔55、56が閉塞され始め、この微粒子による隔壁54の細孔や小孔55、56の閉塞が進行する。この場合、図5にて破線lで示したように、フィルタ22の圧損は安定値Psよりも高くなる。
【0036】
さらに、フィルタ22内にいったん積層状に堆積してしまった微粒子は、その後、流入微粒子量がフィルタ22の酸化除去可能微粒子量よりも少なくなったとしても、酸化されづらい。このため、たとえ、流入微粒子量がフィルタ22の酸化除去可能微粒子量よりも少なくなったとしても、フィルタ22の圧損は安定値Psよりも高いままとなってしまう。
【0037】
ところが、微粒子がフィルタ22内に積層状に堆積し始めたときに、フィルタ22の温度が高温となれば、フィルタ22内の微粒子は燃焼除去される。そこで、第一実施形態では、フィルタ22の圧損が安定値Psよりも高い所定の値Pdを判定値とし、フィルタ22の圧損が判定値Pdを超えたときに、フィルタ22内に積層状に堆積している微粒子が燃焼によって除去せしめられる温度(以下、燃焼除去温度と称す)にまでフィルタ22の温度を上昇させるための処理(以下、昇温処理と称す)を実行する。これによれば、フィルタ22内に積層状に堆積している微粒子が燃焼除去される。そして、昇温処理は、少なくとも、フィルタ22の圧損が所定値Pdに達するまで実行され、好ましくは、フィルタ22の圧損が安定値Psよりも低くなるまで実行される。
【0038】
このように、本発明では、フィルタの圧損を検出するための圧損検出手段によって検出されたフィルタの圧損に関するパラメータ(第一実施形態では、フィルタの圧損自体)に基づいて、フィルタの圧損を下げる必要があるか否かを判断し、フィルタの圧損を下げる必要があると判断されたときに、昇温処理が実行される。
【0039】
なお、所定値Pdは、流入微粒子量が酸化除去可能微粒子量よりも少ない間においては達することのない値のうち最も小さい値に設定される。
【0040】
ところで、上述したように、フィルタの圧損値が或る判定値よりも高くなったときに、フィルタ内に捕集されている微粒子を燃焼除去するための昇温処理を実行するようにした排気浄化装置は、従来から公知である。すなわち、フィルタの昇温処理の実行の要否を或る判定値に基づいて判定している点では、本発明の排気浄化装置と従来の排気浄化装置とは同様である。
【0041】
しかしながら、本発明は、昇温処理の実行の要否を判定するために採用される判定値の設定の仕方にその特徴がある。次に、本発明における判定値の設定について説明する。
【0042】
従来では、判定値として、内燃機関の運転に対する悪影響が許容可能である範囲のフィルタの圧損値のうち、例えば、最も高い値(以下、許容限界値と称す)が採用される。そこで、従来と同様に本発明においても、判定値として、この許容限界値を採用することは容易に考えられる。
【0043】
しかしながら、上述したように、本発明のフィルタ22の圧損は元来非常に低い。したがって、本発明のフィルタ22の圧損値が許容限界値に達したときには、フィルタに堆積している微粒子の量は、従来のフィルタにおける量よりも、本発明のフィルタにおける量のほうが相当に多くなっている。
【0044】
一般的に、フィルタに堆積している微粒子の量が多いほど、これら堆積している微粒子は燃焼除去されづらくなってしまう。したがって、本発明のフィルタ22において、その昇温処理の実行の要否を判定するための判定値として許容限界値を採用してしまうと、昇温処理が実行されるときには、フィルタに比較的多量の微粒子が堆積している。このため、フィルタに堆積している微粒子を完全に燃焼除去するためには、昇温処理を長時間実行しなければならないか、場合によって、昇温処理によって微粒子を完全に燃焼除去することができない。
【0045】
そこで、本発明では、フィルタの昇温処理の実行の要否を判定するための判定値として、必ず、許容限界値よりも低い値を採用する。正確には、フィルタの圧損が内燃機関の運転に与える影響度合いに基づいて判定値を設定するのではなく、フィルタの昇温処理を実行したときにフィルタに堆積している微粒子が所望の時間内に完全に燃焼除去されるような量だけ、フィルタに微粒子が堆積しているときの圧損値を判定値として採用する。これによれば、フィルタの昇温処理を実行したときに、堆積微粒子を確実に燃焼除去することができる。
【0046】
なお、昇温処理としては、以下の二つの制御がある。一つ目の昇温処理は、フィルタ22に流入する排気ガスの温度を上昇させる処理(以下、排気昇温処理と称す)である。この排気昇温処理では、具体的には、内燃機関の燃焼室に燃料を噴射するタイミングを遅らせたり、内燃機関の燃焼室に機関駆動用の燃料を噴射した後に少量の燃料を噴射して燃焼させたり、フィルタ22上流に電気ヒータやグロープラグを設け、これら電気ヒータまたはグロープラグを作動させたりすることによって、排気ガスの温度が上昇せしめられ、結果的に、フィルタ22が昇温される。また、燃焼室内に燃料を点火するための点火栓が設けられている場合には、この点火栓による燃料の点火タイミングを遅らせることによっても、排気ガスの温度を上昇させることができる。
【0047】
二つ目の昇温処理は、フィルタ22内で化学反応を起こさせて発熱させる処理(以下、発熱昇温処理と称す)である。この発熱昇温処理では、具体的には、内燃機関の燃焼室に機関駆動用の燃料を噴射した後に少量の燃料を噴射し、その燃料を燃焼させずにそのまま燃焼室から排出させたり、フィルタ22上流において排気ガスに燃料を添加するための装置を設け、この装置から排気ガスに燃料を添加したりして、燃料がフィルタ22に供給され、これら燃料がフィルタ22内にて燃焼せしめられることによって、フィルタ22が昇温される。
【0048】
なお、発熱昇温処理では、発熱反応がフィルタ22内において局所的に起こり、フィルタ22の局所的な溶損が生じたり、発熱反応を良好に進行させるためにはフィルタ22に流入する排気ガスの量を制御したりしなければならないので、排気昇温処理を用いることが好ましい。
【0049】
また、上流側圧力センサ39および下流側圧力センサ40の代わりに、差圧センサを用いて、フィルタ22の圧損を検出するようにしてもよい。差圧センサを用いる場合には、一方の端子が上流側圧力センサ39の取付け位置に取り付けられ、他方の端子が下流側圧力センサ40の取付け位置に取り付けられる。また、フィルタ22の圧損の増減によって、内燃機関の燃焼室に吸入される空気の量も増減することを利用して、フィルタ22の圧損を検出するようにしてもよい。
【0050】
ところで、第一実施形態では、圧力センサ39、40によって検出される排気ガスの圧力に基づいて算出されたフィルタ22の圧損値そのものに基づいて、昇温処理を実行するか否かが決定される。ところが、圧損は単位時間当たりに内燃機関から排出される排気ガスの量(以下、排気ガス量と称す)によっても変化する。すなわち、たとえフィルタ22内の堆積微粒子量が同じであっても、排気ガス量が多くなれば、図6に示されているように、圧損値も大きくなる。すなわち、フィルタ22の圧損値は排気ガス量の関数でもある。
【0051】
したがって、フィルタ22の圧損値に基づいて微粒子によるフィルタ22の閉塞進行の程度を正確に判断するためには、排気ガス量を考慮したフィルタ22の圧損値が用いられるべきである。そこで、フィルタ22上流に、単位時間当たりにフィルタ22に達する排気ガスの量を検出するための排気流量センサ(図示せず)を設け、この排気流量センサによって検出される排気ガス量に基づいて、検出されたフィルタ22の圧損値に対する補正係数が算出される。こうした補正係数は、実験的に予め求められ、ROM32にマップの形で記憶される。
【0052】
図7は第一実施形態の昇温処理制御を実行するためのフローチャートを示す。図7のフローチャートでは、始めに、ステップ100において、フィルタ22の圧損値Pが安定値P近傍にある(P≒P)か否かが判別される。ステップ100において、P≒Pではないと判別されたときには、ステップ100が繰り返される。一方、ステップ100において、P≒Pであると判別されたときには、ルーチンはステップ101に進んで、フィルタ22の圧損値Pが安定値Pよりも高い所定の値Pdを超えた(P>P)か否かが判別される。
このように、ステップ100以降のステップは、フィルタ22の圧損がいったん安定値P近傍で安定してから実行される。
【0053】
ステップ101において、P≦Pであると判別されたときには、ステップ101が繰り返される。一方、ステップ101において、P>Pであると判別されたときには、ルーチンはステップ102に進んで、フィルタ22の昇温処理が行われ、ルーチンが終了する。
【0054】
ところで、排気昇温処理は、既に高温になっている排気ガスの熱によってフィルタ22の温度を上昇させる制御であるので、これによれば、特に、フィルタ22の上流側の領域が昇温されやすい。一方、発熱昇温処理は、フィルタ22に供給された燃料がフィルタ22において燃焼するときの燃焼熱によって、フィルタ22の温度を上昇させる制御である。こうした燃料の燃焼はフィルタ22の下流側の領域において行われやすい。このため、発熱昇温処理によれば、特に、フィルタ22の下流側の領域が昇温されやすい。
【0055】
こうした事情に鑑みると、フィルタ22の圧損を上昇させる原因となっている微粒子を確実に燃焼除去するためには、フィルタ22の閉塞進行部位に応じて、実行させるべき昇温処理を変えることが好ましい。すなわち、例えば、フィルタ22の閉塞進行部位が上流側の小孔56であるときには、フィルタ22の上流側領域の温度を上昇させやすい排気昇温処理が実行され、一方、フィルタ22の閉塞進行部位が下流側の小孔55であるときには、フィルタ22の下流側領域の温度を上昇させやすい発熱昇温処理が実行されることが好ましい。
【0056】
ここで、様々な研究から、フィルタ22の閉塞進行部位によって、フィルタ22の圧損の上昇の態様が異なることが判明した。すなわち、フィルタ22の閉塞進行部位が隔壁54の細孔である場合と、上流側の小孔56である場合と、下流側の小孔55である場合とによって、フィルタ22の圧損の上昇の態様が異なることが判明した。
【0057】
したがって、フィルタ22の圧損の上昇の態様を監視することによって、フィルタ22のいずれの部位が微粒子によって閉塞されつつあるかを判定し、このように微粒子によって閉塞されつつある部位に応じて、この部位を閉塞しつつある微粒子を燃焼除去するのに適切な昇温処理を実行すれば、フィルタ22の圧損を確実に低下させることができる。
【0058】
次に、フィルタ22の閉塞進行部位に応じたフィルタ22の圧損の上昇の態様の違いについて、図8を参照して説明する。図8にて実線kで示されているように、フィルタ22のいずれの部位においても微粒子による閉塞が進行していない場合には、フィルタ22の圧損は安定値Psで推移する。
【0059】
ところが、隔壁54の細孔が微粒子によって閉塞され始めると、フィルタ22の圧損は、図8において実線mで示されているように、安定値Pから比較的小さな上昇率Rで上昇し続ける。一方、小孔55、56が微粒子によって閉塞され始めると、フィルタ22の圧損は、図8の実線nおよび実線oで示されているように、安定値Pから比較的大きな上昇率R、Rで上昇する。
【0060】
このように閉塞進行部位によって圧損上昇率が異なる理由としては以下の理由が考えられる。フィルタ22に流入した排気ガスは隔壁54の細孔および小孔55、56を通過する。ここで小孔55、56は排気ガスの流れに対して垂直に開口しているが、隔壁54は排気ガスの流れに対して平行に開口している。このため、排気ガスは、小孔55、56には比較的流入しやすいが、隔壁54の細孔には流入しづらい。
【0061】
さらに、排気ガスが小孔55、56を通過するときに受ける排気抵抗は比較的小さいが、隔壁54の細孔を通過するときに受ける排気抵抗は比較的大きい。このため、排気ガスは、小孔55、56を比較的通過しやすいが、隔壁54の細孔を通過しづらい。こうしたことから、単位面積当たりに小孔55、56を通過する排気ガスの量は、単位面積当たりに隔壁54を通過する排気ガスの量よりも多くなる。
【0062】
ここで、小孔55、56が微粒子によって閉塞され始めると、もともと、通過する排気ガスの量が多い部位が閉塞されることとなるので、単位時間当たりにフィルタ22を通過することができる排気ガスの量が、全体的に、急激に少なくなってしまう。このため、小孔55、56が微粒子によって閉塞されつつある場合には、フィルタ22の圧損が急激に上昇する。
【0063】
一方、隔壁54が微粒子によって閉塞され始めると、もともと、通過する排気ガスの量が少ない部位が閉塞されることとなるので、単位時間当たりにフィルタ22を通過することができる排気ガスの量は、全体的に、比較的緩やかに少なくなる。このため、隔壁54の細孔が微粒子によって閉塞されつつある場合には、フィルタ22の圧損は比較的緩やかに上昇する。
【0064】
このため、微粒子による隔壁54の細孔の閉塞が進行する場合よりも、微粒子のよる小孔55、56の閉塞が進行する場合の方が、圧損上昇率が大きくなる。したがって、安定値Psで推移していたフィルタ22の圧損値が上昇し始めたときの圧損上昇率に基づいて、閉塞進行部位が隔壁の細孔であるのか、或いは、小孔55、56であるのかを判定することができる。
【0065】
そこで、第二実施形態によれば、フィルタ22の圧損が安定値Psから上昇し始めたときの圧損上昇率が比較的小さいときには、閉塞進行部位は隔壁の細孔であると特定される。一方、フィルタ22の圧損が安定値Psから上昇し始めたときの圧損上昇率が比較的大きいときには、閉塞進行部位は小孔55、56であると特定される。
【0066】
そして、第二実施形態では、閉塞進行部位が隔壁の細孔であると特定されたときには、排気昇温処理が実行される。なお、排気昇温処理を実行する代わりに、発熱昇温処理を実行するようにしてもよいが、上述したように、発熱昇温処理によってフィルタ22を昇温する場合に比べて、排気昇温処理によってフィルタ22を昇温する場合のほうが、よりフィルタ22全体を昇温することができるので、隔壁の細孔を閉塞しつつある微粒子を確実に除去するという観点からは、排気昇温処理を実行するほうが好ましい。
【0067】
さらに、上流側の小孔56に到来する排気ガスは、フィルタ22に到来した直後の排気ガスである。しかしながら、下流側の小孔55に到来する排気ガスは、排気ガス流入通路50に流入した排気ガスのうち、隔壁54の細孔に流入しなかった排気ガスである。すなわち、下流側の小孔55に到来する排気ガスは、排気ガス流入通路50に流入した排気ガスのうちの一部の排気ガスである。
【0068】
このため、上流側の小孔56の流路断面積と下流側の小孔55の流路断面積とが等しければ、上流側の小孔56を通過する排気ガスの量は、下流側の小孔55を通過する排気ガスの量よりも多い。こうしたことから、微粒子によって下流側の小孔55が閉塞されてしまった場合よりも、微粒子によって上流側の小孔56が閉塞されてしまった場合の方が、フィルタ22の圧損がより大きくなる。
【0069】
すなわち、下流側の小孔55が微粒子によって閉塞され始めると、フィルタ22の圧損は、図8の実線nで示されているように、安定値Pから比較的大きい上昇率Rでもって上昇し、やがて、圧損上昇率は小さくなり、最終的には、フィルタ22の圧損は或る値Pn近傍で推移する。
【0070】
一方、上流側の小孔56が微粒子によって閉塞され始めると、フィルタ22の圧損は、図8の実線oで示されているように、安定値Pから比較的大きい上昇率Rでもって上昇し、やがて、圧損上昇率は小さくなり、最終的には、フィルタ22の圧損は或る値Po近傍で推移する。
【0071】
ここで、上流側の小孔56が微粒子によって閉塞されつつある場合に最終的に到達するフィルタ22の圧損値Pは、下流側の小孔55が微粒子によって閉塞されつつある場合に最終的に到達するフィルタ22の圧損値Pよりも小さい。そこで、第二実施形態では、フィルタ22の圧損が安定値Pから上昇し始めて最終的に到達したフィルタ22の圧損値が、或る値Pn近傍にあるときには、閉塞進行部位は下流側の小孔55であると特定される。一方、フィルタ22の圧損が安定値Pから上昇し始めて最終的に到達したフィルタ22の圧損値が、或る値Po近傍にあるときには、閉塞進行部位は上流側の小孔56であると特定される。
【0072】
そして、第二実施形態では、閉塞進行部位が上流側の小孔56であると特定されたときには、排気昇温処理が実行される。これによれば、主に、フィルタ22の上流領域が昇温せしめられるので、上流側の小孔56を閉塞している微粒子が確実に除去される。
【0073】
一方、閉塞進行部位が下流側の小孔55であると特定されたときには、発熱昇温処理が実行される。これによれば、主に、フィルタ22の下流領域が昇温せしめられるので、下流側の小孔55を閉塞している微粒子が確実に除去される。
【0074】
なお、閉塞進行部位が上流側の小孔56であるときの圧損上昇率が、閉塞進行部位が下流側の小孔55であるときの圧損上昇率よりも大きいことを利用して、閉塞進行部位が上流側の小孔56であるのか、或いは、下流側の小孔55であるのかを判定するようにしてもよい。すなわち、フィルタ22の圧損が安定値Pから上昇し始めたときの圧損上昇率が比較的大きいときには、閉塞進行部位は上流側の小孔56であると判定され、フィルタ22の圧損が安定値Pから上昇し始めたときの圧損上昇率が比較的小さいときには、閉塞進行部位は下流側の小孔55であると判定される。もちろん、閉塞進行部位が下流側の小孔55であるときの圧損上昇率は、閉塞進行部位が隔壁54の細孔であるときの圧損上昇率よりも大きい。
【0075】
ところで、機関負荷および機関回転数が比較的高いときには、内燃機関から排出される排気ガスの温度がそもそも高い。したがって、この場合に、排気昇温処理が実行されれば、排気ガスの温度は比較的高い温度にまで上昇されやすい。
【0076】
一方、機関負荷または機関回転数のいずれか一方が比較的低いときには、内燃機関から排出される排気ガスの温度がそもそも低い。したがって、この場合に、排気昇温処理が実行されても、排気ガスの温度は比較的高い温度にまで上昇されにくい。
【0077】
そこで、第二実施形態では、フィルタ22の閉塞進行部位が細孔であると特定されたときには、図9に示されているように、機関負荷と機関回転数とによって機関運転領域を二つの領域に分割し、機関運転状態が領域IIにあるとき、すなわち、機関負荷または機関回転数の少なくともいずれか一方が比較的低いときには、発熱昇温処理を実行する。一方、機関運転状態が領域Iにあるとき、すなわち、機関負荷および機関回転数が比較的高いときには、排気昇温処理を実行する。このように、機関運転状態によって最適な昇温制御が実行されによれば、より確実にフィルタ22の温度を微粒子を燃焼させることができる温度にまで上昇することができる。
【0078】
図10は第二実施形態の昇温処理制御を実行するためのフローチャートを示す。図10では、始めに、ステップ201において、フィルタ22の圧損値Pが安定値P近傍にある(P≒P)か否かが判別される。ステップ201において、P≒Pでないと判別されたときには、ステップ201が繰り返される。一方、ステップ201において、P≒Pであると判別されたときには、ステップ202に進んで、フィルタ22の圧損上昇率Rが判定値Rよりも大きい(R>R)か否かが判別される。
【0079】
ステップ202において、R≦Rであると判別されたときには、ステップ206に進んで、図9に示されている関係に基づいて選択された最適昇温処理が実行され、ルーチンが終了する。一方、ステップ202において、R>Rであると判別されたときには、ステップ203に進んで、フィルタ22の圧損値が安定値Pから上昇し始めてから一定の時間が経過したときのフィルタ22の圧損値Pが上述した或る値P近傍にある(P≒P)か否かが判別される。
ステップ203において、P≒Pであると判別されたときには、ステップ204に進んで、発熱昇温処理が実行され、ルーチンが終了する。一方、ステップ203において、P≒Pではないと判別されたときには、ステップ205に進んで、排気昇温処理が実行され、ルーチンが終了する。
【0080】
ところで、第二実施形態では、閉塞進行部位が隔壁54の細孔であるのか、或いは、小孔55、56であるのかを圧損上昇率に基づいて判定している。ところが、図8を参照すると判るように、閉塞進行部位が小孔55、56であるときには、フィルタ22の圧損が安定値Psから上昇し始めてから一定時間が経過すると、フィルタ22の圧損はほぼ一定の値P、Pで推移する。一方、閉塞進行部位が隔壁54の細孔であるときには、フィルタ22の圧損が安定値Psから上昇し始めてから一定時間が経過しても、フィルタ22の圧損はほぼ一定の値で推移せずに徐々に上昇する。
したがって、フィルタ22の圧損が安定値Pから上昇し始めてから一定時間が経過したときのフィルタ22の圧損値に基づいて、閉塞進行部位が隔壁54の細孔であるのか、或いは、上流側の小孔56であるのか、或いは、下流側の小孔55であるのかを判定することもできる。
【0081】
そこで、第三実施形態では、フィルタ22の圧損が安定値Psから上昇し始めてから一定時間が経過したときのフィルタ22の圧損が、或る基準となる圧損値よりも小さいときには、閉塞進行部位が隔壁54の細孔であると判定する。一方、フィルタ22の圧損が安定値Psから上昇し始めてから一定時間が経過したときのフィルタ22の圧損が上記基準となる値よりも大きいときには、閉塞進行部位が小孔55、56であると判定する。
【0082】
さらに、閉塞進行部位が上流側の小孔56であるのか、或いは、下流側の小孔55であるのかは、第二実施形態と同様の判定方法によって判定される。もちろん、閉塞進行部位が特定された後には、第二実施形態と同様にして選択される昇温処理が実行される。
【0083】
図11は第三実施形態の昇温処理制御を実行するためのフローチャートを示す。図11のフローチャートのステップ301、303〜306は、それぞれ、図10のフローチャートのステップ201、203〜206と同じであるので、詳細な説明は省略する。したがって、ステップ302についてのみ説明すると、ステップ302では、フィルタ22の圧損値が安定値Pから上昇し始めてから一定の時間が経過したときのフィルタ22の圧損値Pが基準の値Pよりも大きい(P<P)か否かが判別される。ステップ302において、P≦Pであると判別されたときには、ステップ306に進む。一方、ステップ302において、P>Pであると判別されたときには、ステップ303に進む。
【0084】
次に、図12を参照して、第四実施形態の排気浄化装置について説明する。第四実施形態の排気浄化装置では、図12に示したように、排気管20aが分岐部81において三つの排気管20b、20c、20dに分岐せしめられる。これら三つの排気管のうち第一排気管20bと第二排気管20cとはそれぞれフィルタ80の一方の端部と他方の端部とに連結される。残りの第三排気管20dはより後流側に設けられた装置に連結されるか、大気中に解放される。分岐部81には切替弁82が設けられる。切替弁82の角度はステップモータ83によって変更せしめられる。ステップモータ83は電子制御ユニット30の駆動回路38を介して出力ポート36に接続される。
【0085】
第四実施形態では、切替弁82の角度に応じて排気ガスの流れが変わる。切替弁82が図12(A)に示した位置(以下、第一の位置と称す)にあるときには、分岐部81に流入した排気ガスは、まず、第一排気管20bへと向かい、フィルタ80の第一端部80aから第二端部80bへと流れる。第二端部80bから流出した排気ガスは、第二排気管20cを通って再び分岐部へと戻り、第三排気管20dへと流出する。
【0086】
また、切替弁82が図12(B)に示した位置(以下、第二の位置と称す)にあるときには、排気ガスは、まず、第二排気管20cへと向かい、フィルタ80の第二端部80bから第一端部80aへと流れる。第一端部80aから流出した排気ガスは、第一排気管20bを通って再び分岐部へと戻り、第三排気管20dへと流出する。
このように、第四実施形態の排気浄化装置では、切替弁82の角度を変更することによってフィルタ80内において排気ガスが流れる方向を変更することができる。
【0087】
次に、第四実施形態の昇温処理について説明する。なお、以下の説明では、切替弁82が第一の位置にあるところから説明する。切替弁82が第一の位置にあるときには、上述したように、排気ガスはフィルタ80を第一端部80aから第二端部80bへと流れる。フィルタ80の圧損値が安定値Pから上昇したときには、第二実施形態または第三実施形態と同様にして、閉塞進行部位が特定される。ここで、閉塞進行部位が隔壁54の細孔であると特定されたときには、図9に示されている関係に基づいて、適切な昇温処理が選択され、実行される。
また、閉塞進行部位が上流側の小孔56であると特定されたときには、図9に示されている関係に基づいて、機関運転状態が領域Iにあれば、排気昇温処理が実行される。一方、機関運転状態が領域IIにあれば、発熱昇温処理が実行される。
【0088】
さらに、閉塞進行部位が下流側の小孔55であると特定されたときには、図9に示されている関係に基づいて、機関運転状態が領域Iにあれば、切替弁82の位置が第二の位置(図12(B))に切り替えられた上で、排気昇温処理が実行される。このように、切替弁82の位置が第二の位置に切り替えられることによって、閉塞進行部位である下流側の小孔55が、結果的には、上流側の小孔となり、この場合には、発熱昇温処理よりも好ましい排気昇温処理によって閉塞進行部位の温度を上昇させることができる。
【0089】
図13および図14は第四実施形態の昇温処理制御を実行するためのフローチャートを示す。図13では、始めに、ステップ401において、フィルタ22の圧損が安定値P近傍にある(P≒P)か否かが判別される。ステップ401において、P≒Pではないと判別されたときには、ステップ401においてP≒Pであると判別されるまで、ステップ401が繰り返される。
【0090】
一方、ステップ401において、P≒Pであると判別されたときには、ルーチンはステップ402に進んで、閉塞進行部位が隔壁54の細孔であるか否かが判別される。ステップ402において、閉塞進行部位が隔壁54の細孔であると判別されたときには、ルーチンはステップ403に進んで、機関運転状態が図9の領域Iにあるか否かが判別される。
【0091】
ステップ403において、機関運転状態が図9の領域Iにあると判別されたときには、ルーチンはステップ404に進んで、排気昇温処理が実行される。一方、機関運転状態が図9の領域Iにはないと判別されたとき、すなわち、機関運転状態が図9の領域IIにあると判別されたときには、ルーチンはステップ405に進んで、発熱昇温処理が実行される。
【0092】
ところで、ステップ402において、閉塞進行部位が隔壁54の細孔ではないと判別されたときには、ルーチンは図14のステップ406に進んで、閉塞進行部位が、現時点で上流側となっている小孔であるか否かが判別される。ステップ406において、閉塞進行部位が、現時点で上流側となっている小孔であると判別されたときには、ルーチンはステップ407に進む。一方、ステップ406において、閉塞進行部位が、現時点で上流側となっている小孔ではないと判別されたとき、すなわち、現時点で下流側となっている小孔であると判別されたときには、ルーチンはステップ411に進む。
【0093】
ステップ407では、機関運転状態が図9の領域Iにあるか否かが判別される。ステップ407において、機関運転状態が図9の領域Iにあると判別されたときには、ルーチンはステップ408に進んで、排気昇温処理が実行される。一方、ステップ407において、機関運転状態が図9の領域Iにはないと判別されたとき、すなわち、機関運転状態が図9の領域IIにあると判別されたときには、ルーチンはステップ409に進んで、切替弁82の位置が切り替えられ、次いで、ステップ410において、発熱昇温処理が実行される。
【0094】
ところで、ステップ411では、機関運転状態が図9の領域Iにあるか否かが判別される。ステップ411において、機関運転状態が図9の領域Iにあると判別されたときには、ルーチンはステップ412に進んで、切替弁82の位置が切り替えられ、次いで、ステップ412において、排気昇温処理が実行される。一方、ステップ411において、機関運転状態が図9の領域Iにないと判別されたとき、すなわち、機関運転状態が図9の領域IIにあると判別されたときには、ルーチンはステップ414に進んで、発熱昇温処理が実行される。
【0095】
なお、第四実施形態では、フィルタ22の閉塞が進行したときに、機関運転状態に応じて、排気昇温処理と発熱昇温処理とが選択的に実行される。しかしながら、上述したように、或る観点からは、発熱昇温処理よりも排気昇温処理の方が好ましい。
【0096】
そこで、第四実施形態において、閉塞進行部位が隔壁の細孔であると特定されたときに、機関運転状態が図9の領域IIにあるために排気昇温処理が実行されないときには、機関運転状態が図9の領域Iとなるまで昇温処理の実行を待機し、機関運転状態が図9の領域Iとなったときに、排気昇温処理を実行するようにしてもよい。
【0097】
また、第四実施形態において、閉塞進行部位がその時点において上流側となっている小孔であると特定されたときに、機関運転状態が図9の領域IIにあるために排気昇温処理が実行されないときには、切替弁82の位置を切り替えた上で、機関運転状態が図9の領域Iとなるまで昇温処理の実行を待機し、機関運転状態が図9の領域Iとなったときに、再び、切替弁82の位置を切り替え、排気昇温処理を実行するようにしてもよい。なお、機関運転状態が図9の領域Iとなるまで昇温処理の実行を待機する前に、切替弁82の位置を切り替え、閉塞進行部位である上流側の小孔が、下流側の小孔となる。ここで、上述したように、閉塞進行部位が上流側の小孔である場合よりも、閉塞進行部位が下流側の小孔である場合のほうが、フィルタ22全体の圧損は低い。したがって、機関運転状態が図9の領域Iとなるまで昇温処理の実行を待機している間、フィルタ22全体の圧損が低く抑えられる。
【0098】
図15および図16は、このように排気昇温処理のみを採用した第五実施形態の昇温処理制御を実行するためのフローチャートを示す。図15では、始めに、ステップ501において、フィルタ22の圧損が安定値P近傍にある(P≒P)か否かが判別される。ステップ501において、P≒Pではないと判別されたときには、ステップ501において、P≒Pであると判別されるまで、ステップ501が繰り返される。
【0099】
一方、ステップ501において、P≒Pであると判別されたときには、ルーチンはステップ502に進んで、閉塞進行部位が隔壁54の細孔であるか否かが判別される。ステップ502において、閉塞進行部位が隔壁54の細孔であると判別されたときには、ルーチンはステップ503に進んで、機関運転状態が図9の領域Iにあるか否かが判別される。
【0100】
ステップ503において、機関運転状態が図9の領域Iにあると判別されたときには、ルーチンはステップ504に進んで、排気昇温処理が実行される。一方、ステップ503において、機関運転状態が図9の領域Iにはないと判別されたとき、すなわち、機関運転状態が図9の領域IIにあると判別されたときには、ステップ503において機関運転状態が図9の領域Iにあると判別されるまで、ステップ503が繰り返される。
【0101】
ところで、ステップ502において、閉塞進行部位が隔壁54の細孔ではないと判別されたときには、ルーチンは図16のステップ505に進んで、閉塞進行部位が、現時点で上流側となっている小孔であるか否かが判別される。ステップ505において、閉塞進行部位が、現時点で上流側となっている小孔であると判別されたときには、ルーチンはステップ506に進む。一方、ステップ505において、閉塞進行部位が、現時点で上流側となっている小孔ではないと判別されたとき、すなわち、現時点で下流側となっている小孔であると判別されたときには、ルーチンはステップ509に進む。
【0102】
ステップ506では、機関運転状態が図9の領域Iにあるか否かが判別される。ステップ506において、機関運転状態が図9の領域Iにあると判別されたときには、ルーチンはステップ507に進んで、排気昇温処理が実行される。一方、ステップ506において、機関運転状態が図9の領域Iにはないと判別されたとき、すなわち、機関運転状態が図9の領域IIにあると判別されたときには、ルーチンはステップ508に進んで、切替弁82の位置が切り替えられた上で、ステップ509において、機関運転状態が図9の領域Iにあるか否かが判別される。したがって、この場合、ステップ506が実行された時点で上流側となっていた小孔が、ステップ508が実行されたことによって、下流側の小孔とされた上で、ステップ509において機関運転状態が図9の領域Iとなったと判別されるまで、ステップ509が繰り返され、したがって、昇温処理の実行が待機される。
【0103】
ステップ509において、機関運転状態が図9の領域Iになったと判別されたときには、ルーチンはステップ510に進んで、切替弁82の位置が切り替えられ、これによって、ステップ509が実行されている時点において下流側となっていた小孔が、上流側となり、次いで、ステップ511において、排気昇温処理が実行される。
【0104】
ところで、ステップ505において、閉塞進行部位がその時点で上流側となっている小孔ではないと判別されたとき、すなわち、閉塞進行部位がその時点で下流側となっている小孔であると判別されたときにも、ルーチンはステップ509に進み、ステップ509において機関運転状態が図9の領域Iであると判別されるまで、ステップ509が繰り返され、したがって、昇温処理の実行が待機される。
【0105】
最後に、フィルタ22、80に担持されている酸化触媒について説明する。酸化触媒は活性酸素生成剤と貴金属触媒とから構成される。隔壁54の表面上、並びに、隔壁54の細孔を画成する表面上に、全面に亘って例えばアルミナからなる担体層が形成される。そして、この担体層上に周囲に過剰酸素が存在すると酸素を取り込んで酸素を保持し且つ周囲の酸素濃度が低下すると保持している酸素を活性酸素の形で放出する活性酸素生成剤と貴金属触媒とが担持されている。
【0106】
貴金属触媒としては白金(Pt)が用いられ、活性酸素生成剤としてはカリウム(K)、ナトリウム(Na)、リチウム(Li)、セシウム(Cs)、ルビジウム(Rb)のようなアルカリ金属、バリウム(Ba)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)のようなアルカリ土類金属、ランタン(La)、イットリウム(Y)、セリウム(Ce)のような希土類、鉄(Fe)のような遷移金属、およびスズ(Sn)のような炭素族元素から選ばれた少なくとも一つが用いられている。
【0107】
次に、図17を参照してフィルタ22による排気ガス中の微粒子除去作用について貴金属触媒として白金(Pt)を利用し、活性酸素生成剤としてカリウム(K)を利用した場合を例にとって説明するが、他の貴金属、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類、遷移金属を用いても同様な微粒子除去作用が行われる。
【0108】
図17(A)および(B)はフィルタ22の隔壁の表面上および隔壁の細孔表面上に形成された担体層の表面の拡大図を模式的に表している。図17(A)および(B)において60は白金の粒子を示しており、61はカリウム等の活性酸素生成剤を含む担体層を示している。
【0109】
圧縮着火式の内燃機関では、通常、過剰空気のもとで燃焼が行われるので、排気ガス中には過剰な酸素が含まれている。すなわち、吸気通路および燃焼室5内に供給された空気と燃料との比を排気ガスの空燃比と称すると、フィルタ22に流入する排気ガスの空燃比はリーンである。一方、燃焼室5では、NOX、特にNOおよびNO2が発生するので、排気ガス中にはNOxが含まれている。このように、フィルタ22には過剰酸素、および、NOXを含んだ排気ガスが流入する。
【0110】
排気ガスがフィルタ22に流入すると、図17(A)に示したように排気ガス中の酸素はO2 -またはO2-の形で白金の表面に付着する。一方、排気ガス中のNOは白金の表面上でO2 -またはO2-と反応し、NO2となる(2NO+O2→2NO2)。次いで生成されたNO2および排気ガス中のNO2の一部は白金上で酸化されつつ活性酸素生成剤61内に吸収され、Kと結合しながら図17(A)に示したように硝酸イオン(NO3 -)の形で活性酸素生成剤61内に拡散し、硝酸塩(KNO3)を生成する。すなわち、排気ガス中の酸素が硝酸イオンの形で活性酸素生成剤に吸収される。
【0111】
ところで、燃焼室5内では主にカーボン(C)からなる微粒子が生成される。したがって、排気ガス中にはこれら微粒子が含まれる。排気ガス中の微粒子は、排気ガスがフィルタ22内を流れているときに、図17(B)に示したように、活性酸素生成剤61の表面上に接触し、付着する。
【0112】
活性酸素生成剤61上に微粒子62が付着すると、活性酸素生成剤61の表面とその内部との間に濃度差が生じる。活性酸素生成剤61内には硝酸イオンの形で酸素が吸蔵されており、この吸蔵されている酸素が微粒子62と活性酸素生成剤61との接触面に向けて移動しようとする。その結果、活性酸素生成剤61内に形成されている硝酸塩(KNO3)がKとOとNOとに分解され、Oが活性酸素生成剤61の表面に向かい、その一方でNOが活性酸素生成剤61から外部に放出される。このように外部に放出されたNOは上述したメカニズムで下流側の白金上において酸化され、再び活性酸素生成剤61内に硝酸イオンの形で吸収される。
【0113】
ところで微粒子62と活性酸素生成剤61との接触面に向かうOは硝酸塩(KNO3)のような化合物から分解された酸素であるので、不対電子を有し、極めて高い反応性を有する活性酸素となっている。これら活性酸素が微粒子62に接触すると微粒子62は短時間(数秒〜数十分)のうちに輝炎を発することなく酸化せしめられ、微粒子62は完全に消滅する。したがって微粒子62がフィルタ22上に堆積することはほとんどない。
【0114】
ところで従来のようにフィルタ上に積層状に堆積した微粒子が燃焼せしめられるときにはフィルタが赤熱し、火炎を伴って燃焼する。このような火炎を伴う燃焼は高温でないと行うことができないため、強制的に、フィルタ22を昇温させなければならない。
【0115】
これに対して本発明では微粒子62は上述したように輝炎を発することなく酸化せしめられ、このときフィルタ22の表面が赤熱することもない。すなわち云い換えると本発明では従来に比べてかなり低い温度でもって微粒子62が酸化除去せしめられている。したがって本発明による輝炎を発しない微粒子62の酸化による微粒子除去作用は火炎を伴う従来の燃焼による微粒子除去作用と全く異なっている。
【0116】
ところで白金および活性酸素生成剤61はフィルタ22の温度が高くなるほど活性化するのでフィルタ22上において単位時間当りに輝炎を発することなく酸化除去可能な酸化除去可能微粒子量はフィルタ22の温度が高くなるほど増大する。また、単位時間当りにフィルタ22に流入する微粒子の量を流入微粒子量と称すると酸化除去可能微粒子量がこの流入微粒子量よりも多いときには、フィルタ22に流入した全ての微粒子がフィルタ22に接触すると短時間(数秒から数十分)のうちにフィルタ22上において輝炎を発することなく酸化除去せしめられる。フィルタ22では酸化除去可能微粒子量は内燃機関が通常運転を行っているときのフィルタ22の温度において、通常想定される流入微粒子量よりも多い。このように酸化除去可能微粒子量が流入微粒子量よりも多いと、フィルタ22には微粒子がほとんど堆積しない。
【0117】
ところが、流入微粒子量が酸化除去可能微粒子量を上回っている場合、全ての微粒子を酸化するには活性酸素量が不足している。図18(A)〜(C)はこのような場合の担体層の表面の拡大図を模式的に表している。すなわち全ての微粒子を酸化するには活性酸素量が不足している場合には図18(A)に示したように微粒子62が活性酸素生成剤61上に付着すると微粒子62の一部のみが酸化され、十分に酸化されなかった微粒子部分が担体層上に残留する。次いで活性酸素量が不足している状態が継続すると次から次へと酸化されなかった微粒子部分が担体層上に残留し、その結果、図18(B)に示したように担体層の表面が残留微粒子部分63により覆われるようになる。
【0118】
担体層の表面が残留微粒子部分63により覆われると白金によるNOの酸化作用および活性酸素生成剤61による活性酸素の放出作用が行われなくなるために残留微粒子部分63は酸化されることなくそのまま残り、斯くして図18(C)に示したように残留微粒子部分63の上に別の微粒子64が次から次へと堆積する。すなわち微粒子が積層状に堆積することになる。
【0119】
このように微粒子が積層状に堆積すると微粒子64はもはや活性酸素により酸化されることがなく、したがってこの微粒子64上にさらに別の微粒子が次から次へと堆積する。すなわち流入微粒子量が酸化除去可能微粒子量よりも多い状態が継続するとフィルタ22には微粒子が積層状に堆積する。
【0120】
【発明の効果】
第一の発明によれば、パティキュレートフィルタの圧損が上昇すると微粒子が酸化除去されるため、圧損が上昇した際に圧損が迅速に元の低い値に戻される。
【0121】
第三の発明によれば、温度が上昇する領域が閉塞進行部位となるようにすることで不必要な領域まで昇温してしまうことがなく、より効率的に閉塞進行部位に堆積する微粒子を酸化除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第一実施形態の排気浄化装置を備えた内燃機関全体の図である。
【図2】本発明のパティキュレートフィルタを示す図である。
【図3】本発明のパティキュレートフィルタの一部を拡大して示す図である。
【図4】従来の目封じ型のパティキュレートフィルタの一部を拡大して示す図である。
【図5】パティキュレートフィルタにおいて閉塞が進行している時の圧損の推移を示す図である。
【図6】パティキュレートフィルタに流入する流入ガス流量と圧損との関係を示す図である。
【図7】第一実施形態の昇温処理制御を実行するためのフローチャートである。
【図8】閉塞進行部位毎の圧損の推移を示す図である。
【図9】昇温処理の選択時に用いる内燃機関の運転状態の図である。
【図10】第二実施形態の昇温処理制御を実行するためのフローチャートである。
【図11】第三実施形態の昇温処理制御を実行するためのフローチャートである。
【図12】第四実施形態の排気浄化装置を示す図である。
【図13】第四実施形態の昇温処理制御を実行するためのフローチャートの一部である。
【図14】第四実施形態の昇温処理制御を実行するためのフローチャートの一部である。
【図15】第五実施例の昇温処理制御を実行するためのフローチャートの一部である。
【図16】第五実施例の昇温処理制御を実行するためのフローチャートの一部である。
【図17】微粒子の酸化除去作用を説明するための図である。
【図18】微粒子の堆積作用を説明する図である。
【符号の説明】
21…ケーシング
22…パティキュレートフィルタ
39、40…圧力センサ
50…排気ガス流入通路
51…排気ガス流出通路
52…下流側テーパ壁
53…上流側テーパ壁
54…隔壁
55、56…小孔

Claims (9)

  1. 機関排気通路内に排気ガス中の微粒子を捕集するためのパティキュレートフィルタを具備し、該パティキュレートフィルタが通路を画成する隔壁を有し、該隔壁が予め定められた平均細孔径の細孔を内包する多孔質の材料から形成されており、上記通路の端部開口が上記平均細孔径よりも大きいが通路の流路断面積よりも狭い流路断面積を有する小孔となるように隔壁の端部分が寄せ集められて該端部分同士が部分的に接続されており、さらに、上記パティキュレートフィルタの圧損に関連する第一のパラメータの値を検知するための検知手段を具備し、該検知手段によって検知された第一のパラメータ値と予め定められた判定値とを比較することによってパティキュレートフィルタを昇温させるための昇温処理を実行すべきであると判定されたときには該昇温処理を実行するようにした排気浄化装置において、
    パティキュレートフィルタの圧損値が大きくなると内燃機関が同一条件において出力可能な出力が低下し、該出力低下度合いとして許容する範囲を任意に設定した場合において、上記判定値が出力低下度合いを該許容範囲内において最大とするパティキュレートフィルタの圧損値よりも低い圧損値に対応する第一のパラメータ値となっており、
    異なる複数の昇温処理が実施可能であり、パティキュレートフィルタの圧損に関連する第二のパラメータの値に基づいて微粒子によって閉塞されつつあるパティキュレートフィルタの部位を閉塞進行部位として特定し、該特定された閉塞進行部位に応じて実行される昇温処理が選択され、
    上記第二のパラメータとしてパティキュレートフィルタの圧損上昇率が採用され、該圧損上昇率が閉塞進行部位特定用の基準上昇率よりも小さいときには閉塞進行部位が隔壁の細孔であると特定され、圧損上昇率が基準上昇率よりも大きいときには閉塞進行部位が小孔であると特定されることを特徴とする排気浄化装置。
  2. 圧損上昇率が上記基準上昇率よりも高い閉塞進行部位特定用の第二の基準上昇率よりも小さいときには閉塞進行部位がパティキュレートフィルタの下流側の小孔であると特定され、この場合には、上記昇温処理として、パティキュレートフィルタ内において発熱反応を生じさせることによる昇温処理が実行され、一方、圧損上昇率が第二の基準上昇率よりも大きいときには閉塞進行部位がパティキュレートフィルタの上流側の小孔であると特定され、この場合には、上記昇温処理として、排気ガスの温度を上昇させることによる昇温処理が実行される請求項1に記載の排気浄化装置
  3. 機関排気通路内に排気ガス中の微粒子を捕集するためのパティキュレートフィルタを具備し、該パティキュレートフィルタが通路を画成する隔壁を有し、該隔壁が予め定められた平均細孔径の細孔を内包する多孔質の材料から形成されており、上記通路の端部開口が上記平均細孔径よりも大きいが通路の流路断面積よりも狭い流路断面積を有する小孔となるように隔壁の端部分が寄せ集められて該端部分同士が部分的に接続されており、さらに、上記パティキュレートフィルタの圧損に関連する第一のパラメータの値を検知するための検知手段を具備し、該検知手段によって検知された第一のパラメータ値と予め定められた判定値とを比較することによってパティキュレートフィルタを昇温させるための昇温処理を実行すべきであると判定されたときには該昇温処理を実行するようにした排気浄化装置において、
    パティキュレートフィルタの圧損値が大きくなると内燃機関が同一条件において出力可能な出力が低下し、該出力低下度合いとして許容する範囲を任意に設定した場合において、上記判定値が出力低下度合いを該許容範囲内において最大とするパティキュレートフィルタの圧損値よりも低い圧損値に対応する第一のパラメータ値となっており、
    異なる複数の昇温処理が実施可能であり、パティキュレートフィルタの圧損に関連する第二のパラメータの値に基づいて微粒子によって閉塞されつつあるパティキュレートフィルタの部位を閉塞進行部位として特定し、該特定された閉塞進行部位に応じて実行される昇温処理が選択され、
    上記第二のパラメータとして圧損値自体が採用され、パティキュレートフィルタの圧損値が閉塞進行部位特定用の基準圧損値よりも小さいときには閉塞進行部位がパティキュレ ートフィルタの下流側の小孔であると特定され、この場合には、上記昇温処理として、パティキュレートフィルタ内において発熱反応を生じさせることによる昇温処理が実行され、一方、パティキュレートフィルタの圧損値が上記基準圧損値よりも大きいときにはパティキュレートフィルタの上流側の小孔であると特定され、この場合には、上記昇温処理として、排気ガスの温度を上昇させることによる昇温処理が実行されることを特徴とする排気浄化装置。
  4. 機関排気通路内に排気ガス中の微粒子を捕集するためのパティキュレートフィルタを具備し、該パティキュレートフィルタが通路を画成する隔壁を有し、該隔壁が予め定められた平均細孔径の細孔を内包する多孔質の材料から形成されており、上記通路の端部開口が上記平均細孔径よりも大きいが通路の流路断面積よりも狭い流路断面積を有する小孔となるように隔壁の端部分が寄せ集められて該端部分同士が部分的に接続されており、さらに、上記パティキュレートフィルタの圧損に関連する第一のパラメータの値を検知するための検知手段を具備し、該検知手段によって検知された第一のパラメータ値と予め定められた判定値とを比較することによってパティキュレートフィルタを昇温させるための昇温処理を実行すべきであると判定されたときには該昇温処理を実行するようにした排気浄化装置において、
    パティキュレートフィルタの圧損値が大きくなると内燃機関が同一条件において出力可能な出力が低下し、該出力低下度合いとして許容する範囲を任意に設定した場合において、上記判定値が出力低下度合いを該許容範囲内において最大とするパティキュレートフィルタの圧損値よりも低い圧損値に対応する第一のパラメータ値となっており、
    パティキュレートフィルタよりも上流の機関排気通路に切替弁が配置され、切替弁が第一の位置に保持されるとパティキュレートフィルタの一方の端部から排気ガスがパティキュレートフィルタに流入し、切替弁が第二の位置に保持されるとパティキュレートフィルタの他方の端部から排気ガスがパティキュレートフィルタに流入し、パティキュレートフィルタの圧損に関する第二のパラメータの値に基づいて微粒子によって閉塞されつつあるパティキュレートフィルタの部位が閉塞進行部位として特定され、該特定された閉塞進行部位に応じた位置に切替弁の位置が位置決めれた上で昇温処理が実行され、
    上記第二のパラメータとして圧損上昇率が採用され、現在の切替弁の位置において圧損上昇率が閉塞進行部位特定用の基準上昇率よりも小さいときには閉塞進行部位がパティキュレートフィルタの排気ガス流出側の小孔であると特定され、圧損上昇率が基準上昇率よりも大きいときには閉塞進行部位がパティキュレートフィルタの排気ガス流入側の小孔であると特定され、内燃機関の運転状態が排気ガスの温度を上昇させるのに適している場合に小孔の閉塞が進行している側のパティキュレートフィルタの端部が上流になるように切替弁の位置が選択された上で、上記昇温処理として、排気ガスの温度を上昇させることによる昇温処理が実行されることを特徴とする排気浄化装置。
  5. 機関排気通路内に排気ガス中の微粒子を捕集するためのパティキュレートフィルタを具備し、該パティキュレートフィルタが通路を画成する隔壁を有し、該隔壁が予め定められた平均細孔径の細孔を内包する多孔質の材料から形成されており、上記通路の端部開口が上記平均細孔径よりも大きいが通路の流路断面積よりも狭い流路断面積を有する小孔となるように隔壁の端部分が寄せ集められて該端部分同士が部分的に接続されており、さらに、上記パティキュレートフィルタの圧損に関連する第一のパラメータの値を検知するための検知手段を具備し、該検知手段によって検知された第一のパラメータ値と予め定められた判定値とを比較することによってパティキュレートフィルタを昇温させるための昇温処理を実行すべきであると判定されたときには該昇温処理を実行するようにした排気浄化装置において、
    パティキュレートフィルタの圧損値が大きくなると内燃機関が同一条件において出力可能な出力が低下し、該出力低下度合いとして許容する範囲を任意に設定した場合において、上記判定値が出力低下度合いを該許容範囲内において最大とするパティキュレートフィルタの圧損値よりも低い圧損値に対応する第一のパラメータ値となっており、
    パティキュレートフィルタよりも上流の機関排気通路に切替弁が配置され、切替弁が第 一の位置に保持されるとパティキュレートフィルタの一方の端部から排気ガスがパティキュレートフィルタに流入し、切替弁が第二の位置に保持されるとパティキュレートフィルタの他方の端部から排気ガスがパティキュレートフィルタに流入し、パティキュレートフィルタの圧損に関する第二のパラメータの値に基づいて微粒子によって閉塞されつつあるパティキュレートフィルタの部位が閉塞進行部位として特定され、該特定された閉塞進行部位に応じた位置に切替弁の位置が位置決めれた上で昇温処理が実行され、
    上記第二のパラメータとして圧損値自体が採用され、現在の切替弁の位置において圧損値が閉塞進行部位特定用の閾値よりも小さいときには閉塞進行部位がパティキュレートフィルタの排気ガス流出側の小孔であると特定され、圧損値が上記閾値よりも大きいときにはパティキュレートフィルタの排気ガス流入側の小孔であると特定され、内燃機関の運転状態が排気ガスの温度を上昇させるのに適している場合に小孔の閉塞が進行している側のパティキュレートフィルタの端部が上流になるように切替弁の位置が選択された上で、上記昇温処理として、排気ガスの温度を上昇させることによる昇温処理が実行されることを特徴とする排気浄化装置。
  6. 上記パティキュレートフィルタが捕集した微粒子を連続的に酸化除去することができ、これにより、通常の状態では、該パティキュレートフィルタの圧損値はほぼ一定の値で推移し、上記第一のパラメータとしてパティキュレートフィルタの圧損自体が採用され、上記検知手段によって検知されたパティキュレートフィルタの圧損値が上記判定値を超えた場合に、昇温処理を実行すべきであると判定される請求項1〜5のいずれか1項に記載の排気浄化装置。
  7. 機関排気通路内に排気ガス中の微粒子を捕集するためのパティキュレートフィルタを具備し、該パティキュレートフィルタが通路を画成する隔壁を有し、該隔壁が予め定められた平均細孔径の細孔を内包する多孔質の材料から形成されており、上記通路の端部開口が上記平均細孔径よりも大きいが通路の流路断面積よりも狭い流路断面積を有する小孔となるように隔壁の端部分が寄せ集められて該端部分同士が部分的に接続されており、さらに、上記パティキュレートフィルタの圧損に関するパラメータの値を検出するための検知手段を具備し、該検知手段によって検知されるパラメータ値に基づいて微粒子によって閉塞されつつあるパティキュレートフィルタの部位を閉塞進行部位として特定し、
    上記パラメータとしてパティキュレートフィルタの圧損上昇率が採用され、該圧損上昇率が閉塞進行部位特定用の基準上昇率よりも小さいときには閉塞進行部位が隔壁の細孔であると特定され、圧損上昇率が基準上昇率よりも大きいときには閉塞進行部位が小孔であると特定されることを特徴とする排気浄化装置。
  8. 圧損上昇率が上記基準上昇率よりも高い閉塞進行部位特定用の第二の基準上昇率よりも小さいときには閉塞進行部位がパティキュレートフィルタの下流側の小孔であると特定され、圧損上昇率が第二の基準上昇率よりも大きいときには閉塞進行部位がパティキュレートフィルタの上流側の小孔であると特定される請求項7に記載の排気浄化装置。
  9. 機関排気通路内に排気ガス中の微粒子を捕集するためのパティキュレートフィルタを具備し、該パティキュレートフィルタが通路を画成する隔壁を有し、該隔壁が予め定められた平均細孔径の細孔を内包する多孔質の材料から形成されており、上記通路の端部開口が上記平均細孔径よりも大きいが通路の流路断面積よりも狭い流路断面積を有する小孔となるように隔壁の端部分が寄せ集められて該端部分同士が部分的に接続されており、さらに、上記パティキュレートフィルタの圧損に関するパラメータの値を検出するための検知手段を具備し、該検知手段によって検知されるパラメータ値に基づいて微粒子によって閉塞されつつあるパティキュレートフィルタの部位を閉塞進行部位として特定し、
    上記パラメータとして圧損値自体が採用され、パティキュレートフィルタの圧損値が閉塞進行部位特定用の基準圧損値よりも小さいときには閉塞進行部位がパティキュレートフィルタの下流側の小孔であると特定され、パティキュレートフィルタの圧損値が上記基準 圧損値よりも大きいときにはパティキュレートフィルタの上流側の小孔であると特定されることを特徴とする排気浄化装置。
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