JP3974201B2 - インクジェット記録材料 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、オーバーヘットプロジェクター(以下、OHPという)、第2原図等に用いられる透明な記録材料に関し、特に複写機、プリンタ、プロッター等による印字の際に用紙検出センサによって検知可能な透明記録材料に係わる。
【0002】
【従来の技術】
一般に、OHPや第2原図等に用いられる記録用紙として、プラスチックフィルム等の透明フィルム上に記録層を設けたものが広く知られており、このような透明記録用紙への記録方式としても、電子写真複写、インクジェット、ペンプロッタ、熱転写等の種々の方式が採用される。このため透明記録材料の記録層は記録方式に応じてインクジェット記録に適したインク受容層を設けたもの(特開昭57−107880号)や熱転写インク受理層を設けたもの(特開昭64−45688号)等が知られており、更に複数の記録方式に対応した記録層を設けたものが提案されている(特開平7−149040号)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで上述したような複写機、プリンタ、プロッタ等記録装置では用紙検出用のセンサとして、近年、安価で小型の半導体レーザや発光ダイオードを光源とした制御センサが用いられるようになっている。しかし、前述したような透明度の高い記録材料をこのような用紙検出機能を備えた記録装置で印字する場合、光が透過してしまうためにセンサで検知されなかったり、検知ミスが生じるという問題があった。このため、透明度の高い記録材料の裏面に紙などの不透明材料を貼着して検知ミスを防いでいるが、手間がかかる上に記録材料の平面性が損われ記録精度を低下させる等の問題があった。
【0004】
本発明は、上記問題点を解消するためになされたものであって、不透明材料の貼着等を不要とし、しかもインクジェットプリンタの用紙検出により正確に用紙位置をセンスすることが可能な透明インクジェット記録材料を提供することを目的とする。更に本発明は、記録された印字の耐候性を向上することができる透明インクジェット記録材料を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の記録材料は、透明な支持体の少なくとも片面にインクジェット記録層を設けてなる透明な記録材料において、層の厚さが1〜20μmであって、樹脂および前記樹脂全体に対し0.5重量%以上の、可視光は透過するが赤外線を吸収する有機赤外線吸収剤を含有し、記録材料としての1100nmにおける赤外線透過率が50%以下であり、550nmにおける可視光線透過率が80%以上であることを特徴とする。これにより、OHPや第2原図に要求される透明性を維持し、しかも記録装置の光学用紙センサによる検知が可能となる。
【0006】
また本発明のインクジェット記録材料は、透明な支持体の少なくとも片面にインクジェット記録層を設けてなる記録材料において、前記支持体と前記インクジェット記録層との間、或いは前記支持体の前記インクジェット記録層が形成された面と反対側の面に、透明な樹脂および前記樹脂全体に対し0.5重量%以上の、可視光は透過するが赤外線を吸収する有機赤外線吸収剤を含有する赤外線吸収層を有し、記録材料としての1100nmにおける赤外線透過率が50%以下であり、550nmにおける可視光線透過率が80%以上であることを特徴とする。
【0007】
赤外線吸収剤としては、一般式(1)で表されるアミノ化合物が好適に用いられる。
【0008】
【化3】
(式中、R1は水素または炭素数が1〜12のアルキル基を、XはSbF6、ClO4、BF4、NO3、F、Cl、Br、Iを、nは1または2を表す。)
本発明の好適な態様において、記録材料を構成する層の少なくとも一の層は紫外線吸収剤を含有するものである。紫外線吸収剤は、記録層又は赤外線吸収層或いはその両者に含有されることができ、好適には記録層に含有されるものである。これにより、赤外線吸収剤の劣化を防止すると共に形成されたインク画像の退色を防止することができる。
【0009】
紫外線吸収剤としては、一般式(2)で表されるベンゾフェノン化合物が好適に用いられる。
【0010】
【化4】
(式中、R2は水素または炭素数が1〜12のアルキル基を、R3〜R5は水素またはOH、OCH3、SO3H・3H2Oの置換基を表す。)
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の記録材料について更に詳述する。
【0012】
本発明の記録材料において、支持体としてはポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリエチレン、アセチルセルロース、塩化ビニル樹脂、フッ素系樹脂等の実質的に透明なプラスチックフィルムが使用できる。実質的に透明とは、OHP、第2原図等への適用性を有する透明性を備えていることをいう。これらプラスチックフィルムは、延伸加工されていることが好ましい。特に二軸延伸されたものは、機械的強度、寸法安定性が向上されるので好ましい。さらに透明性を損わない範囲で、記録層が設けられる面に易接着処理されていてもよい。
【0013】
プラスチックフィルムの厚さは特に限定されず適用される材料に対応して適宜選択することができるが、一般には4〜250μmである。
【0014】
記録層は、このような透明な支持体の一方の面に設けても、また両面に設けてもよい。両面に設けた場合には両側に記録が可能であることに加え、記録材料のカールを防止することができる。また記録方式によって支持体自身が記録性を備えている場合には、支持体が記録層を兼ねていてもよい。
【0015】
このような記録層は、インクジェット記録層であり、それ自体実質的に透明な層からなる。
【0017】
またインクジェット記録の場合には、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ゼラチンのような水溶性樹脂或いはブロックコポリマーや(メタ)アクリル酸系ポリマーを用いたインク受容層等公知のインク受容層を記録層として設けることができるが、特に特開平7−149040号に開示されるようにインク受容層の樹脂として親水性樹脂であるポリビニルピロリドンと、親油性樹脂である塩基性(メタ)アクリル酸エステル共重合体とを用いたインク受容層は、水性インクに対する吸収性、耐水性に加えてPPC複写等におけるトナー接着性、感熱溶融転写やペンプロッターにおける各インク受容性を備えた汎用の記録層として好ましい。
【0018】
この場合、塩基性の(メタ)アクリル酸エステル共重合体は、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル(HEMA或いはHEA)とメタクリル酸2−ジメチルアミノエチル(DMMA)とを含む親水性モノマー及び、メタクリル酸メチル(MMA)とメタクリル酸n−ブチル(BMA)とを含む親油性(耐水性)モノマーから構成される4元以上の共重合体であることが好ましい。このような塩基性の(メタ)アクリル酸エステル共重合体を用いることにより、トナーの接着性及びポリビニルピロリドンとの相溶性を高めることができる。また親水性モノマーと耐水性モノマーとを組合せた共重合体とすることにより、これらモノマーの配合比を適当に選択して親水性と耐水性のバランスを調整することができ、塗膜の物理的な性質などの他の性能の調整が容易となる。
【0020】
記録層には、さらに透明性を損わない範囲で、ブロッキングを防止し記録性能を向上させるために顔料や必要に応じてレベリング剤、酸化防止剤、帯電防止剤等の各種添加剤を添加することもできる。特にインクジェット記録層の場合、マット化剤としてシリカ、クレー、タルク、ケイソウ土、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、珪酸アルミニウム、酸化チタン、酸化亜鉛、合成ゼオライト、アルミナ、スメクタイト等の顔料を含むことが好ましく、特にスメクタイトを含有することが好ましい。
【0021】
記録層は樹脂、その他の添加剤を適当な溶剤に溶解或いは分散させたものを支持体の片面或いは両面に塗布、乾燥することにより形成する。記録層の厚さは、記録層の種類により異なり、特に限定されないが、例えばインクジェット記録層の場合、通常0.1〜50μm、好適には1〜20μm程度である。
【0022】
以上のように構成される本発明の記録材料は、1100nmの赤外線透過率が50%以下であり、550nmの可視光線透過率が80%以上であるものである。このため本発明の記録材料は、可視光は透過するが赤外線を吸収する赤外線吸収剤を含む層を設ける。このような層は、上述した記録層であってもよく、また支持体に赤外線吸収剤を含む層を別途設けてもよい。また両方の層に赤外線吸収剤を含有せしめてもよい。
【0023】
図1(a)〜(c)は本発明の記録材料の実施例を示すもので、同図(a)は支持体1上に赤外線吸収剤5を含む記録層2が形成されたもの、同図(b)は支持体1の一方の面に記録層2が形成され、他方の面に赤外線吸収剤を含むバックコート層3が形成されたもの、同図(c)は支持体1の片面に赤外線吸収剤を含む層3及び記録層2を順次積層したものである。
【0024】
赤外線吸収剤としてはシアニン系化合物、スクワリリム系化合物、チオールニッケル錯塩系化合物、フタロシアニン系化合物、トリアリルメタン系化合物、ナフトキノン系化合物、アントラキノン系化合物、イモニウム系化合物、アミニウム系化合物等の有機赤外線吸収剤が挙げられるが、特に式(1)で表されるようなイモニウム系化合物が可視光の透過率が高く赤外線遮断効果が高いので好適である。
【0025】
【化5】
(式中、R 1は水素又は炭素数が1〜12のアルキル基を、XはSbF6、ClO4、BF4、NO3、F、Cl、Br又はIを、nは1又は2を表す)
式(1)で表される化合物として、具体的にはN,N,N',N'−テトラキス(p−ジ−n−ブチルアミノフェニル)−p−ベンゾキノン−ビス(イモニウム)、N,N,N',N'−テトラキス(p−ジエチルアミノフェニル)−p−ベンゾキノン−ビス(イモニウム)、N,N,N',N'−テトラキス(p−ジ−n−ヘキシルアミノフェニル)−p−ベンゾキノン−ビス(イモニウム)、N,N,N',N'−テトラキス(p−ジ−n−イソプロピルアミノフェニル)−p−ベンゾキノン−ビス(イモニウム)、N,N,N',N'−テトラキス(p−ジ−n−オクチルアミノフェニル)−p−ベンゾキノン−ビス(イモニウム)またはN,N,N',N'−テトラキス(p−ジエチルアミノフェニル)−p−ベンゾキノン−ビス(イモニウム)の各過塩素酸塩、ヘキサフルオロアンチモン酸塩、フッ化ホウ素酸塩、硝酸塩または臭素塩等或いはN,N,N',N'−テトラキス(p−ジ−n−ブチルアミノフェニル)−p−フェニレンジアミニウム、N,N,N',N'−テトラキス(p−ジメチルアミノフェニル)−p−フェニレンジアミニウム、N,N,N',N'−テトラキス(p−ジ−n−ドデシルアミノフェニル)−p−フェニレンジアミニウムまたはN,N,N',N'−テトラキス(p−ジエチルアミノフェニル)−p−フェニレンジアミニウムの各過塩素酸塩、塩素塩、ヘキサフルオロアンチモン酸塩、フッ化ホウ素酸塩またはフッ素塩等が挙げられる。
【0026】
このような有機赤外線吸収剤を含有する層を、記録層とは別に支持体上に設ける場合、この層を構成するバインダ樹脂としては記録材料の透明性を損わない透明な樹脂であって支持体との接着性の良好な樹脂を用いることが好ましい。このような樹脂としては、例えばポリエステル樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、アクリル樹脂、ビニル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂等が挙げられる。またバインダ樹脂に対する硬化剤としてイソシアネート、メラミン等の添加も有効である。赤外線吸収層を支持体と記録層との間に設ける場合には、更に記録層を形成する樹脂との接着性の良好な樹脂を用いることが好ましい。このような樹脂として、特にポリエステル系およびアクリル系の樹脂が好適である。
【0027】
有機赤外線吸収剤の含有量は、上述したように記録材料としての赤外線透過率が1100nmにおいて50%以下であり、550nmの可視光線透過率が80%以上であればよく、赤外線吸収層或いは記録層の厚さにより異なるが、一例として約10μm程度の厚さの層に含有せしめる場合、層を形成する樹脂全体に対し0.5重量%以上、好ましくは1重量%以上とする。
【0028】
本発明の記録材料は、上述した有機赤外線吸収剤に加えて、更に紫外線吸収剤を有する層を設けることが好ましい。紫外線吸収剤を含ませることにより、有機赤外線吸収剤の劣化を防止して本記録材料の赤外線遮断効果を持続させるとともに、記録層に形成されたインク像の退色を防止することができる。紫外線吸収剤を有する層は、記録層でも、赤外線吸収層を別途設けた場合にはその層でも、また両者でもよく、また必ずしも赤外線吸収剤を含有する層でなく別途紫外線吸収剤を有する層を設けてもよい。但し、赤外線吸収剤の効果の劣化を防止するためには、赤外線吸収剤の含まれる層或いはその層よりも光が照射される側に近い層に含有せしめることが好ましい。従って記録材料の用途によって、記録層側から光の照射を受ける場合には、紫外線吸収剤は記録層に含有せしめることが好ましく、またOHPのように記録層と反対側からの光の照射を受ける場合には、記録層と反対側に設けたバックコート層に紫外線吸収剤を含有せしめることが好ましい。さらに記録層上に形成されたインクの退色をも有効に防止するためには少なくとも記録層に紫外線吸収剤を含有せしめることが好ましい。
【0029】
図2(a)〜(c)は、紫外線吸収剤を有する層を設けた本発明の実施例を示す図で、同図(a)は支持体1の片面に赤外線吸収剤5および紫外線吸収剤6を有する記録層2を設けたもので、同図(b)は支持体1の一方の面に赤外線吸収剤を含有する記録層2を設け、他方の面に紫外線吸収剤を含有するバックコート層4を設けたものであり、特に記録層と反対側から光が照射される用途に適している。尚、同図(b)の場合にも記録層2は紫外線吸収剤を含有していてもよい。同図(c)は支持体1の一方の面に紫外線吸収剤を含有する記録層2を設け、他方の面に赤外線吸収剤を含有するバックコート層3を設けたもので、記録層側から光が照射される用途に適している。
【0030】
このような紫外線吸収剤としては、記録材料の透明性を損わず300〜400nmの紫外線を有効に遮断できるものであればよく、公知のベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸系化合物等が使用できるが、特に吸収波長領域が幅広くかつ吸収強度に優れた式(2)で表されるベンゾフェノン化合物を用いることが好ましい。
【0031】
【化6】
(式中、R2は水素又は炭素数が1〜12のアルキル基を、R3〜R5は水素又はOH、OCH3、SO3H・3H2Oを表す)
このようなベンゾフェノン化合物として、2,2',4,4'−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−ドデシルオキシベンゾフェノン、2,2'−ジヒドロキシ−4,4'−ジメトキシベンゾフェノン、2,2'−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホベンゾフェノン等が挙げられる。
【0032】
紫外線吸収剤の含有量は、550nmの可視光線透過率が80%以上であって、300〜400nmの紫外線透過率が50%以下であればよく、それが含まれる層の厚さにより異なるが、一例として約10μm程度の厚さの層に含有せしめる場合、層を形成する樹脂全体に対し0.5重量%以上、好ましくは1.0重量%以上とする。
【0033】
本発明の記録材料において、赤外線吸収剤を含む層及び紫外線吸収剤を含む層はそれぞれ、これら赤外線吸収剤および/又は紫外線吸収剤と相溶する樹脂とを適当な溶剤に溶解或いは分散し、ロールコーティング、バーコーティング、エアナイフコーティング、スプレーコーティング等の各種コーティング法、或いはグラビア印刷等を用いて塗布、乾燥させることにより形成することができる。
【0034】
層の厚さは、記録層とは別に設けられる場合、0.1〜20μm程度が好ましい。
【0035】
尚、本発明の記録材料は以上の説明において図示したものに限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載される範囲において任意に変更することができる。
【0036】
【実施例】
以下、本発明の実施例について説明する。
実施例1
厚さ75μmのポリエステルフィルム(ルミラーT−60:東レ社製)を用い、この片面に、下記の処方のインク受容層用塗工液をメイヤーロッドで乾燥厚さ8μmとなるように塗布・乾燥して記録材料を得た。
尚、(メタ)アクリル酸エステル共重合体としては、MMAを45モル%、BMAを10モル%、HEMAを30モル%、DMMAを15モル%の割合で共重合させたものを用いた。
【0037】
得られた記録材料を用いて、自動通紙機能のついたインクジェットプリンタ(Design Jet 650C:ヒューレットパッカード社製)により印刷を行ったところ、通常の不透明記録紙と同様に通紙され印刷を行うことができた。またインク画像も良好であった。
【0038】
また印字後、インク受容面及びその反対側からフェードメータ(FA2−3:スガ試験機(株))により紫外線を8時間照射し、照射前後のインク濃度の変化を測定することにより耐光性の試験を行った。耐光性の試験において、紫外線照射によるインク濃度の低下が10%以下であったものを○、10%を超え50%以下であったものを△、50%を超えて低下したものを×とした。結果を表1に示す。
【0039】
【表1】
表1に示す結果からも明らかなように、実施例1ではインク受容層中に紫外線吸収剤を含有しているので、印字面とその反対側面のどちら側からの耐光性もよかった。特に反対側面からの紫外線照射に対し優れた耐光性を示した。これは支持体により保護されているためと考えられる。
実施例2
厚さ75μmのポリエステルフィルム(ルミラーT−60:東レ社製)を用い、この片面に、下記の処方のインク受容層用塗工液をメイヤーロッドで乾燥厚さ8μmとなるように塗布・乾燥した。
尚、(メタ)アクリル酸エステル共重合体としては、実施例1と同様のものを用いた。
【0040】
次いでポリエステルフィルムの他方の面に、下記処方のバックコート用塗工液を乾燥厚さ8μmとなるように塗布・乾燥して記録材料を得た。
得られた記録材料を用いて、自動通紙機能のついたインクジェットプリンタ(Design Jet 650C:ヒューレットパッカード社製)により印刷を行ったところ、通常の不透明記録紙と同様に通紙され印刷を行うことができ、また良好なインク画像を得ることができた。
【0041】
また印字後のサンプルについて、実施例1と同様に耐光性の試験を行った。結果を表1に示す。本実施例2では、インク受容面には紫外線吸収剤を含んでいないため、印字面からの紫外線照射に対しては充分な耐光性を得ることができなかったが、反対側面からの紫外線照射に対してはバックコート層による紫外線吸収効果と支持体による保護により、極めて優れた耐光性を示した。
比較例1
厚さ75μmのポリエステルフィルム(ルミラーT−60:東レ社製)を用い、この片面に、下記の処方のインク受容層用塗工液をメイヤーロッドで乾燥厚さ8μmとなるように塗布・乾燥して記録材料を得た。
尚、(メタ)アクリル酸エステル共重合体としては、実施例1と同様のものを用いた。
【0042】
得られた記録材料を用いて、自動通紙機能のついたインクジェットプリンタ(Design Jet 650C:ヒューレットパッカード社製)により印刷を試みたが、そのままではセンサに検知されず印字を行うことができなかった。次いで記録材料の裏面に合紙を重ねた状態で同インクジェットプリンタにより印字し、印字後のサンプルについて、実施例1と同様に耐光性の試験を行った。結果を表1に示すように、印字面からの紫外線照射については実施例2と同様、耐光性を得ることができず、その反対側面についても支持体による保護の効果は認められるものの満足な耐光性を得ることができなかった。
【0043】
【発明の効果】
本発明の記録材料は、透明な記録材料を構成する層のいずれかに赤外線吸収剤を含有せしめることにより、透明性を維持しつつ記録装置における光学用紙位置センサによる読取りを可能とすることができる。これにより、記録材料毎に合紙を貼付する手間をなくすとともに合紙を貼付したことによる記録精度の低下を防止することができる。また本発明の記録材料は、上述した赤外線吸収剤と併用して紫外線吸収剤を含有せしめることにより、赤外線吸収剤の劣化を防止するとともに形成されたインク画像の退色を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)〜(c)は本発明の記録材料の実施例を示す断面図
【図2】(a)〜(c)は本発明の記録材料の他の実施例を示す断面図
【符号の説明】
1・・・・・・支持体
2・・・・・・記録層
3、4・・・・・・バックコート層
Claims (6)
- 透明な支持体の少なくとも片面にインクジェット記録層を設けてなる透明な記録材料において、前記インクジェット記録層は、層の厚さが1〜20μmであって、樹脂および前記樹脂全体に対し0.5重量%以上の、可視光は透過するが赤外線を吸収する有機赤外線吸収剤を含有し、記録材料としての1100nmにおける赤外線透過率が50%以下であり、550nmにおける可視光線透過率が80%以上であることを特徴とするインクジェット記録材料。
- 透明な支持体の少なくとも片面にインクジェット記録層を設けてなる透明な記録材料において、前記支持体と前記インクジェット記録層との間、或いは前記支持体の前記インクジェット記録層が形成された面と反対側の面に、透明な樹脂および前記樹脂全体に対し0.5重量%以上の、可視光は透過するが赤外線を吸収する有機赤外線吸収剤を含有する赤外線吸収層を有し、記録材料としての1100nmにおける赤外線透過率が50%以下であり、550nmにおける可視光線透過率が80%以上であることを特徴とするインクジェット記録材料。
- 前記赤外線吸収層の樹脂がポリエステル樹脂またはアクリル樹脂であることを特徴とする請求項2又は3に記載のインクジェット記録材料。
- 前記赤外線吸収層及び前記インクジェット記録層の少なくとも一方に紫外線吸収剤を含有することを特徴とする請求項1ないし4いずれか1項記載のインクジェット記録材料。
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