JP3973480B2 - アクリル繊維の湿熱延伸方法及びその湿熱延伸装置 - Google Patents

アクリル繊維の湿熱延伸方法及びその湿熱延伸装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、緩和熱処理がなされたアクリル繊維トウに、所要の熱収縮率を付与するための湿熱延伸方法とその延伸装置に関し、特にアクリル繊維トウに対して湿熱雰囲気下において均一な熱エネルギーの付与が可能であり、延伸速度の向上が実現できる湿熱延伸方法とその延伸装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
通常、湿式紡糸されるアクリル繊維トウは脱溶剤中の高温洗浄液中で延伸倍率を4〜5倍とする1次延伸がなされた後に乾燥工程を経て、緩和熱処理(アニーリング)がなされる。最終的なアクリル繊維製品に高バルキー性を付与するため、緩和熱処理後に、湿熱雰囲気下で1.1〜2倍程度の低延伸がなされる。この2次延伸である湿熱延伸は、通常、蒸気噴射室に緩和熱処理後のアクリル繊維トウを通過させ、蒸気噴射室を通過する間に、アクリル繊維トウに常圧蒸気を噴射し、必要とする熱エネルギーを付与する。この熱エネルギーを付与しながら、1.1〜2倍程度の延伸倍率の延伸がなされる。
【0003】
従来のアクリル繊維に対する湿熱延伸装置では、アクリル繊維トウの繊維間に蒸気を貫通させるように付与することが好ましいとされており、そのため蒸気噴出口を1mm程度と小さくし、しかもその噴出口数を少なく設定して、噴出口から高速の蒸気を噴出させるようにしていた。こうして湿熱延伸されたアクリル繊維トウは、製品化する段階で染色や仕上処理時のスチーム加熱により9%以上の高収縮率を発現させる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
前述のような従来の湿熱延伸装置における蒸気付与の仕方は、処理するアクリル繊維トウの太さ(繊維本数)が現状のように太くはなく、延伸処理速度も低くてよければ、必要量の熱エネルギーを繊維トウの構成繊維の全てに均等に付与することが可能であったが、近年のように処理しようとするアクリル繊維トウの太さが大幅に太くなり、従来の湿熱延伸装置を使って、同一延伸処理速度をもって処理しようとしても、均一な処理は到底不可能となっている。このことは、生産速度を向上させなければならないとする要求にも応えられないことを意味する。
【0005】
すなわち、従来の湿熱延伸装置を使い、同一延伸処理速度で必要な延伸倍率を得ようとすると、アクリル繊維トウの全構成繊維に均等に熱量が行き渡らず、加熱ムラが生じて、均一な延伸がなされなくなるばかりか、繊維切れが多発して、生産性を大幅に低下させる。そのため、アクリル繊維トウに対する湿熱延伸工程における大量延伸処理が熱望されているのが現状である。
【0006】
本発明は、こうした状況を踏まえて開発されたものであり、具体的には生産性を大きく向上させるとともに、高バルキー性に富んだ高品質のアクリル繊維製品が得られるスチーム収縮率を備えたアクリル繊維トウを安定して得ることができるアクリル繊維トウの湿熱延伸方法と同延伸装置を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段及び作用効果】
上述の課題は、本発明方法の基本構成である、緩和熱処理後のアクリル繊維を湿熱雰囲気下で連続して延伸する湿熱延伸工程にあって、常圧蒸気を噴出速度10〜30m/sで噴射しながらアクリル繊維トウの1kgに対して50〜200gを付与して延伸を行うことを特徴とするアクリル繊維の湿熱延伸方法により効果的に解決される。
【0008】
こうしたアクリル繊維トウの湿熱延伸方法は、以下の基本構成を備えた本発明装置により確実に実施される。
すなわち、本発明装置の基本構成は、緩和熱処理後のアクリル繊維を湿熱延伸室(蒸気噴射室)を通過させて連続延伸する湿熱延伸装置であって、前記蒸気噴射室の室内に多数の蒸気噴出口を有する噴射ノズルが配されてなり、前記噴射ノズルの各噴射口径が1.0〜3.0mmであり、その蒸気噴出口から噴出する常圧蒸気が、延伸処理されるアクリル繊維トウの1kgに対して噴出速度10〜30m/s、噴射量50〜200gに設定されてなることを特徴とするアクリル繊維の湿熱延伸装置にある。
【0009】
いま、蒸気噴射室の内部に常圧蒸気を噴射して、同蒸気噴射室を所要の太さをもつアクリル繊維トウを1.1〜2倍の低い延伸倍率で延伸を行いながら連続して通過させる。このときの蒸気の噴出速度は10〜30m/sと低く設定される。アクリル繊維トウに対する蒸気の付与量は、アクリル繊維トウの移送速度(m/分)、そのトータル繊度(tex)、及び蒸気噴射室内の通過距離(m)の3要因によって決まる。それらの要因は、アクリル繊維トウの1kgに対して50〜200gを付与するという本発明の規定に基づいて決められることになる。
【0010】
すなわち、本発明においてアクリル繊維トウの1kgに対して50〜200gを付与するとは、予め通過距離(m)が設定された蒸気噴射室を使おうとする場合は、前記通過距離(m)と延伸処理を行おうとするアクリル繊維トウのトータル繊度(tex)に基づいて、その移送速度(m/分)を決定し、蒸気室を通過する間に、アクリル繊維トウに対してトータルで50〜200gの蒸気を付与することをいう。
【0011】
このように、蒸気の噴出速度を10〜30m/sに制御しながら、アクリル繊維トウの1kgに対して50〜200gの蒸気を付与するとアクリル繊維トウには過大な蒸気の噴射圧がかからず、延伸空間には蒸気が濃霧状に充満し、アクリル繊維トウの構成繊維全体が蒸気と万遍なく接触するようになり、十分な熱量が均等に付与されることになる。この穏やかな湿熱雰囲気下で、アクリル繊維トウの構成繊維を、繊維切れを発生させずに1.1〜2倍の所望の延伸を均等にすることができるようになり、同時にアクリル繊維トウのトータル繊度に関わらず高速延伸が実現される。
【0012】
蒸気の噴出速度が10m/sより遅いと、延伸空間に十分な量の蒸気の導入ができず、アクリル繊維トウに対する湿熱の付与量が不足するため、所望の延伸が難しくなり、30m/sを越えると、処理繊維量と延伸処理速度との相対的な制御が煩雑化し、結果的に延伸の均一化が難しくなるばかりでなく、高速延伸処理が不可能となる。
【0013】
前記蒸気は、蒸気噴出口とアクリル繊維トウの噴射表面との間隔を8〜22mmとして、直径1.0〜3.0mmの多数の常圧蒸気噴出口から噴出させることが好ましい。走行中のアクリル繊維トウに対する蒸気の付与は、全面に均等であることが好ましいため、多数の噴出口から同時に蒸気を噴出させる。
【0014】
このとき、蒸気噴出口とアクリル繊維トウの噴射表面との間隔を8mmよりも小さくすると、繊維トウの表面が蒸気噴出口から噴出する蒸気の噴出速度に影響され、繊維トウの全構成繊維に蒸気が均等に接触せず、延伸ムラが発生しやすい。間隔が22mmを越えると、蒸気噴出口から噴出する蒸気の総熱量のうち繊維トウに対して付与される有効熱量の割合が少なくなり、熱損失が多く結果的に蒸気の噴出量を増加させなければならなくなる。
【0015】
蒸気噴出口の直径が1.0mmより小さいと、常圧蒸気であっても蒸気噴出口から噴出する蒸気の噴出速度が増加して、本発明における上記数値を越えてしまうため好ましくない。一方、蒸気噴出口の直径が3.0mmを越えると、本発明における上記数値が得られず、常圧蒸気を上記噴出口から噴出させることができなくなり、供給蒸気圧を高める必要が生じて、そのための加圧設備などが必要になる。
【0016】
本発明における蒸気噴出口は、アクリル繊維トウの幅方向に多数設けることが好ましく、同時にアクリル繊維トウの延伸方向にも多列に設けて、移送されるアクリル繊維トウの移送路の全面に均等に且つ必要十分な量の蒸気を付与することが望ましい。更に、アクリル繊維トウに対する蒸気の付与は、アクリル繊維トウの上下いずれかに対して付与してもよいが、アクリル繊維トウの上下両面に向けて蒸気を噴射させることが、構成繊維の全体に均等に蒸気を付与できるため望ましい。また、各蒸気噴出口からの蒸気の噴出速度差は2m/s以下であることが好ましい。噴出速度差は2m/sを越えると、他の手段を講じないかぎりアクリル繊維トウに対する均等な蒸気量の付与が期待できない。
【0017】
【発明の実施形態】
以下、本発明の好ましい実施形態を典型的な実施例に基づいて図面参照して具体的に説明する。先ず、本発明に係るアクリル繊維トウの好適な湿熱延伸装置から説明する。
図1〜図3は同実施例に係るアクリル繊維トウの湿熱延伸装置に適用される湿熱室の全体構造例を示している。図1は湿熱延伸装置の上面図、図2は同装置の正面図、図3は図1におけるII-II 線の矢視拡大断面図である。
【0018】
本実施例による湿熱延伸装置は、アクリル繊維トウの延伸方向に配された図示せぬ延伸ロールの間に湿熱延伸室10が配される。この湿熱延伸室10は、長手方向の両端部に偏平に拡幅されたアクリル繊維トウの図示せぬ導入口10aと導出口10bとを有する長尺で偏平な矩形箱状を呈している。湿熱延伸室10の内部は蒸気室とされ、その蒸気室の天井部及び底部の内側には、それぞれ蒸気噴出管20が配されている。湿熱延伸室10は上加熱函11と下加熱函12とに分割され、上加熱函11は下加熱函12に対して、一側縁部を中心に回動可能に構成されている。上加熱函11の上面には回動操作杆11aが取り付けられており、上加熱函11の回動操作により下加熱函12の上面開口部が開閉される。
【0019】
上下加熱函11,12はコ字断面を有するステンレス板13にアルミ板14が接着などにより積層されて構成され、前記ステンレス板13の上下突合せ側縁の一方に(図示例では下加熱函12)パッキン材15が固着されている。また、下加熱函12の長手方向の両端の上記アクリル繊維トウの導入口10aと導出口10bの近傍には、前後一対のブラケット16を介してトウ案内バー17が架設されている。更に、上下加熱函11,12の天井部及び底部には、それぞれ長手方向の両端隅角部及び中央側縁部に総計12個の内部と貫通する蒸気導入管嵌挿孔18が形成されている。
【0020】
図4〜図6は、上加熱函11の内部に配される蒸気噴出管20の構成を示している。なお図2及び図3から理解できるように、下加熱函12に配される蒸気噴出管20も上加熱函11に配される蒸気噴出管20と実質的に同一構造を有するため、ここでは下加熱函12に配される蒸気噴出管20の説明は省略し、上加熱函11に配される蒸気噴出管20を中心に説明する。
【0021】
図4は同蒸気噴出管20の平面図であり、図5はその正面図、図6は図4におけるV-V 線の矢視拡大断面図である。これらの図から容易に理解できるように、蒸気噴出管20は同一長さを有する長尺の一対の蒸気管21,21と、その一対の蒸気管21,21を等ピッチで連結する複数段(図示例では、12段)の蒸気噴出ノズル22〜22と、前記蒸気管21,21の各両端部と中央からそれぞれ上方に突出する蒸気導入管23〜23とから構成され、全体形状が梯子状を呈している。これらの蒸気管21,21、蒸気噴出ノズル22〜22、及び蒸気導入管23〜23は互いに連通している。なお、前記蒸気管21,21の両端は閉塞されている。
【0022】
前記蒸気噴出ノズル22〜22の下面には、多数の微小な蒸気噴出口22aが等ピッチで形成されている。因みに、本実施例による蒸気噴出ノズル22〜22に形成される蒸気噴出口22aの径は2mmφであり、ピッチを5mmとして、計32個の蒸気噴出口22aが形成されている。前記蒸気噴出口22aの径は1.0〜3.0mmφの間で任意に選択される。また、前記蒸気噴出口22aからアクリル繊維トウとが通過する走行路までの距離(間隔)は21.4mmに設定されている。
【0023】
以上の構成を備えた蒸気噴出管20は、各蒸気導入管23〜23が対応する上加熱函11の6箇所に形成された上述の蒸気導入管嵌挿孔18に内側から嵌挿され、その配管接続部を外部に突出させて、それぞれがシールワッシャ19により上加熱函11に固定シールされる。蒸気導入管23〜23の配管接続部にはY型ストレーナ24が固着され、図示せぬ外部の蒸気配管と接続される。
【0024】
いま、アクリル繊維トウの湿熱延伸を行うには、図示せぬアクリル繊維トウをトウ案内バー17,17により案内しながら、湿熱延伸室10の導入口10aと導出口10bとを通し、室内上下部に配された上下の蒸気噴出管20,20の間を延伸方向に走行させる。この走行時には、前記蒸気噴出管20,20の全ての蒸気噴出ノズル22〜22から常圧蒸気を所定の噴出速度でアクリル繊維トウに向けて上下から噴出させる。このとき、走行するアクリル繊維トウには、同時に図示せぬ延伸ローラにより1.1〜2.0倍の延伸倍率で延伸がなされる。
【0025】
本発明にあっては、湿熱延伸室10にてアクリル繊維に対して付与される総蒸気量を、延伸処理されるアクリル繊維トウの1kgに対して、50〜200gとなるように調整され、しかも蒸気噴出ノズル22〜22から噴出する蒸気の噴出速度を10〜30m/sの範囲とするように制御している。
【0026】
次に、上記湿熱延伸室10を使った湿熱延伸方法の具体例を、実施例と比較例とをもって具体的に説明する。
(実施例1〜28、比較例1〜8)
水系懸濁重合法により還元粘度1.95のアクリロニトリル系共重合体(アクリロニトリル/ 酢酸ビニル=93/7重量比) を得た。これをジメチルアセトアミドに共重合体濃度が25重量%となるように溶解して紡糸原液とした。この紡糸原液を40℃、30重量%のジメチルアセトアミド水溶液を満たした紡糸浴中に湿式紡糸し、沸水中で溶剤を洗浄しながら延伸倍率を5倍とする1次延伸を施した。この1次延伸後の膨潤度が80%である延伸糸を引き続き脱水した後、0.1重量%の水酸化ナトリウム水溶液中で中和(pH8.3) した。
【0027】
その後、過剰の水酸化ナトリウムを洗浄し、油剤を付着せしめた後、150℃の熱ローラーで乾燥緻密化を行った。次いで、更に250kPaGの加圧スチーム中で緩和熱処理を行い、単繊維繊度3dtex、トータル繊度100ktexのアクリル繊維トウを得た。
【0028】
このアクリル繊維のトウを、100m/minの速度で、図1〜図6に示した構成を備える上記湿熱延伸装置に供給し、 アクリル繊維トウ1kgに対して付与する蒸気量、噴射口径、噴射口数及び噴出速度を様々に変更して、常圧スチーム雰囲気下で1.20倍の延伸を施し、実施例1〜28及び比較例1〜8によるトータル繊度が100kTexであるアクリル繊維トウを得た。ここで得られたアクリル繊維トウのスチーム収縮率を30回測定したときの平均収縮率を求め、そのスチーム収縮率を、前記蒸気量、噴射口径、噴射口数及び噴出速度とともに、以下の表1に示す。 本発明における熱収縮性アクリル繊維トウの目標収縮率を16.5%に設定した。
【0029】
このときのスチーム収縮率は、次のようにして求めた。
アクリル繊維トウを1m採取する。この試料に5mg/dtexの初荷重をかけたときの長さL(m)を読み取る。試料を無緊張の状態で3分間常圧蒸気雰囲気下に放置し風乾した後、 再度初荷重をかけたときの長さL’(m)を読み取り、次式によってスチーム収縮率S(%)を算出した。
S=(L−L’)/L×100
【0030】
【表1】
Figure 0003973480
【0031】
スチーム収縮率が目標収縮率の±1.5%を超えた場合、収縮不良、収縮斑により製品の風合いや外観等を損なう可能性がある。
【0032】
表1より明らかなごとく、アクリル繊維トウ1kgに対する付与蒸気量が50〜200gの範囲内にあり、且つ噴出速度が10〜30m/secの範囲にあれば、得られたアクリル繊維トウ(実施例1〜28)のスチーム収縮率は、全て目標とする16.5±1.5(%)の範囲となっており、付与蒸気量及び噴出速度の一方又は双方が前記値の範囲から外れている場合には、得られたアクリル繊維トウ(比較例1〜8)のいずれもが目標とするスチーム収縮率16.5±1.5(%)を大きく下回っている。
【0033】
(実施例29〜56及び比較例9〜16)
表2に示すとおり噴射口数を変更した上述の湿熱延伸装置を使い、実施例1と同様の方法にて得られた緩和熱処理後のアクリル繊維トウを、150m/secの速度で供給した以外は、実施例1と同一処理条件で、蒸気吹き付け状態の異なるスチーム雰囲気下で延伸を行い、表2に示す実施例29〜56及び比較例9〜16の様々なスチーム収縮率をもつアクリル繊維トウを得た。ここで得られたアクリル繊維トウのスチーム収縮率を30回測定したときの平均収縮率を表2に示す。
【0034】
【表2】
Figure 0003973480
【0035】
表2から理解できるように、上記実施例1〜28及び比較例9〜16と比較すると、全体的にスチーム収縮率が低下している。これは全体的に噴射口数を減らしていることと、処理速度が1.5倍となっていることとが相まっていると考えられる。しかしながら、これらの実施例であっても、アクリル繊維トウ1kgに対する付与蒸気量が50〜200gの範囲内にあり、且つ噴出速度が10〜30m/secの範囲にあるため、得られたアクリル繊維トウ(実施例29〜56)のスチーム収縮率は、全て目標とする16.5±1.5(%)の範囲となっており、付与蒸気量及び噴出速度の一方又は双方が前記値の範囲から外れている場合には、得られたアクリル繊維トウ(比較例9〜16)のいずれもが目標とするスチーム収縮率16.5±1.5(%)を更に大きく下回っている。
【0036】
以上の説明から、本発明方法及び装置によれば、繊維トウの太さに関わらず、安定した高速度延伸が可能となり、しかも得られるアクリル繊維トウの構成繊維は高バルキー性に富んだ高品質のアクリル繊維製品の素材に必要十分なスチーム収縮率をもつようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のアクリル繊維トウの湿熱延伸装置に適用される湿熱延伸室の代表的な構成例を示す上面図である。
【図2】同湿熱延伸室の正面図である。
【図3】図2におけるII-II 線に沿った矢視拡大断面図である。
【図4】前記湿熱延伸室に配される蒸気噴出管例の全体構成を示す平面図である。
【図5】同湿熱延伸室の正面図である。
【図6】図5におけるV-V 線に沿った矢視拡大断面図である。
【符号の説明】
10 湿熱延伸室
10a アクリル繊維トウの導入口
10b アクリル繊維トウの導出口
11 上加熱函
11a 回動操作杆
12 下加熱函
13 ステンレス板
14 アルミ板
15 パッキン材
16 ブラケット
17 トウ案内バー
18 蒸気導入管嵌挿孔
19 シールワッシャ
20 蒸気噴出管
21 蒸気管
22 蒸気噴出ノズル
22a 蒸気噴出口
23 蒸気導入管
24 Y型ストレーナ

Claims (7)

  1. 緩和熱処理後のアクリル繊維を湿熱雰囲気下で連続して延伸する湿熱延伸工程にあって、
    延伸処理されるアクリル繊維トウの1kgに対して、50〜200gの蒸気を噴出速度10〜30m/sで噴射することを特徴とするアクリル繊維の湿熱延伸方法。
  2. 前記蒸気を直径1.0〜3.0mmの多数の常圧蒸気噴出口から、同噴出口とアクリル繊維トウの噴射表面との間隔を8〜22mmとして噴出させることを特徴とする請求項1記載の湿熱延伸方法。
  3. アクリル繊維トウの延伸方向に多列に配された蒸気噴出口から蒸気を噴出させることを特徴とする請求項1又は2に記載の湿熱延伸方法。
  4. アクリル繊維トウの上下両面に向けて蒸気を噴射させることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の湿熱延伸方法。
  5. 各噴出口からの蒸気の噴出速度差が2m/s以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか記載の湿熱延伸方法。
  6. 緩和熱処理後のアクリル繊維を蒸気噴射室を通過させて連続延伸する湿熱延伸装置であって、
    前記蒸気噴射室の室内に多数の蒸気噴出口を有する噴射ノズルが配されてなり、
    前記噴射ノズルの各噴射口径が1.0〜3.0mmであり、
    その蒸気噴出口から噴出する常圧蒸気が、延伸処理されるアクリル繊維トウの1kgに対して噴出速度10〜30m/s、噴射量50〜200gに設定されてなる、
    ことを特徴とするアクリル繊維の湿熱延伸装置。
  7. 前記噴射ノズルが延伸方向に対して多列に配されてなることを特徴とする請求項6に記載の湿熱延伸装置。
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