JP3973192B2 - 半導体装置およびその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体装置およびその製造方法に関し、特に、非晶質珪素膜を結晶化させた結晶性珪素膜を活性領域とする薄膜トランジスタ(TFT)を用いた半導体装置およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、画面サイズが大型で画素も高密度である液晶表示装置および有機EL表示装置、画像処理が高速で画素も高密度である密着型イメージセンサー、三次元IC等の実現に向けて、ガラス等の絶縁基板上および絶縁膜上に高性能な半導体素子を形成する試みが行われている。これらの装置に用いられる半導体素子には、薄膜状の珪素(Si)半導体を用いるのが一般的である。薄膜状の珪素半導体としては、非晶質珪素半導体(a−Si)および結晶性を有する珪素半導体(p−Si)の2つに大別される。
【0003】
非晶質珪素半導体は、作製温度が低く、気相法で比較的容易に作製することが可能であり、量産性も良好であるために、最も一般的に使用されている。しかし、非晶質珪素半導体は、導電性等の特性が結晶性を有する珪素半導体に比べて劣っている。このため、導電性が良好で高速処理が可能な結晶性を有する珪素半導体から成る半導体装置の作製方法の確立が強く要望されている。
【0004】
結晶性を有する薄膜状の珪素半導体の作製方法としては、次の2つの方法が用いられている。
(1)非晶質の半導体膜を成膜しておき、成膜された非晶質の半導体膜に対してレーザー光等のエネルギービームを照射して、エネルギービーム照射によって生じる熱エネルギーにより結晶成長を行う。
(2)非晶質の半導体膜を成膜しておき、成膜された非晶質の半導体膜に対して加熱処理をして、加熱による熱エネルギーにより固相状態にて結晶成長を行う。
【0005】
一般的には、(1)の方法がよく用いられている。(1)の方法では、溶融固化過程の結晶化現象を利用するために、結晶粒は小粒径であるが、結晶粒内の結晶欠陥は少なく、比較的高品質な結晶性珪素半導体膜が得られる。しかしながら、(1)の方法にて作製された結晶性珪素半導体膜では、結晶粒界部における欠陥密度が高く、各結晶欠陥がキャリア(荷電担体)に対して大きなトラップとして作用する。このために、(1)の方法にて作製された結晶性珪素半導体膜を用いた半導体装置では、十分な特性が得られない。また、結晶成長させる光源のレーザー光等についても、現在、最も一般的に使用されているエキシマレーザーでは、レーザー光の十分な安定性が得られず、照射されるレーザー光の強度が非晶質の半導体膜に対して一様でないために、エキシマレーザーのエネルギービーム照射により結晶成長された結晶性珪素半導体膜から成る半導体素子間の特性ばらつきが問題となっている。
【0006】
(2)の方法では、(1)の方法と比較すると基板内の結晶粒の均一性および安定性において有利であるが、温度600℃、30時間程の長時間にわたる加熱処理が必要であるために、処理時間が長く、量産性が低いという問題点がある。また、(2)の方法では、一つの結晶粒は数μmと比較的大きいが、結晶構造が双晶構造となるために、結晶粒内に多数の双晶欠陥を含み、前述の(1)の方法に比べて結晶粒内の結晶状態が劣る。
【0007】
しかしながら、最近、(1)および(2)の方法に対する改善策として、非晶質珪素膜の結晶化を促進する触媒元素を利用することにより、加熱温度の低温化および処理時間の短縮を図るとともに、結晶状態の向上を図る方法が注目されている。具体的には、非晶質珪素膜の表面にニッケル(Ni)等の金属元素を微量だけ添加して、その後、加熱処理を行う方法である。この方法では、添加された金属元素を核とした結晶核の発生が早期に起こり、その後、添加された金属元素が触媒となって結晶成長を促進し、非晶質珪素膜の結晶化が急速に進行する。さらに、この方法により結晶成長した結晶性珪素膜は、通常の固相成長法(前述の(2)の方法)とは異なり、一つの結晶粒内の結晶構造が結晶欠陥の多い双晶構造ではなく、何本もの柱状結晶ネットワークで構成されており、一つの結晶粒は小さいが、結晶粒内のそれぞれの柱状結晶内部は、ほぼ単結晶の状態となっている。
【0008】
特開平10−270363号公報には、触媒元素により結晶化された珪素に対して、その一部にリン(P)等のV族Bの元素を選択的に添加し、加熱処理を行うことによって、V族Bの元素が添加された領域に、触媒元素を移動(ゲッタリング)させる構成が開示されている。そして、結晶化された珪素のV族Bの元素が添加されていない領域である触媒元素がゲッタリングされた領域を使用して半導体装置の活性領域が形成されている。
【0009】
また、特開平11−40499号公報には、特開平10−270363号公報にて開示された構成に加えて、V族Bの元素が選択的に添加された領域に対してレーザー光などの強い光を照射して、その後、加熱処理を行うことによって、触媒元素のゲッタリング効果を一層高めようとしている。
【0010】
さらに、特開平11−54760公報には、V族Bの元素に加えてIII族Bの元素も添加することによって、触媒元素に対するゲッタリング効果を、さらに高めようとしている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
前述したように、触媒元素を添加することにより非晶質珪素膜の結晶化を促進する方法は、加熱温度の低温化および加熱時間の短縮化が図れ、さらに、結晶化後に得られる結晶性珪素膜の結晶状態は、他の非晶質珪素膜の結晶化方法に比べ明らかに優れている。
【0012】
しかしながら、触媒元素を添加して非晶質珪素膜の結晶化を促進する方法は、金属元素等を主とする触媒元素が珪素半導体膜内に多量に存在している。このため、この方法により結晶化された結晶性珪素半導体膜を用いた装置は、信頼性および電気的特性において、不安定となり好ましくない。前述のニッケル等の結晶化を促進する触媒元素は、非晶質珪素膜を結晶化させる場合には必要であるが、結晶化した結晶性珪素膜内には極力含まれないようにすることが望ましい。
【0013】
この目的を達成するためには、第1に非晶質珪素膜の結晶化に必要な触媒元素の量を極力少なくし、最低限の量で非晶質珪素膜を結晶化させる必要がある。ところが、非晶質珪素膜への触媒元素の添加量を少なくしていくと、結晶化する結晶性珪素膜の結晶成長状態が非常に不安定となる。このような不安定な状態で作製された結晶性珪素膜は、基板内での結晶状態のばらつきが非常に大きくなり、半導体装置の活性領域を構成する結晶性珪素半導体膜としては、使用できない。
【0014】
次に、前述の公報のように、触媒元素を用いて結晶成長させた後、結晶化された結晶性珪素膜にV族B、III族B等の元素を添加して、触媒元素を移動(ゲッタリング)させることにより、結晶性珪素膜の素子形成領域の触媒元素を除去または低減する構成が第2の方法として考えられている。実際に、特開平10−270363号公報において開示されている構成を用いると、結晶化された結晶性珪素膜の素子形成領域から大部分の触媒元素をゲッタリングすることができる。
【0015】
しかしながら、特開平10−270363号公報に開示された構成では、2つの問題点が存在する。第1の問題は、この公報に開示された構成では、触媒元素のゲッタリングにおいて、十分な効果が得られておらず、半導体装置の活性(能動)領域における触媒元素の残留量が、まだ十分に低減できていない点である。実際に、特開平10−270363号公報に開示された構成を用いて、結晶化された結晶性珪素膜の素子形成領域に薄膜トランジスタ(TFT)素子を形成すると、結晶性珪素膜に残留している触媒元素が薄膜トランジスタ素子に悪影響をおよぼしていることが確認できた。特に、結晶性珪素膜に残留している触媒元素が薄膜トランジスタ(TFT)の接合部に存在すると、薄膜トランジスタ(TFT)のOFF動作時のリーク電流が非常に増大するリーク源になると考えられる。
【0016】
前述の特開平10−270363号公報、特開平11−40499号公報および特開平11−54760号公報に開示された構成を用いて、結晶化された結晶性珪素膜の素子形成領域に薄膜トランジスタ(以下TFTと記述)素子を形成すると、それぞれ若干の効果の違いは見られるが、数%程度の比率でTFTのOFF動作時のリーク電流が非常に大きい不良TFTが検出された。そして、それらの不良TFT素子における不良原因を解析すると、チャネル部とドレイン部との接合部に、触媒元素によるシリサイドが存在していることが確認された。したがって、前述の3つの公報に開示された構成では、高性能な半導体装置の作製が可能であるが、不良率が高く、また信頼性も悪く、量産に対応できるような構成ではなかった。
【0017】
第2の問題は、加熱処理の条件(加熱温度、加熱時間)である。前述の3つの公報に開示された構成では、加熱温度550℃以上、加熱時間数時間〜数十時間の加熱処理を行っている。結晶化された結晶性珪素膜から成るTFT素子が形成されるガラス基板として、100mm×100mmサイズ程度の小型ガラス基板および高価な石英基板などを用いる場合には、加熱温度550℃以上は特に問題となる温度ではないが、より大型のガラス基板を使用する場合には、基板のたわみおよび反りが大きな問題となる。本発明の半導体装置の用途としては、液晶表示用および有機EL表示用のアクティブマトリクス基板があるが、そのマザーボード(ガラス基板)は、コストダウンのため大型化する傾向にある。また、TFT素子が形成されるガラス基板は、装置のコンパクト化および軽量化のため、薄板化する傾向も加わり、そのようなガラス基板に対して高温、長時間の加熱処理を行うことは非常に厳しい。実際に、一般的に使用されているコーニング社製コード1737のガラス基板を用いた場合、600mm×720mmの基板サイズ、厚さ0.7mmのガラス基板では、加熱温度500℃程度、加熱時間数時間の加熱処理がほぼ限界であることが実験により確認されている。この加熱処理における最も大きな問題は、ガラス基板の重量によるたわみおよび反りである。さらに、この加熱処理は、ガラス基板上へのパターン形成後に行われるので、ガラス基板に特有の収縮(シュリンケージ:shrinkage)の問題も生じる。これにより、加熱処理工程の前後におけるガラス基板上でのパターン合わせが非常に困難となる。
【0018】
以上、説明したように、前述の3つの公報に開示された構成では、結晶化された結晶性珪素膜の素子形成領域内の触媒元素の量を十分に低減させることができない。また、量産時の対象となる大型のガラス基板に対しても、何らかの改良が必要となる。
【0019】
本発明は、このような課題を解決するものであり、その目的は、結晶化された結晶性珪素膜の素子形成領域内の触媒元素の量を低減させ、大型のガラス基板に対しても量産が可能となり、信頼性が高く安定な特性を有する半導体装置およびその製造方法を提供することにある。
【0020】
【課題を解決するための手段】
本発明の半導体装置の製造方法は、絶縁性表面を有する基板上に非晶質珪素膜を形成し、該非晶質珪素膜に結晶化を促進する第1の元素を添加する工程と、その後、第1の加熱処理を施し、該第1の元素が添加された該非晶質珪素膜の結晶成長を行い、結晶性珪素膜を形成する工程と、該結晶性珪素膜の一部の領域に、選択的に該第1の元素を引き寄せる効果を有する第2の元素を添加し、該第2の元素が添加された領域を非晶質化する工程と、該第2の元素が添加され非晶質化した領域が、少なくとも完全に結晶化しない状態にて第2の加熱処理を行い、該結晶性珪素膜内の該第1の元素を、該第2の元素が添加され非晶質化した領域に移動させる工程と、該第2の元素が添加された領域以外の領域の該結晶性珪素膜を用いて、少なくとも半導体装置の能動領域を形成する工程と、を包含することを特徴とする。
【0021】
本発明の半導体装置の製造方法は、絶縁性表面を有する基板上に非晶質珪素膜を形成し、該非晶質珪素膜の一部の領域に結晶化を促進する第1の元素を選択的に添加する工程と、その後、第1の加熱処理を施し、該第1の元素が選択的に添加された領域から隣接する周辺領域に向かって該基板と平行方向に該非晶質珪素膜の結晶成長を行い、結晶性珪素膜を形成する工程と、該結晶性珪素膜の一部の領域に、選択的に該第1の元素を引き寄せる効果を有する第2の元素を添加し、該第2の元素が添加された領域を非晶質化する工程と、該第2の元素が添加され非晶質化した領域が、少なくとも完全に結晶化しない状態で第2の加熱処理を行い、該結晶性珪素膜内の該第1の元素を、該第2の元素が添加され非晶質化した領域に移動させる工程と、該第2の元素が添加された領域以外の、該基板と平行方向に結晶成長した領域の該結晶性珪素膜を用いて、少なくとも半導体装置の能動領域を形成する工程と、を包含することを特徴とする。
【0022】
前記第2の加熱処理では、前記第2の元素が添加され非晶質化した領域において、結晶核の発生が全く生じない。
【0023】
前記第2の加熱処理は、加熱温度が450℃〜580℃の範囲内であり、加熱時間が0.5時間〜8時間である。
【0024】
前記第2の加熱処理は、抵抗性加熱炉を用いる。
【0025】
前記抵抗性加熱炉は、前記基板を、該基板の平面形状と概略相似形の断面形状を持つ炉心管の内部に、該基板の平面を炉心方向に向け、炉心管の周囲と該基板の側端部との間の間隔が最小となるように配置したファーネス炉である。
【0026】
前記第2の元素は、V族Bの元素であり、V族Bの元素から少なくとも1種類以上、選択される。
【0027】
前記V族Bの元素がリン(P)である。
【0028】
前記結晶性珪素膜の一部の領域に、V族Bの元素を添加するとともに、III族Bの元素も添加する。
【0029】
前記V族Bの元素がリン(P)であり、III族Bの元素がホウ素(B)である。
【0030】
前記第2の元素は、希ガス元素であり、希ガス元素から少なくとも1種類以上、選択される。
【0031】
前記希ガス元素がアルゴン(Ar)である。
【0032】
前記第2の元素の添加は、質量分離を行わないイオンシャワードーピング法によって行われる。
【0033】
前記第2の元素は、前記能動領域に隣接した周辺部に添加される。
【0034】
前記第1の元素の添加および前記第2の元素の添加が同一の添加用マスクを用いて行われる。
【0035】
前記能動領域に隣接した前記周辺部は、不純物領域である。
【0036】
前記不純物領域は、V族Bの元素が添加されて、ソース領域およびドレイン領域を形成する。
【0037】
前記不純物領域に高速熱アニール処理またはレーザーアニール処理を行う。
【0038】
前記結晶性珪素膜にレーザーアニール処理を行う。
【0039】
前記第1の元素は、Ni、Co、Fe、Pd、Pt、Cu、Auから選択された一種類または複数種類のた元素である。
【0040】
前記第1の元素は、少なくともNiが選択される。
【0041】
本発明の半導体装置は、絶縁性表面を有する基板上に、活性領域を有する結晶性珪素膜が形成された半導体装置であって、該活性領域は、非晶質珪素膜の結晶化を促進する第1の元素を含むとともに、該第1の元素が該活性領域の全領域において該結晶性珪素膜の格子間に固溶していることを特徴とする。
【0042】
本発明の半導体装置は、絶縁性表面を有する基板上に、活性領域を有する結晶性珪素膜が形成された半導体装置であって、該活性領域は、能動領域および不純物領域が設けられており、該活性領域は、非晶質珪素膜の結晶化を促進する第1の元素を含むとともに、該第1の元素が該活性領域内の能動領域において該結晶性珪素膜の格子間に固溶していることを特徴とする。
【0043】
前記能動領域内の前記第1の元素の濃度が、前記不純物領域内の前記第1の元素の濃度よりも低くなるように設定されている。
【0044】
前記第1の元素としてニッケル(Ni)が含まれている。
【0045】
前記第1の元素の濃度は、1×1015〜1×1017/cm3の範囲内である。
【0046】
以下、本発明の半導体装置およびその製造方法について詳細に説明する。
【0047】
触媒元素を添加することにより非晶質珪素膜の結晶化を促進させ高品質な結晶性珪素膜を得るために、検討を重ねた結果、以下に説明するような知見によって、前述の問題点を解決するための半導体装置およびその製造方法が得られた。
【0048】
まず、本発明の半導体装置の製造方法の要旨を説明する。
【0049】
▲1▼ガラス基板等の絶縁基板上に形成された非晶質珪素膜に、非晶質珪素膜の結晶化を促進する第1の元素である触媒元素を添加して、第1の加熱処理を行い非晶質珪素膜を結晶成長させる。
【0050】
▲2▼その後、結晶化した結晶性珪素膜の一部に、選択的に触媒元素を引き寄せる効果を持つ第2の元素であるゲッタリング元素を添加して、ゲッタリング元素を添加した領域を非晶質化させる。
【0051】
▲3▼その後、ゲッタリング元素が添加され非晶質化した領域が少なくとも完全に結晶化しない状態を保ちながら第2の加熱処理を行う。
【0052】
▲4▼そして、第2の加熱処理により結晶性珪素膜内の触媒元素を、ゲッタリング元素が添加され非晶質化した領域に移動させ、ゲッタリング元素が添加された領域以外の領域を用いて半導体装置の能動(チャネル)領域を形成する。
【0053】
また、本発明の半導体装置の製造方法において、ガラス基板等の絶縁基板上に形成された非晶質珪素膜の一部分に、触媒元素を選択的に添加し、第1の加熱処理を行うことにより、触媒元素が選択的に添加された領域からその周辺領域に向かって横方向(基板表面と平行)に非晶質珪素膜を結晶成長させて結晶性珪素膜を形成し、その後、結晶性珪素膜の一部にゲッタリング元素を添加しても、同様の効果が得られる。この場合、ゲッタリング元素が添加された領域以外の横方向に結晶成長した結晶性珪素膜の領域を用いて半導体装置の能動(チャネル)領域を形成すると、高い電流駆動能力を持つ高性能な半導体装置(TFT等)が得られる。
【0054】
本発明の半導体装置の製造方法の重要なポイントは、次の2点である。
【0055】
第1点は、第1の加熱処理後に、非晶質珪素膜が結晶化した結晶性珪素膜の一部にゲッタリング元素を添加することによって、ゲッタリング元素を添加した領域を非晶質化させることである。
【0056】
第2点は、結晶性珪素膜の一部にゲッタリング元素を添加後、ゲッタリング元素を添加して非晶質化された領域が少なくとも完全に結晶化しない状態を保ちながら第2の加熱処理を行うことである。
【0057】
特に、第2の加熱処理の加熱温度および加熱時間の設定が最も重要である。第2の加熱処理の加熱温度および加熱時間は、結晶性珪素膜内の触媒元素の濃度とゲッタリング元素が添加され非晶質化した領域の触媒元素の濃度とが、少なくとも熱平衡状態において偏析状態となるように設定しなければならない。
【0058】
これにより、本発明の半導体装置の製造方法では、従来の半導体装置の製造方法と比較して、半導体装置を形成する結晶性珪素膜の活性領域に残留する触媒元素の量を著しく低減することが可能となり、高い電流駆動能力を持つ高性能な半導体装置(TFT等)が得られ、TFTのOFF動作時のリーク電流の異常も見られず、高い信頼性も同時に確保することができる。
【0059】
次に、本発明の半導体装置の製造方法において、半導体装置を形成する結晶性珪素膜の活性領域に残留する触媒元素の量が低減するメカニズムを説明する。所定の領域内の触媒元素を所定の領域以外の領域に移動させるゲッタリング(gettering)のメカニズムとしては、第1のゲッタリング作用および第2のゲッタリング作用がある。
【0060】
第1のゲッタリング作用は、任意の領域が触媒元素に対する固溶度を他の領域より高くなるように形成され、その任意の領域に触媒元素を移動させる方法である。
【0061】
第2のゲッタリング作用は、任意の領域にて、触媒元素をトラップするような結晶欠陥または局所的な偏析サイトを形成し、結晶欠陥または局所的な偏析サイトに触媒元素を移動させトラップさせる方法である。
【0062】
本発明の半導体装置の製造方法では、結晶性珪素膜の一部にゲッタリングシンクとしてゲッタリング元素を添加した領域を、ゲッタリング元素の添加時に非晶質化し、ゲッタリング元素が添加されて非晶質化した領域が結晶化しない状態を保ちながら第2の加熱処理を行うことによって、第2のゲッタリング作用の利点を最大限に引き出すことができる。これにより、結晶性珪素膜のゲッタリング元素の添加時に非晶質化した領域の不対結合手(ダングリングボンド)等の結晶欠陥が、触媒元素に対する偏析サイトとなり、触媒元素を結晶性珪素膜より移動させ、上層の非晶質珪素膜でトラップする。この結果、半導体装置(TFT等)の活性領域として利用する下層の結晶性珪素膜中の触媒元素の濃度が著しく低減し、TFTのOFF動作時のリーク電流の異常が無くなり、高い信頼性を得ることができる。
【0063】
また、本発明の半導体装置の製造方法では、ゲッタリングのための第2の元素として、リン(P)、窒素(N)、砒素(As)、アンチモン(Sb)、ビスマス(Bi)から選択したV族B元素を用いることが有効である。これらのV族B元素を非晶質珪素膜が結晶化した結晶性珪素膜の一部に添加することによって、結晶性珪素膜のV族B元素が添加された領域における触媒元素の固溶度を飛躍的に上げることができる。これにより、触媒元素の固溶度の差によって、触媒元素がV族B元素が添加されていない領域からV族B元素が添加された領域に移動し、第1のゲッタリング作用が効果的に行われる。この結果、本発明の半導体装置の製造方法では、前述した触媒元素のゲッタリングにおける第1および2のメカニズムの効果を両方とも同時に得ることができ、下層の活性領域となる結晶性珪素膜において著しく触媒元素の濃度を低減することができる。V族B元素の中で、最もゲッタリング効果の高いのはリン(P)であり、結晶性珪素膜の一部にリン(P)を添加する領域とリン(P)を添加しない領域との間の固濃度の差が最も大きくなる。
【0064】
V族B元素を用いたゲッタリング方法は、前述の特開平10−270363号公報、特開平ll−40499号公報および特開平11−54760号公報において開示されている。これらの公報に開示されているゲッタリング方法は、V族B元素を添加した領域と添加していない領域とにおける触媒元素の固溶度の差によって触媒元素を移動させる第1のゲッタリング作用を利用している。
【0065】
これに対して、本発明のゲッタリング方法は、主に、結晶性珪素膜の一部のゲッタリング元素が添加され非晶質化した領域の不対結合手(ダングリングボンド)等の結晶欠陥である局所的偏析サイトに触媒元素を移動させトラップする第2のゲッタリング作用を利用している。本発明のゲッタリング方法では、第1のゲッタリング作用とこの第2のゲッタリング作用とを組み合わせる相乗効果によって、前述の公報に開示されている従来のゲッタリング法に比較して著しくゲッタリング効率を向上できる。
【0066】
本発明の半導体装置の製造方法により、得られた結晶性珪素膜は、触媒元素の残留量を簡易的に確認する方法として用いられているフッ酸系のエッチング液(etchant)によるライトエッチング処理を行い、結晶性珪素膜の活性領域に残留している触媒元素を顕在化させる評価を行う場合にも、従来、検出されていたエッチピットは全く発生しない。
【0067】
また、厳しい評価として、さらに高温での加熱処理を行うと、結晶性珪素膜の活性領域内に残留している触媒元素が再凝集してシリサイド状態となって現れる。この評価を前述の特開平10−270363号公報、特開平11−40499号公報および特開平11−54760号公報に開示されている構成にて形成された結晶性珪素膜に対して行うと、触媒元素の再凝集が発生した。しかし、本発明の半導体装置の製造方法によって形成された結晶性珪素膜には、触媒元素の再凝集が全く検出されなかった。
【0068】
実際に、本発明の半導体装置の製造方法を用いて作製されたTFTは、TFTのOFF動作時のリーク電流の異常な増加現象が全く検出されず、発生率は0%であった。これに対して、前述の公報に開示されている構成および従来技術によって作製されたTFTは、同様のリーク電流の異常な増加現象の発生率が3%以上であった。さらに、本発明の半導体装置の製造方法を用いて作製されたTFTを使用した液晶表示装置では、従来のTFTを用いて多発していた駆動部のサンプリングTFTに起因する表示画像の線状の表示むら、および、TFTのOFF動作時のリーク電流による画素欠陥も全く発生せず、表示品位を大きく向上できるとともに、製品歩留まりを飛躍的に上げることができた。
【0069】
また、ゲッタリング効果を向上させるために、ゲッタリング元素であるV族B元素に加えて、III族B元素も結晶性珪素膜の一部に添加しても良い。この場合、5族B元素としてリン(P)および3族B元素としてホウ素(B)の組み合わせることによって、ゲッタリング効果が最も高くなる。結晶性珪素膜の一部にリン(P)およびホウ素(B)を添加してゲッタリングシンクを形成すると、ゲッタリングのメカニズムが変化することが確認されている。
【0070】
ゲッタリング元素のリン(P)のみが添加されている場合には、リン(P)が添加されたゲッタリング領域とリン(P)が添加されていないノンドープの非ゲッタリング領域との触媒元素に対する固溶度の差を利用した拡散移動型のゲッタリングとなり、第1のゲッタリング作用が顕著である。
【0071】
ゲッタリング元素のリン(P)にホウ素(B)を加えて添加する場合には、ゲッタリング元素のリン(P)およびホウ素(B)が結晶性珪素膜に添加されて非晶質化した領域のゲッタリングシンクにて結晶欠陥等の偏析サイトに触媒元素が析出し易くなり、第2のゲッタリング作用が優勢になる。
【0072】
ゲッタリング元素のリン(P)にホウ素(B)を加えて添加する場合は、ゲッタリング元素のリン(P)のみを添加する場合よりも、ゲッタリングの効果は大きいが、結晶欠陥等の偏析サイトによってゲッタリングが行われるために、加熱温度および温度範囲の設定が重要なポイントとなる。
【0073】
本発明では、結晶性珪素膜の一部にゲッタリング元素を添加して、ゲッタリング元素が添加されたゲッタリング領域を非晶質化させ、ゲッタリング領域に結晶欠陥等のゲッタリングサイトを残しゲッタリング領域の再結晶化が起こらないように、第2の加熱処理を行うため、前述の第2のゲッタリング作用をさらに高めることができる。この結果、結晶性珪素膜内のゲッタリング領域にリン(P)に加えてホウ素(B)も添加することによって、触媒元素に対するより大きなゲッタリング効果が得られ、結晶性珪素膜の能動領域(チャネル領域)において触媒元素の残留量の低減が図れる。
【0074】
また、本発明の半導体装置の製造方法におけるゲッタリング元素としては、前述のV族B元素の他に、アルゴン(Ar)、クリプトン(Kr)、キセノン(Xe)等の希ガス元素を用いても良い。これらの希ガス元素が、ゲッタリング領域に存在すると、ゲッタリング領域には結晶欠陥である大きな格子間歪みが生じており、本発明の特徴である結晶欠陥等の偏析サイトによってゲッタリングを行う第2のゲッタリング作用が非常に強くなる。また、希ガス元素は、非晶質珪素膜内に存在すると、希ガス元素が存在する非晶質領域の結晶成長を阻害し、結晶成長(結晶核発生)までの潜伏期間が長くなり、結晶成長速度を遅らせる効果を有している。このため、本発明において、希ガス元素は、結晶性珪素膜内にゲッタリング元素として添加されると、希ガス元素により非晶質化されたゲッタリング領域を、再結晶化させずに、より非晶質状態のままで保つことができ、大きな第2のゲッタリング作用が得られる。したがって、前述の希ガス元素をゲッタリング元素として用いることは、非常に有効な手段であり、希ガス元素の中でも、アルゴン(Ar)をゲッタリング元素として用いた場合に、最も大きなゲッタリング効果が得られる。
【0075】
次に、ゲッタリング元素を結晶性珪素膜の一部に選択的に添加する方法としては、質量分離を行わないイオンシャワードーピング法が望ましい。その他の方法を用いてもある程度の効果は得られるが、イオンシャワードーピング方法を用いたときのゲッタリング効果が特に顕著である。この理由は、イオンシャワードーピングにより、ゲッタリング元素に加えて多量の水素等も結晶性珪素膜に添加され、結晶性珪素膜内のゲッタリング元素が添加された領域において珪素膜の結晶状態が強く乱されるため、ゲッタリング元素が添加された領域を完全に非晶質化できるからである。
【0076】
本発明では、結晶性珪素膜内にゲッタリング元素を添加する領域が非晶質化されることが第1の重要なポイントであり、その非晶質化が強いほど、よりゲッタリング効果が得られる。
【0077】
本発明の半導体装置の製造方法における第2の加熱処理は、結晶性珪素膜の一部にゲッタリング元素を添加して非晶質化された領域が、少なくとも完全に結晶化しない状態を保ちながら行うことによって、前述の第2のゲッタリング作用を最低限引き出すことができる。さらに、この第2の加熱処理は、ゲッタリング元素を添加して非晶質化された領域において結晶核の発生(結晶成長)が全く生じない状態を保ちながら行われることがより好ましい。これにより、第2の加熱処理は、結晶性珪素膜内の触媒元素がゲッタリング元素を添加して非晶質化された領域に移動するゲッタリングの全期間において、ゲッタリング効果が最大限となる偏析サイトを保ちながら、第2のゲッタリング作用を最大限に引き出すことができる。
【0078】
本発明の半導体装置の製造方法では、ゲッタリングのための第2の加熱処理が第2の重要ポイントであり、ゲッタリング元素が添加され非晶質化した領域が少なくとも完全に結晶化しない状態で、好ましくは結晶核の発生が全く生じない状態で、この第2の加熱処理を行う必要がある。このため、第2の加熱処理は、加熱温度を低く、加熱時間を短く設定するとともに、加熱温度の下限を設定しなければならない。
【0079】
第2の加熱処理条件の加熱温度および加熱時間は、結晶性珪素膜内の触媒元素をゲッタリング領域に移動させるために設定されているが、最も望ましいのは、結晶性珪素膜内の触媒元素の濃度とゲッタリング元素が添加され非晶質化した領域の触媒元素の濃度とが、少なくとも熱平衡状態において偏析状態となるような加熱温度および加熱時間が設定されることである。このような状態で第2の加熱処理条件の加熱温度および加熱時間が設定されることによって、ゲッタリング作用は、飽和状態となっており、安定した最大限のゲッタリング効果が得られる。熱平衡状態において偏析状態になる以前では、触媒元素が移動している中途半端な状態であり、プロセス的にも不安定である。
【0080】
したがって、本発明の半導体装置の製造方法の第2の加熱処理の条件としては、加熱温度450℃〜580℃の範囲内、加熱時間0.5時間〜8時間の範囲内であることが望ましい。この条件の加熱温度および加熱時間の設定値以上の高温および長時間の加熱処理を行うと、ゲッタリング元素が添加され非晶質化した領域が結晶化される可能性がある。この場合、本発明の特徴である第2のゲッタリング作用の効果は無くなり、本発明の十分な効果が得られない。また、加熱温度450℃以下になると、加熱時間が非常に長くなり、量産性の効率低下、加熱装置の台数増加およびフットプリント(床面積)の拡大から量産用プロセス条件として採用は難しい。
【0081】
ここで、本発明の第2の加熱処理におけるガラス基板等の絶縁基板に対する加熱温度までの昇温速度および降温速度としては、少なくとも、それぞれ5℃/分以上で昇温および降温することが望ましい。このことは、本発明者らの実験結果より、5℃/分以上の昇温速度及び降温速度で処理を行えば、本発明の効果を損なうことはなく、特に問題も出ないことが確認されている。この昇温速度および降温速度が遅くなると、余分な加熱処理がガラス基板に加わることになり、ガラス基板に対する熱ストレスが増加するとともに、昇温過程および降温過程において、ゲッタリング元素が添加されて非晶質化した領域で再結晶化が誘引される可能性がある。
【0082】
本発明の半導体装置の製造方法では、第2の加熱処理を行う製造装置の構成も重要なポイントである。第2の加熱処理を行う製造装置については、後述する本発明の第1の実施形態である半導体装置の製造方法において詳細に説明する。
【0083】
次に、本発明の半導体装置の製造方法において、結晶性珪素膜の一部に選択的に第2の元素であるゲッタリング元素が添加される。この場合、ゲッタリング元素は、パターン形成された添加用マスクを用い、最終的に形成される半導体装置の能動(チャネル)領域上を少なくともマスクした状態で、能動(チャネル)領域を取り囲むように、能動(チャネル)領域の周辺部に添加することが望ましい。この場合、半導体装置の活性領域全体である素子領域をマスクした状態で、素子領域を取り囲むように、素子領域の周辺部に添加すると、チャネル領域だけでなく、素子領域(チャネル領域、ソース領域およびドレイン領域)に、触媒元素がほとんど含まれない状態が得られる。このようにすることによって、後工程において触媒元素による汚染を防止することができる。
【0084】
このようにチャネル領域、ソース領域およびドレイン領域の素子領域を取り囲むようにゲッタリング元素の添加を行うと、チャネル領域、ソース領域およびドレイン領域内の触媒元素は、素子領域の周辺部の全方向に向かって外側に移動することができるため、非常に効率的に素子領域内の触媒元素を素子領域外に移動させることができ、優れたゲッタリング効果が得られる。
【0085】
また、本発明の半導体装置の製造方法では、ガラス基板上に形成された非晶質珪素膜の一部に触媒元素を選択的に添加し、第1の加熱処理を行うことにより、触媒元素を選択的に添加された領域からその周辺領域に向かって横方向(基板表面と平行)に非結晶質珪素膜を結晶成長させて結晶性珪素膜を形成する場合には、触媒元素の選択的な添加を、パターン形成された添加用マスクを用いて行い、その後の結晶性珪素膜に一部に第2の元素であるゲッタリング元素を選択的に添加する工程も、同一の添加用マスクを用いて行うことが可能となる。このようにすることよって、触媒元素およびゲッタリング元素のそれぞれの添加工程に対して、異なる添加マスクを作成する必要が無く、製造プロセスの簡略化が図れる。
【0086】
同時に、後工程において結晶性珪素膜に、半導体装置のチャネル領域が形成される領域は、触媒元素およびゲッタリング元素の添加工程に渡って、常に、マスクにより被覆されている状態が保たれ、露出されない。その結果、結晶性珪素膜内のチャネル領域に対して、製造プロセスに起因する汚染を最小限に抑えることができる。そして、製造プロセスの簡略化および製造プロセスに起因する汚染の抑制により、半導体装置の歩留まりの向上および低コスト化が図れる。
【0087】
さらに、本発明の半導体装置の製造方法では、結晶性珪素膜の一部に第2の元素であるゲッタリング元素を選択的に添加する方法として、特に、専用の添加用マスクを用いず、結晶性珪素膜内の半導体装置の素子領域(チャネル領域、ソース領域およびドレイン領域)における不純物領域(ソース領域およびドレイン領域)に対してゲッタリング元素を添加することも有効である。この場合には、ゲッタリング工程に対して専用のマスクを用いないため、触媒元素を用いずに非結晶質珪素膜を結晶化する場合と同一のマスク数でTFTが作製でき、触媒元素を添加する工程の工数が生じず、極めて生産性の高い製造プロセスが得られる。
【0088】
この場合、ゲッタリング元素としてV族B元素を用いると、結晶性珪素膜内のゲッタリング元素を添加した領域を、そのまま不純物領域(ソース領域およびドレイン領域)として使用することによって、ゲッタリングのためのV族B元素の添加工程と不純物領域(ソース領域およびドレイン領域)のための不純物添加工程とを兼ねるため、不純物添加工程の工数増加が無くなる。これにより、製造プロセズが大きく簡略化でき、生産性の向上が図れる。
【0089】
但し、この場合、ゲッタリングのための第2の加熱処理では、結晶性珪素膜内のゲッタリング元素が添加され非晶質化した領域が再結晶化しないことが条件であるので、第2の加熱処理により不純物領域であるソース領域およびドレイン領域を活性化させることは難しい。これにより、第2の加熱処理を行い、半導体装置の能動領域となるチャネル領域内の第1の元素である触媒元素を不純物領域に移動させた後に、不純物領域に移動した触媒元素が再拡散しないような短時間の高速熱アニール処理またはレーザー光等の強い光照射処理を行い、不純物領域の活性化を行うことが望ましい。これにより、ゲッタリング効果および不純物活性化効果の両方が得られる。
【0090】
本発明において、触媒元素により結晶化された結晶性珪素膜の結晶状態を向上させて、結晶性珪素膜に形成された半導体装置の電流駆動能力等の特性を向上させるには、触媒元素により結晶化された結晶性珪素膜に対して、酸化雰囲気中にて高温の加熱処理を行う工程またはレーザー光を照射する工程をさらに追加しても良い。酸化雰囲気中にて高温の加熱処理を行い、触媒元素により結晶化された結晶性珪素膜の結晶状態を向上させる方法では、触媒元素により結晶化された結晶性珪素膜に対して、温度800℃〜1100℃の高温状態で酸化処理を行うと、酸化作用により生じる過飽和Si原子が結晶性珪素膜内に供給され、過飽和Si原子が、結晶性珪素膜内の不対結合手(ダングリングボンド)等の結晶欠陥に入り込み、結晶欠陥を消滅させ結晶状態を向上させることができる。しかし、この方法では、安価なガラス基板に対して使用できず、本発明においては、レーザー光を照射する方法がより有効となる。
【0091】
本発明の半導体装置の製造方法により得られる結晶性珪素膜に対して、レーザー光を照射した場合、結晶性珪素膜と非晶質珪素膜との融点が異なることから、結晶粒界部および微小な残留非晶質領域(未結晶化領域)が集中的に熱処理される。ここで、通常の固相成長法で形成した結晶性珪素膜では、結晶構造が双晶状態であるため、レーザー光等の強い光照射後も結晶粒内部には双晶欠陥が残る。これに対して、非晶質珪素膜に触媒元素を添加し結晶化された結晶性珪素膜は、柱状結晶で形成されており、その内部は単結晶状態であるため、レーザー光等の強い光照射により結晶粒界部が処理されるとガラス基板全面にわたって単結晶状態に近い良質の結晶性珪素膜が得られ、結晶性珪素膜に対するレーザー光の照射は非常に有効である。
【0092】
また、元々結晶性を有する珪素膜に対してレーザー光の照射を行うために、非晶質珪素膜に直接レーザー光を照射し結晶化する方法とは異なり、レーザー光の照射強度のばらつきによる結晶欠陥の発生は大きく緩和され、形成された結晶性珪素膜の均一性の問題も生じない。本発明では、このようなレーザー光の照射処理を行う工程は、ゲッタリング工程の前に行うことが望ましい。その理由は、触媒元素による固相結晶化で得られた結晶性珪素膜にレーザー光を照射すると、結晶性珪素膜内の触媒元素の存在形態がシリサイドとしての凝集、再凝集等のように変化を生じる可能性があり、半導体装置における能動領域(チャネル領域)の結晶性珪素膜より触媒元素を取り除くゲッタリング工程としては、完全に活性領域を構成する結晶性珪素膜の結晶状態が固まってから行うのが望ましい。これにより、理想的なゲッタリングが行える。
【0093】
本発明の半導体装置の製造方法に使用できる触媒元素は、Ni、Co、Fe、Pd、Pt、Cu、Au等である。これらの元素から一種類または複数種類の元素を選択して、非晶質珪素膜に添加すると、微量にて非晶質珪素膜に対して結晶化促進の効果がある。これらの元素の中でも、特に、Ni(ニッケル)を使用した場合に、最も顕著な結晶化促進の効果が得られる。この理由は、次のようなモデルについて考えられる。触媒元素は、単独では非晶質珪素膜に作用せず、珪素と結合してシリサイド化することによって非晶質珪素膜の結晶成長に作用する。その際のシリサイドの結晶構造が、非晶質珪素膜の結晶化に一種の鋳型のように作用し、非晶質珪素膜の結晶化を促すというモデルである。Niは、2つのSi(シリコン元素)と結合し、シリサイドNiSi2を形成する。シリサイドNiSi2は、螢石型の結晶構造を有し、単結晶珪素のダイヤモンド構造と非常に類似している。しかも、シリサイドNiSi2の格子定数は、5.406Åであり、単結晶珪素のダイヤモンド構造の格子定数の5.430Åに非常に近い値である。これにより、シリサイドNiSi2は、非晶質珪素膜を結晶化させるために、最高の鋳型として作用し、本発明における触媒元素としては、Niを用いるのが最も望ましい。
【0094】
本発明の半導体装置の製造方法によって形成された半導体装置は、ガラス基板等の絶縁性表面を有する基板上に形成された結晶性を有する珪素膜を活性領域として形成されている。その活性領域には、非晶質珪素膜の結晶化を促進する触媒元素が添加されており、その触媒元素が活性領域の全領域において結晶性珪素膜の格子間に固溶している状態であり、最終的に得られる半導体装置の活性領域における触媒元素の残留する濃度は、1×1015〜1×1017/cm3の範囲内である。前述した半導体装置の製造方法を用いることにより、初めて、このように触媒元素の残留する濃度が低減された半導体装置が得られる。
【0095】
半導体装置の活性領域内に残留する触媒元素の量は出来る限り低いほど良いが、触媒元素により非晶質珪素膜の結晶化を促進し、第1のゲッタリング作用および第2のゲッタリング作用を組み合わせたゲッタリング効率の高いゲッタリング処理を行っても、少なくとも1×1015/cm3以上の濃度の触媒元素が結晶性珪素膜の活性領域内に残存する。しかし、結晶性珪素膜の活性領域内の触媒元素は、触媒元素の残留濃度を1×1017/cm3以下にて、結晶性珪素膜の格子間に固溶している状態であれば、触媒元素は半導体装置の素子特性に電気的な影響を全く及ぼさない。この結果、前述した半導体装置の製造方法によって、高性能、高信頼性および高安定性の半導体装置が得られる。
【0096】
前述の半導体装置は、活性領域全体である素子領域に渡って、触媒元素の残留濃度が1×1017/cm3以下であれば最も良いが、少なくとも能動領域(チャネル領域)内において触媒元素が結晶性珪素膜の格子間に固溶している状態であり、能動領域(チャネル領域)における触媒元素の濃度が1×1015〜1×1017/cm3の範囲内であれば、高性能、高信頼性および高安定性が得られる。このような半導体装置は、素子領域内の不純物領域(ソース領域およびドレイン領域)に触媒元素をゲッタリングしたことにより得られ、素子領域内における触媒元素の濃度は、能動領域(チャネル領域)の濃度よりも不純物領域(ソース領域およびドレイン領域)の濃度の方が高くなるよう設定されている。本発明の半導体装置における活性領域中に含まれる触媒元素種としては、前述の理由からNi元素が含まれていることが最も望ましい。
【0097】
本発明は、このような知見に基づくものである。
【0098】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の半導体装置の製造方法の具体例を詳細に説明する。
【0099】
本発明の第1の実施形態である半導体装置の製造方法を図1(A)〜(G)に基づいて説明する。本発明の第1の実施形態では、ガラス基板上にN型TFTを作製する場合の工程について説明を行う。第1の実施形態のN型TFTは、アクティブマトリクス型液晶表示装置のドライバー回路および画素部分、薄膜集積回路等を構成する素子としても利用することができる。
【0100】
図1(A)〜(G)は、それぞれ本発明の第1の実施形態である半導体装置の製造方法における各工程を示す断面図である。
【0101】
まず、図1(A)に示すように、ガラス基板101上に、例えば、プラズマCVD法によって厚さ300〜500nm程度の酸化珪素から成る下地膜102を形成する。この酸化珪素の下地膜102は、ガラス基板101の上方に形成される素子領域に、ガラス基板101から不純物の拡散を防止するために設けられる。その後、酸化珪素の下地膜102上に、プラズマCVD法によって、厚さ20〜80nm、例えば、厚さ40nmの真性(I型:intrinsic type)の非晶質珪素膜(a−Si膜)103を形成する。本発明の第1の実施形態では、平行平板式のプラズマCVD装置を用い、加熱温度を300℃とし、材料ガスにSiH4ガスおよびH2ガスを用いた。そして、プラズマCVD装置のRFパワーは、パワー密度を10〜200mW/cm2とし、例えば、80mW/cm2として行った。
【0102】
その後、非晶質珪素膜(a−Si膜)103上に均等にニッケル(Ni)105の微量添加を行う。このニッケル105の微量添加は、ニッケル105を溶融させた溶液を非晶質珪素膜(a−Si膜)103上に保持し、スピナーによりニッケル105を溶融させた溶液をガラス基板101上の非晶質珪素膜(a−Si膜)103上に均一に延ばし乾燥させることにより行った。第1の実施形態では、溶質として酢酸ニッケルを用い、溶媒として水を用い、溶液中のニッケル濃度を10ppmに設定した。非晶質珪素膜(a−Si膜)103上の添加されたニッケルの濃度を全反射蛍光X線分析(TRXRF:Total Reflection X−Ray Fluorescence)法により測定すると、ニッケルの濃度は5×1012atoms/cm2程度であった。
【0103】
その後、不活性雰囲気、例えば窒素雰囲気において第1の加熱処理を行う。この第1の加熱処理は、第1ステップとして昇温途中にまず非晶質珪素膜(a−Si膜)103内の水素離脱処理を行い、さらに第2ステップとして高温にて非晶質珪素膜(a−Si膜)103の結晶化を行った。具体的には、第1の加熱処理の第1ステップとして、加熱温度450〜520℃、加熱時間1〜2時間のアニール処理を行い、第1の加熱処理の第2ステップとして、加熱温度520〜570℃、加熱時間2〜8時間のアニール処理を行う。第1の実施形態では、一例として、第1の加熱処理の第1ステップとして加熱温度500℃、加熱時間1時間のアニール処理を行った後、さらに、第2ステップとして加熱温度550℃、加熱時間4時間のアニール処理を行った。この第1の加熱処理において、非晶質珪素膜(a−Si膜)103上に添加されたニッケル105が非晶質珪素膜(a−Si膜)103内部に拡散するとともに、シリサイド化が起こり、それを核として非晶質珪素膜(a−Si膜)103の結晶化が進行する。
【0104】
その結果、非晶質珪素膜(a−Si膜)103は、結晶化され、図1(B)に示すように、結晶性珪素膜103aとなる。
【0105】
次に、図1(B)に示すように、結晶性珪素膜103a上に、レーザー光107を照射する。レーザー光107の照射は、結晶性珪素膜103aをさらに再結晶化させ、結晶性珪素膜103aの結晶状態を向上させる。この場合のレーザー光は、XeClエキシマレーザー(波長308nm、パルス幅40nsec)を使用した。レーザー光の照射条件は、レーザー光のエネルギー密度250〜450mJ/cm2、例えば350mJ/cm2で照射し、照射時にガラス基板101を温度200〜450℃、例えば温度400℃に加熱した。レーザー光のビームサイズは、ガラス基板101表面にて150mm×lmmの長尺形状となるように成型されており、長尺方向に対して垂直方向に0.05mmのステップ幅により順次走査を行った。これにより、結晶性珪素膜103a上の任意の一点において、計20回のレーザー照射が行われることになる。この結果、固相結晶化により得られた結晶性珪素膜103aは、レーザー光の照射による溶融固化過程により結晶欠陥が低減され、より高品質な結晶性珪素膜103cとなる。
【0106】
次に、素子間分離のために、結晶性珪素膜103cの不要な部分を、図1(C)に示すように除去する。そして、TFTの活性領域(ソース領域、ドレイン領域、チャネル領域)となる島状の結晶性珪素膜112を形成する。
【0107】
次に、図1(D)に示すように、TFTの活性領域となる島状の結晶性珪素膜ll2を覆うように、厚さ20〜150nm、ここでは100nmの酸化珪素膜をゲート絶縁膜113として形成する。ゲート絶縁膜113である酸化珪素膜の形成は、RFプラズマCVD法によって、ここではTEOS(Tetra Ethoxy Ortho Silicate)を原料とし、酸素とともに基板温度150℃〜600℃、好ましくは300〜450℃にて分解して堆積させた。また、ゲート絶縁膜113である酸化珪素膜の形成は、減圧CVD法または常圧CVD法によって、TEOSを原料としてオゾンガスとともに、基板温度を350〜600℃、好ましくは400〜550℃にて形成してもよい。
【0108】
その後、スパッタリング法によって、島状の結晶性珪素膜ll2を覆ったゲート絶縁膜113上に高融点メタルを堆積し、この高融点メタルをパターニング形成して、ゲート電極ll4を形成する。この場合の高融点メタルとしては、タンタル(Ta)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)等が望ましい。第1の実施形態では、厚さ300〜600nm、例えば450nmである高融点メタルに窒素が微量に添加されたTaを用いた。その後、イオンドーピング法によって、ゲート電極114をマスクとしてTFTの活性領域となる島状の結晶性珪素膜ll2に低濃度の不純物(リン)116を注入し、低濃度不純物領域118を形成する。低濃度の不純物(リン)116のドーピング条件は、ドーピングガスとしてホスフィン(PH3)を使用し、加速電圧60〜90kV、例えば80kV、ドーズ量1×1012〜1×1014cm-2、例えば2×1013cm-2とする。この工程により、TFTの活性領域となる島状の結晶性珪素膜112において、ゲート電極114によりマスクされていない領域は、低濃度の不純物(リン)116が注入された低濃度不純物領域118となり、ゲート電極114にマスクされ低濃度の不純物(リン)116が注入されない領域は、TFTのチャネル領域117となる。
【0109】
次に、図1(E)に示すように、ゲート絶縁膜113上のゲート電極ll4を完全に覆うようにフォトレジストによりドーピングマスク119を形成する。その後、イオンドーピング法によって、レジストマスク119をマスクとして低濃度不純物領域118に高濃度の不純物(リン)120を注入する。高濃度の不純物(リン)120のドーピング条件は、ドーピングガスとして、ホスフィン(PH3)を使用し、加速電圧60〜90kV、例えば80kV、ドーズ量1×1015〜8×1015cm-2、例えば2×1015cm-2とする。この工程により、高濃度の不純物(リン)120が注入された低濃度不純物領域118は、TFTのソースまたはドレイン領域121となる。本発明の第1の実施形態では、質量分離を行わないイオンシャワードーピング法を用いて高濃度の不純物(リン)120のドーピングを行っている。このため、多量の水素も同時にTFTのソースまたはドレイン領域121に注入されている。その結果、高濃度の不純物(リン)120が注入されたTFTのソースまたはドレイン領域121は、結晶状態が崩れ非晶質化される。
【0110】
その後、高濃度の不純物(リン)120のドーピングのために、マスクとして使用したフォトレジスト119を除去した後、不活性雰囲気、例えば窒素雰囲気にて第2の加熱処理を行う。第1の実施形態では、第2の加熱処理の条件が窒素雰囲気中にて加熱温度450℃〜580℃、加熱時間0.5時間〜8時間、より好ましくは加熱温度450〜520℃、加熱時間0.5時間〜8時間であることが望ましい。また、第2の加熱処理における加熱温度までの昇温速度および加熱温度からの降温速度としては、少なくとも5℃/分以上で行うことが望ましい。実際に、第1の実施形態では、加熱温度500℃、加熱時間2時間の第2の加熱処理を行った。この場合、加熱温度までの昇温および降温は、ガラス基板101を温度200℃程度で余熱した状態から加熱温度500℃まで30分(昇温速度10℃/分)で昇温し、加熱処理後、加熱温度500℃から温度200℃まで同じく30分(降温速度10℃/分)で降温した。
【0111】
次に、図1(F)に示すように、前述の第2の加熱処理により、ソースまたはドレイン領域121にドーピングされている高濃度の不純物(リン)120が、チャネル領域117に残存している触媒元素のニッケル105を、チャネル領域から隣接するソースまたはドレイン領域121への矢印の方向であるゲッタリング方向111に向かって移動させる。このような第2の加熱処理では、ゲッタリングシンクとなる高濃度にリン(P)がドーピングされ非晶質化したソースまたはドレイン領域121において、その加熱処理の全期間にて結晶核の発生が全く生じず再結晶化が行われない。その結果、ソースまたはドレイン領域121では、非常にゲッタリング効率の高い状態が熱処理の全期間にわたって得られる。これにより、チャネル領域ll7が効果的にゲッタリングされ、本発明によるゲッタリング効果を最大限に引き出すことができる。
【0112】
この第2の加熱処理後のチャネル領域117における残留ニッケル濃度は、5×1015〜1×1016atoms/cm3程度にまで低減されていた。また、チャネル領域117に残留しているニッケル105は、シリサイド状態では無く、格子間ニッケルとして固溶した状態で存在している。また、第1の実施形態では、ガラス基板101として、320mm×400mmの基板サイズ、厚さ0.7mmのコーニング社製コード1737のノンアニール品のガラス基板101を用いているが、第2の加熱処理によるガラス基板101の反り、たわみ、割れ等は発生しなかった。さらに、メートルサイズの大型ガラス基板を使用した場合でも、第1の実施形態に示す加熱処理であれば、問題なく使用可能であることが確認できている。
【0113】
ここで、本発明の第1の実施形態では、第2の加熱処理を、ファーネス炉を使用して行った。ファーネス炉は、ガラス基板101の平面形状と概略相似形の断面形状をもつ炉心管が設けられており、ガラス基板101は、ガラス基板101の平面を炉心方向に向け、ファーネス炉の炉心管の周囲とガラス基板101の側端部との間のスペースが最小となるように配置されている。
【0114】
図6(A)〜(D)は、それぞれファーネス炉の概略構造を示す概念図である。
図6(A)に示すように、中空直方体状の石英ボート602内に所定の厚みを有する矩形状のガラス基板601が20枚セットされている。この石英ボート602を石英チューブ(炉心管)603の中に入れて第2の加熱処理が行われる。石英ボート602は、ガラス基板601がセットされる際には、石英チューブ(炉心管)603の下方のホームポジション607に配置されている。石英チューブ(炉心管)603は、温度500℃に加熱されており、ホームポジション607は、温度200℃程度に保たれている。そして、矢印604に示す方向にガラス基板601が20枚セットされた石英ボート602の上部が、石英チューブ(炉心管)603内に入るとともに、ガラス基板601の昇温が開始され、石英ボート602全体が完全にアニールゾーン608に入ると、各ガラス基板601の第2の加熱処理がスタートする。降温は、逆に石英ボート602を石英チューブ(炉心管)603内から余熱ゾーンであるホームポジション607に降ろすことにより行われる。各ガラス基板601の第2の加熱処理において、石英チューブ(炉心管)603の平断面形状が、図6(B)に示すように、ガラス基板601の外形より大きく、ガラス基板601の外形と概略相似形をなす矩形状であることが重要となる。尚、ガラス基板601の基板サイズが320×400mmであれば、石英チューブ(炉心管)603は、ガラス基板601の基板サイズ320×400mmより一回り大きな矩形状の平断面で構成されており、その矩形状の平断面の内側のサイズが400×480mmである。
【0115】
液晶表示用のアクティブマトリクス基板等のマザーボードとなるガラス基板601は、IC等に使用されるシリコンウエハーと異なり、ガラス基板601の外形が円形状ではなく全て矩形状となっている。従来のファーネス炉の石英チューブ(炉心管)603aは、通常、図6(C)に示すように円形状である。この石英チューブ(炉心管)603aに、矩形のガラス基板601をセットした石英ボート602を入れ、平断面図を見ると、ガラス基板601と石英チューブ(炉心管)603aとの間に大きな隙間606aが生じる。これに対して、本発明の第1の実施形態では、ガラス基板601の外形と概略相似形の矩形状の平断面を有する石英チューブ(炉心管)603を用いることによって、図6(B)に示すように、ガラス基板601と石英チューブ(炉心管)603との間の隙間606の間隔を最小にすることができる。本発明の第1の実施形態では、この石英チューブ(炉心管)603とガラス基板601との隙間606の間隔が重要なポイントとなる。
【0116】
次に、本発明の第1の実施形態では、第2の加熱処理における加熱温度の昇温および降温を速やかに行う必要がある。ところが、従来のファーネス炉の方式では、特に基板サイズが600×720mmのような大型のガラス基板に対して、前述のような早い昇温速度および降温速度により加熱処理を行うことは極めて困難であった。また、従来のファーネス炉の大きな問題として、昇温時および降温時のガラス基板内の温度分布のばらつきが非常に大きくなる。具体的には、ガラス基板の端面周辺部と中央部との温度差が200℃を越えるような温度分布のばらつきが生じており、その温度差の影響によりガラス基板の反りおよび割れが頻発していた。
【0117】
この問題を解決するために実験を行った結果、図6(D)に示すように、石英チューブ(炉心管)603とガラス基板601との間の隙間606の間隔と、石英ボート602にガラス基板601を複数枚セットする場合の基板ピッチ605とが重要なパラメーターであることを見出した。これにより、各ガラス基板601の昇温および降温を速やかに行うことと、各ガラス基板601の昇温時および降温時の各ガラス基板601内の温度分布のばらつきを改善することが、同時に解決できた。その解決策のポイントは、各ガラス基板601の第2の加熱処理を行う場合、窒素(N2)等の雰囲気ガス609を、各ガラス基板601間に一定量以上、供給すれば良い。図6(D)には、雰囲気ガス609の流れを矢印によって示している。石英チューブ(炉心管)603の上面の中央の開口部より供給される雰囲気ガス609は、石英チューブ(炉心管)603とガラス基板601との隙間606を通って石英チューブ(炉心管)603内の上方から下方への方向610に流れながら、各ガラス基板601の間にガラス基板601の表面と平行方向611に流れ込む。これにより、ガラス基板601の表面に対して、ガラス基板601の表面と平行方向611に流れる雰囲気ガス609の供給量を増やすことによって、昇温速度および降温速度を上げることが可能となり、この時のガラス基板601の表面の温度分布をほぼ一定に保つことができる。
【0118】
このガラス基板601の表面と平行方向611に流れる雰囲気ガス609の供給量は、ガラス基板601と石英チューブ(炉心管)603との間の隙間606を石英チューブ(炉心管)603内の上方から下方への方向610に流れる雰囲気ガス609の流速に比例し、ガラス基板601間の基板ピッチ605の間隔の二乗に比例する。石英チューブ(炉心管)603内の上方から下方への方向610の雰囲気ガス609の流速を増加させるには、雰囲気ガス609の供給量を増加するだけでは不十分であり、石英チューブ(炉心管)603とガラス基板601との隙間606の間隔を最小にすることが有効となる。そのために、ガラス基板601の外形とに概略相似形の矩形状の断面を有する石英チューブ(炉心管)603を用いることによって、図6(B)に示すように、石英チューブ(炉心管)603とガラス基板601との隙間606の間隔を最小にすることができる。これにより、ガラス基板601間の基板ピッチ605の間隔を最適化でき、第2の加熱処理に必要な早い昇温速度および降温速度を実現できるとともに、第2の加熱処理時のガラス基板601表面の温度分布をほぼ一定に保つことが可能となり、メートルサイズの大型ガラス基板に対しても、第2の加熱処理において、割れおよび反りの無い安定した加熱処理が可能となる。また、チャンバー内の構成が図6(A)、(B)および(D)に示すようなファーネス炉を、クラスター状に接続し、同時に加熱処理を行うマルチチャンバー化することによって、高い処理能力を持つ製造装置が小さなフットプリント(床面積)により実現可能となる。すなわち、本発明の第2の加熱処理の処理装置として、量産を含めて考えても最適な装置となる。
【0119】
また、この第2の加熱処理により、ゲート絶縁膜ll3の焼成処理も同時に行われ、ゲート絶縁膜113自身のバルク特性および結晶性珪素膜とゲート絶縁膜113との界面特性も向上する。
【0120】
その後、図1(F)に示すように、ガラス基板101上のソースまたはドレイン領域121に、レーザー光122を照射してアニール処理を行う。このアニール処理は、リン(P)のイオン注入によって非晶質化されたソースまたはドレイン領域121の不純物(リン)の活性化を行うと同時に、ソースまたはドレイン領域121の再結晶化を行い結晶性を改善させる。本発明の第1の実施形態では、ソースまたはドレイン領域121をゲッタリングシンクとして非晶質状態で利用するため、前述の温度500℃の第2の加熱処理だけでは、ソースまたはドレイン領域121の結晶状態は回復しておらず十分な不純物(リン)の活性化が得られない。このため、本発明の第1の実施形態では、レーザー光122の照射によるアニール工程を追加している。このアニール工程において、使用するレーザーは、波長308nm、パルス幅40nsecのXeClエキシマレーザーを用い、エネルギー密度150〜400mJ/cm2、好ましくは200〜250mJ/cm2のレーザー光122を照射する。この結果、N型不純物(リン)がイオン注入されたソースまたはドレイン領域121のシート抵抗値は、200〜500Ω/□であり、N型領域の低濃度不純物領域118のシート抵抗値は、30〜50kΩ/□である。
【0121】
次に、図1(G)に示すように、ガラス基板101上の全体を覆うために、厚さ600nm程度の層間絶縁膜123である酸化珪素膜または窒化珪素膜を形成する。層間絶縁膜123として酸化珪素膜を形成する場合には、酸化珪素膜の原料にTEOSを使用する。酸化珪素膜は、プラズマCVD法によってTEOSを酸素とともに分解して堆積させて、または、減圧CVD法または常圧CVD法によってTEOSをオゾンとともに分解して堆積させて形成する。これにより、段差被覆性に優れた良好な層間絶縁膜123である酸化珪素膜が得られる。また、プラズマCVD法によってSiH4とNH3とを原料ガスとして成膜された窒化珪素膜を層間絶縁膜123に用いれば、活性領域であるソースまたはドレイン領域121およびチャネル領域117と、ゲート絶縁膜113との界面に水素原子を供給し、TFTの特性を劣化させる不対結合手を低減する効果がある。
【0122】
その後、ソースまたはドレイン領域121上の層間絶縁膜123にコンタクトホールを形成して、金属材料、例えば、窒化チタンおよびアルミニウムの二層膜によってTFTの電極配線124を形成する。これにより、TFT126が形成される。窒化チタン膜は、アルミニウムが半導体層に拡散することを防止するバリア膜として設けられる。TFT126を画素用TFTとして用いる場合には、TFT126は、画素電極のスイッチングを行う素子であるので、一方のドレイン電極には、ITOなど透明導電膜からなる画素電極が設けられる。この場合、他方の電極は、ソース電極としてソースバスラインを構成することになり、ソースバスラインを介してソース電極にビデオ信号が供給され、ゲートバスラインを構成するゲート電極114に供給されるゲート信号に基づいて、TFT126がON/OFF動作し画素電極に必要な電荷が書き込まれる。その後、1気圧の水素雰囲気において、温度350℃、1時間のアニール処理を行い、TFTl26が完成される。尚、必要に応じて、TFTl26を保護するために、TFTl26上に窒化珪素膜等から成る保護膜を設けても良い。
【0123】
以上、図1(A)〜(G)の工程にしたがって作製されたTFT126は、電界効果移動度が250cm2/Vs程度、閾値電圧が1.5V程度と非常に高性能であり、従来のTFTで発生しやすいOFF動作時のリーク電流の異常な増加が全く無く、TFT126のOFF動作時のリーク電流が単位W当たり1pA以下と非常に低い値を安定して示した。このリーク電流の値は、触媒元素を用いずに作成した従来のTFTと比較しても全く差が無いものであり、製造歩留まりを大きく向上することができた。また、TFT126は、繰り返し測定、バイアス負荷および温度ストレスによる耐久性試験においても、ほとんど諸特性の劣化が見られず、従来のTFTと比較して非常に信頼性が向上した。
【0124】
尚、本発明の図1(A)〜(G)の工程にしたがって作製されたTFT126は、薄膜集積回路等にも簡単に応用でき、その場合にはTFT126のゲート電極114上にもコンタクトホールを形成し、必要とする配線を施せば良い。
【0125】
本発明の第2の実施形態である半導体装置の製造方法を図3(A)〜(G)に基づいて説明する。本発明の第2の実施形態は、第1の実施形態の説明と同様にガラス基板上にN型TFTを作製する場合の工程について説明を行う。第2の実施形態のTFTは、アクティブマトリクス型液晶表示装置のドライバー回路および画素部分、薄膜集積回路を構成する素子としても利用することができる。本発明の第2の実施形態では、それらの代表例として、ガラス基板上に数十万から数百万のN型TFTを均一に作製する必要がある液晶表示装置用アクティブマトリクス基板の画素駆動用TFTの説明を行う。
【0126】
図2(A)〜(E)は、それぞれ本発明の第2の実施形態である半導体装置の製造方法におけるアクティブマトリクス基板上の画素駆動用TFTの各工程の概要を示す平面図である。アクティブマトリクス基板は、通常、画素駆動用TFTがアクティブマトリクス基板上の行方向および列方向に沿って数十万個以上配置され構成されているが、説明を簡略化するために、図2(A)〜(E)では、行方向および列方向に沿って3行×3列の9個の画素駆動用TFTについて表している。図3(A)〜(G)は、図2(A)〜(E)における任意の1個の画素駆動用TFTでのA−A’線における断面図であり、(A)から(G)の順番に基づいて各工程が順次進行する。
【0127】
まず、図3(A)に示すように、ガラス基板201上に、例えば、スパッタリング法によって厚さ300〜500nm程度の酸化珪素から成る下地膜202を形成する。この酸化珪素の下地膜202は、ガラス基板201の上方に形成される素子領域に、ガラス基板201から不純物の拡散を防止するために設けられる。その後、酸化珪素の下地膜202上に、プラズマCVD法または減圧CVD法によって、厚さ20〜80nm、例えば40nmの真性(I型:intrinsic type)の非晶質珪素膜(a−Si膜)203を形成する。本発明の第2の実施形態では、平行平板式のプラズマCVD装置を用い、加熱温度を300℃とし、材料ガスにSiH4ガスおよびH2ガスを用いた。そして、プラズマCVD装置のRFパワーは、パワー密度を10〜200mW/cm2とし、例えば、80mW/cm2として行った。
【0128】
次に、非晶質珪素膜(a−Si膜)203上に均等にニッケル(Ni)205の微量添加を行う。このニッケル205の微量添加は、ニッケルを溶融させた溶液を非晶質珪素膜(a−Si膜)203上に保持し、スピナーによりニッケル(Ni)205を溶融させた溶液をガラス基板201上の非晶質珪素膜(a−Si膜)203上に均一に延ばし乾燥させることにより行った。第2の実施形態例では、溶質としては酢酸ニッケルを用い、溶媒としてはエタノールを用い、溶液中のニッケル濃度を1ppmに設定した。非晶質珪素膜(a−Si膜)203上の添加されたニッケルの濃度を全反射蛍光X線分析(TRXRF:Total Reflection X−Ray Fluorescence)法により測定すると、ニッケルの濃度は、6×1012atoms/cm2程度であった。
【0129】
その後、不活性雰囲気、例えば窒素雰囲気において第1の加熱処理を行う。この第1の加熱処理は、加熱温度520〜570℃、例えば550℃、加熱時間2〜8時間、例えば4時間のアニール処理を行った。この第1の加熱処理において、非晶質珪素膜(a−Si膜)203上に添加されたニッケル205が非晶質珪素膜(a−Si膜)203内部に拡散するとともに、シリサイド化が起こり、それを核として非晶質珪素膜(a−Si膜)203の結晶化が進行する。
【0130】
その結果、非晶質珪素膜(a−Si膜)203は、結晶化され、図2(B)に示すように、結晶性珪素膜203aとなる。
【0131】
次に、図3(B)に示すように、結晶性珪素膜203a上に、レーザー光207を照射する。レーザー光207の照射は、結晶性珪素膜203aをさらに再結晶化させ、結晶性珪素膜203aの結晶状態を向上させる。この場合のレーザー光は、XeClエキシマレーザー(波長308nm、パルス幅40nsec)を使用した。レーザー光のレーザー光のエネルギー密度250〜450mJ/cm2、例えば350mJ/cm2で照射し、照射時にガラス基板201を温度200〜450℃、例えば温度400℃に加熱した。この結果、固相結晶化により得られた結晶性珪素膜203aは、レーザー光の照射による溶融固化過程により結晶欠陥が低減され、より高品質な結晶性珪素膜203cとなる。
【0132】
次に、図3(C)に示すように、結晶性珪素膜203c上に酸化珪素膜または窒化珪素膜の絶縁性薄膜を形成し、その後、絶縁性薄膜上をパターニングして図2(A)に示す長方形のマスク204を各画素毎に形成する。マスク204は、本実施形態では酸化珪素膜を使用した。マスク204の形成は、RFプラズマCVD法によって、TEOS(Tetra Ethoxy Ortho Silicate)を原料とし、酸素とともに分解して堆積させた。マスク204の厚さは、100nm〜400nmであることが望ましく、本実施形態では、マスク204である酸化珪素膜の厚さを150nmとした。この時の状態をガラス基板201上方より見ると、図2(A)に示すように、結晶性珪素膜203cの一部がマスク204により島状にマスクキング(遮蔽)された状態となっている。その後、ガラス基板201上方より、アルゴン208をガラス基板201上の全面にイオンドーピングする。この場合のアルゴン208のドーピング条件としては、ドーピングガスとして含有率100%のアルゴン(Ar)を使用し、加速電圧を例えば5〜15kV、ドーズ量1×l015〜1×1016/cm2、例えば3×1015/cm2とする。この工程により、結晶性珪素膜203c上のマスク204によって被覆されていない領域にアルゴン208を注入し、アルゴン208が注入された領域は、非晶質化され、非晶質珪素領域203fとなる。マスク204によって被覆されている結晶性珪素膜203cには、アルゴン208はドーピングされない。この状態をガラス基板201上方より見ると、図2(A)のように表される。後工程にてTFTが形成される活性(素子)領域は、この段階では、結晶性珪素膜203c上にてマスク204に完全に被覆された状態である。
【0133】
その後、結晶性珪素膜203c上に酸化珪素膜のマスク204が形成された状態のガラス基板201を、不活性雰囲気、例えば窒素雰囲気にて第2の加熱処理を行う。第2の実施形態では、第2の加熱処理の条件が窒素雰囲気中にて加熱温度450℃〜580℃、加熱時間0.5時間〜8時間、より好ましくは加熱温度450〜520℃、加熱時間0.5時間〜8時間であることが望ましい。また、第2の加熱処理における加熱温度までの昇温速度および加熱温度からの降温速度としては、少なくとも5℃/分以上で行うことが望ましい。実際に、第2の実施形態では、加熱温度500℃、加熱時間4時間の第2の加熱処理を行った。この場合、加熱温度までの昇温および加熱温度からの降温は、ガラス基板201を温度200℃程度で余熱した状態から加熱温度500℃まで30分(昇温速度10℃/分で)で昇温し、加熱処理後、加熱温度500℃から温度200℃まで同じく30分(降温速度10℃/分で)で降温した。
【0134】
第2の加熱処理により、非晶質珪素領域203fにドーピングされたアルゴン208は、非晶質珪素領域203fに存在する触媒元素のニッケル205をまずトラップする。
【0135】
次に、図3(D)および図2(B)に示すように、さらに、マスク204にて被覆されている結晶性珪素膜203c内に存在している触媒元素のニッケル205が、結晶性珪素膜203cから結晶性珪素膜203cの周囲に隣接する非晶質珪素領域203fに向かう矢印の方向であるゲッタリング方向211に向かって移動する。この結果、マスク204に被覆されている結晶性珪素膜203c内におけるニッケル205の濃度は大幅に低減する。この第2の加熱処理後に、結晶性珪素膜203c内に残留しているニッケル205の濃度は、二次イオン質量分析法(SIMS)により測定すると、5×1015atoms/cm3程度にまで低減されており、測定可能範囲における測定下限レベルであった。また、マスク204に被覆されている結晶性珪素膜203c内に残留しているニッケル205は、シリサイド状態では無く、格子間ニッケルとして固溶した状態で存在している。この第2の加熱処理条件では、第2の加熱処理の全期間において、アルゴンがドーピングされ非晶質化された非晶質珪素領域203fは、結晶核が全く発生せず、全く結晶化されていない非晶質状態が維持されている。
【0136】
また、第2の実施形態では、ガラス基板201として、320mm×400mmの基板サイズ、厚さ0.7mmのコーニング社製コード1737のノンアニール品のガラス基板201を用いているが、第2の加熱処理によるガラス基板201の反り、たわみ、割れ等は発生しなかった。
【0137】
尚、第2の実施形態でも第1実施形態と同様に、第2の加熱処理を、図6に示すファーネス炉を使用して行った。また、本発明の第2の実施形態において、第2の加熱処理後のガラス基板201の収縮(シュリンケージ:shrinkage)は、20ppm以下であり、ガラス基板201の反りとともに全く問題なく、後工程におけるフォトリソグラフィでのマスクアライメントも全く問題なく行うことができる。
【0138】
次に、図3(E)に示すように、酸化珪素膜から成るマスク204をエッチングによって除去する。エッチングは、ウェットエッチングにより行い、エッチング液(etchant)には、マスク204の下層の結晶性珪素膜203cに対して十分に選択性のある1:10バッファードフッ酸(BHF)を使用した。その後、マスク204にて被覆されていた結晶性珪素膜203cを素子領域とて使用するために、ゲッタリング処理によって触媒元素のニッケル205が取り込まれた非晶質珪素領域203fおよびその他の不要な部分の結晶性珪素膜を除去して素子間分離を行う。これにより、図2(C)に示すような配置にて、少なくとも結晶性珪素膜203cの領域を用いて、TFTの活性領域(ソース領域、ドレイン領域、チャネル領域)となる島状の結晶性珪素膜212が形成される。
【0139】
次に、図3(F)に示すように、TFTの活性領域となる結晶性珪素膜212を被覆する厚さ20〜150nm、例えば100nmの酸化珪素膜をゲート絶縁膜213として形成する。酸化珪素膜から成るゲート絶縁膜213の形成には、RFプラズマCVD法によって、ここではTEOS(Tetra Ethoxy Ortho Silicate)を原料とし、酸素とともに基板温度150〜600℃、好ましくは300〜450℃にて分解して堆積させた。酸化珪素膜から成るゲート絶縁膜213形成後、ゲート絶縁膜213自身のバルク特性、結晶性珪素膜212およびゲート絶縁膜213の界面特性を向上させるために、不活性ガス雰囲気において、アニール温度500〜600℃、アニール時間1〜4時間のアニール処理を行った。
【0140】
その後、ゲート絶縁膜213上に、スパッタリング法によって、厚さ400〜800nm、例えば600nmのアルミニウム(Al)膜を形成する。その後、このアルミニウム膜をパターニングして、結晶性珪素膜212の中央部分にゲート電極214を形成する。さらに、このアルミニウムのゲート電極214の表面を陽極酸化して、ゲート電極214の表面に酸化物層215を形成する。また、図2(D)に示すように、ゲート電極214は、平面的にはゲートバスラインを同時に構成している。陽極酸化は、酒石酸が1〜5%含まれたエチレングリコール溶液中で行い、最初一定電流にて電圧を220Vまで上げ、電圧が220Vの状態を1時間保持して終了する。陽極酸化によって得られた酸化物層215は、厚さ300nmである。尚、この酸化物層215の厚さは、後工程でのイオンドーピングにおいて、オフセットゲート領域を形成するための厚さとなるので、オフセットゲート領域の長さを上記陽極酸化にて設定することができる。
【0141】
次に、イオンドーピング法によって、ゲート電極214とその周囲の酸化物層215をマスクとして活性領域(ソース領域、ドレイン領域)に不純物(P:リン)を注入(ドーピング)する。不純物(P:リン)のドーピング条件は、ドーピングガスとして、ホスフィン(PH3)を使用し、加速電圧60〜90kV、例えば80kV、ドーズ量1×1015〜8×1015/cm2、例えば2×1015/cm2とする。この工程により、不純物(P:リン)が注入された結晶性珪素膜212は、TFTのソースまたはドレイン領域221となり、ゲート電極214およびその周囲の酸化層215にマスクされ不純物(P:リン)が注入されない結晶性珪素膜212は、TFTのチャネル領域217となる。その後、ガラス基板201上にレーザー光222を照射して、レーザーアニール処理を行い、イオン注入された不純物(P:リン)の活性化を図ると同時に、不純物(P:リン)の注入により結晶状態が劣化したTFTのソースまたはドレイン領域221の結晶状態を改善する。この場合のレーザー光は、XeClエキシマレーザー(波長308nm、パルス幅40nsec)を使用した。レーザー光の照射条件は、レーザー光のエネルギー密度150〜400mJ/cm2、好ましくは200〜250mJ/cm2である。この結果、N型不純物(P:リン)が注入された結晶性珪素膜212に形成されたTFTのソースまたはドレイン領域221のシート抵抗値は、200〜500Ω/□である。
【0142】
次に、図3(G)に示すように、ガラス基板201上の全体を覆うために、厚さ600nm程度の層間絶縁膜223である酸化珪素膜または窒化珪素膜を形成する。層間絶縁膜223として酸化珪素膜を用いる場合には、酸化珪素膜の原料にTEOSを使用する。酸化珪素膜は、プラズマCVD法によってTEOSを酸素とともに分解して堆積させて、または、減圧CVD法または常圧CVD法によってTEOSをオゾンとともに分解して堆積させて形成する。これにより、段差被覆性に優れた良好な層間絶縁膜223が得られる。また、プラズマCVD法によってSiH4とNH3とを原料ガスとして成膜された窒化珪素膜を層間絶縁膜123に用いれば、活性領域であるソースまたはドレイン領域221およびチャネル領域217と、ゲート絶縁膜213との界面に水素原子を供給し、TFT特性を劣化させる不対結合手を低減する効果がある。
【0143】
その後、ソースまたはドレイン領域221上のソース領域側の層間絶縁膜223にコンタクトホールを形成して、金属材料、例えば、窒化チタンおよびアルミニウムの二層膜によってTFTのソース電極配線224を形成する。図2(E)に示すように、ソース電極配線224は、ゲート電極214から成るゲートバスラインと直交するように配置される。窒化チタン膜は、アルミニウムが半導体層に拡散するのを防止する目的のバリア膜として設けられる。また、第2の実施形態において、TFTは画素駆動用であり、画素電極をスイッチングする素子であるため、ソースまたはドレイン領域221上のドレイン領域側の層間絶縁膜223にコンタクトホールを形成して、ITO等の透明性導電膜からなる画素電極225を設ける。これにより、画素駆動用のTFT226が形成され、図2(E)において、ソース電極配線224のソースバスラインを介してビデオ信号が供給され、ゲート電極214から成るゲートバスラインに供給されるゲート信号に基づいて画素電極225に必要な電荷が書き込まれる。その後、1気圧の水素雰囲気において、温度350℃、1時間のアニール処理を行い、図3(G)および図2(E)に示すTFT226が完成される。尚、必要に応じて、TFT226を保護するために、TFT226上に窒化珪素膜等から成る保護膜を設けても良い。
【0144】
以上、図3(A)〜(G)の工程にしたがって作製されたTFT226は、電界効果移動度が250cm2/Vs程度、閾値電圧が1.5V程度と非常に高性能であり、従来のTFTで発生しやすいTFTのOFF動作時のリーク電流の異常な増加が全く無く、TFT126のOFF動作時のリーク電流が単位W当たりlpA以下と非常に低い値を安定して示した。また、TFT226は、第1の実施形態におけるTFT126と同様に、繰り返し測定、バイアス負荷および温度ストレスによる耐久性試験においても、ほとんど諸特性の劣化が見られず、従来のTFTと比較して非常に信頼性が向上した。
【0145】
尚、本発明の図3(A)〜(G)の工程にしたがって作製されたTFT226により構成される液晶表示用アクティブマトリクス基板を実際に点灯させ評価すると、従来の製造方法により作製した液晶表示用アクティブマトリクス基板と比較して画像の表示むらが明らかに少なく、TFTのOFF動作時のリーク電流による画素欠陥も極めて少なく、高コントラスト比の表示品位の向上した液晶パネルが得られた。
【0146】
本発明の第3の実施形態である半導体装置の製造方法を図5(A)〜(H)に基づいて説明する。本発明の第3の実施形態は、アクティブマトリクス型の液晶表示装置の周辺駆動回路、および、一般の薄膜集積回路を形成するN型TFTとP型TFTとを相補型に構成したCMOS構造の回路をガラス基板上に作製する工程について説明を行う。
【0147】
図4は、本発明の第3の実施形態である半導体装置の製造方法におけるCMOS構造を構成するN型TFTおよびP型TFTの作製工程の概略を示す平面図である。図5(A)〜(H)は、図4のB−B’線における断面図であり、(A)から(H)の順番に基づいて各工程が順次進行する。
【0148】
まず、図5(A)に示すように、ガラス基板301上に、例えば、プラズマCVD法によって厚さ300〜500nm程度の酸化珪素からなる下地膜302を形成する。この酸化珪素の下地膜302は、ガラス基板301の上方に形成されるN型およびP型FETの素子領域に、ガラス基板301から不純物の拡散を防止するために設けられる。その後、酸化珪素の下地膜302上に、減圧CVD法またはプラズマCVD法によって、厚さ20〜80nm、例えば40nmの真性(I型)の非晶質珪素膜(a−Si膜)303を成膜する。
【0149】
次に、非晶質珪素膜(a−Si膜)303上に酸化珪素膜または窒化珪素膜の絶縁性薄膜を形成し、絶縁性薄膜の中央の領域を除去するようにパターニングしてマスク304を形成する。マスク304を分離する絶縁性薄膜の除去された中央の領域は、スルーホール300となる。マスク304は、本発明の第3の実施形態では酸化珪素膜を使用した。マスク304の形成は、RFプラズマCVD法によって、TEOS(Tetra Ethoxy Ortho Silicate)を原料とし、酸素とともに分解して堆積させた。マスク304の厚さは、100nm〜400nmであることが望ましく、本実施形態では、マスク304である酸化珪素膜の厚さを150nmとした。マスク304を分離するスルーホール300により、スルーホール300の下部にてスリット状に非晶質珪素膜(a−Si膜)303が露出される。この時の状態をガラス基板301上方より見ると、図4に示すのように、スルーホール300において非晶質珪素膜(a−Si膜)303が露出しており、スルーホール300に隣接する領域は酸化珪素膜から成るマスク304により被覆されている状態となっている。このときのライン状のスルーホール領域300の幅は2〜15μmであることが望ましく、本実施形態では10μmとした。
【0150】
非晶質珪素膜(a−Si膜)303上にマスク304を設けた後、マスク304およびスルーホール300上にニッケル305の微量を添加する。このニッケル305の微量添加は、DCスパッタリングによって、純度99.9%以上のニッケルターゲットを使用して行った。ニッケルのDCスパッタリング条件は、DCパワーが50W程度の極めて低いパワーにて、ガラス基板301の搬送速度を2000mm/minにまで高めてスパッタリング処理を行った。スパッタリングガスとしてはアルゴンを使用して、純ニッケルターゲットに対してスパッタリング時のガス圧力を10Pa以上に上げることによって、ニッケル305が極めて低濃度添加されるスパッタリングが可能となる。このようにして、マスク304およびスルーホール300上にスパッタリングされたニッケル305は、図5(A)では、薄膜のように表示してはいるが、実際には、ニッケル305の厚さは、単原子層程度かそれ以下の状態で、とても膜と呼べる状態ではない。この時の具体的なスパッタリング条件は、DCパワー60W、アルゴンガス圧18Paであり、マスク304およびスルーホール300に添加されたニッケル305の濃度は、全反射蛍光X線分析(TRXRF)法により測定すると、6×1013atoms/cm2程度であった。
【0151】
次に、図5(B)に示すように、不活性雰囲気、例えば窒素雰囲気において第1の加熱処理を行う。この第1の加熱処理は、加熱温度530〜600℃、例えば560℃、加熱時間10時間のアニール処理を行い非晶質珪素膜(a−Si膜)303を結晶化する。この第1の加熱処理において、スルーホール300では、非晶質珪素膜(a−Si膜)303の表面に存在する微量のニッケル305を核として非晶質珪素膜(a−Si膜)303の結晶化が起こり、初めに結晶性珪素膜303aが形成される。そして、引き続いて結晶性珪素膜303aに隣接する領域では、図4、図5(B)において、結晶性珪素膜303aから隣接する両側のマスク304の下方の非晶質珪素膜(a−Si膜)303への矢印の方向である結晶化方向306に向かって、結晶性珪素膜303aから相対する横方向(ガラス基板301と平行な方向)に結晶成長が進行し、マスク304の下方の非晶質珪素膜(a−Si膜)303において、結晶性珪素膜303aから横方向に結晶成長した結晶性珪素膜303bが形成される。
【0152】
ガラス基板301上には、少なくとも複数のライン状のスルーホール300およびマスク304が、それぞれ隣接して形成されており、各スルーホール300の下方に形成される結晶性珪素膜303aから相対する横方向の結晶成長が進行し、それぞれの横方向に結晶成長した結晶性珪素膜303bがぶつかり合って結晶成長が終了する。この結晶性珪素膜303bの横方向の結晶成長がぶつかり合う境界が境界部303eがである。
【0153】
この場合、マスク304上に添加されたニッケル305は、酸化珪素膜から成るマスク304により移動を阻まれ、マスク304の下方の非晶質珪素膜(a−Si膜)303へは到達せず、スルーホール300に添加されたニッケル305のみによって、非晶質珪素膜(a−Si膜)303の結晶化が行われる。この結果、各スルーホール300の下方に形成される結晶性珪素膜303aから相対する横方向結晶成長した結晶性珪素膜303b内のニッケル305の濃度は、5×1017〜1×1018atoms/cm3程度であり、直接ニッケル305が添加されて結晶成長した結晶性珪素膜303a内のニッケル305の濃度は1×1019atoms/cm3程度であった。尚、上記の第1の加熱処理における非晶質珪素膜(a−Si膜)303の結晶成長に際し、矢印で示される結晶化方向306のガラス基板301と平行な方向の結晶成長の距離は、例えばスルーホール300の周囲が全て非晶質珪素膜(a−Si膜)303で横方向の結晶成長のぶつかり合いが生じない場合には、50μm程度になる。
【0154】
次に、図5(C)に示すように、ニッケル305の選択添加に使用したマスク304をそのまま使用して、ガラス基板301上方より、リン(P)309をガラス基板301上の全面にイオンドーピングする。この場合のリン(P)309のドーピング条件としては、ドーピングガスとしてホスフィン(PH3)を使用し、加速電圧5〜10kV、ドーズ量5×1015〜1×1016/cm2とした。さらに、引き続きホウ素(B)310を同様に、ガラス基板301上方より、ホウ素(B)310をガラス基板301上の全面にイオンドーピングする。ホウ素310のドーピング条件としては、ドーピングガスとしてジボラン(B26)を使用し、加速電圧5〜10kV、ドーズ量1×1015〜5×1015/cm2とした。この工程により、スルーホール300内の露出している結晶性珪素膜303aにリン309およびホウ素310が注入され、リン309およびホウ素310が注入された結晶性珪素膜303aは非晶質化し、非晶質珪素領域303fが形成される。マスク304によって被覆されている領域の結晶性珪素膜303bには、リン309およびホウ素310はドーピングされない。
【0155】
本実施形態では、リン309およびホウ素310のドーピングを別々に行ったが、リン309およびホウ素310のドーピングに使用するドーピングガスを混合し、リン309およびホウ素310のドーピングを同時に行っても良い。また、本実施形態では、質量分離を行わないイオンシャワードーピング法によって、リン309およびホウ素310のドーピングを行っている。これにより、リン309およびホウ素310に加えて多量の水素も同時に、結晶性珪素膜303aに注入されている。この結果、リン309とホウ素310が注入された結晶性珪素膜303aは、結晶状態が完全に乱れて、非晶質化された非晶質珪素領域303fとなる。
【0156】
次に、スルーホール300の下方に非晶質珪素領域303fが形成されたガラス基板301を、不活性雰囲気、例えば窒素雰囲気にて第2の加熱処理を行う。本実施形態では、第2の加熱処理の条件が窒素雰囲気中にて加熱温度450℃〜580℃、加熱時間0.5時間〜8時間、より好ましくは加熱温度450〜520℃、加熱時間0.5時間〜8時間であることが望ましい。また、第2の加熱処理における加熱温度までの昇温速度および加熱温度からの降温速度としては、少なくとも5℃/分以上で行うことが望ましい。実際に、第3の実施形態では、加熱温度520℃、加熱時間4時間の第2の加熱処理を行った。この場合、加熱温度までの昇温および加熱温度からの降温は、ガラス基板301を温度200℃程度で余熱した状態から加熱温度520℃まで30分で(昇温速度約10℃/分で)で昇温し、加熱処理後、加熱温度520℃から温度200℃まで同じく30分(降温速度10℃/分で)で降温した。
【0157】
第2の加熱処理により、非晶質珪素領域303fにドーピングされたリン309およびホウ素310は、非晶質珪素領域303fに存在する触媒元素のニッケル305をまずトラップする。その後、図4および図5(D)に示すように、マスク304にて被覆されている結晶性珪素膜303b内に存在しているニッケル305が、結晶性珪素膜303bから非晶質珪素領域303fに向かう矢印の方向であるゲッタリング方向311に向かって移動する。ゲッタリング方向311は、結晶性珪素膜303bが結晶成長した方向とは全く逆方向になる。第3の実施形態では、第1の実施形態と比較すると、リン309に加えてホウ素310がドーピングされており、リン309およびホウ素310がドーピングされた領域は、リン309のみがドーピングされた領域に比較して、ゲッタリング効率が高くなり、より効果的なゲッタリングシンクとして作用する。この結果、横方向に結晶成長した結晶性珪素膜303b内のニッケル305の濃度は大幅に低減する。
【0158】
この第2の加熱処理後に、横方向に結晶成長した結晶性珪素膜303b内の残留しているニッケル305の濃度は、二次イオン質量分析法(SIMS)により測定すると、5×1015atoms/cm3程度にまで低減されており、測定可能範囲における測定下限レベルであった。また、結晶性珪素膜303b内に残留しているニッケル305は、シリサイド状態では無く、格子間ニッケルとして固溶した状態で存在している。この第2の加熱処理条件では、第2の加熱処理の全期間において、リン309およびホウ素310がドーピングされ非晶質化された非晶質珪素領域303fは、結晶核が全く発生せず、全く結晶化されていない非晶質状態が維持されている。
【0159】
尚、第3の実施形態でも第1および第2の実施形態と同様に、第2の加熱処理を、図6に示すファーネス炉を使用して行った。
【0160】
次に、図5(E)に示すように、酸化珪素膜から成るマスク304をエッチングによって除去する。エッチングは、ウェットエッチングにより行い、エッチング液(etchant)には、マスク304の下層の結晶性珪素膜303bに対して十分に選択性のある1:10バッファードフッ酸(BHF)を使用した。その後、ガラス基板301上にレーザー光307を照射して、レーザーアニール処理を行い、横方向に結晶成長した結晶性珪素膜303bを再結晶化させて、結晶状態のより高品質な結晶性珪素膜303dが得られる。この場合のレーザー光は、XeClエキシマレーザー(波長308nm、パルス幅40nsec)を使用した。レーザー光の照射条件は、レーザー光のエネルギー密度200〜450mJ/cm2、例えば350mJ/cm2で照射し、照射時にガラス基板301を温度200〜450℃、例えば温度400℃に加熱した。レーザー光のビームサイズは、ガラス基板301表面にて150mm×1mmの長尺形状となるように成型されており、長尺方向に対して垂直方向に0.05mmのステップ幅により順次走査を行った。これにより、結晶性珪素膜303b上の任意の一点において、計20回のレーザー照射が行われることになる。このようなレーザー光を繰り返し照射することにより、固相結晶化により得られた結晶性珪素膜303bは、珪素膜中に残存している結晶欠陥および微小な非晶質領域等が優先的に溶融し、結晶化領域の良好な結晶成分のみを反映して膜全体が再結晶化され、より高品質な結晶性珪素膜303dとなる。
【0161】
次に、図5(F)に示すように、横方向に結晶成長させた結晶性珪素膜303dの領域を用いて、後工程にてN型TFTの活性領域(素子領域)およびP型TFTの活性領域(素子領域)となる結晶性珪素膜312nおよび312pを残し、それ以外の不要な結晶性珪素膜303dの領域をエッチングによって除去して素子間分離を行う。この場合のニッケル305およびリン309が添加されたスルーホール300と、結晶性珪素膜312nおよび312pとの平面的な位置関係は、図4に示す状態となる。
【0162】
次に、図5(G)示すように、結晶性珪素膜312nおよび312pを被覆する厚さ20〜150nm、ここでは100nmの酸化珪素膜をゲート絶縁膜313として形成する。酸化珪素膜から成るゲート絶縁膜313の形成には、RFプラズマCVD法によって、ここではTEOS(Tetra Ethoxy Ortho Silicate)を原料とし、酸素とともに基板温度150〜600℃、好ましくは300〜450℃にて分解して堆積させた。酸化珪素膜から成るゲート絶縁膜313形成後、ゲート絶縁膜313自身のバルク特性、結晶性珪素膜312nおよび312pと、ゲート絶縁膜313との界面特性を向上させるために、不活性ガス雰囲気において、アニール温度500〜600℃、アニール時間1〜4時間のアニール処理を行った。
【0163】
その後、ゲート絶縁膜313上に、スパッタリング法によって、厚さ400〜800nm、例えば600nmのアルミニウム(0.1〜2.0%のシリコンを含む)膜を形成する。その後、このアルミニウム膜をパターニングして、N型およびP型TFTの活性領域となる結晶性珪素膜312nおよび312pの中央部分に、それぞれゲート電極314nおよび314pを形成する。
【0164】
次に、イオンドーピング法によって、ゲート電極314nおよび314pをマスクとしてN型およびP型TFTの活性領域となる結晶性珪素膜312nおよび312pにN型不純物(リン)およびP型不純物(ホウ素)を選択的にドーピングする。N型不純物(リン)およびP型不純物(ホウ素)のドーピング条件は、ドーピングガスとして、それぞれホスフィン(PH3)およびジボラン(B26)を使用し、ホスフィン(PH3)の場合は、加速電圧60〜90kV、例えば80kV、ジボラン(B26)の場合は、加速電圧40kV〜80kV、例えば65kV、ドーズ量1×1015〜8×1015/cm2、例えばリンでは2×1015/cm2、ホウ素では5×1015/cm2とする。この工程により、ゲート電極314nおよび314pにマスクされ不純物(リンおよびホウ素)が注入されない結晶性珪素膜312nおよび312pは、それぞれN型およびP型TFTのチャネル領域317nおよび317pとなる。
【0165】
N型不純物(リン)およびP型不純物(ホウ素)のドーピングは、結晶性珪素膜312nおよび312pに対して選択的に行われる。このため、結晶性珪素膜312nにN型不純物(リン)をドーピングする場合には、P型不純物(ホウ素)をドーピングする結晶性珪素膜312p上をフォトレジストで被覆し、結晶性珪素膜312pにP型不純物(ホウ素)をドーピングする場合には、N型不純物(リン)をドーピングする結晶性珪素膜312n上をフォトレジストで被覆する。この結果、結晶性珪素膜312nおよび312p内に、それぞれN型TFTのソースまたはドレイン領域321nおよびP型TFTのソースまたはドレイン領域321pが形成され、図4に示すようにスルーホール300の両側に、スルーホール300と隣接してN型TFT326およびP型TFT327を形成することができる。
【0166】
その後、ガラス基板301上にレーザー光322を照射して、レーザーアニール処理を行い、イオン注入された不純物(リンおよびホウ素)の活性化を図ると同時に、不純物(リンおよびホウ素)の注入により結晶状態が劣化したTFTのソースまたはドレイン領域321nおよび321pの結晶状態を改善する。この場合のレーザー光は、XeClエキシマレーザー(波長308nm、パルス幅40nsec)を使用した。レーザー光の照射条件は、レーザー光のエネルギー密度250mJ/cm2、一か所につき20ショット照射した。
【0167】
次に、図5(H)に示すように、ガラス基板301上の全体を覆うために、プラズマCVD法によって厚さ900nmの酸化珪素膜を層間絶縁膜323として形成する。その後、ソースまたはドレイン領域321nおよび321p上にコンタクトホールを形成して、金属材料、例えば、窒化チタンおよびアルミニウムの二層膜によってN型およびP型TFTのソース電極およびドレイン電極と成る電極配線324を形成する。その後、1気圧の水素雰囲気において、温度350℃、1時間のアニール処理を行い、N型TFT326およびP型TFT327を完成させる。尚、必要に応じて、N型TFT326およびP型TFT327のそれぞれのゲート電極314nおよび314p上にもコンタクトホールを設けて、電極配線324により必要な電極間を接続しても良いし、N型TFT326およびP型TFT327を保護するために、N型TFT326およびP型TFT327上に窒化珪素膜等から成る保護膜を設けても良い。
【0168】
以上、図5(A)〜(H)の工程にしたがって作製されたN型TFT326およびP型TFT327から成るCMOS構造回路において、それぞれN型TFT326の電界効果移動度は250〜300cm2/Vs、P型TFT327の電界効果移動度は120〜150cm2/Vsの高い値を示し、N型TFT326の閾値電圧は1V程度、P型TFT327の閾値電圧は−1.5V程度と非常に良好な特性を示す。そして、N型TFT326およびP型TFT327には、従来のTFTで発生しやすいTFTのOFF動作時のリーク電流の異常な増加が全く無く、繰り返し測定、バイアス負荷および温度ストレスによる耐久性試験においても、ほとんど諸特性の劣化が見られず、従来のTFTと比較して非常に信頼性が向上し、安定した回路特性を示した。
【0169】
以上、本発明の第1〜第3の実施形態に基づいて、半導体装置の製造方法を具体的に説明したが、本発明の半導体装置の製造方法は、前述の第1〜第3の実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づく各種の変形が可能である。例えば、前述の第1〜第3の実施形態においては、触媒元素のニッケルをゲッタリングする際の第2の加熱処理の方法として、ガラス基板の外形と概略相似形の断面形状を持つ炉心管が設けられたファーネス炉のような抵抗性加熱炉を用いる方法を示したが、通常の抵抗性加熱炉(ファーネス炉)でも同様の処理は可能であるし、その他の枚葉式等のRTA(Rapid Thermal Annealing:急速熱アニーリング)のようなアニール方法も使用できる。
【0170】
また、触媒元素のニッケルを添加する方法としては、非晶質珪素膜の表面にニッケル塩を溶融した溶液を塗布する方法を採用したが、非晶質珪素膜の成膜前に下地膜表面にニッケルを添加し、非晶質珪素膜下層よりニッケルを非晶質珪素膜内に拡散させ結晶成長を行わせる方法でもよい。これにより、結晶成長は、非晶質珪素膜の上面側から行ってもよいし、下面側から行ってもよい。
【0171】
ニッケルの添加方法としても、その他、様々な方法を用いることができる。例えば、ニッケル塩を溶融させる溶媒としてSOG(スピンオングラス)材料を用い、SiO2膜より拡散させる方法もある。また、第3の実施形態に示すようなスパッタリング法、蒸着法、メッキ法等により薄膜形成する方法、イオンドーピング法により直接添加する方法等も利用できる。さらに、結晶化を促進する不純物金属元素としては、ニッケル以外にコバルト、鉄、パラジウム、白金、銅、金を用いても同様の効果が得られる。
【0172】
また、ニッケルのゲッタリング効果を高めるための5族B元素としてリンを用いたが、リン以外に窒素、ヒ素、アンチモン、ビスマスを利用しても良い。第2の実施形態では、アルゴンをドーピングして使用したが、クリプトンおよびキセノンでも同様の効果が得られる。
【0173】
また、第1〜第3の実施形態では、ニッケルによって結晶化された結晶性珪素膜の結晶性をさらに促進させる手段として、結晶化された結晶性珪素膜の表面にパルスレーザーであるエキシマレーザーのレーザー光を照射する加熱法を用いたが、それ以外のレーザー(例えば連続発振Arレーザー等)を使用しても同様のレーザーアニール処理が可能である。
【0174】
さらに、本発明の応用としては、液晶表示用のアクティブマトリクス型基板以外に、例えば、密着型イメージセンサー、ドライバー内蔵型のサーマルヘッド、有機系EL等を発光素子としたドライバー内蔵型の光書き込み素子および表示素子、三次元IC等が考えられる。本発明を用いることによって、これらの素子の高速化、高解像度化等の高性能化が実現される。
【0175】
さらに、本発明は、第1〜第3の実施形態で説明したMOS型トランジスタに限らず、結晶性半導体を素材としたバイポーラトランジスタや静電誘導トランジスタをはじめとして幅広く半導体プロセス全般に応用することができる。
【0176】
【発明の効果】
本発明の半導体装置の製造方法は、絶縁性表面を有する基板上に形成された非晶質珪素膜に、非晶質珪素膜の結晶化を促進する第1の元素である触媒元素を添加して、第1の加熱処理を行い非晶質珪素膜を結晶成長させ、その後、結晶化した結晶性珪素膜の一部に、選択的に触媒元素を引き寄せる効果を持つ第2の元素であるゲッタリング元素を添加して、ゲッタリング元素を添加した領域を非晶質化させる。さらに、ゲッタリング元素が添加され非晶質化した領域が少なくとも完全に結晶化しない状態を保ちながら第2の加熱処理を行い、第2の加熱処理により結晶性珪素膜内の触媒元素を、ゲッタリング元素が添加され非晶質化した領域に移動させ、ゲッタリング元素が添加された領域以外の領域を用いて半導体装置の能動(チャネル)領域を形成する。これにより、結晶化された結晶性珪素膜の素子形成領域内の触媒元素の量を低減させ、大型のガラス基板に対しても量産が可能となる。
【0177】
本発明の半導体装置は、絶縁性表面を有する基板上に、活性領域を有する結晶性珪素膜が形成され、その活性領域には、非晶質珪素膜の結晶化を促進する第1の元素を含むとともに、第1の元素が活性領域の全領域において結晶性珪素膜の格子間に固溶していることもよって、信頼性の高い安定した特性を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)〜(G)は、それぞれ本発明の第1の実施形態である半導体装置の製造方法における各工程を示す断面図である。
【図2】(A)〜(E)は、それぞれ本発明の第1の実施形態である半導体装置の製造方法における画素駆動用TFTの各工程の概要を示す平面図である。
【図3】(A)〜(G)は、それぞれ本発明の第2の実施形態である半導体装置の製造方法における各工程を示す断面図である。
【図4】本発明の第3の実施形態である半導体装置の製造方法におけるCMOS構造を構成するN型TFTおよびP型TFTの作製工程の概略を示す平面図である。
【図5】A)〜(H)は、それぞれ本発明の第3の実施形態である半導体装置の製造方法における各工程を示す断面図である。
【図6】(A)は、ファーネス炉におけるガラス基板、石英ボートおよび石英チュ−ブの位置関係を示す斜視図であり、(B)は、ファーネス炉におけるガラス基板と石英チュ−ブとの隙間(間隔)を表す平断面図であり、(C)は、従来のガラス基板と石英チュ−ブとの隙間(間隔)を表す平断面図であり、(D)は、ファーネス炉におけるガラス基板と石英チュ−ブとの隙間(間隔)および雰囲気ガスの流れを表す概略断面図である。
【符号の説明】
300 スルーホール
101、201、301 ガラス基板
102、202、302 下地膜
103、203、303 非晶質珪素膜(a−Si膜)
103a 結晶性珪素膜
203a 結晶性珪素膜
303a 結晶性珪素膜
303b 結晶性珪素膜
103c 結晶性珪素膜
203c 結晶性珪素膜
303d 結晶性珪素膜
303e 境界部
203f 非晶質珪素領域
303f 非晶質珪素領域
204、304 マスク
105、205、305 ニッケル
306 結晶成長方向
107、207、307 レーザー光
208 アルゴン
309 リン
310 ホウ素
111、211、311 ゲッタリング方向
112、212、 TFT活性領域(素子領域)
312n 結晶性珪素膜
312p 結晶性珪素膜
ll3、213、313 ゲート絶縁膜
114、214、 ゲート電極
314n ゲート電極
314p ゲート電極
215 陽極酸化層
116 低濃度のリン
117、217、317 チャネル領域
317n チャネル領域
317p チャネル領域
118 低濃度不純物領域
119 フォトレジストマスク
120 高濃度のリン
121、221、 ソースまたはドレイン領域
321n ソースまたはドレイン領域
321p ソースまたはドレイン領域
122、222、322 レーザー光
123、223、323 層間絶縁膜
124、224、324 電極配線
225 画素電極
126、226、326 Nチャネル型TFT
327 Pチャネル型TFT

Claims (24)

  1. 絶縁性表面を有する矩形状の基板上に非晶質珪素膜を形成し、該非晶質珪素膜に該非晶質珪素膜の結晶化を促進する第1の元素を添加する工程と、
    その後、第1の加熱処理を施し、該第1の元素が添加された該非晶質珪素膜の結晶成長を行い、結晶性珪素膜を形成する工程と、
    該結晶性珪素膜の一部の領域に、選択的に該第1の元素を引き寄せる効果を有する第2の元素を添加し、該第2の元素が添加された領域を非晶質化する工程と、
    該第2の元素が添加され非晶質化した領域が、少なくとも完全に結晶化しない状態にて第2の加熱処理を行い、該結晶性珪素膜内の該第1の元素を、該第2の元素が添加され非晶質化した領域に移動させる工程と、
    該第2の元素が添加された領域以外の領域の該結晶性珪素膜を用いて、少なくとも半導体装置の能動領域を形成する工程とを包含し、
    前記第2の加熱処理は、前記基板の平面形状と概略相似形の断面形状を持つ炉心管を有するファーネス炉で、該炉心管の内部に、前記基板を、該炉心管の断面形状と相似状態になるように配置して、前記基板の昇温速度および降温速度を、それぞれ5℃/分以上として、450℃〜580℃の範囲内の加熱温度、0.5時間〜8時間の加熱時間で行われることを特徴とする半導体装置の製造方法。
  2. 絶縁性表面を有する矩形状の基板上に非晶質珪素膜を形成し、該非晶質珪素膜の一部の領域に該非晶質珪素膜の結晶化を促進する第1の元素を選択的に添加する工程と、
    その後、第1の加熱処理を施し、該第1の元素が選択的に添加された領域から隣接する周辺領域に向かって該基板と平行方向に該非晶質珪素膜の結晶成長を行い、結晶性珪素膜を形成する工程と、
    該結晶性珪素膜の一部の領域に、選択的に該第1の元素を引き寄せる効果を有する第2の元素を添加し、該第2の元素が添加された領域を非晶質化する工程と、
    該第2の元素が添加され非晶質化した領域が、少なくとも完全に結晶化しない状態で第2の加熱処理を行い、該結晶性珪素膜内の該第1の元素を、該第2の元素が添加され非晶質化した領域に移動させる工程と、
    該第2の元素が添加された領域以外の、該基板と平行方向に結晶成長した領域の該結晶性珪素膜を用いて、少なくとも半導体装置の能動領域を形成する工程とを包含し、
    前記第2の加熱処理は、前記基板の平面形状と概略相似形の断面形状を持つ炉心管を有するファーネス炉で、該炉心管の内部に、前記基板を、該炉心管の断面形状と相似状態になるように配置して、前記基板の昇温速度および降温速度を、それぞれ5℃/分以上として、450℃〜580℃の範囲内の加熱温度、0.5時間〜8時間の加熱時間で行われることを特徴とする半導体装置の製造方法。
  3. 前記第2の加熱処理では、前記第2の元素が添加され非晶質化した領域において、結晶核の発生が全く生じない請求項1または2に記載の半導体装置の製造方法。
  4. 前記第2の加熱処理において、前記基板が、前記ファーネス炉の炉心管の周囲と前記基板の側端部との間の間隔が最小となるように配置されている請求項1または2に記載の半導体装置の製造方法。
  5. 前記第2の元素は、族Bの元素から少なくとも1種類以上、選択される請求項1または2に記載の半導体装置の製造方法。
  6. 前記第2の元素がリン(P)である請求項5に記載の半導体装置の製造方法。
  7. 前記非晶質化する工程において、前記V族Bの元素とともに、III族Bの元素も添加される請求項に記載の半導体装置の製造方法。
  8. 前記V族Bの元素がリン(P)であり、III族Bの元素がホウ素(B)である請求項7に記載の半導体装置の製造方法。
  9. 前記第2の元素は、ガス元素から少なくとも1種類以上、選択される請求項1または2に記載の半導体装置の製造方法。
  10. 前記希ガス元素がアルゴン(Ar)である請求項9に記載の半導体装置の製造方法。
  11. 前記第2の元素の添加は、質量分離を行わないイオンシャワードーピング法によって行われる請求項1〜10のいずれかに記載の半導体装置の製造方法。
  12. 前記第2の元素は、前記能動領域に隣接した周辺部に添加される請求項1または2に記載の半導体装置の製造方法。
  13. 前記第1の元素の添加および前記第2の元素の添加が同一の添加用マスクを用いて行われる請求項2に記載の半導体装置の製造方法。
  14. 前記能動領域に隣接した前記周辺部は、不純物領域である請求項12に記載の半導体装置の製造方法。
  15. 前記不純物領域は、V族Bの元素が添加されて、ソース領域およびドレイン領域とされる請求項14に記載の半導体装置の製造方法。
  16. 前記不純物領域に高速熱アニール処理またはレーザーアニール処理を行う請求項14または15に記載の半導体装置の製造方法。
  17. 前記結晶性珪素膜にレーザーアニール処理を行う請求項1または2に記載の半導体装置の製造方法。
  18. 前記第1の元素は、Ni、Co、Fe、Pd、Pt、Cu、Auから選択された一種類または複数種類元素である請求項1〜17のいずれかに記載の半導体装置の製造方法。
  19. 前記第1の元素は、少なくともNiが選択される請求項18に記載の半導体装置の製造方法。
  20. 請求項1または2に記載の半導体装置の製造方法によって、絶縁性表面を有する基板上に、活性領域を有する結晶性珪素膜が形成された半導体装置であって、
    前記第1の元素が該活性領域の全領域において前記結晶性珪素膜の格子間に固溶していることを特徴とする半導体装置。
  21. 請求項1または2に記載の半導体装置の製造方法によって、絶縁性表面を有する基板上に、活性領域を有する結晶性珪素膜が形成された半導体装置であって、
    該活性領域は、能動領域および不純物領域が設けられており、
    前記第1の元素が前記活性領域内の前記能動領域において前記結晶性珪素膜の格子間に固溶していることを特徴とする半導体装置。
  22. 前記能動領域内の前記第1の元素の濃度が、前記不純物領域内の前記第1の元素の濃度よりも低くなるように設定されている請求項21に記載の半導体装置。
  23. 前記第1の元素としてニッケル(Ni)が含まれている請求項20〜22のいずれかに記載の半導体装置。
  24. 前記第1の元素の濃度は、1×1015〜1×1017/cm3の範囲内である請求項20または21に記載の半導体装置。
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