JP2003100630A - 半導体装置およびその製造方法 - Google Patents

半導体装置およびその製造方法

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JP2003100630A JP2001285888A JP2001285888A JP2003100630A JP 2003100630 A JP2003100630 A JP 2003100630A JP 2001285888 A JP2001285888 A JP 2001285888A JP 2001285888 A JP2001285888 A JP 2001285888A JP 2003100630 A JP2003100630 A JP 2003100630A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 結晶化された結晶性珪素膜の素子形成領域内
の触媒元素の量を低減させ、大型のガラス基板に対して
も量産を可能にする。 【解決手段】 絶縁性表面を有する基板上に形成された
非晶質珪素膜に、非晶質珪素膜の結晶化を促進する第1
の元素であるNi(ニッケル)を添加して、第1の加熱
処理を行い非晶質珪素膜を結晶成長させ、その後、結晶
化した結晶性珪素膜の一部に、選択的にNiを引き寄せ
る効果を持つ第2の元素であるP(リン)を添加して、
Pを添加した領域を非晶質化させる。さらに、Pが添加
され非晶質化した領域が少なくとも完全に結晶化しない
状態を保ちながら第2の加熱処理を行い、第2の加熱処
理により結晶性珪素膜内のNiを、Pが添加され非晶質
化した領域に移動させ、Pが添加された領域以外の領域
を用いて半導体装置の能動(チャネル)領域を形成す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、半導体装置および
その製造方法に関し、特に、非晶質珪素膜を結晶化させ
た結晶性珪素膜を活性領域とする薄膜トランジスタ(T
FT)を用いた半導体装置およびその製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】近年、画面サイズが大型で画素も高密度
である液晶表示装置および有機EL表示装置、画像処理
が高速で画素も高密度である密着型イメージセンサー、
三次元IC等の実現に向けて、ガラス等の絶縁基板上お
よび絶縁膜上に高性能な半導体素子を形成する試みが行
われている。これらの装置に用いられる半導体素子に
は、薄膜状の珪素(Si)半導体を用いるのが一般的で
ある。薄膜状の珪素半導体としては、非晶質珪素半導体
(a−Si)および結晶性を有する珪素半導体(p−S
i)の2つに大別される。
【0003】非晶質珪素半導体は、作製温度が低く、気
相法で比較的容易に作製することが可能であり、量産性
も良好であるために、最も一般的に使用されている。し
かし、非晶質珪素半導体は、導電性等の特性が結晶性を
有する珪素半導体に比べて劣っている。このため、導電
性が良好で高速処理が可能な結晶性を有する珪素半導体
から成る半導体装置の作製方法の確立が強く要望されて
いる。
【0004】結晶性を有する薄膜状の珪素半導体の作製
方法としては、次の2つの方法が用いられている。 (1)非晶質の半導体膜を成膜しておき、成膜された非
晶質の半導体膜に対してレーザー光等のエネルギービー
ムを照射して、エネルギービーム照射によって生じる熱
エネルギーにより結晶成長を行う。 (2)非晶質の半導体膜を成膜しておき、成膜された非
晶質の半導体膜に対して加熱処理をして、加熱による熱
エネルギーにより固相状態にて結晶成長を行う。
【0005】一般的には、(1)の方法がよく用いられ
ている。(1)の方法では、溶融固化過程の結晶化現象
を利用するために、結晶粒は小粒径であるが、結晶粒内
の結晶欠陥は少なく、比較的高品質な結晶性珪素半導体
膜が得られる。しかしながら、(1)の方法にて作製さ
れた結晶性珪素半導体膜では、結晶粒界部における欠陥
密度が高く、各結晶欠陥がキャリア(荷電担体)に対し
て大きなトラップとして作用する。このために、(1)
の方法にて作製された結晶性珪素半導体膜を用いた半導
体装置では、十分な特性が得られない。また、結晶成長
させる光源のレーザー光等についても、現在、最も一般
的に使用されているエキシマレーザーでは、レーザー光
の十分な安定性が得られず、照射されるレーザー光の強
度が非晶質の半導体膜に対して一様でないために、エキ
シマレーザーのエネルギービーム照射により結晶成長さ
れた結晶性珪素半導体膜から成る半導体素子間の特性ば
らつきが問題となっている。
【0006】(2)の方法では、(1)の方法と比較す
ると基板内の結晶粒の均一性および安定性において有利
であるが、温度600℃、30時間程の長時間にわたる
加熱処理が必要であるために、処理時間が長く、量産性
が低いという問題点がある。また、(2)の方法では、
一つの結晶粒は数μmと比較的大きいが、結晶構造が双
晶構造となるために、結晶粒内に多数の双晶欠陥を含
み、前述の(1)の方法に比べて結晶粒内の結晶状態が
劣る。
【0007】しかしながら、最近、(1)および(2)
の方法に対する改善策として、非晶質珪素膜の結晶化を
促進する触媒元素を利用することにより、加熱温度の低
温化および処理時間の短縮を図るとともに、結晶状態の
向上を図る方法が注目されている。具体的には、非晶質
珪素膜の表面にニッケル(Ni)等の金属元素を微量だ
け添加して、その後、加熱処理を行う方法である。この
方法では、添加された金属元素を核とした結晶核の発生
が早期に起こり、その後、添加された金属元素が触媒と
なって結晶成長を促進し、非晶質珪素膜の結晶化が急速
に進行する。さらに、この方法により結晶成長した結晶
性珪素膜は、通常の固相成長法(前述の(2)の方法)
とは異なり、一つの結晶粒内の結晶構造が結晶欠陥の多
い双晶構造ではなく、何本もの柱状結晶ネットワークで
構成されており、一つの結晶粒は小さいが、結晶粒内の
それぞれの柱状結晶内部は、ほぼ単結晶の状態となって
いる。
【0008】特開平10−270363号公報には、触
媒元素により結晶化された珪素に対して、その一部にリ
ン(P)等のV族Bの元素を選択的に添加し、加熱処理
を行うことによって、V族Bの元素が添加された領域
に、触媒元素を移動(ゲッタリング)させる構成が開示
されている。そして、結晶化された珪素のV族Bの元素
が添加されていない領域である触媒元素がゲッタリング
された領域を使用して半導体装置の活性領域が形成され
ている。
【0009】また、特開平11−40499号公報に
は、特開平10−270363号公報にて開示された構
成に加えて、V族Bの元素が選択的に添加された領域に
対してレーザー光などの強い光を照射して、その後、加
熱処理を行うことによって、触媒元素のゲッタリング効
果を一層高めようとしている。
【0010】さらに、特開平11−54760公報に
は、V族Bの元素に加えてIII族Bの元素も添加するこ
とによって、触媒元素に対するゲッタリング効果を、さ
らに高めようとしている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】前述したように、触媒
元素を添加することにより非晶質珪素膜の結晶化を促進
する方法は、加熱温度の低温化および加熱時間の短縮化
が図れ、さらに、結晶化後に得られる結晶性珪素膜の結
晶状態は、他の非晶質珪素膜の結晶化方法に比べ明らか
に優れている。
【0012】しかしながら、触媒元素を添加して非晶質
珪素膜の結晶化を促進する方法は、金属元素等を主とす
る触媒元素が珪素半導体膜内に多量に存在している。こ
のため、この方法により結晶化された結晶性珪素半導体
膜を用いた装置は、信頼性および電気的特性において、
不安定となり好ましくない。前述のニッケル等の結晶化
を促進する触媒元素は、非晶質珪素膜を結晶化させる場
合には必要であるが、結晶化した結晶性珪素膜内には極
力含まれないようにすることが望ましい。
【0013】この目的を達成するためには、第1に非晶
質珪素膜の結晶化に必要な触媒元素の量を極力少なく
し、最低限の量で非晶質珪素膜を結晶化させる必要があ
る。ところが、非晶質珪素膜への触媒元素の添加量を少
なくしていくと、結晶化する結晶性珪素膜の結晶成長状
態が非常に不安定となる。このような不安定な状態で作
製された結晶性珪素膜は、基板内での結晶状態のばらつ
きが非常に大きくなり、半導体装置の活性領域を構成す
る結晶性珪素半導体膜としては、使用できない。
【0014】次に、前述の公報のように、触媒元素を用
いて結晶成長させた後、結晶化された結晶性珪素膜にV
族B、III族B等の元素を添加して、触媒元素を移動
(ゲッタリング)させることにより、結晶性珪素膜の素
子形成領域の触媒元素を除去または低減する構成が第2
の方法として考えられている。実際に、特開平10−2
70363号公報において開示されている構成を用いる
と、結晶化された結晶性珪素膜の素子形成領域から大部
分の触媒元素をゲッタリングすることができる。
【0015】しかしながら、特開平10−270363
号公報に開示された構成では、2つの問題点が存在す
る。第1の問題は、この公報に開示された構成では、触
媒元素のゲッタリングにおいて、十分な効果が得られて
おらず、半導体装置の活性(能動)領域における触媒元
素の残留量が、まだ十分に低減できていない点である。
実際に、特開平10−270363号公報に開示された
構成を用いて、結晶化された結晶性珪素膜の素子形成領
域に薄膜トランジスタ(TFT)素子を形成すると、結
晶性珪素膜に残留している触媒元素が薄膜トランジスタ
素子に悪影響をおよぼしていることが確認できた。特
に、結晶性珪素膜に残留している触媒元素が薄膜トラン
ジスタ(TFT)の接合部に存在すると、薄膜トランジ
スタ(TFT)のOFF動作時のリーク電流が非常に増
大するリーク源になると考えられる。
【0016】前述の特開平10−270363号公報、
特開平11−40499号公報および特開平11−54
760号公報に開示された構成を用いて、結晶化された
結晶性珪素膜の素子形成領域に薄膜トランジスタ(以下
TFTと記述)素子を形成すると、それぞれ若干の効果
の違いは見られるが、数%程度の比率でTFTのOFF
動作時のリーク電流が非常に大きい不良TFTが検出さ
れた。そして、それらの不良TFT素子における不良原
因を解析すると、チャネル部とドレイン部との接合部
に、触媒元素によるシリサイドが存在していることが確
認された。したがって、前述の3つの公報に開示された
構成では、高性能な半導体装置の作製が可能であるが、
不良率が高く、また信頼性も悪く、量産に対応できるよ
うな構成ではなかった。
【0017】第2の問題は、加熱処理の条件(加熱温
度、加熱時間)である。前述の3つの公報に開示された
構成では、加熱温度550℃以上、加熱時間数時間〜数
十時間の加熱処理を行っている。結晶化された結晶性珪
素膜から成るTFT素子が形成されるガラス基板とし
て、100mm×100mmサイズ程度の小型ガラス基
板および高価な石英基板などを用いる場合には、加熱温
度550℃以上は特に問題となる温度ではないが、より
大型のガラス基板を使用する場合には、基板のたわみお
よび反りが大きな問題となる。本発明の半導体装置の用
途としては、液晶表示用および有機EL表示用のアクテ
ィブマトリクス基板があるが、そのマザーボード(ガラ
ス基板)は、コストダウンのため大型化する傾向にあ
る。また、TFT素子が形成されるガラス基板は、装置
のコンパクト化および軽量化のため、薄板化する傾向も
加わり、そのようなガラス基板に対して高温、長時間の
加熱処理を行うことは非常に厳しい。実際に、一般的に
使用されているコーニング社製コード1737のガラス
基板を用いた場合、600mm×720mmの基板サイ
ズ、厚さ0.7mmのガラス基板では、加熱温度500
℃程度、加熱時間数時間の加熱処理がほぼ限界であるこ
とが実験により確認されている。この加熱処理における
最も大きな問題は、ガラス基板の重量によるたわみおよ
び反りである。さらに、この加熱処理は、ガラス基板上
へのパターン形成後に行われるので、ガラス基板に特有
の収縮(シュリンケージ:shrinkage)の問題
も生じる。これにより、加熱処理工程の前後におけるガ
ラス基板上でのパターン合わせが非常に困難となる。
【0018】以上、説明したように、前述の3つの公報
に開示された構成では、結晶化された結晶性珪素膜の素
子形成領域内の触媒元素の量を十分に低減させることが
できない。また、量産時の対象となる大型のガラス基板
に対しても、何らかの改良が必要となる。
【0019】本発明は、このような課題を解決するもの
であり、その目的は、結晶化された結晶性珪素膜の素子
形成領域内の触媒元素の量を低減させ、大型のガラス基
板に対しても量産が可能となり、信頼性が高く安定な特
性を有する半導体装置およびその製造方法を提供するこ
とにある。
【0020】
【課題を解決するための手段】本発明の半導体装置の製
造方法は、絶縁性表面を有する基板上に非晶質珪素膜を
形成し、該非晶質珪素膜に結晶化を促進する第1の元素
を添加する工程と、その後、第1の加熱処理を施し、該
第1の元素が添加された該非晶質珪素膜の結晶成長を行
い、結晶性珪素膜を形成する工程と、該結晶性珪素膜の
一部の領域に、選択的に該第1の元素を引き寄せる効果
を有する第2の元素を添加し、該第2の元素が添加され
た領域を非晶質化する工程と、該第2の元素が添加され
非晶質化した領域が、少なくとも完全に結晶化しない状
態にて第2の加熱処理を行い、該結晶性珪素膜内の該第
1の元素を、該第2の元素が添加され非晶質化した領域
に移動させる工程と、該第2の元素が添加された領域以
外の領域の該結晶性珪素膜を用いて、少なくとも半導体
装置の能動領域を形成する工程と、を包含することを特
徴とする。
【0021】本発明の半導体装置の製造方法は、絶縁性
表面を有する基板上に非晶質珪素膜を形成し、該非晶質
珪素膜の一部の領域に結晶化を促進する第1の元素を選
択的に添加する工程と、その後、第1の加熱処理を施
し、該第1の元素が選択的に添加された領域から隣接す
る周辺領域に向かって該基板と平行方向に該非晶質珪素
膜の結晶成長を行い、結晶性珪素膜を形成する工程と、
該結晶性珪素膜の一部の領域に、選択的に該第1の元素
を引き寄せる効果を有する第2の元素を添加し、該第2
の元素が添加された領域を非晶質化する工程と、該第2
の元素が添加され非晶質化した領域が、少なくとも完全
に結晶化しない状態で第2の加熱処理を行い、該結晶性
珪素膜内の該第1の元素を、該第2の元素が添加され非
晶質化した領域に移動させる工程と、該第2の元素が添
加された領域以外の、該基板と平行方向に結晶成長した
領域の該結晶性珪素膜を用いて、少なくとも半導体装置
の能動領域を形成する工程と、を包含することを特徴と
する。
【0022】前記第2の加熱処理では、前記第2の元素
が添加され非晶質化した領域において、結晶核の発生が
全く生じない。
【0023】前記第2の加熱処理は、加熱温度が450
℃〜580℃の範囲内であり、加熱時間が0.5時間〜
8時間である。
【0024】前記第2の加熱処理は、抵抗性加熱炉を用
いる。
【0025】前記抵抗性加熱炉は、前記基板を、該基板
の平面形状と概略相似形の断面形状を持つ炉心管の内部
に、該基板の平面を炉心方向に向け、炉心管の周囲と該
基板の側端部との間の間隔が最小となるように配置した
ファーネス炉である。
【0026】前記第2の元素は、V族Bの元素であり、
V族Bの元素から少なくとも1種類以上、選択される。
【0027】前記V族Bの元素がリン(P)である。
【0028】前記結晶性珪素膜の一部の領域に、V族B
の元素を添加するとともに、III族Bの元素も添加す
る。
【0029】前記V族Bの元素がリン(P)であり、II
I族Bの元素がホウ素(B)である。
【0030】前記第2の元素は、希ガス元素であり、希
ガス元素から少なくとも1種類以上、選択される。
【0031】前記希ガス元素がアルゴン(Ar)であ
る。
【0032】前記第2の元素の添加は、質量分離を行わ
ないイオンシャワードーピング法によって行われる。
【0033】前記第2の元素は、前記能動領域に隣接し
た周辺部に添加される。
【0034】前記第1の元素の添加および前記第2の元
素の添加が同一の添加用マスクを用いて行われる。
【0035】前記能動領域に隣接した前記周辺部は、不
純物領域である。
【0036】前記不純物領域は、V族Bの元素が添加さ
れて、ソース領域およびドレイン領域を形成する。
【0037】前記不純物領域に高速熱アニール処理また
はレーザーアニール処理を行う。
【0038】前記結晶性珪素膜にレーザーアニール処理
を行う。
【0039】前記第1の元素は、Ni、Co、Fe、P
d、Pt、Cu、Auから選択された一種類または複数
種類のた元素である。
【0040】前記第1の元素は、少なくともNiが選択
される。
【0041】本発明の半導体装置は、絶縁性表面を有す
る基板上に、活性領域を有する結晶性珪素膜が形成され
た半導体装置であって、該活性領域は、非晶質珪素膜の
結晶化を促進する第1の元素を含むとともに、該第1の
元素が該活性領域の全領域において該結晶性珪素膜の格
子間に固溶していることを特徴とする。
【0042】本発明の半導体装置は、絶縁性表面を有す
る基板上に、活性領域を有する結晶性珪素膜が形成され
た半導体装置であって、該活性領域は、能動領域および
不純物領域が設けられており、該活性領域は、非晶質珪
素膜の結晶化を促進する第1の元素を含むとともに、該
第1の元素が該活性領域内の能動領域において該結晶性
珪素膜の格子間に固溶していることを特徴とする。
【0043】前記能動領域内の前記第1の元素の濃度
が、前記不純物領域内の前記第1の元素の濃度よりも低
くなるように設定されている。
【0044】前記第1の元素としてニッケル(Ni)が
含まれている。
【0045】前記第1の元素の濃度は、1×1015〜1
×1017/cm3の範囲内である。
【0046】以下、本発明の半導体装置およびその製造
方法について詳細に説明する。
【0047】触媒元素を添加することにより非晶質珪素
膜の結晶化を促進させ高品質な結晶性珪素膜を得るため
に、検討を重ねた結果、以下に説明するような知見によ
って、前述の問題点を解決するための半導体装置および
その製造方法が得られた。
【0048】まず、本発明の半導体装置の製造方法の要
旨を説明する。
【0049】ガラス基板等の絶縁基板上に形成された
非晶質珪素膜に、非晶質珪素膜の結晶化を促進する第1
の元素である触媒元素を添加して、第1の加熱処理を行
い非晶質珪素膜を結晶成長させる。
【0050】その後、結晶化した結晶性珪素膜の一部
に、選択的に触媒元素を引き寄せる効果を持つ第2の元
素であるゲッタリング元素を添加して、ゲッタリング元
素を添加した領域を非晶質化させる。
【0051】その後、ゲッタリング元素が添加され非
晶質化した領域が少なくとも完全に結晶化しない状態を
保ちながら第2の加熱処理を行う。
【0052】そして、第2の加熱処理により結晶性珪
素膜内の触媒元素を、ゲッタリング元素が添加され非晶
質化した領域に移動させ、ゲッタリング元素が添加され
た領域以外の領域を用いて半導体装置の能動(チャネ
ル)領域を形成する。
【0053】また、本発明の半導体装置の製造方法にお
いて、ガラス基板等の絶縁基板上に形成された非晶質珪
素膜の一部分に、触媒元素を選択的に添加し、第1の加
熱処理を行うことにより、触媒元素が選択的に添加され
た領域からその周辺領域に向かって横方向(基板表面と
平行)に非晶質珪素膜を結晶成長させて結晶性珪素膜を
形成し、その後、結晶性珪素膜の一部にゲッタリング元
素を添加しても、同様の効果が得られる。この場合、ゲ
ッタリング元素が添加された領域以外の横方向に結晶成
長した結晶性珪素膜の領域を用いて半導体装置の能動
(チャネル)領域を形成すると、高い電流駆動能力を持
つ高性能な半導体装置(TFT等)が得られる。
【0054】本発明の半導体装置の製造方法の重要なポ
イントは、次の2点である。
【0055】第1点は、第1の加熱処理後に、非晶質珪
素膜が結晶化した結晶性珪素膜の一部にゲッタリング元
素を添加することによって、ゲッタリング元素を添加し
た領域を非晶質化させることである。
【0056】第2点は、結晶性珪素膜の一部にゲッタリ
ング元素を添加後、ゲッタリング元素を添加して非晶質
化された領域が少なくとも完全に結晶化しない状態を保
ちながら第2の加熱処理を行うことである。
【0057】特に、第2の加熱処理の加熱温度および加
熱時間の設定が最も重要である。第2の加熱処理の加熱
温度および加熱時間は、結晶性珪素膜内の触媒元素の濃
度とゲッタリング元素が添加され非晶質化した領域の触
媒元素の濃度とが、少なくとも熱平衡状態において偏析
状態となるように設定しなければならない。
【0058】これにより、本発明の半導体装置の製造方
法では、従来の半導体装置の製造方法と比較して、半導
体装置を形成する結晶性珪素膜の活性領域に残留する触
媒元素の量を著しく低減することが可能となり、高い電
流駆動能力を持つ高性能な半導体装置(TFT等)が得
られ、TFTのOFF動作時のリーク電流の異常も見ら
れず、高い信頼性も同時に確保することができる。
【0059】次に、本発明の半導体装置の製造方法にお
いて、半導体装置を形成する結晶性珪素膜の活性領域に
残留する触媒元素の量が低減するメカニズムを説明す
る。所定の領域内の触媒元素を所定の領域以外の領域に
移動させるゲッタリング(gettering)のメカ
ニズムとしては、第1のゲッタリング作用および第2の
ゲッタリング作用がある。
【0060】第1のゲッタリング作用は、任意の領域が
触媒元素に対する固溶度を他の領域より高くなるように
形成され、その任意の領域に触媒元素を移動させる方法
である。
【0061】第2のゲッタリング作用は、任意の領域に
て、触媒元素をトラップするような結晶欠陥または局所
的な偏析サイトを形成し、結晶欠陥または局所的な偏析
サイトに触媒元素を移動させトラップさせる方法であ
る。
【0062】本発明の半導体装置の製造方法では、結晶
性珪素膜の一部にゲッタリングシンクとしてゲッタリン
グ元素を添加した領域を、ゲッタリング元素の添加時に
非晶質化し、ゲッタリング元素が添加されて非晶質化し
た領域が結晶化しない状態を保ちながら第2の加熱処理
を行うことによって、第2のゲッタリング作用の利点を
最大限に引き出すことができる。これにより、結晶性珪
素膜のゲッタリング元素の添加時に非晶質化した領域の
不対結合手(ダングリングボンド)等の結晶欠陥が、触
媒元素に対する偏析サイトとなり、触媒元素を結晶性珪
素膜より移動させ、上層の非晶質珪素膜でトラップす
る。この結果、半導体装置(TFT等)の活性領域とし
て利用する下層の結晶性珪素膜中の触媒元素の濃度が著
しく低減し、TFTのOFF動作時のリーク電流の異常
が無くなり、高い信頼性を得ることができる。
【0063】また、本発明の半導体装置の製造方法で
は、ゲッタリングのための第2の元素として、リン
(P)、窒素(N)、砒素(As)、アンチモン(S
b)、ビスマス(Bi)から選択したV族B元素を用い
ることが有効である。これらのV族B元素を非晶質珪素
膜が結晶化した結晶性珪素膜の一部に添加することによ
って、結晶性珪素膜のV族B元素が添加された領域にお
ける触媒元素の固溶度を飛躍的に上げることができる。
これにより、触媒元素の固溶度の差によって、触媒元素
がV族B元素が添加されていない領域からV族B元素が
添加された領域に移動し、第1のゲッタリング作用が効
果的に行われる。この結果、本発明の半導体装置の製造
方法では、前述した触媒元素のゲッタリングにおける第
1および2のメカニズムの効果を両方とも同時に得るこ
とができ、下層の活性領域となる結晶性珪素膜において
著しく触媒元素の濃度を低減することができる。V族B
元素の中で、最もゲッタリング効果の高いのはリン
(P)であり、結晶性珪素膜の一部にリン(P)を添加
する領域とリン(P)を添加しない領域との間の固濃度
の差が最も大きくなる。
【0064】V族B元素を用いたゲッタリング方法は、
前述の特開平10−270363号公報、特開平ll−
40499号公報および特開平11−54760号公報
において開示されている。これらの公報に開示されてい
るゲッタリング方法は、V族B元素を添加した領域と添
加していない領域とにおける触媒元素の固溶度の差によ
って触媒元素を移動させる第1のゲッタリング作用を利
用している。
【0065】これに対して、本発明のゲッタリング方法
は、主に、結晶性珪素膜の一部のゲッタリング元素が添
加され非晶質化した領域の不対結合手(ダングリングボ
ンド)等の結晶欠陥である局所的偏析サイトに触媒元素
を移動させトラップする第2のゲッタリング作用を利用
している。本発明のゲッタリング方法では、第1のゲッ
タリング作用とこの第2のゲッタリング作用とを組み合
わせる相乗効果によって、前述の公報に開示されている
従来のゲッタリング法に比較して著しくゲッタリング効
率を向上できる。
【0066】本発明の半導体装置の製造方法により、得
られた結晶性珪素膜は、触媒元素の残留量を簡易的に確
認する方法として用いられているフッ酸系のエッチング
液(etchant)によるライトエッチング処理を行
い、結晶性珪素膜の活性領域に残留している触媒元素を
顕在化させる評価を行う場合にも、従来、検出されてい
たエッチピットは全く発生しない。
【0067】また、厳しい評価として、さらに高温での
加熱処理を行うと、結晶性珪素膜の活性領域内に残留し
ている触媒元素が再凝集してシリサイド状態となって現
れる。この評価を前述の特開平10−270363号公
報、特開平11−40499号公報および特開平11−
54760号公報に開示されている構成にて形成された
結晶性珪素膜に対して行うと、触媒元素の再凝集が発生
した。しかし、本発明の半導体装置の製造方法によって
形成された結晶性珪素膜には、触媒元素の再凝集が全く
検出されなかった。
【0068】実際に、本発明の半導体装置の製造方法を
用いて作製されたTFTは、TFTのOFF動作時のリ
ーク電流の異常な増加現象が全く検出されず、発生率は
0%であった。これに対して、前述の公報に開示されて
いる構成および従来技術によって作製されたTFTは、
同様のリーク電流の異常な増加現象の発生率が3%以上
であった。さらに、本発明の半導体装置の製造方法を用
いて作製されたTFTを使用した液晶表示装置では、従
来のTFTを用いて多発していた駆動部のサンプリング
TFTに起因する表示画像の線状の表示むら、および、
TFTのOFF動作時のリーク電流による画素欠陥も全
く発生せず、表示品位を大きく向上できるとともに、製
品歩留まりを飛躍的に上げることができた。
【0069】また、ゲッタリング効果を向上させるため
に、ゲッタリング元素であるV族B元素に加えて、III
族B元素も結晶性珪素膜の一部に添加しても良い。この
場合、5族B元素としてリン(P)および3族B元素と
してホウ素(B)の組み合わせることによって、ゲッタ
リング効果が最も高くなる。結晶性珪素膜の一部にリン
(P)およびホウ素(B)を添加してゲッタリングシン
クを形成すると、ゲッタリングのメカニズムが変化する
ことが確認されている。
【0070】ゲッタリング元素のリン(P)のみが添加
されている場合には、リン(P)が添加されたゲッタリ
ング領域とリン(P)が添加されていないノンドープの
非ゲッタリング領域との触媒元素に対する固溶度の差を
利用した拡散移動型のゲッタリングとなり、第1のゲッ
タリング作用が顕著である。
【0071】ゲッタリング元素のリン(P)にホウ素
(B)を加えて添加する場合には、ゲッタリング元素の
リン(P)およびホウ素(B)が結晶性珪素膜に添加さ
れて非晶質化した領域のゲッタリングシンクにて結晶欠
陥等の偏析サイトに触媒元素が析出し易くなり、第2の
ゲッタリング作用が優勢になる。
【0072】ゲッタリング元素のリン(P)にホウ素
(B)を加えて添加する場合は、ゲッタリング元素のリ
ン(P)のみを添加する場合よりも、ゲッタリングの効
果は大きいが、結晶欠陥等の偏析サイトによってゲッタ
リングが行われるために、加熱温度および温度範囲の設
定が重要なポイントとなる。
【0073】本発明では、結晶性珪素膜の一部にゲッタ
リング元素を添加して、ゲッタリング元素が添加された
ゲッタリング領域を非晶質化させ、ゲッタリング領域に
結晶欠陥等のゲッタリングサイトを残しゲッタリング領
域の再結晶化が起こらないように、第2の加熱処理を行
うため、前述の第2のゲッタリング作用をさらに高める
ことができる。この結果、結晶性珪素膜内のゲッタリン
グ領域にリン(P)に加えてホウ素(B)も添加するこ
とによって、触媒元素に対するより大きなゲッタリング
効果が得られ、結晶性珪素膜の能動領域(チャネル領
域)において触媒元素の残留量の低減が図れる。
【0074】また、本発明の半導体装置の製造方法にお
けるゲッタリング元素としては、前述のV族B元素の他
に、アルゴン(Ar)、クリプトン(Kr)、キセノン
(Xe)等の希ガス元素を用いても良い。これらの希ガ
ス元素が、ゲッタリング領域に存在すると、ゲッタリン
グ領域には結晶欠陥である大きな格子間歪みが生じてお
り、本発明の特徴である結晶欠陥等の偏析サイトによっ
てゲッタリングを行う第2のゲッタリング作用が非常に
強くなる。また、希ガス元素は、非晶質珪素膜内に存在
すると、希ガス元素が存在する非晶質領域の結晶成長を
阻害し、結晶成長(結晶核発生)までの潜伏期間が長く
なり、結晶成長速度を遅らせる効果を有している。この
ため、本発明において、希ガス元素は、結晶性珪素膜内
にゲッタリング元素として添加されると、希ガス元素に
より非晶質化されたゲッタリング領域を、再結晶化させ
ずに、より非晶質状態のままで保つことができ、大きな
第2のゲッタリング作用が得られる。したがって、前述
の希ガス元素をゲッタリング元素として用いることは、
非常に有効な手段であり、希ガス元素の中でも、アルゴ
ン(Ar)をゲッタリング元素として用いた場合に、最
も大きなゲッタリング効果が得られる。
【0075】次に、ゲッタリング元素を結晶性珪素膜の
一部に選択的に添加する方法としては、質量分離を行わ
ないイオンシャワードーピング法が望ましい。その他の
方法を用いてもある程度の効果は得られるが、イオンシ
ャワードーピング方法を用いたときのゲッタリング効果
が特に顕著である。この理由は、イオンシャワードーピ
ングにより、ゲッタリング元素に加えて多量の水素等も
結晶性珪素膜に添加され、結晶性珪素膜内のゲッタリン
グ元素が添加された領域において珪素膜の結晶状態が強
く乱されるため、ゲッタリング元素が添加された領域を
完全に非晶質化できるからである。
【0076】本発明では、結晶性珪素膜内にゲッタリン
グ元素を添加する領域が非晶質化されることが第1の重
要なポイントであり、その非晶質化が強いほど、よりゲ
ッタリング効果が得られる。
【0077】本発明の半導体装置の製造方法における第
2の加熱処理は、結晶性珪素膜の一部にゲッタリング元
素を添加して非晶質化された領域が、少なくとも完全に
結晶化しない状態を保ちながら行うことによって、前述
の第2のゲッタリング作用を最低限引き出すことができ
る。さらに、この第2の加熱処理は、ゲッタリング元素
を添加して非晶質化された領域において結晶核の発生
(結晶成長)が全く生じない状態を保ちながら行われる
ことがより好ましい。これにより、第2の加熱処理は、
結晶性珪素膜内の触媒元素がゲッタリング元素を添加し
て非晶質化された領域に移動するゲッタリングの全期間
において、ゲッタリング効果が最大限となる偏析サイト
を保ちながら、第2のゲッタリング作用を最大限に引き
出すことができる。
【0078】本発明の半導体装置の製造方法では、ゲッ
タリングのための第2の加熱処理が第2の重要ポイント
であり、ゲッタリング元素が添加され非晶質化した領域
が少なくとも完全に結晶化しない状態で、好ましくは結
晶核の発生が全く生じない状態で、この第2の加熱処理
を行う必要がある。このため、第2の加熱処理は、加熱
温度を低く、加熱時間を短く設定するとともに、加熱温
度の下限を設定しなければならない。
【0079】第2の加熱処理条件の加熱温度および加熱
時間は、結晶性珪素膜内の触媒元素をゲッタリング領域
に移動させるために設定されているが、最も望ましいの
は、結晶性珪素膜内の触媒元素の濃度とゲッタリング元
素が添加され非晶質化した領域の触媒元素の濃度とが、
少なくとも熱平衡状態において偏析状態となるような加
熱温度および加熱時間が設定されることである。このよ
うな状態で第2の加熱処理条件の加熱温度および加熱時
間が設定されることによって、ゲッタリング作用は、飽
和状態となっており、安定した最大限のゲッタリング効
果が得られる。熱平衡状態において偏析状態になる以前
では、触媒元素が移動している中途半端な状態であり、
プロセス的にも不安定である。
【0080】したがって、本発明の半導体装置の製造方
法の第2の加熱処理の条件としては、加熱温度450℃
〜580℃の範囲内、加熱時間0.5時間〜8時間の範
囲内であることが望ましい。この条件の加熱温度および
加熱時間の設定値以上の高温および長時間の加熱処理を
行うと、ゲッタリング元素が添加され非晶質化した領域
が結晶化される可能性がある。この場合、本発明の特徴
である第2のゲッタリング作用の効果は無くなり、本発
明の十分な効果が得られない。また、加熱温度450℃
以下になると、加熱時間が非常に長くなり、量産性の効
率低下、加熱装置の台数増加およびフットプリント(床
面積)の拡大から量産用プロセス条件として採用は難し
い。
【0081】ここで、本発明の第2の加熱処理における
ガラス基板等の絶縁基板に対する加熱温度までの昇温速
度および降温速度としては、少なくとも、それぞれ5℃
/分以上で昇温および降温することが望ましい。このこ
とは、本発明者らの実験結果より、5℃/分以上の昇温
速度及び降温速度で処理を行えば、本発明の効果を損な
うことはなく、特に問題も出ないことが確認されてい
る。この昇温速度および降温速度が遅くなると、余分な
加熱処理がガラス基板に加わることになり、ガラス基板
に対する熱ストレスが増加するとともに、昇温過程およ
び降温過程において、ゲッタリング元素が添加されて非
晶質化した領域で再結晶化が誘引される可能性がある。
【0082】本発明の半導体装置の製造方法では、第2
の加熱処理を行う製造装置の構成も重要なポイントであ
る。第2の加熱処理を行う製造装置については、後述す
る本発明の第1の実施形態である半導体装置の製造方法
において詳細に説明する。
【0083】次に、本発明の半導体装置の製造方法にお
いて、結晶性珪素膜の一部に選択的に第2の元素である
ゲッタリング元素が添加される。この場合、ゲッタリン
グ元素は、パターン形成された添加用マスクを用い、最
終的に形成される半導体装置の能動(チャネル)領域上
を少なくともマスクした状態で、能動(チャネル)領域
を取り囲むように、能動(チャネル)領域の周辺部に添
加することが望ましい。この場合、半導体装置の活性領
域全体である素子領域をマスクした状態で、素子領域を
取り囲むように、素子領域の周辺部に添加すると、チャ
ネル領域だけでなく、素子領域(チャネル領域、ソース
領域およびドレイン領域)に、触媒元素がほとんど含ま
れない状態が得られる。このようにすることによって、
後工程において触媒元素による汚染を防止することがで
きる。
【0084】このようにチャネル領域、ソース領域およ
びドレイン領域の素子領域を取り囲むようにゲッタリン
グ元素の添加を行うと、チャネル領域、ソース領域およ
びドレイン領域内の触媒元素は、素子領域の周辺部の全
方向に向かって外側に移動することができるため、非常
に効率的に素子領域内の触媒元素を素子領域外に移動さ
せることができ、優れたゲッタリング効果が得られる。
【0085】また、本発明の半導体装置の製造方法で
は、ガラス基板上に形成された非晶質珪素膜の一部に触
媒元素を選択的に添加し、第1の加熱処理を行うことに
より、触媒元素を選択的に添加された領域からその周辺
領域に向かって横方向(基板表面と平行)に非結晶質珪
素膜を結晶成長させて結晶性珪素膜を形成する場合に
は、触媒元素の選択的な添加を、パターン形成された添
加用マスクを用いて行い、その後の結晶性珪素膜に一部
に第2の元素であるゲッタリング元素を選択的に添加す
る工程も、同一の添加用マスクを用いて行うことが可能
となる。このようにすることよって、触媒元素およびゲ
ッタリング元素のそれぞれの添加工程に対して、異なる
添加マスクを作成する必要が無く、製造プロセスの簡略
化が図れる。
【0086】同時に、後工程において結晶性珪素膜に、
半導体装置のチャネル領域が形成される領域は、触媒元
素およびゲッタリング元素の添加工程に渡って、常に、
マスクにより被覆されている状態が保たれ、露出されな
い。その結果、結晶性珪素膜内のチャネル領域に対し
て、製造プロセスに起因する汚染を最小限に抑えること
ができる。そして、製造プロセスの簡略化および製造プ
ロセスに起因する汚染の抑制により、半導体装置の歩留
まりの向上および低コスト化が図れる。
【0087】さらに、本発明の半導体装置の製造方法で
は、結晶性珪素膜の一部に第2の元素であるゲッタリン
グ元素を選択的に添加する方法として、特に、専用の添
加用マスクを用いず、結晶性珪素膜内の半導体装置の素
子領域(チャネル領域、ソース領域およびドレイン領
域)における不純物領域(ソース領域およびドレイン領
域)に対してゲッタリング元素を添加することも有効で
ある。この場合には、ゲッタリング工程に対して専用の
マスクを用いないため、触媒元素を用いずに非結晶質珪
素膜を結晶化する場合と同一のマスク数でTFTが作製
でき、触媒元素を添加する工程の工数が生じず、極めて
生産性の高い製造プロセスが得られる。
【0088】この場合、ゲッタリング元素としてV族B
元素を用いると、結晶性珪素膜内のゲッタリング元素を
添加した領域を、そのまま不純物領域(ソース領域およ
びドレイン領域)として使用することによって、ゲッタ
リングのためのV族B元素の添加工程と不純物領域(ソ
ース領域およびドレイン領域)のための不純物添加工程
とを兼ねるため、不純物添加工程の工数増加が無くな
る。これにより、製造プロセズが大きく簡略化でき、生
産性の向上が図れる。
【0089】但し、この場合、ゲッタリングのための第
2の加熱処理では、結晶性珪素膜内のゲッタリング元素
が添加され非晶質化した領域が再結晶化しないことが条
件であるので、第2の加熱処理により不純物領域である
ソース領域およびドレイン領域を活性化させることは難
しい。これにより、第2の加熱処理を行い、半導体装置
の能動領域となるチャネル領域内の第1の元素である触
媒元素を不純物領域に移動させた後に、不純物領域に移
動した触媒元素が再拡散しないような短時間の高速熱ア
ニール処理またはレーザー光等の強い光照射処理を行
い、不純物領域の活性化を行うことが望ましい。これに
より、ゲッタリング効果および不純物活性化効果の両方
が得られる。
【0090】本発明において、触媒元素により結晶化さ
れた結晶性珪素膜の結晶状態を向上させて、結晶性珪素
膜に形成された半導体装置の電流駆動能力等の特性を向
上させるには、触媒元素により結晶化された結晶性珪素
膜に対して、酸化雰囲気中にて高温の加熱処理を行う工
程またはレーザー光を照射する工程をさらに追加しても
良い。酸化雰囲気中にて高温の加熱処理を行い、触媒元
素により結晶化された結晶性珪素膜の結晶状態を向上さ
せる方法では、触媒元素により結晶化された結晶性珪素
膜に対して、温度800℃〜1100℃の高温状態で酸
化処理を行うと、酸化作用により生じる過飽和Si原子
が結晶性珪素膜内に供給され、過飽和Si原子が、結晶
性珪素膜内の不対結合手(ダングリングボンド)等の結
晶欠陥に入り込み、結晶欠陥を消滅させ結晶状態を向上
させることができる。しかし、この方法では、安価なガ
ラス基板に対して使用できず、本発明においては、レー
ザー光を照射する方法がより有効となる。
【0091】本発明の半導体装置の製造方法により得ら
れる結晶性珪素膜に対して、レーザー光を照射した場
合、結晶性珪素膜と非晶質珪素膜との融点が異なること
から、結晶粒界部および微小な残留非晶質領域(未結晶
化領域)が集中的に熱処理される。ここで、通常の固相
成長法で形成した結晶性珪素膜では、結晶構造が双晶状
態であるため、レーザー光等の強い光照射後も結晶粒内
部には双晶欠陥が残る。これに対して、非晶質珪素膜に
触媒元素を添加し結晶化された結晶性珪素膜は、柱状結
晶で形成されており、その内部は単結晶状態であるた
め、レーザー光等の強い光照射により結晶粒界部が処理
されるとガラス基板全面にわたって単結晶状態に近い良
質の結晶性珪素膜が得られ、結晶性珪素膜に対するレー
ザー光の照射は非常に有効である。
【0092】また、元々結晶性を有する珪素膜に対して
レーザー光の照射を行うために、非晶質珪素膜に直接レ
ーザー光を照射し結晶化する方法とは異なり、レーザー
光の照射強度のばらつきによる結晶欠陥の発生は大きく
緩和され、形成された結晶性珪素膜の均一性の問題も生
じない。本発明では、このようなレーザー光の照射処理
を行う工程は、ゲッタリング工程の前に行うことが望ま
しい。その理由は、触媒元素による固相結晶化で得られ
た結晶性珪素膜にレーザー光を照射すると、結晶性珪素
膜内の触媒元素の存在形態がシリサイドとしての凝集、
再凝集等のように変化を生じる可能性があり、半導体装
置における能動領域(チャネル領域)の結晶性珪素膜よ
り触媒元素を取り除くゲッタリング工程としては、完全
に活性領域を構成する結晶性珪素膜の結晶状態が固まっ
てから行うのが望ましい。これにより、理想的なゲッタ
リングが行える。
【0093】本発明の半導体装置の製造方法に使用でき
る触媒元素は、Ni、Co、Fe、Pd、Pt、Cu、
Au等である。これらの元素から一種類または複数種類
の元素を選択して、非晶質珪素膜に添加すると、微量に
て非晶質珪素膜に対して結晶化促進の効果がある。これ
らの元素の中でも、特に、Ni(ニッケル)を使用した
場合に、最も顕著な結晶化促進の効果が得られる。この
理由は、次のようなモデルについて考えられる。触媒元
素は、単独では非晶質珪素膜に作用せず、珪素と結合し
てシリサイド化することによって非晶質珪素膜の結晶成
長に作用する。その際のシリサイドの結晶構造が、非晶
質珪素膜の結晶化に一種の鋳型のように作用し、非晶質
珪素膜の結晶化を促すというモデルである。Niは、2
つのSi(シリコン元素)と結合し、シリサイドNiS
2を形成する。シリサイドNiSi2は、螢石型の結晶
構造を有し、単結晶珪素のダイヤモンド構造と非常に類
似している。しかも、シリサイドNiSi2の格子定数
は、5.406Åであり、単結晶珪素のダイヤモンド構
造の格子定数の5.430Åに非常に近い値である。こ
れにより、シリサイドNiSi2は、非晶質珪素膜を結
晶化させるために、最高の鋳型として作用し、本発明に
おける触媒元素としては、Niを用いるのが最も望まし
い。
【0094】本発明の半導体装置の製造方法によって形
成された半導体装置は、ガラス基板等の絶縁性表面を有
する基板上に形成された結晶性を有する珪素膜を活性領
域として形成されている。その活性領域には、非晶質珪
素膜の結晶化を促進する触媒元素が添加されており、そ
の触媒元素が活性領域の全領域において結晶性珪素膜の
格子間に固溶している状態であり、最終的に得られる半
導体装置の活性領域における触媒元素の残留する濃度
は、1×1015〜1×1017/cm3の範囲内である。
前述した半導体装置の製造方法を用いることにより、初
めて、このように触媒元素の残留する濃度が低減された
半導体装置が得られる。
【0095】半導体装置の活性領域内に残留する触媒元
素の量は出来る限り低いほど良いが、触媒元素により非
晶質珪素膜の結晶化を促進し、第1のゲッタリング作用
および第2のゲッタリング作用を組み合わせたゲッタリ
ング効率の高いゲッタリング処理を行っても、少なくと
も1×1015/cm3以上の濃度の触媒元素が結晶性珪
素膜の活性領域内に残存する。しかし、結晶性珪素膜の
活性領域内の触媒元素は、触媒元素の残留濃度を1×1
17/cm3以下にて、結晶性珪素膜の格子間に固溶し
ている状態であれば、触媒元素は半導体装置の素子特性
に電気的な影響を全く及ぼさない。この結果、前述した
半導体装置の製造方法によって、高性能、高信頼性およ
び高安定性の半導体装置が得られる。
【0096】前述の半導体装置は、活性領域全体である
素子領域に渡って、触媒元素の残留濃度が1×1017
cm3以下であれば最も良いが、少なくとも能動領域
(チャネル領域)内において触媒元素が結晶性珪素膜の
格子間に固溶している状態であり、能動領域(チャネル
領域)における触媒元素の濃度が1×1015〜1×10
17/cm3の範囲内であれば、高性能、高信頼性および
高安定性が得られる。このような半導体装置は、素子領
域内の不純物領域(ソース領域およびドレイン領域)に
触媒元素をゲッタリングしたことにより得られ、素子領
域内における触媒元素の濃度は、能動領域(チャネル領
域)の濃度よりも不純物領域(ソース領域およびドレイ
ン領域)の濃度の方が高くなるよう設定されている。本
発明の半導体装置における活性領域中に含まれる触媒元
素種としては、前述の理由からNi元素が含まれている
ことが最も望ましい。
【0097】本発明は、このような知見に基づくもので
ある。
【0098】
【発明の実施の形態】次に、本発明の半導体装置の製造
方法の具体例を詳細に説明する。
【0099】本発明の第1の実施形態である半導体装置
の製造方法を図1(A)〜(G)に基づいて説明する。
本発明の第1の実施形態では、ガラス基板上にN型TF
Tを作製する場合の工程について説明を行う。第1の実
施形態のN型TFTは、アクティブマトリクス型液晶表
示装置のドライバー回路および画素部分、薄膜集積回路
等を構成する素子としても利用することができる。
【0100】図1(A)〜(G)は、それぞれ本発明の
第1の実施形態である半導体装置の製造方法における各
工程を示す断面図である。
【0101】まず、図1(A)に示すように、ガラス基
板101上に、例えば、プラズマCVD法によって厚さ
300〜500nm程度の酸化珪素から成る下地膜10
2を形成する。この酸化珪素の下地膜102は、ガラス
基板101の上方に形成される素子領域に、ガラス基板
101から不純物の拡散を防止するために設けられる。
その後、酸化珪素の下地膜102上に、プラズマCVD
法によって、厚さ20〜80nm、例えば、厚さ40n
mの真性(I型:intrinsic type)の非
晶質珪素膜(a−Si膜)103を形成する。本発明の
第1の実施形態では、平行平板式のプラズマCVD装置
を用い、加熱温度を300℃とし、材料ガスにSiH4
ガスおよびH2ガスを用いた。そして、プラズマCVD
装置のRFパワーは、パワー密度を10〜200mW/
cm2とし、例えば、80mW/cm2として行った。
【0102】その後、非晶質珪素膜(a−Si膜)10
3上に均等にニッケル(Ni)105の微量添加を行
う。このニッケル105の微量添加は、ニッケル105
を溶融させた溶液を非晶質珪素膜(a−Si膜)103
上に保持し、スピナーによりニッケル105を溶融させ
た溶液をガラス基板101上の非晶質珪素膜(a−Si
膜)103上に均一に延ばし乾燥させることにより行っ
た。第1の実施形態では、溶質として酢酸ニッケルを用
い、溶媒として水を用い、溶液中のニッケル濃度を10
ppmに設定した。非晶質珪素膜(a−Si膜)103
上の添加されたニッケルの濃度を全反射蛍光X線分析
(TRXRF:Total Reflection X−
Ray Fluorescence)法により測定する
と、ニッケルの濃度は5×1012atoms/cm2
度であった。
【0103】その後、不活性雰囲気、例えば窒素雰囲気
において第1の加熱処理を行う。この第1の加熱処理
は、第1ステップとして昇温途中にまず非晶質珪素膜
(a−Si膜)103内の水素離脱処理を行い、さらに
第2ステップとして高温にて非晶質珪素膜(a−Si
膜)103の結晶化を行った。具体的には、第1の加熱
処理の第1ステップとして、加熱温度450〜520
℃、加熱時間1〜2時間のアニール処理を行い、第1の
加熱処理の第2ステップとして、加熱温度520〜57
0℃、加熱時間2〜8時間のアニール処理を行う。第1
の実施形態では、一例として、第1の加熱処理の第1ス
テップとして加熱温度500℃、加熱時間1時間のアニ
ール処理を行った後、さらに、第2ステップとして加熱
温度550℃、加熱時間4時間のアニール処理を行っ
た。この第1の加熱処理において、非晶質珪素膜(a−
Si膜)103上に添加されたニッケル105が非晶質
珪素膜(a−Si膜)103内部に拡散するとともに、
シリサイド化が起こり、それを核として非晶質珪素膜
(a−Si膜)103の結晶化が進行する。
【0104】その結果、非晶質珪素膜(a−Si膜)1
03は、結晶化され、図1(B)に示すように、結晶性
珪素膜103aとなる。
【0105】次に、図1(B)に示すように、結晶性珪
素膜103a上に、レーザー光107を照射する。レー
ザー光107の照射は、結晶性珪素膜103aをさらに
再結晶化させ、結晶性珪素膜103aの結晶状態を向上
させる。この場合のレーザー光は、XeClエキシマレ
ーザー(波長308nm、パルス幅40nsec)を使
用した。レーザー光の照射条件は、レーザー光のエネル
ギー密度250〜450mJ/cm2、例えば350m
J/cm2で照射し、照射時にガラス基板101を温度
200〜450℃、例えば温度400℃に加熱した。レ
ーザー光のビームサイズは、ガラス基板101表面にて
150mm×lmmの長尺形状となるように成型されて
おり、長尺方向に対して垂直方向に0.05mmのステ
ップ幅により順次走査を行った。これにより、結晶性珪
素膜103a上の任意の一点において、計20回のレー
ザー照射が行われることになる。この結果、固相結晶化
により得られた結晶性珪素膜103aは、レーザー光の
照射による溶融固化過程により結晶欠陥が低減され、よ
り高品質な結晶性珪素膜103cとなる。
【0106】次に、素子間分離のために、結晶性珪素膜
103cの不要な部分を、図1(C)に示すように除去
する。そして、TFTの活性領域(ソース領域、ドレイ
ン領域、チャネル領域)となる島状の結晶性珪素膜11
2を形成する。
【0107】次に、図1(D)に示すように、TFTの
活性領域となる島状の結晶性珪素膜ll2を覆うよう
に、厚さ20〜150nm、ここでは100nmの酸化
珪素膜をゲート絶縁膜113として形成する。ゲート絶
縁膜113である酸化珪素膜の形成は、RFプラズマC
VD法によって、ここではTEOS(Tetra Et
hoxy Ortho Silicate)を原料とし、
酸素とともに基板温度150℃〜600℃、好ましくは
300〜450℃にて分解して堆積させた。また、ゲー
ト絶縁膜113である酸化珪素膜の形成は、減圧CVD
法または常圧CVD法によって、TEOSを原料として
オゾンガスとともに、基板温度を350〜600℃、好
ましくは400〜550℃にて形成してもよい。
【0108】その後、スパッタリング法によって、島状
の結晶性珪素膜ll2を覆ったゲート絶縁膜113上に
高融点メタルを堆積し、この高融点メタルをパターニン
グ形成して、ゲート電極ll4を形成する。この場合の
高融点メタルとしては、タンタル(Ta)、タングステ
ン(W)、モリブデン(Mo)等が望ましい。第1の実
施形態では、厚さ300〜600nm、例えば450n
mである高融点メタルに窒素が微量に添加されたTaを
用いた。その後、イオンドーピング法によって、ゲート
電極114をマスクとしてTFTの活性領域となる島状
の結晶性珪素膜ll2に低濃度の不純物(リン)116
を注入し、低濃度不純物領域118を形成する。低濃度
の不純物(リン)116のドーピング条件は、ドーピン
グガスとしてホスフィン(PH3)を使用し、加速電圧
60〜90kV、例えば80kV、ドーズ量1×1012
〜1×1014cm-2、例えば2×1013cm-2とする。
この工程により、TFTの活性領域となる島状の結晶性
珪素膜112において、ゲート電極114によりマスク
されていない領域は、低濃度の不純物(リン)116が
注入された低濃度不純物領域118となり、ゲート電極
114にマスクされ低濃度の不純物(リン)116が注
入されない領域は、TFTのチャネル領域117とな
る。
【0109】次に、図1(E)に示すように、ゲート絶
縁膜113上のゲート電極ll4を完全に覆うようにフ
ォトレジストによりドーピングマスク119を形成す
る。その後、イオンドーピング法によって、レジストマ
スク119をマスクとして低濃度不純物領域118に高
濃度の不純物(リン)120を注入する。高濃度の不純
物(リン)120のドーピング条件は、ドーピングガス
として、ホスフィン(PH3)を使用し、加速電圧60
〜90kV、例えば80kV、ドーズ量1×101 5〜8
×1015cm-2、例えば2×1015cm-2とする。この
工程により、高濃度の不純物(リン)120が注入され
た低濃度不純物領域118は、TFTのソースまたはド
レイン領域121となる。本発明の第1の実施形態で
は、質量分離を行わないイオンシャワードーピング法を
用いて高濃度の不純物(リン)120のドーピングを行
っている。このため、多量の水素も同時にTFTのソー
スまたはドレイン領域121に注入されている。その結
果、高濃度の不純物(リン)120が注入されたTFT
のソースまたはドレイン領域121は、結晶状態が崩れ
非晶質化される。
【0110】その後、高濃度の不純物(リン)120の
ドーピングのために、マスクとして使用したフォトレジ
スト119を除去した後、不活性雰囲気、例えば窒素雰
囲気にて第2の加熱処理を行う。第1の実施形態では、
第2の加熱処理の条件が窒素雰囲気中にて加熱温度45
0℃〜580℃、加熱時間0.5時間〜8時間、より好
ましくは加熱温度450〜520℃、加熱時間0.5時
間〜8時間であることが望ましい。また、第2の加熱処
理における加熱温度までの昇温速度および加熱温度から
の降温速度としては、少なくとも5℃/分以上で行うこ
とが望ましい。実際に、第1の実施形態では、加熱温度
500℃、加熱時間2時間の第2の加熱処理を行った。
この場合、加熱温度までの昇温および降温は、ガラス基
板101を温度200℃程度で余熱した状態から加熱温
度500℃まで30分(昇温速度10℃/分)で昇温
し、加熱処理後、加熱温度500℃から温度200℃ま
で同じく30分(降温速度10℃/分)で降温した。
【0111】次に、図1(F)に示すように、前述の第
2の加熱処理により、ソースまたはドレイン領域121
にドーピングされている高濃度の不純物(リン)120
が、チャネル領域117に残存している触媒元素のニッ
ケル105を、チャネル領域から隣接するソースまたは
ドレイン領域121への矢印の方向であるゲッタリング
方向111に向かって移動させる。このような第2の加
熱処理では、ゲッタリングシンクとなる高濃度にリン
(P)がドーピングされ非晶質化したソースまたはドレ
イン領域121において、その加熱処理の全期間にて結
晶核の発生が全く生じず再結晶化が行われない。その結
果、ソースまたはドレイン領域121では、非常にゲッ
タリング効率の高い状態が熱処理の全期間にわたって得
られる。これにより、チャネル領域ll7が効果的にゲ
ッタリングされ、本発明によるゲッタリング効果を最大
限に引き出すことができる。
【0112】この第2の加熱処理後のチャネル領域11
7における残留ニッケル濃度は、5×1015〜1×10
16atoms/cm3程度にまで低減されていた。ま
た、チャネル領域117に残留しているニッケル105
は、シリサイド状態では無く、格子間ニッケルとして固
溶した状態で存在している。また、第1の実施形態で
は、ガラス基板101として、320mm×400mm
の基板サイズ、厚さ0.7mmのコーニング社製コード
1737のノンアニール品のガラス基板101を用いて
いるが、第2の加熱処理によるガラス基板101の反
り、たわみ、割れ等は発生しなかった。さらに、メート
ルサイズの大型ガラス基板を使用した場合でも、第1の
実施形態に示す加熱処理であれば、問題なく使用可能で
あることが確認できている。
【0113】ここで、本発明の第1の実施形態では、第
2の加熱処理を、ファーネス炉を使用して行った。ファ
ーネス炉は、ガラス基板101の平面形状と概略相似形
の断面形状をもつ炉心管が設けられており、ガラス基板
101は、ガラス基板101の平面を炉心方向に向け、
ファーネス炉の炉心管の周囲とガラス基板101の側端
部との間のスペースが最小となるように配置されてい
る。
【0114】図6(A)〜(D)は、それぞれファーネ
ス炉の概略構造を示す概念図である。図6(A)に示す
ように、中空直方体状の石英ボート602内に所定の厚
みを有する矩形状のガラス基板601が20枚セットさ
れている。この石英ボート602を石英チューブ(炉心
管)603の中に入れて第2の加熱処理が行われる。石
英ボート602は、ガラス基板601がセットされる際
には、石英チューブ(炉心管)603の下方のホームポ
ジション607に配置されている。石英チューブ(炉心
管)603は、温度500℃に加熱されており、ホーム
ポジション607は、温度200℃程度に保たれてい
る。そして、矢印604に示す方向にガラス基板601
が20枚セットされた石英ボート602の上部が、石英
チューブ(炉心管)603内に入るとともに、ガラス基
板601の昇温が開始され、石英ボート602全体が完
全にアニールゾーン608に入ると、各ガラス基板60
1の第2の加熱処理がスタートする。降温は、逆に石英
ボート602を石英チューブ(炉心管)603内から余
熱ゾーンであるホームポジション607に降ろすことに
より行われる。各ガラス基板601の第2の加熱処理に
おいて、石英チューブ(炉心管)603の平断面形状
が、図6(B)に示すように、ガラス基板601の外形
より大きく、ガラス基板601の外形と概略相似形をな
す矩形状であることが重要となる。尚、ガラス基板60
1の基板サイズが320×400mmであれば、石英チ
ューブ(炉心管)603は、ガラス基板601の基板サ
イズ320×400mmより一回り大きな矩形状の平断
面で構成されており、その矩形状の平断面の内側のサイ
ズが400×480mmである。
【0115】液晶表示用のアクティブマトリクス基板等
のマザーボードとなるガラス基板601は、IC等に使
用されるシリコンウエハーと異なり、ガラス基板601
の外形が円形状ではなく全て矩形状となっている。従来
のファーネス炉の石英チューブ(炉心管)603aは、
通常、図6(C)に示すように円形状である。この石英
チューブ(炉心管)603aに、矩形のガラス基板60
1をセットした石英ボート602を入れ、平断面図を見
ると、ガラス基板601と石英チューブ(炉心管)60
3aとの間に大きな隙間606aが生じる。これに対し
て、本発明の第1の実施形態では、ガラス基板601の
外形と概略相似形の矩形状の平断面を有する石英チュー
ブ(炉心管)603を用いることによって、図6(B)
に示すように、ガラス基板601と石英チューブ(炉心
管)603との間の隙間606の間隔を最小にすること
ができる。本発明の第1の実施形態では、この石英チュ
ーブ(炉心管)603とガラス基板601との隙間60
6の間隔が重要なポイントとなる。
【0116】次に、本発明の第1の実施形態では、第2
の加熱処理における加熱温度の昇温および降温を速やか
に行う必要がある。ところが、従来のファーネス炉の方
式では、特に基板サイズが600×720mmのような
大型のガラス基板に対して、前述のような早い昇温速度
および降温速度により加熱処理を行うことは極めて困難
であった。また、従来のファーネス炉の大きな問題とし
て、昇温時および降温時のガラス基板内の温度分布のば
らつきが非常に大きくなる。具体的には、ガラス基板の
端面周辺部と中央部との温度差が200℃を越えるよう
な温度分布のばらつきが生じており、その温度差の影響
によりガラス基板の反りおよび割れが頻発していた。
【0117】この問題を解決するために実験を行った結
果、図6(D)に示すように、石英チューブ(炉心管)
603とガラス基板601との間の隙間606の間隔
と、石英ボート602にガラス基板601を複数枚セッ
トする場合の基板ピッチ605とが重要なパラメーター
であることを見出した。これにより、各ガラス基板60
1の昇温および降温を速やかに行うことと、各ガラス基
板601の昇温時および降温時の各ガラス基板601内
の温度分布のばらつきを改善することが、同時に解決で
きた。その解決策のポイントは、各ガラス基板601の
第2の加熱処理を行う場合、窒素(N2)等の雰囲気ガ
ス609を、各ガラス基板601間に一定量以上、供給
すれば良い。図6(D)には、雰囲気ガス609の流れ
を矢印によって示している。石英チューブ(炉心管)6
03の上面の中央の開口部より供給される雰囲気ガス6
09は、石英チューブ(炉心管)603とガラス基板6
01との隙間606を通って石英チューブ(炉心管)6
03内の上方から下方への方向610に流れながら、各
ガラス基板601の間にガラス基板601の表面と平行
方向611に流れ込む。これにより、ガラス基板601
の表面に対して、ガラス基板601の表面と平行方向6
11に流れる雰囲気ガス609の供給量を増やすことに
よって、昇温速度および降温速度を上げることが可能と
なり、この時のガラス基板601の表面の温度分布をほ
ぼ一定に保つことができる。
【0118】このガラス基板601の表面と平行方向6
11に流れる雰囲気ガス609の供給量は、ガラス基板
601と石英チューブ(炉心管)603との間の隙間6
06を石英チューブ(炉心管)603内の上方から下方
への方向610に流れる雰囲気ガス609の流速に比例
し、ガラス基板601間の基板ピッチ605の間隔の二
乗に比例する。石英チューブ(炉心管)603内の上方
から下方への方向610の雰囲気ガス609の流速を増
加させるには、雰囲気ガス609の供給量を増加するだ
けでは不十分であり、石英チューブ(炉心管)603と
ガラス基板601との隙間606の間隔を最小にするこ
とが有効となる。そのために、ガラス基板601の外形
とに概略相似形の矩形状の断面を有する石英チューブ
(炉心管)603を用いることによって、図6(B)に
示すように、石英チューブ(炉心管)603とガラス基
板601との隙間606の間隔を最小にすることができ
る。これにより、ガラス基板601間の基板ピッチ60
5の間隔を最適化でき、第2の加熱処理に必要な早い昇
温速度および降温速度を実現できるとともに、第2の加
熱処理時のガラス基板601表面の温度分布をほぼ一定
に保つことが可能となり、メートルサイズの大型ガラス
基板に対しても、第2の加熱処理において、割れおよび
反りの無い安定した加熱処理が可能となる。また、チャ
ンバー内の構成が図6(A)、(B)および(D)に示
すようなファーネス炉を、クラスター状に接続し、同時
に加熱処理を行うマルチチャンバー化することによっ
て、高い処理能力を持つ製造装置が小さなフットプリン
ト(床面積)により実現可能となる。すなわち、本発明
の第2の加熱処理の処理装置として、量産を含めて考え
ても最適な装置となる。
【0119】また、この第2の加熱処理により、ゲート
絶縁膜ll3の焼成処理も同時に行われ、ゲート絶縁膜
113自身のバルク特性および結晶性珪素膜とゲート絶
縁膜113との界面特性も向上する。
【0120】その後、図1(F)に示すように、ガラス
基板101上のソースまたはドレイン領域121に、レ
ーザー光122を照射してアニール処理を行う。このア
ニール処理は、リン(P)のイオン注入によって非晶質
化されたソースまたはドレイン領域121の不純物(リ
ン)の活性化を行うと同時に、ソースまたはドレイン領
域121の再結晶化を行い結晶性を改善させる。本発明
の第1の実施形態では、ソースまたはドレイン領域12
1をゲッタリングシンクとして非晶質状態で利用するた
め、前述の温度500℃の第2の加熱処理だけでは、ソ
ースまたはドレイン領域121の結晶状態は回復してお
らず十分な不純物(リン)の活性化が得られない。この
ため、本発明の第1の実施形態では、レーザー光122
の照射によるアニール工程を追加している。このアニー
ル工程において、使用するレーザーは、波長308n
m、パルス幅40nsecのXeClエキシマレーザー
を用い、エネルギー密度150〜400mJ/cm2
好ましくは200〜250mJ/cm2のレーザー光1
22を照射する。この結果、N型不純物(リン)がイオ
ン注入されたソースまたはドレイン領域121のシート
抵抗値は、200〜500Ω/□であり、N型領域の低
濃度不純物領域118のシート抵抗値は、30〜50k
Ω/□である。
【0121】次に、図1(G)に示すように、ガラス基
板101上の全体を覆うために、厚さ600nm程度の
層間絶縁膜123である酸化珪素膜または窒化珪素膜を
形成する。層間絶縁膜123として酸化珪素膜を形成す
る場合には、酸化珪素膜の原料にTEOSを使用する。
酸化珪素膜は、プラズマCVD法によってTEOSを酸
素とともに分解して堆積させて、または、減圧CVD法
または常圧CVD法によってTEOSをオゾンとともに
分解して堆積させて形成する。これにより、段差被覆性
に優れた良好な層間絶縁膜123である酸化珪素膜が得
られる。また、プラズマCVD法によってSiH4とN
3とを原料ガスとして成膜された窒化珪素膜を層間絶
縁膜123に用いれば、活性領域であるソースまたはド
レイン領域121およびチャネル領域117と、ゲート
絶縁膜113との界面に水素原子を供給し、TFTの特
性を劣化させる不対結合手を低減する効果がある。
【0122】その後、ソースまたはドレイン領域121
上の層間絶縁膜123にコンタクトホールを形成して、
金属材料、例えば、窒化チタンおよびアルミニウムの二
層膜によってTFTの電極配線124を形成する。これ
により、TFT126が形成される。窒化チタン膜は、
アルミニウムが半導体層に拡散することを防止するバリ
ア膜として設けられる。TFT126を画素用TFTと
して用いる場合には、TFT126は、画素電極のスイ
ッチングを行う素子であるので、一方のドレイン電極に
は、ITOなど透明導電膜からなる画素電極が設けられ
る。この場合、他方の電極は、ソース電極としてソース
バスラインを構成することになり、ソースバスラインを
介してソース電極にビデオ信号が供給され、ゲートバス
ラインを構成するゲート電極114に供給されるゲート
信号に基づいて、TFT126がON/OFF動作し画
素電極に必要な電荷が書き込まれる。その後、1気圧の
水素雰囲気において、温度350℃、1時間のアニール
処理を行い、TFTl26が完成される。尚、必要に応
じて、TFTl26を保護するために、TFTl26上
に窒化珪素膜等から成る保護膜を設けても良い。
【0123】以上、図1(A)〜(G)の工程にしたが
って作製されたTFT126は、電界効果移動度が25
0cm2/Vs程度、閾値電圧が1.5V程度と非常に
高性能であり、従来のTFTで発生しやすいOFF動作
時のリーク電流の異常な増加が全く無く、TFT126
のOFF動作時のリーク電流が単位W当たり1pA以下
と非常に低い値を安定して示した。このリーク電流の値
は、触媒元素を用いずに作成した従来のTFTと比較し
ても全く差が無いものであり、製造歩留まりを大きく向
上することができた。また、TFT126は、繰り返し
測定、バイアス負荷および温度ストレスによる耐久性試
験においても、ほとんど諸特性の劣化が見られず、従来
のTFTと比較して非常に信頼性が向上した。
【0124】尚、本発明の図1(A)〜(G)の工程に
したがって作製されたTFT126は、薄膜集積回路等
にも簡単に応用でき、その場合にはTFT126のゲー
ト電極114上にもコンタクトホールを形成し、必要と
する配線を施せば良い。
【0125】本発明の第2の実施形態である半導体装置
の製造方法を図3(A)〜(G)に基づいて説明する。
本発明の第2の実施形態は、第1の実施形態の説明と同
様にガラス基板上にN型TFTを作製する場合の工程に
ついて説明を行う。第2の実施形態のTFTは、アクテ
ィブマトリクス型液晶表示装置のドライバー回路および
画素部分、薄膜集積回路を構成する素子としても利用す
ることができる。本発明の第2の実施形態では、それら
の代表例として、ガラス基板上に数十万から数百万のN
型TFTを均一に作製する必要がある液晶表示装置用ア
クティブマトリクス基板の画素駆動用TFTの説明を行
う。
【0126】図2(A)〜(E)は、それぞれ本発明の
第2の実施形態である半導体装置の製造方法におけるア
クティブマトリクス基板上の画素駆動用TFTの各工程
の概要を示す平面図である。アクティブマトリクス基板
は、通常、画素駆動用TFTがアクティブマトリクス基
板上の行方向および列方向に沿って数十万個以上配置さ
れ構成されているが、説明を簡略化するために、図2
(A)〜(E)では、行方向および列方向に沿って3行
×3列の9個の画素駆動用TFTについて表している。
図3(A)〜(G)は、図2(A)〜(E)における任
意の1個の画素駆動用TFTでのA−A’線における断
面図であり、(A)から(G)の順番に基づいて各工程
が順次進行する。
【0127】まず、図3(A)に示すように、ガラス基
板201上に、例えば、スパッタリング法によって厚さ
300〜500nm程度の酸化珪素から成る下地膜20
2を形成する。この酸化珪素の下地膜202は、ガラス
基板201の上方に形成される素子領域に、ガラス基板
201から不純物の拡散を防止するために設けられる。
その後、酸化珪素の下地膜202上に、プラズマCVD
法または減圧CVD法によって、厚さ20〜80nm、
例えば40nmの真性(I型:intrinsic t
ype)の非晶質珪素膜(a−Si膜)203を形成す
る。本発明の第2の実施形態では、平行平板式のプラズ
マCVD装置を用い、加熱温度を300℃とし、材料ガ
スにSiH4ガスおよびH2ガスを用いた。そして、プラ
ズマCVD装置のRFパワーは、パワー密度を10〜2
00mW/cm2とし、例えば、80mW/cm2として
行った。
【0128】次に、非晶質珪素膜(a−Si膜)203
上に均等にニッケル(Ni)205の微量添加を行う。
このニッケル205の微量添加は、ニッケルを溶融させ
た溶液を非晶質珪素膜(a−Si膜)203上に保持
し、スピナーによりニッケル(Ni)205を溶融させ
た溶液をガラス基板201上の非晶質珪素膜(a−Si
膜)203上に均一に延ばし乾燥させることにより行っ
た。第2の実施形態例では、溶質としては酢酸ニッケル
を用い、溶媒としてはエタノールを用い、溶液中のニッ
ケル濃度を1ppmに設定した。非晶質珪素膜(a−S
i膜)203上の添加されたニッケルの濃度を全反射蛍
光X線分析(TRXRF:Total Reflect
ion X−Ray Fluorescence)法によ
り測定すると、ニッケルの濃度は、6×1012atom
s/cm2程度であった。
【0129】その後、不活性雰囲気、例えば窒素雰囲気
において第1の加熱処理を行う。この第1の加熱処理
は、加熱温度520〜570℃、例えば550℃、加熱
時間2〜8時間、例えば4時間のアニール処理を行っ
た。この第1の加熱処理において、非晶質珪素膜(a−
Si膜)203上に添加されたニッケル205が非晶質
珪素膜(a−Si膜)203内部に拡散するとともに、
シリサイド化が起こり、それを核として非晶質珪素膜
(a−Si膜)203の結晶化が進行する。
【0130】その結果、非晶質珪素膜(a−Si膜)2
03は、結晶化され、図2(B)に示すように、結晶性
珪素膜203aとなる。
【0131】次に、図3(B)に示すように、結晶性珪
素膜203a上に、レーザー光207を照射する。レー
ザー光207の照射は、結晶性珪素膜203aをさらに
再結晶化させ、結晶性珪素膜203aの結晶状態を向上
させる。この場合のレーザー光は、XeClエキシマレ
ーザー(波長308nm、パルス幅40nsec)を使
用した。レーザー光のレーザー光のエネルギー密度25
0〜450mJ/cm 2、例えば350mJ/cm2で照
射し、照射時にガラス基板201を温度200〜450
℃、例えば温度400℃に加熱した。この結果、固相結
晶化により得られた結晶性珪素膜203aは、レーザー
光の照射による溶融固化過程により結晶欠陥が低減さ
れ、より高品質な結晶性珪素膜203cとなる。
【0132】次に、図3(C)に示すように、結晶性珪
素膜203c上に酸化珪素膜または窒化珪素膜の絶縁性
薄膜を形成し、その後、絶縁性薄膜上をパターニングし
て図2(A)に示す長方形のマスク204を各画素毎に
形成する。マスク204は、本実施形態では酸化珪素膜
を使用した。マスク204の形成は、RFプラズマCV
D法によって、TEOS(Tetra Ethoxy O
rtho Silicate)を原料とし、酸素ととも
に分解して堆積させた。マスク204の厚さは、100
nm〜400nmであることが望ましく、本実施形態で
は、マスク204である酸化珪素膜の厚さを150nm
とした。この時の状態をガラス基板201上方より見る
と、図2(A)に示すように、結晶性珪素膜203cの
一部がマスク204により島状にマスクキング(遮蔽)
された状態となっている。その後、ガラス基板201上
方より、アルゴン208をガラス基板201上の全面に
イオンドーピングする。この場合のアルゴン208のド
ーピング条件としては、ドーピングガスとして含有率1
00%のアルゴン(Ar)を使用し、加速電圧を例えば
5〜15kV、ドーズ量1×l015〜1×1016/cm
2、例えば3×101 5/cm2とする。この工程により、
結晶性珪素膜203c上のマスク204によって被覆さ
れていない領域にアルゴン208を注入し、アルゴン2
08が注入された領域は、非晶質化され、非晶質珪素領
域203fとなる。マスク204によって被覆されてい
る結晶性珪素膜203cには、アルゴン208はドーピ
ングされない。この状態をガラス基板201上方より見
ると、図2(A)のように表される。後工程にてTFT
が形成される活性(素子)領域は、この段階では、結晶
性珪素膜203c上にてマスク204に完全に被覆され
た状態である。
【0133】その後、結晶性珪素膜203c上に酸化珪
素膜のマスク204が形成された状態のガラス基板20
1を、不活性雰囲気、例えば窒素雰囲気にて第2の加熱
処理を行う。第2の実施形態では、第2の加熱処理の条
件が窒素雰囲気中にて加熱温度450℃〜580℃、加
熱時間0.5時間〜8時間、より好ましくは加熱温度4
50〜520℃、加熱時間0.5時間〜8時間であるこ
とが望ましい。また、第2の加熱処理における加熱温度
までの昇温速度および加熱温度からの降温速度として
は、少なくとも5℃/分以上で行うことが望ましい。実
際に、第2の実施形態では、加熱温度500℃、加熱時
間4時間の第2の加熱処理を行った。この場合、加熱温
度までの昇温および加熱温度からの降温は、ガラス基板
201を温度200℃程度で余熱した状態から加熱温度
500℃まで30分(昇温速度10℃/分で)で昇温
し、加熱処理後、加熱温度500℃から温度200℃ま
で同じく30分(降温速度10℃/分で)で降温した。
【0134】第2の加熱処理により、非晶質珪素領域2
03fにドーピングされたアルゴン208は、非晶質珪
素領域203fに存在する触媒元素のニッケル205を
まずトラップする。
【0135】次に、図3(D)および図2(B)に示す
ように、さらに、マスク204にて被覆されている結晶
性珪素膜203c内に存在している触媒元素のニッケル
205が、結晶性珪素膜203cから結晶性珪素膜20
3cの周囲に隣接する非晶質珪素領域203fに向かう
矢印の方向であるゲッタリング方向211に向かって移
動する。この結果、マスク204に被覆されている結晶
性珪素膜203c内におけるニッケル205の濃度は大
幅に低減する。この第2の加熱処理後に、結晶性珪素膜
203c内に残留しているニッケル205の濃度は、二
次イオン質量分析法(SIMS)により測定すると、5
×1015atoms/cm3程度にまで低減されてお
り、測定可能範囲における測定下限レベルであった。ま
た、マスク204に被覆されている結晶性珪素膜203
c内に残留しているニッケル205は、シリサイド状態
では無く、格子間ニッケルとして固溶した状態で存在し
ている。この第2の加熱処理条件では、第2の加熱処理
の全期間において、アルゴンがドーピングされ非晶質化
された非晶質珪素領域203fは、結晶核が全く発生せ
ず、全く結晶化されていない非晶質状態が維持されてい
る。
【0136】また、第2の実施形態では、ガラス基板2
01として、320mm×400mmの基板サイズ、厚
さ0.7mmのコーニング社製コード1737のノンア
ニール品のガラス基板201を用いているが、第2の加
熱処理によるガラス基板201の反り、たわみ、割れ等
は発生しなかった。
【0137】尚、第2の実施形態でも第1実施形態と同
様に、第2の加熱処理を、図6に示すファーネス炉を使
用して行った。また、本発明の第2の実施形態におい
て、第2の加熱処理後のガラス基板201の収縮(シュ
リンケージ:shrinkage)は、20ppm以下
であり、ガラス基板201の反りとともに全く問題な
く、後工程におけるフォトリソグラフィでのマスクアラ
イメントも全く問題なく行うことができる。
【0138】次に、図3(E)に示すように、酸化珪素
膜から成るマスク204をエッチングによって除去す
る。エッチングは、ウェットエッチングにより行い、エ
ッチング液(etchant)には、マスク204の下
層の結晶性珪素膜203cに対して十分に選択性のある
1:10バッファードフッ酸(BHF)を使用した。そ
の後、マスク204にて被覆されていた結晶性珪素膜2
03cを素子領域とて使用するために、ゲッタリング処
理によって触媒元素のニッケル205が取り込まれた非
晶質珪素領域203fおよびその他の不要な部分の結晶
性珪素膜を除去して素子間分離を行う。これにより、図
2(C)に示すような配置にて、少なくとも結晶性珪素
膜203cの領域を用いて、TFTの活性領域(ソース
領域、ドレイン領域、チャネル領域)となる島状の結晶
性珪素膜212が形成される。
【0139】次に、図3(F)に示すように、TFTの
活性領域となる結晶性珪素膜212を被覆する厚さ20
〜150nm、例えば100nmの酸化珪素膜をゲート
絶縁膜213として形成する。酸化珪素膜から成るゲー
ト絶縁膜213の形成には、RFプラズマCVD法によ
って、ここではTEOS(Tetra EthoxyO
rtho Silicate)を原料とし、酸素ととも
に基板温度150〜600℃、好ましくは300〜45
0℃にて分解して堆積させた。酸化珪素膜から成るゲー
ト絶縁膜213形成後、ゲート絶縁膜213自身のバル
ク特性、結晶性珪素膜212およびゲート絶縁膜213
の界面特性を向上させるために、不活性ガス雰囲気にお
いて、アニール温度500〜600℃、アニール時間1
〜4時間のアニール処理を行った。
【0140】その後、ゲート絶縁膜213上に、スパッ
タリング法によって、厚さ400〜800nm、例えば
600nmのアルミニウム(Al)膜を形成する。その
後、このアルミニウム膜をパターニングして、結晶性珪
素膜212の中央部分にゲート電極214を形成する。
さらに、このアルミニウムのゲート電極214の表面を
陽極酸化して、ゲート電極214の表面に酸化物層21
5を形成する。また、図2(D)に示すように、ゲート
電極214は、平面的にはゲートバスラインを同時に構
成している。陽極酸化は、酒石酸が1〜5%含まれたエ
チレングリコール溶液中で行い、最初一定電流にて電圧
を220Vまで上げ、電圧が220Vの状態を1時間保
持して終了する。陽極酸化によって得られた酸化物層2
15は、厚さ300nmである。尚、この酸化物層21
5の厚さは、後工程でのイオンドーピングにおいて、オ
フセットゲート領域を形成するための厚さとなるので、
オフセットゲート領域の長さを上記陽極酸化にて設定す
ることができる。
【0141】次に、イオンドーピング法によって、ゲー
ト電極214とその周囲の酸化物層215をマスクとし
て活性領域(ソース領域、ドレイン領域)に不純物
(P:リン)を注入(ドーピング)する。不純物(P:
リン)のドーピング条件は、ドーピングガスとして、ホ
スフィン(PH3)を使用し、加速電圧60〜90k
V、例えば80kV、ドーズ量1×1015〜8×1015
/cm2、例えば2×1015/cm2とする。この工程に
より、不純物(P:リン)が注入された結晶性珪素膜2
12は、TFTのソースまたはドレイン領域221とな
り、ゲート電極214およびその周囲の酸化層215に
マスクされ不純物(P:リン)が注入されない結晶性珪
素膜212は、TFTのチャネル領域217となる。そ
の後、ガラス基板201上にレーザー光222を照射し
て、レーザーアニール処理を行い、イオン注入された不
純物(P:リン)の活性化を図ると同時に、不純物
(P:リン)の注入により結晶状態が劣化したTFTの
ソースまたはドレイン領域221の結晶状態を改善す
る。この場合のレーザー光は、XeClエキシマレーザ
ー(波長308nm、パルス幅40nsec)を使用し
た。レーザー光の照射条件は、レーザー光のエネルギー
密度150〜400mJ/cm2、好ましくは200〜
250mJ/cm2である。この結果、N型不純物
(P:リン)が注入された結晶性珪素膜212に形成さ
れたTFTのソースまたはドレイン領域221のシート
抵抗値は、200〜500Ω/□である。
【0142】次に、図3(G)に示すように、ガラス基
板201上の全体を覆うために、厚さ600nm程度の
層間絶縁膜223である酸化珪素膜または窒化珪素膜を
形成する。層間絶縁膜223として酸化珪素膜を用いる
場合には、酸化珪素膜の原料にTEOSを使用する。酸
化珪素膜は、プラズマCVD法によってTEOSを酸素
とともに分解して堆積させて、または、減圧CVD法ま
たは常圧CVD法によってTEOSをオゾンとともに分
解して堆積させて形成する。これにより、段差被覆性に
優れた良好な層間絶縁膜223が得られる。また、プラ
ズマCVD法によってSiH4とNH3とを原料ガスとし
て成膜された窒化珪素膜を層間絶縁膜123に用いれ
ば、活性領域であるソースまたはドレイン領域221お
よびチャネル領域217と、ゲート絶縁膜213との界
面に水素原子を供給し、TFT特性を劣化させる不対結
合手を低減する効果がある。
【0143】その後、ソースまたはドレイン領域221
上のソース領域側の層間絶縁膜223にコンタクトホー
ルを形成して、金属材料、例えば、窒化チタンおよびア
ルミニウムの二層膜によってTFTのソース電極配線2
24を形成する。図2(E)に示すように、ソース電極
配線224は、ゲート電極214から成るゲートバスラ
インと直交するように配置される。窒化チタン膜は、ア
ルミニウムが半導体層に拡散するのを防止する目的のバ
リア膜として設けられる。また、第2の実施形態におい
て、TFTは画素駆動用であり、画素電極をスイッチン
グする素子であるため、ソースまたはドレイン領域22
1上のドレイン領域側の層間絶縁膜223にコンタクト
ホールを形成して、ITO等の透明性導電膜からなる画
素電極225を設ける。これにより、画素駆動用のTF
T226が形成され、図2(E)において、ソース電極
配線224のソースバスラインを介してビデオ信号が供
給され、ゲート電極214から成るゲートバスラインに
供給されるゲート信号に基づいて画素電極225に必要
な電荷が書き込まれる。その後、1気圧の水素雰囲気に
おいて、温度350℃、1時間のアニール処理を行い、
図3(G)および図2(E)に示すTFT226が完成
される。尚、必要に応じて、TFT226を保護するた
めに、TFT226上に窒化珪素膜等から成る保護膜を
設けても良い。
【0144】以上、図3(A)〜(G)の工程にしたが
って作製されたTFT226は、電界効果移動度が25
0cm2/Vs程度、閾値電圧が1.5V程度と非常に
高性能であり、従来のTFTで発生しやすいTFTのO
FF動作時のリーク電流の異常な増加が全く無く、TF
T126のOFF動作時のリーク電流が単位W当たりl
pA以下と非常に低い値を安定して示した。また、TF
T226は、第1の実施形態におけるTFT126と同
様に、繰り返し測定、バイアス負荷および温度ストレス
による耐久性試験においても、ほとんど諸特性の劣化が
見られず、従来のTFTと比較して非常に信頼性が向上
した。
【0145】尚、本発明の図3(A)〜(G)の工程に
したがって作製されたTFT226により構成される液
晶表示用アクティブマトリクス基板を実際に点灯させ評
価すると、従来の製造方法により作製した液晶表示用ア
クティブマトリクス基板と比較して画像の表示むらが明
らかに少なく、TFTのOFF動作時のリーク電流によ
る画素欠陥も極めて少なく、高コントラスト比の表示品
位の向上した液晶パネルが得られた。
【0146】本発明の第3の実施形態である半導体装置
の製造方法を図5(A)〜(H)に基づいて説明する。
本発明の第3の実施形態は、アクティブマトリクス型の
液晶表示装置の周辺駆動回路、および、一般の薄膜集積
回路を形成するN型TFTとP型TFTとを相補型に構
成したCMOS構造の回路をガラス基板上に作製する工
程について説明を行う。
【0147】図4は、本発明の第3の実施形態である半
導体装置の製造方法におけるCMOS構造を構成するN
型TFTおよびP型TFTの作製工程の概略を示す平面
図である。図5(A)〜(H)は、図4のB−B’線に
おける断面図であり、(A)から(H)の順番に基づい
て各工程が順次進行する。
【0148】まず、図5(A)に示すように、ガラス基
板301上に、例えば、プラズマCVD法によって厚さ
300〜500nm程度の酸化珪素からなる下地膜30
2を形成する。この酸化珪素の下地膜302は、ガラス
基板301の上方に形成されるN型およびP型FETの
素子領域に、ガラス基板301から不純物の拡散を防止
するために設けられる。その後、酸化珪素の下地膜30
2上に、減圧CVD法またはプラズマCVD法によっ
て、厚さ20〜80nm、例えば40nmの真性(I
型)の非晶質珪素膜(a−Si膜)303を成膜する。
【0149】次に、非晶質珪素膜(a−Si膜)303
上に酸化珪素膜または窒化珪素膜の絶縁性薄膜を形成
し、絶縁性薄膜の中央の領域を除去するようにパターニ
ングしてマスク304を形成する。マスク304を分離
する絶縁性薄膜の除去された中央の領域は、スルーホー
ル300となる。マスク304は、本発明の第3の実施
形態では酸化珪素膜を使用した。マスク304の形成
は、RFプラズマCVD法によって、TEOS(Tet
ra Ethoxy Ortho Silicate)を
原料とし、酸素とともに分解して堆積させた。マスク3
04の厚さは、100nm〜400nmであることが望
ましく、本実施形態では、マスク304である酸化珪素
膜の厚さを150nmとした。マスク304を分離する
スルーホール300により、スルーホール300の下部
にてスリット状に非晶質珪素膜(a−Si膜)303が
露出される。この時の状態をガラス基板301上方より
見ると、図4に示すのように、スルーホール300にお
いて非晶質珪素膜(a−Si膜)303が露出してお
り、スルーホール300に隣接する領域は酸化珪素膜か
ら成るマスク304により被覆されている状態となって
いる。このときのライン状のスルーホール領域300の
幅は2〜15μmであることが望ましく、本実施形態で
は10μmとした。
【0150】非晶質珪素膜(a−Si膜)303上にマ
スク304を設けた後、マスク304およびスルーホー
ル300上にニッケル305の微量を添加する。このニ
ッケル305の微量添加は、DCスパッタリングによっ
て、純度99.9%以上のニッケルターゲットを使用し
て行った。ニッケルのDCスパッタリング条件は、DC
パワーが50W程度の極めて低いパワーにて、ガラス基
板301の搬送速度を2000mm/minにまで高め
てスパッタリング処理を行った。スパッタリングガスと
してはアルゴンを使用して、純ニッケルターゲットに対
してスパッタリング時のガス圧力を10Pa以上に上げ
ることによって、ニッケル305が極めて低濃度添加さ
れるスパッタリングが可能となる。このようにして、マ
スク304およびスルーホール300上にスパッタリン
グされたニッケル305は、図5(A)では、薄膜のよ
うに表示してはいるが、実際には、ニッケル305の厚
さは、単原子層程度かそれ以下の状態で、とても膜と呼
べる状態ではない。この時の具体的なスパッタリング条
件は、DCパワー60W、アルゴンガス圧18Paであ
り、マスク304およびスルーホール300に添加され
たニッケル305の濃度は、全反射蛍光X線分析(TR
XRF)法により測定すると、6×1013atoms/
cm2程度であった。
【0151】次に、図5(B)に示すように、不活性雰
囲気、例えば窒素雰囲気において第1の加熱処理を行
う。この第1の加熱処理は、加熱温度530〜600
℃、例えば560℃、加熱時間10時間のアニール処理
を行い非晶質珪素膜(a−Si膜)303を結晶化す
る。この第1の加熱処理において、スルーホール300
では、非晶質珪素膜(a−Si膜)303の表面に存在
する微量のニッケル305を核として非晶質珪素膜(a
−Si膜)303の結晶化が起こり、初めに結晶性珪素
膜303aが形成される。そして、引き続いて結晶性珪
素膜303aに隣接する領域では、図4、図5(B)に
おいて、結晶性珪素膜303aから隣接する両側のマス
ク304の下方の非晶質珪素膜(a−Si膜)303へ
の矢印の方向である結晶化方向306に向かって、結晶
性珪素膜303aから相対する横方向(ガラス基板30
1と平行な方向)に結晶成長が進行し、マスク304の
下方の非晶質珪素膜(a−Si膜)303において、結
晶性珪素膜303aから横方向に結晶成長した結晶性珪
素膜303bが形成される。
【0152】ガラス基板301上には、少なくとも複数
のライン状のスルーホール300およびマスク304
が、それぞれ隣接して形成されており、各スルーホール
300の下方に形成される結晶性珪素膜303aから相
対する横方向の結晶成長が進行し、それぞれの横方向に
結晶成長した結晶性珪素膜303bがぶつかり合って結
晶成長が終了する。この結晶性珪素膜303bの横方向
の結晶成長がぶつかり合う境界が境界部303eがであ
る。
【0153】この場合、マスク304上に添加されたニ
ッケル305は、酸化珪素膜から成るマスク304によ
り移動を阻まれ、マスク304の下方の非晶質珪素膜
(a−Si膜)303へは到達せず、スルーホール30
0に添加されたニッケル305のみによって、非晶質珪
素膜(a−Si膜)303の結晶化が行われる。この結
果、各スルーホール300の下方に形成される結晶性珪
素膜303aから相対する横方向結晶成長した結晶性珪
素膜303b内のニッケル305の濃度は、5×1017
〜1×1018atoms/cm3程度であり、直接ニッ
ケル305が添加されて結晶成長した結晶性珪素膜30
3a内のニッケル305の濃度は1×10 19atoms
/cm3程度であった。尚、上記の第1の加熱処理にお
ける非晶質珪素膜(a−Si膜)303の結晶成長に際
し、矢印で示される結晶化方向306のガラス基板30
1と平行な方向の結晶成長の距離は、例えばスルーホー
ル300の周囲が全て非晶質珪素膜(a−Si膜)30
3で横方向の結晶成長のぶつかり合いが生じない場合に
は、50μm程度になる。
【0154】次に、図5(C)に示すように、ニッケル
305の選択添加に使用したマスク304をそのまま使
用して、ガラス基板301上方より、リン(P)309
をガラス基板301上の全面にイオンドーピングする。
この場合のリン(P)309のドーピング条件として
は、ドーピングガスとしてホスフィン(PH3)を使用
し、加速電圧5〜10kV、ドーズ量5×1015〜1×
1016/cm2とした。さらに、引き続きホウ素(B)
310を同様に、ガラス基板301上方より、ホウ素
(B)310をガラス基板301上の全面にイオンドー
ピングする。ホウ素310のドーピング条件としては、
ドーピングガスとしてジボラン(B26)を使用し、加
速電圧5〜10kV、ドーズ量1×1015〜5×1015
/cm2とした。この工程により、スルーホール300
内の露出している結晶性珪素膜303aにリン309お
よびホウ素310が注入され、リン309およびホウ素
310が注入された結晶性珪素膜303aは非晶質化
し、非晶質珪素領域303fが形成される。マスク30
4によって被覆されている領域の結晶性珪素膜303b
には、リン309およびホウ素310はドーピングされ
ない。
【0155】本実施形態では、リン309およびホウ素
310のドーピングを別々に行ったが、リン309およ
びホウ素310のドーピングに使用するドーピングガス
を混合し、リン309およびホウ素310のドーピング
を同時に行っても良い。また、本実施形態では、質量分
離を行わないイオンシャワードーピング法によって、リ
ン309およびホウ素310のドーピングを行ってい
る。これにより、リン309およびホウ素310に加え
て多量の水素も同時に、結晶性珪素膜303aに注入さ
れている。この結果、リン309とホウ素310が注入
された結晶性珪素膜303aは、結晶状態が完全に乱れ
て、非晶質化された非晶質珪素領域303fとなる。
【0156】次に、スルーホール300の下方に非晶質
珪素領域303fが形成されたガラス基板301を、不
活性雰囲気、例えば窒素雰囲気にて第2の加熱処理を行
う。本実施形態では、第2の加熱処理の条件が窒素雰囲
気中にて加熱温度450℃〜580℃、加熱時間0.5
時間〜8時間、より好ましくは加熱温度450〜520
℃、加熱時間0.5時間〜8時間であることが望まし
い。また、第2の加熱処理における加熱温度までの昇温
速度および加熱温度からの降温速度としては、少なくと
も5℃/分以上で行うことが望ましい。実際に、第3の
実施形態では、加熱温度520℃、加熱時間4時間の第
2の加熱処理を行った。この場合、加熱温度までの昇温
および加熱温度からの降温は、ガラス基板301を温度
200℃程度で余熱した状態から加熱温度520℃まで
30分で(昇温速度約10℃/分で)で昇温し、加熱処
理後、加熱温度520℃から温度200℃まで同じく3
0分(降温速度10℃/分で)で降温した。
【0157】第2の加熱処理により、非晶質珪素領域3
03fにドーピングされたリン309およびホウ素31
0は、非晶質珪素領域303fに存在する触媒元素のニ
ッケル305をまずトラップする。その後、図4および
図5(D)に示すように、マスク304にて被覆されて
いる結晶性珪素膜303b内に存在しているニッケル3
05が、結晶性珪素膜303bから非晶質珪素領域30
3fに向かう矢印の方向であるゲッタリング方向311
に向かって移動する。ゲッタリング方向311は、結晶
性珪素膜303bが結晶成長した方向とは全く逆方向に
なる。第3の実施形態では、第1の実施形態と比較する
と、リン309に加えてホウ素310がドーピングされ
ており、リン309およびホウ素310がドーピングさ
れた領域は、リン309のみがドーピングされた領域に
比較して、ゲッタリング効率が高くなり、より効果的な
ゲッタリングシンクとして作用する。この結果、横方向
に結晶成長した結晶性珪素膜303b内のニッケル30
5の濃度は大幅に低減する。
【0158】この第2の加熱処理後に、横方向に結晶成
長した結晶性珪素膜303b内の残留しているニッケル
305の濃度は、二次イオン質量分析法(SIMS)に
より測定すると、5×1015atoms/cm3程度に
まで低減されており、測定可能範囲における測定下限レ
ベルであった。また、結晶性珪素膜303b内に残留し
ているニッケル305は、シリサイド状態では無く、格
子間ニッケルとして固溶した状態で存在している。この
第2の加熱処理条件では、第2の加熱処理の全期間にお
いて、リン309およびホウ素310がドーピングされ
非晶質化された非晶質珪素領域303fは、結晶核が全
く発生せず、全く結晶化されていない非晶質状態が維持
されている。
【0159】尚、第3の実施形態でも第1および第2の
実施形態と同様に、第2の加熱処理を、図6に示すファ
ーネス炉を使用して行った。
【0160】次に、図5(E)に示すように、酸化珪素
膜から成るマスク304をエッチングによって除去す
る。エッチングは、ウェットエッチングにより行い、エ
ッチング液(etchant)には、マスク304の下
層の結晶性珪素膜303bに対して十分に選択性のある
1:10バッファードフッ酸(BHF)を使用した。そ
の後、ガラス基板301上にレーザー光307を照射し
て、レーザーアニール処理を行い、横方向に結晶成長し
た結晶性珪素膜303bを再結晶化させて、結晶状態の
より高品質な結晶性珪素膜303dが得られる。この場
合のレーザー光は、XeClエキシマレーザー(波長3
08nm、パルス幅40nsec)を使用した。レーザ
ー光の照射条件は、レーザー光のエネルギー密度200
〜450mJ/cm2、例えば350mJ/cm2で照
射し、照射時にガラス基板301を温度200〜450
℃、例えば温度400℃に加熱した。レーザー光のビー
ムサイズは、ガラス基板301表面にて150mm×1
mmの長尺形状となるように成型されており、長尺方向
に対して垂直方向に0.05mmのステップ幅により順
次走査を行った。これにより、結晶性珪素膜303b上
の任意の一点において、計20回のレーザー照射が行わ
れることになる。このようなレーザー光を繰り返し照射
することにより、固相結晶化により得られた結晶性珪素
膜303bは、珪素膜中に残存している結晶欠陥および
微小な非晶質領域等が優先的に溶融し、結晶化領域の良
好な結晶成分のみを反映して膜全体が再結晶化され、よ
り高品質な結晶性珪素膜303dとなる。
【0161】次に、図5(F)に示すように、横方向に
結晶成長させた結晶性珪素膜303dの領域を用いて、
後工程にてN型TFTの活性領域(素子領域)およびP
型TFTの活性領域(素子領域)となる結晶性珪素膜3
12nおよび312pを残し、それ以外の不要な結晶性
珪素膜303dの領域をエッチングによって除去して素
子間分離を行う。この場合のニッケル305およびリン
309が添加されたスルーホール300と、結晶性珪素
膜312nおよび312pとの平面的な位置関係は、図
4に示す状態となる。
【0162】次に、図5(G)示すように、結晶性珪素
膜312nおよび312pを被覆する厚さ20〜150
nm、ここでは100nmの酸化珪素膜をゲート絶縁膜
313として形成する。酸化珪素膜から成るゲート絶縁
膜313の形成には、RFプラズマCVD法によって、
ここではTEOS(Tetra Ethoxy Orth
o Silicate)を原料とし、酸素とともに基板
温度150〜600℃、好ましくは300〜450℃に
て分解して堆積させた。酸化珪素膜から成るゲート絶縁
膜313形成後、ゲート絶縁膜313自身のバルク特
性、結晶性珪素膜312nおよび312pと、ゲート絶
縁膜313との界面特性を向上させるために、不活性ガ
ス雰囲気において、アニール温度500〜600℃、ア
ニール時間1〜4時間のアニール処理を行った。
【0163】その後、ゲート絶縁膜313上に、スパッ
タリング法によって、厚さ400〜800nm、例えば
600nmのアルミニウム(0.1〜2.0%のシリコ
ンを含む)膜を形成する。その後、このアルミニウム膜
をパターニングして、N型およびP型TFTの活性領域
となる結晶性珪素膜312nおよび312pの中央部分
に、それぞれゲート電極314nおよび314pを形成
する。
【0164】次に、イオンドーピング法によって、ゲー
ト電極314nおよび314pをマスクとしてN型およ
びP型TFTの活性領域となる結晶性珪素膜312nお
よび312pにN型不純物(リン)およびP型不純物
(ホウ素)を選択的にドーピングする。N型不純物(リ
ン)およびP型不純物(ホウ素)のドーピング条件は、
ドーピングガスとして、それぞれホスフィン(PH3
およびジボラン(B26)を使用し、ホスフィン(PH
3)の場合は、加速電圧60〜90kV、例えば80k
V、ジボラン(B26)の場合は、加速電圧40kV〜
80kV、例えば65kV、ドーズ量1×1015〜8×
1015/cm2、例えばリンでは2×101 5/cm2、ホ
ウ素では5×1015/cm2とする。この工程により、
ゲート電極314nおよび314pにマスクされ不純物
(リンおよびホウ素)が注入されない結晶性珪素膜31
2nおよび312pは、それぞれN型およびP型TFT
のチャネル領域317nおよび317pとなる。
【0165】N型不純物(リン)およびP型不純物(ホ
ウ素)のドーピングは、結晶性珪素膜312nおよび3
12pに対して選択的に行われる。このため、結晶性珪
素膜312nにN型不純物(リン)をドーピングする場
合には、P型不純物(ホウ素)をドーピングする結晶性
珪素膜312p上をフォトレジストで被覆し、結晶性珪
素膜312pにP型不純物(ホウ素)をドーピングする
場合には、N型不純物(リン)をドーピングする結晶性
珪素膜312n上をフォトレジストで被覆する。この結
果、結晶性珪素膜312nおよび312p内に、それぞ
れN型TFTのソースまたはドレイン領域321nおよ
びP型TFTのソースまたはドレイン領域321pが形
成され、図4に示すようにスルーホール300の両側
に、スルーホール300と隣接してN型TFT326お
よびP型TFT327を形成することができる。
【0166】その後、ガラス基板301上にレーザー光
322を照射して、レーザーアニール処理を行い、イオ
ン注入された不純物(リンおよびホウ素)の活性化を図
ると同時に、不純物(リンおよびホウ素)の注入により
結晶状態が劣化したTFTのソースまたはドレイン領域
321nおよび321pの結晶状態を改善する。この場
合のレーザー光は、XeClエキシマレーザー(波長3
08nm、パルス幅40nsec)を使用した。レーザ
ー光の照射条件は、レーザー光のエネルギー密度250
mJ/cm2、一か所につき20ショット照射した。
【0167】次に、図5(H)に示すように、ガラス基
板301上の全体を覆うために、プラズマCVD法によ
って厚さ900nmの酸化珪素膜を層間絶縁膜323と
して形成する。その後、ソースまたはドレイン領域32
1nおよび321p上にコンタクトホールを形成して、
金属材料、例えば、窒化チタンおよびアルミニウムの二
層膜によってN型およびP型TFTのソース電極および
ドレイン電極と成る電極配線324を形成する。その
後、1気圧の水素雰囲気において、温度350℃、1時
間のアニール処理を行い、N型TFT326およびP型
TFT327を完成させる。尚、必要に応じて、N型T
FT326およびP型TFT327のそれぞれのゲート
電極314nおよび314p上にもコンタクトホールを
設けて、電極配線324により必要な電極間を接続して
も良いし、N型TFT326およびP型TFT327を
保護するために、N型TFT326およびP型TFT3
27上に窒化珪素膜等から成る保護膜を設けても良い。
【0168】以上、図5(A)〜(H)の工程にしたが
って作製されたN型TFT326およびP型TFT32
7から成るCMOS構造回路において、それぞれN型T
FT326の電界効果移動度は250〜300cm2
Vs、P型TFT327の電界効果移動度は120〜1
50cm2/Vsの高い値を示し、N型TFT326の
閾値電圧は1V程度、P型TFT327の閾値電圧は−
1.5V程度と非常に良好な特性を示す。そして、N型
TFT326およびP型TFT327には、従来のTF
Tで発生しやすいTFTのOFF動作時のリーク電流の
異常な増加が全く無く、繰り返し測定、バイアス負荷お
よび温度ストレスによる耐久性試験においても、ほとん
ど諸特性の劣化が見られず、従来のTFTと比較して非
常に信頼性が向上し、安定した回路特性を示した。
【0169】以上、本発明の第1〜第3の実施形態に基
づいて、半導体装置の製造方法を具体的に説明したが、
本発明の半導体装置の製造方法は、前述の第1〜第3の
実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思
想に基づく各種の変形が可能である。例えば、前述の第
1〜第3の実施形態においては、触媒元素のニッケルを
ゲッタリングする際の第2の加熱処理の方法として、ガ
ラス基板の外形と概略相似形の断面形状を持つ炉心管が
設けられたファーネス炉のような抵抗性加熱炉を用いる
方法を示したが、通常の抵抗性加熱炉(ファーネス炉)
でも同様の処理は可能であるし、その他の枚葉式等のR
TA(Rapid Thermal Annealin
g:急速熱アニーリング)のようなアニール方法も使用
できる。
【0170】また、触媒元素のニッケルを添加する方法
としては、非晶質珪素膜の表面にニッケル塩を溶融した
溶液を塗布する方法を採用したが、非晶質珪素膜の成膜
前に下地膜表面にニッケルを添加し、非晶質珪素膜下層
よりニッケルを非晶質珪素膜内に拡散させ結晶成長を行
わせる方法でもよい。これにより、結晶成長は、非晶質
珪素膜の上面側から行ってもよいし、下面側から行って
もよい。
【0171】ニッケルの添加方法としても、その他、様
々な方法を用いることができる。例えば、ニッケル塩を
溶融させる溶媒としてSOG(スピンオングラス)材料
を用い、SiO2膜より拡散させる方法もある。また、
第3の実施形態に示すようなスパッタリング法、蒸着
法、メッキ法等により薄膜形成する方法、イオンドーピ
ング法により直接添加する方法等も利用できる。さら
に、結晶化を促進する不純物金属元素としては、ニッケ
ル以外にコバルト、鉄、パラジウム、白金、銅、金を用
いても同様の効果が得られる。
【0172】また、ニッケルのゲッタリング効果を高め
るための5族B元素としてリンを用いたが、リン以外に
窒素、ヒ素、アンチモン、ビスマスを利用しても良い。
第2の実施形態では、アルゴンをドーピングして使用し
たが、クリプトンおよびキセノンでも同様の効果が得ら
れる。
【0173】また、第1〜第3の実施形態では、ニッケ
ルによって結晶化された結晶性珪素膜の結晶性をさらに
促進させる手段として、結晶化された結晶性珪素膜の表
面にパルスレーザーであるエキシマレーザーのレーザー
光を照射する加熱法を用いたが、それ以外のレーザー
(例えば連続発振Arレーザー等)を使用しても同様の
レーザーアニール処理が可能である。
【0174】さらに、本発明の応用としては、液晶表示
用のアクティブマトリクス型基板以外に、例えば、密着
型イメージセンサー、ドライバー内蔵型のサーマルヘッ
ド、有機系EL等を発光素子としたドライバー内蔵型の
光書き込み素子および表示素子、三次元IC等が考えら
れる。本発明を用いることによって、これらの素子の高
速化、高解像度化等の高性能化が実現される。
【0175】さらに、本発明は、第1〜第3の実施形態
で説明したMOS型トランジスタに限らず、結晶性半導
体を素材としたバイポーラトランジスタや静電誘導トラ
ンジスタをはじめとして幅広く半導体プロセス全般に応
用することができる。
【0176】
【発明の効果】本発明の半導体装置の製造方法は、絶縁
性表面を有する基板上に形成された非晶質珪素膜に、非
晶質珪素膜の結晶化を促進する第1の元素である触媒元
素を添加して、第1の加熱処理を行い非晶質珪素膜を結
晶成長させ、その後、結晶化した結晶性珪素膜の一部
に、選択的に触媒元素を引き寄せる効果を持つ第2の元
素であるゲッタリング元素を添加して、ゲッタリング元
素を添加した領域を非晶質化させる。さらに、ゲッタリ
ング元素が添加され非晶質化した領域が少なくとも完全
に結晶化しない状態を保ちながら第2の加熱処理を行
い、第2の加熱処理により結晶性珪素膜内の触媒元素
を、ゲッタリング元素が添加され非晶質化した領域に移
動させ、ゲッタリング元素が添加された領域以外の領域
を用いて半導体装置の能動(チャネル)領域を形成す
る。これにより、結晶化された結晶性珪素膜の素子形成
領域内の触媒元素の量を低減させ、大型のガラス基板に
対しても量産が可能となる。
【0177】本発明の半導体装置は、絶縁性表面を有す
る基板上に、活性領域を有する結晶性珪素膜が形成さ
れ、その活性領域には、非晶質珪素膜の結晶化を促進す
る第1の元素を含むとともに、第1の元素が活性領域の
全領域において結晶性珪素膜の格子間に固溶しているこ
ともよって、信頼性の高い安定した特性を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)〜(G)は、それぞれ本発明の第1の実
施形態である半導体装置の製造方法における各工程を示
す断面図である。
【図2】(A)〜(E)は、それぞれ本発明の第1の実
施形態である半導体装置の製造方法における画素駆動用
TFTの各工程の概要を示す平面図である。
【図3】(A)〜(G)は、それぞれ本発明の第2の実
施形態である半導体装置の製造方法における各工程を示
す断面図である。
【図4】本発明の第3の実施形態である半導体装置の製
造方法におけるCMOS構造を構成するN型TFTおよ
びP型TFTの作製工程の概略を示す平面図である。
【図5】A)〜(H)は、それぞれ本発明の第3の実施
形態である半導体装置の製造方法における各工程を示す
断面図である。
【図6】(A)は、ファーネス炉におけるガラス基板、
石英ボートおよび石英チュ−ブの位置関係を示す斜視図
であり、(B)は、ファーネス炉におけるガラス基板と
石英チュ−ブとの隙間(間隔)を表す平断面図であり、
(C)は、従来のガラス基板と石英チュ−ブとの隙間
(間隔)を表す平断面図であり、(D)は、ファーネス
炉におけるガラス基板と石英チュ−ブとの隙間(間隔)
および雰囲気ガスの流れを表す概略断面図である。
【符号の説明】
300 スルーホール 101、201、301 ガラス基板 102、202、302 下地膜 103、203、303 非晶質珪素膜(a−Si
膜) 103a 結晶性珪素膜 203a 結晶性珪素膜 303a 結晶性珪素膜 303b 結晶性珪素膜 103c 結晶性珪素膜 203c 結晶性珪素膜 303d 結晶性珪素膜 303e 境界部 203f 非晶質珪素領域 303f 非晶質珪素領域 204、304 マスク 105、205、305 ニッケル 306 結晶成長方向 107、207、307 レーザー光 208 アルゴン 309 リン 310 ホウ素 111、211、311 ゲッタリング方向 112、212、 TFT活性領域(素子領
域) 312n 結晶性珪素膜 312p 結晶性珪素膜 ll3、213、313 ゲート絶縁膜 114、214、 ゲート電極 314n ゲート電極 314p ゲート電極 215 陽極酸化層 116 低濃度のリン 117、217、317 チャネル領域 317n チャネル領域 317p チャネル領域 118 低濃度不純物領域 119 フォトレジストマスク 120 高濃度のリン 121、221、 ソースまたはドレイン領域 321n ソースまたはドレイン領域 321p ソースまたはドレイン領域 122、222、322 レーザー光 123、223、323 層間絶縁膜 124、224、324 電極配線 225 画素電極 126、226、326 Nチャネル型TFT 327 Pチャネル型TFT
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H01L 29/786 H01L 29/78 627G 618G Fターム(参考) 2H092 HA06 JA24 KA05 KA12 KA18 KB04 MA08 MA15 MA22 MA27 MA30 NA24 NA27 NA29 5F052 AA02 AA11 AA17 BB07 DA02 DB03 EA15 EA16 FA06 FA19 HA06 JA01 5F110 AA30 BB01 BB02 BB04 CC02 DD02 DD13 EE03 EE04 EE34 EE44 FF02 FF29 FF30 FF32 FF36 GG02 GG13 GG25 GG33 GG34 GG35 GG45 HJ01 HJ04 HJ12 HJ23 HL01 HL03 HL07 HL11 HM15 NN02 NN04 NN23 NN24 NN35 PP01 PP03 PP04 PP06 PP10 PP13 PP29 PP34 PP35 PP36 QQ11 QQ23 QQ24 QQ28

Claims (26)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 絶縁性表面を有する基板上に非晶質珪素
    膜を形成し、該非晶質珪素膜に結晶化を促進する第1の
    元素を添加する工程と、 その後、第1の加熱処理を施し、該第1の元素が添加さ
    れた該非晶質珪素膜の結晶成長を行い、結晶性珪素膜を
    形成する工程と、 該結晶性珪素膜の一部の領域に、選択的に該第1の元素
    を引き寄せる効果を有する第2の元素を添加し、該第2
    の元素が添加された領域を非晶質化する工程と、 該第2の元素が添加され非晶質化した領域が、少なくと
    も完全に結晶化しない状態にて第2の加熱処理を行い、
    該結晶性珪素膜内の該第1の元素を、該第2の元素が添
    加され非晶質化した領域に移動させる工程と、 該第2の元素が添加された領域以外の領域の該結晶性珪
    素膜を用いて、少なくとも半導体装置の能動領域を形成
    する工程と、 を包含することを特徴とする半導体装置の製造方法。
  2. 【請求項2】 絶縁性表面を有する基板上に非晶質珪素
    膜を形成し、該非晶質珪素膜の一部の領域に結晶化を促
    進する第1の元素を選択的に添加する工程と、 その後、第1の加熱処理を施し、該第1の元素が選択的
    に添加された領域から隣接する周辺領域に向かって該基
    板と平行方向に該非晶質珪素膜の結晶成長を行い、結晶
    性珪素膜を形成する工程と、 該結晶性珪素膜の一部の領域に、選択的に該第1の元素
    を引き寄せる効果を有する第2の元素を添加し、該第2
    の元素が添加された領域を非晶質化する工程と、 該第2の元素が添加され非晶質化した領域が、少なくと
    も完全に結晶化しない状態で第2の加熱処理を行い、該
    結晶性珪素膜内の該第1の元素を、該第2の元素が添加
    され非晶質化した領域に移動させる工程と、 該第2の元素が添加された領域以外の、該基板と平行方
    向に結晶成長した領域の該結晶性珪素膜を用いて、少な
    くとも半導体装置の能動領域を形成する工程と、 を包含することを特徴とする半導体装置の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記第2の加熱処理では、前記第2の元
    素が添加され非晶質化した領域において、結晶核の発生
    が全く生じない請求項1または2に記載の半導体装置の
    製造方法。
  4. 【請求項4】 前記第2の加熱処理は、加熱温度が45
    0℃〜580℃の範囲内であり、加熱時間が0.5時間
    〜8時間である請求項1〜3に記載の半導体装置の製造
    方法。
  5. 【請求項5】 前記第2の加熱処理は、抵抗性加熱炉を
    用いる請求項1〜4に記載の半導体装置の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記抵抗性加熱炉は、前記基板を、該基
    板の平面形状と概略相似形の断面形状を持つ炉心管の内
    部に、該基板の平面を炉心方向に向け、炉心管の周囲と
    該基板の側端部との間の間隔が最小となるように配置し
    たファーネス炉である請求項5に記載の半導体装置の製
    造方法。
  7. 【請求項7】 前記第2の元素は、V族Bの元素であ
    り、V族Bの元素から少なくとも1種類以上、選択され
    る請求項1または2に記載の半導体装置の製造方法。
  8. 【請求項8】 前記V族Bの元素がリン(P)である請
    求項7に記載の半導体装置の製造方法。
  9. 【請求項9】 前記結晶性珪素膜の一部の領域に、V族
    Bの元素を添加するとともに、III族Bの元素も添加す
    る請求項1、2、7のいずれかに記載の半導体装置の製
    造方法。
  10. 【請求項10】 前記V族Bの元素がリン(P)であ
    り、III族Bの元素がホウ素(B)である請求項9に記
    載の半導体装置の製造方法。
  11. 【請求項11】 前記第2の元素は、希ガス元素であ
    り、希ガス元素から少なくとも1種類以上、選択される
    請求項1または2に記載の半導体装置の製造方法。
  12. 【請求項12】 前記希ガス元素がアルゴン(Ar)で
    ある請求項11に記載の半導体装置の製造方法。
  13. 【請求項13】 前記第2の元素の添加は、質量分離を
    行わないイオンシャワードーピング法によって行われる
    請求項1〜12のいずれかに記載の半導体装置の製造方
    法。
  14. 【請求項14】 前記第2の元素は、前記能動領域に隣
    接した周辺部に添加される請求項1または2に記載の半
    導体装置の製造方法。
  15. 【請求項15】 前記第1の元素の添加および前記第2
    の元素の添加が同一の添加用マスクを用いて行われる請
    求項2に記載の半導体装置の製造方法。
  16. 【請求項16】 前記能動領域に隣接した前記周辺部
    は、不純物領域である請求項1、2、14のいずれかに
    記載の半導体装置の製造方法。
  17. 【請求項17】 前記不純物領域は、V族Bの元素が添
    加されて、ソース領域およびドレイン領域を形成する請
    求項1、2、7、16のいずれかに記載の半導体装置の
    製造方法。
  18. 【請求項18】 前記不純物領域に高速熱アニール処理
    またはレーザーアニール処理を行う請求項16または1
    7に記載の半導体装置の製造方法。
  19. 【請求項19】 前記結晶性珪素膜にレーザーアニール
    処理を行う請求項1または2に記載の半導体装置の製造
    方法。
  20. 【請求項20】 前記第1の元素は、Ni、Co、F
    e、Pd、Pt、Cu、Auから選択された一種類また
    は複数種類のた元素である請求項1〜19のいずれかに
    記載の半導体装置の製造方法。
  21. 【請求項21】 前記第1の元素は、少なくともNiが
    選択される請求項20に記載の半導体装置の製造方法。
  22. 【請求項22】 絶縁性表面を有する基板上に、活性領
    域を有する結晶性珪素膜が形成された半導体装置であっ
    て、 該活性領域は、非晶質珪素膜の結晶化を促進する第1の
    元素を含むとともに、該第1の元素が該活性領域の全領
    域において該結晶性珪素膜の格子間に固溶していること
    を特徴とする半導体装置。
  23. 【請求項23】 絶縁性表面を有する基板上に、活性領
    域を有する結晶性珪素膜が形成された半導体装置であっ
    て、 該活性領域は、能動領域および不純物領域が設けられて
    おり、 該活性領域は、非晶質珪素膜の結晶化を促進する第1の
    元素を含むとともに、該第1の元素が該活性領域内の能
    動領域において該結晶性珪素膜の格子間に固溶している
    ことを特徴とする半導体装置。
  24. 【請求項24】 前記能動領域内の前記第1の元素の濃
    度が、前記不純物領域内の前記第1の元素の濃度よりも
    低くなるように設定されている請求項23に記載の半導
    体装置。
  25. 【請求項25】 前記第1の元素としてニッケル(N
    i)が含まれている請求項22〜24のいずれかに記載
    の半導体装置。
  26. 【請求項26】 前記第1の元素の濃度は、1×1015
    〜1×1017/cm 3の範囲内である請求項22または
    23に記載の半導体装置。
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