JP3972419B2 - 不織布及びそれを用いたフィルター - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は不織布に関し、さらに詳しくは特に、粒子捕捉性に優れ、フィルター用濾材として好適な不織布、およびその不織布を用いたフィルターに関するものである。
【0002】
【背景技術】
液体を濾過する、フィルター用濾材としては、紡績糸、不織布などがある。これらのフィルター用濾材は樹脂製の支持成形体に巻き取ってフィルターを成形するか、またはフィルター用濾材を芯棒等に巻き付けてバインダーもしくは自己接着により繊維交点を接着させた後、芯棒を抜き取りフィルターに成形している。フィルター用濾材として紡績糸を用いた場合、フィルターが安価に生産できるという利点はあるが、濾過時に繊維の脱落があり、精密濾過のフィルター用濾材としては適さない。また、繊維不織布を用いた場合も、繊維交点が接着していないと、同様に繊維の脱落が発生する。
不織布の繊維交点をバインダーで接着した場合、濾材の脱落やフィルターの変形はほとんどないが、バインダーにより液の流れが阻害され、通液性が悪くなる。また、濾液へバインダー成分が溶出するため、食品分野や電子工業分野等では使用できない。
【0003】
複合繊維等の自己接着型繊維を不織布となしフィルター用濾材として用いた場合、繊維交点が強固に接着できるため、濾材の脱落やフィルターの変形がなく、かつ通液性に優れたフィルターが得られ、フィルター用濾材としては、自己接着性繊維が優れていると言われている。この自己接着性繊維を使用したフィルターの濾過精度を良くするには、繊維径を小さくするのがよいが、繊維径が小さくなると濾過ライフが短くなるという問題がある。
市場では、製品の品質向上及び低コスト化のため、濾過精度が良好でなおかつ濾過ライフが長いフィルターが要望されている。これを解決するため、例えば特開平8−206423号公報には、立体捲縮数が1インチあたり5〜50個の潜在捲縮性複合繊維を使用したフィルターが提案されている。しかし、潜在捲縮性複合繊維のみを使用したフィルターは、濾過ライフは長くなるものの、フィルターの耐圧強度が低くなり、濾過時に容易に変形するという問題がある。また、フィルター加熱成形時にウェッブが幅方向に収縮するため、フィルター性能にバラツキを生じるという問題がある。さらに、立体捲縮数が少ないため、十分な濾過精度の向上が期待できない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、濾過精度を向上させ、かつ濾過ライフを長くするフィルター用濾材として適した不織布を提供しようとするものである。
本発明者らは、上記目的を達成するために、鋭意検討を重ねた結果、超微小螺旋捲縮を有した細繊度複合繊維と、顕在捲縮を有した太繊度複合繊維を混綿した不織布が、濾過精度の精密性を向上させ、濾過ライフが長く、しかも濾材の脱落がなく、かつ耐圧強度の高いフィルター用濾材として適していることを知り、本発明を完成するに至った。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記の課題を解決するために以下の構成を有する。
(1)2個/mm〜30個/mmからなる超微小螺旋捲縮を有し、繊度が1d/f〜3d/fであり、かつ、低融点樹脂と高融点樹脂とからなる、細繊度複合繊維(A)と、顕在捲縮を有し、繊度が5d/f〜50d/fである低融点樹脂と高融点樹脂とからなる太繊度複合繊維(B)が、A/B重量比70/30〜20/80の比率で混綿された不織繊維集合体で構成された不織布を用いた筒状フィルターであって、細繊度複合繊維(A)を構成する低融点樹脂が結晶性ポリプロピレン系共重合体であり、高融点樹脂がホモポリプロピレン若しくは該低融点樹脂より融点の高い結晶性ポリプロピレン系共重合体であり、該不織布は、繊維交点が融着接合されていることを特徴とする筒状フィルター。
【0006】
(2)細繊度複合繊維(A)を構成する低融点樹脂が、プロピレン85〜99重量%と、エチレン1〜15重量%からなる結晶性ポリプロピレン系共重合体である(1)項に記載の筒状フィルター。
(3)細繊度複合繊維(A)を構成する低融点樹脂が、プロピレン50〜99重量%と、ブテン−11〜50重量%からなる結晶性ポリプロピレン系共重合体である(1)項に記載の筒状フィルター。
(4)細繊度複合繊維(A)を構成する低融点樹脂が、プロピレン84〜98重量%、エチレン1〜10重量%及びブテン−1 1〜15重量%からなる結晶性ポリプロピレン系共重合体である(1)項に記載の筒状フィルター。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明における不織布は、細繊度複合繊維(A)と太繊度複合繊維(B)とを混綿したものである。細繊度複合繊維(A)は、超微小螺旋捲縮を有し、太繊度複合繊維(B)は、顕在捲縮を有している。ここで超微小螺旋捲縮とは、不織布化またはフィルター加工における加熱により、複合繊維を構成する熱収縮の異なる二種類の熱可塑性樹脂に収縮差が生じることによって発現する螺旋状の三次元的捲縮のことをいう。この細繊度複合繊維(A)の超微小螺旋捲縮数としては、2個/mm〜30個/mmにすることが好ましい。2個/mm未満では、フィルターの濾過精度が悪くなり、30個/mmを越えると濾過ライフが短くなる。太繊度複合繊維(B)の顕在捲縮とは、機械捲縮のような二次元的な捲縮のことをいう。太繊度複合繊維(B)の顕在捲縮数は、不織布に加工可能であれば特に限定されない。
【0008】
細繊度複合繊維(A)と太繊度複合繊維(B)との混綿比、すなわち重量比A/Bは、70/30〜20/80が好ましい。特に60/40〜30/70がより好ましい。細繊度複合繊維(A)の混綿率が、70%を超えるとフィルターを成形するときに不織布の幅方向の収縮が大きく、またフィルターの耐圧強度が低下する。一方、細繊度複合繊維(A)の混綿率が、20%未満では、濾過精度が悪くなる。
【0009】
超微小螺旋捲縮を有する細繊度複合繊維(A)としては、熱収縮率の異なる二種類の熱可塑性樹脂が並列型または偏心鞘芯型の複合形式をとっているものを例示できる。低融点樹脂と高融点樹脂の複合比は、70/30〜30/70特に60/40〜40/60がより好ましい。低融点樹脂の複合比が70%を越えると、超微小螺旋捲縮数が30個/mmを越え、濾過ライフが極端に短くなる。また、低融点樹脂の複合比が30%未満では、捲縮発現性が悪く、超微小螺旋捲縮数が2個/mm未満となりフィルターの濾過精度が悪くなる。
【0010】
細繊度複合繊維(A)の熱可塑性樹脂の組合せとして、互いに融点の異なるポリエチレンテレフタレート、ポリ(エチレンテレフタレートーcoーエチレンイソフタレート)等のポリエステル、6ーナイロン、6、6ーナイロン等のポリアミド、若しくはポリプロピレン、ポリエチレン、ポリブテンー1等のポリオレフィン等のうちの同種若しくは異種からなる2種のポリマーを選択することが出来る。これらの内では耐薬品性、紡糸性、経済性などの面から結晶性ポリプロピレン系樹脂がより好ましい。ポリプロピレン系樹脂のうちでは結晶性ポリプロピレン系共重合体/結晶性ホモポリプロピレン、または互いに融点の異なる結晶性ポリプロピレン系共重合体同士の組み合わせが挙げられるが、前者の方がより好ましい。
【0011】
結晶性ポリプロピレン系共重合体としては、プロピレンを主としてエチレン、ブテンー1、ペンテンー1、ヘキセンー1、ヘプテンー1、オクテンー1若しくは4ーメチルーペンテンー1等のαーオレフィンの1種以上とのランダム、若しくはブロック共重合体を挙げることができる。これらの内で前記低融点樹脂として、プロピレン 85〜99重量%と、エチレン 1〜15重量%のランダム共重合体、プロピレン 50〜99重量%と、ブテン−1 1〜50重量%のランダム共重合体、あるいは、プロピレン 84〜98重量%、エチレン 1〜10重量%及びブテン−1 1〜15重量%のランダム共重合体が捲縮発現性に優れ好ましい。捲縮発現性が悪いと、超微小螺旋捲縮数が2個/mm未満となりフィルターの濾過精度が粗くなる。
【0012】
高融点樹脂としてはホモポリプロピレン、若しくは上述したようなポリプロピレン系共重合体を用いることが出来るが、この場合該共重合体同士を用いる場合は高融点樹脂側に、より高融点の共重合体を用いるのは当然である。
高融点樹脂と低融点樹脂の融点差は20℃以上が好ましい。温度差が20℃未満の場合には不織布にしたときに熱収縮が大になる場合があり好ましくない。
細繊度複合繊維(A)の繊度としては、1d/fから3d/fが好ましい。1d/fより細くなると、フィルターの通液性が悪くなる。一方、3d/fより太くなると濾過精度が粗くなる。この範囲内の繊度なら複数の繊度からなる繊維を用いることも可能である。
【0013】
顕在捲縮を有した太繊度複合繊維(B)としては、二種類の熱可塑性樹脂が並列型、鞘芯型または偏心鞘芯型等の複合形式をとっているものを例示できる。低融点樹脂と高融点樹脂の複合比は、70/30〜30/70特に60/40〜40/60がより好ましい。低融点樹脂の複合比が70%を越えると、不織布化及びフィルター加工時の収縮が大きくなる。また、低融点樹脂の複合比が30%未満では、繊維交点の接着が弱く、フィルターの耐圧性が低下する。熱可塑性樹脂の組合せとしては、前記細繊度複合繊維(A)の場合と同様のものを使用出来るが、好ましくは高密度ポリエチレン/ポリプロピレン、直鎖状低密度ポリエチレン/ポリプロピレン、低密度ポリエチレン/ポリプロピレン等を挙げることができる。太繊度複合繊維(B)の繊度としては、5d/fから50d/fが好ましい。5d/fより細くなると、通液性が悪くなる。一方、50d/fより太くなるとフィルターの耐圧強度が低くなりまた、細繊度複合繊維(A)との混綿時に繊維の分散性が悪くなる。
【0014】
本発明の不織布を得る方法としては、例えば、溶融紡糸により得られた、細繊度複合繊維(A)と太繊度複合繊維(B)の短繊維を必要な重量比で混綿し、カーディング法、エアレイド法などを用いて必要な目付のウェブを作製する。このウェブを、サクションドライヤー法、熱風乾燥装置あるいは熱ロール法等の公知の方法で加熱し、繊維交点を接着すると同時に細繊度複合繊維(A)に超微小螺旋捲縮を発現させ、不織布を得ることができる。
前記方法で作製した不織布を用いたフィルターの製造方法としては、例えば、不織布をサクションドライヤー法、熱風乾燥装置あるいは熱ロール法等の公知の方法で加熱しながら芯棒に巻き付けフィルターとする。
また、前記方法で作製したウェブをサクションドライヤー法、熱風乾燥装置あるいは熱ロール法等の公知の方法で加熱しながら芯棒に巻き付け、細繊度複合繊維(A)に超微小螺旋捲縮を発現させると同時に、繊維交点を接着させ、不織布化と同時にフィルターに成形してもよい。
【0015】
【作用】
本発明の不織布を用いたフィルターは、細繊度複合繊維(A)の超微小螺旋捲縮により小粒径の粒子を捕捉し、濾過精度の精密性を向上させることができ、なおかつ超微小螺旋捲縮の三次元構造により粒子を捕捉する空間が大きくなり濾過ライフを長くする作用がある。さらに、一方の太繊度複合繊維(B)によりフィルターの耐圧強度を維持し、不織布化及びフィルター加工時の収縮を抑えることができ、形態保持性が向上する。
本発明のフィルターは、濾過ライフが長いため、フィルターの交換頻度が少なくなり、さらに、使用時のフィルターの変形がないため、安定した濾過が可能となる。
【0016】
【実施例】
以下、実施例、比較例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらにより限定されるものではない。なお、実施例中のフィルター性能評価は、下記方法に従った。
【0017】
[通水性] 30リットルの水槽から毎分30リットルの流量でフィルターに循環通水する。この時のフィルター入口と出口の圧力差、すなわち差圧を通水性とする。
[濾過精度] 30リットルの水槽から毎分30リットルの流量でフィルターに循環通水する。水槽にケーキ(JIS Z8901 試験用ダスト 7種と8種を重量比1:1で混合したもの)を毎分0.5gずつ投入し、投入開始1分後に原液中と濾液中のケーキの粒度分布を粒子測定器で測定する。2μm以上、5μm以上、10μm以上、20μm以上及び50μm以上の各粒子についてそれぞれ捕集効率を算出し、濾過精度とする。
捕集効率=(1−(濾液中の所定粒径の個数÷原液中の所定粒径の個数))×100
【0018】
[濾過ライフ] 30リットルの水槽から毎分30リットルの流量でフィルターに循環通水する。水槽にケーキ(JIS Z8901 試験用ダスト 7種と8種を重量比1:1で混合したもの)を毎分0.5gずつ投入し、フィルターの入口と出口の圧力差、すなわち差圧が3 kg/cm2になるまでの時間を濾過ライフとする。
[耐圧性] 30リットルの水槽からフィルターに循環通水する。フィルターの入口と出口の圧力差、すなわち差圧を徐々に上げていき、フィルターに変形が生じたときの差圧を耐圧性とする。
【0019】
実施例1
プロピレン93重量%とエチレン7重量%のランダム共重合体樹脂(融点140℃)とポリプロピレンを290℃で並列型口金を用いて、複合比50/50で紡糸し、並列型複合繊維を紡糸した。得られた未延伸糸を80℃で2倍に延伸し、機械捲縮をかけ、所定長に切断して短繊維とした。この短繊維は、カット長51mm、繊度約2d/fの細繊度並列型複合繊維(A)であった。高密度ポリエチレンとポリプロピレンを280℃で並列型口金を用いて、複合比50/50で紡糸し、並列型複合繊維を紡糸した。得られた未延伸糸を110℃で4倍に延伸し、機械捲縮をかけ、所定長に切断して短繊維とした。この短繊維は、顕在捲縮数約15個/25mm、カット長51mm、繊度約20d/fの太繊度並列型複合繊維(B)であった。得られた細繊度並列型複合繊維(A)と太繊度並列型複合繊維(B)とを混綿比50/50で混綿した後、カード機にてウェブとし、サクションバンドドライヤ−を用いて、140℃で加熱して繊維交点を融着接合させながら金属製の芯棒に巻き取った後、冷却し芯棒を抜き取り、250mmの長さに切断し、外径65mm、内径30mm、長さ250mmの中空円筒状フィルターを得た。フィルター加工後の細繊度並列型複合繊維(A)の超微小螺旋捲縮数は、20個/mmであった。フィルターの濾過性能評価結果を表1に示す。
【0020】
実施例2
繊度2d/fの細繊度並列型複合繊維(A)と繊度20d/fの太繊度並列型複合繊維(B)とを混綿比70/30で混綿する以外は、実施例1と同様な工程でフィルターを得た。フィルターの濾過性能評価結果を表1に示す。
【0021】
実施例3
繊度2d/fの細繊度並列型複合繊維(A)と繊度20d/fの太繊度並列型複合繊維(B)とを混綿比20/80で混綿する以外は、実施例1と同様な工程でフィルターを得た。フィルターの濾過性能評価結果を表1に示す。
【0022】
実施例4
プロピレン93重量%とエチレン7重量%のランダム共重合体樹脂(融点140℃)とポリプロピレンからなる細繊度並列型複合繊維(A)の繊度を1d/fとした以外は、実施例1と同様な工程でフィルターを得た。フィルターの濾過性能評価結果を表1に示す。
【0023】
実施例5
高密度ポリエチレンとポリプロピレンからなる太繊度並列型複合繊維(B)の繊度を40d/fとした以外は、実施例1と同様な工程でフィルターを得た。フィルターの濾過性能評価結果を表1に示す。
【0024】
実施例6
繊度3d/fの細繊度並列型複合繊維(A)をプロピレン92重量%、エチレン4重量%及びブテン−1 4重量%のランダム共重合体樹脂(融点130℃)とポリプロピレンとで作製した以外は、実施例1と同様な工程でフィルターを得た。フィルターの濾過性能評価結果を表1に示す。
【0025】
実施例7
繊度2d/fの細繊度並列型複合繊維(A)が、高密度ポリエチレンとポリプロピレンを300℃で並列型口金を用いて、複合比を50/50で紡糸した以外は、実施例1と同様の工程で加工しフィルターを得た。フィルター加工後の細繊度並列型複合繊維(A)の超微小螺旋捲縮数は、2個/mmであった。フィルターの濾過性能評価結果を表1に示す。
【0026】
実施例8
繊度2d/fの細繊度並列型複合繊維(A)が、プロピレン93重量%とエチレン7重量%のランダム共重合体樹脂(融点140℃)とポリプロピレンを290℃で並列型口金を用いて、複合比を35/65で紡糸した以外は、実施例1と同様の工程で加工しフィルターを得た。フィルター加工後の細繊度並列型複合繊維(A)の超微小螺旋捲縮数は、8個/mmであった。フィルターの濾過性能評価結果を表1に示す。
【0027】
実施例9
繊度2d/fの細繊度並列型複合繊維(A)が、プロピレン93重量%とエチレン7重量%のランダム共重合体樹脂(融点140℃)とポリプロピレンを290℃で並列型口金を用いて、複合比を40/60で紡糸した以外は、実施例1と同様の工程で加工しフィルターを得た。フィルター加工後の細繊度並列型複合繊維(A)の超微小螺旋捲縮数は、15個/mmであった。フィルターの濾過性能評価結果を表1に示す。
【0028】
実施例10
繊度2d/fの細繊度並列型複合繊維(A)が、プロピレン93重量%とエチレン7重量%のランダム共重合体樹脂(融点140℃)とポリプロピレンを290℃で並列型口金を用いて、複合比を60/40で紡糸した以外は、実施例1と同様の工程で加工しフィルターを得た。フィルター加工後の細繊度並列型複合繊維(A)の超微小螺旋捲縮数は、26個/mmであった。フィルターの濾過性能評価結果を表1に示す。
【0029】
実施例11
繊度2d/fの細繊度並列型複合繊維(A)が、プロピレン93重量%とエチレン7重量%のランダム共重合体樹脂(融点140℃)とポリプロピレンを290℃で並列型口金を用いて、複合比を70/30で紡糸した以外は、実施例1と同様の工程で加工しフィルターを得た。フィルター加工後の細繊度並列型複合繊維(A)の超微小螺旋捲縮数は、30個/mmであった。フィルターの濾過性能評価結果を表1に示す。
【0030】
実施例12
繊度2d/fの細繊度複合繊維(A)が、プロピレン93重量%とエチレン7重量%のランダム共重合体樹脂(融点140℃)を鞘成分、ポリプロピレンを芯成分とし290℃で偏心鞘芯口金を用いて、複合比を50/50で紡糸した以外は、実施例1と同様の工程で加工しフィルターを得た。フィルター加工後の細繊度偏心鞘芯型複合繊維(A)の超微小螺旋捲縮数は、5個/mmであった。フィルターの濾過性能評価結果を表1に示す。
【0031】
比較例1
繊度2d/fの細繊度並列型複合繊維(A)が、プロピレン93重量%とエチレン7重量%のランダム共重合体樹脂(融点140℃)とポリプロピレンを290℃で並列型口金を用いて、複合比を80/20で紡糸し、80℃で2倍に延伸した以外は、実施例1と同様の工程で加工しフィルターを得た。フィルター加工後の細繊度並列型複合繊維(A)の超微小螺旋捲縮数は、35個/mmであった。フィルターの濾過性能評価結果を表1に示す。
【0032】
比較例2
繊度2d/fの細繊度並列型複合繊維(A)が、プロピレン93重量%とエチレン7重量%のランダム共重合体樹脂(融点140℃)とポリプロピレンを290℃で並列型口金を用いて、複合比を80/20で紡糸し、100℃で2倍に延伸した以外は、実施例1と同様の工程で加工しフィルターを得た。フィルター加工後の細繊度並列型複合繊維(A)の超微小螺旋捲縮数は、40個/mmであった。フィルターの濾過性能評価結果を表1に示す。
【0033】
比較例3
高密度ポリエチレンとポリプロピレンからなる繊度18d/fの太繊度並列型複合繊維(B)を100%で使用した以外は、実施例1と同様の工程で加工しフィルターを得た。フィルターの濾過性能評価結果を表1に示す。
【0034】
比較例4
高密度ポリエチレンを鞘成分、ポリブチレンテレフタレートを芯成分とした繊度2d/fの細繊度偏心芯鞘芯型複合繊維(A)を100%で使用してカード機にてウェブとした。このウェブをサクションバンドドライヤ−を用いて、140℃で加熱しながら金属製の芯棒に巻き取ろうとしたが、ウェブの幅方向の収縮が大きくフィルター外径及び重量のバラツキが大きく安定したフィルターの成形ができなかった。加熱後の細繊度偏芯鞘芯型複合繊維(A)には1個/mmの螺旋状捲縮が発現していた。フィルターの濾過性能評価結果を表1に示す。
【0035】
比較例5
プロピレン93重量%とエチレン7重量%のランダム共重合体樹脂(融点140℃)とポリプロピレンからなる繊度2d/fの細繊度並列型複合繊維(A)を100%で使用しカード機にてウェブとした。このウェブをサクションバンドドライヤ−を用いて、140℃で加熱しながら金属製の芯棒に巻き取ろうとしたが、比較例3と同様にウェブの幅方向の収縮が大きくフィルター外径及び重量のバラツキが大きく安定したフィルターの成形ができなかった。フィルターの濾過性能評価結果を表1に示す。
【0036】
比較例6
プロピレン93重量%とエチレン7重量%のランダム共重合体樹脂(融点140℃)とポリプロピレンからなる細繊度並列型複合繊維(A)の繊度を5d/fとした以外は、実施例1と同様な工程でフィルターを得た。フィルターの濾過性能評価結果を表1に示す。
【0037】
比較例7
高密度ポリエチレンとポリプロピレンからなる太繊度並列型複合繊維(B)の繊度を2d/fとした以外は、実施例1と同様な工程でフィルターを得た。フィルターの濾過性能評価結果を表1に示す。
【0038】
比較例8
高密度ポリエチレンとポリプロピレンからなる太繊度並列型複合繊維(B)の繊度を60d/fとした以外は、実施例1と同様な工程でフィルターを得た。フィルターの濾過性能評価結果を表1に示す。
【0039】
比較例9
繊度2d/fの細繊度並列型複合繊維(A)と繊度20d/fの太繊度並列型複合繊維(B)との混綿比10/90で混綿する以外は、実施例1と同様な工程でフィルターを得た。フィルターの濾過性能評価結果を表1に示す。
【表1】
表1からも明らかなように、本発明の実施例1〜12の超微小螺旋捲縮を有した細繊度複合繊維(A)と、顕在捲縮を有した太繊度複合繊維(B)を混綿したフィルターは、濾過精度が細かく、濾過ライフが長く、通水性に優れ、耐圧強度が高く、フィルター性能のバランスが良好であることがわかる。しかし、比較例−1〜9のフィルターは、超微小螺旋捲縮を有した細繊度複合繊維(A)の繊度、超微小螺旋捲縮数または、顕在捲縮を有した太繊度複合繊維(B)の繊度または、混綿比が、適切でないためフィルター性能のバランスが悪い。
【0040】
【発明の効果】
(1)超微小螺旋捲縮を有した細繊度複合繊維(A)と、顕在捲縮を有した太繊度複合繊維(B)を混綿した本発明の不織布を用いたフィルターは、通水性、濾過精度、濾過ライフ、耐圧性の全てが優れ、フィルター性能のバランスが良いものである。このため、従来のフィルターに比べフィルターの交換頻度が減り、経済的な濾過ができる。
(2)細繊度複合繊維(A)に、結晶性ポリプロピレン系共重合体/ホモポリプロピレンの組み合わせを用いると著しく捲縮発現性に優れ、超微小螺旋捲縮が得られる。このような細繊度複合繊維(A)を太繊度複合繊維(B)と混綿した不織布を用いたフィルターは、特に粒子捕捉性に優れ、濾過精度が一層向上する。
Claims (4)
- 2個/mm〜30個/mmからなる超微小螺旋捲縮を有し、繊度が1d/f〜3d/fであり、かつ、低融点樹脂と高融点樹脂とからなる、細繊度複合繊維(A)と、顕在捲縮を有し、繊度が5d/f〜50d/fである低融点樹脂と高融点樹脂とからなる太繊度複合繊維(B)が、A/B重量比70/30〜20/80の比率で混綿された不織繊維集合体で構成された不織布を用いた筒状フィルターであって、細繊度複合繊維(A)を構成する低融点樹脂が結晶性ポリプロピレン系共重合体であり、高融点樹脂がホモポリプロピレン若しくは該低融点樹脂より融点の高い結晶性ポリプロピレン系共重合体であり、該不織布は、繊維交点が融着接合されていることを特徴とする筒状フィルター。
- 細繊度複合繊維(A)を構成する低融点樹脂が、プロピレン85〜99重量%と、エチレン1〜15重量%からなる結晶性ポリプロピレン系共重合体である請求項(1)に記載の筒状フィルター。
- 細繊度複合繊維(A)を構成する低融点樹脂が、プロピレン50〜99重量%と、ブテン−11〜50重量%からなる結晶性ポリプロピレン系共重合体である請求項(1)に記載の筒状フィルター。
- 細繊度複合繊維(A)を構成する低融点樹脂が、プロピレン84〜98重量%、エチレン1〜10重量%及びブテン−1 1〜15重量%からなる結晶性ポリプロピレン系共重合体である請求項(1)に記載の筒状フィルター。
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