JP3717566B2 - カートリッジフィルター及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、水、油、油剤、食品等の液体濾過用の円筒状のカートリッジフィルター及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
液体中の微粒子を濾過する円筒状のカートリッジフィルターとしては、糸を多孔円筒に巻回したものや、不織布を多孔円筒に巻き付けたもの、或いは繊維ウェブを加熱しながら巻回したものが良く知られている。
【0003】
例えば、特開昭58−24318号公報には、マルチフィラメント嵩高加工糸を円筒形ボビンに巻き付けてなる濾過筒が提案されている。また、特開平5−96110号公報には、メルトブロー紡糸しながら繊維径を変化させて堆積して得られた極細複合繊維ウェブを、熱処理して巻芯に巻き取り、その後巻芯を抜き取ることにより筒状フィルターを得ることができる旨記載されている。また、特開平1−297113号公報には、繊維径や見掛け密度の異なる数種のメルトブロー不織布を、筒の外側になる程、平均繊維径、平均孔径の大きくなるように複数層巻回してなるカートリッジフィルターが提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
一般に糸を多孔円筒に巻回させたフィルター(以下、糸巻きタイプと略す)は、濾過精度はさほど良くないものの、濾過ライフが長く、また安価であるため、低粘度の液体濾過用として、また精密フィルターのプレフィルターとして、各種業界において汎用されている。しかし、糸巻きタイプのものは、毛羽立ち、繊維の脱落といった問題がある。
【0005】
一方、不織布や繊維ウェブを巻回させたフィルター(以下、これらを総称して不織布巻きタイプと略す)は、繊維間が絡合もしくは結合しているので、毛羽立ちや繊維の脱落といった問題はなく、濾過精度も良いが、濾過ライフが短いといった問題がある。
【0006】
一般に、カートリッジフィルターは、その濾過ライフを向上させると濾過精度が低下し、濾過精度を高くすると濾過ライフが短くなる。この2つの性能を共に向上させることは非常に困難であり、市場では濾過ライフと濾過精度のバランスのよいカートリッジフィルターが要望されている。
【0007】
そこで、本発明者らは上記不織布巻きタイプの短所を改善し、濾過精度が良好であり、かつ濾過ライフの長いカートリッジフィルターを得るべく検討した結果、潜在捲縮性複合繊維を用いて濾過層を形成し、さらに濾過の理論からみても有利な密度勾配を濾過層に設けることにより、上記課題を解決することができることを見い出し、本発明に至った。
【0008】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明は、潜在捲縮性複合繊維からなり繊維間が熱接着されたカートリッジフィルターであって、前記潜在捲縮性複合繊維に立体捲縮が発現しており、かつその繊維密度が0.15〜0.50g/cm3 であることを特徴とする、あるいは繊維密度が0.15〜0.25g/cm3 の最外層と繊維密度が0.30〜0.50g/cm3 の最内層の間で密度勾配を有することを特徴とするカートリッジフィルターである。以下、その内容を説明する。
【0009】
【発明の実施の形態】
潜在捲縮性複合繊維とは、加熱により立体捲縮を発現する繊維をいう。ここで立体捲縮とは螺旋状の捲縮に代表されるように、繊維が、機械捲縮のように二次元方向にではなく、三次元方向に縮れていることをいう。勿論、捲縮は必ずしも規則的である必要はなく、不規則的であっても差し支えない。潜在捲縮性複合繊維としては、熱収縮率の異なる二種の熱可塑性樹脂(A成分およびB成分)が、図1のように繊維断面において貼り合わされた状態となるように配置されたもの、或いは図2のように芯成分(A成分)と芯成分よりも熱収縮率の大きい鞘成分(B成分)の重心が一点に重ならないように配置された偏芯型の芯鞘型複合繊維等、従前よりよく知られているものを使用することができる。
【0010】
二種の熱可塑性樹脂の組合せとしては、例えば、A成分がポリプロピレン、もしくはポリブチレンテレフタレートから、B成分がエチレン−プロピレンランダム共重合体、エチレン−ブテン-1−プロピレンランダム共重合体、高密度ポリエチレンのいずれかから選ばれた組合せを挙げることができる。中でも、A成分をポリブチレンテレフタレート、B成分を高密度ポリエチレンとした偏芯型の芯鞘型複合繊維は、立体捲縮が良好に発現し、繊維製造時の延伸倍率や延伸温度によって容易に立体捲縮の発現の程度をコントロールできるので本発明のフィルターに好適である。また、これを用いて作成したウェブは熱処理時における幅方向の縮みが少なく、一定温度以上で立体捲縮が安定的に発現し、温度による影響を受けにくいので、この繊維の使用は工程管理の点からも好ましい。
【0011】
潜在捲縮性複合繊維の単繊維繊度はカートリッジフィルターの用途等に応じて決定すれば良いが、好ましくは1〜40デニールである。繊度が1デニール未満の繊維は通常の溶融紡糸による生産性が悪く、40デニールを超えると立体捲縮が発現しにくいからである。特に、前述した芯成分/鞘成分がポリブチレンテレフタレート/高密度ポリエチレンの偏芯型の芯鞘型複合繊維を使用する場合は、1〜20デニールのものを使用することが望ましい。この繊維は20デニールを超えると立体捲縮の発現性が悪くなるからである。
【0012】
本発明で使用する潜在捲縮性複合繊維は、後述の方法に従ってカートリッジフィルターを製造したときに、1インチあたり5〜50個の立体捲縮が発現するような捲縮能を有することが望ましい。従って、繊維が束縛されていないフリーな状態で加熱処理を施したときに、1インチあたり10〜80個の立体捲縮が発現することが望ましい。一般に、繊維ウェブにした状態で捲縮を発現させると、フリーな状態で発現させた場合に比べ、捲縮の数が少なくなるからである。
【0013】
本発明のカートリッジフィルターは、この潜在捲縮性複合繊維を用いてウェブを作成し、これに熱処理を施して立体捲縮を発現させると同時に繊維間を熱接着させた後、これを加熱した中芯に加圧しながら巻き取り、冷却後、中芯を抜き取ることにより得られるものである。
【0014】
潜在捲縮性複合繊維からなるウェブの態様は特に限定されず、ステープル繊維を使用して作成するパラレルウェブ、セミランダムウェブ、ランダムウェブ、クロスウェブ等を任意に用いることができる。また、ウェブの目付は10〜50g/m2 とするとよい。10g/m2 未満では均一なウェブを得ることができず、50g/m2 を超えるとウェブが厚くなりすぎて、後述する巻き取り時の加圧が均一に伝播せず、密度勾配の付与が難しくなるからである。また、ウェブは複数種の繊維が混合された混合ウェブや、或いは複数台のカード機によって作成された複数種の繊維ウェブが積層された積層ウェブであってもよい。
【0015】
次いでこのウェブに加熱処理を施し、繊維に立体捲縮を発現させると同時に繊維間を熱接着する。従って、加熱温度は、立体捲縮が発現し、かつ潜在捲縮性複合繊維の構成成分のうちの少なくとも一成分が溶融・軟化する温度以上に設定する必要があるが、高くしすぎると立体捲縮の発現によるウェブの幅方向の縮みが無視できなくなるので注意を要する。例えば、潜在捲縮性複合繊維として、上述の芯成分/鞘成分がポリブチレンテレフタレート/高密度ポリエチレンである偏芯型の芯鞘型複合繊維を用いる場合、135〜150℃とするのがよい。
【0016】
次にウェブを加熱された中芯に、加圧しながら巻き取る。巻き取りをウェブ中の繊維がまだ軟化・溶融状態にある間に行うと、ウェブの層間も熱接着されるので形態が安定したカートリッジフィルターを得ることができる。また、加熱処理が施された直後のウェブは嵩高で繊維密度が小さいので、所望の繊維密度のフィルターを得るためには、巻き取り時に加圧して繊維ウェブを押し潰し、繊維密度を調整する必要がある。加圧は従来からよく知られている方法により行うことができる。例えば、金属ロールと中芯の間にウェブを介在させスプリングやウェイトの手段によって中芯を金属ロールに接圧せしめる方法、中芯と巻き取られたウェブの自重を利用して加圧する方法等を挙げることができる。また、中芯および巻き取られたウェブの自重による圧力が大きくなりすぎる場合は、中芯全体を持ち上げて圧力を小さくすることもできる。この場合、てこの原理を利用して、支点から延びた棒の一端と中芯を連結し、もう一端に下向きの荷重を加えることにより、中芯を持ち上げることができる。また油圧等を利用して中芯を支えている支柱を連続的あるいは段階的に持ち上げてもよい。
【0017】
このように巻き取り時にウェブに加える線圧を調節することによって、繊維密度を変化させることができる。例えば、繊維密度を一定にしたい場合は、巻き取り時の線圧が一定になるようにするとよい。また密度勾配を設けたい場合は、巻き取り開始時の線圧を大きくし、段階的あるいは連続的に線圧を減少させていくとよい。巻き取りは所望の径になるまで行う。そして冷却後、中芯を抜き取れば、円筒形のカートリッジフィルターを得ることができる。
【0018】
巻き取り後のフィルターの繊維密度は、0.15〜0.50g/cm3 であることが好ましい。0.15g/cm3 未満ではカートリッジフィルターとしての形状維持が困難で、耐圧性能が乏しくなり、0.50g/cm3 を超えると濾過精度は向上するが濾過ライフが極端に短くなり、両者のバランスが悪くなるからである。また、密度勾配を設ける場合は、最外層の繊維密度が0.15〜0.25g/cm3 、最内層の繊維密度が0.30〜0.50g/cm3 となるようにし、内層から外層に向かって繊維密度が段階的あるいは連続的に減少していることが望ましい。
【0019】
そして最終的に得られるカートリッジフィルターにおいては、繊維に1インチあたり5〜50個の立体捲縮が発現していることが望ましい。5個未満では立体捲縮の特性を発揮するに至らないため、濾過性能の大幅な向上を期待することができず、50個を超えると濾過精度は向上するものの、濾過ライフが短くなるからである。
【0020】
このように本発明のカートリッジフィルターは、潜在捲縮性複合繊維で構成されており、この潜在捲縮性複合繊維に加熱処理が施されて立体捲縮が発現していることを特徴とする。この立体捲縮の発現により、フィルター全体に三次元的な空隙が多数形成されるので、液体中の粒子を保持した後も透液性が劣ることがなく、二次元的な機械捲縮を有する繊維を使用した場合に比べて濾過ライフが向上することとなる。従って、濾過精度を向上させるべく繊度の小さい繊維を使用した場合でも、従来よりも濾過ライフの低下の度合いを小さくすることができ、濾過精度と濾過ライフのバランスの面で従来のフィルター以上の性能を発揮させることが可能となる。
【0021】
また、立体捲縮を発現させたウェブは嵩高でかつ均整な空隙を有するため、巻き取り時の線圧を調節することにより、その繊維密度を容易にコントロールできる。従って、潜在捲縮性複合繊維の使用により、所望の繊維密度あるいは密度勾配を有するフィルターを容易かつ経済的に製造することが可能となる。
【0022】
【実施例】
[実施例1]
融点224℃のポリブチレンテレフタレートを芯成分(A成分)、融点137℃の高密度ポリエチレンを鞘成分(B成分)とし、複合比(容量比)が1:1となるように紡糸温度270℃で溶融紡糸し、図2に示すような繊維断面を有する偏芯型の芯鞘型複合繊維を得た。次いでこの繊維を80℃の熱水中で2.5倍に延伸し、繊維処理剤を付与しながらスタッファボックスで機械捲縮を付与した後、110℃で乾燥し、切断して繊度2.5デニール、繊維長51mm、捲縮数16個/インチのステープル繊維を得た。この繊維は、無荷重下で140℃に加熱したとき12〜15個/インチの立体捲縮を発現する。
【0023】
このステープル繊維を用いて、パラレルカードで連続的に目付20g/m2 のウェブを作成し、140℃の熱風加工機内で約30秒間熱処理を施して、立体捲縮を発現させ、かつ繊維間を接着させた。次いで、加工機出口にて、予め140℃に加熱しておいたテフロン加工処理された直径30mm、長さ350mm、重量1.5kgの中芯(以下の実施例、比較例でも同じものを使用。以下、中芯と略す)に直径が65mmになるまでウェブを巻き付けた。この巻き取りは、ウェブに常時38g/cmの線圧を加圧しながら行った。そして、中芯を抜き取り、円筒状のカートリッジフィルターを得た。得られたカートリッジフィルターの繊維密度は0.25g/cm3 で、繊維には10〜12個/インチの立体捲縮が発現していた。
【0024】
[比較例1]
融点165℃のポリプロピレンを芯成分(A成分)、融点137℃の高密度ポリエチレンを鞘成分(B成分)とし、複合比(容量比)が1:1となるように紡糸温度285℃で溶融紡糸し、図3に示すような同芯円型の芯鞘型複合繊維を得た。次いでこの繊維を95℃の熱水中で3倍に延伸し、繊維処理剤を付与しながらスタッファボックスで機械捲縮を付与した後、110℃で乾燥し、切断して繊度2デニール、繊維長51mm、捲縮数16個/インチのステープル繊維を得た。
【0025】
このステープル繊維を用いて、パラレルカードで連続的に目付25g/m2 のウェブを作成し、140℃の熱風加工機内で約30秒間熱処理を施して、高密度ポリエチレンを溶融させて繊維間を接着した。次いで加工機出口にて、予め140℃に加熱しておいた中芯に、直径が65mmになるまでウェブを巻き付けた。この巻き取りは、ウェブに常時38g/cmの線圧を加圧しながら行った。そして、中芯を抜き取り、円筒状のカートリッジフィルターを得た。得られたカートリッジフィルターの繊維密度は0.27g/cm3 であった。
【0026】
[実施例2〜4]
実施例1で使用した潜在捲縮性複合繊維を用いて、パラレルカードで連続的に目付20g/m2 のウェブを作成し、140℃の熱風加工機内で約30秒間熱処理を施して立体捲縮を発現させ、かつ繊維間を接着させた。次いで、加工機出口にて、予め140℃に加熱しておいた中芯に、表1に示す条件で線圧を変化させながら直径が65mmになるまでウェブを巻き付けた。そして、中芯を抜き取り、円筒状のカートリッジフィルターを得た。得られた各カートリッジフィルターの繊維には10〜12個/インチの立体捲縮が発現していた。それぞれの繊維密度は表1に示す通りである。
【0027】
[実施例5〜6]
実施例1と同じ方法で、繊度4デニール、繊維長51mm、捲縮数16個/インチの芯成分/鞘成分がポリブチレンテレフタレート/高密度ポリエチレンの偏芯型の芯鞘型複合繊維のステープル繊維を製造した。この繊維は、無荷重下で140℃に加熱したとき12〜15個/インチの立体捲縮を発現する。
【0028】
このステープル繊維を用いて、実施例2〜4と同様の方法で、表1に示す条件で線圧を変化させながらウェブを巻き取り、カートリッジフィルターとなした。得られたカートリッジフィルターの繊維には10〜12個/インチの立体捲縮が発現していた。繊維密度は表1に示すとおりである。
【0029】
【表1】
【0030】
[比較例2]
比較例1で使用した繊維を用いて、パラレルカードで連続的に目付25g/m2 のウェブを作成し、140℃の熱風加工機内で約30秒間熱処理を施して、高密度ポリエチレンを溶融させて繊維間を接着した。次いで、加工機出口にて、予め140℃に加熱しておいた中芯に、直径が55mmになるまでウェブを巻き取り内層を形成した。さらに、目付20g/m2 のウェブを、同様の方法で直径が65mmになるまで巻き取り外層を形成した。内層および外層の巻き取りは、共にウェブに常時38g/cmの線圧を加えながら行った。そして中芯を抜き取り、円筒状のカートリッジフィルターを得た。得られたカートリッジフィルターの繊維密度は内層が0.32g/cm3 、外層が0.20g/cm3 であり、全体の繊維密度は0.28g/cm3 であった。
【0031】
[比較例3]
比較例1で使用した繊維を用いて、パラレルカードで連続的に目付25g/m2 のウェブを作成し、140℃の熱風加工機内で約30秒間熱処理を施して、高密度ポリエチレンを溶融させて繊維間を接着した。次いで、加工機出口にて、予め140℃に加熱しておいた中芯に、直径が55mmになるまでウェブを巻き取り内層を形成した。巻き取りは、ウェブに常時38g/cmの線圧を加えながら行った。次にこの内層の外周に、ポリプロピレンと高密度ポリエチレンとが繊維断面において交互に風車状に配列されてなる16分割型複合繊維を用いて作成したパラレルウェブに高圧柱状水流が施されて分割型複合繊維が分割されると同時に繊維間が交絡された不織布を、精密濾過層として2周巻き付けた。さらに、上記芯鞘型複合繊維からなる目付20g/m2 のウェブを、内層を形成したときと同じ方法で直径が65mmになるまで巻き取り外層を形成した。この時も巻き取りは、ウェブに常時38g/cmの線圧を加えながら行った。そして中芯を抜き取り、円筒状のカートリッジフィルターを得た。得られたカートリッジフィルターの繊維密度は、内層が0.32g/cm3 、外層が0.20g/cm3 、全体の繊維密度は0.28g/cm3 であった。
【0032】
[比較例4]
比較例1と同じ方法で、繊度3デニール、繊維長51mm、捲縮数16個/インチの芯成分/鞘成分がポリプロピレン/高密度ポリエチレンの同芯円型の芯鞘型複合繊維のステープル繊維を製造した。
【0033】
このステープル繊維を用いて、実施例2〜6と同様の方法で、線圧を変化させながらウェブを巻き取り、カートリッジフィルターとなした。巻き取り時の線圧の条件と、得られたカートリッジフィルターの繊維密度を表2に示す。
【0034】
【表2】
【0035】
[比較例5]
繊維密度の異なる複数枚のメルトブロー不織布が、内層から順に繊維密度の大きなものが位置するよう樹脂製の中芯に巻き取られて段階的な密度勾配を有する市販のカートリッジフィルター[商品名 プロファイル20μm:ポール社製]を比較例5とする。このフィルターの中芯を除いた濾過層全体の繊維密度は0.19g/cm3 であった。
【0036】
上記実施例1〜6および比較例1〜4のカートリッジフィルターの上下の端面に、加熱した熱板をあてて端面を平滑にした後、それぞれのカートリッジフィルターの濾過性能を評価した。その結果を表3および表4に示す。
【0037】
【表3】
【0038】
【表4】
【0039】
表中、濾過性能の各項目の評価は図4に略示したようなマルチパス方式で、次のようにして行った。
【0040】
[濾過ライフ]
タンク(3)に200リットルの水を入れ、その中に試験用のダスト(JIS−8種)を10g投入し、攪拌機(4)で均一に攪拌しながら原液(初期濃度50ppm )とした。ハウジング(5)には実施例および比較例の各カートリッジフィルター(6)をセットし、カートリッジフィルター(6)の外側から内側に向けて、ポンプ(7)で常時40リットル/分の流量となるように設定して通液循環させる。この間タンク(3)の中に上記試験用ダストを10分毎に10g投入していき、ハウジングへの流入側と流出側の間に配置した差圧計(8)の示す差圧が2.0kg/cm2 に達するまでの総流量を測定した.
【0041】
[初期精度]
通液開始5分後にタンク(1)内の濾液100mlを採取し、濾液中の粒子径別粒子数(N)を粒度分布測定機(商品名 コールターカウンターZM型:コールターエレクトロクニス社製)を用いて測定する。また同様にして原液100ml中の粒子径別粒子数(M)を測定し、式[(M−N)÷M]×100から粒子径別遮断率を算出し、これらの結果から粒子径と粒子別遮断率のグラフを作図し、遮断率90%の粒子径を読み取った。
【0042】
[初期効率]
通液開始5分後に濾液1リットルを採取し、メンブランフィルター(孔径0.45μm)でダストを濾過し、乾燥させた後、試験用ダスト重量(A)を測定し、これと原液(初期濃度50ppm )1リットル中の試験用ダスト重量(B)から、次式より求めた。
初期効率=[(B−A)÷B]×100
【0043】
【発明の効果】
このように本発明のカートリッジフィルターは、潜在捲縮性複合繊維からなり繊維に立体捲縮が発現したものであるから、繊維間には多数の立体的な微細な隙間が確保されており、表3にみられる通り、従来のカートリッジフィルターと初期精度や初期効率が同等であっても濾過ライフが著しく向上したものとなっている。従って、本発明のカートリッジフィルターを使用すれば、その交換周期を大幅に延長することができる。
【0044】
そして、かかるカートリッジフィルターは、潜在捲縮性複合繊維のステープル繊維からなるウェブに熱処理を施し立体捲縮を発現させて嵩高な状態にした後、加圧しながら中芯に巻き取ることによって得られるものであるが、嵩高な状態のウェブは、巻き取り時の線圧によってその繊維密度を容易にコントロールすることができるので、潜在捲縮性複合繊維の使用により、所望の繊維密度もしくは密度勾配を有するフィルターを容易かつ経済的に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に適用できる潜在捲縮性複合繊維の一例の断面図である。
【図2】本発明に適用できる潜在捲縮性複合繊維の一例の断面図である。
【図3】比較例で使用した芯鞘型複合繊維の断面図である。
【図4】マルチパス方式の濾過性能測定装置の概略説明図である。
【符号の説明】
1 A成分
2 B成分
3 タンク
4 攪拌機
5 ハウジング
6 カートリッジフィルター
7 ポンプ
8 差圧計
Claims (4)
- 潜在捲縮性複合繊維からなる繊維ウェブが、加熱処理により繊維間が熱接着され、前記ウェブの層間が接着されて巻き取られ、前記潜在捲縮性複合繊維に立体捲縮が1インチあたり5〜50個発現したカートリッジフィルターであって、かつ繊維密度が0.15〜0.50g/cm3であることを特徴とするカートリッジフィルター。
- 潜在捲縮性複合繊維からなる繊維ウェブが、加熱処理により繊維間が熱接着され、前記ウェブの層間が接着されて巻き取られ、前記潜在捲縮性複合繊維に立体捲縮が1インチあたり5〜50個発現したカートリッジフィルターであって、かつ繊維密度0.15〜0.25g/cm3の最外層と、0.30〜0.50g/cm3の最内層の間で段階的もしくは連続的に密度勾配を有することを特徴とするカートリッジフィルター。
- 潜在捲縮性複合繊維が、高密度ポリエチレンを鞘成分、ポリブチレンテレフタレートを芯成分とし、両成分の重心が一点に重ならないように配置されている偏芯型の芯鞘型複合繊維であって、その単繊維繊度が1〜20デニールであることを特徴とする請求項1または2に記載のカートリッジフィルター。
- 潜在捲縮性複合繊維からなる繊維ウェブを作成し、
前記繊維ウェブに加熱処理を施して前記潜在捲縮性複合繊維に立体捲縮を発現させると同時に繊維間を前記潜在捲縮性複合繊維によって熱接着させ、
このウェブを加熱した中芯に加圧して押しつぶしながらウェブの層間を接着させ連続的に巻き取り、冷却後、中芯を抜き取るカートリッジフィルターの製造方法であって、
巻き取った後に立体捲縮が1インチあたり5〜50個発現していることを特徴とするカートリッジフィルターの製造方法。
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