JPH1119434A - 不織布及びそれを用いたフィルター - Google Patents

不織布及びそれを用いたフィルター

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JPH1119434A
JPH1119434A JP9189310A JP18931097A JPH1119434A JP H1119434 A JPH1119434 A JP H1119434A JP 9189310 A JP9189310 A JP 9189310A JP 18931097 A JP18931097 A JP 18931097A JP H1119434 A JPH1119434 A JP H1119434A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 通水性、濾過精度、濾過ライフ、耐圧強度が
優れ、バランスの良い性能を有するフィルター、及びそ
の原料である不織布を得ること。 【解決手段】 2個/mm〜30個/mmからなる超微
小螺旋捲縮を有し、繊度が1d/f〜3d/fであり、
低融点樹脂と高融点樹脂とからなる、細繊度複合繊維
(A)と、顕在捲縮を有し、繊度が5d/f〜50d/
fである低融点樹脂と高融点樹脂とからなる太繊度複合
繊維(B)が、A/B重量比70/30〜20/80で
混綿された不織繊維集合体で構成された不織布であっ
て、該不織布は、繊維交点が融着接合されていることを
特徴とする不織布。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は不織布に関し、さら
に詳しくは特に、粒子捕捉性に優れ、フィルター用濾材
として好適な不織布、およびその不織布を用いたフィル
ターに関するものである。
【0002】
【背景技術】液体を濾過する、フィルター用濾材として
は、紡績糸、不織布などがある。これらのフィルター用
濾材は樹脂製の支持成形体に巻き取ってフィルターを成
形するか、またはフィルター用濾材を芯棒等に巻き付け
てバインダーもしくは自己接着により繊維交点を接着さ
せた後、芯棒を抜き取りフィルターに成形している。フ
ィルター用濾材として紡績糸を用いた場合、フィルター
が安価に生産できるという利点はあるが、濾過時に繊維
の脱落があり、精密濾過のフィルター用濾材としては適
さない。また、繊維不織布を用いた場合も、繊維交点が
接着していないと、同様に繊維の脱落が発生する。不織
布の繊維交点をバインダーで接着した場合、濾材の脱落
やフィルターの変形はほとんどないが、バインダーによ
り液の流れが阻害され、通液性が悪くなる。また、濾液
へバインダー成分が溶出するため、食品分野や電子工業
分野等では使用できない。
【0003】複合繊維等の自己接着型繊維を不織布とな
しフィルター用濾材として用いた場合、繊維交点が強固
に接着できるため、濾材の脱落やフィルターの変形がな
く、かつ通液性に優れたフィルターが得られ、フィルタ
ー用濾材としては、自己接着性繊維が優れていると言わ
れている。この自己接着性繊維を使用したフィルターの
濾過精度を良くするには、繊維径を小さくするのがよい
が、繊維径が小さくなると濾過ライフが短くなるという
問題がある。市場では、製品の品質向上及び低コスト化
のため、濾過精度が良好でなおかつ濾過ライフが長いフ
ィルターが要望されている。これを解決するため、例え
ば特開平8−206423号公報には、立体捲縮数が1
インチあたり5〜50個の潜在捲縮性複合繊維を使用し
たフィルターが提案されている。しかし、潜在捲縮性複
合繊維のみを使用したフィルターは、濾過ライフは長く
なるものの、フィルターの耐圧強度が低くなり、濾過時
に容易に変形するという問題がある。また、フィルター
加熱成形時にウェッブが幅方向に収縮するため、フィル
ター性能にバラツキを生じるという問題がある。さら
に、立体捲縮数が少ないため、十分な濾過精度の向上が
期待できない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、濾過
精度を向上させ、かつ濾過ライフを長くするフィルター
用濾材として適した不織布を提供しようとするものであ
る。本発明者らは、上記目的を達成するために、鋭意検
討を重ねた結果、超微小螺旋捲縮を有した細繊度複合繊
維と、顕在捲縮を有した太繊度複合繊維を混綿した不織
布が、濾過精度の精密性を向上させ、濾過ライフが長
く、しかも濾材の脱落がなく、かつ耐圧強度の高いフィ
ルター用濾材として適していることを知り、本発明を完
成するに至った。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、前記の課題を
解決するために以下の構成を有する。 (1) 2個/mm〜30個/mmからなる超微小螺旋
捲縮を有し、繊度が1d/f〜3d/fであり、かつ、
低融点樹脂と高融点樹脂とからなる、細繊度複合繊維
(A)と、顕在捲縮を有し、繊度が5d/f〜50d/
fである低融点樹脂と高融点樹脂とからなる太繊度複合
繊維(B)が、A/B重量比70/30〜20/80の
比率で混綿された不織繊維集合体で構成された不織布で
あって、該不織布は、繊維交点が融着接合されているこ
とを特徴とする不織布。
【0006】(2) 細繊度複合繊維(A)を構成する
低融点樹脂が、結晶性ポリプロピレン系共重合体であ
り、高融点樹脂がホモポリプロピレン若しくは該低融点
樹脂より融点の高い結晶性ポリプロピレン系共重合体で
ある(1)項に記載の不織布。 (3) 細繊度複合繊維(A)を構成する低融点樹脂
が、プロピレン 85〜99重量%と、エチレン 1〜
15重量%からなる結晶性ポリプロピレン系共重合体で
ある(1)項に記載の不織布。 (4) 細繊度複合繊維(A)を構成する低融点樹脂
が、プロピレン 50〜99重量%と、ブテン−1 1
〜50重量%からなる結晶性ポリプロピレン系共重合体
である(1)項に記載の不織布。 (5) 細繊度複合繊維(A)を構成する低融点樹脂
が、プロピレン 84〜98重量%、エチレン 1〜1
0重量%及びブテン−1 1〜15重量%からなる結晶
性ポリプロピレン系共重合体である(1)項に記載の不
織布。 (6)(1)〜(5)項のいずれかに記載の不織布を用
いたフィルター。 (7)(1)〜(5)項のいずれかに記載の不織布を用
いた筒状フィルター。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明における不織布は、細繊度複合繊維(A)と太繊
度複合繊維(B)とを混綿したものである。細繊度複合
繊維(A)は、超微小螺旋捲縮を有し、太繊度複合繊維
(B)は、顕在捲縮を有している。ここで超微小螺旋捲
縮とは、不織布化またはフィルター加工における加熱に
より、複合繊維を構成する熱収縮の異なる二種類の熱可
塑性樹脂に収縮差が生じることによって発現する螺旋状
の三次元的捲縮のことをいう。この細繊度複合繊維
(A)の超微小螺旋捲縮数としては、2個/mm〜30
個/mmにすることが好ましい。2個/mm未満では、
フィルターの濾過精度が悪くなり、30個/mmを越え
ると濾過ライフが短くなる。太繊度複合繊維(B)の顕
在捲縮とは、機械捲縮のような二次元的な捲縮のことを
いう。太繊度複合繊維(B)の顕在捲縮数は、不織布に
加工可能であれば特に限定されない。
【0008】細繊度複合繊維(A)と太繊度複合繊維
(B)との混綿比、すなわち重量比A/Bは、70/3
0〜20/80が好ましい。特に60/40〜30/7
0がより好ましい。細繊度複合繊維(A)の混綿率が、
70%を超えるとフィルターを成形するときに不織布の
幅方向の収縮が大きく、またフィルターの耐圧強度が低
下する。一方、細繊度複合繊維(A)の混綿率が、20
%未満では、濾過精度が悪くなる。
【0009】超微小螺旋捲縮を有する細繊度複合繊維
(A)としては、熱収縮率の異なる二種類の熱可塑性樹
脂が並列型または偏心鞘芯型の複合形式をとっているも
のを例示できる。低融点樹脂と高融点樹脂の複合比は、
70/30〜30/70特に60/40〜40/60が
より好ましい。低融点樹脂の複合比が70%を越える
と、超微小螺旋捲縮数が30個/mmを越え、濾過ライ
フが極端に短くなる。また、低融点樹脂の複合比が30
%未満では、捲縮発現性が悪く、超微小螺旋捲縮数が2
個/mm未満となりフィルターの濾過精度が悪くなる。
【0010】細繊度複合繊維(A)の熱可塑性樹脂の組
合せとして、互いに融点の異なるポリエチレンテレフタ
レート、ポリ(エチレンテレフタレートーcoーエチレン
イソフタレート)等のポリエステル、6ーナイロン、
6、6ーナイロン等のポリアミド、若しくはポリプロピ
レン、ポリエチレン、ポリブテンー1等のポリオレフィ
ン等のうちの同種若しくは異種からなる2種のポリマー
を選択することが出来る。これらの内では耐薬品性、紡
糸性、経済性などの面から結晶性ポリプロピレン系樹脂
がより好ましい。ポリプロピレン系樹脂のうちでは結晶
性ポリプロピレン系共重合体/結晶性ホモポリプロピレ
ン、または互いに融点の異なる結晶性ポリプロピレン系
共重合体同士の組み合わせが挙げられるが、前者の方が
より好ましい。
【0011】結晶性ポリプロピレン系共重合体として
は、プロピレンを主としてエチレン、ブテンー1、ペン
テンー1、ヘキセンー1、ヘプテンー1、オクテンー1
若しくは4ーメチルーペンテンー1等のαーオレフィン
の1種以上とのランダム、若しくはブロック共重合体を
挙げることができる。これらの内で前記低融点樹脂とし
て、プロピレン 85〜99重量%と、エチレン 1〜
15重量%のランダム共重合体、プロピレン 50〜9
9重量%と、ブテン−1 1〜50重量%のランダム共
重合体、あるいは、プロピレン 84〜98重量%、エ
チレン 1〜10重量%及びブテン−1 1〜15重量
%のランダム共重合体が捲縮発現性に優れ好ましい。捲
縮発現性が悪いと、超微小螺旋捲縮数が2個/mm未満
となりフィルターの濾過精度が粗くなる。
【0012】高融点樹脂としてはホモポリプロピレン、
若しくは上述したようなポリプロピレン系共重合体を用
いることが出来るが、この場合該共重合体同士を用いる
場合は高融点樹脂側に、より高融点の共重合体を用いる
のは当然である。高融点樹脂と低融点樹脂の融点差は2
0℃以上が好ましい。温度差が20℃未満の場合には不
織布にしたときに熱収縮が大になる場合があり好ましく
ない。細繊度複合繊維(A)の繊度としては、1d/f
から3d/fが好ましい。1d/fより細くなると、フ
ィルターの通液性が悪くなる。一方、3d/fより太く
なると濾過精度が粗くなる。この範囲内の繊度なら複数
の繊度からなる繊維を用いることも可能である。
【0013】顕在捲縮を有した太繊度複合繊維(B)と
しては、二種類の熱可塑性樹脂が並列型、鞘芯型または
偏心鞘芯型等の複合形式をとっているものを例示でき
る。低融点樹脂と高融点樹脂の複合比は、70/30〜
30/70特に60/40〜40/60がより好まし
い。低融点樹脂の複合比が70%を越えると、不織布化
及びフィルター加工時の収縮が大きくなる。また、低融
点樹脂の複合比が30%未満では、繊維交点の接着が弱
く、フィルターの耐圧性が低下する。熱可塑性樹脂の組
合せとしては、前記細繊度複合繊維(A)の場合と同様
のものを使用出来るが、好ましくは高密度ポリエチレン
/ポリプロピレン、直鎖状低密度ポリエチレン/ポリプ
ロピレン、低密度ポリエチレン/ポリプロピレン等を挙
げることができる。太繊度複合繊維(B)の繊度として
は、5d/fから50d/fが好ましい。5d/fより
細くなると、通液性が悪くなる。一方、50d/fより
太くなるとフィルターの耐圧強度が低くなりまた、細繊
度複合繊維(A)との混綿時に繊維の分散性が悪くな
る。
【0014】本発明の不織布を得る方法としては、例え
ば、溶融紡糸により得られた、細繊度複合繊維(A)と
太繊度複合繊維(B)の短繊維を必要な重量比で混綿
し、カーディング法、エアレイド法などを用いて必要な
目付のウェブを作製する。このウェブを、サクションド
ライヤー法、熱風乾燥装置あるいは熱ロール法等の公知
の方法で加熱し、繊維交点を接着すると同時に細繊度複
合繊維(A)に超微小螺旋捲縮を発現させ、不織布を得
ることができる。前記方法で作製した不織布を用いたフ
ィルターの製造方法としては、例えば、不織布をサクシ
ョンドライヤー法、熱風乾燥装置あるいは熱ロール法等
の公知の方法で加熱しながら芯棒に巻き付けフィルター
とする。また、前記方法で作製したウェブをサクション
ドライヤー法、熱風乾燥装置あるいは熱ロール法等の公
知の方法で加熱しながら芯棒に巻き付け、細繊度複合繊
維(A)に超微小螺旋捲縮を発現させると同時に、繊維
交点を接着させ、不織布化と同時にフィルターに成形し
てもよい。
【0015】
【作用】本発明の不織布を用いたフィルターは、細繊度
複合繊維(A)の超微小螺旋捲縮により小粒径の粒子を
捕捉し、濾過精度の精密性を向上させることができ、な
おかつ超微小螺旋捲縮の三次元構造により粒子を捕捉す
る空間が大きくなり濾過ライフを長くする作用がある。
さらに、一方の太繊度複合繊維(B)によりフィルター
の耐圧強度を維持し、不織布化及びフィルター加工時の
収縮を抑えることができ、形態保持性が向上する。本発
明のフィルターは、濾過ライフが長いため、フィルター
の交換頻度が少なくなり、さらに、使用時のフィルター
の変形がないため、安定した濾過が可能となる。
【0016】
【実施例】以下、実施例、比較例により本発明をさらに
詳細に説明するが、本発明はこれらにより限定されるも
のではない。なお、実施例中のフィルター性能評価は、
下記方法に従った。
【0017】[通水性] 30リットルの水槽から毎分
30リットルの流量でフィルターに循環通水する。この
時のフィルター入口と出口の圧力差、すなわち差圧を通
水性とする。 [濾過精度] 30リットルの水槽から毎分30リット
ルの流量でフィルターに循環通水する。水槽にケーキ
(JIS Z8901 試験用ダスト 7種と8種を重
量比1:1で混合したもの)を毎分0.5gずつ投入
し、投入開始1分後に原液中と濾液中のケーキの粒度分
布を粒子測定器で測定する。2μm以上、5μm以上、
10μm以上、20μm以上及び50μm以上の各粒子
についてそれぞれ捕集効率を算出し、濾過精度とする。 捕集効率=(1−(濾液中の所定粒径の個数÷原液中の所
定粒径の個数))×100
【0018】[濾過ライフ] 30リットルの水槽から
毎分30リットルの流量でフィルターに循環通水する。
水槽にケーキ(JIS Z8901 試験用ダスト 7
種と8種を重量比1:1で混合したもの)を毎分0.5
gずつ投入し、フィルターの入口と出口の圧力差、すな
わち差圧が3 kg/cm2になるまでの時間を濾過ライ
フとする。 [耐圧性] 30リットルの水槽からフィルターに循環
通水する。フィルターの入口と出口の圧力差、すなわち
差圧を徐々に上げていき、フィルターに変形が生じたと
きの差圧を耐圧性とする。
【0019】実施例1 プロピレン93重量%とエチレン7重量%のランダム共
重合体樹脂(融点140℃)とポリプロピレンを290
℃で並列型口金を用いて、複合比50/50で紡糸し、
並列型複合繊維を紡糸した。得られた未延伸糸を80℃
で2倍に延伸し、機械捲縮をかけ、所定長に切断して短
繊維とした。この短繊維は、カット長51mm、繊度約
2d/fの細繊度並列型複合繊維(A)であった。高密
度ポリエチレンとポリプロピレンを280℃で並列型口
金を用いて、複合比50/50で紡糸し、並列型複合繊
維を紡糸した。得られた未延伸糸を110℃で4倍に延
伸し、機械捲縮をかけ、所定長に切断して短繊維とし
た。この短繊維は、顕在捲縮数約15個/25mm、カ
ット長51mm、繊度約20d/fの太繊度並列型複合
繊維(B)であった。得られた細繊度並列型複合繊維
(A)と太繊度並列型複合繊維(B)とを混綿比50/
50で混綿した後、カード機にてウェブとし、サクショ
ンバンドドライヤ−を用いて、140℃で加熱して繊維
交点を融着接合させながら金属製の芯棒に巻き取った
後、冷却し芯棒を抜き取り、250mmの長さに切断
し、外径65mm、内径30mm、長さ250mmの中
空円筒状フィルターを得た。フィルター加工後の細繊度
並列型複合繊維(A)の超微小螺旋捲縮数は、20個/
mmであった。フィルターの濾過性能評価結果を表1に
示す。
【0020】実施例2 繊度2d/fの細繊度並列型複合繊維(A)と繊度20
d/fの太繊度並列型複合繊維(B)とを混綿比70/
30で混綿する以外は、実施例1と同様な工程でフィル
ターを得た。フィルターの濾過性能評価結果を表1に示
す。
【0021】実施例3 繊度2d/fの細繊度並列型複合繊維(A)と繊度20
d/fの太繊度並列型複合繊維(B)とを混綿比20/
80で混綿する以外は、実施例1と同様な工程でフィル
ターを得た。フィルターの濾過性能評価結果を表1に示
す。
【0022】実施例4 プロピレン93重量%とエチレン7重量%のランダム共
重合体樹脂(融点140℃)とポリプロピレンからなる
細繊度並列型複合繊維(A)の繊度を1d/fとした以
外は、実施例1と同様な工程でフィルターを得た。フィ
ルターの濾過性能評価結果を表1に示す。
【0023】実施例5 高密度ポリエチレンとポリプロピレンからなる太繊度並
列型複合繊維(B)の繊度を40d/fとした以外は、
実施例1と同様な工程でフィルターを得た。フィルター
の濾過性能評価結果を表1に示す。
【0024】実施例6 繊度3d/fの細繊度並列型複合繊維(A)をプロピレ
ン92重量%、エチレン4重量%及びブテン−1 4重
量%のランダム共重合体樹脂(融点130℃)とポリプ
ロピレンとで作製した以外は、実施例1と同様な工程で
フィルターを得た。フィルターの濾過性能評価結果を表
1に示す。
【0025】実施例7 繊度2d/fの細繊度並列型複合繊維(A)が、高密度
ポリエチレンとポリプロピレンを300℃で並列型口金
を用いて、複合比を50/50で紡糸した以外は、実施
例1と同様の工程で加工しフィルターを得た。フィルタ
ー加工後の細繊度並列型複合繊維(A)の超微小螺旋捲
縮数は、2個/mmであった。フィルターの濾過性能評
価結果を表1に示す。
【0026】実施例8 繊度2d/fの細繊度並列型複合繊維(A)が、プロピ
レン93重量%とエチレン7重量%のランダム共重合体
樹脂(融点140℃)とポリプロピレンを290℃で並
列型口金を用いて、複合比を35/65で紡糸した以外
は、実施例1と同様の工程で加工しフィルターを得た。
フィルター加工後の細繊度並列型複合繊維(A)の超微
小螺旋捲縮数は、8個/mmであった。フィルターの濾
過性能評価結果を表1に示す。
【0027】実施例9 繊度2d/fの細繊度並列型複合繊維(A)が、プロピ
レン93重量%とエチレン7重量%のランダム共重合体
樹脂(融点140℃)とポリプロピレンを290℃で並
列型口金を用いて、複合比を40/60で紡糸した以外
は、実施例1と同様の工程で加工しフィルターを得た。
フィルター加工後の細繊度並列型複合繊維(A)の超微
小螺旋捲縮数は、15個/mmであった。フィルターの
濾過性能評価結果を表1に示す。
【0028】実施例10 繊度2d/fの細繊度並列型複合繊維(A)が、プロピ
レン93重量%とエチレン7重量%のランダム共重合体
樹脂(融点140℃)とポリプロピレンを290℃で並
列型口金を用いて、複合比を60/40で紡糸した以外
は、実施例1と同様の工程で加工しフィルターを得た。
フィルター加工後の細繊度並列型複合繊維(A)の超微
小螺旋捲縮数は、26個/mmであった。フィルターの
濾過性能評価結果を表1に示す。
【0029】実施例11 繊度2d/fの細繊度並列型複合繊維(A)が、プロピ
レン93重量%とエチレン7重量%のランダム共重合体
樹脂(融点140℃)とポリプロピレンを290℃で並
列型口金を用いて、複合比を70/30で紡糸した以外
は、実施例1と同様の工程で加工しフィルターを得た。
フィルター加工後の細繊度並列型複合繊維(A)の超微
小螺旋捲縮数は、30個/mmであった。フィルターの
濾過性能評価結果を表1に示す。
【0030】実施例12 繊度2d/fの細繊度複合繊維(A)が、プロピレン9
3重量%とエチレン7重量%のランダム共重合体樹脂
(融点140℃)を鞘成分、ポリプロピレンを芯成分と
し290℃で偏心鞘芯口金を用いて、複合比を50/5
0で紡糸した以外は、実施例1と同様の工程で加工しフ
ィルターを得た。フィルター加工後の細繊度偏心鞘芯型
複合繊維(A)の超微小螺旋捲縮数は、5個/mmであ
った。フィルターの濾過性能評価結果を表1に示す。
【0031】比較例1 繊度2d/fの細繊度並列型複合繊維(A)が、プロピ
レン93重量%とエチレン7重量%のランダム共重合体
樹脂(融点140℃)とポリプロピレンを290℃で並
列型口金を用いて、複合比を80/20で紡糸し、80
℃で2倍に延伸した以外は、実施例1と同様の工程で加
工しフィルターを得た。フィルター加工後の細繊度並列
型複合繊維(A)の超微小螺旋捲縮数は、35個/mm
であった。フィルターの濾過性能評価結果を表1に示
す。
【0032】比較例2 繊度2d/fの細繊度並列型複合繊維(A)が、プロピ
レン93重量%とエチレン7重量%のランダム共重合体
樹脂(融点140℃)とポリプロピレンを290℃で並
列型口金を用いて、複合比を80/20で紡糸し、10
0℃で2倍に延伸した以外は、実施例1と同様の工程で
加工しフィルターを得た。フィルター加工後の細繊度並
列型複合繊維(A)の超微小螺旋捲縮数は、40個/m
mであった。フィルターの濾過性能評価結果を表1に示
す。
【0033】比較例3 高密度ポリエチレンとポリプロピレンからなる繊度18
d/fの太繊度並列型複合繊維(B)を100%で使用
した以外は、実施例1と同様の工程で加工しフィルター
を得た。フィルターの濾過性能評価結果を表1に示す。
【0034】比較例4 高密度ポリエチレンを鞘成分、ポリブチレンテレフタレ
ートを芯成分とした繊度2d/fの細繊度偏心芯鞘芯型
複合繊維(A)を100%で使用してカード機にてウェ
ブとした。このウェブをサクションバンドドライヤ−を
用いて、140℃で加熱しながら金属製の芯棒に巻き取
ろうとしたが、ウェブの幅方向の収縮が大きくフィルタ
ー外径及び重量のバラツキが大きく安定したフィルター
の成形ができなかった。加熱後の細繊度偏芯鞘芯型複合
繊維(A)には1個/mmの螺旋状捲縮が発現してい
た。フィルターの濾過性能評価結果を表1に示す。
【0035】比較例5 プロピレン93重量%とエチレン7重量%のランダム共
重合体樹脂(融点140℃)とポリプロピレンからなる
繊度2d/fの細繊度並列型複合繊維(A)を100%
で使用しカード機にてウェブとした。このウェブをサク
ションバンドドライヤ−を用いて、140℃で加熱しな
がら金属製の芯棒に巻き取ろうとしたが、比較例3と同
様にウェブの幅方向の収縮が大きくフィルター外径及び
重量のバラツキが大きく安定したフィルターの成形がで
きなかった。フィルターの濾過性能評価結果を表1に示
す。
【0036】比較例6 プロピレン93重量%とエチレン7重量%のランダム共
重合体樹脂(融点140℃)とポリプロピレンからなる
細繊度並列型複合繊維(A)の繊度を5d/fとした以
外は、実施例1と同様な工程でフィルターを得た。フィ
ルターの濾過性能評価結果を表1に示す。
【0037】比較例7 高密度ポリエチレンとポリプロピレンからなる太繊度並
列型複合繊維(B)の繊度を2d/fとした以外は、実
施例1と同様な工程でフィルターを得た。フィルターの
濾過性能評価結果を表1に示す。
【0038】比較例8 高密度ポリエチレンとポリプロピレンからなる太繊度並
列型複合繊維(B)の繊度を60d/fとした以外は、
実施例1と同様な工程でフィルターを得た。フィルター
の濾過性能評価結果を表1に示す。
【0039】比較例9 繊度2d/fの細繊度並列型複合繊維(A)と繊度20
d/fの太繊度並列型複合繊維(B)との混綿比10/
90で混綿する以外は、実施例1と同様な工程でフィル
ターを得た。フィルターの濾過性能評価結果を表1に示
す。
【表1】 表1からも明らかなように、本発明の実施例1〜12の
超微小螺旋捲縮を有した細繊度複合繊維(A)と、顕在
捲縮を有した太繊度複合繊維(B)を混綿したフィルタ
ーは、濾過精度が細かく、濾過ライフが長く、通水性に
優れ、耐圧強度が高く、フィルター性能のバランスが良
好であることがわかる。しかし、比較例−1〜9のフィ
ルターは、超微小螺旋捲縮を有した細繊度複合繊維
(A)の繊度、超微小螺旋捲縮数または、顕在捲縮を有
した太繊度複合繊維(B)の繊度または、混綿比が、適
切でないためフィルター性能のバランスが悪い。
【0040】
【発明の効果】
(1)超微小螺旋捲縮を有した細繊度複合繊維(A)
と、顕在捲縮を有した太繊度複合繊維(B)を混綿した
本発明の不織布を用いたフィルターは、通水性、濾過精
度、濾過ライフ、耐圧性の全てが優れ、フィルター性能
のバランスが良いものである。このため、従来のフィル
ターに比べフィルターの交換頻度が減り、経済的な濾過
ができる。 (2)細繊度複合繊維(A)に、結晶性ポリプロピレン
系共重合体/ホモポリプロピレンの組み合わせを用いる
と著しく捲縮発現性に優れ、超微小螺旋捲縮が得られ
る。このような細繊度複合繊維(A)を太繊度複合繊維
(B)と混綿した不織布を用いたフィルターは、特に粒
子捕捉性に優れ、濾過精度が一層向上する。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 2個/mm〜30個/mmからなる超微
    小螺旋捲縮を有し、繊度が1d/f〜3d/fであり、
    かつ、低融点樹脂と高融点樹脂とからなる、細繊度複合
    繊維(A)と、顕在捲縮を有し、繊度が5d/f〜50
    d/fである低融点樹脂と高融点樹脂とからなる太繊度
    複合繊維(B)が、A/B重量比70/30〜20/8
    0の比率で混綿された不織繊維集合体で構成された不織
    布であって、該不織布は、繊維交点が融着接合されてい
    ることを特徴とする不織布。
  2. 【請求項2】 細繊度複合繊維(A)を構成する低融点
    樹脂が結晶性ポリプロピレン系共重合体であり、高融点
    樹脂がホモポリプロピレン若しくは該低融点樹脂より融
    点の高い結晶性ポリプロピレン系共重合体である請求項
    (1)に記載の不織布。
  3. 【請求項3】 細繊度複合繊維(A)を構成する低融点
    樹脂が、プロピレン85〜99重量%と、エチレン 1
    〜15重量%からなる結晶性ポリプロピレン系共重合体
    である請求項(1)に記載の不織布。
  4. 【請求項4】 細繊度複合繊維(A)を構成する低融点
    樹脂が、プロピレン50〜99重量%と、ブテン−1
    1〜50重量%からなる結晶性ポリプロピレン系共重合
    体である請求項(1)に記載の不織布。
  5. 【請求項5】 細繊度複合繊維(A)を構成する低融点
    樹脂が、プロピレン84〜98重量%、エチレン 1〜
    10重量%及びブテン−1 1〜15重量%からなる結
    晶性ポリプロピレン系共重合体である請求項(1)に記
    載の不織布。
  6. 【請求項6】 請求項(1)〜(5)のいずれかに記載
    の不織布を用いたフィルター。
  7. 【請求項7】 請求項(1)〜(5)のいずれかに記載
    の不織布を用いた筒状フィルター。
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