JPH11293555A - 通気性に優れた不織布およびその製造方法ならびにその不織布からなるフィルター材 - Google Patents

通気性に優れた不織布およびその製造方法ならびにその不織布からなるフィルター材

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JPH11293555A
JPH11293555A JP10121848A JP12184898A JPH11293555A JP H11293555 A JPH11293555 A JP H11293555A JP 10121848 A JP10121848 A JP 10121848A JP 12184898 A JP12184898 A JP 12184898A JP H11293555 A JPH11293555 A JP H11293555A
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melting
low
melting point
nonwoven fabric
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JP10121848A
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Tomoko Watanabe
智子 渡辺
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Unitika Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 剛性、引張強度、プリーツ加工性に優れ、か
つ通気性の良好な不織布を提供する。 【解決手段】 高融点重合体と、高融点重合体に対して
非相溶性で、高融点重合体の融点より15〜180℃低
い融点を有する低融点重合体とからなる複合型長繊維で
構成され、低融点重合体の軟化または溶融により複合型
長繊維相互間を熱圧着してなる熱圧着区域と、低融点重
合体が流動して複合型長繊維の交点に凝集した凝集部を
有する区域とからなる不織布で、通気度が80cc/c
2 /sec以上であることを特徴とする通気性に優れ
た不織布。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、通気性、剛性、機
械的特性に優れた不織布に関するものである。
【0002】
【従来の技術】フィルター材としての要求性能として
は、捕集効率が高く、圧力損失が可能な限り小さいこと
が挙げられる。一般にフィルター材として使用される不
織布は、被濾過空気との接触面積を大きくし、捕集効率
を向上させるためにプリーツ加工が行われている。良好
にプリーツ加工を行うためには、剛性等の機械的強度や
プリーツ加工時の寸法安定性が必要である。その方法と
して、不織布の目付を高くする、構成繊維の繊径を大き
くする等がなされている。
【0003】しかし、目付を高くすれば、捕集効率は向
上するが圧力損失が増し、また構成繊維の繊径を大きく
すれば、圧力損失は小さくなるが微塵の捕集効率は落ち
るという問題がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、かかる問題
を解決し、剛性、引張強度、プリーツ加工性に優れ、か
つ通気性の良好な不織布を提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、高融点重合体
と、該高融点重合体に対して非相溶性で、かつ該高融点
重合体の融点より15〜180℃低い融点を有する低融
点重合体とからなり、少なくとも低融点重合体が繊維表
面に露出してなる複合型長繊維で構成され、該低融点重
合体の軟化または溶融により複合型長繊維相互間が熱圧
着された熱圧着区域と、該低融点重合体が流動して該複
合型長繊維の交点に凝集した凝集部を有する非熱圧着区
域からなる不織布であり、通気度が80cc/cm2
sec以上であることを特徴とする通気性に優れた不織
布を要旨とするものである。
【0006】また、本発明は、高融点重合体と、該高融
点重合体に対して非相溶性で、かつ該高融点重合体の融
点より15〜180℃低い融点を有する低融点重合体と
からなり、少なくとも低融点重合体が繊維表面に露出し
てなる複合型長繊維で構成された不織ウェブを部分的に
熱圧着した後、線圧をかけない状態で熱処理し、非熱圧
着区域の低融点重合体を流動させて該複合型長繊維の交
点に凝集させ凝集部を形成させることを特徴とする通気
性に優れた不織布の製造方法を要旨とするものである。
【0007】
【発明の実施の形態】次に、本発明を詳細に説明する。
複合型長繊維は、高融点重合体と、該高融点重合体に対
して非相溶性で、かつ該高融点重合体の融点より15〜
180℃低い融点を有する低融点重合体とからなり、少
なくとも低融点重合体が繊維表面に露出しているもので
ある。
【0008】低融点重合体は、部分的に熱圧着する際、
また線圧をかけない状態で熱処理する際に溶融または軟
化によって複合型長繊維相互間を融着させるものであ
り、低融点重合体は、少なくともその一部が複合型長繊
維の表面に露出していなければならない。低融点重合体
が繊維表面に露出していないと、部分的に熱圧着を施す
際、複合型長繊維同士を十分に融着結合させることがで
きず、また、線圧をかけない状態で熱処理する際、低融
点重合体は流動しない。
【0009】低融点重合体は、高融点重合体の融点より
15〜180℃低い融点を有する。
【0010】両者の融点差が15℃未満であると、部分
的に熱圧着する際、また線圧をかけない状態で熱処理す
る際に、高融点重合体までもが軟化または溶融により劣
化しやすく、複合型長繊維の繊維構造が崩壊して熱圧着
区域に繊維形態を有するものが存在せずその区域の重合
体すべてが溶融または軟化してフィルム状となり、形成
される熱圧着区域は破断しやすくなり、高強力の不織布
を得ることが困難となる。一方、180℃を超えると、
溶融紡糸の際、低融点重合体がその融点よりも極めて高
い温度に加熱されるため、低融点重合体が熱分解や熱劣
化を起こしやすくなるため好ましくない。
【0011】低融点重合体と高融点重合体とは、互いに
非相溶性の重合体でなければならない。低融点重合体と
高融点重合体とが互いに非相溶性で親和性の低いものと
することで、複合型長繊維を線圧をかけない状態で熱処
理をした際、非熱圧着区域において低融点重合体を軟化
または溶融により流動させ、繊維交点に凝集させること
ができる。これが、互いに相溶性を有する重合体同士で
あると、複合型長繊維を線圧をかけない状態で熱処理を
した際、低融点重合体と高融点重合体との境界面に親和
性があるため溶融した低融点重合体が軟化または溶融に
よる流動が起こりにくく、繊維交点へ凝集させることが
できない。
【0012】互いに非相溶性の重合体の組み合わせとし
ては、ポリエステル系重合体/ポリアミド系重合体、ポ
リエステル系重合体/ポリオレフィン系重合体、ポリア
ミド系重合体/ポリオレフィン系重合体等を採用するこ
とができる。ポリエステル系重合体としては、ポリエチ
レンテレフタレートやポリブチレンテレフタレートある
いはこれらを主成分とする共重合ポリエステル等を採用
することができる。ポリアミド系重合体としては、ナイ
ロン6、ナイロン46、ナイロン66、ナイロン610
あるいはこれらを主成分とする共重合ナイロン等を使用
することができる。ポリオレフィン系重合体としては、
ポリプロピレン、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチ
レン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン
あるいはエチレン−プロピレン共重合体等を採用するこ
とができる。
【0013】また、所望に応じて潤滑剤、顔料、艶消し
剤、熱安定剤、耐光剤、紫外線吸収剤、制電剤、導電
剤、蓄熱剤、抗菌剤等が添加されていてもよい。
【0014】複合型長繊維における低融点重合体および
高融点重合体の複合形態としては、例えば、図1に示す
芯鞘型(同芯、偏芯を含む。)、図2に示す並列型、図
3に示す多葉型等が挙げられるが、上記した要件を満足
するものであれば、どのような形態であっても差し支え
ない。また、複合断面形態において、低融点重合体が繊
維表面に占める割合(占有率)が高い方が、熱による影
響を受けて溶融流動しやすいため、占有率は50%以上
とすることが好ましい。断面形状においては、円形に限
らず、楕円形、四角形、三角形、多角形、井形等の異形
断面であっても、非対称形のものであってもよい。
【0015】低融点重合体と高融点重合体を複合する際
の複合比も任意に決定すればよいが、低融点重合体/高
融点重合体=80〜20/20〜80(重量比)の範囲
とするのが好ましい。低融点重合体の割合が20重量%
未満となると、熱圧着による複合型長繊維相互間の結合
力が低下し、得られる不織布の機械的強力が低下する。
また、低融点重合体の溶融流動による繊維交点の凝集部
での厚みが小さくなり、不織布の嵩高性、剛性が低下す
るものとなる。一方、低融点重合体の割合が80重量%
を超えると、熱圧着区域内での複合型長繊維相互間の融
着が激しくなってフィルム状になったり、極端な場合に
は孔が開いたりして引張強力が低下する傾向が生じる。
【0016】複合型長繊維の単糸繊度は、特に限定され
ず適宜選択すればよいが、1〜15デニールであるのが
好ましく、2〜10デニールであるのがより好ましい。
複合型長繊維の単糸繊度が1デニール未満であると、複
合型長繊維が細すぎて製造しにくく生産性が低下する。
また、単糸繊度が15デニールを超えると、低目付の不
織布を得たい場合に、地合いの良好な不織布となりにく
い傾向となる。
【0017】不織布は、複合型長繊維の低融点重合体の
みが軟化または溶融して複合型長繊維相互間が熱圧着さ
れた熱圧着区域を有する。不織布の全面積に対する全熱
圧着区域の比率は2〜50%程度とするとよい。2%未
満であると、不織布の機械的強力が乏しい傾向となり、
50%を超えると、非熱圧着区域の領域が少なくなって
本発明の目的とする嵩高で通気性の高い不織布が得られ
にくい。この熱圧着区域は、間隔をおいて設けられてい
ればよく、不織ウェブ中に散点状、格子状、線状等の任
意の形態でよく、散点状とすることが好ましい。熱圧着
区域が散点状の場合、圧着点の面積は0.1〜1m
2 、区域内の圧着点密度は4〜100点/cm2 程度
とするのがよい。
【0018】不織布の非熱圧着区域は、低融点重合体が
軟化または溶融により流動して複合型長繊維の交点に凝
集した凝集部を有している。凝集部とは、非熱圧着区域
区域における低融点重合体が流動して繊維交点に集まり
固められた塊状のものである。この凝集部は、繊維交点
を強固に固めているので、繊維は凝集部により固着され
て自由度を失い、不織布の変形に対する抵抗が強くなり
不織布の剛性が向上する。また、単に繊維が集積してな
る不織布と比較して厚みが厚くなる。凝集部以外では、
低融点重合体が流出したことによって、複合型長繊維は
流動しない高融点重合体のみからなる長繊維となり単糸
繊度が小さく、空隙率、通気性が高い。
【0019】なお、非熱圧着区域において、一部の低融
点重合体が繊維交点へ凝集せずに交点以外の繊維表面等
に残存しているものも本発明の範囲内とすることはいう
までもない。
【0020】図4は、本発明における不織布の一例を示
した電子顕微鏡写真(倍率50倍)であり、図5は、本
発明における不織布の非熱圧着区域の一例を示した電子
顕微鏡写真(倍率500倍)である。熱圧着区域では、
低融点重合体の軟化または溶融により複合型長繊維相互
間が熱圧着されており、非熱圧着区域では、該低融点重
合体が流動して該複合型長繊維の交点に凝集した凝集部
を有している。
【0021】本発明の不織布の通気度は、80cc/c
2 /sec以上とする。通気度が、80cc/cm2
/sec未満であると、初期の圧力損失が大きくなり、
フィルター性能が不十分となるため、本発明が目的とす
るものではない。
【0022】本発明の不織布のJIS L 1096
(E)記載のハンドルオメーター法による剛軟度は70
g以上であることが好ましい。70g未満であると、本
発明の目的とする剛性が十分でなく、プリーツ加工性が
良好でないため好ましくない。
【0023】なお、本発明における不織布の剛軟度は、
次のようにして測定する。すなわち、不織布から試料長
15cm、試料幅15cmの試料片3点を作成し、DA
IEI KEIKI社製 フウアイメーター FM−2
型 No.82−004を用い、スリット幅30mmの
条件下で各試料片毎に不織布の表裏面につきそれぞれ機
械方向(以下、MDと略記する。)と機械方向に対して
直交する方向(以下、CDと略記する。)について測定
した値を合計した値の平均値を剛軟度(g)とした。
【0024】本発明の不織布の目付は、特に限定されず
適宜選択すればよいが、一般的には10〜250g/m
2 程度とする。特に本発明の不織布をフィルター材とし
て使用する場合には、40〜150g/m2 の範囲より
用途に応じて選択すればよい。
【0025】次に本発明の不織布の製造方法について説
明する。高融点重合体と、該高融点重合体に対して非相
溶性で、かつ該高融点重合体の融点より15〜180℃
以上低い融点を有する低融点重合体とを準備する。そし
て、高融点重合体と低融点重合体を複合紡糸口金を備え
た溶融紡糸装置に導入し、従来公知の複合溶融紡糸法に
よって複合型長繊維を得る。溶融紡出した複合型長繊維
は、その後冷却され、エアーサッカ等の牽引手段で牽
引、引き取られる。
【0026】エアーサッカは、エアージェットともい
い、空気の吸引と送出し作用により繊維の搬送と繊維の
延伸を行わせるものである。エアーサッカで牽引された
複合型長繊維群は、延伸されながらエアーサッカの出口
に搬送される。なお、当然ながら、エアーサッカでの牽
引、引取りに代わりロールを用いることもでき、この場
合ロールでの牽引に連続してエアーサッカで引き取る方
法が好ましい。
【0027】引き取られた複合型長繊維は、エアーサッ
カの出口に設けられた開繊装置によって開繊される。開
繊方法としては、従来公知の方法が採用され、例えば、
コロナ放電法や摩擦帯電法等が採用される。この開繊さ
れた複合型長繊維は、移動する金網製等の捕集コンベア
上に集積させ不織ウェブを形成する。
【0028】次いで、不織ウェブの所定の区域に厚み方
向にわたって熱と圧力を与え熱圧着区域を形成する。そ
の区域では、複合型長繊維の低融点重合体のみを軟化ま
たは溶融させて複合型長繊維相互間を熱圧着させる。熱
圧着区域において、熱は厚み方向にわたってほぼ同程度
の温度になるように与えるのがよい。熱が厚み方向にわ
たって与えられず、不織ウェブの表層面のみに与えられ
て不織ウェブの中間層における低融点重合体が十分に軟
化または溶融しない状態では、複合型長繊維相互間が十
分に融着されず、機械的強力の乏しい不織布となる傾向
にある。
【0029】部分的に熱圧着する方法としては、例え
ば、エンボスロール(表面に所定の彫刻がなされた凹凸
ロール)と平滑ロールとよりなるエンボス装置、あるい
は一対のエンボスロールよりなるエンボス装置を使用し
て、エンボスロールを加熱して不織ウェブにその凸部を
押圧すればよい。この凸部は、エンボスロール面に散点
状、直線状、曲線状、格子状等に配設されてなるもので
ある。
【0030】なお、このエンボスロールの1個1個の凸
部の先端面形状は、必ずしも円形である必要はなく、楕
円形、菱形、三角形、T形、井形、直線状、曲線状、格
子状等任意のものを用いる。
【0031】部分的に熱圧着する際の処理温度(エンボ
スロール温度)は、少なくとも低融点重合体が軟化また
は溶融しかつ低融点重合体の融点以下の温度とする。好
ましくは融点より5〜30℃低い温度である。低融点重
合体の融点より高い温度に設定すると、エンボスロール
装置に不織ウェブが固着し、著しく操業性を悪化させる
こととなる。また不織ウェブに押圧された凸部以外の区
域においても低融点重合体が溶融して融着区域と化し、
非熱圧着区域の面積が少なくなり、後の線圧をかけない
状態での熱処理時に低融点重合体が溶融流動しにくくな
る。なお、設定温度を低融点重合体の融点に近い温度と
すると、融着が強固となり、不織布の寸法安定性、機械
的強力が向上する。
【0032】また、部分熱圧着区域の形成手段として上
記したエンボスロールからなる超音波溶着装置を用いて
もよい。超音波溶着装置は、不織ウェブの所定の区域に
超音波を照射することによって、その区域における複合
型長繊維相互間の摩擦熱で低融点重合体を溶融させるも
のである。
【0033】所定の区域において複合型長繊維相互間が
熱圧着した熱圧着区域を部分的に設けた後、線圧をかけ
ない状態で熱処理し、非熱圧着区域の低融点重合体を軟
化または溶融により流動させて該複合型長繊維の交点に
凝集させ凝集部を形成させる。線圧をかけない状態で熱
処理することにより、非熱圧着区域において、低融点重
合体のみが軟化または溶融して流動し、低融点重合体と
高融点重合体とが互いに非相溶のため流動した低融点重
合体は繊維交点に凝集する。繊維交点で凝集した部分
(凝集部)は、塊状となるため不織布の厚みが増し、嵩
高となる。また、繊維交点における凝集部により固定支
持され、不織布に剛性が付与される。同時に、複合型長
繊維から低融点重合体が流出するため、溶融流出しない
高融点重合体からなる長繊維となり単糸繊度は小さくな
って、空隙率が増大し、通気性が高くなる。なお、低融
点重合体を溶融流動させる際に、熱圧着区域以外の区域
において、一部の低融点重合体が繊維交点へ凝集せずに
交点以外の繊維表面等に残存しているものも本発明の範
囲内とすることはいうまでもない。
【0034】低融点重合体を流動させるための熱処理温
度としては、低融点重合体の融点〜(融点−10)℃ま
での温度範囲とするとよい。この温度範囲より低いと、
低融点重合体が十分に流動せず、繊維交点の凝集部が得
られず、目的とする通気性が得られず、剛性も不足する
傾向となる。一方、この温度範囲より高いと低融点重合
体が流動しすぎて工程上のコンベアーネット等に接着
し、操業性が悪化しやすい。滞留時間としては、熱処理
温度との兼ね合いによって、低融点重合体が溶融流動
し、操業性よく製造できる時間を適宜設定すればよい。
この熱処理の際に、部分的に熱圧着を施した不織布を担
持する支持体は、コンベアーネット、ピンテンター等を
適宜選択するとよい。
【0035】
【実施例】次に、実施例に基づき本発明を具体的に説明
する。なお、実施例における各特性の測定は次の方法に
より行った。 (1)重合体の融点(℃) パーキンエルマー社製の示差走査型熱量計DSC−7型
を用いて、昇温速度20℃/分で測定した融解吸熱ピー
クの最大値を与える温度を融点(℃)とした。
【0036】(2)ポリエステルの極限粘度 フェノールとテトラクロロエタンとの等重量混合溶液を
溶媒とし、常法により求めた。
【0037】(3)目付(g/m2) 標準状態(温度20℃、相対湿度65%)にある不織布
から試料長10cm、試料幅5cmの試料片を10点作
成し、平衡水分に到達せしめた後、各試料片の重量
(g)を秤量し、得られた値の平均値を単位面積(m2)
当たりに換算して不織布の目付(g/m2)とした。
【0038】(4)引張強力(kg/5cm幅) JIS L 1096に記載のストリップ法に準じて測
定した。すなわち、不織布から試料長20cm、試料幅
5cmの試料片10点を作成し、各試料片毎に不織布の
機械方向(以下、MDと略称する。)と横方向(以下、
CDと略称する。)について、東洋ボールドウィン社製
定速伸長型引張試験機テンシロンRTM−500型を用
い、把持間隔10cm、引張速度20cm/分の条件下
で伸長して最大荷重を測定し、得られた最大荷重値(k
g/5cm幅)の平均値を不織布の引張強力(kg/5
cm幅)とした。
【0039】(5)不織布の引張伸度(%) 不織布の引張強力測定と同様にして各試料片を伸長して
最大荷重時の伸度(%)を求め、得られた伸度の平均値
を不織布の引張伸度(%)とした。
【0040】(6)通気度(cc/cm2 /sec) JIS L 1096に記載のフラジール法により測定
した。
【0041】(7)嵩密度(g/cc) 嵩密度(g/cc)=目付(g/m2 )/〔厚み(m
m)×1000〕 試料幅10cm、試料長10cmの試料片を5個作成
し、100g/cm2 の荷重の印加による個々の不織布
の厚みを測定して平均値を厚みとし、上式により得られ
る値を不織布の嵩密度(g/cc)とした。
【0042】(8)プリーツ加工性 山高3cm、ピッチ5mmの折り目となるように不織布
を折り込み,両端を固定して24時間放置した。次に、
プリーツ加工性を下記の基準で評価した。 ○ : 折り目の山部が鋭角をなし、隣接する山腹同士
の接触もなく、ジグザグ状のプリーツ形状を保持してい
る。 × : 折り目の山部が丸くなり、隣接する山腹同士の
接触が見られ、アーチ状の断面を呈している。
【0043】実施例1 高融点重合体としてポリエチレンテレフタレート(融点
256℃、極限粘度0.70)、低融点重合体として高
密度ポリエチレン〔融点132℃、メルトインデックス
〔ASTM D1238(E)に記載の方法に準拠して
測定〕20g/10分〕を準備し、両重合体を用いて複
合溶融紡糸した。溶融紡糸に際しては、芯鞘型複合形態
の長繊維が得られるような紡糸口金を備えた複合紡糸装
置を使用し、紡糸温度285℃、単孔吐出量1.30g
/分、高融点重合体/低融点重合体の複合比1.2/1
(重量比)とした。溶融温度は、高融点重合体を285
℃、低融点重合体を230℃とした。
【0044】次いで、紡糸口金下150cmの位置に配
設したエアーサッカを介して複合型長繊維を牽引し、速
度3500m/分で引き取った。このようにして得られ
た複合型長繊維の単糸繊度は3.3デニールであった。
牽引した複合型長繊維群をコロナ放電により開繊し、移
動するコンベアーネット上に堆積して不織ウェブを得
た。
【0045】不織ウェブを温度122℃に加熱されたエ
ンボスロールと温度122℃に加熱された平滑ロールと
の間に導入し、部分的に熱圧着し、エンボスロールの凸
部に当接する区域のポリエチレンを軟化させ複合長繊維
相互間を融着させ、圧着点の面積0.4mm2 、区域内
の圧着点密度64点/cm2 、全熱圧着区域率26%の
熱圧着区域を散点状に設けた。
【0046】得られた部分的に熱圧着した不織布、すな
わち、熱圧着区域においては複合型長繊維相互間が結合
されており、熱圧着区域外の区域においては複合型長繊
維が単に集積されただけの不織布に、加工速度30m/
分、雰囲気温度126℃の条件下で線圧をかけずに熱処
理を施し、目付70g/m2 の本発明の不織布を得た。
【0047】実施例2 低融点重合体としてポリプロピレン〔融点160℃、メ
ルトフローレート値〔ASTM D1238(L)に記
載の方法に準拠して測定〕が50g/10分〕を用い、
部分的に熱圧着する際のエンボスロールおよび平滑ロー
ルの温度を145℃、次いで線圧をかけない熱処理の雰
囲気温度を151℃とした以外は、実施例1と同様にし
て本発明の不織布を得た。
【0048】実施例3 複合形態を図2に示す如く並列型とし、複合比を高融点
重合体/低融点重合体=1.5/1(重量比)とした以
外は、実施例1と同様にして本発明の不織布を得た。
【0049】実施例4 複合形態を図3に示す如く複合多葉型(高融点重合体を
芯部、低融点重合体を葉部)とし、複合比を高融点重合
体/低融点重合体=1/1(重量比)とした以外は、実
施例1と同様にして本発明の不織布を得た。
【0050】比較例1 線圧をかけない熱処理の雰囲気温度を120℃とした以
外は、実施例1と同様に比較例1の不織布を得た。
【0051】比較例2 実施例において、線圧をかけない熱処理の雰囲気温度を
135℃としたところ、不織布がコンベアーネットに接
着し、操業性が悪く、目的とする不織布が得られなかっ
た。
【0052】比較例3 高融点重合体としてポリプロピレン(融点160℃、メ
ルトフローレート値50g/10分)を用い、溶融紡糸
の際の溶融温度を高融点重合体、低融点重合体ともに2
30℃、紡糸温度を230℃とした以外は、実施例1と
同様にして比較例3の不織布を得た。
【0053】得られた実施例1〜4、比較例1、3の不
織布の物性を測定し、表1に示した。
【0054】
【表1】 実施例1〜4の不織布は、熱圧着区域以外の区域におい
て、低融点重合体が繊維交点に凝集した凝集部が見ら
れ、引張強力、剛性、通気性に優れた不織布であり、プ
リーツ加工性も良好であった。
【0055】これに対し、線圧をかけない熱処理の際、
低融点重合体の融点より10℃以上低い温度で処理した
比較例1の不織布は、低融点重合体が流動しなかったた
め凝集部が存在せず、通気性、剛性、プリーツ加工性に
劣るものであった。
【0056】また、相溶性を有する重合体同士の組み合
わせからなる複合型長繊維を採用した比較例3の不織布
は、線圧をかけない熱処理の際、低融点重合体は流動し
にくかったため、通気性、剛性、プリーツ加工性に劣る
ものであった。
【0057】
【発明の効果】本発明は、互いに非相溶性を有する重合
体からなる複合型長繊維により不織ウェブを作成し、部
分的に熱圧着した後、線圧をかけずに熱処理して非熱圧
着区域の低融点重合体を流動させて複合型長繊維の交点
に凝集させた凝集部を形成させたものであるので、得ら
れた不織布は、引張強度に優れ、通気度、嵩密度に優れ
るものであって、剛性が高いという効果を有するもので
ある。
【0058】また、本発明では2成分からなる複合型長
繊維を用いているので、不織布全面(MD、CD、厚み
方向)に低融点重合体が均一に分布しているので、低融
点重合体の流動により形成する凝集部を均一に存在させ
ることができる。
【0059】また、本発明の不織布は、剛性に優れるの
でプリーツ加工性が良好であり、優れた通気性が備えて
いるので、空調用や一般工業用等のフィルター材として
特に適している。この不織布は、空隙率が高く通気度が
高いので、他の緻密で空隙率の低い不織布と積層してフ
ィルターとして用いることで、粗塵を本発明の不織布が
捕集し、微塵を他の不織布が捕集するような捕集する対
象物の大きさに応じた積層フィルターとして用いること
もでき、また、剛性が高く引張強度に優れるため補強材
としての役割も担う。
【0060】また、フィルター材用途以外における家庭
用資材、産業資材、生活資材、土木資材等の種々な分野
にもその特性を活かして用いられるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に用いる複合型長繊維の横断面の一例を
示した模式図である。
【図2】本発明に用いる複合型長繊維の横断面の一例を
示した模式図である。
【図3】本発明に用いる複合型長繊維の横断面の一例を
示した模式図である。
【図4】本発明における不織布の一例を示した電子顕微
鏡写真(倍率50倍)である。
【図5】本発明における不織布の非熱圧着区域の一例を
示した電子顕微鏡写真(倍率500倍)である。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 高融点重合体と、該高融点重合体に対し
    て非相溶性で、かつ該高融点重合体の融点より15〜1
    80℃低い融点を有する低融点重合体とからなり、少な
    くとも低融点重合体が繊維表面に露出してなる複合型長
    繊維で構成され、該低融点重合体の軟化または溶融によ
    り複合型長繊維相互間が熱圧着された熱圧着区域と、該
    低融点重合体が流動して該複合型長繊維の交点に凝集し
    た凝集部を有する非熱圧着区域とからなる不織布であ
    り、通気度が80cc/cm2 /sec以上であること
    を特徴とする通気性に優れた不織布。
  2. 【請求項2】 剛軟度が70g以上である請求項1に記
    載の通気性に優れた不織布。
  3. 【請求項3】 請求項1または2に記載の不織布からな
    ることを特徴とするフィルター材。
  4. 【請求項4】 高融点重合体と、該高融点重合体に対し
    て非相溶性で、かつ該高融点重合体の融点より15〜1
    80℃低い融点を有する低融点重合体とからなり、少な
    くとも低融点重合体が繊維表面に露出してなる複合型長
    繊維で構成された不織ウェブを部分的に熱圧着した後、
    線圧をかけない状態で熱処理し、非熱圧着区域の低融点
    重合体を流動させて該複合型長繊維の交点に凝集させ凝
    集部を形成させることを特徴とする通気性に優れた不織
    布の製造方法。
JP10121848A 1998-04-14 1998-04-14 通気性に優れた不織布およびその製造方法ならびにその不織布からなるフィルター材 Withdrawn JPH11293555A (ja)

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