JP3744232B2 - フィルター用基材およびフィルター装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、フィルター用基材に関し、詳しくは良好なプリーツ加工性とプリーツ形態保持性を有し、またフィルター性能にも優れたフィルター用基材およびそれからなるフィルター装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、フィルター分野は、目覚ましい発展を遂げ、新素材や濾材の開発、システムの変革が進み、先端産業を始めとした産業界全般を支える大きな力となっている。
【0003】
このような動きの中で、スパンボンド、メルトブローなど合繊不織布を基材としたフィルターが相次いで開発され、中性能フィルター、高性能フィルターの分野で種々の新製品が上市されている。その中でもポリエステル系フィラメントからなるスパンボンド不織布は、各種パルプのセルロース繊維を抄き上げた濾紙に比べシート強力、耐水性など優れているため、エアー、液体等の様々なダストのフィルターとして幅広く使用されている。
【0004】
一般にこれらの用途のフィルター用基材は、プリーツ加工を施し、フィルターユニット中での表面積を大きくし、フィルター機能を高めたものが使用される。そこで使用されるフィルター用基材にはプリーツ加工が可能である必要があり、不織布にその特性を持たすためには、不織布にある程度の硬さや強力を持たす必要がある。また、フィルター性能を満足させるために、不織布の見掛密度を高めたり、目付の高い不織布を使用する。
【0005】
このような目付の高いスパンボンド不織布を得るためには、ポリエステルを形態保持フィラメント、該ポリエステルより融点の低い共重合ポリエステルをバインダーフィラメントとした混繊方式、あるいは芯成分をポリエステル、鞘成分を芯成分より融点の低い共重合ポリエステルの芯鞘構造とした複合フィラメントを使用し、熱処理を施し製品を得ることが知られている。
【0006】
しかしこれらの方法で得られた不織布はプリーツフィルター用として満足するだけの硬さ、強力は得られるものの、非常に細かいダストの捕集に関しては限界があり、用途においては展開不可能な分野もあった。
【0007】
そこでダストの捕集性能を更に向上させるため、不織布を構成するフィラメントを細くし、フィラメントとフィラメントの間の孔径を小さくすることが考えられる。しかし、該不織布は高い捕集性能は得られるものの、プリーツフィルター用として求められる、硬さ、強力が低下、更にはパルスジェット方式(フィルター表面上に捕集された粉塵を逆流エアーにより間欠に払い落としながら使用する)を用いる集塵機のようなエアーフィルター用途として使用された場合、ダストのサイズによっては、ダストの衝突により毛羽立ちが発生、該毛羽に粉塵が絡みつき、パルスジェット後の粉塵離脱性が悪化、更にはフィルター寿命が低下してしまうという問題があった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、かかる従来技術の背景に鑑み、プリーツ加工性、プリーツ形態保持性ならびにフィルター性能の全てを満足する優れたフィルター用基材およびそれからなるフィルター装置を提供せんとするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、かかる課題を解決するために、次のような手段を採用するものである。
【0010】
すなわち、本発明のフィルター用基材は、2デニール以上の第1フィラメントと1デニール以下の第2フィラメントの少なくとも2種が混在して構成されているポリエステル系フィラメント不織布であって、かつ、該第1フィラメントが枠体を構成し、第2フィラメントが該枠体内で網目を構成しているものであることを特徴とするものである。また、本発明のフィルター装置は、かかるフィルター用基材を、フィルター装置のフィルター部材として組み込んだことを特徴とするものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明は、前記課題を解決する優れたフィルター用基材を得るため鋭意検討した結果、不織布として、ある特定以上の太い繊度の繊維を枠体として利用する第1フィラメントと、ある特定以下の細い繊度の繊維を網目(フィルター)として利用する第2フィラメントとを混在させてみたところ、良好なプリーツ用フィルターとしての硬さ、強力を保持したまま、優れたフィルター性能を有する、つまり前記課題を一挙に解決することを究明したものである。つまり、該第1フィラメントはプリーツフィルターとして求められる硬さ、強力を保持、また更にはパルスジェット後の粉塵離脱性を向上させる該不織布の「枠体」として寄与し、該第2フィラメントはダストの捕集性能を向上させるための該枠体内の「網目」として寄与する。また該第1、第2フィラメントは、ミクロに観察した時、つまり走査型電子顕微鏡等で、たとえば100倍に拡大して該シート内部を観察したとき、少なくともシート厚さ方向、また同時に面方向においても混在、つまり第1フィラメントが構成する枠体に、第2フィラメントが該枠体内で網目を構成しているように観察されるものであることを特徴とするものである。
【0012】
すなわち、本発明は、該フィルター用基材を2デニール以上の第1フィラメントと、1デニール以下の第2フィラメントの少なくとも2種の繊維を混在させて不織布を構成することにより、該第1フィラメントが枠体を構成し、第2フィラメントが該枠体内で網目を構成して、優れたフィルター性能を有する不織布を安定して供給することができたものである。かかるフィルター用基材は、上記のような該枠体と該網目で構成させたことにより優れたプリーツ加工性、プリーツ形態保持性ならびにフィルター性能を同時に満足するフィルター用基材を得るという本発明の課題を見事に解決するものであった。
【0013】
本発明でいう第1フィラメントは、太い繊維で枠体を構成するものであるから、剛性に優れたポリエステル系フィラメントが好ましく使用される。かかるポリエステル系フィラメントとしては、単成分繊維でも複合繊維でも使用することができるが、要するに枠体としての剛性を満足し、さらにプリーツ加工性やプリーツ形態保持性を維持することができるものが好ましく使用される。
【0014】
本発明フィルター用基材としては、最終製品の段階で、好ましくはJIS L1096ガーレ法に基づいて測定される剛軟度を500mg以上有する不織布であればよい。かかる剛性を付与するためには、第1フィラメントとして、2デニール以上、好ましくは2.5デニール以上、さらに好ましくは2.5〜5デニールの範囲のフィラメントを用いる。かかる繊度を有するフィラメントは、優れた粉塵離脱性を付与する機能をも有する。また、かかる第1フィラメントに酸化チタン、カーボンブラック等の無機物粒子や、紫外線吸収剤、抗菌剤、防カビ剤、難燃剤、制電剤、消臭剤などの添加剤を含んでいてもよい。
【0015】
次に、本発明の第2フィラメントは、第1フィラメントからなる枠体の内部にあって、フィルターの網目を構成するものであって、細かいダストを捕集するために作用するものである。このフィラメントは、不織布を得る際の熱処理によってフィラメントの形態が変形したり、融着する可能性があるので、好ましくは高融点ポリマからなる繊維、たとえばポリエステルとりわけポリエチレンテレフタレートの単成分フィラメントが好ましく使用される。
【0016】
この第2フィラメントは、0.5〜1μmの大気塵の捕集効率が、好ましくは50%以上であるという高性能のフィルター機能を達成するものであり、かかる機能のために、1デニール以下、好ましくは0.5デニール以下の繊維を用いるものである。かかる第2フィラメントには、第1フィラメントと同様に酸化チタン、カーボンブラック等の無機物粒子や、紫外線吸収剤、抗菌剤、防カビ剤、難燃剤、制電剤、消臭剤などの添加剤を含んでいてもよい。
【0017】
本発明の不織布は、これら第1、第2フィラメントの少なくとも2種を混在させ、つまり、少なくともシート厚さ方向にミクロに観察したとき該第1フィラメントが枠体を構成し、第2フィラメントが該枠体内で網目を構成している構造を有するものである。かかる構造は、同時に面方向においても構成されているのが好ましい。本発明において、このように第1、第2フィラメントの少なくとも2種を混在させたところに特徴を有するが、かかる第1、第2フィラメントには、枠体と網目という重要な機能が要求されるものであり、かかる要求機能上、自ずと両者の繊度関係には制約がある。つまり、大まかな繊度関係は、前記した通りであるが、さらに好ましくは第1フィラメントが、2.5デニール以上のフィラメントで、第2フィラメントが、0.5デニール以下のフィラメントであるという構成にしたときに、本発明のプリーツ加工性、プリーツ形態保持性ならびにフィルター性能の全てを満足する優れたフィルター用基材を提供することができる。 かかる繊度関係は、第1、第2フィラメントの存在本数によっても表現することができる。すなわち、該不織布に存在する第2フィラメントの本数が、第1フィラメントの本数の好ましくは2〜300倍、さらに好ましくは少なくとも20倍であれば、上述効果を好適に達成するフィルター用基材を提供することができる。該第2フィラメントの本数が該第1フィラメントの本数の2倍未満の場合、第2フィラメントの網目(フィルター)としての機能が低下し、本発明の目的とする優れたフィルター性能、つまり0.5〜1μmの大気塵の捕集効率50%以上を達成することが第1、第2フィラメントの繊度関係によっては困難となる傾向がでてくる。一方300倍を超える場合、捕集効率は向上するものの、第1フィラメントの枠体としての機能が低下し、プリーツフィルターとして要求される硬さ、強力、更にはエアーフィルターとして使用された場合、粉塵との衝突により低繊度である第2フィラメントからの毛羽が顕著となり、粉塵離脱性が悪化、フィルターとしての寿命を満足することが第1、第2フィラメントの繊度関係によっては困難となる傾向がでてくる。
【0018】
以上、第1フィラメントおよび第2フィラメントについて、それぞれの成分が、あたかも同一繊度の単成分繊維で構成されているかのように説明したが、これら第1フィラメントおよび第2フィラメントは、別に単成分繊維で構成されている必要はなく、これらの少なくとも一方が、少なくとも2種の繊度を有するフィラメント、つまり異繊度の多成分繊維で構成されていてもさしつかえなく、要するに、枠体と網目という機能が達成される構成であればよいのである。
【0019】
かかる不織布の生産形態としては、たとえば第1、第2フィラメントを本発明の適正な繊度でそれぞれ紡糸できるように設計した混繊タイプの口金から同時に溶融紡出し、エジェクターにより高速牽引、空気圧により開繊した後、移動するネット上に捕集しウェブとする方法、あるいは、第1フィラメントのみ溶融紡出し、別に紡糸した第2フィラメントをエジェクター部で混合させ、空気圧により開繊した後、移動するネット上に捕集しウェブとする方法等を採用することができるが、特に限定されるものではない。
【0020】
かかるウェブを不織布とする方法としては、熱エンボスロールによる熱圧着、また、サクションドラムを使用し熱処理するなどを使用することができるが、プリーツ加工やフィルターとして使用される際に耐え得る強力と硬さ(JIS L1096ガーレ法に基づいて測定したとき、500mg以上の剛軟度)を有する不織布を提供することができる方法であれば、特に限定されるものではない。
【0021】
また本発明のフィルター基材を製造する際の該第1フィラメント、該第2フィラメントの総重量に占める該第1フィラメントの重量の割合は、好ましくは50〜80重量%、さらに好ましくは50〜60重量%である。該第1フィラメントの割合が50重量%未満であると、第1フィラメントの枠体としての機能が低下し、プリーツフィルターとして必要とされる硬さ、強力を不織布の目付によっては維持できなくなる傾向がでてくる。さらにエアーフィルター基材として使用した場合、粉塵との衝突により、低繊度である第2フィラメントからの毛羽が顕著となり、粉塵離脱性が悪化、フィルターとしての寿命性能が低下する傾向がでてくるので好ましくない。また逆に80重量%を越えると、硬さ、強力は満足するものの、第2フィラメントの網目(フィルター)としての機能が低下し、フィルター性能が低下する傾向がでてくるので好ましくない。
【0022】
また、本発明の該第1フィラメントおよび該第2フィラメントは、それぞれ同一ポリマ成分からなる単成分フィラメントである必要はなく、該第1フィラメントおよび第2フィラメントの少なくとも一方のフィラメントが、割繊型複合フィラメント、多芯型複合フィラメントおよび芯鞘型複合フィラメントから選ばれた少なくとも1種を含でいてもよいものである。たとえば目付の高い不織布を得るためには、該第1フィラメントは芯鞘構造を有する複合フィラメントを用いることが好ましく、さらに鞘成分が芯成分の融点に対し好ましくは20℃以上、より好ましくは30℃以上低い融点を持つ共重合ポリエステルから成ることが非常に有効である。鞘成分が芯成分の融点に対し20℃未満低い融点であると、該不織布を得る際の熱処理工程において、目付によっては熱融着し難くなり、シート剥離等の問題でフィルターとして使用される際に耐えられる強力、硬さの不織布を得られ難くなる。共重合ポリエステルとは、アジピン酸、イソフタル酸、等を共重合したポリエステルであり、鞘成分の割合は該芯鞘複合フィラメントの断面積の30%以下とするのが好ましい。鞘成分の割合が30%を越えて増加すると、フィラメントの形態保持部分である芯成分の割合が減少、フィラメント強力が低下し、フィルター用基材として十分な強力、硬さが得られにくくなる。また、該芯鞘型複合フィラメントの重量に対する鞘成分の重量の割合を、30重量%以下とするのも好ましい態様である。すなわち鞘成分の割合が30重量%を越えて増加すると、前記と同様にフィラメントの形態保持部分である芯成分の重量の割合が減少し、フィラメント強力が低下し、フィルター用基材として十分な強力、硬さが得られにくくなる。更にここでいう芯鞘構造としては、一般的な同心円が最も好ましいが、偏芯円形、異型断面型としてもよい。
【0023】
目付の高い不織布を得る他の方法として、構成繊維を該第1フィラメント、該第2フィラメント、そしてバインダーフィラメントが混在されていてもよい。かかるバインダーフィラメントとしては、不織布構成フィラメントによって異なるが、不織布構成フィラメントがポリエステルであれば、アジピン酸、イソフタル酸、等を共重合した共重合ポリエステルフィラメントが好ましく使用される。かかるバインダーフィラメントで重要なことは、該不織布構成フィラメントのいずれをも溶融しない温度条件で融着可能なポリマであることである。すなわち、かかる方法においてバインダーフィラメントを有効に機能させるためには、該バインダーフィラメントの融点が該第1、第2フィラメントの一方の低い融点よりも好ましくは20℃以上、より好ましく30℃以上低い融点を有するものがよい。該バインダーフィラメントの融点が該第1、第2フィラメントの一方の低い融点よりも20℃未満低い融点であると、該不織布を得る際の熱処理工程において、目付によっては熱融着し難くなり、シート剥離等の問題でフィルターとして使用される際に耐えられる強力、硬さの不織布を得られ難くなる。つまり、好ましくは最も溶融しやすい該第2フィラメントの融点よりも、20℃以上低い融点を有するものを使用することである。かかるバインダーフィラメントは、該不織布の総重量の好ましくは30重量%以下とするのがよい。バインダーフィラメントの重量比が30重量%を越えると、該第1、第2フィラメントの総数が少なくなり、それぞれのフィラメントとしての機能が十分に発揮させることができにくくなり、本発明の目的とする良好なプリーツ加工性、プリーツ形態保持性を有し、更には優れたフィルター性能をも有するフィルター基材を提供しにくくなる。
【0024】
本発明のフィルター基材の目付は、好ましくは100g/m2 以上であることが、良好なプリーツ加工性、プリーツ形態保持性を有し、更には優れたフィルター性能も有するフィルター用基材を得るために有効である。
【0025】
本発明のかかるフィルター用基材を、フィルター装置のフィルター部材としてとして使用すると、良好なフィルター性能を長期にわたり発揮できるフィルター装置を提供することができるものである。
【0026】
【実施例】
次に、実施例に基づいて本発明を具体的に説明する。なお、実施例における各種特性は次の方法により測定した。
【0027】
目付:
JIS L 1906に基づいて求めた。
【0028】
厚さ:
JIS L 1906に基づいて求めた。
【0029】
剛軟度:
JIS L 1096 ガーレ法に基づいて求めた。
【0030】
毛羽評価:
JIS L 1096 摩耗強さ試験のテーバ形法に基づいて評価した。外観変化は以下の様に定義し判定を行った。
【0031】
A級:まったく毛羽立ちがない。
【0032】
B級:少し毛羽立ちはあるが目立たない。
【0033】
C級:毛羽立ちが目立つ。
【0034】
本発明のプリーツフィルターとして使用されるにあたっては、A級が最も理想的であるが、B級程度であれば、使用条件によっては適用可能である。
【0035】
フィルター性能(捕集効率):
ブロアが装着されているダクトに170mmφの平板状サンプルを装着し、試験室にて大気をブロアにより風速3m/分で吸引した。ダストは試験室内の大気塵で評価した。
【0036】
試験室内の大気のダスト(0.5〜1μm)の個数をパーティクルカウンター(リオン株式会社製KC01B)にて計測し、aとする。不織布を通過したダクト内の空気のダスト(0.5〜1μm)の個数を上記パーティクルカウンターにて計測し、bとする。次式でフィルター性能(捕集効率)を求めた。
【0037】
捕集効率(%)=100×(a−b)/a
実施例1
第1フィラメントとして融点が260℃のポリエチレンテレフタレートを芯成分、融点が230℃のイソフタル酸共重合ポリエステルを鞘成分とし、芯成分と鞘成分の横断面の面積比が80:20である芯鞘複合フィラメントを単糸繊度3デニールで溶融紡糸、また第2フィラメントとして融点が260℃のポリエチレンテレフタレートを単糸繊度0.5デニールで溶融紡糸した。そして不織布に存在する該第2フィラメントが該第1フィラメントの本数の5倍になるように混繊し、移動するネット上に堆積させ、1対のエンボスロールを使用して、表面温度210℃、線圧60kg/cmで圧着し、目付300g/m2 、厚さ0.7mmの不織布を得た。この不織布を評価した結果、剛軟度4080mg、毛羽評価A級、フィルター性能62%と本発明の目標とするフィルター材が得られた。このフィルター材は、走査型電子顕微鏡で100倍に拡大して、該シート内部を観察したところ、第1フィラメントが構成する枠体内に、第2フィラメントからなる網目が構成されているように観察されるものであった。
【0038】
実施例2
実施例1において、第2フィラメントの単糸繊度が0.05デニール、不織布に存在する該第2フィラメントの本数が該第1フィラメントの本数の50倍になるように混繊すること以外は、実施例1と同様の方法で目付300g/m2 、厚さ0.7mmの不織布を得た。この不織布を評価した結果、剛軟度3200mg、毛羽評価A級、フィルター性能84%と、実施例1と比較し第2フィラメントが低繊度化したことにより更に高いフィルター性能のフィルター材が得られた。
【0039】
このフィルター材も、実施例1のフィルター材と同様に走査型電子顕微鏡で100倍に拡大して観察したところ、第1フィラメントが構成する枠体内に、第2フィラメントからなる網目が構成されているように観察された。
【0040】
実施例3
実施例1において、第2フィラメントの単糸繊度が0.01デニール、不織布に存在する該第2フィラメントの本数が該第1フィラメントの本数の250倍になるように混繊すること以外は、実施例1と同様の方法で目付300g/m2 、厚さ0.7mmの不織布を得た。この不織布を評価した結果、剛軟度2500mg、毛羽評価B級、フィルター性能95%と、実施例2と比較し更に低繊度化したことによって毛羽特性に関しては若干劣るものの、捕集効率90%以上と優れたフィルター機能を持った不織布が得られた。このフィルター材も、実施例1、2のフィルター材と同様に、第1フィラメントからなる枠体と、第2フィラメントからなる網目とを有するものであった。
【0041】
実施例4
第1、第2フィラメントとして、融点が260℃であるポリエチレンテレフタレートをそれぞれの単糸繊度が3デニール、0.2デニールになるように溶融紡糸した。さらにバインダーフィラメントとして融点が230℃の共重合ポリエステルを単糸繊度1デニールで溶融紡糸した。そして不織布に存在する該第2フィラメントが該第1フィラメントの本数の7倍、そしてバインダーフィラメントが不織布の20重量%になるように混繊し、移動するネット上に堆積させウェブとした。その後、一対のエンボスロールを使用して、表面温度200℃、線圧60kg/cmで圧着し、目付150g/m2 、厚さ0.5mmの不織布を得た。この不織布を評価した結果、剛軟度740mg、毛羽特性A級、フィルター性能53%であるフィルター材が得られた。このフィルター材を顕微鏡で観察したところ、前記実施例1〜3のフィルター材と同様な構造を有するものであった。
【0042】
比較例1
融点が260℃のポリエチレンテレフタレートを芯成分、融点が230℃のイソフタル酸共重合ポリエステルを鞘成分とし、芯成分と鞘成分の横断面の面積比が80:20である芯鞘複合フィラメントを単糸繊度3デニールで溶融紡糸し、実施例と同様、移動するネット上に堆積させ、一対のエンボスロールを使用して、表面温度210℃、線圧60kg/cmで圧着し、目付300g/m2 、厚さ0.7mmの不織布を得た。この不織布を評価した結果、剛軟度4800mg、毛羽評価A級、フィルター性能35%と、剛軟度、毛羽特性に関しては満足するものの、1デニール以下の第2フィラメントとして機能するフィラメントが存在しないため、目標とする捕集効率50%以上のものが得られなかった。
【0043】
比較例2
融点が260℃のポリエチレンテレフタレートを単糸繊度0.5デニールで溶融紡糸し、さらにバインダーフィラメントとして融点が230℃の共重合ポリエステルを単糸繊度1デニールで溶融紡糸した。そしてバインダーフィラメントが不織布の20重量%になるように混繊、実施例と同様、移動するネット上に堆積させ、一対のエンボスロールを使用して、表面温度210℃、線圧60kg/cmで圧着し、目付300g/m2 、厚さ0.7mmの不織布を得た。この不織布を評価した結果、剛軟度2000mg、毛羽評価C級、フィルター性能78%と、フィルター性能に関しては満足するものの、2デニール以上の第1フィラメントとして機能するフィラメントが存在しないため、毛羽特性はプリーツフィルターとして使用に耐えられるものではなかった。
【0044】
比較例3
融点が260℃のポリエチレンテレフタレートを単糸繊度3デニールで溶融紡糸し、さらにバインダーフィラメントとして融点が230℃の共重合ポリエステルを単糸繊度1デニールで溶融紡糸した。そしてバインダーフィラメントが不織布の20重量%になるように混繊、実施例と同様、移動するネット上に堆積させ、1対のエンボスロールを使用して、表面温度200℃、線圧60kg/cmで圧着し、目付150g/m2 、厚さ0.5mmの不織布を得た。この不織布を評価した結果、剛軟度870mg、毛羽評価A級、フィルター性能15%と、剛軟度、毛羽特性は満足するものの、1デニール以下の第2フィラメントとして機能するフィラメントが存在しないため、目標とする捕集効率50%以上のものが得られなかった。
【0045】
比較例4
融点が260℃のポリエチレンテレフタレートを単糸繊度0.5デニールで溶融紡糸し、さらにバインダーフィラメントとして融点が230℃の共重合ポリエステルを単糸繊度1デニールで溶融紡糸した。そしてバインダーフィラメントが不織布の20重量%になるように混繊、実施例と同様、移動するネット上に堆積させ、1対のエンボスロールを使用して、表面温度200℃、線圧60kg/cmで圧着し、目付150g/m2 、厚さ0.5mmの不織布を得た。この不織布を評価した結果、剛軟度420mg、毛羽評価C級、フィルター性能61%と、フィルター性能は満足するものの、2デニール以上の第1フィラメントとして機能するフィラメントが存在しないため、本発明の目標とする剛軟度500mg以上のものが得られず、また毛羽特性もプリーツフィルターとして使用に耐えられるものではなかった。
【0046】
【発明の効果】
本発明のフィルター用基材は、良好なプリーツ加工性、またプリーツ形態保持性に優れ、さらには良好なフィルター性能を発揮することができる。

Claims (8)

  1. 2デニール以上の第1フィラメントと1デニール以下の第2フィラメントの少なくとも2種が混在して構成されているポリエステル系フィラメント不織布であって、かつ、該第1フィラメントが枠体を構成し、第2フィラメントが該枠体内で網目を構成しているものであることを特徴とするフィルター用基材。
  2. 該不織布に存在する第2フィラメントの本数が、該第1フィラメントの本数の2〜300倍である請求項1記載のフィルター用基材。
  3. 該第1フィラメントおよび第2フィラメントの少なくとも一方のフィラメントが、割繊型複合フィラメント、多芯型複合フィラメントおよび芯鞘型複合フィラメントから選ばれた少なくとも1種を含むものである請求項1または2記載のフィルター用基材。
  4. 該芯鞘型複合フィラメントの鞘成分が、芯成分の融点に対し20℃以上低い融点を有する共重合ポリエステルからなる請求項3記載のフィルター用基材。
  5. 該芯鞘型複合フィラメントの横断面において鞘成分の占める面積が、30%以下である請求項3または4記載のフィルター用基材。
  6. 該不織布が、JIS L 1096ガーレ法に基づいて測定したとき、500mg以上の剛軟度を有するものである請求項1〜5のいずれかに記載のフィルター基材。
  7. 該フィルター基材が、0.5〜1μmの大気塵の捕集効率が50%以上であるフィルター性能を有するものである請求項1〜6のいずれかに記載のフィルター基材。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載のフィルター用基材を、フィルター装置のフィルター部材として組み込んだことを特徴とするフィルター装置。
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