JP3971349B2 - 車両空調用モータの防水構造 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はモータを制御するための制御回路装置を搭載した車両空調用モータの防水構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
車両空調用モータの防水構造は、例えば、特許文献1にて開示されているような構造としたものがある。この車両空調用モータは送風機と制御回路が一体となっており、モータホルダの上面にはブロワケースが、下面には下部ケースがそれぞれ接合されている。この車両空調用モータの防水構造は、モータホルダと下部ケースの接合部に切欠を設けた構造となっている。車両空調用モータに取り込まれた空気に水が含まれていると、その水の一部がモータホルダと下部ケースの接合部の間隙を伝って進んでいくが、接合部に設けられた切欠によって車両空調用モータの外部に案内される。その結果、車両空調用モータの内部へ水が進入することによって起こる制御回路装置の被水を抑制する。
【0003】
【特許文献1】
特開2000−316247号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、このような車両空調用モータの防水構造では、接合部に切欠が設けられることによって空孔が形成される。従って、水が切欠によって外部に案内され損なった場合に、空孔から車両空調用モータ内部へ浸入して制御回路装置を被水させる恐れがあった。また、接合部から外部へ出た水が、モータホルダ若しくは下部ケースの外面を伝って前記空孔から車両空調用モータの内部へ浸入して制御回路装置を被水させる恐れがあった。
【0005】
さらに、ブロワケースとモータホルダとの接合部から外部に出た水が、モータホルダの外面を伝って、モータホルダと下部ケースの接合部から、又は前記空孔から内部に浸入して制御回路装置を被水させる恐れがあった。
【0006】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、制御回路装置の被水を防止することができる車両空調用モータの防水構造を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記問題点を解決するため、請求項1に記載の発明は、制御回路装置と、前記制御回路装置により回転されるモータと、前記モータの回転軸に固定されるファンと、前記ファンの周囲を覆い同ファンの回転に伴って取り込まれる空気の一部を分流する分流ダクトが形成されたブロワケースと、前記モータを収容する収容部が形成されると共に該収容部の外周に設けられたフランジ部に前記分流ダクトの下流側開口に接続される導入孔が形成されたモータホルダと、前記モータホルダの前記収容部及び前記フランジ部に接合され前記導入孔から導入される空気を前記収容部に送る送風部が形成された下部ケースと、前記モータホルダ若しくは前記下部ケースの内部に形成され前記制御回路装置を収容する回路収容部とを備えた車両空調用モータとして前記モータホルダの前記フランジ部には、前記下部ケースの外側面に沿って前記モータホルダと前記下部ケースとの接合部を連続的にう延長部一体に成形されている
【0009】
請求項に記載の発明は、請求項に記載の車両空調用モータの防水構造において、前記延長部には前記モータホルダの外方に向かって突出する凸形部を、前記回路収容部の側面に設けられた通気孔の周縁に沿って設けた。
【0010】
請求項に記載の発明は、請求項に記載の車両空調用モータの防水構造において、前記凸形部は前記延長部の長手方向端部を下部ケースから離れるように形成した折返部とした。
【0011】
請求項に記載の発明は、請求項1乃至のいずれか1項に記載の車両空調用モータの防水構造において、前記ファンによって導入される冷却風と前記制御回路装置とを分離する仕切壁を備えた。
【0012】
(作用)
請求項1に記載の発明によれば、モータホルダと下部ケースとの接合部は、モータホルダに設けられた延長部によって被われる。延長部に付着した水は、延長部を伝って落下するため、制御回路装置を被水させにくい。
【0014】
請求項に記載の発明によれば、延長部にモータホルダの外方に向かって突出する凸形部を、モータホルダ若しくは下部ケースの内部に形成される回路収容部の側面に設けられた通気孔の周縁に沿って設けた。その結果、延長部の長手方向に伝ってきた水は、凸形部によって回路収容部の側面に設けられた通気孔から回路収容部内へ進入することを妨げられるとともに、凸形部に案内されて落下する。
【0015】
請求項に記載の発明は、凸形部を、延長部の長手方向端部で短手方向に沿って下部ケースから離れるように形成した折返部としたため、延長部の長手方向に伝ってきた水はさらに通気孔に進入しにくいとともに、落下されやすい。
【0016】
請求項に記載の発明は、仕切壁が制御回路装置と冷却風の通路とを分離している。従って、冷却風に湿気や水(雨、雪)等が含まれている場合でも、仕切壁が制御回路装置側へ冷却風が進入するのを防ぐため、制御回路装置の被水が防止される。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図面に従って説明する。
図1は車両空調用モータ1の断面図を示しており、図2に示すA−A断面である。車両空調用モータ1のモータホルダ2には、その中央に略有底円筒状の収容部2aが形成されており、該収容部2aの外周には円盤状のフランジ部2bが形成されている。前記収容部2aには、モータ3が収容されている。
【0018】
モータ3は、略有底円筒状のヨークハウジング4を備えている。ヨークハウジング4は、その底部がモータホルダ2に対してねじ5等で固定されている。
ヨークハウジング4の内周面には、マグネット6が固着されている。マグネット6の内側には、アーマチャ7が回転可能に収容されている。アーマチャ7の回転軸8は、その一端がヨークハウジング4の底部に設けられた軸受9aによって回転可能に支持されている。
【0019】
ヨークハウジング4の上部開口部には、カバー10が装着されている。尚、ヨークハウジング4の開口部とカバー10との間には、開口11を有している。前記カバー10には前記回転軸8の他端側を回転可能に支持する軸受9bが備えられている。また、カバー10にはブラシホルダ(図示しない)が形成されるとともに、そのブラシホルダにはアーマチャ7のコンミテータ12に摺接するブラシ(図示しない)が収容されている。ブラシは、外部の電源(図示しない)に接続されており、コンミテータ12を介してアーマチャ7に電源を供給するようになっている。そして、回転軸8のカバー10から突出した部分には、ファン13が回転軸8と一体回転可能に固定されている。
【0020】
前記ヨークハウジング4の底部には、ヨークハウジング4の内外を連通する連通孔4aが形成されている。その連通孔4aは、モータホルダ2の収容部2aの底部とヨークハウジング4の底部とで形成された連通通路14と連通している。
【0021】
前記モータホルダ2のフランジ部2bの下面2cには、送風路15を形成するとともに制御回路装置16を収容する下部ケース17がねじ等で固定されている。前記送風路15は前記連通通路14を介して前記連通孔4aと連通されるとともに、フランジ部2bの径方向に突出した部分に設けられた導入孔2dと連通されている。
【0022】
前記下部ケース17の内部には、送風路15と、制御回路装置16とを分離する仕切壁18が設けられており、その仕切壁18によって下部ケース17の内部が仕切られることで回路収容部19が形成されている。回路収容部19に収容された制御回路装置16は、制御回路を構成する素子を有しており、ねじ等でモータホルダ2に固定されている。
【0023】
前記フランジ部2bの上面2eには、前記ファン13の周囲を覆うブロワケース20が装着されている。尚、モータホルダ2のフランジ部2bとブロワケース20との接合部21は、完全に密着されているわけではなく、接合されているだけであるので狭小な間隙を有している。このブロワケース20の上部には車室内又は車室外の空気を導入する導入ダクト(図示しない)に連設される空気取込口20aが形成され、その側面には送風ダクト(図示しない)に連設される送風口(図示しない)が形成されている。そして、ファン13が回転すると、空気取込口20aから取り込まれた空気が送風ダクト、空調装置を介して車室内に送られるようになっている。
【0024】
前記ブロワケース20には、前記空気取込口20aから取り込まれた空気の一部を分流させる分流ダクト22が形成されている。この分流ダクト22は、ファン13の上部側に設けられる上流側開口22aから上下方向(天方向を上)に直線上に延び、下流側開口22bが前記導入孔2dに接続されている。
【0025】
図3に示すように、前記制御回路装置16を収容する回路収容部19の側面には、通気孔23が形成されている。
図1及び図3に示すように、前記モータホルダ2のフランジ部2bには、前記下部ケース17と接合する部分に下部ケース17の外側の側面を被うように、天方向とは逆方向へ延びる延長部24が一体に形成されている。フランジ部2bと下部ケース17との接合部25は完全に密着されているわけではなく狭小な間隙を有しているが、この延長部24はその間隙を連続的に被うように形成されている。また、図2及び図3に示すように、延長部24の長手方向両端部には、凸形部として、前記通気孔23の周縁部に沿って下部ケースから離れるように外側に折り返される折返部26が形成されている。
【0026】
上記のように構成された車両空調用モータ1では、図1に示すように、制御回路の動作に基づいてモータ3が回転するとファン13が回転し、送風動作が行われる。このとき、ファン13により発生した風の一部は冷却風として分流ダクト22内に流れ込む。そして、その冷却風は導入孔2d、送風路15、連通通路14、及びヨークハウジング4の連通孔4aを通ってモータ3内部に流れ込み、その後、モータ3の上部の開口11から放出される。このような冷却風(図1中で矢印にて示す)は、モータ3内部を通過する際にモータ3内部、具体的にはアーマチャ7のコイルやブラシ、コンミテータ12等、各種モータ構成部品を冷却する。
【0027】
尚、冷却風が送風路15を通過する際、下部ケース17内は仕切壁18によって送風路15と制御回路装置16とが分離されているため、冷却風に水分が含まれる場合でも仕切壁18が冷却風の進入を防いで制御回路装置16の被水が予防される。
【0028】
ここで、ファン13の回転により外気に含まれる湿気や水滴(雨、雪)等を一緒に吸い込んだ場合、図3に示すように、モータホルダ2とブロワケース20との接合部21は、完全に密着されているわけではないので、吸い込んだ水の一部が接合部21へ浸入していく。そして、浸入した水は接合部21を通って車両空調用モータ1の外面に浸出する。モータホルダ2の延長部24は接合部21から浸出した水が通りやすい場所に設けられているため、浸出した水は延長部24を伝って延長部24の先端部24aから滴り落ちる。
【0029】
また、使用状況により車両空調用モータ1が傾いた場合には、図3に示すように、接合部21から車両空調用モータ1の外面に浸出した水は延長部24を延長部24の長手方向に伝って折返部26に達する。その後、水は折返部26に案内されて滴り落ちる。
【0030】
上記したように、本実施形態によれば、以下の効果を有する。
(1)モータホルダ2のフランジ部2bに延長部24を形成することで、モータホルダ2と下部ケース17との接合部25の間隙が被われる。その結果、モータホルダ2のフランジ部2bとブロワケース20との接合部21から車両空調用モータ1の外面に浸出した水は延長部24を伝って滴り落ちる。従ってモータホルダ2と下部ケース17との接合部25の間隙から水が浸入しにくくなるため、回路収容部19に水が浸入して制御回路装置16が被水するのを抑制することができる。
【0031】
(2)延長部24に折返部26を形成したことにより、延長部24の外面を伝っていく水は折返部26に達すると、折返部26に案内されて滴り落ちる。その結果、下部ケース17の側面に形成された通気孔23から回路収容部19へ水が進入するのを抑制することができる。従って、車両空調用モータ1が傾いた状態で使用される等の事情により、水が延長部24上を延長部24の長手方向に伝っていった場合にも、制御回路装置16の被水を防止できる。
【0032】
(3)下部ケース17内に送風路15と回路収容部19とを分離するように仕切壁18を設けた。その結果、取り込まれた外気に湿気や水(雨、雪)等が含まれていても、外気が送風路15を通過する際、外気は仕切壁18によって回路収容部19への進入が拒まれる。従って制御回路装置16は水分を含んだ風にさらされず、被水を免れることができる。
【0033】
(4)接合部25を被うように延長部24を設けて、延長部24に折返部26を設けただけの簡単な構成であるため、製造が容易で製造コストを上昇させない。
【0034】
(5)モータホルダ2と延長部24とは一体となっているため、被水防止のためにモータホルダ2と下部ケース17との接合部25に、シール材をわざわざ介在させるといった手間が不要である。その結果、シール材介在のための余分なコストがかからない。
【0035】
(6)延長部24は下部ケース17の周囲の水が浸水しやすい一部分を被うように設けられているため、無駄な重量増加を防ぐことができる。また、回路収容部19の側面に設けられた通気孔23を塞ぐことなく確保し、通気孔23の働きを妨げにくい。
【0036】
尚、本発明の実施形態は、以下のように変更してもよい。
○上記実施形態では、回路収容部19の側面に形成された通気孔23から回路収容部19へ水が進入するのを防ぐために、折返部26を設けているが、凸形部として折返部26の代わりにモータホルダの外側へ突出する突条部を設けてもよい。この場合も、延長部24を伝って突条部に達した水は、突条部に案内されて滴り落ちる。
【0037】
○上記実施形態では、ブラシを有するモータ3であったが、ブラシを備えていないブラシレスモータであってもよい。この場合も上記実施形態と同様の効果を奏する。
【0038】
○上記実施形態では、仕切壁18は別体としているが、仕切壁18と下部ケース17とを一体としてもよい。若しくは、仕切壁18とモータホルダ2とを一体としてもよい。このように構成すると部品数が減少して組立作業の負担が軽減される。
【0039】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば制御回路装置の被水を防止することができる車両空調用モータの防水構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本実施形態の車両空調用モータの断面図。
【図2】 本実施形態の車両空調用モータの底面図。
【図3】 延長部及び折返部の拡大図。
【符号の説明】
1…車両空調用モータ、2…モータホルダ、2b…フランジ部、3…モータ、8…回転軸、13…ファン、15…送風路、16…制御回路装置、17…下部ケース、18…仕切壁、19…回路収容部、23…通気孔、24…延長部、25…接合部、26…折返部

Claims (4)

  1. 制御回路装置と、
    前記制御回路装置により回転されるモータと、
    前記モータの回転軸に固定されるファンと、
    前記ファンの周囲を覆い同ファンの回転に伴って取り込まれる空気の一部を分流する分流ダクトが形成されたブロワケースと、
    前記モータを収容する収容部が形成されると共に該収容部の外周に設けられたフランジ部に前記分流ダクトの下流側開口に接続される導入孔が形成されたモータホルダと、
    前記モータホルダの前記収容部及び前記フランジ部に接合され前記導入孔から導入される空気を前記収容部に送る送風部が形成された下部ケースと
    前記モータホルダ若しくは前記下部ケースの内部に形成され前記制御回路装置を収容する回路収容部と
    を備えた車両空調用モータであって、
    前記モータホルダの前記フランジ部には、前記下部ケースの外側面に沿って前記モータホルダと前記下部ケースとの接合部を連続的にう延長部一体に成形されていることを特徴とする車両空調用モータの防水構造。
  2. 請求項1に記載の車両空調用モータの防水構造であって、
    前記延長部には前記モータホルダの外方に向かって突出する凸形部を、前記回路収容部の側面に設けられた通気孔の周縁に沿って設けたことを特徴とする車両空調用モータの防水構造。
  3. 請求項2に記載の車両空調用モータの防水構造であって、
    前記凸形部は前記延長部の長手方向端部を下部ケースから離れるように形成した折返部であることを特徴とする車両空調用モータの防水構造。
  4. 請求項1乃至3のいずれか1項に記載の車両空調用モータの防水構造であって、
    前記ファンによって導入される冷却風と前記制御回路装置とを分離する仕切壁を備えたことを特徴とする車両空調用モータの防水構造。
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