JP4102514B2 - ブラシレスモータ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は車両用空調装置の送風機用モータとして使用されるブラシレスモータに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
車両用空調装置の送風機用モータとして使用されるアウターロータ型ブラシレスモータは、ケース部材にステータが固定され、そのステータに励磁電流を供給することにより、同ステータを覆うように形成されたロータが回転駆動される。
この励磁電流を供給する回路装置は、モータ部と一体に構成され、モータホルダ部の一方の面にステータ、また他方の面に回路装置が収納され、ケースカバーで回路装置を覆っている。このケースカバーは、モータホルダの端面とビス等により固着されている。ケースカバーとモータホルダとの接合面はシール材を介在させ、洗車時等に備え防水性を高めることも考えられるが、シール材介在のための余分なコストがかかるという問題点があった。
【0003】
またコスト削減のため、シール材を省略すると洗車時、あるいは結露等により、モータホルダとモータケースとの間から水滴が進入し、回路素子へ悪影響を及ぼしたり、回路基板上で短絡し、モータが誤作動するおそれがあった。
【0004】
この発明の目的は、コスト上昇を招くことなく、回路装置への防水性を確保することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、モータホルダにステータを固定し、前記ステータにロータを回転可能に支持し、前記ステータに励磁電流を供給する励磁回路を搭載した回路基板を前記モータホルダに取着し、前記回路基板を覆うケースを前記モータホルダに取着し、前記励磁電流に基づいて前記ロータを回転駆動するブラシレスモータにおいて、前記モータホルダと前記ケースとの接合部で、水滴を逃がす切欠きを前記ケース側に設け、前記モータホルダに取着されたファンの周囲を覆うブロワケースの上部に形成された開口部から導入された空気の一部を分流させる分流ダクト先端部から下方に連なり、前記ケース側に設けた切欠きの導入孔側の側面に当接させ、反対側に空隙を設け、水滴を下方に誘導する凸部を前記モータホルダに設けたことを特徴としている。
【0006】
請求項2に記載の発明は、前記ケースに設けた切欠きと同位置で、モータホルダ側に切欠き(71)を形成し、モータホルダ側に水滴が伝わるのを防ぎ、下部ケース側の切欠き50bにより下方に自然落下するように形成したことを特徴としている。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、この発明を具体化した一実施の形態を図面に従って説明する。図1に示すように、合成樹脂で成形されたモータホルダ1にはステータ2が固定されている。前記ステータ2は、センターピース3と、コア4と、そのコア4に巻着された巻線5とから構成される。
【0011】
前記センターピース3は円筒部3aと、その円筒部3aから延長して形成される延設部3bとから構成されている。円筒部3a内の中間部には、円筒状のホルダベアリングHが圧入固定されている。また、円筒部3a内の上下両側には上側および下側軸受10a,10bが固定されている。
【0012】
前記ステータ2にはロータ6が回転可能に支持される。前記ロータ6は、ヨーク7と、そのヨーク7の内周面に固着される複数のマグネット8と、前記ヨークの中心部に圧入される出力軸9とから構成される。そして、前記出力軸9が軸受10a,10bを介して前記センターピース3の中心部に回転可能に支持され、その出力軸9の先端にファン11が固定されている。
【0013】
前記モータホルダ1の下面には回路基板12が一つ若しくは複数のネジ13で固定され、その回路基板12には励磁回路を構成する多数の素子及びチョークコイル14が搭載されている。そして、励磁回路から前記巻線5に励磁電流が供給されると前記ロータ6が回転され、ロータ6の回転にともなって出力軸9が回転される。従って、巻線5に励磁電流が供給されると、出力軸9の回転とともにファン11が回転されて、送風動作が行われる。
【0014】
前記出力軸9の下端部には、円盤状のセンサマグネット15が嵌着され、前記回路基板12上において、前記センサマグネット15の外周部近傍には、ホール素子16が配設されている。そして、センサマグネット15の磁束をホール素子16で検出することによりロータ6の回転角度が検出され、その検出信号に基づいて、前記励磁回路で励磁電流が制御される。
【0015】
前記モータホルダ1には前記回路基板12を覆う下部ケース17が取着される。前記下部ケース17は、前記モータホルダ1と同様な合成樹脂で、その周囲が上方へ垂立する皿型に成形され、軽量化を図るためにモータホルダ1より薄い肉厚で形成されている。そして、前記モータホルダ1と下部ケース17との間に形成される回路素子収容部18内に多数の回路素子を備えた前記回路基板12が収容される。
【0016】
前記モータホルダ1には、前記ファン11の周囲を覆うブロワケース19が取着される。このブロワケース19の上部には、車室外あるいは車室内から空気を導入する導入ダクト(図示しない)に連なる開口部20が形成されている。前記ブロワケース19の側方には、送風ダクトに連なる送風口(図示しない)が形成される。そして、ファン11の回転に基づいて開口部20から取り入れられた空気は、ブロワケース19内を渦巻状に送風口まで案内され、送風ダクトを介して車室内あるいは空調器に案内される。
【0017】
前記ブロワケース19には前記開口部20から導入された空気の一部を分流させる分流ダクト21が形成されている。前記モータホルダ1には、前記チョークコイル14の近傍位置において、前記分流ダクト21の先端部から下方に連なる導入孔22が形成されている。
【0018】
前記導入孔22の下方において、前記下部ケース17には導入孔22を側方へ延ばす連通孔23が形成されている。また、連通孔23の、ステータ2側にはさらに下方に延びる水滴溜り24が形成されている。この水滴溜り24には、ケース17の底部から立設された側壁25が形成され、回路基板12側へ水滴が流入しないようになっている。
【0019】
前記モータホルダ1の中央部には、前記ステータ2及びロータ6の下部を収容する円筒部26が形成され、その円筒部26の前記導入孔22に対向する側面には案内孔27が形成されている。
【0020】
前記ステータ2のセンターピース3は、熱伝導率に優れた金属で形成され、その下端部には前記円筒部26の底面上を前記案内孔27側へ延設される延設部3bが形成されている。そして、延設部3bが円筒部26の底面にゴムクッション28を介してネジ29で固定されることにより、センターピース3がモータホルダ1に固定される。
【0021】
前記ヨーク7の上面には、同ヨーク7の内外を連通する複数の通気孔30が形成されている。前記回路基板12上には、巻線5に励磁電流を出力する出力トランジスタ32が配設され、その出力トランジスタ32にはヒートシンク33が取着されている。前記ヒートシンク33は、モータホルダ1の上面に露出されている。
【0022】
このように構成されたブラシレスモータでは、励磁回路から巻線5に励磁電流が供給されるとロータ6が回転され、そのロータ6の回転にともなってファン11が回転される。ファン11が回転されると、導入ダクトから導入された空気がブロワケース19を介して送風ダクトに送風される。このとき、一部の空気が分流ダクト21に案内され、導入孔22から冷却風として案内される。すると、チョークコイル14に冷却風があたり、同チョークコイル14が冷却される。
【0023】
収容部18内に案内された冷却風は、案内孔27からモータホルダ1の円筒部26内に案内される。その際、モータホルダ1と下部ケース17とで回路基板12を挟み、回路素子への冷却風の流入を阻止する遮蔽板34a,34bにより、冷却風はすべて案内孔27を通過するようになっている。すると、センターピース3の延設部3bに冷却風があたり、同センターピース3が冷却される。また、ヨーク7内に冷却風が案内されて巻線5が冷却される。
【0024】
巻線5を冷却した冷却風は通気孔30からヨーク7外へ排出される。その際、冷却風はマグネット8とコア4の間からと、コア4とセンターピース3との間に形成される通気孔31とを経て、通気孔30から排出される。また、円筒部26内に案内された冷却風の一部は、ヨーク7と円筒部26との間を経て、ヨーク7の外周面を冷却しながら、円筒部26外へ排出される。
【0025】
ブロワケース19内に吸入された空気に雨滴や雪が混入していたり、高湿度である場合には、分流ダクト21の内壁に水滴が付着することがある。このような水滴は、分流ダクト21の内壁および連通孔23の底面を伝って水滴溜り24内に滞留される。水滴溜り24内に滞留した水は、分流ダクト21に乾燥空気が導入されると、自然に蒸発する。
【0026】
図2はモータホルダ1と下部ケース17とを装着した状態を示す。尚、図1に示したブロワケース19等、一部の構成を省略し、図面の簡素化を図った。この図に示すようにモータホルダ1と下部ケース17との接合面の一部に、切欠き50を下部ケース17に設けた。図1、図4に示すように、分流ダクト21から案内される空気が通過し、遮蔽板34a,34bより上流側をダクト通気室40としている。このダクト通気室40では水滴溜り23、チョークコイル14が備わっている。ダクト通気室40内には回路基板12の一部が存在するが、遮蔽板34a,34bによって水滴等の湿気をこのダクト通気室40内で留め、回路素子を収納する回路室内への防水性を確保している。下部ケース17に設けた切欠き50はこのダクト通気室40の範囲内に設けることが望ましい。
【0027】
分流ダクト21の内壁を伝わって落下する水滴はおおむね水滴溜り23内に案内されるが、一部は分流ダクト21とモータホルダ1の接合面、さらにモータホルダ1と下部ケース17との接合面から水滴が徐々に伝っていく。すなわち、モータホルダ1と下部ケース17は完全な密着面ではなく、狭小な接合面であるため、逆に水滴の誘導作用が働くことになる。しかし、切欠きを設けたことにより途中まで伝わった水滴はこの切欠き部で落下、あるいは滞留し、自然蒸発する。これにより、回路基板、回路素子等が収納された回路ケース内に進入しようとしても、事前に水滴の進入が阻止される。
【0028】
この時、一般には水滴は下部ケース17外に落下するが、ダクト通気室40内に水滴が落下しても、分流ダクト21から導入される空気により蒸発あるいは、水滴溜り23内に溜まった水滴と同様、自然乾燥される。
【0029】
図3は、図2の切欠き部50の拡大図で、下部ケース17側に切欠き、モータホルダ1側に、一面が前記下部ケース17の切欠きの側部に当接する凸部70を設け、水滴を下方に案内している。下方に案内された水滴は切欠き50aにより、凸部70と切欠き50aの当接が離れ、空隙75を形成しているため、再び水滴が上昇することはない。その隣の切欠きはモータホルダ1と下部ケース17との両方に切欠きを形成した例で、前記例のようにモータホルダ1側に凸部はないが、モータホルダ1側の切欠き71によりモータホルダ1側に水滴が伝わるのを防ぎ、下部ケース17側の切欠き50bにより下方に自然落下するようにしている。またモータホルダ1側は平坦で、下部ケース17側のみに切欠き50cを設けても十分に水滴を落下させることができる。いずれの切欠きに達した水滴は、接合部での伝達作用が止まり、水滴は下部ケース17側に落下する。このように、一度落下した水滴は切欠きの壁部を再び上昇してまたモータホルダ1と下部ケース17との接合面に伝わることはない。
【0030】
また、図5に示すように、モータホルダ補強用リブ80の一部に切欠き81を設けた。この図はモータホルダ1に下部ケース17が装着された状態で、図1、図2の下方向から見た図である。モータホルダ1には複数個所の補強用リブが形成されている。図6は補強用リブ80に設けた切欠き81の拡大図である。この例は、下部ケース17にコネクタ端子90が設けられ、図示しないカプラが差し込まれる。洗車あるいは大雨等によってモータホルダ1のブロワケース19の受け部から水滴の一部が伝わった場合、モータホルダ1の外周面から裏面の補強用リブ80へと誘導される。しかし、補強用リブ80に設けた切欠き部によって水滴は補強用リブ80から下方に落下、あるいは水分の量が少ない場合はその切欠き部81に滞留し、コネクタ端子90と回路素子等が収納された下部ケース17方向への水滴の伝わりが阻止される。また図7のように、補強用リブ80の近傍にコネクタ端子等が存在しなく、カプラ等の干渉の心配がない場合は、切欠きの他、水滴誘導用の突起部82を設けてもよい。これらの実施例では、切欠き、及び空隙は3ミリ以上の幅としている。水滴が完全に伝わらないようにするには、このように3ミリ以上の幅であることが望ましい。
【0031】
上記のように構成されたブラシレスレスモータでは、次に示す作用効果を得ることができる。
(1)分流ダクト21等から、モータホルダ1と下部ケース17との接合面に水滴が伝わっても、回路素子等を収納した空間に水滴が伝わる前、すなわちダクト通気室近傍で落下させるので、回路素子、回路基板に水滴がかかるのを未然に防止できる。
(2)モータホルダ1のブロワケース19の受け部から水滴の一部が伝わった場合でも、補強用リブ80に設けた切欠き部81または凸部82によって水滴は補強用リブ80から下方に落下、あるいは水分の量が少ない場合はその切欠き部に滞留し、回路素子等が収納された下部ケース17方向への水滴の伝わりが阻止され、回路素子、回路基板に水滴がかかるのを未然に防止できる。
【発明の効果】
以上詳述したように、この発明は回路素子、回路基板を収納した下部ケース内の防水性を向上させたブラシレスモータを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のブラシレスモータ全体を示す断面図。
【図2】 一実施の形態のブラシレスモータ側面図。
【図3】 本発明の要部拡大図。
【図4】 ブラシレスモータの内部構造を示す平面図
【図5】 モータホルダに下部ケースを装着した状態を示すブラシレスモータ底面図。
【図6】 図5の切欠き部を示す要部拡大図。
【図7】 他の実施形態の部分拡大図
【符号の説明】
1…モータホルダ、2…ステータ、3…センターピース、4…コア、5…巻線、6…ロータ、11…ファン、12…回路基板、14…チョークコイル、17…下部ケース、19…ブロワケース、21…分流ダクト。50、71…切欠き、70…凸部、80…補強リブ、81…切欠き部、82…凸部

Claims (2)

  1. モータホルダ(1)にステータ(2)を固定し、前記ステータ(2)にロータ(6)を回転可能に支持し、前記ステータ(2)に励磁電流を供給する励磁回路を搭載した回路基板(12)を前記モータホルダ(1)に取着し、前記回路基板(12)を覆うケース(17)を前記モータホルダ(1)に取着し、前記励磁電流に基づいて前記ロータ(6)を回転駆動するブラシレスモータにおいて、
    前記モータホルダ(1)と前記ケース(17)との接合部で、水滴を逃がす切欠き(50)を前記ケース(17)側に設け、
    前記モータホルダ(1)に取着されたファン(11)の周囲を覆うブロワケース(19)の上部に形成された開口部(20)から導入された空気の一部を分流させる分流ダクト(21)先端部から下方に連なり、前記ケース(17)側に設けた切欠き(50a)の導入孔(22)側の側面に当接させ、反対側に空隙を設け、水滴を下方に誘導する凸部(70)を前記モータホルダ(1)に設けたことを特徴とするブラシレスモータ。
  2. 前記ケース(17)に設けた切欠き(50)と同位置で、モータホルダ(1)側に切欠き(71)を形成し、モータホルダ(1)側に水滴が伝わるのを防ぎ、下部ケース(17)側の切欠き(50b)により下方に自然落下するように形成したことを特徴とする請求項1記載のブラシレスモータ。
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