JP3971300B2 - 電気機械的に操作可能なディスクブレーキ用の操作ユニット - Google Patents

Description

【０００１】
本発明は、操作ユニットがブレーキキャリパに配置され、このブレーキキャリパ内に、ブレーキディスクの各々１つの側面と協働する２個のディスクパッドが制限的に摺動可能に配置され、ディスクパッドの一方が回転防止された操作要素を用いて操作ユニットによってブレーキディスクに直接作用可能であり、他方のディスクパッドがブレーキキャリパによって加えられる反力の作用によってブレーキディスクに作用可能であり、操作ユニットが少なくとも電動機と、この電動機と前記操作要素の間に作用的に配置された減速装置とからなっている、電気機械的に操作可能な自動車用ディスクブレーキのための操作ユニットに関する。
【０００２】
このような電気機械式操作ユニットは、国際出願ＷＯ９９／４２７３９によって知られている。この公知の操作ユニットの場合、操作ユニットがローラねじ装置のねじ付きナットとして形成されている。このローラねじ装置は減速装置として使用され、そのねじ付きスピンドルは電動機によって駆動される。ねじ付きナットの回転防止は半径方向の突起によって行われる。この突起は軸受板の半円状の開口に挿入されている。軸受板はねじ付きナットとねじ付きスピンドルのための軸受個所を形成している。
【０００３】
公知の操作ユニットの場合、操作要素の上記の回転防止が操作ユニットのモジュール構造に適していないかあるいは使用される減速装置が検査不可能であるという欠点がある。更に、特に軸受板とねじ付きナットのコストのかかる製作によって、コストが比較的に高くつくという欠点がある。他の欠点として、軸受板内で軸方向突起が挟持されて動かなくなる危険が、特に締付け力増大の初期相で発生し、それに伴い効率の低下が生じることが挙げられる。
【０００４】
そこで、本発明の課題は、減速装置を独立して検査可能である、冒頭に述べた種類の電気機械式操作ユニットを提供することである。更に、挟持されて動かなくなる上記危険を充分に除去し、操作ユニット全体の軸方向長さを最小限に抑えるべきである。
【０００５】
この課題は本発明に従い、操作要素の回転を防止する手段が減速装置を収容する減速装置ケーシング内に配置されていることによって形成される。
【０００６】
本発明対象の有利な実施形では、手段が円筒ころと、減速装置ケーシングまたは操作要素に形成された溝とによって形成されている。
【０００７】
その際、円筒ころが操作要素を半径方向から取り囲むすべり軸受内に保持されていると特に有利である。
【０００８】
本発明対象の他の有利な実施形では、手段が操作要素の外面の成形部と、減速装置ケーシング内に回転しないように配置された操作要素を収容するすべり軸受の対応する内側の成形部とによって形成されている。
【０００９】
その際、すべり軸受は好ましくは半径方向の突起を備え、この突起は減速装置ケーシングに形成された凹部または溝によって収容されている。
【００１０】
本発明対象の他の実施形では、操作要素の外面の成形部と、すべり軸受の内側の成形部との横断面が多角形に形成されている。
【００１１】
更に、減速装置がボールねじ装置として形成され、操作要素がボールねじ装置のねじ付きナットによって形成されていると特に有利である。
【００１２】
添付の図面を参照した、２つの実施の形態の次の記載において、本発明を詳しく説明する。
【００１３】
図に示した、本発明の電気機械式操作ユニットは、フローティングキャリパ式ディスクブレーキを操作する働きをする。このディスクブレーキの概略的に示したブレーキキャリパは、固定されたホルダー２９に摺動可能に支持されている。対をなしたディスクパッド４，５は、ブレーキディスク６の左側の側面と右側の側面に向くようにブレーキキャリパ内に配置されている。
【００１４】
次に、図において右側に示したディスクパッド４を第１のディスクパッドと呼び、５で示した他のディスクパッドを第２のディスクパッドと呼ぶ。第１のディスクパッド４が操作要素７を用いて操作ユニットによって摩擦ディスク６に直接的に作用可能であるのに対し、第２のディスクパッド５は、装置の操作時にブレーキキャリパによって加えられる反力の作用によって、ブレーキディスク６の反対側の側面に押し付けられる。
【００１５】
図示していない固定手段によってブレーキキャリパに取付けられた本発明による操作ユニットは、モジュール構造であり、実質的に３個の独立したサブアセンブリまたはモジュール、すなわち駆動ユニット１と、第１のディスクパッド４を操作する第１の減速装置２と、駆動ユニット１と第１の減速装置２の間に作用的に接続配置された第２の減速装置３とからなっている。
【００１６】
上記の駆動ユニット１は電動機１１を備えている。この電動機は図示した例では、永久磁石励磁式および電子整流式モータとして形成されている。このモータのステータ９はモータケーシング１２内に動かないように配置され、そのロータ１０はリング状の支持体１３によって形成されている。この支持体は複数の永久磁石セグメント１４を支持している。電動機１１と前述の操作要素７の間には、第１の減速装置２が作用的に配置されている。この減速装置は図示した例ではボールねじ装置１６〜１８として形成されている。このボールねじ装置は前述のブレーキキャリパと一体に形成可能な部分１９に支承されている。その際、ボールねじ装置はねじ付きナット１６とねじ付きスピンドル１７からなり、このねじ付きナット１６とねじ付きスピンドル１７の間に多数のボール１８が配置されている。このボールはねじ付きスピンドル１７の回転運動時に循環し、ねじ付きナット１６を軸方向運動または並進運動させる。その際、ねじ付きナット１６は好ましくは前述の操作要素７を形成している。図から更に判るように、第２の減速装置３を介して電動機１１によって駆動されるねじ付きスピンドル１７は三つの部分から形成されている。すなわち、ねじ付きナット１６と協働する管状の第１のスピンドル部分２０と、リング状の第２のスピンドル部分２１と、第２の減速装置３と協働する第３のスピンドル部分２２とからなっている。第１のスピンドル部分２０はねじ付きナット１６と共に、らせん状のねじ溝２３を画成している。このねじ溝内をボール１８が循環する。
【００１７】
その際好ましくは、電動機１１のロータ１０が第２の減速装置３を介してねじ付きスピンドル１７を駆動し一方、ねじ付きナット１６が第１のディスクパッド４に支持されている。２個のラジアル軸受８，１５がロータ１０を支承する働きをする。このラジアル軸受はモータケーシング１２内に配置されているかまたは軸方向においてモータケーシング１２に支持された軸受板２５内に配置されている。
【００１８】
図に示した本発明の実施の形態の場合、必要なモータトルクの低減は、遊星歯車装置３０〜３４の合目的な統合によって達成される。この遊星歯車装置は前述の第２の減速装置３を形成している。作用的にロータ１０とねじ付きスピンドル１７の間に配置された遊星歯車装置は、好ましくはロータ１０に形成され外歯を有する範囲２６によって形成された太陽歯車３０と、２個だけが示されている複数の段付き遊星歯車３１，３２と、内歯歯車３３とからなっている。内歯歯車３３は遊星歯車装置のケーシングを形成するカバー２６の内歯範囲によって形成されている。
【００１９】
第３のスピンドル部分２２は好ましくは連結軸４０によって、第２の減速装置３の遊星保持器３６に連結されている。その際、連結軸４０の両端と、この両端を収容する、第３のスピンドル部分２２と遊星保持器３６の範囲とが、２個の自在継手４１，４２を形成するように形成されていると特に有利である。
【００２０】
図１から更に判るように、ロータ１０は半径方向のカラー３４を備えている。このカラーは図示していない位置検出システム３５の構成要素を支持している。この位置検出システムによって、ロータ１０の現在の位置が検出される。位置情報はホールセンサまたは磁気抵抗要素によって検出される。
【００２１】
その際、前述のボールねじ装置は、そのねじ付きナット１６が適当な手段によって回転しないように、鉢状の減速装置ケーシング２４内に収納されている。参照符号２７で示した回転防止手段は第１のディスクパッド４寄りの減速装置ケーシング２４の範囲にある。ねじ付きナット１６と減速装置ケーシング２４の間に挟まれた弾性的なシールまたはシールスリーブ２８は、ボールねじ装置の内部へのごみの侵入を防止する。
【００２２】
回転防止手段の構造は特に図２から明らかである。分解図から判るように、ねじ付きナット１６はその円筒状の表面に、複数の軸方向溝４３を備えている。一方、減速装置ケーシング２４の内壁には、対応する形の溝４４が形成されている。溝４３，４４はボールねじ装置１６〜１８の組立て状態で、円筒ころ４５を収容する。この円筒ころは所望な作用を保証し、リング状のすべり軸受３７内に保持される。
【００２３】
図３に示した減速装置の第２の実施の形態の場合、前述の回転防止手段は、当該の要素の適当な形状によって形成されている。そのために、操作要素７またはねじ付きナット１６０の表面は、横断面が多角形の成形部３８を備えている。半径方向の突起４６を備えたリング状のすべり軸受３９は、組立て状態で減速装置ケーシング２４０内に回転しないように保持されている。このすべり軸受は成形部３８に対応する内側成形部４７を有する。このような回転防止手段の作用は容易に判るので、これ以上説明しない。
【図面の簡単な説明】
【図１】 本発明による電気機械式操作ユニットの実施の形態の軸方向断面図である。
【図２】 図１の本発明による操作ユニットで使用される減速装置を簡略化して示す図である。
【図３】 減速装置の他の実施の形態を簡略化して示す図である。
【符号の説明】
１ 駆動ユニット
２ 減速装置
３ 減速装置
４ ディスクパッド
５ ディスクパッド
６ ブレーキディスク
７ 操作要素
８ ラジアル軸受
９ ステータ
１０ ロータ
１１ 電動機
１２ 電動機ケーシング
１３ 支持体
１４ 永久磁石セグメント
１５ ラジアル軸受
１６ ねじ付きナット
１７ ねじ付きスピンドル
１８ ボール
１９ 部分
２０ スピンドル部分
２１ スピンドル部分
２２ スピンドル部分
２３ ねじ溝
２４ 減速装置ケーシング
２５ 軸受板
２６ カバー
２７ 回転防止手段
２８ シール
３０ 太陽歯車
３１ 遊星歯車
３２ 遊星歯車
３３ 内歯歯車
３４ カラー
３５ 位置検出システム
３６ 遊星保持器
３７ すべり軸受
３８ 成形部
３９ すべり軸受
４０ 連結軸
４１ 自在継手
４２ 自在継手
４３ 軸方向溝
４４ 溝
４５ 円筒ころ
４６ 突起
４７ 内側成形部
１６０ ねじ付きナット
１７０ ねじ付きスピンドル
２４０ 減速装置ケーシング

Claims (6)

1. 操作ユニットがブレーキキャリパに配置され、このブレーキキャリパ内に、ブレーキディスク（６）の各々１つの側面と協働する２個のディスクパッド（４，５）が制限的に摺動可能に配置され、ディスクパッド（４，５）の一方（４）が回転防止された操作要素（７）を用いて操作ユニットによってブレーキディスク（６）に直接作用可能であり、他方のディスクパッド（５）がブレーキキャリパによって加えられる反力の作用によってブレーキディスク（６）に作用可能であり、操作ユニットが少なくとも電動機（１１）と、この電動機（１１）と前記操作要素（７）の間に作用的に配置された減速装置（２）とからなっている、電気機械的に操作可能な自動車用ディスクブレーキのための操作ユニットにおいて、
   操作要素（７または１６）の回転を防止する手段（２７）が減速装置（２）を収容する減速装置ケーシング（２４）内に配置されていること、および、
   前記手段が円筒ころ（４５）と、減速装置ケーシング（２４）または操作要素（２または１６）に形成された溝（４４または４３）とによって形成されていること、
   を特徴とする操作ユニット。
2. 円筒ころ（４５）が操作要素（７または１６）を半径方向から取り囲むすべり軸受（３７）内に保持されていることを特徴とする請求項１記載の操作ユニット。
3. 操作ユニットがブレーキキャリパに配置され、このブレーキキャリパ内に、ブレーキディスク（６）の各々１つの側面と協働する２個のディスクパッド（４，５）が制限的に摺動可能に配置され、ディスクパッド（４，５）の一方（４）が回転防止された操作要素（７）を用いて操作ユニットによってブレーキディスク（６）に直接作用可能であり、他方のディスクパッド（５）がブレーキキャリパによって加えられる反力の作用によってブレーキディスク（６）に作用可能であり、操作ユニットが少なくとも電動機（１１）と、この電動機（１１）と前記操作要素（７）の間に作用的に配置された減速装置（２）とからなっている、電気機械的に操作可能な自動車用ディスクブレーキのための操作ユニットにおいて、
   操作要素（７または１６０）の回転を防止する手段（３８、４７）が減速装置（２）を収容する減速装置ケーシング（２４０）内に配置されていること、および、
   前記手段が操作要素（７または１６０）の外面の成形部（３８）と、減速装置ケーシング（２４０）内に回転しないように配置された操作要素（７または１６０）を収容するすべり軸受（３９）の対応する内側の成形部（４７）とによって形成されていることを特徴とする操作ユニット。
4. すべり軸受（３９）が半径方向の突起（４６）を備え、この突起が減速装置ケーシング（２４０）に形成された凹部または溝によって収容されていることを特徴とする請求項３記載の操作ユニット。
5. 操作要素（７または１６０）の外面の成形部（３８）と、すべり軸受（３９）の内側の成形部（４７）との横断面が多角形に形成されていることを特徴とする請求項３または４記載の操作ユニット。
6. 減速装置がボールねじ装置（１６〜１８）として形成されていることと、操作要素（７）がボールねじ装置（１６〜１８）のねじ付きナット（１６）によって形成されていることを特徴とする請求項１〜５のいずれか一つに記載の操作ユニット。

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