JP2007127205A - 電動式直動アクチュエータおよび電動式ブレーキ装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】電動モータのロータ軸と外輪部材との間で遊星ローラを自転させながら公転させて、ロータ軸の回転運動を遊星ローラの直線運動に変換する直動アクチュエータにおいて、ロータ軸を安定して保持するとともに、各遊星ローラに伝達駆動力を均等に配分できるようにすることである。
【解決手段】電動モータ2のロータ軸2aの外径面と外輪部材3の内径面との間に介在させる遊星ローラ4の個数を3個とすることにより、ロータ軸2aを3個の遊星ローラ4の公転中心に安定して保持するとともに、遊星ローラ4間に寸法誤差があっても各遊星ローラ4のしめ代が自然に均等化されるようにし、各遊星ローラ4に伝達駆動力を均等に配分できるようにした。
【選択図】図2
【解決手段】電動モータ2のロータ軸2aの外径面と外輪部材3の内径面との間に介在させる遊星ローラ4の個数を3個とすることにより、ロータ軸2aを3個の遊星ローラ4の公転中心に安定して保持するとともに、遊星ローラ4間に寸法誤差があっても各遊星ローラ4のしめ代が自然に均等化されるようにし、各遊星ローラ4に伝達駆動力を均等に配分できるようにした。
【選択図】図2
Description
本発明は、電動モータの回転運動を直線運動に変換して被駆動物を直線駆動する電動式直動アクチュエータと、電動式直動アクチュエータを用いてブレーキ部材を被制動部材に押圧する電動式ブレーキ装置に関する。
電動モータの回転運動を直線運動に変換して被駆動物を直線駆動する電動式直動アクチュエータには、運動変換機構としてボールねじ機構やボールランプ機構を採用したものが多く、小容量の電動モータで大きな直線駆動力が得られるように、遊星歯車減速機構等の歯車減速機構を組み込んだものが多い(例えば、特許文献1参照)。
一方、車両用ブレーキ装置としては油圧式のものが多く採用されてきたが、近年、ABS(Antilock Brake System)等の高度なブレーキ制御の導入に伴い、これらの制御を複雑な油圧回路なしに行うことができ、コンパクトに設計できる電動式ブレーキ装置が注目されている。電動式ブレーキ装置は、ブレーキペダルの踏み込み信号等で電動モータを作動させ、上述したような電動式直動アクチュエータをキャリパボディに組み込んでブレーキ部材を被制動部材に押圧するものである(例えば、特許文献2参照)。
通常、電動式ブレーキ装置は車両のばね下に取り付けられるので、路面からの振動を受けても安定して作動し、かつ、コンパクトに設計できるものが望まれる。
上述した従来の電動式直動アクチュエータに採用されているボールねじ機構やボールランプ機構は、リードを有するねじ筋や傾斜カム面に沿わせる運動変換機構によって、ある程度の増力機能も有するが、電動式ブレーキ装置等で必要とされるような大きな増力機能は確保できない。すなわち、これらの増力機能を大きくするためには、ねじのリード角やカム面の傾斜角を小さくすればよいが、ボールねじ機構の場合は、ねじのリード角を小さくするとボール径が小さくなり、負荷容量が低下する。また、ボールランプ機構の場合は、カム面の傾斜角を小さくすると直線運動のストロークを十分に確保できない。
このため、これらの運動変換機構を採用した電動式直動アクチュエータでは、上述したような別途の減速機構を組み込んで駆動力を増力しているが、遊星歯車減速機構等の歯車減速機構を組み込むことは、電動式直動アクチュエータのコンパクトな設計を阻害するのみでなく、歯車減速機構は狭い接触面積で歯車同士が噛み合うので、電動式ブレーキ装置のように路面からの振動を受ける部位に取り付けられるものでは、歯車が損傷しやすい問題がある。
このような問題に対して、本出願人は、別途の減速機構を組み込むことなく大きな増力機能を確保できる電動式直動アクチュエータとして、電動モータのロータ軸の外径面と、このロータ軸の外径側に固定された外輪部材の内径面との間に複数の遊星ローラを介在させて、これらの各遊星ローラがロータ軸の回転に伴ってロータ軸の周りを自転しながら公転するようにし、ロータ軸の外径面または外輪部材の内径面に螺旋凸条を設け、各遊星ローラの外径面に、螺旋凸条と等ピッチで螺旋凸条が嵌まり込む周方向溝、あるいは、螺旋凸条と等ピッチでリード角が異なり螺旋凸条が嵌まり込む螺旋溝を設けて、ロータ軸の周りを自転しながら公転する各遊星ローラを軸方向へ相対移動させ、ロータ軸の回転運動を各遊星ローラの直線運動に変換する機構を先に提案している(特願2005−6714、特願2005−217429)。
上述した各機構では、複数の遊星ローラをロータ軸と外輪部材の間にしめ代を付与して圧入する必要があるが、遊星ローラの個数が2個の場合は、ロータ軸を遊星ローラの公転中心に安定して保持することが難しい。また、遊星ローラの個数が4個以上になると、遊星ローラ間の僅かな寸法誤差で各遊星ローラのしめ代がばらつき、各遊星ローラに伝達駆動力を均等に配分することが難しくなる。伝達駆動力が各遊星ローラに均等に配分されないと、被駆動物に偏荷重が作用する恐れがある。
そこで、本発明の課題は、上述した電動モータのロータ軸と外輪部材との間で遊星ローラを自転させながら公転させて、ロータ軸の回転運動を遊星ローラの直線運動に変換する直動アクチュエータにおいて、ロータ軸を安定して保持するとともに、各遊星ローラに伝達駆動力を均等に配分できるようにすることである。
上記の課題を解決するために、本発明の電動式直動アクチュエータは、電動モータのロータ軸の外径面と、このロータ軸の外径側に固定された外輪部材の内径面との間に複数の遊星ローラを介在させて、これらの各遊星ローラが前記ロータ軸の回転に伴ってロータ軸の周りを自転しながら公転するようにし、前記ロータ軸の外径面または前記外輪部材の内径面に螺旋凸条を設け、前記各遊星ローラの外径面に、前記螺旋凸条と等ピッチで、この螺旋凸条が嵌まり込む周方向溝を設けて、前記ロータ軸の周りを自転しながら公転する各遊星ローラを軸方向へ相対移動させ、前記ロータ軸の回転運動を前記各遊星ローラの直線運動に変換して、被駆動物を直線駆動する電動式直動アクチュエータにおいて、前記ロータ軸の外径面と外輪部材の内径面との間に介在させる遊星ローラの個数を3個とした構成を採用した。
また、本発明の電動式直動アクチュエータは、電動モータのロータ軸の外径面と、このロータ軸の外径側に固定された外輪部材の内径面との間に複数の遊星ローラを介在させて、これらの各遊星ローラが前記ロータ軸の回転に伴ってロータ軸の周りを自転しながら公転するようにし、前記ロータ軸の外径面または前記外輪部材の内径面に螺旋凸条を設け、前記各遊星ローラの外径面に、前記螺旋凸条と等ピッチでリード角が異なり、この螺旋凸条が嵌まり込む螺旋溝を設けて、前記ロータ軸の周りを自転しながら公転する各遊星ローラを軸方向へ相対移動させ、前記ロータ軸の回転運動を前記各遊星ローラの直線運動に変換して、被駆動物を直線駆動する電動式直動アクチュエータにおいて、前記ロータ軸の外径面と外輪部材の内径面との間に介在させる遊星ローラの個数を3個とした構成も採用した。
すなわち、ロータ軸の外径面と外輪部材の内径面との間に介在させる遊星ローラの個数を3個とすることにより、ロータ軸を3個の遊星ローラの公転中心に安定して保持するとともに、遊星ローラ間に寸法誤差があっても各遊星ローラのしめ代が自然に均等化されるようにし、各遊星ローラに伝達駆動力を均等に配分できるようにした。
また、本発明の電動式ブレーキ装置は、電動モータの回転運動を直線運動に変換してブレーキ部材を直線駆動する電動式直動アクチュエータを備え、前記直線駆動されるブレーキ部材を被制動部材に押圧する電動式ブレーキ装置において、前記電動式直動アクチュエータに上述したいずれかの電動式直動アクチュエータを用いることにより、別途の減速機構を組み込むことなく、かつ、ブレーキ部材に偏荷重を作用させずに、大きな直線駆動力でブレーキを作動できるようにした。
本発明の電動式直動アクチュエータは、ロータ軸の外径面と外輪部材の内径面との間に介在させる遊星ローラの個数を3個としたので、ロータ軸を3個の遊星ローラの公転中心に安定して保持できるとともに、遊星ローラ間に寸法誤差があっても各遊星ローラに伝達駆動力を均等に配分でき、被駆動物に偏荷重が作用しないように大きな駆動力で直線駆動することができる。
本発明の電動式ブレーキ装置は、電動式直動アクチュエータに上述した電動式直動アクチュエータを用いたので、別途の減速機構を組み込むことなく、かつ、ブレーキ部材に偏荷重を作用させずに、大きな直線駆動力でブレーキを作動させることができる。
以下、図面に基づき、本発明の実施形態を説明する。図1乃至図4は、第1の実施形態の電動式直動アクチュエータを示す。この電動式直動アクチュエータは、図1および図2に示すように、円筒状のケーシング1の一端側に電動モータ2が内嵌され、ケーシング1の他端側に内嵌された外輪部材3の内径面と、外輪部材3の中心に延出した電動モータ2のロータ軸2aの外径面との間に、しめ代を付与されて3個の遊星ローラ4が介在し、これらの遊星ローラ4がロータ軸2aの回転に伴って、その周りを自転しながら公転するようになっている。
図3(a)に示すように、前記各遊星ローラ4が転接する外輪部材3の内径面には2条の螺旋溝5が設けられ、各螺旋溝5に角形断面の条部材6が周着されて、これらの条部材6で外輪部材3の内径面に2条の螺旋凸条が形成されている。また、図3(b)に示すように、前記各遊星ローラ4の外径面には、前記螺旋凸条が嵌まり込み、螺旋凸条と等ピッチでリード角の異なる1条の螺旋溝7が設けられている。なお、外輪部材3の螺旋凸条を2条の多条螺旋としたのは、遊星ローラ4の螺旋溝7とのリード角の差の設定自由度を大きくするためであり、螺旋凸条は1条のものとしてもよい。また、図3(a)、(b)に示された螺旋凸条と螺旋溝7の螺旋の向きは、互いに逆向きになっているように見えるが、図3(a)に示された螺旋凸条は、図3(b)に示された螺旋溝7の裏側の部分に螺合するので、両者の螺旋の向きは同じである。
図4に示すように、前記螺旋溝7は台形断面とされ、リード角の異なる角形断面の条部材6で形成された螺旋凸条がスムーズに螺合するようになっている。したがって、ロータ軸2aの周りを自転しながら公転し、その螺旋溝7が外輪部材3の螺旋凸条と螺合する遊星ローラ4は、螺旋凸条と螺旋溝7とのリード角の差によって軸方向へ直線運動する。
図1および図2に示したように、前記各遊星ローラ4は、ロータ軸2aに外嵌されたキャリヤ8の支持軸8aに針状ころ軸受9で回転自在に支持され、その自転がスラスト玉軸受10でキャリヤ8に支持されている。また、各遊星ローラ4と一緒に公転するキャリヤ8には直線駆動部材11がスラスト玉軸受12で支持され、各遊星ローラ4の直線運動がキャリヤ8を介して直線駆動部材11に伝達されるようになっている。なお、アクチュエータの内部は、直線駆動部材11の外径側が外輪部材3との間に装着されたブーツ13でシールされ、ロータ軸2aが貫通する直線駆動部材11の内径側は、膜状シール14でシールされている。
図5は、上述した電動式直動アクチュエータを採用した電動式ブレーキ装置を示す。この電動式ブレーキ装置は、キャリパボディ21の内部で被制動部材としてのディスクロータ22の両側に、ブレーキ部材としてのブレーキパッド23を対向配置したディスクブレーキであり、キャリパボディ21に電動式直動アクチュエータのケーシング1が固定され、その直線駆動部材11でブレーキパッド23がディスクロータ22に押圧されるようになっている。なお、直線駆動部材11は押圧する側のブレーキパッド23にキー24で回り止めされている。
図6および図7は、第2の実施形態の電動式直動アクチュエータを示す。この電動式直動アクチュエータは、基本的な構成は第1の実施形態のものと同じであり、前記外輪部材3の内径面の螺旋凸条が1条のものとされ、前記3個の遊星ローラ4の外径面の螺旋溝7が、この螺旋凸条と等ピッチで設けられた周方向溝7aとされている点が異なる。この実施形態でも、ロータ軸2aの周りを自転しながら公転する各遊星ローラ4は、その周方向溝7aと外輪部材3の螺旋凸条との係合によって軸方向へ直線運動する。
1 ケーシング
1a 段差部
2 電動モータ
2a ロータ軸
3 外輪部材
4 遊星ローラ
5 螺旋溝
6 条部材
7 螺旋溝
7a 周方向溝
8 キャリヤ
8a 支持軸
9 針状ころ軸受
10 スラスト玉軸受
11 直線駆動部材
12 スラスト玉軸受
13 ブーツ
14 膜状シール
21 キャリパボディ
22 ディスクロータ
23 ブレーキパッド
24 キー
1a 段差部
2 電動モータ
2a ロータ軸
3 外輪部材
4 遊星ローラ
5 螺旋溝
6 条部材
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7a 周方向溝
8 キャリヤ
8a 支持軸
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11 直線駆動部材
12 スラスト玉軸受
13 ブーツ
14 膜状シール
21 キャリパボディ
22 ディスクロータ
23 ブレーキパッド
24 キー
Claims (3)
- 電動モータのロータ軸の外径面と、このロータ軸の外径側に固定された外輪部材の内径面との間に複数の遊星ローラを介在させて、これらの各遊星ローラが前記ロータ軸の回転に伴ってロータ軸の周りを自転しながら公転するようにし、前記ロータ軸の外径面または前記外輪部材の内径面に螺旋凸条を設け、前記各遊星ローラの外径面に、前記螺旋凸条と等ピッチで、この螺旋凸条が嵌まり込む周方向溝を設けて、前記ロータ軸の周りを自転しながら公転する各遊星ローラを軸方向へ相対移動させ、前記ロータ軸の回転運動を前記各遊星ローラの直線運動に変換して、被駆動物を直線駆動する電動式直動アクチュエータにおいて、前記ロータ軸の外径面と外輪部材の内径面との間に介在させる遊星ローラの個数を3個としたことを特徴とする電動式直動アクチュエータ。
- 電動モータのロータ軸の外径面と、このロータ軸の外径側に固定された外輪部材の内径面との間に複数の遊星ローラを介在させて、これらの各遊星ローラが前記ロータ軸の回転に伴ってロータ軸の周りを自転しながら公転するようにし、前記ロータ軸の外径面または前記外輪部材の内径面に螺旋凸条を設け、前記各遊星ローラの外径面に、前記螺旋凸条と等ピッチでリード角が異なり、この螺旋凸条が嵌まり込む螺旋溝を設けて、前記ロータ軸の周りを自転しながら公転する各遊星ローラを軸方向へ相対移動させ、前記ロータ軸の回転運動を前記各遊星ローラの直線運動に変換して、被駆動物を直線駆動する電動式直動アクチュエータにおいて、前記ロータ軸の外径面と外輪部材の内径面との間に介在させる遊星ローラの個数を3個としたことを特徴とする電動式直動アクチュエータ。
- 電動モータの回転運動を直線運動に変換してブレーキ部材を直線駆動する電動式直動アクチュエータを備え、前記直線駆動されるブレーキ部材を被制動部材に押圧する電動式ブレーキ装置において、前記電動式直動アクチュエータに請求項1または2に記載の電動式直動アクチュエータを用いたことを特徴とする電動式ブレーキ装置。
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JP2005320994A JP2007127205A (ja) | 2005-11-04 | 2005-11-04 | 電動式直動アクチュエータおよび電動式ブレーキ装置 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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-
2005
- 2005-11-04 JP JP2005320994A patent/JP2007127205A/ja active Pending
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