JP3968869B2 - 成膜処理方法及び成膜処理装置 - Google Patents

成膜処理方法及び成膜処理装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、成膜方法及び成膜処理装置に係り、特に3つ以上の元素を含む処理ガスで高・強誘電体複合材料薄膜を成膜するに適する成膜処理方法及び成膜処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、半導体デバイスを製造するには、半導体ウエハに成膜処理やパターンエッチング処理を繰り返し行なって所望のデバイスを製造するが、中でも成膜技術は半導体デバイスが高密度化及び高集積化するに伴ってその仕様が年々厳しくなっており、例えばデバイス中のキャパシタの絶縁膜やゲート絶縁膜のように非常に薄い酸化膜などに対しても更なる薄膜化が要求され、これと同時に更に高い絶縁性が要求されている。
【0003】
これらの絶縁膜としては、シリコン酸化膜やシリコンナイトライド膜等を用いることができるが、最近にあっては、より絶縁特性の良好な材料として、2種以上の金属元素を含む複合材料により、高・強誘電体薄膜を形成することが提案されている。この高・強誘電体薄膜を形成するには、金属元素を含む複数の有機化合物をガス化し、これを同時に処理容器内へ供給して例えばCVD(Chemical Vapor Deposition)成膜することにより複合材料薄膜を形成する。
【0004】
図8は複合材料薄膜を形成するための従来の成膜処理装置を示す概略構成図である。図中、2は内部に半導体ウエハWを載置する載置台4を収容する処理容器であり、この天井部には処理ガスを内部へ導入するシャワーヘッド部6が設けられ、底部には処理済みガスを排気する排気口8が設けられる。この排気口8には、途中に処理済み排ガスから副生成物を除去するトラップ10、容器内圧力を調整する圧力調整弁12を介設した排気通路14が接続され、この排気通路14を介して処理容器2内は真空ポンプ(図示せず)により真空引きされる。
【0005】
ここでは複合材料薄膜として(Ba、Sr)TiO3 薄膜(これをBST薄膜と称す)を形成する場合を例にとって説明するが、上記Ba、Sr及びTiのソースとしてBa(thd)2 [Bis(tetramethylheptanedionato)barium,Ba(C111922 ]と、Sr(thd)2 [Bis(tetramethylheptanedionato)strontium,Sr(C111922 ]と、Ti(O−iPr)2 (thd)2 [Bis(isoproppoxy)bis((tetramethylheptanedionato)titanium,Ti(C37 O)2 (C111922 ]或いはTiO(thd)2 [Bis(tetramethylheptanedionato)oxotitanium]をそれぞれブチル酢酸或いはTHF(Tetrahydrofuran)溶液に溶かして使う。上記の原料を液状態で混合させ、これを気化器で気化させてから処理容器内へ供給する。また、酸化ガスとして酸素(O2 )を、キャリアガスとしてアルゴン(Ar)も供給する。
【0006】
そのため、それぞれ液状のBa(thd)2 とSr(thd)2 とTi(O−iPr)2 (thd)2 或いはTiO(thd)2 とを貯留するタンク16、18、20を有し、内部の液体をArガスで圧送できるようになっている。圧送された各液体は、液体ポンプ22で混合されてこれを更に圧送し、気化器24にキャリアガスとしてArガスで気化させて上記シャワーヘッド部6へ供給し、これより処理容器2内へ噴射するようになっている。シャワーヘッド部6には別途、酸化ガスとして酸素を、Arガスに随伴させて供給できるようになっている。尚、気化後のガスが通る通路には、気化ガスの再液化を防止するために、加熱手段としてテープヒータ26が巻回されている。
【0007】
上記各タンク16、18、20から圧送された液状の各原料は液体ポンプ22で混合されて気化器24にて気化され、この原料ガスはシャワーヘッド部6にて酸素及びアルゴンガスと混合された後に、内径が1〜2mm程度の細いガス噴射孔を通って、ウエハ上部の20〜50mmのところから、ウエハ面にシャワー状に噴射される。原料ガスである処理ガスは、ウエハの表面に吹き付けられてから、載置台4の下方にある排気口8を通って、排気される。
酸素とアルゴンガスの流量はそれぞれ1〜5SLM、Ba、SrとTiソースの供給量はそれぞれ0.1〜0.2ml/minである。また、CVD成膜のプロセス圧力は0.1〜1torr(13.3〜133.3Pa)下で行なわれ、プロセス温度は、400〜600℃の範囲内であり、例えば載置台4に内蔵したセラミックヒータで加熱する。このようにして、BST複合材料薄膜をウエハ上に成膜する。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、この種の基板加熱型のCVD成膜を行なう場合、膜厚の面内均一性を得ることは歩留り向上等の上から非常に重要であり、一般に、膜厚の面内均一性を得るため、シャワーヘッド部6のガス噴射孔は均一になされており、ウエハ表面に処理ガスを均等に供給するようになっている。この場合、成膜材料がSiO2 やTiNなどに代表される2元素材料CVDプロセスの場合には、組成を問題とすることなく高い膜厚の均一性を確保することができる。
しかしながら、前述のように複数の金属材料を用いて複合材料成膜を行なう場合には、膜厚の面内均一性のみならず、各金属元素の組成の面内均一性も歩留り向上及び電気的特性の維持の上から重要となってくる。
【0009】
複合材料薄膜をCVDプロセスで合成する場合には、多種類の処理ガスをCVD処理容器内に供給し、ウエハ表面で同時に成膜反応を生じさせるのが必要であるが、これらの原料ガスの反応性が必ずしも同程度であるとは言えない。反応性が弱いものと強い物を混合状態で均一な内径分布を持つガス噴射孔から噴射してウエハの表面に供給すると、膜組成の均一性が低下するという問題が発生した。特に、BST複合材料薄膜をウエハ上に合成させる場合には、薄膜の膜組成の均一性は、成膜温度を低くすると共に悪くなり、ウエハの中心部からエッジに向かってTiリッチとなる。実際、プロセスを実用する場合には、良好な段差被覆性を得るために、成膜は低温領域で行なわれる傾向にあるので、結局、膜組成の不均一により、膜物性の均一性も悪くなってしまうという問題がある。
【0010】
本発明は、以上のような問題点に着目し、これを有効に解決すべく創案されたものである。本発明の目的は、被処理体の表面に複合材料薄膜を成膜する際に、膜厚と膜組成の均一性を向上させることができる成膜方法と成膜処理装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、この膜組成不均一の原因を解明するために、BST−CVD成膜メカニズムの解析を行なった。その結果、Ba、SrとTiソースの成膜反応の活性化エネルギーがかなり違い、Tiソースの活性化エネルギーがBaとSrの活性化エネルギーよりも遥かに高いことが分かった。そのため、Tiの低温での成長速度も遅くなる。一方、(Ba、Sr)TiO3 はBaTiO3 とSrTiO3 の固溶体であり、その化学量論比は(Ba+Sr):Ti=1:1にならなければならない。つまり、CVDプロセスにより合成する場合には、Tiの成長速度をBaとSrの成長速度より高くさせ、BaとSrの成長速度の和と等しくする必要がある。そのためには、Tiソースを大過剰に供給する必要がある。
【0012】
まず、SiO2 やTiNなどに代表される2次元材料CVDプロセスの場合のシャワーヘッド部と基板表面の間における、ガスの流れと濃度分布の推測を行なった。処理ガスとしての原料ガスを処理容器内に導入させる時、シャワーヘッド部のガス噴射孔の径は等しいから、各ガスの噴射孔から出てくるガスの流量が同じである。シャワーヘッド部から基板表面に垂直に向かう方向には、処理ガスは流れと拡散により基板表面に送られ、基板表面で成膜反応を行なう。また、載置台の周囲にある排気口8から内部雰囲気は排気されているため、ガスの横方向への流れもある。結局、処理容器2内のガス全体の流線は図9に示しているようになっている。ただし、排気による横方向への流れの流量は、シャワーヘッド部のエッジ部分より、センタ部分から供給されたガスのほうが小さい。
【0013】
一方、高い成膜速度を得るためには、処理容器内に大量の原料ガスを供給し、基板表面のガス濃度を高くする必要がある。その結果、図10に示しているように、基板表面に供給された処理ガスが全部消費されることがなく、一部残された未反応処理ガスが、基板表面に平行する方向で基板の外周に流れながら、シャワーヘッド部6から流下してくるガスと合流して、また成膜反応を行なう。尚、図中、28はガス噴射孔であり、また矢印の太さはガス流量に対応し、太いほど流量も多い。シャワーヘッド部6の外周部分のガス噴射孔28から供給されたガスは、排気による横方向への流れが大きいことから、その位置に対応する基板の外周部の表面に到達するガス量も小さくなる。本来なら、そこの基板外周部の成長速度が、基板の中心部より遅くなってしまうが、中心部から流れてきた未反応の処理ガスと合流するのでガス濃度が補充され、成膜速度が落ちることがない。
【0014】
SiO2 やTiNなどの2次元材料の場合には、基板の表面に均一な原料ガス濃度と均一な温度を保持できれば、膜厚の均一性も得られるが、BSTに代表されるような複合材料薄膜の場合には、膜厚の面内均一性以外に、原料ガスの組成の均一性も同時に維持しなければならない。
この点について、以上に述べたことが複合材料薄膜の場合にも通用するか否かについて考察する。例えば、BST材料の場合、Ba、SrとTiのソースガスを一定な割合で処理容器内に供給すると、図11に示しているように、基板の中央での原料ガスの組成は供給時と同様に維持される。しかし、各金属ソースの成膜反応活性化エネルギーが違うため、成膜速度と反応転化率が違い、残された未反応ガスの組成が変わってしまう。結局、それらのガスが基板の表面に沿ってエッジ方向へ流れる途中で、シャワーヘッド部6から流下してくるガスと合流すると、合流後のガスの組成も変わってしまい、そこで生成した膜の組成も基板中央の膜組成と違ってくる。
【0015】
この点について、実際に数値を用いて説明する。カッコ内の数値は流量比を示す。Tiソースの活性化エネルギーは、BaとSrのエネルギーより遥かに高く、従って成膜反応速度が遅いから、その成長速度をBaとSrの倍にさせるために、供給ガスの割合に関してはTiソースを過剰に供給する。しかも、低温になるほど、Tiの成膜反応速度がより遅くなりTiソースの過剰量が大きくなる。例えば、処理ガスをBa:Sr:Ti=10:10:50(1:1:5)の量と割合でシャワーヘッド部6から基板に供給すると仮定した場合において、横方向の物質移動(流れと拡散により)を考慮すると、仮に基板中央の表面に到達するガスの量と組成はBa:Sr:Ti=5:5:25(1:1:5)となり、ガス濃度が落ちるがその組成は変わらない。尚、ここでは基板表面付近以外は、温度が低いから、分解反応が起きていると考え難く、物質移動を行なっているのがBa、SrとTiソースそのものであると仮定し、また、Ba、SrとTiソースの分子量が略同じであり、分子構造も似ているため、それらの拡散係数は同程度であり、横方向へのそれぞれの拡散と流れ速度も同じであると仮定する。
【0016】
基板中央で生成した膜の組成がBa:Sr:Ti=1:1:2となるため、基板中央で起きる成膜反応に消費されたガス量が仮に2:2:4とすると、残された未反応のガスの組成はBa:Sr:Ti=3:3:21(1:1:7)となってしまう。これらの未反応ガスが基板の表面に平行して外周部へ流れていく。
また、シャワーヘッド部6の中央とエッジの間にあるガス噴射孔28から流れてくるガスは、横方向への流れがヘッド部中央より強いから、基板表面に到達するガスの組成が変わらないが、その量が少なくなる。基板に到達するガス量と組成を仮にBa:Sr:Ti=3:3:15(1:1:5)とすると、合流したガスの量と組成がBa:Sr:Ti=6:6:36(1:1:6)となり、この結果、基板表面の中央から流れてくるガスの補充で、ガスの濃度がそれ程変わらないが、その組成が変わってしまう。ガスの組成が供給された時の状態よりTiリッチとなっているので、この部分における膜組成もTiの割合が増えてしまう。しかも、低温にするほどTiソースの過剰量が大きくなり、その成長速度が遅くなるため、Tiの割合の増加が大きくなる。このようなことが基板中央からエッジに向けて繰り返して生ずることから、生成した膜の組成が基板の外周部になるほど、Ti組成が増えてしまうことになる。
【0017】
上述した課題を解決するために、請求項1に規定する方法発明は、活性化エネルギーが異なり、金属元素を含む複数の処理ガスを、シャワーヘッド部のガス噴射孔から処理容器内へ噴出して供給し、前記処理容器内の載置台上に載置された被処理体の表面に所定の成膜を施すようにした成膜処理方法において、前記複数の処理ガスの内、第1の活性化エネルギーを有する第1の処理ガスを噴射する第1のガス噴射孔を、該第1のガス噴射孔の直径が前記シャワーヘッド部の中心部から周辺部に向けて次第に小さくなるように設定することにより前記第1の処理ガスの噴射量を前記シャワーヘッド部の中心部から周辺部に向けて次第に減少させ、前記第1の活性化エネルギーよりも低い第2の活性化エネルギーを有する第2の処理ガスを噴射する第2のガス噴射孔を、前記シャワーヘッド部の噴射面に均一に分散させると共に、前記第2のガス噴射孔の直径を均一に設定することにより前記第2の処理ガスの噴射量を前記シャワーヘッド部の面内において均一にしたものである。
【0018】
このように、活性化エネルギーが高くて反応性が弱い金属元素を含む処理ガスの噴射量を、シャワーヘッド部の中心部から周辺部に向けて次第に減少させるようにしているので、被処理体の周辺部に行く程、被処理体中央部から供給される未反応処理ガスが多くなり、結果的に、被処理体の表面上における処理ガス全体中の金属組成は略同一に維持されることになり、膜厚の面内均一性を高く維持できるのみならず、膜組成の面内均一性も大幅に向上させることが可能となる。
この場合、活性化エネルギーが異なる金属元素を含む処理ガス同士は、シャワーヘッド部から独立して個別に処理容器内へ供給され、また、活性化エネルギーが同一または類似の金属元素を含む処理ガス同士は、予め混合された状態でシャワーヘッド部から処理容器内へ供給すればよい。
【0019】
このような処理ガスとしては、少なくともBa(thd) とSr(thd) とTi(O−iPr)(thd) 或いはTiO(thd) とを用いることができる。
また、請求項6に規定する装置発明は、活性化エネルギーが異なり、金属元素を含む複数の処理ガスを、シャワーヘッド部のガス噴射孔から処理容器内へ噴出して供給し、前記処理容器内の載置台上に載置された被処理体の表面に所定の成膜を施すようにした成膜処理装置において、前記ガス噴射孔は、前記複数の処理ガスの内、第1の活性化エネルギーを有する第1の処理ガスを噴射するために、その直径が前記シャワーヘッド部の中心部から周辺部に向けて次第に小さくなるように設定されることにより前記第1の処理ガスの噴射量を前記シャワーヘッド部の中心部から周辺部に向けて次第に減少させるように供給する第1のガス噴射孔と、前記第1の活性化エネルギーよりも低い第2の活性化エネルギーを有する第2の処理ガスを噴射するために、前記シャワーヘッド部の噴射面に均一に分散されると共にその直径が均一に設定されることにより前記第2の処理ガスの噴射量を前記シャワーヘッド部の面内において均一に供給する第2のガス噴射孔とよりなるように設定される。
【0020】
これにより、前述した方法発明のように、被処理体の周辺部に行く程、被処理体中央部から供給される未反応処理ガスが多くなり、結果的に、被処理体の表面上における処理ガス全体中の金属組成は略同一に維持されることになり、膜厚の面内均一性を高く維持できるのみならず、膜組成の面内均一性も大幅に向上させることが可能となる。
この場合、処理ガスを個別に独立させて処理容器内へ供給するためには、シャワーヘッド部内に分離区画された複数のシャワー室を設け、これより各ガス噴射孔を介して処理ガスを供給するように構成すればよい。
【0021】
また、シャワーヘッド部から処理ガスの噴射量に分布を持たせるためには、ガス噴射孔自体の直径を、例えばヘッド部の中心部から周辺部に行くに従って次第に小さくしたり、或いは、ガス噴射孔の直径は同一として、例えばガス噴射孔の設置密度をヘッド部の中心部から周辺部に行くに従って次第に小さくすればよい。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明に係る成膜処理法法及び成膜処理装置の一実施例を添付図面に基づいて詳述する。
図1は本発明に係る熱処理装置の全体を示す概略構成図、図2は図1に示す熱処理装置の本体を示す構成図、図3は熱処理装置の本体に設けたシャワーヘッド部の要部を示す断面図、図4は図3に示すシャワーヘッド部の下面図である。尚、図8に示す従来装置と同一部分については同一符号を付して説明する。
図1に示すように、この成膜処理装置の本体30は、例えばアルミニウムにより筒体状に成形された処理容器2を有しており、この処理容器2内には、被処理体としての半導体ウエハWを載置する載置台4が収容されている。この処理容器2の天井部には処理ガスを内部へ導入する本発明の特徴とするシャワーヘッド部32が設けられ、底部には処理済みガスを排気する排気口8が設けられる。この排気口8には、途中に処理済み排ガスから副生成物を除去するトラップ10、容器内圧力を調整する圧力調整弁12を介設した排気通路14が接続され、この排気通路14を介して処理容器2内は真空ポンプ(図示せず)により真空引きされる。
【0023】
ここでは複合材料薄膜として(Ba、Sr)TiO3 (BST)薄膜を形成する場合を例にとって説明するが、上記Ba、Sr及びTiのソースとしてBa(thd)2 [Bis(tetramethylheptanedionato)barium,Ba(C111922 ]と、Sr(thd)2 [Bis(tetramethylheptanedionato)strontium,Sr(C111922 ]と、Ti(O−iPr)2 (thd)2 [Bis(isoproppoxy)bis((tetramethylheptanedionato)titanium,Ti(C37 O)2 (C111922 ]或いはTiO(thd)2 [Bis(tetramethylheptanedionato)oxotitanium]とをそれぞれブチル酢酸或いはTHF(Tetrahydrofuran)溶液に溶かして使う。上記の原料の内、BaとSr金属元素は、活性化エネルギーが類似してTi元素よりも低くて反応性が強いので、混合して供給し、これに対してTiは単独で供給する。また、酸化ガスとして酸素(O2 )を、キャリアガスとしてアルゴン(Ar)も供給する。
【0024】
そのため、それぞれ液状のBa(thd)2 とSr(thd)2 とTi(O−iPr)2 (thd)2 或いはTiO(thd)2 を貯留するタンク16、18、20を有し、内部の液体をArガスで圧送できるようになっている。尚、ここではTi(O−iPr)2 (thd)2 が貯留されている場合を例にとって説明する。
Baタンク16とSrタンク18からの通路34、36は液体ポンプ22に接続されており、両タンク16、18からの原料液を混合してシャワーヘッド部32に接続されるガス通路38内に圧送するようになっている。このガス通路38の途中には、気化器24が介設されており、これにキャリアガスとしてマスフローコントローラ40により流量制御されたArガスを供給することによって、混合原料液を気化して処理ガスを形成し得るようになっている。また、このガス通路38には、気化ガスが再液化することを防止するために、例えばテープヒータ26が巻回されており、通路38内を通るガスを液化温度以上に暖めるようになっている。
【0025】
また、Tiタンク20からの通路42は、別の液体ポンプ44に接続されており、Tiタンク20からの液原料をシャワーヘッド部32に接続されるガス通路46内に圧送するようになっている。このガス通路46の途中には気化器48が介設されており、これにキャリアガスとしてマスフローコントローラ50により流量制御されたArガスを供給することによって、Ti原料液を気化して処理ガスを供給し得るようになっている。このTi原料ガスは後述するようにシャワーヘッド部32内では他の処理ガスと混合されず、処理容器2内に噴射された時に他の処理ガスと混合される、いわゆるポストミックスで供給される。このガス通路46にも、気化ガスの再液化を防止するためにテープヒータ52が巻回されている。
【0026】
また、シャワーヘッド部32には、別途、酸化ガスとして酸素をArガスと共に供給するために通路58が接続されており、この通路58にもマスフローコントローラ54、56を介してそれぞれの流量を制御できるようになっている。
気化ガスを流す上記各通路38、46からは、排気通路14に延びるバイパス通路60、62が接続されており、不要なガスを、処理容器2を経ることなく排気できるようになっている。尚、各通路には、必要に応じて通路内を開閉する適当数の開閉弁64が介設されている。
【0027】
次に、この成膜処理装置における原料ガス(処理ガス)の供給方法について説明する。
原料液を貯留する各原料タンク16、18、20には、一定圧のアルゴンガスが供給されており、それぞれに貯留されている液状のBa(thd)2 、Sr(thd)2 及びTi(O−iPr)2 (thd)2 がそれぞれの通路34、36及び42内を圧送される。
Ba原料液とSr原料液は、流量制御機構を兼ねた液体ポンプ22により混合されつつ気化器24へ供給され、気化された原料ガスがキャリアガスとしてのArガスと混合し、この混合ガスがガス通路38を介してシャワーヘッド部32に供給される。
【0028】
また、Ti原料液は、通路42を介して流量制御機構を兼ねた液体ポンプ44に供給され、これより気化器48に供給される。このTi原料液は、気化されたTi原料ガスがキャリアガスとしてのArガスと混合し、そのままガス通路46を介してシャワーヘッド部32に供給される。
また、このシャワーヘッド部32には、酸化ガスとして酸素がArガスと共に必要量だけ供給されている。また、処理容器2内の雰囲気は、排気通路14を介して真空引きされており、圧力調整弁12により容器内部は所定の圧力に維持されている。
【0029】
次に、図2乃至図4を参照して成膜処理装置の本体30について説明する。
この成膜処理装置の本体30は、例えばアルミニウムにより筒体状に成形された処理容器2を有している。この処理容器2の底部66の中心部には、給電線挿通孔70が形成されると共に周辺部には、排気口8が設けられており、これには真空引きポンプ(図示せず)、トラップ10及び圧力調整弁12を介設した排気通路14が接続されている。
【0030】
この処理容器2内には、非導電性材料、例えばアルミナ製或いはAlN製の円板状の載置台4が設けられ、この載置台4の下面中央部には下方に延びる中空円筒状の脚部68が一体的に形成され、この脚部68の下端は上記容器底部66の給電線挿通孔70の周辺部にOリング等のシール部材72を介在させてボルト74等を用いて気密に取り付け固定される。従って、この中空脚部68内は、外側に開放され、処理容器2内に対して気密状態となっている。
【0031】
例えば、Al23 或いはAlNよりなる上記載置台4の上部にはタングステンなどの抵抗発熱体76が埋め込まれており、この上面側に載置される被処理体としての半導体ウエハWを所望の温度に加熱し得るようになっている。この載置台4の上部は、内部に銅などの導電板よりなるチャック用電極78を埋め込んだ薄いセラミックス製の静電チャック80として構成されており、この静電チャック80が発生するクーロン力により、この上面にウエハWを吸着保持するようになっている。尚、この静電チャック80の表面にHeガスなどのバックサイドガスを流してウエハへの熱伝導性を向上させたり、ウエハ裏面への成膜を防止するようにしてもよい。また、この静電チャック80に代えてメカニカルクランプを用いるようにしてもよい。
【0032】
上記抵抗発熱体76には、絶縁された給電用のリード線82が接続され、このリード線82は、処理容器2内に晒すことなく円筒状の脚部68内及び給電線挿通孔70を通って外へ引き出され、開閉スイッチ84を介して給電部86に接続される。また、静電チャック80のチャック用電極78には、絶縁された給電用のリード線86が接続され、このリード線86も処理容器2内に晒すことなく円筒状の脚部68内及び給電線挿通孔70を通って外へ引き出され、開閉スイッチ88を介して高圧直流電源90に接続される。尚、ウエハを加熱する手段として上記抵抗発熱体76に代え、ハロゲンランプ等の加熱ランプを用いて加熱するようにしてもよい。
【0033】
載置台4の周辺部の所定の位置には、複数のリフタ孔92が上下方向に貫通させて設けられており、このリフタ孔92内に上下方向に昇降可能にウエハリフタピン94が収容されており、ウエハWの搬入・搬出時に図示しない昇降機構によりリフタピン94を昇降させることにより、ウエハWを持ち上げたり、持ち下げたりするようになっている。このようなウエハリフタピン94は、一般的にはウエハ周縁部に対応させて3本設けられる。
【0034】
また、処理容器2の天井部には、シャワーヘッド部32が一体的に設けられた天井板96がOリング等のシール部材98を介して気密に取り付けられており、上記シャワーヘッド部32は載置台4の上面の略全面を覆うように対向させて設けられ、載置台4との間に処理空間Sを形成している。このシャワーヘッド部32は処理容器2内に成膜用の原料ガス等をシャワー状に導入するものであり、シャワーヘッド部32の下面の噴射面100にはガスを噴出するための多数のガス噴射孔102A、102Bが形成される。
【0035】
このシャワーヘッド部32内は、Ba、Sr用のシャワー室32AとTi用シャワー室32Bとに2つに分離区画されており、Ba、Sr用のシャワー室32Aに連通されるガス導入ポート104には前記気化器24から延びるガス通路38を接続して気化状態のBaの元素とSrの元素の混合ガスを導入するようになっている。また、Ti用のシャワー室32Bに連通されるガス導入ポート106には前記気化器48から延びるガス通路46を接続して気化状態のTi元素の原料ガスを導入するようになっている。尚、酸化ガスとしての酸素やArガスは、これらシャワー室32A、32Bのいずれか一方、或いは双方に入れてもよい。そして、上記ガス噴射孔102A、102Bは、Ba、Sr用のシャワー室32Aに連通されるガス噴射孔102AとTi用のシャワー室32Bに連通されるガス噴射孔102Bの2つの群に分けられており、両ガス噴射孔102A、102Bから噴出された両原料ガスを処理空間Sにて混合して、いわゆるポストミックス状態で供給するようになっている。
【0036】
ここで重要な点は、活性化エネルギーが低くて反応性が強い金属元素、ここでは例えばBa、Srを含む処理ガス用のガス噴射孔102Aは、その直径が噴射面100の略全面に亘って均一な値、例えば1〜2mm程度に設定されており、しかも均一に分散されて、各ガス噴射孔102Aから略均等量のガスを噴射し得るようになっている。
これに対して、活性化エネルギーが高くて反応性が弱い金属元素、ここでは例えばTiを含む処理ガス用のガス噴射孔102Bは、その直径が噴射面100の中心部から周辺部に行くに従って、次第に小さくなるように設定されており、中心部側では多量のTi含有処理ガスを供給し、周辺部に行く程その供給量(ガス噴射量)が次第に少なくなるように設定している。
【0037】
図3においては同じシャワー室に連通されるガス噴射孔同士は、便宜上、連続するガスラインによって結ぶように記載されている。
また、図4においては、Ba、Sr用のガス噴射孔102Aは斜線の円で示され、Ti用のガス噴射孔102Bは白抜き円で示されている。Ti用のガス噴射孔102Aの直径の変化は、成膜時のガス種やプロセス条件等に依存しており、プロセス時のウエハ表面上における処理ガスの各金属元素の組成比が、面内に亘って均一性を維持し得るように設定される。例えばウエハサイズが8インチで成膜温度が500℃程度の時には、Ba、Sr用のガス噴射孔102Aの直径L1は1〜2mm程度で一定となり、Ti用のガス噴射孔102Bのヘッド中心部における直径L2は1.5〜3.0mm程度、ヘッド周辺部における直径L3は 1〜2mm程度であり、径方向に沿って順次変化して行く。また、プロセス条件、例えばガス流量、圧力によってはL1、L3はそれぞれ1〜2mmの範囲、L2は1.5〜2.5mmの範囲で変化させる。また、L2とL3の差は1.0mm以下とする。
【0038】
また、図示例では各ガス噴射孔102A、102Bは、同心円状に配列されているが、これに限定されず、格子状或いはそれ以外の配列状態で配置してもよいのは勿論である。また、処理容器2の側壁には、開閉可能になされたゲートバルブ106を介して、真空引き可能になされたロードロック室108が連結されており、このロードロック室108を介してウエハWを搬出入できるようになっている。
【0039】
次に、以上のように構成された成膜処理装置の本体30において行なわれる成膜方法について説明する。
まず、ウエハWは、ロードロック室108から開放されたゲートバルブ106を介して処理容器2内へ搬入されて載置台4上に載置され、これを静電チャック80より発生するクーロン力により吸着固定する。そして、ウエハWを所定のプロセス温度に加熱維持すると共に、処理容器2内を真空引きしつつ処理ガスを供給して、所定のプロセス圧力を維持する。
前述のように、それぞれ流量制御されたBaとSrを含む処理ガスは、混合状態でガス導入ポート104からシャワーヘッド部32の一方のシャワー室32Aへ導入され、これを拡散した後に、同一径になされたガス噴射孔102Aから処理空間Sに向けて噴射される。この時、酸化ガス(酸素)やArガスも同時にシャワー室32Aに供給されて上記処理ガスと混合状態で処理空間Sにシャワー状に噴射させる。ここでガス噴射孔102Aはその内径が全て同一径になされて、しかも噴射面100に略均等に配列されているので、単位面積当たりの噴射面100からは略同じガス噴射量でBaとSrの混合処理ガスが噴射されることになる。
【0040】
これに対して、流量制御されたTiを含む処理ガスは、ガス導入ポート46から他方のシャワー室32B内へ導入され、これを拡散した後に、他方の各ガス噴射孔102Bから処理空間Sに向けてTi含有処理ガスをシャワー状に噴射し、処理空間Sで、Ba、Sr含有処理ガスとTi含有処理ガスとを混合させて成膜反応を起こさせる。ここで、ガス噴射孔102Bは、その内径は、ヘッド中心部は大きく設定され、周辺部に行く程小さくなされているので、ヘッド中心部のガス噴射孔102Bからのガス噴射量は、ヘッド周辺部のガス噴射孔102Bのガス噴射量よりも多くなる。
【0041】
このように反応性の弱いTi含有処理ガスは、ヘッド中心部で過剰に供給されるが、反応性が弱いために反応によりそれ程消費されず、横方向に流れてウエハ周辺部に徐々に拡散により、或いは流れによって広がって行くことになる。そして、ヘッド周辺部ではTi含有処理ガスのガス噴射量は少なくなって不足気味に抑制されているが、上述のようにしてヘッド中心部から流れてくるTiリッチの処理ガスが補充される状態となり、従って、ウエハ周辺部におけるウエハ表面上の各金属元素の組成はウエハ中心部におけるウエハ表面上の各金属元素の組成と略同じとなる。これによって、ウエハ中心部における成膜とウエハ周辺部における成膜に含まれる金属元素の組成を略同一にすることができる。更には、各金属元素を含むガス量と、ウエハ表面中心部とウエハ表面周辺部とではそれ程変わらないので、成膜の膜厚均一性も高く維持することができる。
ここで、本発明方法と従来方法の場合の膜組成についての評価を行なったので、それについて説明する。
図7はウエハ上の位置に対するTiと(Ba+Sr)の比の変化を示すグラフである。ウエハサイズは8インチであり、成膜条件は図7に示した通りである。このグラフから明らかなように、従来方法の場合には、ウエハの中心部から周辺部に行く程、組成の比率が次第に高くなっており、全体的に膜組成の均一性が劣っている。これに対して、本発明方法の場合には、ウエハの全面において組成の比率が略一定しており、膜組成の均一性を大幅に向上できたことが判明した。
【0042】
このように、相対的に反応性が強い金属元素を含む処理ガスをウエハ面内に均一に供給し、相対的に反応性が弱い金属元素を含む処理ガスをウエハ中心部に多く、ウエハ周辺部に少なくなるように供給することによって、ウエハ周辺部においては反応性の弱い処理ガスが中心部から流れてくる同種のガスにより補充されるようになり、全体として、複合材料薄膜の膜厚の面内均一性を高く維持できることは勿論のこと、膜組成の面内均一性も大幅に向上させることができる。
以上説明したような処理ガス中の金属元素の組成を、具体的数値例を参照して説明する。図5はシャワーヘッド部から噴射された処理ガス中の金属元素の組成を示す図である。
【0043】
Ti含有ガスに関しては、ヘッド部中央の口径の大きなガス噴射孔102Bから噴射されるガス量は外周の口径の小さなガス噴射孔102Bより多くなる。例えば、中央部のBa+Sr用のガス噴射孔102AとTi用のガス噴射孔102Bから流れてくるガス量の組成は10:10:50(1:1:5)として、横方向への物質移動によるガス流量の損失は50%とすると、基板中央表面に到達するガスの組成は、Ba:Sr:Ti=5:5:25(1:1:5)となる。その内、Ba:Sr:Ti=2:2:4(1:1:2)の量と割合で成膜に寄与して消費されるとすれば、残り未反応のガスは3:3:21(1:1:7)となり、この未反応ガスは基板表面に沿って外周部方向に向かって流れる。
【0044】
一方、シャワーヘッド部32の外周部にあるTi用のガス噴射孔102Bの内径が中心部よりも小さくなっているので、ここでの処理ガスの量と組成はBa:Sr:Ti=10:10:20(1:1:2)となる。尚、ここではTi用のガス噴射孔102Bの開口面積を、ヘッド中心部に対して周辺部では2/5に絞り込んだものと仮定している。また、横方向のガス流量損失は中央部より大きいので、この損失を仮に80%とすると、それに対応する基板外周部の表面にBa:Sr:Ti=2:2:4(1:1:2)のガスが到達する。この到達ガスと中央部から流れてくるガスとが合流すると、Ba:Sr:Ti=5:5:25(1:1:5)となり、ガス濃度及びガス組成が基板中央の表面でのガス状態と同様になる。従って、この周辺部におけるガスの消費はBa:Sr:Ti=2:2:4(1:1:2)となって中央部と同じになり、成膜速度及び膜組成も中央部と同じになる。このようなことが、基板の中央部から外周部に向かって繰り返して行なわれることになり、大面積の基板であっても膜厚及び膜組成を均一にさせて成膜を行なうことが可能となる。
【0045】
ここで使用されるウエハサイズは特に限定されず、6インチ、8インチ、12インチサイズのどのウエハに対しても本発明を適用し得る。
また、図示例では、ガス噴射孔102A、102Bの数は、それ程多く記載されていないが、実際には、処理するウエハ基板の大きさにもよるが、数100個程度設けられる。従って、ガス噴射孔102Bの直径の変化の態様は、ヘッド部半径方向に沿って連続的に変化させるのではなく、一定の個数毎のガス噴射孔102Bの直径は同じに設定して、ステップ状に直径を徐々に変化させるようにしてもよい。
【0046】
また、ここではシャワーヘッド部32の中心部と周辺部との間でガス噴射量を変えるために、ガス噴射孔102Bの直径を変えるようにしたが、これに限定されず、図6に示すように、Ti用のガス噴射孔102Bの直径はヘッド部全面において同一とし、ヘッド中心部におけるガス噴射孔102Bの設置密度を高くし、周辺部に向かうに従って、次第に設置密度を順次低くするようにしてもよい。これによっても、Ti用のガスの噴射量をヘッド中心部から周辺部に行くに従って次第に減少させるようにでき、先の実施例の場合と同様な作用効果を発揮することができる。
【0047】
また、ここでは酸化ガスとしての酸素とArガスをBa+Sr用ガスに混入したが、これに限定されず、Ba+Sr用ガスに混入せずにTi用ガスに混入してもよいし、また、Ba+Sr用ガスとTi用ガスの双方に混入してもよい。更には両ガスに混入せずに、別個O2 +Arガス専用のシャワー室とこれに対応するガス噴射孔を設け、このガス噴射孔からO2 +Arガスを処理空間に導入するようにしてもよい。特に、多量のO2 +Arガスを混入しない場合には、供給ガス量が微量となってその流量制御を比較的容易に行なうことができる。
【0048】
また、ここでは金属元素BaとSrの活性化エネルギーが類似していることから、両金属元素を含むガスを予め混合した状態で処理室間に供給するようにしたが、Ba用のガスとSr用のガスのために別個専用のシャワー室とガス噴射孔を設け、各金属元素含有ガスを別個独立に処理空間へシャワー状に供給するようにしてもよい。
そして、ここでは複合材料薄膜としてBST薄膜を形成する場合を例にとって説明したが、これに限定されず、Pb、Zr、Ti、Oを含むPZT薄膜、または、Sr、Bi、Ta、Oを含むSBT薄膜或いはこれにNbを含む薄膜等を形成する時にも適用することができる。
【0049】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の成膜処理方法及び成膜処理装置によれば、次のように優れた作用効果を発揮することができる。
複数の金属元素を含む複合材料薄膜を成膜するに際して、活性化エネルギーが低くて反応性が強い金属元素が含まれた処理ガスはシャワーヘッド部からのガス噴射量を面内均一とし、活性化エネルギーが高くて反応性が低い金属元素が含まれた処理ガスはヘッド中心部のガス噴射量を多くし、周辺部に行くに従って順次少なくするようにしたので、ヘッド周辺部の被処理体表面上において反応性の弱い金属元素の処理ガスが補充され、この結果、被処理体表面上における中央部と周辺部のガス濃度とガス組成を略同じにすることができる。
【0050】
従って、被処理体の表面に形成される複合材料薄膜の膜厚の面内均一性を維持することができるのみならず、膜組成の面内均一性も大幅に向上させることができる。
また、活性化エネルギーが同一または類似の金属元素を含む処理ガス同士は、予め混合した状態で供給するようにすれば、その分、液体ポンプや気化器の数を減少できるのみならず、シャワーヘッド部のシャワー室の数もその分減少し、装置を簡略化することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る熱処理装置の全体を示す概略構成図である。
【図2】図1に示す熱処理装置の本体を示す構成図である。
【図3】熱処理装置の本体に設けたシャワーヘッド部の要部を示す断面図である。
【図4】図3に示すシャワーヘッド部の下面図である。
【図5】シャワーヘッド部から噴射された処理ガス中の金属元素の組成を示す図である。
【図6】本発明装置の変形例のシャワーヘッド部のガス噴射孔を示す概略断面図である。
【図7】ウエハ上の位置に対するTiと(Ba+Sr)の比の変化を示すグラフである。
【図8】複合材料薄膜を形成するための従来の成膜処理装置を示す概略構成図である。
【図9】処理容器内のガス全体の流れを流線で示す図である。
【図10】単元素材料ガスを用いた時の処理ガスの流れを示す図である。
【図11】多元系複合材料ガスにより複合薄膜材料を形成する時の処理ガスの流れを示す図である。
【符号の説明】
2 処理容器
4 載置台
16,18,20 タンク
22,44 液体ポンプ
24,48 気化器
32 シャワーヘッド部
32A,32B シャワー室
100 噴射面
102A,102B ガス噴射孔
W 半導体ウエハ(被処理体)

Claims (10)

  1. 活性化エネルギーが異なり、金属元素を含む複数の処理ガスを、シャワーヘッド部のガス噴射孔から処理容器内へ噴出して供給し、前記処理容器内の載置台上に載置された被処理体の表面に所定の成膜を施すようにした成膜処理方法において、
    前記複数の処理ガスの内、第1の活性化エネルギーを有する第1の処理ガスを噴射する第1のガス噴射孔を、該第1のガス噴射孔の直径が前記シャワーヘッド部の中心部から周辺部に向けて次第に小さくなるように設定することにより前記第1の処理ガスの噴射量を前記シャワーヘッド部の中心部から周辺部に向けて次第に減少させ、
    前記第1の活性化エネルギーよりも低い第2の活性化エネルギーを有する第2の処理ガスを噴射する第2のガス噴射孔を、前記シャワーヘッド部の噴射面に均一に分散させると共に、前記第2のガス噴射孔の直径を均一に設定することにより前記第2の処理ガスの噴射量を前記シャワーヘッド部の面内において均一にしたことを特徴とする成膜処理方法。
  2. 活性化エネルギーが異なり、金属元素を含む複数の処理ガスを、シャワーヘッド部のガス噴射孔から処理容器内へ噴出して供給し、前記処理容器内の載置台上に載置された被処理体の表面に所定の成膜を施すようにした成膜処理方法において、
    前記複数の処理ガスの内、第1の活性化エネルギーを有する第1の処理ガスを噴射する第1のガス噴射孔を、該第1のガス噴射孔の直径を同一にすると共に、前記第1のガス噴射孔の設置密度を前記シャワーヘッド部の中心部から周辺部に向けて次第に低くなるように設定することにより前記第1の処理ガスの噴射量を前記シャワーヘッド部の中心部から周辺部に向けて次第に減少させ、
    前記第1の活性化エネルギーよりも低い第2の活性化エネルギーを有する第2の処理ガスを噴射する第2のガス噴射孔を、前記シャワーヘッド部の噴射面に均一に分散させると共に、前記第2のガス噴射孔の直径を均一に設定することにより前記第2の処理ガスの噴射量を前記シャワーヘッド部の面内において均一にしたことを特徴とする成膜処理方法。
  3. 前記活性化エネルギーが同一または類似の処理ガス同士は、予め混合された状態で前記処理容器内へ供給されることを特徴とする請求項1または2記載の成膜処理方法。
  4. 記複数の処理ガスは、Baを含むガスとSrを含むガスとTiを含むガスの第1のグループと、Pbを含むガスとZrを含むガスとTiを含むガスの第2のグループと、Srを含むガスとBiを含むガスとTaを含むガスの第3のグループとよりなる3つのグループ内より選択される1のグループに含まれるガスであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の成膜処理方法。
  5. 前記Baを含むガスとSrを含むガスとは混合状態で前記第2のガス噴射孔から噴射され、前記Tiを含むガスは前記第1のガス噴射孔から噴射されることを特徴とする請求項4記載の成膜処理方法。
  6. 活性化エネルギーが異なり、金属元素を含む複数の処理ガスを、シャワーヘッド部のガス噴射孔から処理容器内へ噴出して供給し、前記処理容器内の載置台上に載置された被処理体の表面に所定の成膜を施すようにした成膜処理装置において、
    前記ガス噴射孔は、
    前記複数の処理ガスの内、第1の活性化エネルギーを有する第1の処理ガスを噴射するために、その直径が前記シャワーヘッド部の中心部から周辺部に向けて次第に小さくなるように設定されることにより前記第1の処理ガスの噴射量を前記シャワーヘッド部の中心部から周辺部に向けて次第に減少させるように供給する第1のガス噴射孔と、
    前記第1の活性化エネルギーよりも低い第2の活性化エネルギーを有する第2の処理ガスを噴射するために、前記シャワーヘッド部の噴射面に均一に分散されると共にその直径が均一に設定されることにより前記第2の処理ガスの噴射量を前記シャワーヘッド部の面内において均一に供給する第2のガス噴射孔とよりなることを特徴とする成膜処理装置。
  7. 活性化エネルギーが異なり、金属元素を含む複数の処理ガスを、シャワーヘッド部のガス噴射孔から処理容器内へ噴出して供給し、前記処理容器内の載置台上に載置された被処理体の表面に所定の成膜を施すようにした成膜処理装置において、
    前記ガス噴射孔は、
    前記複数の処理ガスの内、第1の活性化エネルギーを有する第1の処理ガスを噴射するために、その直径を同一にすると共に設置密度を前記シャワーヘッド部の中心部から周辺部に向けて次第に小さくなるように設定することにより前記第1の処理ガスの噴射量を前記シャワーヘッド部の中心部から周辺部に向けて次第に減少させるように供給する第1のガス噴射孔と、
    前記第1の活性化エネルギーよりも低い第2の活性化エネルギーを有する第2の処理ガスを噴射するために前記シャワーヘッド部の噴射面に均一に分散されると共に、その直径が均一に設定されることにより前記第2の処理ガスの噴射量を前記シャワーヘッド部の面内において均一に供給する第2のガス噴射孔とよりなることを特徴とする成膜処理装置。
  8. 前記シャワーヘッド部は、処理ガスの活性化エネルギーに対応させて内部に複数に分離区画された第1と第2のシャワー室を有しており、前記第1と第2の各シャワー室毎に前記第1と第2のガス噴射孔がそれぞれ連通されていることを特徴とする請求項6又は7記載の成膜処理装置。
  9. 前記複数の処理ガスは、Baを含むガスとSrを含むガスとTiを含むガスの第1のグループと、Pbを含むガスとZrを含むガスとTiを含むガスの第2のグループと、Srを含むガスとBiを含むガスとTaを含むガスの第3のグループとよりなる3つのグループ内より選択される1のグループに含まれるガスであることを特徴とする請求項6乃至8のいずれかに記載の成膜処理装置。
  10. 前記Baを含むガスとSrを含むガスは、前記第1のガス噴射孔から混合状態で噴射するように構成され、前記Tiを含むガスは前記第2のガス噴射孔から噴射するように構成されていことを特徴とする請求項9記載の成膜処理装置。
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