JP3968326B2 - 移動体通信端末 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、アプリケーションプログラムを実行可能な携帯電話機等の移動体通信端末に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の移動体通信端末としては、プラットフォームに依存しないオブジェクト指向のプログラミング言語で記述されたアプリケーションプログラムを実行可能な携帯電話機が知られている。例えば、JAVA(サンマイクロシステムズ社の登録商標。以下、同様である。)仮想マシン機能を実装し、JAVAで記述されたアプリケーションプログラムを実行できるようにした携帯電話機が知られている(特許文献1参照)。このような携帯電話機では、アプリケーションプログラムを実行することにより、携帯電話機のディスプレイ上に3次元動画からなる待ち受け画面を表示させたり、携帯電話機上でゲームや占いを行ったり、音楽を再生したりすることができる。
【0003】
アプリケーションプログラムを実行するためのプログラム実行環境(JAVA仮想マシン等)は、携帯電話機の電話機プラットフォームが管理するプラットフォーム用記憶領域(第1の記憶手段)に対し、電話機プラットフォームを介して、そのデータの読出処理又は削除、変更、追加などの更新処理を行うための機能を有している。よって、アプリケーションプログラムの中には、この機能を用い、プラットフォーム用記憶領域に記憶されたデータを用いて実行されるものがある。例えば、ユーザーが通信ネットワークを介してダウンロードし、プラットフォーム用記憶領域に記憶した着信メロディデータを用いて、その着信メロディを再生するアプリケーションプログラムがある。
【0004】
このようなアプリケーションプログラムを実行するプログラム実行環境は、電話機プラットフォームを介して読出処理や更新処理を行うために、プラットフォーム用記憶領域の記憶内容を予め把握しておく必要がある。そのため、プログラム実行環境は、アプリケーションプログラムの実行開始時に、プラットフォーム用記憶領域に記憶されたデータを特定するための特定データを取得する処理を行う。具体的には、上述した着信メロディを再生するアプリケーションプログラムを例に挙げれば、その実行開始時に、プラットフォーム用記憶領域に記憶されたすべての着信メロディの名前データ(特定データ)を取得する。そして、プログラム実行環境は、取得した名前データを、自らがデータの削除、変更及び追加を行うことができるアプリケーション用記憶領域(第2の記憶手段)に記憶する記憶処理を行う。その後、プログラム実行環境は、ユーザーにより特定の着信メロディが選択されたら、アプリケーション用記憶領域に記憶されたその選択に係る名前データに基づき、電話機プラットフォームを介して、プラットフォーム記憶領域に記憶されたその名前データに対応する着信メロディデータを再生させるための処理を行う。
【0005】
【特許文献1】
特開2000−347867号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記のような記憶処理を行った後、その特定データに基づき、プラットフォーム用記憶領域に記憶されたデータを用いてアプリケーションプログラムを実行する場合には、次のような問題が発生する。
すなわち、アプリケーションプログラムは、一般に、その実行中に、例えば着信があったときやメール送信などの別の処理を行うときには、その実行が自動的に一時停止される。この一時停止中においては、ユーザーにより、プラットフォーム用記憶手段に記憶されたデータが変更されたり、削除されたり、あるいは、新規データが追加されたりして、その記憶内容が更新される場合がある。このような更新が一時停止中に行われると、アプリケーション用記憶領域内の特定データとプラットフォーム用記憶手段内のデータとの間の対応関係が一致しなくなる。その結果、再開したアプリケーションプログラムが適切に動作できないおそれがあるという問題が発生する。例えば、上述した着信メロディを再生するアプリケーションプログラムを例に挙げれば、一時停止中にプラットフォーム用記憶領域内の着信メロディデータが削除された場合、その削除されたデータに対応する名前データについては、アプリケーション用記憶領域に削除されないまま存在する。そのため、再開したアプリケーションプログラムは、その名前データに基づき、既に削除されていて存在しない着信メロディデータを再生しようと動作してしまうことがある。また、一時停止中に新たな着信メロディデータが追加された場合、その追加されたデータに対応する名前データはアプリケーション用記憶領域には存在しない。そのため、一時停止中に追加された着信メロディデータを、再開したアプリケーションプログラムによって再生することはできない。
【0007】
また、上述した携帯電話機において、上記プラットフォーム用記憶領域が携帯電話機本体に着脱可能なメモリカード等の記憶手段である場合、アプリケーションプログラムの一時停止中に、その記憶手段が取り外されたり、新しい記憶手段が装着されたりするときにも、アプリケーションプログラムが適切に動作できないという問題が発生する。
すなわち、例えば、上述した着信メロディを再生するアプリケーションプログラムを例に挙げれば、一時停止中にユーザーが記憶手段を携帯電話機本体から取り外した場合、アプリケーション用記憶領域には名前データが削除されないまま存在する。そのため、再開したアプリケーションプログラムは、その名前データに基づき、既に取り外された記憶手段内の着信メロディデータを再生しようと動作してしまうことがある。また、一時停止中に新しい記憶手段が装着された場合、アプリケーション用記憶領域にはその新しい記憶手段内の着信メロディデータに対応する名前データが存在しない。そのため、一時停止中に取り換えられた新しい記憶手段内の着信メロディデータを、再開したアプリケーションプログラムによって再生することはできない。
【0008】
また、上記着信メロディデータのほかにも、ユーザーが入力したデータ(電話番号データ、電子メールアドレスデータ等)や、通信ネットワークを介して取得したデータ(画像データ、着信メロディデータ等)など、プラットフォーム用記憶領域に記憶されたデータを用いて、アプリケーションプログラムを実行するものも開発されている。例えば、プラットフォーム用記憶領域に記憶された電子メールアドレスデータを用いて、電子メールを送信する電子メール用のアプリケーションプログラムが開発されている。このアプリケーションプログラムを実行して電子メールを送信しよう場合、上述した携帯電話機では、その送信のたびに、宛先アドレスデータを電話機プラットフォームを介していちいち取得する処理を行うことになる。これでは、処理の遅延につながる。よって、アプリケーションプログラムが用いるデータが宛先アドレスデータ等の比較的小さなデータである場合には、アプリケーションプログラムの実行開始時に、プラットフォーム用記憶領域に記憶されたデータを複製して、これをアプリケーション用記憶領域に記憶する記憶処理を行うのが望ましい。
しかし、一時停止中に、プラットフォーム用記憶手段に記憶されたデータが変更されたり、新規データが追加されたりした場合、その変更又は追加されたデータの複製データは、アプリケーション用記憶領域に存在しない。そのため、再開したアプリケーションプログラムは、その変更又は追加されたデータを用いることはできず、アプリケーションプログラムが適切に動作できないおそれがあるという問題が発生する。
【0009】
一方で、アプリケーションプログラムの再開時に、アプリケーション用記憶領域の記憶内容がプラットフォーム用記憶領域の記憶内容に対応するように同期をとったり、携帯電話機本体に着脱可能な記憶手段の着脱状態を確認したりするようにすれば、アプリケーションプログラムを適切に動作させることが可能となる。しかし、この場合、プログラム実行環境は、アプリケーションプログラムを再開するたびに、毎回、その同期処理や着脱状態の確認処理を行う必要が生じてしまう。これでは、アプリケーションプログラムの動作の遅延を招く結果となる。
【0010】
なお、上述した問題は、プラットフォーム記憶領域の記憶内容の更新や、携帯電話機本体に着脱可能な記憶手段の着脱がアプリケーションプログラムの一時停止中に行われる場合に限らず、その実行中に行われる場合にも同様に生じ得るものである。また、上述した問題は、携帯電話機を例に挙げて説明したが、他の移動体通信端末においても、同様に生じ得る。
【0011】
本発明は、上記問題に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、アプリケーションプログラムの動作の遅延を最小限に抑えつつ、そのアプリケーションプログラムを適切に動作させることが可能な移動体通信端末を提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、データを記憶する第1の記憶手段及び第2の記憶手段と、該第1の記憶手段に記憶されたデータを変更し若しくは削除し、又は新たなデータを該第1の記憶手段に追加する更新処理を行う更新処理手段と、該第1の記憶手段に記憶されたデータの少なくとも一部を複製して該第2の記憶手段に記憶する記憶処理、又は、該第1の記憶手段に記憶されたデータを特定するための特定データを該第2の記憶手段に記憶する記憶処理を行った後、該複製したデータを用いて又は該特定データにより特定される該第1の記憶手段に記憶されたデータを用いて、アプリケーションプログラムを実行するプログラム実行手段とを備えた移動体通信端末であって、上記更新処理手段は、上記記憶処理を行った後上記プログラム実行手段がアプリケーションプログラムの実行を終了するまでの間に上記更新処理を行った場合、その旨及び該更新処理により更新されたデータを特定するための更新データ情報が含まれた通知を該プログラム実行手段に対して送り、上記プログラム実行手段は、上記通知を受けた場合、上記複製したデータを用いる前に、又は、上記特定データにより特定される上記第1の記憶手段に記憶されたデータを用いる前に、該通知に含まれる更新データ情報により特定されるデータについてのみ、上記記憶処理を再度行うことを特徴とするものである。
この移動体通信端末においては、更新処理手段から送られる通知により、プログラム実行手段が、第1の記憶手段に記憶されたデータが更新されたことを認識することができる。よって、プログラム実行手段は、この通知を受けたときにだけ、上記記憶処理、すなわち、第2の記憶手段内の記憶内容を第1の記憶手段の更新後の記憶内容に対応するように同期させる処理を行うことが可能となる。したがって、その同期処理の回数を最小限に抑えることが可能となり、アプリケーションプログラムの動作の遅延を最小限に抑えることが可能となる。そして、このような同期処理を行うことで、アプリケーションプログラムの一時停止中等に第1の記憶手段の記憶内容が更新されても、アプリケーションプログラムを適切に動作させることが可能となる。なお、上記通知を受けた場合に同期処理を行うか否かは、プログラム実行手段が実行するアプリケーションプログラムの内容に応じて決まる。
【0013】
また、移動体通信端末においては、プログラム実行手段が、第2の記憶手段内の複製データ、又は、第2の記憶手段内の特定データにより特定される第1の記憶手段に記憶されたデータを用いる際には、その第2の記憶手段内の記憶内容と第1の記憶手段内の記憶内容とが常に同期した状態となる。よって、アプリケーションプログラムを適切に動作させることができる。
【0014】
しかも、本移動体通信端末においては、第1の記憶手段内の更新されたデータについてのみ、第2の記憶手段内の記憶内容の同期をとるので、第2の記憶手段内の全記憶内容について同期をとる場合に比べて、その同期処理の迅速化を図ることができる。
【0017】
なお、上記「移動体通信端末」としては、PDC(Personal Digital Cellular)方式、GSM(Global System for Mobile Communication)方式、TIA(Telecommunications Industry Association)方式等の携帯電話機、IMT(International Mobile Telecommunications)−2000で標準化された携帯電話機、PHS(Personal Handyphone Service)、自動車電話機等の電話機のうち、汎用アプリケーションプログラムを実行可能なものが挙げられる。また、この「移動体通信端末」としては、上記電話機のほか、電話機能を有しないPDA(Personal Digital Assistance)等の移動型の移動体通信端末も挙げられる。
【0018】
【発明の実施の形態】
〔実施形態1〕
以下、本発明の一実施形態(以下、本実施形態を「実施形態1」という。)を図面を参照しながら説明する。
図2は、本実施形態1に係る移動体通信システムの全体構成を説明するための説明図である。
この移動体通信システムにおいて、ユーザー1が使用する移動体通信端末としての携帯電話機20は、ユーザー1によって登録されたアプリケーションプログラムに付随するプロパティ情報中の設定データに従って、そのアプリケーションプログラムを実行可能な構成を有している。本実施形態1において、このアプリケーションプログラムは、プラットフォームに依存しないオブジェクト指向プログラミングによって開発されたものである。このようなアプリケーションプログラムとしては、JAVAで記述されたアプリケーションプログラムなどが挙げられる。この携帯電話機20は、通信ネットワークとしての携帯電話通信網10に接続可能である。また、この携帯電話通信網10には、プログラム提供用サーバとしてのアプリケーションプログラムダウンロードサーバ(以下、「ダウンロードサーバ」という。)11が接続されている。このダウンロードサーバ11は、携帯電話機20からのダウンロード要求を受け付けると、その要求に係るアプリケーションプログラムを携帯電話機20に対して送信する。
【0019】
ダウンロードサーバ11から提供されるアプリケーションプログラムは、アプリケーションプログラムの開発元2から提供される。具体的には、例えば、アプリケーションプログラム開発元2側のパーソナルコンピュータ等から、専用回線や公衆回線を介してダウンロードサーバ11にアップロードして提供する。なお、開発したアプリケーションプログラムを記録した光ディスクや磁気ディスク等の記録媒体を、アプリケーションプログラム開発元2からダウンロードサーバ11を管理・運営する通信事業者に送り、その記録媒体内のアプリケーションプログラムをダウンロードサーバ11で読み取るようにして、提供してもよい。このようにして提供されたアプリケーションプログラムは、携帯電話機20から携帯電話通信網10を介してダウンロード可能な状態でダウンロードサーバ11に登録される。
【0020】
図3は、上記ダウンロードサーバ11のハードウェア構成を示す概略構成図である。
このダウンロードサーバ11は、システムバス100、CPU101、内部記憶装置、外部記憶装置104、入力装置105及び出力装置106を備えている。上記内部記憶装置は、RAM102やROM103等で構成されている。上記外部記憶装置は、ハードディスクドライブ(HDD)や光ディスクドライブ等で構成されている。上記入力装置105は、外部記憶装置104、マウスやキーボード等で構成されている。上記出力装置106は、ディスプレイやプリンタ等で構成されている。更に、このダウンロードサーバ11は、携帯電話通信網10を介して各ユーザー1の携帯電話機20と通信するための携帯電話用通信装置107を備えている。
上記CPU101やRAM102等の構成要素は、システムバス100を介して、互いにデータやプログラムの命令等のやり取りを行っている。このダウンロードサーバ11を所定の手順に従って動作させるためのプログラムは、ROM103や外部記憶装置104に記憶されており、必要に応じてCPU101やRAM102上の作業エリアに呼び出されて実行される。また、このダウンロードサーバ11には、携帯電話機20に提供するアプリケーションプログラムが外部記憶装置104に記憶されている。ダウンロードサーバ11は、携帯電話機20からのダウンロード要求に応じ、CPU101、RAM102、携帯電話通信網用通信装置107等が協働して、外部記憶装置104に記憶されているアプリケーションプログラムを、携帯電話通信網10を介して携帯電話機20に送信する機能を有している。なお、このダウンロードサーバ11は、専用の制御装置として構成してもいいし、汎用のコンピュータシステムを用いて構成してもよい。また、1台のコンピュータで構成してもいいし、複数の機能をそれぞれ受け持つ複数台のコンピュータをネットワークで結んで構成してもよい。
【0021】
図4は、上記携帯電話機20の外観を示す正面図であり、図5は、その携帯電話機20のハードウェア構成を示す概略構成図である。
この携帯電話機20は、クラムシェル(折り畳み)タイプの携帯電話機であり、システムバス200、CPU201、RAM202やROM203等からなる内部制御装置、入力装置204、出力装置205、携帯電話用通信装置206、シェル開閉センサ207を備えている。また、本携帯電話機20は、その本体に対してメモリカード32が着脱可能な構成となっている。CPU201やRAM202等の構成要素は、システムバス200を介して、互いに各種データや後述のプログラムの命令等のやり取りを行っている。上記入力装置204は、データ入力キー(テンキー、*キー、#キー)21、通話開始キー22、終話キー23、スクロールキー24、多機能キー25、マイク26等から構成されている。上記出力装置205は、液晶ディスプレイ(LCD)27、スピーカ28等から構成されている。上記携帯電話用通信装置206は、携帯電話通信網10を介して他の携帯電話機や上述したサーバ11,12と通信するためのものである。シェル開閉センサ207は、液晶ディスプレイ27が備わった図4中上部の筐体部分に設けられた突起30aと、データ入力キー21等が備わった図4中下部の筐体部分に設けられた凹部30bと、その内部に設けられた図示しないセンサによって構成されている。クラムシェルが閉じると、液晶ディスプレイ27が図4中下部の筐体部分に覆われて外部から視認できない状態になる。そして、この状態になると、突起30aが凹部30b内に入り込み、これがセンサによって検知されることで、クラムシェルが閉じたことが認識される。
【0022】
図6は、上記携帯電話機20の主要部を抽出して示したブロック図であり、図7は、その携帯電話機20におけるソフトウェア構造の説明図である。
この携帯電話機20は、電話通信部211、データ通信部212、操作部213、プログラム実行手段としてのアプリケーションプログラム実行管理部214、更新処理手段としての主制御部215、出力部216、シェル開閉検知部217、メモリカード装着部218等を備えている。
【0023】
上記電話通信部211は、他の携帯電話機や固定電話機と電話通信を行うために、携帯電話通信網10の基地局と無線通信を行うものであり、上述のハードウェア構成上の携帯電話用通信装置206等に対応する。
【0024】
上記データ通信部212は、上記電話通信部211と同様に、上述のハードウェア構成上の携帯電話用通信装置206等に対応する。このデータ通信部212は、携帯電話機通信網10を介して他の携帯電話機とメールのやり取りを行ったり、携帯電話機通信網10からゲートウェイサーバを介して、インターネット等の外部の通信ネットワークに接続し、インターネット上での電子メールのやり取りやWebページの閲覧等を行ったりするためのものである。また、このデータ通信部212は、携帯電話機通信網10を介して、ダウンロードサーバ11が提供するアプリケーションプログラムをダウンロードするためにも用いられる。
【0025】
上記操作部213は、ユーザー1が操作可能な上述のテンキー21、通話開始キー22、終話キー23等で構成されている。この操作部213を操作することにより、ユーザーは、携帯電話機20に対してURL等のデータを入力したり、電話着信の際に通話の開始及び終了を行ったり、アプリケーションプログラムの選択、起動及び停止を行ったりすることができる。また、ユーザーは操作部213を操作することにより、上記ダウンロードサーバ11からアプリケーションプログラムをダウンロードすることもできる。
【0026】
上記アプリケーションプログラム実行管理部214は、上述のシステムバス200、CPU201やRAM202等で構成されている。このアプリケーションプログラム実行管理部214は、図7のソフトウェア構造上において中央の「プログラム実行環境」に対応しており、オブジェクト指向プログラミングで開発されたアプリケーションプログラムに利用されるクラスライブラリ、実行環境管理ライブラリ、アプリケーション管理等のソフトウェアを提供し、アプリケーションプログラムの実行環境を管理する。
ここで、アプリケーションプログラムは、クラスライブラリAPI(アプリケーションインターフェース)を介して上記プログラム実行環境内にある関数等のクラスライブラリを呼び出して使用できるようになっている。この関数等のクラスライブラリの呼び出しの履歴は、アプリケーションプログラムの仮想的な実行環境(仮想マシン:VM)が終了するまで、RAM202内におけるプログラム実行環境が管理する第2の記憶手段としてのアプリケーション用記憶領域に記憶される。また、プログラム実行環境は、アプリケーションプログラムの実行に際して用いる各種データも、そのアプリケーション用記憶領域に一時的に記憶する。そして、この各種データを用いるときには、このアプリケーション用記憶領域から読み出したり、書き込んだりする。また、プログラム実行環境内の実行環境管理ライブラリは、電話機プラットフォームAPIを介して後述の電話機プラットフォーム内の電話機プラットフォームライブラリを呼び出して使用できるようになっている。
【0027】
上記主制御部215は、上記電話通信部211、データ通信部212、操作部213、メモリカード装着部218を制御するものであり、上述のシステムバス200、CPU201やRAM202等で構成されている。この主制御部215は、アプリケーションプログラム実行管理部214との間で制御命令や各種データのやりとりを行い、これらと協働して制御を行う。また、主制御部215は、図7のソフトウェア構造上において最下部の「電話機プラットフォーム」に対応しており、上記電話通信部211等を制御するための制御用プログラムやユーザインターフェースを実行したり、電話機プラットフォームライブラリを提供したりする。この電話機プラットフォームは、上記プログラム実行環境内の実行環境管理ライブラリに対してイベントを送ることにより、アプリケーションプログラムにおいて各種処理を実行したり、アプリケーション管理APIを介して上記プログラム実行環境内のアプリケーション管理のソフトウェアを呼び出して使用したりできるようになっている。また、プログラム実行環境が電話機プラットフォームAPIを介して電話機プラットフォームライブラリを呼び出して使用したとき、電話機プラットフォームは、その電話機プラットフォームライブラリに応じた処理を実行する。例えば、電話機プラットフォームは、電話機プラットフォームライブラリを利用したプログラム実行環境からの指示に基づき、RAM202内における電話機プラットフォームが管理する第1の記憶手段としてのプラットフォーム用記憶領域に記憶されたデータや、電話機プラットフォームが管理するメモリカード装着部218に装着されたメモリカード32に記憶されたデータを読み出したり、書き換えたり、あるいは新しいデータを書き込んだりすることができる。
【0028】
上記出力部216は、上述の液晶ディスプレイ27、スピーカ28等からなる出力装置205等で構成されている。この出力部216は、上記データ通信部212で受信したWebページ画面を液晶ディスプレイ27に表示する。また、この出力部216の液晶ディスプレイ27は、上記電話通信部211やデータ通信部212で情報を着信した旨をユーザーに報知するときに用いられる。具体的には、その情報を着信すると、主制御部215により、出力部216の液晶ディスプレイ27に着信報知画像を表示したり、スピーカ28から着信音を出力させたりする。更に、この出力部216は、プログラム実行環境で実行されるアプリケーションプログラムの実行中に、そのプログラム実行に関連したメニュー画面等の表示や音楽の出力にも用いられる。
【0029】
上記シェル開閉検知部217は、上述のシェル開閉センサ207により構成されている。このシェル開閉検知部217は、クラムシェルが閉じたことを検知して、その検知信号を主制御部215に送る。この検知信号を受け取ることで、主制御部215は、クラムシェルが閉じていることを認識することができ、また、この検知信号を受け取らないことでクラムシェルが開いていることを認識することができる。本実施形態1では、主制御部215は、この検知信号を受け取ったとき、シェルが閉じた旨のイベントをアプリケーションプログラム実行管理部214に対して送る。そして、アプリケーションプログラム実行管理部214は、このイベントを受け付けると、実行中のアプリケーションプログラムを一時停止させる処理を実行する。
【0030】
上記メモリカード装着部218は、携帯電話機20の本体に対して着脱可能なメモリカード32を装着する図示しないカードスロット、主制御部215の制御下でメモリカード32内のデータを変更したり、削除したり、新規データを追加したりする更新処理を行うための図示しないデータ書込読出装置により構成されている。メモリカード32に対してデータの更新処理を行う場合には、主制御部215及びメモリカード装着部218のデータ書込読出装置が更新処理手段として機能する。また、メモリカード装着部218には、カードスロット内のメモリカード32の有無を検知する図示しない検知センサが設けられており、この検知センサの検知結果は、認識手段として機能する主制御部215に送られる。よって、主制御部215では、メモリカード装着部218にメモリカード32が装着されているか又は取り外されているかを認識することができる。
【0031】
携帯電話機20を所定の手順に従って動作させる電話機プラットフォームを構築するための制御用プログラムは、RAM202やROM203に記憶されている。また、基本OS(オペレーティングシステム)のプログラムや、上記プログラム実行環境を構築するためのプログラム及びアプリケーションプログラムも、RAM202やROM203に記憶されている。そして、これらのプログラムは、必要に応じてCPU201やRAM202中の作業エリアに呼び出されて実行される。
【0032】
次に、ダウンロードサーバ11からダウンロードしたアプリケーションプログラムを実行するための処理動作について説明する。なお、ここでは、RAM202のプラットフォーム用記憶領域に記憶された音楽データを再生する音楽プレイヤーのアプリケーションプログラムを例に挙げて説明する。
【0033】
図8は、本実施形態1におけるアプリケーションプログラムを実行するための処理の流れを示すフローチャートである。
まず、ユーザー1は、音楽プレイヤーのアプリケーションプログラムが用いる音楽データを、本携帯電話機20を用いて、既知の方法により、予め通信ネットワークを介してダウンロードして取得し、これをプラットフォーム用記憶領域に登録しておく(S11)。具体的には、例えば、ユーザー1は、操作部213のキーを操作して、音楽データを提供する通信ネットワーク上のサーバにアクセスする。これにより、ダウンロード可能な音楽データを選択するための音楽データ選択画面が液晶ディスプレイ27上に表示される。そして、その音楽データ選択画面において、ユーザーが希望する音楽データをスクロールキー24を用いて選択し、多機能キー25を押下すると、主制御部215がデータ通信部212を制御して、その音楽データをダウンロードする。このようにしてダウンロードした音楽データは、主制御部215により、RAM202のプラットフォーム用記憶領域に記憶される。
【0034】
次いで、ユーザー1は、音楽プレイヤーのアプリケーションプログラムをダウンロードサーバ11からダウンロードして取得し、これを登録する(S12)。具体的には、ユーザー1は、操作部213のキーを操作して、ダウンロードサーバ11にアクセスする。これにより、ダウンロード可能なアプリケーションプログラムを選択するためのダウンロード選択画面が液晶ディスプレイ27上に表示される。そして、そのダウンロード選択画面において、実行対象となる音楽プレイヤーのアプリケーションプログラムをスクロールキー24を用いて選択し、多機能キー25を押下すると、主制御部215がデータ通信部212を制御して、そのアプリケーションプログラムをダウンロードサーバ11からダウンロードする。
【0035】
ここで、本実施形態1におけるアプリケーションプログラムは、プロパティ情報であるJADファイル(テキストデータ)とプログラム本体であるJARファイル(バイナリデータ)とからなる。JADファイルには、アプリケーション名、アプリケーションのバージョン、アプリケーションのベンダー名、JARファイルが保存されているURLデータなどの基本データのほか、当該アプリケーションプログラムが認証済みのものか、当該アプリケーションプログラムがネットワークに接続した状態で使用されるものか、当該アプリケーションプログラムが常駐型のものであるかなどの設定データが含まれている。そして、上記ダウンロード選択画面において実行対象となる音楽プレイヤーのアプリケーションプログラムが選択されると、主制御部215がデータ通信部212を制御して、まず、そのアプリケーションプログラムのうちJADファイルだけをダウンロードする。その後、主制御部215は、そのJADファイルの中から、JARファイルが保存されているURLデータを読み出し、そのURLにアクセスし、JARファイルをダウンロードする。このようにしてダウンロードされたJADファイル及びJARファイルからなるアプリケーションプログラムは、主制御部215により、RAM102に記憶される。
【0036】
このようにしてダウンロードしたアプリケーションプログラムを実行する場合、ユーザー1は、操作部213のキーを操作して、実行するアプリケーションプログラムを選択するためのアプリケーション選択画面を液晶ディスプレイ27上に表示させる。そして、そのアプリケーション選択画面において、実行対象である音楽プレイヤーのアプリケーションプログラムをスクロールキー24を用いて選択し、多機能キー25を押下すると、図7に示した電話機プラットフォームすなわち図6に示した主制御部215に、アプリケーションプログラムの実行指示が入力される(S13)。これにより、主制御部215は、図7に示したプログラム実行環境すなわち図6に示したアプリケーションプログラム実行管理部214を起動させる(S14)。そして、アプリケーションプログラム実行管理部214は、JARファイルを読み出してこれを参照し、そのアプリケーションプログラムに適した実行環境に設定する(S15)。このようにして、アプリケーションプログラムごとに適した環境が設定されたら、アプリケーションプログラム実行管理部214は、JARファイルを読み出してアプリケーションプログラムを起動する(S16)。
【0037】
このようにして音楽プレイヤーのアプリケーションプログラムが起動したら、まず、RAM202のプラットフォーム用記憶領域に記憶された全音楽データの特定データである名前データのリスト(以下、「曲名リスト」という。)を取得する(S17)。具体的には、図9に示すように、まず、プログラム実行環境において、起動したアプリケーションプログラムは、アプリケーションプログラム実行管理部214に対して、曲名リストの取得要求を送る。これを受けたアプリケーションプログラム実行管理部214は、電話機プラットフォームの主制御部215に対して曲名リストの取得要求を送る。これを受けた主制御部215は、RAM202に記憶されている音楽データの曲名リストをアプリケーションプログラム実行管理部214に送り、この曲名リストはアプリケーションプログラムに渡される。
【0038】
その後、液晶ディスプレイ27に表示される曲名リストの中からユーザーが希望する曲名が選択されると、その曲名に対応する音楽データが再生される(S18)。具体的には、図9に示すように、ユーザーにより特定の曲名が選択されると、アプリケーションプログラムからアプリケーションプログラム実行管理部214に対して、その曲名に対応する音楽データの再生要求が送られる。これを受けたアプリケーションプログラム実行管理部214は、その曲名に対応する名前データをRAM202のアプリケーション用記憶領域から読み出し、その名前データに対応する音楽データの再生要求を、電話機プラットフォームの主制御部215に出す。これにより、主制御部215は、その要求に係る音楽データをRAM202のプラットフォーム用記憶領域から読み出し、これを再生する。
このようにして、本音楽プレイヤーのアプリケーションプログラムを実行することにより、ユーザーは、RAM202のプラットフォーム用記憶領域に記憶された音楽データを再生して聴くことができる。
【0039】
次に、本発明の特徴部分である、ユーザーがクラムシェルを閉じてアプリケーションプログラムが一時停止した後、そのアプリケーションプログラムを再開するときの処理動作について説明する。なお、ここでは、クラムシェルが閉じて一時停止する場合を例に挙げて説明するが、着信があったり、ユーザー操作がされない状態が一定時間継続したりして一時停止する場合でも同様である。
【0040】
図1は、本実施形態1におけるアプリケーションプログラムの再開時の処理の流れを示すフローチャートである。
アプリケーションプログラム実行管理部214がアプリケーションプログラムを実行している最中に、ユーザーがクラムシェルを閉じると、図6に示したシェル開閉検知部217がこれを検知し、クラムシェルが閉じた旨の検知信号が主制御部215に入力される。これにより、主制御部215は、クラムシェルが閉じたことが認識し、シェルが閉じた旨のイベントがアプリケーションプログラム実行管理部214に出力される。そして、アプリケーションプログラム実行管理部214は、実行中のアプリケーションプログラムを一時停止させる処理を実行する。このようにして一時停止したアプリケーションプログラムは、ユーザーが所定の再開操作を行うことで、再開することができる。
【0041】
具体的には、ユーザーが所定の再開操作を行うと(S1)、その操作内容は操作部213から主制御部215に送られ、主制御部215は、再開指示をアプリケーションプログラム実行管理部214に送る。ここで、アプリケーションプログラムの一時停止中に、ユーザーがRAM202のプラットフォーム用記憶領域に記憶された音楽データを削除したり、変更したり、この記憶領域に新しい音楽データを追加したりして、プラットフォーム用記憶領域の記憶内容が更新された場合、そのプラットフォーム用記憶領域に記憶された音楽データと、アプリケーション用記憶領域に記憶された曲名リストとの対応関係が一致せず、再開したアプリケーションプログラムが適切に動作しないおそれがある。
【0042】
そこで、本実施形態1では、アプリケーションプログラムの一時停止中に、プラットフォーム用記憶領域の記憶内容が更新された場合、主制御部215は、音楽データが更新された旨を示す更新通知を、アプリケーションプログラム実行管理部214に送る(S2)。これを受けたアプリケーションプログラム実行管理部214は、上述したS17の処理と同様、曲名リストの取得処理を再度行う(S3)。その後、アプリケーションプログラム実行管理部214は、アプリケーションプログラムを再開させる(S4)。これにより、再開したアプリケーションプログラムにより上述した音楽データの再生処理(S18)がなされる場合には、プラットフォーム用記憶領域に記憶された音楽データと、アプリケーション用記憶領域に記憶された曲名リストとの対応関係が一致した状態となる。
【0043】
一方、アプリケーションプログラムの一時停止中に、プラットフォーム用記憶領域の記憶内容が更新されていない場合、主制御部215は、上記更新通知をアプリケーションプログラム実行管理部214に送らない。この場合、プラットフォーム用記憶領域に記憶された音楽データと、アプリケーション用記憶領域に記憶された曲名リストとの対応関係は一致した状態にあるので、アプリケーションプログラム実行管理部214は、曲名リストの取得処理は行わず、そのままアプリケーションプログラムを再開させる(S4)。
【0044】
以上、本実施形態1によれば、プラットフォーム用記憶領域に記憶された音楽データと、アプリケーション用記憶領域に記憶された曲名リストとの対応関係を常に一致させることができるので、例えば、再開したアプリケーションプログラムによりプラットフォーム用記憶領域内の音楽データを再生しようとしたときにその音楽データが削除されていて再生できないという事態がなくなる。また、例えば、一時停止中に新しく音楽データが追加された場合でも、再開したアプリケーションプログラムによりその音楽データを再生することができるようになる。しかも、本実施形態1によれば、アプリケーションプログラム実行管理部214は、主制御部215から送られる更新通知の有無により、アプリケーションプログラムの一時停止中にプラットフォーム用記憶領域の記憶内容が更新されたか否かを認識することができる。したがって、再開のたびに毎回曲名リストを取得する処理を行う場合に比べて、アプリケーションプログラムの動作の遅延を抑えることができる。
【0045】
本実施形態1において、主制御部215がアプリケーションプログラム実行管理部214に送る通知単に更新された旨を示すものである、アプリケーションプログラム実行管理部214は、データ更新の内容までは認識することができない。すなわち、アプリケーションプログラム実行管理部214は、音楽データが削除されたのか、変更されたのか、追加されたのかを区別して認識することができず、また、どの音楽データが更新されたのかを認識することもできない。そのため、本実施形態1では、更新通知を受けた場合、アプリケーションプログラムの起動時における曲名リストの取得処理(S17)と同じように、全音楽データについての曲名リストを取得する処理を行うことが考えられる。プラットフォーム用記憶領域内の音楽データの数が少ない場合、その曲名リストのデータ量は比較的小さいものとなるため、全音楽データについての曲名リストを取得するような処理であっても、動作の遅延にはあまり影響がない。しかし、プラットフォーム用記憶領域内の音楽データの数が多い場合には、曲名リストのデータ量が大きくなり、動作の遅延を招くおそれがある。
【0046】
そこで、本実施形態1においては、例えば一時停止中に新しい音楽データが追加された場合に、その音楽データの記憶場所を示すアドレスデータ等(更新データ情報)を上記更新通知に含ませる。この場合、アプリケーションプログラム実行管理部214は、そのアドレスデータに係る音楽データの名前データについてのみ、主制御部215に対して取得要求を出し、その名前データのみを取得するようにする。これにより、音楽データの数が多い場合であっても、動作の遅延を招くおそれはなくなる。なお、このような動作は、一般に、主制御部215から取得してアプリケーション用記憶領域に記憶されるデータ量が大きい場合には有効である。
【0047】
なお、本実施形態1では、RAM202のプラットフォーム用記憶領域に記憶された音楽データを用いる場合について説明したが、第1の記憶手段としてのメモリカード32に記憶された音楽データを用いる場合であっても、同様である。また、本実施形態1では、RAM202のプラットフォーム用記憶領域に記憶された音楽データの曲名リストをアプリケーション用記憶領域に記憶し、この曲名リストにより特定されるプラットフォーム用記憶領域内の音楽データを再生する場合について説明したが、プラットフォーム用記憶領域に記憶された音楽データを複製してこれをアプリケーション用記憶領域に記憶し、この複製データを再生する場合でも同様である。
【0048】
参考例
次に、本発明に関する参考例について説明する。
参考例においては、第1の記憶手段としてのメモリカード32に記憶された音楽データの曲名リストをアプリケーション用記憶領域に記憶し、この曲名リストにより特定されるメモリカード32内の音楽データを再生する場合について説明する。なお、以下の説明において、上記実施形態1と同様の部分については、その説明を省略する。
【0049】
図10は、本参考例におけるアプリケーションプログラムの再開時の処理の流れを示すフローチャートである。
上記実施形態1と同様にアプリケーションプログラムを実行したアプリケーションプログラム実行管理部214は、そのアプリケーションプログラムの実行中に、ユーザーによりクラムシェルが閉じられると、その実行を一時停止させる。そして、ユーザーが所定の再開操作を行うと(S1)、主制御部215は、再開指示をアプリケーションプログラム実行管理部214に送る。ここで、アプリケーションプログラムの一時停止中にユーザーがメモリカード32を携帯電話機20の本体から取り外して、その再開時にメモリカード32が装着されていない場合、再開したアプリケーションプログラムが音楽を再生しようとしても、その音楽データを記憶したメモリカード32がない。そのため、再開したアプリケーションプログラムが適切に動作しないおそれがある。
【0050】
そこで、本参考例では、ユーザーにより所定の再開操作が行われた後(S1)、主制御部215は、メモリカード装着部218に設けられるメモリカード32の着脱状態を検知する検知センサからの検知結果を取得して、メモリカード32の着脱状態を確認する(S21)。そして、メモリカード32が取り外されている場合、主制御部215は、メモリカード32が取り外された旨を示すカード無し通知を、アプリケーションプログラム実行管理部214に送る(S22)。これを受けたアプリケーションプログラム実行管理部214は、主制御部215を介して出力部216の液晶ディスプレイ27に、メモリカード32が取り外されている旨の警告画面を表示する処理を行う(S23)。この場合、メモリカード32が装着されるまでは、アプリケーションプログラムは再開されない。
【0051】
また、アプリケーションプログラムの一時停止中に、ユーザーがメモリカード32を携帯電話機20の本体から取り外して新しいメモリカード32を装着した場合、その新しいメモリカード32に記憶された音楽データと、アプリケーション用記憶領域に記憶された曲名リストとの対応関係が一致しない。すなわち、新しいメモリカード32に記憶されている音楽データに対応する曲名リストがアプリケーション用記憶領域に存在しない。そのため、再開したアプリケーションプログラムにより新しいメモリカード32に記憶されている音楽データを再生することができず、再開したアプリケーションプログラムが適切に動作しないおそれがある。
そこで、本参考例では、アプリケーションプログラムの一時停止中に、メモリカード32が交換された場合、主制御部215は、新しいメモリカードが装着された旨を示すカード交換通知を、アプリケーションプログラム実行管理部214に送る(S24)。これを受けたアプリケーションプログラム実行管理部214は、上記実施形態1において音楽データが更新された場合と同様、曲名リストの取得処理を再度行う(S3)。その後、アプリケーションプログラム実行管理部214は、アプリケーションプログラムを再開させる(S4)。これにより、再開したアプリケーションプログラムにより上述した音楽データの再生処理(S18)がなされる場合には、メモリカード32に記憶された音楽データと、アプリケーション用記憶領域に記憶された曲名リストとの対応関係が一致した状態となる。
【0052】
一方、アプリケーションプログラムの一時停止中に、メモリカード32が交換されなかった場合、主制御部215は、上記カード交換通知をアプリケーションプログラム実行管理部214に送らない。この場合、装着されているメモリカード32に記憶された音楽データと、アプリケーション用記憶領域に記憶された曲名リストとの対応関係は一致した状態にあるので、アプリケーションプログラム実行管理部214は、曲名リストの取得処理は行わず、そのままアプリケーションプログラムを再開させる(S4)。
【0053】
以上、本参考例によれば、取り外されて存在しないメモリカード32に記憶された音楽データを再生しようとするなどの動作がされなくなるので、再開したアプリケーションプログラムは適切に動作することができる。しかも、本実施形態では、アプリケーションプログラム実行管理部214は、主制御部215から送られるカード無し通知やカード交換通知の有無により、メモリカード32が取り外されているか、新しいメモリカード32が装着されたかを認識することができる。したがって、再開のたびに、メモリカードが装着されているかを毎回確認したり、曲名リストを再取得する処理を毎回行ったりする場合に比べて、アプリケーションプログラムの動作の遅延を抑えることができる。
【0054】
なお、上述した実施形態1及び参考例では、JAVA等のプログラム言語を用いたプラットフォームに依存しないオブジェクト指向のプログラミングで開発されたアプリケーションプログラムを実行できる携帯電話機について説明したが、これに限られるものではない。
また、本発明は、携帯電話機のほか、PHS、自動車電話機等の電話機のほか、携帯型のPDAの場合についても適用でき、同様な効果が得られるものである。
【0055】
【発明の効果】
請求項1の発明によれば、アプリケーションプログラムの動作の遅延を最小限に抑えつつ、そのアプリケーションプログラムを適切に動作させることが可能となるという優れた効果がある。
しかも2の記憶手段内の記憶内容と第1の記憶手段内の記憶内容との対応関係が常に一致した状態となるので、アプリケーションプログラムの一時停止中等に、第1の記憶手段の記憶内容が更新されたり、新たな第1の記憶手段が装着されたりしても、アプリケーションプログラムを適切に動作させることが可能となるという優れた効果がある。
更に2の記憶手段内の記憶内容と第1の記憶手段内の記憶内容との対応関係を一致させるための同期処理を迅速化することができるので、アプリケーションプログラムの動作の遅延を更に抑えることが可能となるという優れた効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態1に係る移動体通信システムを構成する携帯電話機におけるアプリケーションプログラムの再開時の処理の流れを示すフローチャート。
【図2】 同移動体通信システムの全体構成を説明するための説明図。
【図3】 同移動体通信システムを構成するダウンロードサーバのハードウェア構成を示す概略構成図。
【図4】 同携帯電話機の外観を示す正面図。
【図5】 同携帯電話機のハードウェア構成を示す概略構成図。
【図6】 同携帯電話機の主要部を抽出して示したブロック図。
【図7】 同携帯電話機におけるソフトウェア構造の説明図。
【図8】 同携帯電話機におけるアプリケーションプログラムを実行するための処理の流れを示すフローチャート。
【図9】 同アプリケーションプログラムによる音楽データの再生処理を行うときのシーケンス図。
【図10】 本発明に関する参考例における携帯電話機におけるアプリケーションプログラムの再開時の処理の流れを示すフローチャート。
【符号の説明】
10 携帯電話通信網
11 ダウンロードサーバ
20 携帯電話機
27 液晶ディスプレイ
32 メモリカード
212 データ通信部
213 操作部
214 アプリケーションプログラム実行管理部
215 主制御部
216 出力部
217 シェル開閉検知部
218 メモリカード装着部

Claims (1)

  1. データを記憶する第1の記憶手段及び第2の記憶手段と、
    該第1の記憶手段に記憶されたデータを変更し若しくは削除し、又は新たなデータを該第1の記憶手段に追加する更新処理を行う更新処理手段と、
    該第1の記憶手段に記憶されたデータの少なくとも一部を複製して該第2の記憶手段に記憶する記憶処理、又は、該第1の記憶手段に記憶されたデータを特定するための特定データを該第2の記憶手段に記憶する記憶処理を行った後、該複製したデータを用いて又は該特定データにより特定される該第1の記憶手段に記憶されたデータを用いて、アプリケーションプログラムを実行するプログラム実行手段とを備えた移動体通信端末であって、
    上記更新処理手段は、上記記憶処理を行った後上記プログラム実行手段がアプリケーションプログラムの実行を終了するまでの間に上記更新処理を行った場合、その旨及び該更新処理により更新されたデータを特定するための更新データ情報が含まれた通知を該プログラム実行手段に対して送り、
    上記プログラム実行手段は、上記通知を受けた場合、上記複製したデータを用いる前に、又は、上記特定データにより特定される上記第1の記憶手段に記憶されたデータを用いる前に、該通知に含まれる更新データ情報により特定されるデータについてのみ、上記記憶処理を再度行うことを特徴とする移動体通信端末
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