JP3966949B2 - 易開封性密封容器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、易開封性密封容器に関し、さらに詳しくは、容器の内容物側からの剥離強度がレトルト殺菌、あるいは、輸送時等の落下衝撃などに耐える程度に強く、かつ、容器の外側からの開封が手により可能な程度の強さに保たれている易開封性密封容器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、易開封性密封容器は食品包装等の多くの分野で広く使用されている。特に、内容物にレトルト殺菌処理を施すものでは、熱接着部の接着強度が2.3kg/15mm巾以上であることが、昭和57年度厚生省告示20号「容器包装詰加圧加熱殺菌食品の容器包装」の中で規定されていて、この規定を満足しようとすると、蓋材と容器本体との熱接着部の強度は、手による剥離がもはや困難な程度に強固なものとなる。
【0003】
そこで、この種の問題を解決するために、種々の易開封性密封容器が提案され、たとえば、1990年発行の「特殊印刷とコンバーティング」の618 〜619 頁(加工技術協会編)には、容器本体の最内層と第二層との層間が剥離可能にコントロールされ、容器本体のフランジ部の熱接着部よりも容器の内容物側のこの最内層にあらかじめ切れ目を入れておき、容器本体のフランジ部の熱接着部で蓋材とは強固な接着を行う。これにより、容器の内容物側からの接着強度は切れ目から一定距離の接着端部に応力が集中し、強い接着強度(2.3kg/15mm巾以上)が得られる一方、容器本体の外側からの開封強度は容器本体の最内層と第二層との層間剥離強度(500 〜800g/15m巾)となり容易に開封することができる易開封性密封容器が提案されている。
【0004】
上記の易開封性密封容器は容器本体の内容物側からの剥離強度を2.3kg/15mm巾以上に保ちながら、容器本体の外側からの開封強度を手で開封できる程度の強度にしたものとして価値あるものであるが、容器本体に切れ目加工を行うことが必須となることや、蓋材との熱接着部に位置規制が必要であることや、容器本体自体に要求される諸物性、たとえば、内容物を保護する層や機械的な強度を持たせる層などの他に、容器本体に層間を剥離可能にコントロールされた最内層と第二層が必須となるといったコスト高や過剰包装的な容器に繋がる結果となり、好ましいものではない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明の目的は、容器の内容物側からの剥離強度が、2.3kg/15mm巾以上のように、レトルト殺菌処理や輸送時等の落下衝撃などに耐える程度に強く、かつ、容器を外側から開封する際には、手で開封できる程度の強さに保たれる構造が単純な易開封性密封容器を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記のような問題点を解決すべく種々研究した結果、請求項1に記載の発明の易開封性密封容器は、上端が開放の周状の開口端を有する容器本体と該容器本体の上端部で熱接着される蓋材とからなる容器において、前記容器本体の前記上端部の前記蓋材と熱接着される表面が前記開口端を形成する面よりも下方外側へ向かって形成される直線傾斜面状であり、前記直線傾斜面状に形成された上端部表面と前記蓋材とを熱接着し、該熱接着した前記上端部表面と前記蓋材との間が剥離可能に接着しており、前記蓋材の外周縁の所定箇所を前記直線傾斜面状に形成された上端部表面の端よりも更に外側に突出させることにより開封用舌片を形成していることを特徴とするものである。
【0007】
また、請求項2に記載の発明の易開封性密封容器は、上端が開放の周状の開口端を有する容器本体と該容器本体の上端部で熱接着される蓋材とからなる容器において、前記容器本体の前記上端部の前記蓋材と熱接着される表面が前記開口端を形成する面より下方外側へ向かって形成される直線傾斜面状であり、前記直線傾斜面状に形成された上端部表面と前記蓋材とを熱接着し、該熱接着した前記上端部表面と前記蓋材との間が剥離可能に接着しており、前記上端部表面が前記直線傾斜面状に形成された上端部表面に連接して容器本体の更に外側へ向かって且つ開口面に平行に形成された延伸部分を備えており、前記蓋材の外周縁の所定箇所を前記開口面に平行に形成された上端部表面の延伸部分の端よりも更に外側に突出させることにより開封用舌片を形成していることを特徴とするものである。上記請求項1、2のいずれかに記載の構成とすることにより、容器の内容物側から熱接着した容器本体の上端部表面と蓋材との間にかかる剥離強度を、前記容器本体の前記上端部の前記蓋材と熱接着される表面が前記容器の開口面と平行な場合の剥離強度と比べて大きくすることができ、レトルト殺菌処理や輸送時等の落下衝撃などに耐える程度に強い強度とすることができる一方、容器を外側から開封する際には、手で開封できる程度の強さにすることができる。
【0008】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1、2のいずれかに記載する易開封性密封容器において、前記直線傾斜面状に形成された上端部表面が前記容器本体の上端にその一端が連接して形成された開口面に平行な上端部表面の他端に連接して形成されていることを特徴とするものである。このような構成とすることにより、たとえば、射出成形で容器をつくる場合には、成形用の金型の耐久性が向上すると共に、生産性が向上する。
【0009】
また、請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれかに記載の易開封性密封容器において、前記容器本体の前記直線傾斜面状に形成された上端部表面の傾斜角度が前記容器の開口端を形成する面に対して、30〜90度としたことを特徴とするものである。傾斜角度が大きくなるに従って、容器の内容物側からの剥離強度は、熱接着した前記容器本体の上端部表面と前記蓋材との間の剪断力となり、極めて強い剥離強度を確保することができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
上記の本発明について、図面等を用いて以下に更に詳しく説明する。
図1は本発明の易開封性密封容器の第1の実施形態の一部断面図、図2は図1に示す易開封性密封容器と内圧による力の関係を示す図、図3は図1の開口直前の状態を示す図、図4は図1の開口直後の状態を示す図、図5〜11は本発明の易開封性密封容器の第2〜8の実施形態の要部断面図であり、1は易開封性密封容器、2は蓋材、3は容器本体、4は上縁部、5,5',5"は上縁部表面、11は剥離可能接着領域、20は開封用舌片、30は開口端をそれぞれ示す。
【0011】
まず、図1は本発明の易開封性密封容器の一部断面図であって、本発明の易開封性密封容器1は、上端開放の容器本体3の開口端30を一周する前記容器本体3の外側下方へ向かって傾斜する傾斜面状に形成された前記容器本体3の上端部4の表面5の接着領域11で蓋材2と接着されて容器本体3が密封されたものである。また、本発明の易開封性密封容器1を開封するための開封用舌片20が蓋材2の外周縁の所定箇所に設けられている。
【0012】
このように蓋材2と容器本体3とを接着する前記容器本体3の上端部4の表面5の接着領域11は、図2に示すように容器に内圧Fがかかった場合に、内圧Fは専ら上端部4の表面5の前記接着領域11と蓋材2との境目、すなわち接着領域11の容器内側の位置Aに応力が集中するが、前記接着領域11は前記容器本体3の外側下方へ向かって傾斜する傾斜面状に形成されていて、その傾斜角度α(開口端30が形成する面に対する角度)により差はあるものの、前記内圧Fは前記位置Aで傾斜した上端部4の表面5に垂直に働く剥離力と水平に働く剪断力に分力され、前記傾斜した上端部4の表面5に垂直に働く剥離力は、前記接着領域11が前記容器本体3の開口面と平行に形成された場合の剥離力と比べると小さくすることができ、前記容器本体3の開口面に対して前記傾斜した上端部4の表面5の傾斜角度を30度以上にすることにより、前記内圧Fの前記位置Aにおける前記傾斜した上端部4の表面5に垂直に働く剥離力を2.3kg/15mm巾以上に保持することが可能となり、レトルト殺菌処理や輸送時等の落下衝撃などに耐える程度に強い強度とすることができる一方、容器を外側から開封する際には、手で開封できる程度の強さ、すなわち、1.5Kg/15mm巾以下にすることができる。
【0013】
また、図3は図1の開口直前の状態を示す図、図4は図1の開口直後の状態を示す図であって、本発明の易開封性密封容器1を開封する場合には、蓋材2に設けられた開封用舌片20を開封方向Kに引き上げる操作を行うと、前記接着領域11の容器本体3の上端部4の表面5と蓋材2との層間で剥離し始める。剥離がさらに進むと蓋材2が容器本体3から完全に剥離し、易開封性密封容器1が開封される。
【0014】
ところで、蓋材2と容器本体3とを接着する前記蓋材2の最内層および前記容器本体3の上端部4の表面5を形成する層に用いる材料は、特に制限はなく、ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、エラストマー等の一種、あるいは、それ以上からなるものを用いることができるが、前記蓋材2の最内層に用いる材料と前記容器本体3の上端部4の表面5を形成する層に用いる材料とは、その組み合わせを考慮する必要がある。
【0015】
たとえば、1実施例として、前記容器本体3の上端部4の表面5を形成する層にポリプロピレン系樹脂、あるいは、高密度ポリエチレン系樹脂を用いた場合には、前記蓋材2の最内層には、ポリプロピレン系樹脂とポリエチレン系樹脂との混合樹脂を用いることができる。また、前記容器本体3の上端部4の表面5を形成する層にポリプロピレン系樹脂とポリエチレン系樹脂との混合樹脂を用いた場合には、前記蓋材2の最内層には、高密度ポリエチレン系樹脂、あるいは、ポリプロピレン系樹脂を用いることができる。
【0016】
前記ポリプロピレン系樹脂としては、たとえば、高結晶性のプロピレン単独重合体の他に、エチレン、ブテンー1、ペンテンー1、3ーメチルブテンー1、4ーメチルペンテンー1などのαーオレフィンとのランダム共重合体や、これらの混合物などである。なお、ランダム共重合体としては、多段重合で得られるホモポリプロピレンとの混合物であってもよい。
【0017】
また、前記混合樹脂に用いられるポリエチレン系樹脂としては、たとえば、高圧法低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレンおよび高密度ポリエチレン等のいずれのエチレン単独重合体を使用することができる他に、プロピレン、ブテンー1、ペンテンー1、3ーメチルブテンー1、4ーメチルペンテンー1などのαーオレフィン、または、酢酸ビニルとの結晶性、あるいは、低結晶性ないし非結晶性のランダムもしくはブロック共重合体、あるいは、これらの混合物などを用いることができる。
【0018】
また、前記高密度ポリエチレン系樹脂としては、たとえば、エチレン単独重合体の他に、プロピレン、ブテンー1、ペンテンー1、3ーメチルブテンー1、4ーメチルペンテンー1などのαーオレフィンとの共重合体などを用いることができる。
【0019】
また、たとえば、他の実施例として、容器本体3の上端部4の表面5を形成する層にポリスチレン系樹脂を用いた場合には、前記蓋材2の最内層には、ポリオレフィン系樹脂とポリスチレン系樹脂との混合樹脂を用いることができる。また、容器本体3の上端部4の表面5を形成する層にポリオレフィン系樹脂とポリスチレン系樹脂との混合樹脂を用いた場合には、前記蓋材2の最内層には、ポリスチレン系樹脂を用いることができる。
【0020】
前記ポリスチレン系樹脂としては、たとえば、高結晶性のスチレン単独重合体の他に、エチレン、ブテンー1、ペンテンー1、3ーメチルブテンー1、4ーメチルペンテンー1などのαーオレフィンとのランダム共重合体や、これらの混合物などである。なお、ランダム共重合体としては、多段重合で得られるホモポリプロピレンとの混合物であってもよい。
【0021】
また、前記混合樹脂に用いられるポリオレフィン系樹脂としては、たとえば、高圧法低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレンおよび高密度ポリエチレン等のいずれのエチレン単独重合体を使用することができる他に、プロピレン、ブテンー1、ペンテンー1、3ーメチルブテンー1、4ーメチルペンテンー1などのαーオレフィン、または、酢酸ビニルとの結晶性、あるいは、低結晶性ないし非結晶性のランダムもしくはブロック共重合体、あるいは、これらの混合物などを用いることができる。
【0022】
ところで、容器本体3の上端部4の表面5を形成する層に用いるポリプロピレン系樹脂、高密度ポリエチレン系樹脂、あるいは、ポリプロピレン系樹脂とポリエチレン系樹脂との混合樹脂、あるいは、ポリスチレン系樹脂、あるいは、ポリオレフィン系樹脂とポリスチレン系樹脂との混合樹脂は、そのまま用いて容器本体3を構成してもよいが、ガスバリヤー性や容器の剛性を向上させるために、外層に他の材料を用いることもできる。前記外層に用いる他の材料としては、たとえば、エチレンービニルアルコール共重合体、ポリ塩化ビニリデン、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレートなどの樹脂やアルミニウム、酸化アルミニウム、酸化珪素等の無機物の蒸着層などである。また、ポリオレフィン系樹脂とポリスチレン系樹脂との混合樹脂は、ブレンド系のものであってもポリマーアロイのタイプのものであっても構わない。
【0023】
また、容器本体3の厚さとしては、使用される用途、目的等により適宜決定すればよいが、0.4 〜2.0mm の範囲の厚さのものが一般的に使用されている。
【0024】
また、容器本体3は、単層材料からなるものであっても、多層材料からなるものであってもよい。また、容器本体3の形状については特に制限はなく、たとえば、円形状、四角形状などをしたカップ状、あるいは、トレー状のものであって、この容器本体3の上端部4の表面5に形成された層と前記容器本体3の上端部4に沿って環状に蓋材2と熱接着される。
【0025】
また、蓋材2の基材についても特に制限はなく、蓋材2に求められる諸物性を満足できればよいのであって、たとえば、単層のシートであっても、多層のシートであってもよく、また、必要に応じて金属箔や紙などが積層されたものであってもよい。
【0026】
一方、蓋材2の最内層に用いるポリプロピレン系樹脂、高密度ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂とポリエチレン系樹脂との混合樹脂、あるいは、ポリスチレン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂とポリスチレン系樹脂との混合樹脂等は、そのままフィルム化したものを用いて蓋材2を構成してもよいが、ガスバリヤー性や意匠性、遮光性等を向上させるために、基材に他の材料を用いることもできる。前記基材に用いる他の材料としては、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート等をフィルム化したもの、あるいは、これらのフィルム化したものにアルミニウムや酸化アルミニウム、酸化珪素等の無機物を蒸着したもの、あるいは、アルミニウム等の金属箔、あるいは、これらを積層したものなどである。
【0027】
また、蓋材2の厚さとしては、使用される用途、目的等により適宜決定すればよいが、50〜100 μmの範囲の厚さのものが一般的に使用されている。
【0028】
次に、本発明の易開封性密封容器の他の実施形態について説明すると、図5は本発明の易開封性密封容器の第2の実施形態の要部断面図であって、図1の第1の実施形態のように容器本体の上端部4が鍔状ではなくて、容器本体3の肉厚の端面からなっているものである。図5においては容器本体3の肉厚の端面を厚肉に形成したものを示したが、これにこだわることはなく容器本体3の端面が容器本体3の肉厚と同じ肉厚であっても構わない。
【0029】
また、図6は本発明の易開封性密封容器の第3の実施形態の要部断面図であって、図1の第1の実施形態の傾斜面状に形成された上端部4の表面5が容器本体3の内面の上端にその一端が連接して形成された開口面に平行な上端部4の表面5'の他端に連接して形成されているものである。
【0030】
また、図7は本発明の易開封性密封容器の第4の実施形態の要部断面図であって、図5の第2の実施形態の傾斜面状に形成された上端部4の表面5が容器本体3の内面の上端にその一端が連接して形成された開口面に平行な上端部4の表面5'の他端に連接して形成されているものである。
【0031】
また、図8は本発明の易開封性密封容器の第5の実施形態の要部断面図であって、図6の第3の実施形態の傾斜面状に形成された上端部4の表面5に連接し容器本体3の外側に開口面に平行に延びる上端部4の表面5"が形成されているものである。
【0032】
また、図9は本発明の易開封性密封容器の第6の実施形態の要部断面図であって、図7の第4の実施形態の傾斜面状に形成された上端部4の表面5に連接し容器本体3の外側に開口面に平行に延びる上端部4の表面5"が形成されているものである。
【0033】
また、図10は本発明の易開封性密封容器の第7の実施形態の要部断面図であって、図7の第4の実施形態の傾斜面状に形成された上端部4の表面5の部分が曲面形状に形成され、前記上端部4の曲面形状に形成された表面5の接着領域11で蓋材2と接着されて容器本体3が密封されたものである。また、図6〜図10に示した第3〜第7の実施形態において、容器本体3の上端部4の表面5'、5"は蓋材2と接着していない状態を示しているが、接着していても構わないことはいうまでもない。
【0034】
また、図11は本発明の易開封性密封容器の第8の実施形態の要部断面図であって、図10に示した第7の実施形態は容器本体3の上端部4の表面5の部分が曲面形状に形成されているものであるが、図11に示す第8の実施形態は上端部4全体が曲面形状の鍔状となっているものである。この場合、容器本体の上端部に鋭角な角がなくなり、たとえば、内容物が食品である場合において、直接容器本体の上端部に口を付けて食べる時などに唇や舌等を切るといったことを防止できて安全であると共に、容器本体そのものの見栄えも良くすることができる。
【0035】
【実施例】
次に、実施例により、本発明の易開封性密封容器の製造方法を説明する。
実施例1
高結晶性のプロピレン単独重合体を所定形状の射出成型金型に射出して容器本体の外側下方へ向かって傾斜する傾斜角度0度、10度、20度、30度、40度、50度を有する容器本体を作製し、得られた容器本体に水を充填して後に、印刷された12μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートの印刷面に高結晶性のプロピレン単独重合体と直鎖状低密度ポリエチレンとの80:20の混合樹脂の50μmのフィルムをドライラミネーション法で積層した蓋材を前記の各傾斜角度を有する容器本体の傾斜面で熱接着して本発明の易開封性密封容器を得た。このようにして得られた易開封性密封容器の蓋材と表層材との内容物側からの層間剥離強度は傾斜角度0度のものは1.3 Kg/15mm巾、10度のものは1.7 Kg/15mm巾、20度のものは1.8 Kg/15mm巾、30度のものは2.3 Kg/15mm巾、40度のものは3.1 Kg/15mm巾、50度のものは4.0 Kg/15mm巾であり、傾斜角度が30度以上のものが、2.3kg/15mm巾以上であり、厚生省告示20号に適合するものを得ることができた。また、表層材と容器本体との容器外側からの層間剥離強度は1.3 Kg/15mm巾であり、蓋材に形成された開封用舌片を摘んで持ち上げることにより手で開封することができた。また、上記で作製した傾斜角度が30度以上の易開封性密封容器を120℃で30分間レトルト殺菌処理を施したが、処理中に蓋材と容器本体との層間が剥離することはなく、良好な結果が得られた。本発明は本実施例に限られることなく、レトルト殺菌処理を施す用途にも適用可能であるし、また、傾斜角度についても30度以上に限られることはなく、内容物、用途により適宜選択することができる。
【0036】
【発明の効果】
本発明の易開封性密封容器は、上端が開放の周状の開口端を有する容器本体と該容器本体の上端部で熱接着される蓋材とからなる容器において、容器本体の上端部の蓋材と熱接着される表面が前記開口端を形成する面より下方外側へ向かって形成される傾斜面状、あるいは、前記容器本体の前記上端部の前記蓋材と熱接着される表面が前記開口端を形成する面より下方外側へ向かって形成される曲面形状であって、前記傾斜面状、あるいは、前記曲面形状に形成された上端部表面と前記蓋材とを熱接着することにより、密封性に優れると共に、蓋材および容器本体の使用材料と傾斜角度を適宜選ぶことにより、レトルト殺菌処理にも耐えることができるものとすることができ、かつ、容器を開封する際には手で開封できる程度の剥離強度に保たれるといった効果を奏すると共に、構造が単純であり製造コストも安くすることができるといった効果をも奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明にかかる易開封性密封容器の第1の実施形態の一部断面図である。
【図2】 図1に示す易開封性密封容器と内圧による力の関係を示す図である。
【図3】 図1の開口直前の状態を示す図である。
【図4】 図1の開口直後の状態を示す図である。
【図5】 本発明にかかる易開封性密封容器の第2の実施形態の要部断面図である。
【図6】 本発明にかかる易開封性密封容器の第3の実施形態の要部断面図である。
【図7】 本発明にかかる易開封性密封容器の第4の実施形態の要部断面図である。
【図8】 本発明にかかる易開封性密封容器の第5の実施形態の要部断面図である。
【図9】 本発明にかかる易開封性密封容器の第6の実施形態の要部断面図である。
【図10】 本発明にかかる易開封性密封容器の第7の実施形態の要部断面図である。
【図11】 本発明にかかる易開封性密封容器の第8の実施形態の要部断面図である。
【符号の説明】
1 易開封性密封容器
2 蓋材
3 容器本体
4 上縁部
5,5',5" 上縁部表面
11 剥離可能接着領域
20 開封用舌片
30 開口端
Claims (4)
- 上端が開放の周状の開口端を有する容器本体と該容器本体の上端部で熱接着される蓋材とからなる容器において、前記容器本体の前記上端部の前記蓋材と熱接着される表面が前記開口端を形成する面よりも下方外側へ向かって形成される直線傾斜面状であり、前記直線傾斜面状に形成された上端部表面と前記蓋材とを熱接着し、該熱接着した前記上端部表面と前記蓋材との間が剥離可能に接着しており、前記蓋材の外周縁の所定箇所を前記直線傾斜面状に形成された上端部表面の端よりも更に外側に突出させることにより開封用舌片を形成していることを特徴とする易開封性密封容器。
- 上端が開放の周状の開口端を有する容器本体と該容器本体の上端部で熱接着される蓋材とからなる容器において、前記容器本体の前記上端部の前記蓋材と熱接着される表面が前記開口端を形成する面より下方外側へ向かって形成される直線傾斜面状であり、前記直線傾斜面状に形成された上端部表面と前記蓋材とを熱接着し、該熱接着した前記上端部表面と前記蓋材との間が剥離可能に接着しており、前記上端部表面が前記直線傾斜面状に形成された上端部表面に連接して容器本体の更に外側へ向かって且つ開口面に平行に形成された延伸部分を備えており、前記蓋材の外周縁の所定箇所を前記開口面に平行に形成された上端部表面の延伸部分の端よりも更に外側に突出させることにより開封用舌片を形成していることを特徴とする易開封性密封容器。
- 前記直線傾斜面状に形成された上端部表面が前記容器本体の上端にその一端が連接して形成された開口面に平行な上端部表面の他端に連接して形成されていることを特徴とする請求項1、2のいずれかに記載の易開封性密封容器。
- 前記容器本体の前記直線傾斜面状に形成された上端部表面の傾斜角度が前記容器の開口端を形成する面に対して、30〜90度としたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の易開封性密封容器。
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