JPH0539086Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は易開封用容器に関するものである。さ
らに詳しくいえば、本考案は、食品、飲料などの
充填包装用、特に加熱殺菌包装用として好適に用
いられる蓋材を強固にヒートシールでき密封性に
優れるとともに、開封性にも優れるリブ部または
カール部を有するフランジ付易開封用多層容器に
関する。

〔従来の技術〕

従来、食品、飲料などの包装のために、フラン
ジ付容器が多用されており、容器に内容物を充填
したのち、蓋材をヒートシールすることにより密
封されている。しかし、このようにして形成され
るヒートシール容器は、ヒートシール強度を高く
して密封性を高くすると、内容物を使用するとき
の開封性が悪く、刃物などでの開封が必要とな
り、一方開封性を良くするために適度なヒートシ
ール強度の材料を選択すると、温度、圧力、時間
などのヒートシール条件や充填物などの夾雑物に
よりシール性が大幅に変わり、一定の接着力が得
られず密封性が低下するため、特にレトルトなど
の加熱殺菌など内圧が高くなる包装には用いられ
ないという欠点がある。

〔考案が解決しようとする問題点〕

この問題点を解決するため、本出願人は容器本
体として多層容器を用い、使用時の開封を一般に
行われているシール層間で行うのではなく、多層
容器本体の層間を開封剥離面とし、ヒートシール
部の内側の最内層に環状の切り込みを設けること
により、切り込みより内側の多層容器本体には最
内層を剥離させず残しつつ、切り込みより外側の
多層容器本体の最内層を蓋材とともに剥離して開
封する易開封性容器を提案した。この種容器のう
ち、容器本体のフランジ部の強度、剛性、他容器
との嵌合性などの物性面、飲食時の口当りを良く
するためのの使用感、意匠性の点から、リブ付容
器やフランジ部外端をカーリング処理した容器が
多用されており、これらの容器の易開封性が望ま
れている。しかし、この種容器においては、フラ
ツトなフランジ付容器に比例して、上記方法によ
る易開封性付与の特長を十分に発揮し得なかつ
た。

本考案は、前記提案の易開封性容器のフランジ
部外縁部の角部の構造を特定することにより、多
層容器本体の層間剥離を容易にし、易開封性とし
たフランジ部端部にリブまたはカール部を有する
易開封用容器を提供しようとするものである。

〔問題点を解決するための手段〕

すなわち、本考案はリブまたはカール部を有
し、最内層とこれに接する層の間が剥離可能なフ
ランジ付多層容器のフランジ部内縁部近傍に環状
の切り込みを設けるとともに、フランジ部外縁角
部に最内層とこれに接する層の界面を環状に露出
させたとを特徴とする易開封用容器を提供するも
のである。

以下、本考案を図面に基づいて詳細に説明す
る。第５図は本出願人が先に提案したカール部１
０を有する易開封用容器を蓋材でヒートシールし
たところを示す部分断面図である。１は多層容器
本体の最内層、２はこれに接する層である。３は
フランジ部で内容物を充填したのち蓋材４，５で
蓋をし、この蓋材を多層容器本体の最内層１とフ
ランジ部３でタイトにヒートシールする。６はヒ
ートシール部で、多層容器本体と蓋材は多層容器
本体のフランジ部で難剥離ヒートシールされてい
る。７および８は切り込みである。９はつまみ部
でここを持ち上げて、切り込み８と切り込み７の
間で多層容器本体の最内層を容器から剥離し、切
り込み７のところで蓋材の開封を行う。

第１図は本考案の易開封用容器の一実施態様と
これに用いる蓋材のシール部付近の部分断面図で
ある。１は多層容器本体の最内層、２はこれに接
する層である。この場合、フランジ部３の内縁近
傍には切り込み７が設けられ、多層容器本体のフ
ランジ部外端部にリブ部１１が設けられている。
フランジ部外縁角部は切削されて最内層とこれに
接する層の界面１２が露出している。この界面の
露出方法としては、最内層とこれに接する層の層
間剥離の開始が起こるように界面を露出させるよ
うにする方法であればいずれの方法でもよいが、
通常はフランジ部外縁角部を周状に切削、切り込
み、切断あるいは溶融することにより行われる。
特殊な成形法によつてこのようなフランジ部外縁
角部を有する容器を成形することも可能である。
ここで界面を露出させるのは、この線状部より剥
離を開始させる最も好ましい態様であるが、剥離
が開始可能で、実質的に本発明の効果が達成され
るものであれば部分露出などであつてもよい。

第２図は本考案の易開封用容器に蓋材をヒート
シールした状態を示す部分断面図である。６はヒ
ートシール部、シール部６と切り込み７の間に非
ヒートシール部１３が形成されている。

第３図は本考案の易開封用容器に嵌合蓋をヒー
トシールした場合のフランジ部付近の部分断面図
である。このように特殊な蓋材を用いても本考案
の容器は容易に開封することができる。

第４図は本考案の易開封用容器の他の実施態様
であるカーリング容器に蓋材をヒートシールした
場合のフランジ部付近の部分断面図である。

前記各図において、切り込み７は蓋材を剥がす
際にフランジ部内周で多層容器本体の最内層を切
断するためのもの、この切り込みは蓋材を剥がす
ときに最内層を容易に切断できるものであればど
のようなものでもよく、フランジ部内縁近傍のフ
ランジもしくは容器内壁部の最内層に設けられ、
その切り込みは最内層のみならず最内層に接する
層まで切り込まれていても、最内層の一部だけ切
り込まれていてもいずれでもよい。また、この切
り込みは円、三角形、四角形など環状にフランジ
部内縁近傍に全周にわたつて設けてもよいし、一
部は残して部分的に設けてもよい。蓋材の一部が
ついたまま剥がすような場合には、そこの部分だ
け切り込みを設けないようにする。

切り込みの形成方法としては環状刃の押し込み
法によるもので、加熱環状体の押しつけによるも
の、切削刃による切削加工によるもの、超音波加
工、レーザー加工などによるもの、せん断力によ
るずれによるものまたはこれらの組み合わせによ
るものなどがある。この切り込みは、容器成形
時、成形後、あるいは後述のフランジ外縁角部の
加工と同様な方法で行なうことができる。なお、
切り込み形状もＶ字型、Ｕ字型などに限定されず
凸状部の切断による界面の露出であつてもよい。

本考案の多層容器に蓋材をヒートシールした場
合、ヒートシール部の内縁と切り込みまでの長さ
ｔは通常0.5mm〜10mm、好ましくは1.5mmから５mm
とする。ヒートシールする際にｔが上記範囲に制
御することが困難な場合には、フランジ部の内周
部に傾斜面を設けて非ヒートシール面とし、この
面に切り込みを設けることが好ましい。その他、
非ヒートシール面を段差面としたり、あるいは容
器本体の最内層上に熱非融着層を設け、これを非
ヒートシール面とすることもできる。このように
して刃ｔの非ヒートシール部を設けると蓋材を内
側から剥離した場合、図のＸ点に応力が集中し、
このため切り込み７からの剥離が起こりにくいた
め、内側からの剥離強度が外側からの剥離強度よ
り大きくなり、耐圧力が高く、密封性がよくな
る。

本考案の易開封用容器における多層容器本体の
形状は特に限定されるものではないが、通常、円
形が好ましく、四角その他の多角形などがあり、
この形状のフランジ部に沿つて蓋材が環状にヒー
トシールされる。また、カツプ状であつてもトレ
ー状であつてもよい。多層容器本体フランジ部
（本体の形状は任意）の形状を円形とするとフラ
ンジ部外縁部の切削や内縁部切り込み加工を容器
または加工刃の少なくともどちらかを回転させる
ことにより容易に行うことができる。

多層容器本体の多層構造について説明すると、
多層容器の層間接着力が蓋材と多層容器本体のヒ
ートシール強度より小さく、蓋材を剥離する場
合、多層容器本体の層間で剥離がおこり、蓋材の
開封が容易なものであれば特に制限はないが、こ
の多層容器本体の層間剥離強度は、300〜2000
ｇ／15mm（引張速度300mm／min、以下同じ）、好
ましくは400〜1500ｇ／15mm程度であり、容器の
使用分野によつて適宜決定すればよい。また、容
器の最内層の厚みは通常５〜150μm、好ましくは
10〜100μmである。

このような多層容器の材質としては、特に制限
はなく、ポリオレフイン系樹脂、ポリスチレン系
樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、
ポリカーボネート系樹脂、あるいはこれらの混合
物、あるいはこれらに熱可塑性エラストマー、各
種添加剤、または無機充填剤を５〜70重量％混合
した樹脂、金属箔などがある。これらの材料から
なる層の組み合わせによつて、目的とする剥離強
度に適した材料を選定すればよい。

容器最内層に接する層（外層）および蓋材の基
材となる材料は、強度、耐熱性に優れた材料を用
いることが好ましい。

そして、好ましい最内層材料(A)と外層材料(B)の
組み合わせとしては、例えば次のような組み合わ
せを挙げることができるが何らこれに限定される
ものではない。

(A)高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン等
のポリエチレン樹脂と(B)ポリプロピレン樹脂およ
びポリエチレン樹脂の混合樹脂、 (A)ポリプロピレン樹脂と(B)ポリプロピレン樹脂
およびポリエチレン樹脂の混合樹脂、 (A)低密度ポリエチレンと(B)高密度ポリエチレン
樹脂、 (A)エチレン−酢酸ビニル共重合体と(B)ポリプロ
ピレン樹脂およびポリエチレン樹脂の混合樹脂、 (A)エチレン−酢酸ビニル共重合体と(B)エチレン
−プロピレンランダム共重合体樹脂の混合樹脂、 (A)ポリプロピレン樹脂またはポリプロピレン樹
脂およびポリエチレン樹脂の混合樹脂と(B)無機フ
イラー含有ポリプロピレン樹脂およびポリエチレ
ン樹脂の混合樹脂、 (A)ポリプロピレン樹脂およびポリエチレン樹脂
の混合樹脂と(B)無機フイラー含有高密度ポリエチ
レン樹脂、 (A)ホモまたはランダム重合ポリプロピレン樹脂
と(B)無機フイラー含有高密度ポリエチレン樹脂、 および (A)不飽和カルボン酸変性ポリプロピレン樹脂と
(B)アルミニウム。

本考案の多層容器は上記のような材料からなる
２層のものでもよいが、ガスバリヤー性の向上
や、容器とした場合の変形を少なくする目的で、
さらに他の材料からなる層を積層した３層以上の
多層容器を用いてもよい。他の材料からなる層と
しては、例えばエチレン−ビニルアルコール共重
合体、ポリ塩化ビニリデン、ナイロン、ポリエチ
レンテレフタレートなどの樹脂層やアルミ蒸着層
などのガスバリヤー性に優れたものが挙げられ
る。これら他の材料からなる層は、１層のみでも
よいし、２層以上からなる多層体であつてもよ
く、また、無機充填剤10〜80重量％を含有する樹
脂層であつてもよい。

多層容器の層構成は、蓋材のシーラント層樹脂
により適宜選定されるが、例えば蓋材がポリエチ
レン系シーラント層の場合、上記の樹脂層の組み
合わせにおいては、高密度ポリエチレン層を多層
容器の最内層とすることが好ましい。

なお、本考案の易開封用容器にあつては、多層
容器内側に剥離層を有する本考案の特徴を有する
限り、多層容器の最内層の内側に必要に応じて、
シール層、耐熱層、耐油層など他の層を有してい
てもよい。この多層容器は、前記した組み合わせ
の樹脂を用いて、得られた共押出多層シートある
いはラミネートシートを、真空成形、圧空成形な
どにより、あるいは、多層射出成形、多層射出ブ
ロー成形、多層ブロー成形などにより得ることが
できる。さらに、紙などの容器の内側に多層フイ
ルムを熱成形することによつても得ることができ
る。

ラミネート加工としては、例えばエキストルー
ジヨンラミネート、ホツトメルトラミネート、ド
ライラミネート、ウエツトラミネートなどの方法
を用いることができる。接着剤、粘着剤などを用
いたこれらラミネート加工により適当な層間剥離
性を有する多層材料が得られる。

〔作用〕

本考案の易開封用容器に食品、飲料などを封入
し、蓋材をヒートシールしたものを開封するとき
は以下のような動作で簡単に開封することができ
る。

例えば、第２図において、つまみ部９を上方に
もちあげる。すると、フランジ部外縁の角部の環
状に露出された最内層１とこれに接する層２の界
面１２から両層の剥離が開始され、最内層とこれ
に接する層２の間の剥離が進行し、切り込み７の
ところまで最内層が剥離し、続いて最内層が環状
に切断されて蓋材が剥がされる。従つて、蓋材と
多層容器とが密封性よく難剥離ヒートシールされ
ていても容易に開封できる。また、シールずれな
どがあつても易開封性が損なわれることはない。
例えば第４図においてシール部Ａがシール部Ｃの
ようにずれても開封性を損なわれない。シール部
はＡ、Ｃのようにフランジ部外縁までシールする
ことが好ましく、シール部がＢのようにフランジ
部外縁からずれると開封性が悪化する。この第４
図の多層容器の場合、シールリング巾をシールず
れ以上に巾広くしておくと、内側からの難剥離
性、外側からの易開封性は確実に確保されるので
最も好ましい。

本考案の容器は、リブまたはカール部を有する
ことから強度、意匠性等にも優れ、かつ開封が容
易であるとともに、ヒートシールの剥離強度を高
くしても剥離が可能であるため、ボイル、レトル
ト処理に耐える優れた易開封性包装容器が得られ
る。さらにフランジ外縁部の加工も容易であり、
また、開封したあとの剥離面の外観も美麗であ
る。

〔実施例〕

次に実施例により本考案をさらに詳細に説明す
るが、本考案はこれらの例によつてなんら限定さ
れるものではない。

実施例 １ 共押出成形により４種６層の多層シート（厚み
0.8mm）を形成した。

ａ：ｂ：ｃ：ｄ：ｃ：ｂ＝50：350：20：30：
20：350（μm） ａ：高密度ポリエチレン〔出光石油化学(株)、出光
ポリエチレン440M、密度0.96ｇ／cm²、MI0.9
ｇ／10分、分子量分布 小〕 ｂ：ポリプロピレン樹脂〔出光石油化学(株) 出光
ポリプロＥ−100G、MI0.6ｇ／10分〕80重量部
と低密度ポリエチレン〔東洋曹達工業(株)、ペト
ロセン172、密度0.92ｇ／cm²、MI0.3ｇ／10分〕
20重量部との混合物 ｃ：無水マレイン酸変性ポリプロピレン〔出光石
油化学(株)、出光ポリタツクE100〕 ｄ：エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物〔(株)
クラレ、エバールEP−F101、エチレン含有率
32モル％、MI1.3ｇ／10分〕 この多層シートを成形可能な温度に加熱して真
空圧空成形により、60mmφ×70mm高さのカツプ容
器を得た。ついで容器フランジ部をカーリングし
た後、環状切り込みを側壁上部に形成し、フラン
ジ外縁角部を切削し、第４図に示すような容器を
得た。ここでＡ＝２mm、ｔ＝1.5mmであつた。

この容器に蓋材〔配向ナイロン／ポリ塩化ビニ
リデン／直鎖状低密度ポリエチレン（15μ／
20μ／40μ）〕からなる多層フイルムをかぶせ、フ
ランジ部を全面ヒートシールした。

この容器は、蓋材を剥離するとフランジシール
外端部よりフラツトフランジと同様に容器層間で
剥離し剥離強度1200ｇ／15mmで安定した剥離性を
示し、剥離面もきれいであつた。

〔考案の効果〕

本考案により、シール強度が高く、密封性に優
れ、リブ部またはカール部を有することから強
度、意匠性、使用感等にも優れ、シール条件巾が
広く、シールずれが生じても開封が容易であるな
ど、優れた特徴を有している易開封用容器を得る
ことができる。また、この容器は製造が容易かつ
確実であり、フランジ巾の大小に関係なく、狭巾
フランジのカツプ状飲料容器にも応用でき、その
実用的価値は極めて大である。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の易開封用容器の一実施態様と
これに用いる蓋材のシール部付近の部分断面図で
ある。第２図は本考案の易開封用容器に蓋材をヒ
ートシールした状態を示す部分断面図である。第
３図は本考案の易開封用容器の一実施態様に嵌合
蓋をヒートシールした場合のフランジ部付近の部
分断面図である。第４図は本考案の易開封用容器
の他の実施態様であるカーリング容器に蓋材をヒ
ートシールした場合のフランジ部付近の部分断面
図である。第５図は本出願人が先に提案した易開
封用容器の部分断面図である。 図中、符号１は多層容器本体の最内層、２はそ
れに接する層、３はフランジ部、４は蓋材４，５
のシーラント層、５は蓋材４，５の基材、６はヒ
ートシール部、７，８は切り込み、９はつまみ
部、１０はカール部、１１はリブ部、１２は最内
層とこれに接する層の界面、１３は非ヒートシー
ル部である。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ リブまたはカール部を有し、容器最内層とこ
   れに接する層の間が剥離可能なフランジ付多層
   容器のフランジ部内縁部近傍に環状の切り込み
   を設けるとともに、フランジ部外縁角部に最内
   層とこれに接する層の界面を環状に露出させた
   ことを特徴とする易開封用容器。 ２ フランジ部が円形である実用新案登録請求の
   範囲第１項記載の易開封用容器。