JP3965946B2 - 基板装置及びその製造方法、電気光学装置並びに電子機器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、画像表示領域に画素スイッチング用のトランジスタを有すると共に、周辺領域にトランジスタを含んで構成される駆動回路を内蔵する駆動回路内蔵型の液晶装置等の電気光学装置において、素子アレイ基板等として好適に用いられる基板装置及びそのような基板装置の製造方法、そのような基板装置を備えてなる液晶装置等の電気光学装置、並びに該電気光学装置を備えてなる投射型表示装置等の各種電子機器の技術分野に属する。
【0002】
【背景技術】
この種の基板装置は例えば、石英基板等の基板上に、ソース領域、ドレイン領域及びチャネル領域を含むポリシリコン膜等又はアモルファスシリコン等の半導体膜を備える。この半導体膜表面には、ドライ酸化又はウエット酸化による熱酸化膜等、又は、HTO膜、TEOS膜、プラズマ酸化膜からゲート絶縁膜が形成される。更に、このゲート絶縁膜上にゲート電極膜が形成されることにより、基板上に薄膜トランジスタ(以下適宜、TFT(Thin Film Transistor)と称す)が構築される。この場合、TFTは、上述した駆動回路内蔵型の基板装置においては、画像表示領域内における各画素に作り込まれることにより、画素スイッチング用素子として用いられる。更に、画像表示領域外の周辺に位置する周辺領域に作り込まれることにより、該基板装置の内蔵駆動回路の一部として用いられる。
【0003】
このようにTFTが画像表示領域及び周辺領域の両者に作り込まれた駆動回路内蔵型の基板装置は、TFTアクティブマトリクス駆動方式の液晶装置等を初めとする各種電気光学装置に広く用いられている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
この種の基板装置においては、良好なトランジスタ特性を長期に亘って維持すると共に表示画像の品位を高めるという一般的要請がある。
【0005】
しかしながら、本願発明者らによる研究によれば、前述の駆動回路内蔵型の基板装置の場合には、本願発明者らによる研究によれば、前述の駆動回路内蔵型の基板装置の場合には、時間的に見てトランジスタ特性を維持することが課題として顕在化してきた。そして特に、駆動回路を構成するPチャネル型のTFTの劣化が、コントラスト比や明るさ低下等の画像品位の低下を招いて、装置全体の寿命を短くすることが判明している。例えば、駆動回路を構成するTFTにおける閾値電圧が高まって通常の駆動電圧ではスイッチング素子として機能しなくなったり、TFTにおけるオフ電流(即ちリーク電流)が増加して規定のデューティー比に対処できなくなったりする。この結果、同一基板上における同一製造プロセス等により作り込まれた画像表示領域内のTFTについては正常に動作していても、駆動回路内のTFTの経時劣化により装置全体としては不良化してしまうという問題点がある。
【0006】
これに対し、本願発明者らによる研究では、半導体製造技術におけるゲート酸化膜に対する窒素ドープ技術を応用して、TFTの寿命を長くすることについても検討したが、このように窒素ドープを実施すると、画素スイッチング用TFTにおけるトランジスタ特性のばらつきやキャリア移動度の低下が顕在化して、表示ムラやチラツキが顕著に発生する事実が確認されており、結局、この窒素ドープ技術を単純に応用したのでは、今度は、高品位の画像表示を行なうことが非常に困難になるという問題点がある。
【0007】
本発明は上述した問題点に鑑みなされたものであり、長寿命であり、しかも高品位の画像表示を長期に亘って可能ならしめる基板装置及びその製造方法を提供すること、並びにそのような基板装置を備えた電気光学装置及び該電気光学装置を備えた電子機器を提供することを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の基板装置は上記課題を解決するために、基板と、該基板上における画像表示領域に、画素電極及び該画素電極に接続された第1トランジスタを備えており、前記基板上における前記画像表示領域の周辺に位置する周辺領域に、前記第1トランジスタを駆動するための配線及び該配線に接続された駆動回路の一部を構成する第2トランジスタを備えており、前記第1トランジスタを構成する第1ゲート絶縁膜は、窒素が導入されていない酸化膜からなり、前記第2トランジスタを構成する第2ゲート絶縁膜は、窒素が導入された酸窒化膜からなる。
【0009】
本発明の基板装置によれば、周辺領域において第2トランジスタを含んで構成されている、例えば走査線駆動回路、データ線駆動回路等の駆動回路により、走査線、データ線等の配線を介して、画像表示領域に配置された第1トランジスタが駆動される。更に、第1トランジスタにより画素電極が駆動制御或いはスイッチング制御されることにより、画像表示領域においてアクティブマトリクス駆動が行なわれる。
【0010】
ここで特に、第1トランジスタを構成する第1ゲート絶縁膜は、窒素が導入されていない酸化膜からなるので、ゲート絶縁膜への窒素導入に起因するトランジスタ特性のばらつきやキャリア移動度の劣化による表示ムラやチラツキが生じることは無い。そして、ゲート絶縁膜に窒素が導入されないため窒素を導入した場合と比べて、トランジスタの寿命は延びないものの、一般に装置寿命を律則していない画素スイッチング用のトランジスタとして用いられる限りにおいて、特に当該トランジスタ自体の寿命が延びなくとも装置寿命に対する影響は少ないか又は全く無いと論理付けられる。即ち、第1ゲート絶縁膜を酸化膜から構成することで、装置寿命についての実用上の問題は殆ど又は全く生じない。
【0011】
他方、一般に装置寿命を律則する駆動回路の第2トランジスタを構成する第2ゲート絶縁膜は、窒素が導入された酸窒化膜からなるので、ゲート絶縁膜が窒素導入のない酸化膜からなる場合と比べて、トランジスタの寿命は顕著に延びるので、装置全体の寿命を非常に効率的に伸ばすことが可能となる。即ち、当該第2トランジスタの寿命が延びる分だけ、そのまま装置寿命を延ばすことも可能となる。そして、画素スイッチング用の第1トランジスタの場合と異なり、画素ピッチに合わせたり各画素の開口領域を狭めないようにするという制約が課されない駆動回路の第2トランジスタの場合には、チャネル幅やチャネル長等のトランジスタ構造自体に若干の修正や変更を加えることが可能であり、これによりゲート絶縁膜への窒素導入に起因するトランジスタ特性のばらつきやキャリア移動度の劣化が、駆動回路の動作に悪影響を与えるのを効果的に防止できる。
【0012】
以上の結果、本発明の基板装置を用いて液晶装置等の電気光学装置を構成すれば、画像表示領域における第1ゲート絶縁膜が酸化膜からなると共に周辺領域における第2ゲート絶縁膜が酸窒化膜からなる本発明独自の構成によって、装置寿命を顕著に延ばすことが可能となると同時に、高品位の画像表示を長期に亘って維持することが可能となる。
【0013】
本発明の基板装置の一態様では、前記第2トランジスタは、Pチャネル型TFT又はCMOS(Complementary MOS)型TFTからなる。
【0014】
この態様によれば、第2トランジスタは、Pチャネル型TFTを含んでなる。ここで、本発明者らによる研究によれば、Pチャネル型TFTの寿命は、Nチャネル型TFTの寿命と比べて、基本的に短いことが判明している。従って、Pチャネル型TFTにおける第2ゲート絶縁膜を酸窒化膜から構成して当該Pチャネル型のTFTの寿命を延ばすことにより、装置寿命を延ばす上で絶大な効果が得られる。特に、駆動回路の少なくとも一部をCMOS型TFTから構成する場合、キャリア移動度や装置寿命等の基本性能に優れたNチャネル型TFTのみから構成することはできず、Pチャネル型TFTを作り込まざるを得ないので、この態様の如き構成は実用上非常に優れている。
【0015】
本発明の基板装置の他の態様では、前記第1トランジスタは、Nチャネル型である。
【0016】
この態様によれば、画素スイッチング用には、キャリア移動度や装置寿命等の基本性能においてより優れたNチャネル型TFTを用いることにより、高品位の画像表示を可能とし得、しかも、駆動回路までも含めた装置全体の長寿命化が図られる。
【0017】
本発明の基板装置の他の態様では、前記第1及び第2トランジスタを構成する半導体層は、低温又は高温ポリシリコン若しくはアモルファスシリコンからなるこの態様によれば、基板上には、低温ポリシリコンTFT又は高温ポリシリコンTFT又はアモルファスシリコンTFTが構築されるが、駆動回路における第2ゲート絶縁膜を酸窒化膜から構成することにより、ポリシリコンTFT又はアモルファスシリコンTFTを備えてなる基板装置全体を長寿命化できる。
【0018】
本発明の基板装置の他の態様では、前記第2トランジスタは、ゲート電圧が閾値を超えることでオンオフ動作するスイッチング素子として前記駆動回路内に設けられている。
【0019】
この態様によれば、第2トランジスタは、ゲート電圧が閾値を超えることでオンオフ動作するスイッチング素子として設けられているので、即ちトランジスタとして極めて単純な動作を行なうものとして設けられているので、ゲート絶縁膜を酸窒化膜から構成することに起因する、トランジスタ特性のばらつきやキャリア移動度の劣化が、悪影響として殆ど表面化しないようにできる
本発明の基板装置の他の態様では、前記第2トランジスタは、他の基板上に形成された後に前記周辺領域に貼り付けられている。
【0020】
この態様によれば、他の基板上において酸窒化膜をゲート絶縁膜として持つ第2トランジスタを構成した後、これを周辺領域に貼り付ければよいので、装置構成及び製造プロセスの単純化を図れる。
【0021】
本発明の基板装置の第1製造方法は上記課題を解決するために、上述した本発明の基板装置(但し、その各種態様を含む)を製造する基板装置の製造方法であって、前記基板上に、前記第1トランジスタを構成する第1半導体層及び前記第2トランジスタを構成する第2半導体層を形成する半導体層形成工程と、前記第1及び第2半導体層に酸窒化膜を形成する酸窒化膜形成工程と、該形成された酸窒化膜のうち前記第2半導体層上に形成された部分をマスクしつつ該形成された酸窒化膜のうち前記第1半導体層上に形成された部分を選択的に除去する除去工程と、前記酸窒化膜が除去された第1半導体層上に、前記酸化膜を形成する酸化膜形成工程と、前記形成された酸窒化膜及び酸化膜上に夫々、ゲート電極を形成するゲート電極形成工程とを含む。
【0022】
本発明の第1製造方法によれば、第1及び第2半導体層を形成後に、これらに酸窒化膜を形成する。そして、この酸窒化膜のうち第2半導体層上に形成された部分をマスクしつつ、第1半導体層上に形成された部分を選択的に除去する。従って、第2半導体層上に酸窒化膜が形成されたことになる。更に、この酸窒化膜が除去された第1半導体層上に、酸化膜を形成するので、第1半導体層上に酸化膜が形成されたことになる。その後、これらの酸窒化膜及び酸化膜上に夫々、ゲート電極を形成するので、上述した本発明の基板装置を比較的簡単に製造できる。
【0023】
本発明の基板装置の第2製造方法は上記課題を解決するために、上述した本発明の基板装置(但し、その各種態様を含む)を製造する基板装置の製造方法であって、前記基板上に、前記第1トランジスタを構成する第1半導体層及び前記第2トランジスタを構成する第2半導体層を形成する半導体層形成工程と、前記第2半導体層をマスクしつつ前記第1半導体層に窒化膜を選択的に形成する窒化膜形成工程と、前記窒化膜が形成されていない第2半導体層上に酸窒化膜を選択的に形成する酸窒化膜形成工程と、前記窒化膜を除去する除去工程と、前記窒化膜が除去された第1半導体層上に酸化膜を形成する酸化膜形成工程と、前記形成された酸窒化膜及び酸化膜上に夫々、ゲート電極を形成するゲート電極形成工程とを含む。
【0024】
本発明の第2製造方法によれば、第1及び第2半導体層を形成後に、これらのうち第2半導体層をマスクしつつ、第1半導体層に窒化膜を形成する。そして、今度はこの窒化膜をマスクとして、この窒化膜が形成されていない第2半導体層上に酸窒化膜を形成する。従って、第2半導体層上に酸窒化膜が形成されたことになる。更に、この窒化膜が除去された第1半導体層上に、酸化膜を形成するので、第1半導体層上に酸化膜が形成されたことになる。その後、これらの酸窒化膜及び酸化膜上に夫々、ゲート電極を形成するので、上述した本発明の基板装置を比較的簡単に製造できる。
【0025】
本発明の基板装置の第3製造方法は上記課題を解決するために、上述した本発明の基板装置(但し、その各種態様を含む)を製造する基板装置の製造方法であって、前記基板上に、前記第1トランジスタを構成する第1半導体層及び前記第2トランジスタを構成する第2半導体層を形成する半導体層形成工程と、前記第1及び第2半導体層に酸化膜を形成する酸化膜形成工程と、前記第1半導体層上に形成された酸化膜を窒化膜でマスクしつつ前記第2半導体層上に形成された酸化膜に酸窒化膜を選択的に形成する酸窒化膜形成工程と、前記窒化膜を除去後に前記形成された酸窒化膜及び酸化膜上に夫々、ゲート電極を形成するゲート電極形成工程とを含む。
【0026】
本発明の第3製造方法によれば、第1及び第2半導体層を形成後に、これら両者に酸化膜を形成する。そして、これらのうち第1半導体層上に形成された酸化膜については窒化膜でマスクして、第2半導体層上に形成された酸化膜に対しては更に酸窒化膜を形成する。この際、例えば、酸化膜に対して窒素を注入してもよいし、酸化膜上に酸窒化膜を積層形成してもよいし、N2O、NONH2ガスでアニールすることで酸化膜に窒素導入してもよい。従って、第2半導体層上に酸窒化膜が形成されたことになる。更に、この酸窒化膜が形成された後に、窒化膜を除去すれば、第1半導体層上には、酸窒化膜ではなく、酸化膜が形成されたことになる。その後、これらの酸窒化膜及び酸化膜上に夫々、ゲート電極を形成するので、上述した本発明の基板装置を比較的簡単に製造できる。
【0027】
第4製造方法は上記課題を解決するために、上述した本発明の基板装置(但し、その各種態様を含む)を製造する基板装置の製造方法であって、前記基板上に、前記第1トランジスタを構成する第1半導体層及び前記第2トランジスタを構成する第2半導体層を形成する半導体層形成工程と、前記第2半導体層を窒化膜又はレジストでマスクしつつ前記第1半導体層上に酸窒化膜を選択的に形成する酸窒化膜形成工程と、前記窒化膜を除去後に前記第2半導体層上に酸窒化膜を選択的に形成する酸窒化膜形成工程と、前記形成された酸窒化膜及び酸化膜上に夫々、ゲート電極を形成するゲート電極形成工程とを含む。
【0028】
本発明の第4製造方法によれば、第1及び第2半導体層を形成後に、第2半導体層を窒化膜又はレジストでマスクしつつ、第1半導体層上に酸化膜を形成する。そして、この酸化膜が形成された後に、窒化膜を除去し、更に第2半導体層に酸窒化膜を形成する。従って、第2半導体層上に酸窒化膜が形成されたことになると共に第1半導体層上には、酸窒化膜ではなく、酸化膜が形成されたことになる。その後、これらの酸窒化膜及び酸化膜上に夫々、ゲート電極を形成するので、上述した本発明の基板装置を比較的簡単に製造できる。
【0029】
本発明の第1から第4製造方法の一態様では、前記酸窒化膜形成工程は、窒素を含む雰囲気で酸化する工程を含む。
【0030】
この態様によれば、既存のファーネス(拡散炉)等を用いて、窒素原子を含むガスの雰囲気中でアニールすることにより、酸窒化膜形成工程を比較的簡単に行える。
【0031】
この態様では、前記酸窒化膜形成工程は、N2O(一酸化二窒素)ガス、NO(一酸化一窒素)ガス及びNH4(アンモニア)ガスのうち少なくとも一つを含む雰囲気中でアニールする工程を含んでもよい。
【0032】
このように製造すれば、比較的簡単且つ安価に、酸窒化膜形成工程を行える。
【0033】
本発明の第1から第4製造方法の他の態様では、前記酸窒化膜形成工程は、縦型あるいは横型拡散炉、プラズマを使用した窒化、ランプアニール又はイオン注入のいずれか1つの工程を含む。
【0034】
この態様によれば、既存のプラズマ技術、ランプアニール又はイオン注入により、酸窒化膜形成工程を比較的簡単に行える。
【0035】
本発明の第1から第4製造方法の他の態様では、前記酸窒化膜形成工程は、酸化膜を形成後に窒素をドープする工程を含む。
【0036】
この態様によれば、一旦、酸化膜を形成した後に、窒素をドープ或いは注入することにより、酸窒化膜形成工程を行なえるので、酸化膜形成工程と酸窒化膜形成工程とを相前後して連続して行なうことも可能となる。
【0037】
本発明の第1から第4製造方法の他の態様では、前記第1及び第2半導体層上に形成された酸化膜或いは酸窒化膜を薄膜化する薄膜化工程を更に含む。
【0038】
この態様によれば、第2半導体層上に一旦形成した酸化膜或いは酸窒化膜を、薄膜化することにより、所望膜厚の酸窒化膜を比較的容易に形成できる。
【0039】
本発明の電子機器は上記課題を解決するために、上述した本発明の電気光学装置(但し、その各種態様を含む)を具備する。
【0040】
本発明の電子機器によれば、上述した本発明の電気光学装置を具備するので、長寿命であり、しかも高品位の画像表示を長期に亘って行なえる投射型表示装置等の各種電子機器を実現できる。
【0041】
本発明のこのような作用及び他の利得は次に説明する実施の形態から明らかにされる。
【0042】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0043】
(基板装置の第1実施形態)
先ず第1実施形態の基板装置の製造方法及び構成について図1から図4を参照して説明する。図1及び図2は、第1実施形態の製造方法を順を追って示す工程図であり、画素部に設けられる画素スイッチング用のTFT(図中、左半面)及び周辺駆動回路を構成するTFT(図中、右半面)について夫々、工程毎のTFT付近における断面構造を示している。図3は、工程(2)で形成された、ゲート絶縁膜から半導体層に至る部分における酸素及びケイ素の2次強度と、窒素濃度とをゲート絶縁膜表面からの深度に対して示す特性図である。また、図4は、窒素原子の導入量を変化させた複数の実施例及び窒素原子を導入しない比較例における動作時間に対する閾値Vthの初期値からのずれ量Vdd(V)を示す特性図である。
【0044】
図1において工程(1)では、石英基板10及び石英基板10上に形成された酸化膜が用意され、その上にポリシリコン膜が形成された後、フォトリソグラフィ及びエッチングにより、画素部及び周辺駆動回路部の夫々において、TFTのソース領域、チャネル領域及びドレイン領域を含む所定パターンの半導体層1aが形成される。このような半導体層1aとしては、低温ポリシリコン膜でもよいし、高温ポリシリコン膜、またはアモルファスシリコンでもよい。また、石英基板10に代えて、プラスチック基板や、ガラス基板等を用いてもよい。
【0045】
次に、工程(2)では、ドライ酸化又はウエット酸化により、半導体層1aの表面に、先ず熱酸化シリコン膜を形成し、続いて、ファーネス(拡散炉)内にて、窒素原子を含むガスの雰囲気中でアニールすることにより、窒素原子を導入したゲート絶縁膜2bを形成する。係るガスは、N2Oガス、NOガス、NH4ガス等の窒素ガスが用いられる。尚、このゲート絶縁膜2bの形成と同時に、同一基板上における画素部にも、ゲート絶縁膜2bと同一膜2b’が形成される。
【0046】
こうして窒素原子を導入すると、例えば窒素原子は図3の特性図に示したような濃度分布を持つようになる。
【0047】
その後、工程(3)では、ゲート絶縁膜2b上を、レジスト601でマスクした状態で、反応性ガスを用いた反応性エッチング、反応性イオンビームエッチング等のドライエッチング或いはウエットエッチングとを組み合わせたエッチングにより、エッチャント501により、ゲート絶縁膜2bと同一膜2b’を画素部において除去する。これにより、画素部では、半導体層1aが再び露出した状態になる。そして、工程(4)において、このレジスト601を剥離除去すれば、周辺駆動回路部にのみ、窒素が導入された酸窒化膜からなるゲート絶縁膜2bが形成された状態が得られる。
【0048】
次に、工程(5)では、ドライ酸化、ウエット酸化、又はHTO膜により、画素部におけるゲート絶縁膜2aとして、半導体層1aの表面に熱酸化シリコン膜が形成される。尚、このゲート絶縁膜2aの形成と同時に、同一基板上における周辺回路部にも、ゲート絶縁膜2aと同一膜2a’が形成される。
【0049】
次に、工程(6)では、画素部におけるゲート絶縁膜2a上を、レジスト602でマスクした状態で、反応性ガスを用いた反応性エッチング、反応性イオンビームエッチング等のドライエッチング或いはウエットエッチングとを組み合わせたエッチングにより、エッチャント502より、ゲート絶縁膜2aと同一膜2a’を周辺駆動回路部において除去する。そして、図2の工程(7)において、このレジスト602を剥離除去すれば、画素部にのみ、窒素が導入されていない酸化膜からなるゲート絶縁膜2aが形成された状態が得られる。しかも、周辺駆動回路部においては、工程(4)と同じく、窒素が導入された酸窒化膜からなるゲート絶縁膜2bが形成された状態が維持されている。
【0050】
次に、工程(8)では、導電性のポリシリコン膜等からなるゲート電極3a及び3bが、ゲート絶縁膜2a及び2b上に夫々形成される。更に、工程(9)では、ゲート絶縁膜2a及び2bに夫々、ソース電極及びドレイン電極接続用のコンタクトホールをドライエッチング、ウエットエッチング又は両者の組み合わせにより開孔する。そして、これらのコンタクトホールを介して、図中破線で示したように画素部では、Al(アルミニウム)等からなるデータ線6aの端部及びITO(インジウムティンオキサイド)等からなる画素電極9aの端部を、ソース電極及びドレイン電極として接続する。これと相前後或いは並行して、周辺駆動回路部では、Al等からなる配線6b及び6cをソース電極及びドレイン電極として接続する。
【0051】
以上の工程(1)〜(9)により、基板10上における画素部及び周辺駆動回路部にTFTが夫々構築される。
【0052】
このように周辺駆動回路部においては、ゲート絶縁膜2bへの窒素導入により、TFTの閾値のずれの主要因である、界面における正孔トラップ及び正電荷の発生並びに界面準位の増加を低減する。そして、窒素導入により、窒化膜結合を混在させて耐湿性を向上させる。これにより、半導体層1aに入る水分量を低減でき、Si−H結合やS−OH結合の発生を低減させて正電荷の発生並びに界面準位の増加を低減できる。加えて窒素原子の導入により、この領域における原子と原子とのネットワーク中に窒素原子を入り込ませることで、界面の歪みを緩和でき、更に結合の弱い部分を補強可能となる。ここで、結合エネルギーの安定度についての大小関係は、次の通りである。
【0053】
Si−Oの結合エネルギー(4.8eV)
>Si−Nの結合エネルギー(3.5eV)
>Si−Hの結合エネルギー(3.2eV)
>Si−Siの結合エネルギー(2.0eV)
このうち比較的高いSi−Oの結合エネルギーは、結合状態が歪むことで小さくなっていると考えられるので、窒素原子を存在させることにより、Si−Si結合や歪んだSi−O−Si結合、Si−H結合、Si−OH結合を減少できる。ホットキャリアによる酸化膜の界面準位やトラップ中心ができるのを防止できる。
【0054】
因みに、耐湿性については酸化膜(SiO2膜)と比べて、窒化膜(Si3N4膜)が優れている。しかしながら仮に、本発明の如き基板装置において窒化膜でゲート絶縁膜を構成したのでは、TFTのIV特性は、プールフレンケル電流が流れることによりスイッチング素子として利用できない特性となってしまう。更に、窒化膜からゲート絶縁膜を構成したのでは、半導体層とのコンタクトをとるためのコンタクトホールを既存のエッチング技術により開孔することが極めて困難となってしまう。
【0055】
そこで、周辺駆動回路部において、ゲート絶縁膜2bは、窒化膜(窒化シリコン膜)からではなく酸化シリコン膜で形成しつつ、この酸化シリコン膜内に窒素原子を導入することにより、このTFTのIV特性は、ゲート絶縁膜として通常の酸化膜を用いたTFTと同様にFN電流が流れるIV特性とすることができ、スイッチング素子として好適に利用できる。更に、図1の工程(9)でコンタクトホールを開孔する際に、窒化膜のようにエッチングし難いことはなく、既存のドライエッチング技術やウエットエッチング技術により比較的容易に且つ高精度でコンタクトホールを開孔可能となる。
【0056】
このように本実施形態によれば周辺回路部においては、ゲート絶縁膜2bは、窒素が導入された酸窒化膜からなるので、窒素導入のない酸化膜からなるゲート絶縁膜2aと比べて、TFTの寿命は顕著に延びるので、装置全体の寿命を非常に効率的に伸ばすことが可能となる。即ち、例えば数千時間から一万数千時間或いは数万時間のオーダーにおいては、周辺駆動回路部におけるTFTの寿命が延びる分だけ、そのまま基板装置全体の装置寿命を延ばすことも可能となる。加えて、チャネル幅やチャネル長等のトランジスタ構造自体に若干の修正や変更を加えることで、ゲート絶縁膜2bへの窒素導入に起因するトランジスタ特性のばらつきやキャリア移動度の劣化が、駆動回路の動作に悪影響を与えるのを防止できる。
【0057】
尚、窒素原子を僅かに入れただけでも、同傾向の効果が確認されている。また、技術的には比較的容易に、窒素を20重量%位まで導入することが可能であるが、窒素濃度を高めることにより更なる効果が期待できる。
【0058】
他方、本実施形態によれば画素部においては、ゲート絶縁膜2aに対し、窒素導入を行なわないので、ゲート絶縁膜2aは、酸化膜からなる。従って、ゲート絶縁膜への窒素導入に起因するトランジスタ特性のばらつきやキャリア移動度の劣化による表示ムラやチラツキが生じることは無い。そして、ゲート絶縁膜2aに窒素が導入されないため窒素を導入したゲート絶縁膜2bと比べて、TFTの寿命は延びないものの、装置寿命を律則していない画素スイッチング用のTFTとして用いられるので、基板装置全体の装置寿命についての実用上の問題は殆ど生じない。
【0059】
ここで、ゲート絶縁膜に対する窒素原子の導入量を変化させた複数の実施例及び窒素原子を導入しない比較例における動作時間に対する閾値Vthの初期値からのずれ量Vdd(V)を図4に示す。図4では、ファーネス内温度を1000℃又は1150℃とし、ファーネス内の雰囲気中におけるN2Oガス濃度を20流量%又は5流量%とし、拡散時間を20分又は10分にした各実施例についてのVddと、比較例(Reference)についての電圧Vddとを示してある。
【0060】
図4において比較例として示すように、従来のゲート絶縁膜としてドライ酸化膜が用いられている基板装置の場合、通常動作を続けていくと、TFTをオンするためのゲート電圧の閾値Vthが、エンハンス側にずれていき、1000時間程度で、ずれ量Vddが例えば電源回路における供給電圧増加により対処可能な電圧を超えてしまう。これに対して、窒素原子を界面付近203に導入した各実施例では、導入量に応じてずれ量Vddが減少している。特に、窒素ガス濃度を高くする程、ずれ量Vddの増加は抑制されることが分かる。
【0061】
以上詳細に説明したように第1実施形態の基板装置によれば、周辺駆動回路部を構成するTFTにおけるトランジスタ特性の経時劣化や、特に高湿、高温等の使用環境下におけるトランジスタ特性の劣化を低減できる。これにより、長期に亘って且つ使用環境によらずに安定した性能を保持し得るTFTを周辺駆動回路部に備えることにより、基板装置を長寿命化できる。そして、図1及び図2に示したように、第1実施形態によれば、このような構成を有する基板装置を比較的簡単に製造できる。
【0062】
尚、以上説明した実施形態における当該基板装置の仕様に応じて、半導体層1aにドープする不純物の種類を代えて、Nチャネル型のTFTを構築してもよいし、Pチャネル型のTFTを構築してもよい。例えば、画素部におけるTFTを、キャリア移動度や装置寿命等の基本性能においてより優れたNチャネル型とすることで、高品位の画像表示を可能とし得る。他方、周辺駆動回路におけるTFTを、CMOS(Complementary MOS)型TFTとすることで、画素部におけるTFTと同時に、Nチャネル型TFT部分を形成でき、製造プロセスの簡略化を図ることができる。更に、Pチャネル型TFT部分については、ゲート絶縁膜2bを酸窒化膜から構成することで、その寿命を延ばせことにより、全体として装置寿命を延ばせる。特にこの場合、周辺駆動回路部におけるPチャネル型TFTについては、ゲート電圧が閾値を超えることでオンオフ動作するスイッチング素子として当該周辺駆動回路内に設ければ、ゲート絶縁膜2bを酸窒化膜から構成することに起因する、トランジスタ特性のばらつきやキャリア移動度の劣化が、悪影響として殆ど表面化しないようにできる。いずれにせよ、周辺駆動回路部におけるPチャネル型TFTのゲート絶縁膜2bに窒素導入を行なうことで、TFTの顕著な長寿命化が確認されており、Pチャネル型TFTの場合にも、ゲート絶縁膜に対する窒素導入によりトランジスタ特性の超寿命化の効果が得られる。
【0063】
また本実施形態では、図1の工程(2)においてファーネス内で窒素原子を含むガス雰囲気中でアニールを行なうことによりゲート絶縁膜2bに対する窒素導入したが、この工程は、既存技術であるプラズマ技術、ランプアニール、レーザーアニール又はイオン注入で行ってもよい。特に、酸化と窒素導入を一つの酸窒化工程として同時に行なってもよいし、酸化工程の後に窒素導入工程を連続して行なってもよい。
【0064】
(基板装置の第2実施形態)
次に図5及び図6を参照して本発明の第2実施形態の基板装置の製造方法及び構成について説明する。図5及び図6は、第2実施形態の製造方法を順を追って示す工程図であり、画素部に設けられる画素スイッチング用のTFT(図中、左半面)及び周辺駆動回路を構成するTFT(図中、右半面)について夫々、工程毎のTFT付近における断面構造を示している。尚、図5及び図6において、図1及び図2に示した第1実施形態と同様の構成要素には同様の参照符号を付し、それらの説明は省略する。
【0065】
図5において第1実施形態と同様に工程(1)が行なわれた後、工程(2)では、例えば減圧CVD(Chemical Vapor Deposition:化学蒸着)等により、窒化膜700を周辺回路部及び画素部における半導体層1aの表面全体に形成する。
【0066】
次に工程(3)では、画素部における半導体層1a上をレジスト604でマスクし、工程(4)では、レジスト604でマスクされていない部分における窒化膜700をエッチング除去する。この結果、画素部における半導体層1aが、窒化膜700からなるマスクで覆われている構造が得られる。
【0067】
次に工程(5)では、ドライ酸化又はウエット酸化により、周辺駆動回路部の半導体層1aの表面に、先ず熱酸化シリコン膜を形成し、続いて、ファーネス(拡散炉)内にて、窒素原子を含むガスの雰囲気中でアニールすることにより、窒素原子を導入したゲート絶縁膜2bを形成する。尚、窒化膜は酸化され難いという性質上、このゲート絶縁膜2bの形成と同時には、窒化膜700上に酸化膜は殆ど形成されない。
【0068】
その後、工程(6)では、140〜170℃程度の熱燐酸等のエッチャント503を用いて、窒化膜700を選択的にエッチング除去する。この際、酸窒化膜からなるゲート絶縁膜2bについては、熱燐酸等によっては殆どエッチング除去されない。これにより、画素部では、半導体層1aが再び露出した状態になる。他方、周辺回路部の半導体層1a上に酸窒化膜からなるゲート絶縁膜2bが形成された構造は維持される。
【0069】
そして、図6の工程(7)において、ドライ酸化、ウエット酸化、又はHTO膜により、画素部の半導体層1aの表面に、熱酸化シリコン膜等からなるゲート絶縁膜2aを形成する。
【0070】
次に、工程(8)では、導電性のポリシリコン膜等からなるゲート電極3a及び3bが、ゲート絶縁膜上に夫々形成され、更に工程(9)では、ソース電極及びドレイン電極接続用のコンタクトホールをドライエッチング、ウエットエッチング又は両者の組み合わせにより開孔し、これらを介して、図中破線で示したように画素部では、Al等からなるデータ線6aの端部及びITO等からなる画素電極9aの端部を、ソース電極及びドレイン電極として接続する。これと相前後或いは並行して、周辺駆動回路部では、Al等からなる配線6b及び6cをソース電極及びドレイン電極として接続する。
【0071】
以上の工程(1)〜(9)により、基板10上における画素部及び周辺駆動回路部にTFTが夫々構築される。
【0072】
以上詳細に説明したように第2実施形態の基板装置によれば、周辺駆動回路部を構成するTFTにおけるトランジスタ特性の経時劣化や、特に高湿、高温等の使用環境下におけるトランジスタ特性の劣化を低減できる。これにより、長期に亘って且つ使用環境によらずに安定した性能を保持し得るTFTを周辺駆動回路部に備えることにより、基板装置を長寿命化できる。そして、図5及び図6に示したように、第2実施形態によれば、このような構成を有する基板装置を比較的簡単に製造できる。
【0073】
(基板装置の第3実施形態)
次に図7を参照して本発明の第3実施形態の基板装置の製造方法及び構成について説明する。図7は、第3実施形態の製造方法を順を追って示す工程図であり、画素部に設けられる画素スイッチング用のTFT(図中、左半面)及び周辺駆動回路を構成するTFT(図中、右半面)について夫々、工程毎のTFT付近における断面構造を示している。尚、図7において、図1及び図2に示した第1実施形態と同様の構成要素には同様の参照符号を付し、それらの説明は省略する。
【0074】
図7において第1実施形態と同様に工程(1)が行なわれた後、工程(2)では、ドライ酸化又はウエット酸化により、画素部の半導体層1aの表面に、先ず熱酸化シリコン膜からなるゲート絶縁膜2aとする。同時に周辺駆動回路部にも、ゲート絶縁膜2bと同一膜2a’が形成される。
【0075】
次に工程(3)では、係る画素部におけるゲート絶縁膜2aを窒化膜からなるマスク605でマスクする。続いて、工程(4)では、ファーネス(拡散炉)内にて、窒素原子を含むガス505の雰囲気中でアニールすることにより、マスク605により覆われていない周辺駆動回路部における絶縁膜2a’に窒素原子を導入したゲート絶縁膜2bを形成する。
【0076】
次に、マスク605を剥離除去することにより、画素部の半導体層1a上に、酸化膜からなるゲート絶縁膜2aが形成されており、周辺回路部の半導体層1a上に、酸窒化膜からなるゲート絶縁膜2bが形成されている構造が得られる。
【0077】
その後は、図2に示した第1実施形態における工程(7)から(9)と同様の製造プロセスを行なうことで、基板10上における画素部及び周辺駆動回路部にTFTが夫々構築される。
【0078】
以上詳細に説明したように第3実施形態の基板装置によれば、周辺駆動回路部を構成するTFTにおけるトランジスタ特性の経時劣化や、特に高湿、高温等の使用環境下におけるトランジスタ特性の劣化を低減できる。これにより、長期に亘って且つ使用環境によらずに安定した性能を保持し得るTFTを周辺駆動回路部に備えることにより、基板装置を長寿命化できる。そして、図7に示したように、第3実施形態によれば、このような構成を有する基板装置を比較的簡単に製造できる。
【0079】
尚、上述した第1から第3実施形態では、周辺駆動回路を基板10上に薄膜形成プロセスにより直接形成するようにしたが、周辺駆動回路部を他の基板上に形成した後に、基板10の周辺領域に貼り付けることによって、駆動回路内蔵型の基板装置を製造することも可能である。
【0080】
(電気光学装置の実施形態における画素部の構成例)
次に図8から図10を参照して本発明の基板装置を備えた電気光学装置の実施形態について説明する。本実施形態は、上述した基板装置の第1から第3実施形態のいずれかをTFTアレイ基板として備えたものであり、該TFTアレイ基板と対向基板とを対向配置して、両者間に液晶等の電気光学物質を挟持してなる電気光学装置に係る実施形態である。ここに、図8は、電気光学装置の画像表示領域を構成するマトリクス状に形成された複数の画素における各種素子、配線等の等価回路である。図9は、データ線、走査線、画素電極等が形成されたTFTアレイ基板の相隣接する複数の画素群の平面図であり、図10は、図9のA−A’断面図である。尚、図10においては、各層や各部材を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各層や各部材毎に縮尺を異ならしめてある。
【0081】
図8において、特に上述した基板装置の第1から第3実施形態をTFTアレイ基板として備えてなる本実施形態の電気光学装置では、その画像表示領域を構成するマトリクス状に形成された複数の画素は、画素電極9aと当該画素電極9aを制御するためのTFT30とがマトリクス状に複数形成されており、画像信号が供給されるデータ線6aが当該TFT30のソースに電気的に接続されている。また、TFT30のゲートに走査線3aが電気的に接続されており、所定のタイミングで、走査線3aにパルス的に走査信号G1、G2、…、Gmを、この順に線順次で印加するように構成されている。画素電極9aは、TFT30のドレインに電気的に接続されており、スイッチング素子であるTFT30を一定期間だけそのスイッチを閉じることにより、データ線6aから供給される画像信号S1、S2、…、Snを所定のタイミングで書き込む。画素電極9aを介して電気光学物質に書き込まれた所定レベルの画像信号S1、S2、…、Snは、対向基板(後述する)に形成された対向電極(後述する)との間で一定期間保持される。電気光学物質は、印加される電圧レベルにより分子集合の配向や秩序が変化することにより、光を変調し、階調表示を可能にする。ここで、保持された画像信号がリークするのを防ぐために、画素電極9aと対向電極との間に形成される電気光学物質容量と並列に蓄積容量70を付加する。
【0082】
図9において、特に上述した基板装置の第1から第3実施形態をTFTアレイ基板として備えてなる本実施形態の電気光学装置においては、TFTアレイ基板上に、マトリクス状に複数の透明な画素電極9a(点線部9a’により輪郭が示されている)が設けられており、画素電極9aの縦横の境界に各々沿ってデータ線6a、走査線3a及び容量線3bが設けられている。データ線6aは、コンタクトホール5を介してポリシリコン膜等からなる半導体層1aのうち後述のソース領域に電気的接続されており、画素電極9aは、コンタクトホール8を介して半導体層1aのうち後述のドレイン領域に電気的接続されている。また、半導体層1aのうちチャネル領域(図中右下がりの斜線の領域)に対向するように走査線3aが配置されており、走査線3aはゲート電極として機能する。容量線3bは、走査線3aに沿ってほぼ直線状に伸びる本線部と、データ線6aと交差する箇所からデータ線6aに沿って前段側(図中、上向き)に突出した突出部とを有する。また、図中太線で示した矩形の島状領域には夫々、各TFTの少なくともチャネル領域をTFTアレイ基板側から見て一画素毎に夫々覆う位置に、島状の第1遮光膜11aが設けられている。
【0083】
次に図10の断面図に示すように、電気光学装置は、透明なTFTアレイ基板10と、これに対向配置される透明な対向基板20とを備えている。TFTアレイ基板10は、例えば石英基板からなり、対向基板20は、例えばガラス基板や石英基板からなる。TFTアレイ基板10には、画素電極9aが設けられており、その上側には、ラビング処理等の所定の配向処理が施された配向膜16が設けられている。画素電極9aは例えば、ITO膜(Indium Tin Oxide膜)などの透明導電性膜からなる。また配向膜16は例えば、ポリイミド膜などの有機膜からなる。他方、対向基板20には、その全面に渡って対向電極(共通電極)21が設けられており、その下側には、ラビング処理等の所定の配向処理が施された配向膜22が設けられている。TFTアレイ基板10には、図10に示すように、各画素電極9aに隣接する位置に、各画素電極9aをスイッチング制御する画素スイッチング用TFT30が設けられている。対向基板20には、更に図10に示すように、各画素の開口領域(即ち、画像表示領域内において実際に入射光が透過して表示に有効に寄与する領域)以外の領域に、第2遮光膜23が設けられている。
【0084】
このように構成され、画素電極9aと対向電極21とが対面するように配置されたTFTアレイ基板10と対向基板20との間には、後述のシール材(図17及び図18参照)により囲まれた空間に液晶等の電気光学物質が封入され、電気光学物質層50が形成される。電気光学物質層50は、画素電極9aからの電界が印加されていない状態で配向膜16及び22により所定の配向状態をとる。電気光学物質層50は、例えば一種又は数種類のネマティック液晶を混合した電気光学物質からなる。シール材は、TFT基板10及び対向基板20をそれらの周辺で貼り合わせるための、例えば光硬化性樹脂や熱硬化性樹脂からなる接着剤であり、両基板間の距離を所定値とするためのグラスファイバー或いはガラスビーズ等のスペーサが混入されている。
【0085】
図9及び図10において本実施の形態では、データ線6a、走査線3a及び容量線3b並びにTFT30を含む図7中右上がりの斜線が引かれた網目状の領域においては、TFTアレイ基板10が凹状に窪んでおり、画像表示領域の平坦化用の溝が形成されている。
【0086】
図10に示すように、画素スイッチング用TFT30に各々対向する位置においてTFTアレイ基板10と各画素スイッチング用TFT30との間には、一画素毎に島状に第1遮光膜11aが設けられている。第1遮光膜11aは、好ましくは不透明な高融点金属であるTi、Cr、W、Ta、Mo及びPbのうちの少なくとも一つを含む、金属単体、合金、金属シリサイド等から構成される。
【0087】
更に、第1遮光膜11aと複数の画素スイッチング用TFT30との間には、第1層間絶縁膜12が設けられている。第1層間絶縁膜12は、画素スイッチング用TFT30を構成する半導体層1aを第1遮光膜11aから電気的絶縁するために設けられるものである。更に、第1層間絶縁膜12は、TFTアレイ基板10の全面に形成されることにより、画素スイッチング用TFT30のための下地膜としての機能をも有する。
【0088】
本実施の形態では、ゲート絶縁膜2を走査線3aに対向する位置から延設して誘電体膜として用い、半導体層1aを延設して第1蓄積容量電極1fとし、更にこれらに対向する容量線3bの一部を第2蓄積容量電極とすることにより、蓄積容量70が構成されている。
【0089】
図10において、画素スイッチング用TFT30は、LDD(Lightly Doped Drain)構造を有しており、走査線3a、当該走査線3aからの電界によりチャネルが形成される半導体層1aのチャネル領域1a’、走査線3aと半導体層1aとを絶縁するゲート絶縁膜2、データ線6a、半導体層1aの低濃度ソース領域1b及び低濃度ドレイン領域1c、半導体層1aの高濃度ソース領域1d並びに高濃度ドレイン領域1eを備えている。高濃度ドレイン領域1eには、複数の画素電極9aのうちの対応する一つが接続されている。本実施の形態では特にデータ線6aは、Al等の低抵抗な金属膜や金属シリサイド等の合金膜などの遮光性の薄膜から構成されている。また、走査線3a、ゲート絶縁膜2及び第1層間絶縁膜12の上には、高濃度ソース領域1dへ通じるコンタクトホール5及び高濃度ドレイン領域1eへ通じるコンタクトホール8が各々形成された第2層間絶縁膜4が形成されている。更に、データ線6a及び第2層間絶縁膜4の上には、高濃度ドレイン領域1eへのコンタクトホール8が形成された第3層間絶縁膜7が形成されている。
【0090】
画素スイッチング用TFT30は、好ましくは上述のようにLDD構造を持つが、低濃度ソース領域1b及び低濃度ドレイン領域1cに不純物イオンの打ち込みを行わないオフセット構造を持ってよいし、走査線3aの一部であるゲート電極をマスクとして高濃度で不純物イオンを打ち込み、自己整合的に高濃度ソース及びドレイン領域を形成するセルフアライン型のTFTであってもよい。また本実施の形態では、画素スイッチング用TFT30のゲート電極をソース−ドレイン領域間に1個のみ配置したシングルゲート構造としたが、これらの間に2個以上のゲート電極を配置してもよい。この際、各々のゲート電極には同一の信号が印加されるようにする。
【0091】
(電気光学装置の実施形態における周辺駆動回路部の構成例)
次に、図11から図16を参照して、周辺駆動回路の構成例について説明する。
【0092】
先ず、図11から図13を参照して、電気光学装置の周辺領域における駆動回路の一部として作り込まれるシフトレジスタ回路について説明する。ここに、図11は、このシフトレジスタ回路の等価回路の一例を示す等価回路図である。図12(A)は、図11のシフトレジスタ回路のS部分の基板上におけるレイアウト平面図の一例を示しており、12(B)は、図12(A)のC−C’断面図である。図13(A)は、図11のシフトレジスタ回路のS部分の基板上におけるレイアウト平面図の他の例を示しており、図13(B)は、図13(A)のD−D’断面図である。尚、図11から図13において、前述した図8から図10に示した電気光学装置の画素部に係る実施形態の場合と、同様の構成要素には同様の参照符号を付し、それらの説明については省略する。更に、図13では、図12と同様の構成要素には同様の参照符号を付し、それらの説明については省略する。
【0093】
図11において、シフトレジスタ回路は、多数のCMOS型TFTを含んで構成されている。これらのうち少なくともPチャネル型TFTについては、そのゲート絶縁膜が、前述した第1から第3実施形態の如く、窒素導入された酸窒化膜から構成されている。また、この例において、転送信号をラッチする回路は、トランスミッションゲート回路で構成してもよいし、クロックドインバータ回路等で構成してもよい。
【0094】
図12(A)及び図12(B)に示した例は、P型領域250及びN型領域251を有し、駆動回路を構成するPチャネル型TFT246を備えて構成されている。本段のシフトレジスタ回路と次段のシフトレジスタ回路との接続部N4に配線を通すために、トランスミッションゲート回路を制御するクロック信号線CLの表面に形成した第2層間絶縁膜4の上で、データ線と同一工程で形成した同一層間のAl等の金属膜等からなる配線240が、用いられている。そして、トランスミッションゲート回路のソース・ドレイン電極241、242は、配線240と同一層で形成される。
【0095】
図13(A)及び図13(B)に示した例は、基板10と下地絶縁膜12との間には、導電性の遮光膜11aが形成されており、シフトレジスタ回路と次段のシフトレジスタ回路との接続部N4の配線材料として用いられている。これにより、トランスミッションゲート回路のソース及びドレイン電極241、242と同一層間には配線がなくなる。
【0096】
次に、図14から図16を参照して、周辺駆動回路を構成するクロックドインバータ回路、トランスミッションゲート回路及びインバータ回路について説明する。ここに、図14(A)は、周辺駆動回路で用いている等価回路の一例で、クロックドインバータ回路を示し、図14(B)は、トランスミッションゲート回路を示し、図14(C)は、インバータ回路を示している。図15(A)は、図14(C)のインバータ回路の一具体例における液晶装置用基板上でのレイアウトを示す平面図であり、図15(B)は、図15(A)のE−E'間の断面図を示している。また、図16(A)は、図14(C)のインバータ回路の他の具体例における液晶装置用基板300上におけるレイアウトの平面図であり、図16(B)は図16(A)のF−F'間の断面図を示し、図16(C)は、図16(A)におけるG−G'間の断面図を示している。尚、図14から図16において、上述した図11から図13と同様の構成要素には同様の参照符号を付し、それらの説明は省略する。
【0097】
図14(A)、図14(B)及び図14(C)に夫々示すように、各々の等価回路は、Pチャネル型TFT246及びNチャネル型TFT247を含んでなるCMOS型TFTにより構成されている。これらの図において、CLはクロック信号、CLBは前記クロック信号の反転信号、VDDは周辺駆動回路の高電位側の定電圧電源、VSSは周辺駆動回路の低電位側の定電圧電源をそれぞれ示している。これらのうち少なくともPチャネル型TFT246は、第1実施形態から第3実施形態で説明したように窒素が導入された窒素酸化膜からなるゲート絶縁膜を有する。
【0098】
図15(A)及び図15(B)に示す一の具体例では、インバータ回路を構成するPチャネル型TFT246及びNチャネル型TFT247の各々のソース電極244に対して、下地絶縁膜12のコンタクトホール205を経由して遮光膜11aを接続する。この遮光膜11aはPチャネル型TFT246及びNチャネル型TFT247のゲート電極243下部のチャネル領域252、253を下地絶縁膜12を介して完全に覆うように形成されている。従って、Pチャネル型TFT246のソース電極248(周辺駆動回路の高電位側の定電圧電源VDD)及びNチャネル型TFT247のソース電極249(周辺駆動回路の低電位側の定電圧電源VSS)から印加される電圧で、遮光膜11aが擬似的な第2のゲート電極としての機能を果たす。このため、Nチャネル型TFT247では、そのチャネル領域253において空乏層のゲート絶縁膜2に接する部分の電位が従来より大きく上昇し、電子に対するポテンシャルエネルギーが低下する。その結果、空乏層のゲート絶縁膜2に接する部分に電子が集まり反転層ができやすくなるため、半導体層の抵抗が下がり、TFT特性が向上する。Pチャネル型TFT246のチャネル領域252では、前記電子を正孔に置き換えた現象が生じる。
【0099】
図15(B)では、周辺駆動回路のPチャネル型TFT246及びNチャネル型TFT247はゲートセルフアライン構造で表してあるが、製造プロセスで説明したように、TFTの耐圧を向上し、信頼性を高めるために、該周辺駆動回路のPチャネル型TFT246及びNチャネル型TFT247をLDD構造やオフセットゲート構造で形成してもよい。
【0100】
図16(A)及び図16(B)に示す他の具体例では、インバータ回路を構成するPチャネル型TFT246及びNチャネル型TFT247の各々のゲート電極243に重なるように形成した遮光膜11aをゲート電極243に接続する。また、遮光膜11aをゲート電極243と同一かあるいは幅を狭くして、チャネル領域252、253の上下をゲート絶縁膜2及び下地絶縁膜12を介してゲート電極243及び遮光膜11aで挟むようにしてダブルゲート構造のTFTを構成する。また、インバータ回路の入力側の配線244は、データ線と同一層で形成されており、下地絶縁膜12のコンタクトホール205を経由してゲート電極243と接続され、下地絶縁膜12のコンタクトホール205を経由して遮光膜11aと接続される。コンタクトホール205の開孔は同一工程により行う。したがって、このダブルゲート構造のTFTは遮光膜11aが第2のゲート電極の働きをするため、バックチャネル効果により、TFT特性の更なる向上を図ることができる。
【0101】
(電気光学装置の実施形態における全体構成例)
次に図17及び図18を参照して、以上のように構成された電気光学装置の全体構成を説明する。尚、図17は、TFTアレイ基板10をその上に形成された各構成要素と共に対向基板20の側から見た平面図であり、図18は、対向基板20を含めて示す図17のH−H’断面図である。
【0102】
図17において、TFTアレイ基板10の上には、シール材52がその縁に沿って設けられており、その内側に並行して、例えば第2遮光膜23と同じ或いは異なる材料から成る額縁としての第3遮光膜53が設けられている。シール材52の外側の領域には、データ線駆動回路101及び外部回路接続端子102がTFTアレイ基板10の一辺に沿って設けられており、走査線駆動回路104が、この一辺に隣接する2辺に沿って設けられている。更にTFTアレイ基板10の残る一辺には、画像表示領域の両側に設けられた走査線駆動回路104間をつなぐための複数の配線105が設けられている。また、対向基板20のコーナー部の少なくとも1箇所においては、TFTアレイ基板10と対向基板20との間で電気的導通をとるための上下導通材106が設けられている。そして、図18に示すように、図17に示したシール材52とほぼ同じ輪郭を持つ対向基板20が当該シール材52によりTFTアレイ基板10に固着されている。
【0103】
以上図17から図18を参照して説明した電気光学装置の実施形態では、データ線駆動回路101及び走査線駆動回路104をTFTアレイ基板10の上に設ける代わりに、例えばTAB(テープオートメイテッドボンディング基板)上に実装された駆動用LSIに、TFTアレイ基板10の周辺部に設けられた異方性導電フィルムを介して電気的及び機械的に接続するようにしてもよい。また、本願発明をTFTアクティブマトリクス駆動方式以外の、TFDアクティブマトリクス方式、パッシブマトリクス駆動方式などいずれの方式に適用しても高品位の画像表示が可能な電気光学装置を実現できる。更にまた、上述の電気光学装置では、対向基板20の外面及びTFTアレイ基板10の外面には各々、例えば、TN(Twisted Nematic)モード、VA(Vertically Aligned)モード、PDLC(Polymer Dispersed Liquid Crystal)モード等の動作モードや、ノーマリーホワイトモード/ノーマリーブラックモードの別に応じて、偏光フィルム、位相差フィルム、偏光板などが所定の方向で配置される。
【0104】
(電子機器の実施形態)
次に、以上詳細に説明した電気光学装置をライトバルブとして用いた電子機器の一例たる投射型カラー表示装置の実施形態について、その全体構成、特に光学的な構成について説明する。ここに図19は、投射型カラー表示装置の図式的断面図である。
【0105】
図19において、本実施形態における投射型カラー表示装置の一例たる液晶プロジェクタ1100は、駆動回路がTFTアレイ基板上に搭載された液晶装置100を含む液晶モジュールを3個用意し、夫々RGB用のライトバルブ100R、100G及び100Bとして用いたプロジェクタとして構成されている。液晶プロジェクタ1100では、メタルハライドランプ等の白色光源のランプユニット1102から投射光が発せられると、3枚のミラー1106及び2枚のダイクロイックミラー1108によって、RGBの3原色に対応する光成分R、G、Bに分けられ、各色に対応するライトバルブ100R、100G及び100Bに夫々導かれる。この際特にB光は、長い光路による光損失を防ぐために、入射レンズ1122、リレーレンズ1123及び出射レンズ1124からなるリレーレンズ系1121を介して導かれる。そして、ライトバルブ100R、100G及び100Bにより夫々変調された3原色に対応する光成分は、ダイクロイックプリズム1112により再度合成された後、投射レンズ1114を介してスクリーン1120にカラー画像として投射される。
【0106】
本発明は、上述した各実施形態に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴なう基板装置及びその製造方法並びに電気光学装置もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の基板装置の第1実施形態の製造方法を順を追って示す工程図(その1)である。
【図2】本発明の基板装置の第1実施形態の製造方法を順を追って示す工程図(その2)である。
【図3】図1の工程(2)で導入された窒素濃度と、ゲート絶縁膜から半導体層に至る部分における酸素及びケイ素の2次強度とをゲート絶縁膜表面からの深度に対して示す特性図である。
【図4】窒素原子の導入量を変化させた複数の実施例及び窒素原子を導入しない比較例における動作時間に対する閾値Vthの初期値からのずれ量Vdd(V)を示す特性図である。
【図5】本発明の基板装置の第2実施形態の製造方法を順を追って示す工程図(その1)である。
【図6】本発明の基板装置の第2実施形態の製造方法を順を追って示す工程図(その2)である。
【図7】本発明の基板装置の第3実施形態の製造方法を順を追って示す工程図である。
【図8】本発明の電気光学装置の実施形態における画像表示領域を構成するマトリクス状の複数の画素に設けられた各種素子、配線等の等価回路である。
【図9】図8の電気光学装置におけるデータ線、走査線、画素電極等が形成されたTFTアレイ基板の相隣接する複数の画素群の平面図である。
【図10】図9のA−A’断面図である。
【図11】実施形態において周辺駆動回路を構成するシフトレジスタ回路の一例を示した等価回路図である。
【図12】(A)は、図11のシフトレジスタ回路のS部分の一例の、基板上におけるレイアウト平面図であり、(B)は(A)のC−C’断面図である。
【図13】(A)は、図11のシフトレジスタ回路のS部分の他の例の、基板上におけるレイアウト平面図であり、(B)は(A)のD−D’断面図である。
【図14】(A)は、周辺駆動回路で用いている等価回路の一例で、クロックドインバータ回路の回路図であり、(B)は、トランスミッションゲート回路を示す回路図であり、(C)は、インバータ回路を示す回路図である。
【図15】(A)は、図14(C)のインバータ回路の一具体例における液晶装置用基板上でのレイアウトを示す平面図であり、(B)は、(A)のE−E'断面図である。
【図16】(A)は、図14(C)のインバータ回路の他の具体例における液晶装置用基板300上におけるレイアウトの平面図であり、(B)は(A)のF−F'断面図であり、(C)は(A)のG−G'断面図である。
【図17】本発明の電気光学装置の実施形態におけるTFTアレイ基板をその上に形成された各構成要素と共に対向基板の側から見た平面図である。
【図18】図17のH−H’断面図である。
【図19】本発明の電子機器の実施形態である投射型カラー表示装置の一例たるカラー液晶プロジェクタを示す図式的断面図である。
【符号の説明】
1a…半導体層
2a…ゲート絶縁膜(酸化膜)
2b…ゲート絶縁膜(酸窒化膜)
3a…走査線
3b…容量線
5…コンタクトホール
6a…データ線
8…コンタクトホール
9a…画素電極
10…TFTアレイ基板
10a…画像表示領域
11a…第1遮光膜
20…対向基板
21…対向電極
23…第2遮光膜
30…画素スイッチング用TFT
50…電気光学物質層
52…シール材
70…蓄積容量
101…データ線駆動回路
104…走査線駆動回路
601〜604…マスク
700…窒化膜
Claims (15)
- 基板と、
該基板上における画像表示領域に、画素電極及び該画素電極に接続された第1トランジスタを備えており、
前記基板上における前記画像表示領域の周辺に位置する周辺領域に、前記第1トランジスタを駆動するための配線及び該配線に接続された駆動回路の一部を構成する第2トランジスタを備えており、
前記第1トランジスタを構成する第1ゲート絶縁膜は、窒素が導入されていない酸化膜からなり、
前記第2トランジスタを構成する第2ゲート絶縁膜は、窒素が導入された酸窒化膜からなることを特徴とする基板装置。 - 前記第2トランジスタは、Pチャネル型TFT又はCMOS(Complementary MOS)型TFTからなることを特徴とする請求項1に記載の基板装置。
- 前記第1トランジスタは、Nチャネル型TFTからなることを特徴とする請求項1又は2に記載の基板装置。
- 前記第1及び第2トランジスタを構成する半導体層は、低温又は高温ポリシリコン若しくはアモルファスシリコンからなることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の基板装置。
- 前記第2トランジスタは、ゲート電圧が閾値を超えることでオンオフ動作するスイッチング素子として前記駆動回路内に設けられていることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の基板装置。
- 基板上の画像表示領域に、画素電極及び該画素電極に接続された第1トランジスタを備えており、
前記基板上における前記画像表示領域の周辺に位置する周辺領域に、前記第1トランジスタを駆動するための配線及び該配線に接続された駆動回路の一部を構成する第2トランジスタを備えており、基板装置を製造する基板装置の製造方法であって、
前記基板上に、前記第1トランジスタを構成する第1半導体層及び前記第2トランジスタを構成する第2半導体層を形成する半導体層形成工程と、
前記第1及び第2半導体層に酸窒化膜を形成する酸窒化膜形成工程と、
該形成された酸窒化膜のうち前記第2半導体層上に形成された部分をマスクしつつ該形成された酸窒化膜のうち前記第1半導体層上に形成された部分を選択的に除去する除去工程と、
前記酸窒化膜が除去された第1半導体層上に、酸化膜を形成する酸化膜形成工程と、
前記形成された酸窒化膜及び酸化膜上に夫々、ゲート電極を形成するゲート電極形成工程と
を含むことを特徴とする基板装置の製造方法。 - 基板上の画像表示領域に、画素電極及び該画素電極に接続された第1トランジスタを備えており、
前記基板上における前記画像表示領域の周辺に位置する周辺領域に、前記第1トランジスタを駆動するための配線及び該配線に接続された駆動回路の一部を構成する第2トランジスタを備えており、基板装置を製造する基板装置の製造方法であって、
前記基板上に、前記第1トランジスタを構成する第1半導体層及び前記第2トランジスタを構成する第2半導体層を形成する半導体層形成工程と、
前記第2半導体層をマスクしつつ前記第1半導体層に窒化膜を選択的に形成する窒化膜形成工程と、
前記窒化膜が形成されていない第2半導体層上に酸窒化膜を選択的に形成する酸窒化膜形成工程と、
前記窒化膜を除去する除去工程と、
前記窒化膜が除去された第1半導体層上に酸化膜を形成する酸化膜形成工程と、
前記形成された酸窒化膜及び酸化膜上に夫々、ゲート電極を形成するゲート電極形成工程と
を含むことを特徴とする基板装置の製造方法。 - 基板上の画像表示領域に、画素電極及び該画素電極に接続された第1トランジスタを備えており、
前記基板上における前記画像表示領域の周辺に位置する周辺領域に、前記第1トランジスタを駆動するための配線及び該配線に接続された駆動回路の一部を構成する第2トランジスタを備えており、基板装置を製造する基板装置の製造方法であって、
前記基板上に、前記第1トランジスタを構成する第1半導体層及び前記第2トランジスタを構成する第2半導体層を形成する半導体層形成工程と、
前記第1及び第2半導体層に酸化膜を形成する酸化膜形成工程と、
前記第1半導体層上に形成された酸化膜を窒化膜でマスクしつつ前記第2半導体層上に形成された酸化膜に酸窒化膜を選択的に形成する酸窒化膜形成工程と、 前記形成された酸窒化膜及び酸化膜上に夫々、ゲート電極を形成するゲート電極形成工程と
を含むことを特徴とする基板装置の製造方法。 - 基板上の画像表示領域に、画素電極及び該画素電極に接続された第1トランジスタを備えており、
前記基板上における前記画像表示領域の周辺に位置する周辺領域に、前記第1トランジスタを駆動するための配線及び該配線に接続された駆動回路の一部を構成する第2トランジスタを備えており、基板装置を製造する基板装置の製造方法であって、
前記基板上に、前記第1トランジスタを構成する第1半導体層及び前記第2トランジスタを構成する第2半導体層を形成する半導体層形成工程と、
前記第2半導体層を窒化膜又はレジストでマスクしつつ前記第1半導体層上に酸化膜を選択的に形成する酸化膜形成工程と、
前記窒化膜又はレジストを除去後に前記第2半導体層上に酸窒化膜を選択的に形成する酸窒化膜形成
工程と、
前記形成された酸窒化膜及び酸化膜上に夫々、ゲート電極を形成するゲート電極形成工程と
を含むことを特徴とする基板装置の製造方法。 - 前記酸窒化膜形成工程は、窒素を含む雰囲気で酸化する工程を含むことを特徴とする請求項6から9のいずれか一項に記載の基板装置の製造方法。
- 前記酸窒化膜形成工程は、N2O(一酸化二窒素)ガス、NO(一酸化一窒素)ガス及びNH4(アンモニア)ガスのうち少なくとも一つを含む雰囲気中でアニールする工程を含むことを特徴とする請求項10に記載の基板装置の製造方法。
- 前記酸窒化膜形成工程は、縦型あるいは横型拡散炉、プラズマを使用した窒化、ランプアニール、レーザーアニール又はイオン注入のいずれか1つの工程を含むことを特徴とする請求項6から9のいずれか一項に記載の基板装置の製造方法。
- 前記酸窒化膜形成工程は、酸化膜を形成後に窒素をドープする工程を含むことを特徴とする請求項6から9のいずれか一項に記載の基板装置の製造方法
。 - 請求項1から5のいずれか一項に記載の基板装置を具備してなることを特徴とする電気光学装置。
- 請求項14に記載の電気光学装置を具備してなることを特徴とする電子機器。
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