JP3964726B2 - 伝達比可変操舵装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、操舵ハンドルの操舵角と転舵系の転舵角との伝達比を変化させる伝達比可変操舵装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、図14に示すように、特開2000−211541号公報記載の伝達比可変操舵装置が知られている。この伝達比可変操舵装置は、ハウジング90と、このハウジング90と一体回転可能に設けられる入力軸91と、ハウジング90に回転可能に支承された出力軸92と、ハウジング90内に固定され、モータ軸93aを回転可能なモータ93と、ハウジング90内に設けられた波動歯車機構からなるギヤ機構94と、ハウジング90内に設けられたロック機構95と、ハウジング90外で入力軸91と同軸に設けられたスパイラルケーブル装置96とを備えている。
【0003】
入力軸91は図示しない等速ジョイントを介して図示しない操舵ハンドルに連結されており、操舵ハンドルの操舵角が入力軸91に伝達されるようになっている。また、出力軸92は図示しない等速ジョイントを介して図示しないピニオンに連結されており、ピニオンの回転が図示しないラックバーを平行移動するようになっている。こうして、出力軸92は転舵系に転舵角を伝達する。
【0004】
モータ93はハウジング90内に固定されるモータハウジング93bを有している。モータハウジング93b内にはステータ93cが固定されており、ステータ93c内にはステータ93cによって回転駆動されるロータ93dが設けられている。モータ軸93aは、ロータ93dに固定され、ロータ93dの両端で軸方向に突出されている。このモータ軸93aのスパイラルケーブル装置96側の一端は、ハウジング90にボール軸受90aを介して回転可能に支承されているとともに、ロック機構95によりハウジング90に固定可能になっている。他方、モータ軸93aの他端はギヤ機構94に接続されている。
【0005】
ギヤ機構94は、モータ軸93aの他端が嵌入されてモータ軸93aと一体回転可能なウェーブジェネレータ94aを有している。このウェーブジェネレータ94aは、軸直角断面が楕円形状のカム941aと、このカム941aの外周に設けられたボール軸受942aとからなる。ボール軸受942aの内輪はカム941aの外周に固定されており、ボール軸受942aの外輪はボールを介して弾性変形可能である。ウェーブジェネレータ94aの外周にはボール軸受942aの外輪と一体的に環状のフレクスプライン94bが設けられている。フレクスプライン94bの外周には外歯が形成されている。また、ハウジング90内のモータ93側には環状のステイサーキュラスプライン94cが形成されている。ステイサーキュラスプライン94cの内周にはフレクスプライン94bの外歯と同数の内歯が形成され、これによりステイサーキュラスプライン94cはフレクスプライン94bと噛合している。さらに、ハウジング90内の外側にはステイサーキュラスプライン94cと隣接して環状のドライブサーキュラスプライン94dが軸受メタル90bを介して回転可能に支承されている。ドライブサーキュラスプライン94dの内周にはフレクスプライン94bの外歯より少ない歯数の内歯が形成され、これによりドライブサーキュラスプライン94dもフレクスプライン94bと噛合している。ドライブサーキュラスプライン94dは可動フランジ94eに固定され、可動フランジ94eは出力軸92に固定されている。
【0006】
ロック機構95は、モータ軸93aのスパイラルケーブル装置96側の一端の外周に固定されたロックホルダ95aと、ハウジング90に対して軸心と平行な枢軸回りで揺動可能に軸支され、駆動装置により駆動されるロックバー95bとを有している。ロックホルダ95aの外周には複数のロック溝が凹設されており、ロックバー95bの一端にはロック溝に係合可能な係合爪部が形成されている。
【0007】
また、スパイラルケーブル装置96は、図示しない車体に保持される筒状の筐体96aと、この筐体96aの内側に筐体96aに対して相対回転可能に設けられ、ハウジング90外でハウジング90に固定された内筒96bとを有している。また、筐体96aと内筒96bとの間には複数のリード線を絶縁被覆してなるフレキシブルフラットケーブル96cが設けられており、このフレキシブルフラットケーブル96cは、一端が内筒96bに接続されて内筒96bの周囲に巻回され、他端が筐体96aに接続されている。フレキシブルフラットケーブル96cと接続されて内筒96bから延出するリード線はモータ93のステータ等に接続され、フレキシブルフラットケーブル96cと接続されて筐体96aから延出するリード線は車体の図示しないバッテリ及びECU(電子制御装置)にコネクタにより接続される。
【0008】
この伝達比可変操舵装置では、ロックバー95bの係合爪部がロックホルダ95aのロック溝と係合していない状態において、運転手が操舵ハンドルを操舵すると、入力軸91を介してハウジング90に操舵角が伝達される。この際、その操舵角に応じてモータ93がロータ93dを回転駆動する。ロータ93dの回転はモータ軸93aを介してギヤ機構94に伝達され、出力軸92が回転駆動される。
【0009】
また、ロックバー95bの係合爪部がロックホルダ95aのロック溝と係合している状態では、運転手が操舵ハンドルを操舵すると、入力軸91を介してハウジング90に操舵角が伝達されるとともに、モータ軸93aにも操舵角が伝達される。モータ軸93aの回転はギヤ機構94に伝達され、出力軸92が回転駆動される。
【0010】
こうしてこの伝達比可変操舵装置では、非常時等にロック機構95の駆動装置がロックバー95bを駆動することにより入力軸91とモータ軸93aとをロック可能な状態としつつ、操舵角と転舵角との伝達比が可変された状態で転舵系に転舵角が伝達される。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記従来の伝達比可変操舵装置では、ロック機構95におけるロックホルダ95aのロック溝とロックバー95bの係合爪部との詳細が明らかでなかった。
【0012】
このため、ロックバーやロックホルダの耐久性が低かったり、一旦はロック溝に係合爪部が係合したとしても、その係合が外れやすかったり、係合爪部がロックホルダに跳ね返されることによる係合の不確実性があったりするという不具合を生じることがあった。こうであれば、ロック機構の信頼性、ひいては伝達比可変操舵装置の信頼性が損なわれてしまう。
【0013】
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、ロック機構の信頼性が高い伝達比可変操舵装置を提供することを解決すべき課題としている。
【0014】
【課題を解決するための手段】
第1発明の伝達比可変操舵装置は、ハウジングと、該ハウジングと一体回転可能に設けられ、操舵ハンドルの操舵角を伝達する入力軸と、該ハウジング内に固定され、モータ軸を回転可能なモータと、該ハウジングに回転可能に支承され、転舵系に転舵角を伝達する出力軸と、該ハウジング内で該モータ軸と該出力軸との間に設けられ、該モータ軸の回転角を増減して該出力軸に出力するギヤ機構と、該ハウジング内で該入力軸と該モータ軸との間に設けられ、該入力軸と該モータ軸とをロックするロック機構とを備え、該操舵角と該転舵角との伝達比を可変する伝達比可変操舵装置において、
【0015】
前記ロック機構は、前記モータ軸と一体回転可能に設けられ、外周に複数のロック溝が凹設されたロックホルダと、前記ハウジングに軸心と平行な枢軸回りで揺動可能に軸支され、一端に該ロック溝に係合可能な係合爪部をもち、該ロックホルダより硬質のロックバーとを有し、該係合爪部は各該ロック溝の両側面に角当たりするように形成されていることを特徴とする。
【0016】
伝達比可変操舵装置では、ロックバーは単一であり、しかもそこには単一の係合爪部しか存在しないため、ロックバーは高い耐久性を求めて硬質のものとされる必要がある。これに対し、ロックホルダは複数のロック溝を有していることから、必ずしも硬質のものとされる必要がない。むしろ、ロックホルダもロックバーと同等に硬質のものとすると、ロックバーをそれ以上に硬質のものとしなければロックバーの耐久性が損なわれてしまうことから、ロックホルダはロックバーよりも軟質にしなければならない。第1発明の伝達比可変操舵装置は、ロックバーがロックホルダより硬質であり、この点でロックバーの耐久性を確保している。
【0017】
ここで、ロック機構としては、ロックバーがロックホルダに向かって揺動する際、ロック溝の縁部がロックバーの係合爪部の両側面に角当たりする構成と、ロックバーの係合爪部がロックホルダのロック溝の両側面に角当たりする構成とを選択し得る。
【0018】
前者のロック機構では、ロック溝の縁部がロックバーの係合爪部の両側面に食いつき、係合爪部がロック溝と確実に係合するものの、硬質のロックバーの係合爪部によってロック溝の縁部が摩耗したり、凹んだりし、ロックホルダの耐久性に懸念がある。
【0019】
これに対し、第1発明の伝達比可変操舵装置では、後者のロック機構を採用している。すなわち、ロックバーの係合爪部がロックホルダのロック溝の両側面に角当たりする。この場合、ロックバーの係合爪部がロックホルダのロック溝の両側面に食いつき、係合爪部がロック溝と確実に係合する。また、ロック溝の縁部が摩耗したり、凹んだりする確率は低く、ロックホルダの耐久性の懸念が低い。
【0020】
こうして、第1発明の伝達比可変操舵装置では、ロックバーをロックホルダより硬質のものとしてロックバーの耐久性を確保しつつ、ロック溝の縁部の摩耗等を防止してロックホルダの耐久性も確保できるので、ロックバー及びロックホルダが優れた耐久性を発揮する。
【0021】
このため、ロック機構が優れた信頼性を発揮し、第1発明の伝達比可変操舵装置が優れた信頼性を奏する。
【0022】
第2発明の伝達比可変操舵装置は、ハウジングと、該ハウジングと一体回転可能に設けられ、操舵ハンドルの操舵角を伝達する入力軸と、該ハウジング内に固定され、モータ軸を回転可能なモータと、該ハウジングに回転可能に支承され、転舵系に転舵角を伝達する出力軸と、該ハウジング内で該モータ軸と該出力軸との間に設けられ、該モータ軸の回転角を増減して該出力軸に出力するギヤ機構と、該ハウジング内で該入力軸と該モータ軸との間に設けられ、該入力軸と該モータ軸とをロックするロック機構とを備え、該操舵角と該転舵角との伝達比を可変する伝達比可変操舵装置において、
【0023】
前記ロック機構は、前記モータ軸と一体回転可能に設けられ、外周に複数のロック溝が凹設されたロックホルダと、前記ハウジングに軸心と平行な枢軸回りで揺動可能に軸支され、一端に該ロック溝に係合可能な係合爪部をもつロックバーとを有し、該係合爪部の該枢軸側の一端と当接する各該ロック溝の第1側面は該第1側面から垂直に立てた第1法線が該枢軸より径外方向に延びるように形成され、該係合爪部の他端と当接する各該ロック溝の第2側面は該第1側面から垂直に立てた第2法線が該枢軸より径内方向に延びるように形成されていることを特徴とする。
【0024】
第2発明の伝達比可変操舵装置では、各ロック溝の第1側面はその第1側面から垂直に立てた第1法線が枢軸より径外方向に延びるように形成されているため、ロックバーがロックホルダに向かって揺動し、係合爪部がロック溝の第1側面と当接した後、ロックバーには係合爪部をロック溝の奥方向に移動させるモーメントが生じることとなる。
【0025】
また、この伝達比可変操舵装置では、各ロック溝の第2側面はその第1側面から垂直に立てた第2法線が枢軸より径内方向に延びるように形成されているため、係合爪部がロック溝の第2側面と当接した後、ロックバーにはやはり係合爪部をロック溝の奥方向に移動させるモーメントが生じることとなる。
【0026】
このため、この伝達比可変操舵装置では、一旦ロック溝に係合爪部が係合すれば、その係合が外れ難く、ロック機構が優れた信頼性を奏する。
【0027】
第3発明の伝達比可変操舵装置は、ハウジングと、該ハウジングと一体回転可能に設けられ、操舵ハンドルの操舵角を伝達する入力軸と、該ハウジング内に固定され、モータ軸を回転可能なモータと、該ハウジングに回転可能に支承され、転舵系に転舵角を伝達する出力軸と、該ハウジング内で該モータ軸と該出力軸との間に設けられ、該モータ軸の回転角を増減して該出力軸に出力するギヤ機構と、該ハウジング内で該入力軸と該モータ軸との間に設けられ、該入力軸と該モータ軸とをロックするロック機構とを備え、該操舵角と該転舵角との伝達比を可変する伝達比可変操舵装置において、
【0028】
前記ロック機構は、前記モータ軸と一体回転可能に設けられ、外周に複数のロック溝が凹設されたロックホルダと、前記ハウジングに軸心と平行な枢軸回りで揺動可能に軸支され、一端に該ロック溝に係合可能な係合爪部をもつロックバーとを有し、該ロック溝間に位置する突起の外周面は円筒面で形成され、前記ロックバーが前記ロックホルダに向かって揺動して前記突起の外周面に当接した際、該ロックバーの係合爪部の先端に形成された平面状又は該外周面よりも曲率が大きい円筒面状からなる先端面が該外周面と当接するように構成され、この先端面の両端の角部は該外周面と当接しないように構成されていることを特徴とする。
【0029】
第3発明の伝達比可変操舵装置では、ロックバーがロックホルダに向かって揺動し、ロックバーの係合爪部がロックホルダのロック溝間に位置する突起の外周面と当接する場合、突起の外周面が円筒面で形成され、係合爪部の先端が外周面と角当たりしないように形成されているため、両者の面圧が低く、係合爪部が突起に大きく跳ね返され難い。
【0030】
このため、第3発明の伝達比可変操舵装置では、ロックバーがロックホルダから離れるように揺動され難いことから、係合爪部がロック溝に係合され易く、ロック機構が優れた信頼性を奏する。
【0031】
したがって、ロック機構の信頼性が高いことから、第1〜3発明の伝達比可変操舵装置は優れた信頼性を奏する。
【0032】
【発明の実施の形態】
以下、各発明を具体化した実施形態1〜3を比較形態1〜3とともに図面を参照しつつ説明する。
【0033】
(実施形態1)
実施形態1の伝達比可変操舵装置1は第1発明を具体化したものである。この伝達比可変操舵装置1は、図1に示すように、ステアリング装置に用いられる。このテアリング装置は、車両の操舵ハンドル70が入力軸としての上部ステアリングシャフト71の上端に図示しない等速ジョイントを介して接続されている。また、上部ステアリングシャフト71の下端と、出力軸としての下部ステアリングシャフト72の上端とが伝達比可変操舵装置1を介して接続されている。
【0034】
また、下部ステアリングシャフト72の下端には図示しない等速ジョイントを介して図示しないピニオンが設けられ、このピニオンがステアリングギヤボックス73内においてラック74に噛合されている。ラック74の両端にはそれぞれタイロッド75の一端が接続されるとともに、各タイロッド75の他端にはナックルアーム76を介して転舵輪77が接続されている。
【0035】
さらに、上部ステアリングシャフト71には操舵ハンドル70の操舵角を検出する舵角センサ78が設けられ、下部ステアリングシャフト72には転舵輪77の転舵角を検出する転舵角センサ79が設けられている。これら舵角センサ78及び転舵角センサ79により検出された操舵ハンドル70の操舵角及び転舵輪77の転舵角はECU80に入力されるようになっている。ECU80には、車両速度を検出する車速センサ81から出力される車両速度も入力されるようになっている。そして、ECU80は、伝達比可変操舵装置1に対して、この伝達比可変操舵装置1を制御するための制御信号を出力するようになっている。
【0036】
伝達比可変操舵装置1を図2に拡大して示す。この伝達比可変操舵装置1は、一体に結合されているハウジング6〜8内に、ロック機構3、モータ4及びギヤ機構としての波動歯車機構5が設けられ、ハウジング6外にはスパイラルケーブル装置2が設けられている。そして、上部ステアリングシャフト71の下端71aと、下部ステアリングシャフト72の上端72aとが伝達比可変操舵装置1に接続されている。
【0037】
ハウジング6の上部ステアリングシャフト71側には筒状の嵌合部6aが形成されている。この嵌合部6aに上部ステアリングシャフト71の下端71aが板バネ6bを介して嵌合されており、これによりハウジング6と上部ステアリングシャフト71とが一体として回転するようになっている。
【0038】
モータ4はハウジング7内に固定されるモータハウジング10を有している。モータハウジング10はモータハウジング本体10aとモータエンドプレート10bとからなる。モータハウジング本体10aは、中央に軸孔10cをもつカップ状をなし、ハウジング7に固定されている。このモータハウジング本体10aの上部ステアリングシャフト71側には、モータハウジング本体10aの開口部を塞ぐようにモータエンドプレート10bが固定されている。モータハウジング本体10aの内周面にはステータ12が固定され、ステータ12内にはステータ12によって回転駆動されるロータ14が設けられている。ロータ14にはモータ軸13が固定され、モータ軸13はロータ14の両端で軸方向に突出されている。また、モータ軸13の一端13aはモータエンドプレート10bとの間に設けたボール軸受15により支承されており、モータ軸13の他端13bはモータハウジング本体10aの軸孔10cとの間に設けたボール軸受16により支承されている。これにより、モータ軸13はモータハウジング本体10a、ハウジング6〜8に対して同軸で回転可能になっている。このモータ軸13のスパイラルケーブル装置2側の一端13aは、ロック機構3によりハウジング6〜8に固定可能になっている。他方、モータ軸13の他端13bは波動歯車機構5に接続されている。
【0039】
波動歯車機構5は、モータ軸13の他端13bが嵌入されてモータ軸13と一体回転可能なウェーブジェネレータ17を有している。このウェーブジェネレータ17は、軸直角断面が楕円形状のカム17aと、このカム17aの外周に設けられたボール軸受17bとからなる。軸受17bの内輪はカム17aの外周に固定されており、ボール軸受17bの外輪はボールを介して弾性変形可能である。ウェーブジェネレータ17の外周にはボール軸受17bの外輪と一体的に弾性変形可能な環状のフレクスプライン19が設けられている。このフレクスプライン19の外周には外歯19aが形成されている。また、ハウジング7内のモータ4側には環状のステイサーキュラスプライン20が形成されている。ステイサーキュラスプライン20の内周にはフレクスプライン19の外歯19aより多い歯数の内歯20aが形成され、これによりステイサーキュラスプライン20はフレクスプライン19と噛合している。さらに、ハウジング7内の下部ステアリングシャフト72側にはステイサーキュラスプライン20と隣接して環状のドライブサーキュラスプライン21が軸受メタル7aを介して回転可能に支承されている。ドライブサーキュラスプライン21の内周にはフレクスプライン19の外歯19aと同数の内歯21aが形成され、これによりドライブサーキュラスプライン21もフレクスプライン19と噛合している。モータハウジング本体10aと波動歯車機構5との間には保護プレート9が設けられている。そして、ドライブサーキュラスプライン21には下部ステアリングシャフト72の上端72aが固定されている。
【0040】
ロック機構3は、モータ軸13のスパイラルケーブル装置2側の一端13aの外周に固定されたロックホルダ24と、モータエンドプレート10bに固定される円弧状のヨーク38と、ハウジング6に対して軸心と平行な枢軸25a回りで揺動可能に軸支され、図3に示す駆動装置としてのソレノイド30により駆動される単一のロックバー25とを有している。枢軸25aの周囲には、一端がハウジング6に固定され、他端がロックバー25の表面側に固定される第1ねじりコイルばね25が設けられている。また、その枢軸25aの周囲には、一端がロックバー25の裏面側に固定され、他端がヨーク38に固定される第2ねじりコイルばね25が設けられている。この第1、第2ねじりコイルバネ25、25によって、ロックバー25がロックホルダ24側に付勢されている。
【0041】
図4(A)及び(B)並びに図5(A)及び(B)に示すように、ロックホルダ24の外周には、広角の第1ロック溝24aと、第1ロック溝24a間で第1ロック溝24aより深く凹設された狭角の第2ロック溝24bとからなる複数のロック溝が凹設されている。ロックバー25の一端には第1、2ロック溝24a、24bに係合可能な単一の係合爪部25bが形成されている。ロックバー25は、ロックホルダ24よりも硬質になるように焼入硬化処理されている。特に、図4(B)及び図5(B)に示すように、係合爪部25bの枢軸25a側の一端25c及びその他端25dは、鋭角に形成されている。そして、第2ロック溝24bは、係合爪部25bの一端25cに当接する第1側面24cと、係合爪部25bの他端25dに当接する第2側面24dとを有している。また、第1ロック溝24aは、係合爪部25bの一端25cに当接する側面24mを有している。
【0042】
また、図2に示すスパイラルケーブル装置2は、図示しない車体に保持される筒状の筐体26と、この筐体26の内側に筐体26に対して相対回転可能に設けられ、ハウジング6外でハウジング6に固定された内筒27とを有している。また、筐体26と内筒27との間には複数のリード線を絶縁被覆してなるフレキシブルフラットケーブル28が設けられており、このフレキシブルフラットケーブル28は、一端が内筒27に接続されて内筒27の周囲に巻回され、他端が筐体26に接続されている。フレキシブルフラットケーブル28と接続されて内筒27から延出するリード線はモータ4のステータ12等に接続され、フレキシブルフラットケーブル28と接続されて筐体26から延出するリード線は車体の図示しないバッテリ及びECU80にコネクタにより接続される。
【0043】
以上のように構成された実施形態1の伝達比可変操舵装置1では、ロックバー25の係合爪部25bがロックホルダ24の第1、2ロック溝24a、24bと係合していない状態において、運転手が操舵ハンドル70を操舵すると、上部ステアリングシャフト71を介してハウジング6〜8に操舵角が伝達される。この際、その操舵角に応じてモータ4がロータ14を回転駆動する。ロータ14の回転はモータ軸13を介して波動歯車機構5に伝達され、ここで減速されて下部ステアリングシャフト72が回転駆動される。
【0044】
非常時等には、ロック機構3の駆動装置がロックバー25を駆動し、ロックバー25がモータ軸13と一体回転するロックホルダ24をロックする。この際、図4(B)に示すように、係合爪部25bは、広角の第1ロック溝24aを経て、狭角の第2ロック溝24bに係合する。この場合、鋭角に形成された係合爪部25bの一端25cが第2ロック溝24bの第1側面24cに角当りする。係合爪部25bの一端25cが第1ロック溝24aの側面24mに角当りする場合もある。また、図5(B)に示すように、鋭角に形成された係合爪部25bの他端25dが第2ロック溝24bの第2側面24dに角当りする。
【0045】
これらの際、係合爪部25bの両端25c、25dは、第2ロック溝24bの第1、2側面24c、24d又は第1ロック溝24aの側面24mに食いつき、係合爪部25bが第1、2ロック溝24a、24bに確実に係合することとなる。また、第1、2ロック溝24a、24bの縁部が摩耗したり、凹んだりする確率は低く、ロックホルダ24の耐久性の懸念が低い。係合爪部25bの両端25c、25dが直角又は鈍角に形成されていても同様である。
【0046】
こうしてこの伝達比可変操舵装置1では、ロックバー25の係合爪部25bがロックホルダ24の一つの第2ロック溝24bに係合する。このため、係合爪部25bが第2ロック溝24bの両側面24c、24d又は第1ロック溝24aの側面24mに当接しても、ロックバー25が焼入硬化処理されていることから、ロックバー25は高い耐久性を発揮する。また、ロックホルダ24には複数の第1、2ロック溝24a、24bが形成されているため、第1、2ロック溝24a、24bの全体を早急に摩耗してしまうことがない。このため、ロックホルダ24の耐久性も十分に維持されている。
【0047】
このため、ロックバー25をロックホルダ24より硬質のものとしてロックバー25の耐久性を確保しつつ、第1、2ロック溝24a、24bの縁部の摩耗等を防止してロックホルダ24の耐久性も確保できるので、ロックバー25及びロックホルダ24が優れた耐久性を発揮する。
【0048】
そして、ロックバー25の係合爪部25bがロックホルダ24の第2ロック溝24bと係合している状態では、運転手が操舵ハンドル70を操舵すると、上部ステアリングシャフト71を介してハウジング6〜8に操舵角が伝達される。ところが、モータ軸13はロック機構3により固定されているので、ロータ14は回転せず、波動歯車機構5も働かないので、ハウジング6〜8に対して下部ステアリングシャフト72は相対回転しない。
【0049】
こうしてこの伝達比可変操舵装置1では、非常時等に上部ステアリングシャフト71とモータ軸13とをロック可能な状態としつつ、操舵角と転舵角との伝達比が可変された状態で転舵系に転舵角が伝達される。
【0050】
したがって、ロック機構3の信頼性が高いことから、この伝達比可変操舵装置1は優れた信頼性を奏する。
【0051】
また、この伝達比可変操舵装置1では、駆動装置がソレノイド30であるため、磁気コイルの磁力によってロックバー25の係合爪部25bをロックホルダ24の第1、2ロック溝24a、24bから確実に解除することができる。また、ロックバー25をロックホルダ24側に付勢している第1、2ねじりコイルばね25、25がソレノイド30の磁気コイルの磁力に反して大きな付勢力を有するため、非常時等にはロックバー25の係合爪部25bをロックホルダ24の第1、2ロック溝24a、24bに確実に係合させることができる。さらに、ソレノイド30の組付けは比較的容易であるとともに、磁性体等の材質の制限を受けることなくロックバー25及びロックホルダ24を採用することも可能である。
【0052】
さらに、この伝達比可変操舵装置1では、ロックバー25が第1、2ねじりコイルばね25、25によってロックホルダ24に係合する方向に付勢されているため、仮に第1、2ねじりコイルばね25、25の一方の付勢力が弱まっても、第1、2ねじりコイルばね25、25の他方の付勢力によって、ロックバー25は確実にロックホルダ24に係合する。
【0053】
(比較形態1)
比較形態1の伝達比可変操舵装置は第1発明の比較形態である。この伝達比可変操舵装置では、図6(B)及び図7(B)に示すように、第2ロック溝24bの縁部の一端24e及び他端24fが鋭角に形成されている。また、図6(A)及び図7(A)に示すように、第1ロック溝24aの縁部の一端24nも鋭角に形成されている。そして、ロックバー25の係合爪部25bは、第2ロック溝24bの縁部の一端24e及び第1ロック溝24aの縁部の一端24nに当接する側面25hと、第2ロック溝24bの縁部の他端24fに当接する側面25iとを有している。他の構成は実施形態1と同様である。
【0054】
この伝達比可変操舵装置においては、非常時等にロック機構3の駆動装置がロックバー25を駆動し、ロックバー25がモータ軸13と一体回転するロックホルダ24をロックしようとする際、図6(B)に示すように、鋭角に形成された第2ロック溝24bの縁部の一端24e及び第1ロック溝24aの縁部の一端24nが係合爪部25bの側面25hに角当りする。また、図7(B)に示すように、鋭角に形成された第2ロック溝24bの縁部の他端24fが係合爪部25bの側面25iに角当りする。
【0055】
これらの際、第1ロック溝24aの縁部の一端24n、第2ロック溝24bの縁部の一端24e又は他端24fは、係合爪部25bの側面25h、25iに食いつき、係合爪部25bが第1、2ロック溝24a、24bに確実に係合することとなる。しかしながら、硬質のロックバー25の係合爪部25bによって第1ロック溝24aの縁部の一端24n、第2ロック溝24bの縁部の一端24e又は他端24fが摩耗したり、凹んだりし、ロックホルダ24の耐久性に懸念が生じる。
【0056】
したがって、この伝達比可変操舵装置は、ロック機構3の信頼性が十分でなく、信頼性に懸念がある。
【0057】
(実施形態2)
実施形態2の伝達比可変操舵装置1は第2発明を具体化したものである。この伝達比可変操舵装置1では、図8(B)及び図9(B)に示すように、第2ロック溝24bは係合爪部25bの枢軸25a側の一端25cと当接する第1側面24cを有している。図8(A)に示すように、第1側面24cから係合爪部25bの枢軸25a側に垂直に立てた第1法線24gは、枢軸25aの中心Qより径外方向に延びる。
【0058】
また、図8(B)及び図9(B)に示すように、第2ロック溝24bは係合爪部25bの他端25dと当接する第2側面24dを有している。図9(A)に示すように、第2側面24dから係合爪部25bの枢軸25a側に垂直に立てた第2法線24hは、枢軸25aの中心Qより径内方向に延びる。他の構成は実施形態1と同様である。
【0059】
以上のように構成された実施形態2の伝達比可変操舵装置1では、非常時等において、ロックバー25がロックホルダ24をロックしようとする際、図8(A)に示すように、係合爪部25bが第2ロック溝24bに係合する場合に、第2ロック溝24bの第1側面24cが係合爪部25bの一端25cに当接すると、ロックバー25には係合爪部25bを第2ロック溝24bの奥方向に移動させるモーメントが生じる。また、図9(A)に示すように、第2ロック溝24bの第2側面24dが係合爪部25bの他端25dに当接すると、ロックバー25には係合爪部25bを第2ロック溝24bの奥方向に移動させるモーメントが生じる。このため、一旦係合爪部25bが第2ロック溝24bに係合すれば、その係合が外れ難い。他の作用効果は実施形態1と同様である。
【0060】
したがって、この伝達比可変操舵装置1でも、ロック機構3の信頼性が高く、優れた信頼性を発揮することができる。
【0061】
(比較形態2)
比較形態2の伝達比可変操舵装置は第2発明の比較形態である。この伝達比可変操舵装置では、図10(B)及び図11(B)に示すように、第2ロック溝24bは係合爪部25bの枢軸25a側の一端25cと当接する第1側面24cを有しているものの、図10(A)に示すように、第1側面24cから係合爪部25bの枢軸25a側に垂直に立てた第1法線24iは、枢軸25aの中心Qより径内方向に延びる。
【0062】
また、図10(B)及び図11(B)に示すように、第2ロック溝24bは係合爪部25bの他端25dと当接する第2側面24dを有しているものの、図11(A)に示すように、第2側面24dから係合爪部25bの枢軸25a側に垂直に立てた第2法線24jは、枢軸25aの中心Qより径外方向に延びる。他の構成は実施形態1と同様である。
【0063】
この伝達比可変操舵装置では、非常時等において、図10(A)に示すように、係合爪部25bが第2ロック溝24bに係合する場合、第2ロック溝24bの第1側面24cが係合爪部25bの一端25cに当接すると、ロックバー25には係合爪部25bを第2ロック溝24bの外方向に移動させるモーメントが生じる。また、図11(A)に示すように、第2ロック溝24bの第2側面24dが係合爪部25bの他端25dに当接すると、ロックバー25には係合爪部25bを第2ロック溝24bの外方向に移動させるモーメントが生じる。このため、一旦係合爪部25bが第2ロック機構24bに係合しても、その係合が外れ易い。
【0064】
したがって、比較形態2の伝達比可変操舵装置では、ロック機構3の信頼性が損なわれてしまう。
【0065】
(実施形態3)
実施形態3の伝達比可変操舵装置1は第3発明を具体化したものである。この伝達比可変操舵装置1は、図12(A)に示すように、ロックホルダ24の第1ロック溝24a間に存在する各突起24kと、ロックバー25の係合爪部25bの先端面とに特徴を有している。つまり、図12(B)に示すように、各突起24kの外周面24lはロックホルダ24の中心Oを中心とした円筒面である。また、ロックバー25の係合爪部25bの先端面25gは、各突起24kの外周面24lと中心が同じ方向にあり、各突起24kの外周面24lより曲率が大きい円筒面である。この先端面25gは突起24kの外周面24lと両端25c、25dの間で当接するようになっている。先端面25gが平面で形成されていたり、各突起24kの外周面24lと中心が異なる方向にある円筒面で形成されていたりしても同様である。他の構成は実施形態1と同様である。
【0066】
以上のように形成された実施形態3の伝達比可変操舵装置1では、非常時等において、ロックバー25がロックホルダ24をロックしようとする際、図12(A)に示すように、ロックバー25の係合爪部25bがロックホルダ25の突起24kに当接すると、図12(B)に示すように、係合爪部25bの先端面25gが突起24kの外周面24lと当接し、角部である前記先端面25gの両端25c、25dは外周面24Iと当接(角当たり)しない。このため、係合爪部25bの先端面25gと突起24kの外周面24lとの間で生じる面圧が低い。また、先端面25gと突起24kとの間で挟まれる薄い空気の膜がダンパ効果を生じる。このため、係合爪部25bが突起24kに大きく跳ね返され難いことから、ロックバー25がロックホルダ24から離れるように揺動され難い。このため、係合爪部25bが第1、2ロック溝24a、24bに係合され易く、ロック機構3が優れた信頼性を奏する。他の作用効果は実施形態1と同様である。
【0067】
したがって、実施形態3の伝達比可変操舵装置1でも、ロック機構3の信頼性が高く、優れた信頼性を発揮することができる。
【0068】
(比較形態3)
比較形態3の伝達比可変操舵装置は第3発明の比較形態である。この伝達比可変操舵装置では、図13(A)及び(B)に示すように、突起24kの外周面24lは円筒面で形成され、ロックバー25の係合爪部25bの先端面25gが実施形態3と同様の円筒面で形成されているものの、先端面25gが突起24kの外周面24lと両端で当接するようになっている。他の構成は実施形態1と同様である。
【0069】
この伝達比可変操舵装置では、非常時等において、図13(A)に示すように、ロックバー25の係合爪部25bがロックホルダ24の突起24kに当接すると、図13(B)に示すように、係合爪部25bの先端面25gが突起24kの外周面24lに角当りしてしまう。このため、係合爪部25bの先端面25gと突起24kの外周面24lとの間で生じる面圧が大きい。また、先端面25gと突起24kとの間にダンパ効果を生じない。このため、係合爪部25bが突起24kに跳ね返され易いことから、ロックバー25がロックホルダ24から離れるように揺動され易い。このため、係合爪部25bが第1、2ロック溝24a、24bに係合され難く、ロック機構3の信頼性が損なわれてしまう。
【0070】
したがって、比較形態3の伝達比可変操舵装置では、ロック機構3の信頼性が損なわれてしまう。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態1〜3の伝達比可変操舵装置に係るステアリング装置の構成図である。
【図2】実施形態1〜3の伝達比可変操舵装置の縦断面図である。
【図3】実施形態1〜3の伝達比可変操舵装置に係り、ロック機構の一部側面図である。
【図4】実施形態1の伝達比可変操舵装置に係り、図(A)は図2のIV−IV矢視一部断面図、図(B)はその要部拡大図である。
【図5】実施形態1の伝達比可変操舵装置に係り、図(A)は図2のV−V矢視一部断面図、図(B)はその要部拡大図である。
【図6】比較形態1の伝達比可変操舵装置に係り、図(A)は図3と同様の一部断面図、図(B)はその要部拡大図である。
【図7】比較形態1の伝達比可変操舵装置に係り、図(A)は図4と同様のの一部断面図、図(B)はその要部拡大図である。
【図8】実施形態2の伝達比可変操舵装置に係り、図(A)は図2のVIII−VIII矢視一部断面図、図(B)はその要部拡大図である。
【図9】実施形態2の伝達比可変操舵装置に係り、図(A)は図2のIX−IX矢視一部断面図、図(B)はその要部拡大図である。
【図10】比較形態2の伝達比可変操舵装置に係り、図(A)は図7と同様の一部断面図、図(B)はその要部拡大図である。
【図11】比較形態2の伝達比可変操舵装置に係り、図(A)は図8と同様の一部断面図、図(B)はその要部拡大図である。
【図12】実施形態3の伝達比可変操舵装置に係り、図(A)は図2のXII−XII矢視一部断面図、図(B)はその要部拡大図である。
【図13】比較形態3の伝達比可変操舵装置に係り、図(A)は図11と同様の一部断面図、図(B)はその要部拡大図である。
【図14】従来の伝達比可変操舵装置の縦断面図である。
【符号の説明】
6、7、8…ハウジング
70…操舵ハンドル
71…入力軸(上部ステアリングシャフト)
13…モータ軸
4…モータ
72…出力軸(下部ステアリングシャフト)
5…ギヤ機構(波動歯車機構)
3…ロック機構
1…伝達比可変操舵装置
24a、24b…ロック溝(24a…第1ロック溝、24b…第2ロック溝)
24…ロックホルダ
25a…枢軸
25b…係合爪部
25…ロックバー
24m…側面
24c…第1側面
24d…第2側面
25c…一端
24g…第1法線
25d…他端
24h…第2法線
24k…突起
24l…外周面
25g…先端(先端面)

Claims (3)

  1. ハウジングと、該ハウジングと一体回転可能に設けられ、操舵ハンドルの操舵角を伝達する入力軸と、該ハウジング内に固定され、モータ軸を回転可能なモータと、該ハウジングに回転可能に支承され、転舵系に転舵角を伝達する出力軸と、該ハウジング内で該モータ軸と該出力軸との間に設けられ、該モータ軸の回転角を増減して該出力軸に出力するギヤ機構と、該ハウジング内で該入力軸と該モータ軸との間に設けられ、該入力軸と該モータ軸とをロックするロック機構とを備え、該操舵角と該転舵角との伝達比を可変する伝達比可変操舵装置において、
    前記ロック機構は、前記モータ軸と一体回転可能に設けられ、外周に複数のロック溝が凹設されたロックホルダと、前記ハウジングに軸心と平行な枢軸回りで揺動可能に軸支され、一端に該ロック溝に係合可能な係合爪部をもち、該ロックホルダより硬質のロックバーとを有し、該係合爪部は各該ロック溝の両側面に角当たりするように形成されていることを特徴とする伝達比可変操舵装置。
  2. ハウジングと、該ハウジングと一体回転可能に設けられ、操舵ハンドルの操舵角を伝達する入力軸と、該ハウジング内に固定され、モータ軸を回転可能なモータと、該ハウジングに回転可能に支承され、転舵系に転舵角を伝達する出力軸と、該ハウジング内で該モータ軸と該出力軸との間に設けられ、該モータ軸の回転角を増減して該出力軸に出力するギヤ機構と、該ハウジング内で該入力軸と該モータ軸との間に設けられ、該入力軸と該モータ軸とをロックするロック機構とを備え、該操舵角と該転舵角との伝達比を可変する伝達比可変操舵装置において、
    前記ロック機構は、前記モータ軸と一体回転可能に設けられ、外周に複数のロック溝が凹設されたロックホルダと、前記ハウジングに軸心と平行な枢軸回りで揺動可能に軸支され、一端に該ロック溝に係合可能な係合爪部をもつロックバーとを有し、該係合爪部の該枢軸側の一端と当接する各該ロック溝の第1側面は該第1側面から垂直に立てた第1法線が該枢軸より径外方向に延びるように形成され、該係合爪部の他端と当接する各該ロック溝の第2側面は該第1側面から垂直に立てた第2法線が該枢軸より径内方向に延びるように形成されていることを特徴とする伝達比可変操舵装置。
  3. ハウジングと、該ハウジングと一体回転可能に設けられ、操舵ハンドルの操舵角を伝達する入力軸と、該ハウジング内に固定され、モータ軸を回転可能なモータと、該ハウジングに回転可能に支承され、転舵系に転舵角を伝達する出力軸と、該ハウジング内で該モータ軸と該出力軸との間に設けられ、該モータ軸の回転角を増減して該出力軸に出力するギヤ機構と、該ハウジング内で該入力軸と該モータ軸との間に設けられ、該入力軸と該モータ軸とをロックするロック機構とを備え、該操舵角と該転舵角との伝達比を可変する伝達比可変操舵装置において、
    前記ロック機構は、前記モータ軸と一体回転可能に設けられ、外周に複数のロック溝が凹設されたロックホルダと、前記ハウジングに軸心と平行な枢軸回りで揺動可能に軸支され、一端に該ロック溝に係合可能な係合爪部をもつロックバーとを有し、該ロック溝間に位置する突起の外周面は円筒面で形成され、前記ロックバーが前記ロックホルダに向かって揺動して前記突起の外周面に当接した際、該ロックバーの係合爪部の先端に形成された平面状又は該外周面よりも曲率が大きい円筒面状からなる先端面が該外周面と当接するように構成され、この先端面の両端の角部は該外周面と当接しないように構成されていることを特徴とする伝達比可変操舵装置。
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