JP3963606B2 - 弾性ロータの不釣合い修正量の測定方法およびその測定に用いる影響係数の測定方法 - Google Patents
弾性ロータの不釣合い修正量の測定方法およびその測定に用いる影響係数の測定方法 Download PDFInfo
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、弾性ロータのための不釣合い修正量の決定方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
簡単な筒状の剛体ロータが低回転で釣合ったときは、発生する不釣合いは、ほとんどの場合、左側および右側の軸受け面で測定される。そして通常は、2面での不釣合い修正がされる。従って、剛体ロータは、不釣合い振動と軸受け力とには無関係に回転する。
【0003】
ところで、ロータの質量は均一ではなく、質量の非対称は、ロータの全長に分布している。このため、ロータ内には、個々の不釣合いによって生じた遠心力に起因する内部の曲げモーメントが残留する。弾性の大きなロータの場合には、回転が上がると、回転数の二乗で増大する力によって許容できないほど大きな変形を生じる。この変形は、ロータに対して不釣合い作用を起こす原因となり兼ねない。ゆえに、ロータの駆動回転数が、曲げから見た危険速度に接近すると、ロータが極限まで無限に大きく撓む危険な事態に進展し兼ねない。
【0004】
理論的には、ロータ(またはロータ軸)の危険速度は無限に多く存在する。しかし、ある一定の回転数での振動挙動を判定するのに、その回転数に属する曲げモーメント、または固有モードを妨害するような危険速度のみが考慮される。ほとんどの形式のロータの場合、実際には、ロータの軸撓み(軸方向の撓み)を励起するような1つの危険速度を考慮すれば十分である。しかし特殊な場合には、多くの危険速度の範囲を考慮する必要がある。簡単な筒状のロータは、1次の危険速度の近辺でU字状に、2次の危険速度の近辺でS字状に、そして3次の危険速度の近辺ではW字状に曲がる。これらの危険速度に関係付けられた極限の撓み形状は、そのロータの固有モードと呼ばれている。
【0005】
一般に実用回転数が高くなるほど、それだけ余計に弾性的な撓みを考慮する必要がある。従って、ロータの釣合いをとることの目的は、許容できる回転数の全領域で、剛体力と軸弾性的な撓み、およびこれと同時に発生する力を許容可能な限度にまで減少させることにある。
かかる目的を実現するための公知の▲1▼〜▲4▼の方法を以下に説明する。これらの方法は、ロータの軸方向の軸弾性挙動を考慮したものである。
【0006】
▲1▼1つの方法は、K.Federnの「軸弾性ロータ類を釣合わせるための現在の考察方法、方針、規格および使用可能な方法について」という論文が記載されているVDI-Berichte No.161, 1971, P5 〜p12 により公知である。
この方法では、手動によるバランシング法が課題である。n個の危険速度を考慮する場合には、少なくとも(n+2)個の修正面での釣合わせが必要である。その場合、従来方法で、測定するロータに対して、まず剛体としての不釣合い修正を実施する。その後、ロータに対して多数の試しおもりを用いるという工程によって、モード(方式)による不釣合いを修正する。そのとき、各モードごとの回転数で最適な試しおもりが用いられるように、必要な釣合わせ工程数の決定が熟練した作業者の経験により決められる。
【0007】
この方法では、良好な釣合わせ結果を達成するためには、極めて多くの測定工程が必要である。
▲2▼W.Kellenbergerの専門書である「弾性釣合わせ」ベルリン, 1987, P317〜325 に、試し重りを用いるコンピュータ装備の影響係数法が記載されている。この方法によると、剛体修正だけでなく、軸弾性による撓みまで、共通の計算で求めた修正質量を用いることにより、排除または削除することができる。
【0008】
この方法では、基本をなす不釣合い測定工程の他に、少なくとも予定している修正面の数だけ、試しおもりを用いた不釣合い測定を行う必要がある。従って、1次の危険速度を考慮する際には、少なくとも4個の不釣合い測定工程が必要になろう。
この方法によるときは、試しおもりを用いる測定工程で得られた影響係数はコンピュータ中に記憶されるので、事後に実施する同種のロータでは、不釣合い測定をただ1回だけ実施すればよいことになる。しかし、いずれの場合にも、ロータを最初に釣り合わせる場合には、ロータに試しおもりを装備する必要があり、従って、考慮すべき修正面の数に応じて、試しおもり工程を実施しなければならない。
【0009】
▲3▼R.Gasch とJ.Drechsler の「試しおもりを使用しない弾性体のモーダル・バランシング」VDI-Berichte No. 320, 1978, P45 〜53に、試しおもりを用いない弾性ロータの修正方法が記載されている。
この方法では、測定するロータに対し、剛体として予め修正を実施する。その後に、測定するロータを、不釣合い測定工程を考慮すべき危険速度領域まで回転させ、所定の位置に設けられた変位検出器を用いて、ロータの撓みを測定することが提案されている。
【0010】
この方法によれば、固有モードと、これに関連して特定される質量を承知の上で、記録されているロータ軸の弾性撓みを用いて、コンピュータの助けでモーダル・アンバランス部分を同定し、これに相当する修正質量を計算することが可能である。
しかしこの方法の欠点は、まず従来の方法でロータに対して剛体としての不釣合い修正を実施しなければならないことである。そしてその後に、さらに測定と修正との工程によって、モーダル・アンバランスを排除する必要があることである。
【0011】
▲4▼ドイツ公開特許第4,133,787号には、弾性ロータに対する釣合わせ方法が記載されている。この公報によれば、試しおもり工程なしに、剛体の不釣合いとロータの軸弾性撓みとの修正に必要な修正質量が求まる。この方法では、ロータが、剛体挙動を示す回転数での不釣合い測定工程で、まず少なくとも不釣合い測定値を1つ求める。そして、軸受け面と修正すべき固有モードについて、さらに少なくとも1つの不釣合い測定値を、考慮すべき個々のモードの回転数領域内にある回転数で求める。読取装置では、得られた不釣合い測定値とロータまたは軸受けに固有な基礎知識とを利用して、剛体不釣合いと、考慮すべき固有モード部分を修正するための不釣合い修正とが計算されて、個々の軸受け面には回転数とは無関係な一定の力が算出され、この力が弾性ロータ挙動の不釣合い作用を示すものとなる。
【0012】
この方法によるときは、釣合わせるべきロータの寸法、形状および使用した材料のデータのような、ロータおよび軸受けに固有な基礎データを、コンピュータに供給する必要がある。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
以上説明した各従来技術によれば、▲1▼では、極めて多数の測定工程が必要である、▲2▼では、試しおもり工程を実施しなければならない、▲3▼では剛体としての不釣合い修正を実施した後でなければ、弾性ロータとしての修正量を求めることができない、▲4▼では、ロータと軸受けに固有な基礎データをコンピュータに供給しなければならない、というように、それぞれ課題がある。
【0014】
この発明は、かかる従来技術の課題を解決するためになされたものである。
この発明は、試しおもり工程なしに、測定されたロータと軸受けに必要な基礎データもなしに、弾性ロータの不釣合いの迅速な排除を保証する、弾性ロータの不釣合い修正量の決定方法を提供することである。
【0015】
【課題を解決するための手段および発明の効果】
この発明は、予め定める修正面において、ロータを力励振する手段を採用することによって、不釣合い修正に必要な影響係数が完全に測定できるという認識を基礎にしている。この発明では、基本となる不釣合い工程と、測定済の不釣合い効果に関して変換された影響係数とを用いることで、最も簡単な方法によって、不釣合い修正量を決定できる。
【0016】
具体的に、請求項1記載の発明によれば、2つの軸受け装置で振動自在に軸受けされたロータを、意図したそれぞれの修正面で、軸方向を横断する機械的な打撃力で励振して励振力スペクトルを測定し、その結果誘発されたロータの振動挙動を、軸受け面での力スペクトルまたは振動スペクトル形式の応答スペクトルとして把握し、応答スペクトル対励振力スペクトルの比から影響係数を導き出し、測定工程でロータ回転数に割り当てられた力シグナルおよび振動シグナルを軸受け面で測定し、影響係数と測定工程で測定した力シグナルおよび振動シグナルとを用いて不釣合い修正量を決定することを特徴とする、弾性ロータの不釣合い修正量の測定方法を提供できる。
【0017】
上記測定方法においては、影響係数と、測定工程の力シグナルまたは振動シグナルから導出した数値から作成した等式系の解答を、誤差の二乗和を最小にする最小二乗法を用いて解くことが好ましい。
上記測定方法においては、ロータが剛体と考えられる回転数の範囲内で、しかも、ロータが少なくとも弾性的な撓みを示す回転数の範囲内で、測定を実施することが好ましい。
【0018】
さらに上述の回転数の範囲内で測定を実施する場合、ロータが弾性的挙動を示すn個の回転数の範囲内で、n個の固有モードを検出するために測定を行うことが好ましい。
請求項2記載の方法によれば、2つの軸受け装置で振動自在に軸受けされたロータを、意図したそれぞれの修正面で、軸方向を横断する機械的な打撃力で励振して励振力スペクトルを測定し、その結果誘発されたロータの振動挙動を、軸受け面での力スペクトルまたは振動スペクトル形式の応答スペクトルとして把握し、測定によって得た応答スペクトル対測定によって得た励振力スペクトル比を用いて影響係数を導き出し、これを不釣合い励振下の影響係数に変換することを特徴とする、弾性ロータを釣合わせるための影響係数の測定方法を提供できる。
【0019】
上記の測定方法において、影響係数の工程へモード寄与が及ぼす影響の変化を考慮することが望ましい。
さらに、上述の測定方法では、モード解析によって、モード寄与の影響を求めるようにしてもよい。
上記各測定方法においては、力検出器または振動検出器の測定方向に、力による励振を加えるようにすることが好ましく、この力による励振は、静止中のロータに対して行ってもよいし、回転中のロータに対して行うこともできる。
【0020】
力による励振は、たとえばハンマーによる打撃によって実行することが可能である。
この発明によれば、ロータと軸受け、および次に来るこれらのデータの計算処理からなる全システムを前もって捕捉することなしに、影響係数を測定技術を用いて把握し、不釣合い修正の決定に応用することが初めて可能になる。
【0021】
ロータの静止時あるいは回転中でも、力による励振が選択的に実施できることが、特に有利である。この有利なやり方によって、多くの試しおもり工程を用いる影響係数の測定が不要である。
この発明によれば、試しおもり工程なしに、かつ、測定されたロータと軸受けに固有な基礎データもなしに、弾性ロータの不釣合い修正量を決定することができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下には、図面を参照して、この発明の実施例について詳細に説明をする。
図1は、この発明の一実施形態にかかる測定方法を実施するための不釣合い測定装置の図解的な斜視図である。
図1に示す不釣合い測定装置には、ロータ10を載置するために、第1軸受け装置1および第2軸受け装置2が備えられている。これら第1,第2軸受け装置1,2は、不釣合い測定装置に従来から用いられている、たとえば力または変位を測定する振動ブリッジ形軸受けとして構成されている。これらの軸受け装置1,2は、不釣合い測定装置の位置固定部分に対して振動自在に保持されている。このことは、ばね/物体シンボルの記号3,4および5,6が示すとおりである。
【0023】
力を測定する不釣合い測定装置では、振動の検出は力の検出器により、変位測定の不釣合い測定装置では、振動の検出は振動変位検出器または振動加速度検出器により行われる。いずれも公知の検出方法であり、この不釣合い測定装置には、いずれの検出器が採用されていてもよい。
第1,第2軸受け装置1,2には、それぞれ、検出器7,8が備えられている。検出器7,8は、その測定方向が、ロータ10の回転軸に対して水平で直角になるように配置されている。
【0024】
測定装置には、さらに、ロータ10の回転数を測定するための回転数検出器12が設けられている。
図示されていないが、ロータ10を回転駆動させる装置は、公知の、たとえばロータ・ジャーナルと接続される装置でもよいし、あるいはベルト駆動式の装置でもよい。また、回転数検出器12を設ける代わりに、駆動装置に回転数の検出装置を組み込んでもよい。いずれの駆動装置も、ロータ10を一定の回転数で駆動させることのできる装置であればよい。
【0025】
この実施形態では、ロータ10には、その両側に2個のロータ・ジャーナルが付いていて、ロータ10は、正確に対称形状をしている。
またこの実施形態では、ロータ10の1次固有モードに関する軸弾性挙動だけをまず考慮して修正するために、3個の修正面WE1 ,WE2 およびWE3 が設定されている。
【0026】
測定するロータに対して、n個の固有モードを考慮する場合には、一般に(n+2)個の修正面を設ける必要がある。この場合、実際にはn=3として、3次までの固有モードを考慮すれば足りる。なぜなら、これ以上の固有モードの不釣合い効果は、実際には無視できるからである。
この実施形態では、修正面(負荷面とも言える)WE1 ,WE2 およびWE3 において、静止ロータを測定方向に連続的に力で励振する装置を付属させる。力で励振する装置は、最も簡単な形態として、ハンマー11として作ることができる。ハンマー11には、励振力の時間経過を検出する装置が設けられている。よって、ハンマー11によってロータ10の修正面WE1 ,WE2 またはWE3 を力励振したときの、励振力スペクトルを描き出すことできる。
【0027】
回転するロータを力により励振するか、あるいは不釣合いにより励振する結果として、軸振動、軸受け変位、軸受け速度および加速度等が現れる。
次に、図1に示す不釣合い測定装置における第1軸受け装置1および第2軸受け装置2にかかる力のモデルの一例を示す。
第1,第2軸受け装置1,2にそれぞれ設けられている検出器7,8は、これら軸受け面、または測定面ME1 ,ME2 に軸力の時間経過を描く。その結果、軸受け面ME1 ,ME2 ごとの励振力スペクトル、より具体的には、この実施形態では軸受け面ME1 ,ME2 ごとの励振に起因する3つの複素ベクトルが、3つの負荷面WE1 ,WE2 ,WE3 に描かれる。
【0028】
第1および第2軸受け装置1,2に組み込まれた力の検出器7,8に対して、ロータ10の不釣合いから作用する力の詳細は、それぞれ、次の式で示される。
【0029】
【数1】
【0030】
ここに、
U =不釣合い面での不釣合い
X =左側の軸受け面ME1 からの不釣合い面WE1 ,WE2 ,WE3 までの距離
L =両軸受け面ME1 ,ME2 間の距離
φi (X) =i次の固有モード
ωi =i次の固有角振動数
δi =i次の固有モードのモード減衰定数
mgeni =i次の固有モードのモード・システム質量
m1/2 ei=第1,第2の軸受け装置1,2に関するi次の固有モードに特有な補償質量
Ω =角振動数
回転する一定の大きさの力Fを用いて励振した場合に対しては次の式が得られる。
【0031】
【数2】
【0032】
不釣合いによる励振、または力による励振時の全力(軸受けにかかる力スペクトル)をその時々の原因(不釣合いスペクトルU、または力のスペクトルF)で割ると、次のとおり、影響係数EFKが求まる。
【0033】
【数3】
【0034】
この実施形態では、3つの複素励振力スペクトルと、6つの複素軸受け力スペクトルから、複素マトリクスαij F (n)の形をした影響係数EFKF が導き出される。
[数2]および[数3]において、
j=1,2は測定面あるいは軸受け面を示し、実施形態ではj=2
i=1,2,3は負荷面あるいは修正面数を示し、実施形態ではi=3
F=力−影響係数を示す。
【0035】
n=ロータの回転数を示す。
ロータ10が静止状態と回転時とで、状況が同じか異なるかに応じて、力による励振時に測定事実によって求めたEFKF 行列を、不釣合い励振時のEFKU 行列へ換算または変換する必要がある。この換算または変換は、別の換算方法によって行われる。
【0036】
静止状態と回転間には、たとえば力を測定する従来のバランシングマシンを用いて釣合わせられる紙ロールのような、ローラ状のロータの場合には、実際上これと同じ状況が存在する。この場合には、1次危険速度の下限ぎりぎりまで釣合わせることができる。
1次固有振動数(周波数)とモード減衰度とは、ロータを静止状態で測定しても、回転時に測定しても、実際上変わることはない。1次固有モードについても事情は全く同じである。ジャイロスコープ効果は、無視できる。
【0037】
静止状態と回転時の状況が同じ場合には、力による励振で発生する力−影響係数EFKF またはαij F と、不釣合い−影響係数EFKU またはαij U との関係は、次の式で表わされる。
αij u =Ω2 αij F
ここに、Ωはロータの角振動数である。
【0038】
αij U =Aとすれば、
【0039】
【数4】
【0040】
の関係があるから、
FME1 (n1 ),FME1 (n2 ),FME1 (n3 )
FME2 (n1 ),FME2 (n2 ),FME2 (n3 )
となる。この式と、左側の軸受け面ME1 または右側の軸受け面ME2 で回転数がn1 ,n2 ,n3 の3種類の場合に不釣合い測定工程で測定した力とに、誤差の二乗和を最小にする最小二乗法を適用すれば、
【0041】
【数5】
【0042】
よって、これらから大きさと角位置による不釣合い修正量が求まる。
滑り軸受けの場合、実際にいつも起こることであるが、ロータ静止時と回転時の状況が異なる。このときには、方法を変える必要が発生する。つまり、滑り軸受けの場合には、たとえば、回転数に関係する油膜の性質と、場合によってはジャイロスコープ的な効果によっても状況が変化する。そこで、ロータが静止状態と回転する場合とで、異なる固有振動数とこれに依存するモード減衰度とを測定する必要がある。
【0043】
図2A,Bによって、必要な修正についてさらに詳細に説明する。
図2Aのグラフは、静止時のロータを、たとえばハンマ打撃によって励振させたときの影響係数EFKF ges (Ω)の経過を示したものである。曲線で示された軌跡aとbは、関係するモード的な寄与を示す。一方、直線cは静的な力による一定な寄与を示す。
【0044】
図2Bのグラフは、回転するロータの始動曲線を示す。
図2A,B両方の曲線の軌跡を比較すると、振動数でのモード寄与がずれて、異なるモード減衰度が存在することがわかる。
たとえば、モード分析法を用いて、EFKF ges (Ω)軌跡に関連するモード寄与a,bに対して、これに所属するパラメータωi ,δi と、定数
【0045】
【数6】
【0046】
を確認することができる。
ロータ静止時に、力による励振で求めたωi ,δi 値は、始動時、あるいは不釣合い測定工程から求めた固有の角振動数ωi と、モード減衰定数δi とで置き換えられ、これらは、たとえば再度モード分析によっても確認できる。
ここで、始動時、あるいは不釣合い工程で求めた固有角振動数とモード減衰定数とを考慮して、静的部分とこれに関連するモード的寄与とを合算して、これにΩ2 を乗ずると、不釣合い励振時のEFK行列に対する概略値を得ることができる。[数3]の等式は、次のように示すこともできる。
【0047】
【数7】
【0048】
上式において、右辺の括弧内の最初の値は、静止時の力励振によるEFKF ges (Ω)軌跡に基づく値である。括弧内の値の最後の項は、静止時の力励振によるモード分析で得られるものであり、ωi とδi は始動時または不釣合い測定工程時に発生した値である。
この分野における専門家には明らかなことであるが、上記の等式は近似式である。というのは、高次のモード寄与を無視したためである。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施形態に使用される不釣合い測定装置の図解的な斜視図である。
【図2】ロータが静止状態と回転時との各影響係数の状態を示すグラフである。
【符号の説明】
1 第1軸受け装置
2 第2軸受け装置
3,4,5,6 振動ブリッジ形軸受け機構
7,8 検出器
10 ロータ
12 回転数検出器
ME1 ,ME2 軸受け面(測定面)
WE1 ,WE2 ,WE3 修正面(負荷面)
【発明の属する技術分野】
この発明は、弾性ロータのための不釣合い修正量の決定方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
簡単な筒状の剛体ロータが低回転で釣合ったときは、発生する不釣合いは、ほとんどの場合、左側および右側の軸受け面で測定される。そして通常は、2面での不釣合い修正がされる。従って、剛体ロータは、不釣合い振動と軸受け力とには無関係に回転する。
【0003】
ところで、ロータの質量は均一ではなく、質量の非対称は、ロータの全長に分布している。このため、ロータ内には、個々の不釣合いによって生じた遠心力に起因する内部の曲げモーメントが残留する。弾性の大きなロータの場合には、回転が上がると、回転数の二乗で増大する力によって許容できないほど大きな変形を生じる。この変形は、ロータに対して不釣合い作用を起こす原因となり兼ねない。ゆえに、ロータの駆動回転数が、曲げから見た危険速度に接近すると、ロータが極限まで無限に大きく撓む危険な事態に進展し兼ねない。
【0004】
理論的には、ロータ(またはロータ軸)の危険速度は無限に多く存在する。しかし、ある一定の回転数での振動挙動を判定するのに、その回転数に属する曲げモーメント、または固有モードを妨害するような危険速度のみが考慮される。ほとんどの形式のロータの場合、実際には、ロータの軸撓み(軸方向の撓み)を励起するような1つの危険速度を考慮すれば十分である。しかし特殊な場合には、多くの危険速度の範囲を考慮する必要がある。簡単な筒状のロータは、1次の危険速度の近辺でU字状に、2次の危険速度の近辺でS字状に、そして3次の危険速度の近辺ではW字状に曲がる。これらの危険速度に関係付けられた極限の撓み形状は、そのロータの固有モードと呼ばれている。
【0005】
一般に実用回転数が高くなるほど、それだけ余計に弾性的な撓みを考慮する必要がある。従って、ロータの釣合いをとることの目的は、許容できる回転数の全領域で、剛体力と軸弾性的な撓み、およびこれと同時に発生する力を許容可能な限度にまで減少させることにある。
かかる目的を実現するための公知の▲1▼〜▲4▼の方法を以下に説明する。これらの方法は、ロータの軸方向の軸弾性挙動を考慮したものである。
【0006】
▲1▼1つの方法は、K.Federnの「軸弾性ロータ類を釣合わせるための現在の考察方法、方針、規格および使用可能な方法について」という論文が記載されているVDI-Berichte No.161, 1971, P5 〜p12 により公知である。
この方法では、手動によるバランシング法が課題である。n個の危険速度を考慮する場合には、少なくとも(n+2)個の修正面での釣合わせが必要である。その場合、従来方法で、測定するロータに対して、まず剛体としての不釣合い修正を実施する。その後、ロータに対して多数の試しおもりを用いるという工程によって、モード(方式)による不釣合いを修正する。そのとき、各モードごとの回転数で最適な試しおもりが用いられるように、必要な釣合わせ工程数の決定が熟練した作業者の経験により決められる。
【0007】
この方法では、良好な釣合わせ結果を達成するためには、極めて多くの測定工程が必要である。
▲2▼W.Kellenbergerの専門書である「弾性釣合わせ」ベルリン, 1987, P317〜325 に、試し重りを用いるコンピュータ装備の影響係数法が記載されている。この方法によると、剛体修正だけでなく、軸弾性による撓みまで、共通の計算で求めた修正質量を用いることにより、排除または削除することができる。
【0008】
この方法では、基本をなす不釣合い測定工程の他に、少なくとも予定している修正面の数だけ、試しおもりを用いた不釣合い測定を行う必要がある。従って、1次の危険速度を考慮する際には、少なくとも4個の不釣合い測定工程が必要になろう。
この方法によるときは、試しおもりを用いる測定工程で得られた影響係数はコンピュータ中に記憶されるので、事後に実施する同種のロータでは、不釣合い測定をただ1回だけ実施すればよいことになる。しかし、いずれの場合にも、ロータを最初に釣り合わせる場合には、ロータに試しおもりを装備する必要があり、従って、考慮すべき修正面の数に応じて、試しおもり工程を実施しなければならない。
【0009】
▲3▼R.Gasch とJ.Drechsler の「試しおもりを使用しない弾性体のモーダル・バランシング」VDI-Berichte No. 320, 1978, P45 〜53に、試しおもりを用いない弾性ロータの修正方法が記載されている。
この方法では、測定するロータに対し、剛体として予め修正を実施する。その後に、測定するロータを、不釣合い測定工程を考慮すべき危険速度領域まで回転させ、所定の位置に設けられた変位検出器を用いて、ロータの撓みを測定することが提案されている。
【0010】
この方法によれば、固有モードと、これに関連して特定される質量を承知の上で、記録されているロータ軸の弾性撓みを用いて、コンピュータの助けでモーダル・アンバランス部分を同定し、これに相当する修正質量を計算することが可能である。
しかしこの方法の欠点は、まず従来の方法でロータに対して剛体としての不釣合い修正を実施しなければならないことである。そしてその後に、さらに測定と修正との工程によって、モーダル・アンバランスを排除する必要があることである。
【0011】
▲4▼ドイツ公開特許第4,133,787号には、弾性ロータに対する釣合わせ方法が記載されている。この公報によれば、試しおもり工程なしに、剛体の不釣合いとロータの軸弾性撓みとの修正に必要な修正質量が求まる。この方法では、ロータが、剛体挙動を示す回転数での不釣合い測定工程で、まず少なくとも不釣合い測定値を1つ求める。そして、軸受け面と修正すべき固有モードについて、さらに少なくとも1つの不釣合い測定値を、考慮すべき個々のモードの回転数領域内にある回転数で求める。読取装置では、得られた不釣合い測定値とロータまたは軸受けに固有な基礎知識とを利用して、剛体不釣合いと、考慮すべき固有モード部分を修正するための不釣合い修正とが計算されて、個々の軸受け面には回転数とは無関係な一定の力が算出され、この力が弾性ロータ挙動の不釣合い作用を示すものとなる。
【0012】
この方法によるときは、釣合わせるべきロータの寸法、形状および使用した材料のデータのような、ロータおよび軸受けに固有な基礎データを、コンピュータに供給する必要がある。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
以上説明した各従来技術によれば、▲1▼では、極めて多数の測定工程が必要である、▲2▼では、試しおもり工程を実施しなければならない、▲3▼では剛体としての不釣合い修正を実施した後でなければ、弾性ロータとしての修正量を求めることができない、▲4▼では、ロータと軸受けに固有な基礎データをコンピュータに供給しなければならない、というように、それぞれ課題がある。
【0014】
この発明は、かかる従来技術の課題を解決するためになされたものである。
この発明は、試しおもり工程なしに、測定されたロータと軸受けに必要な基礎データもなしに、弾性ロータの不釣合いの迅速な排除を保証する、弾性ロータの不釣合い修正量の決定方法を提供することである。
【0015】
【課題を解決するための手段および発明の効果】
この発明は、予め定める修正面において、ロータを力励振する手段を採用することによって、不釣合い修正に必要な影響係数が完全に測定できるという認識を基礎にしている。この発明では、基本となる不釣合い工程と、測定済の不釣合い効果に関して変換された影響係数とを用いることで、最も簡単な方法によって、不釣合い修正量を決定できる。
【0016】
具体的に、請求項1記載の発明によれば、2つの軸受け装置で振動自在に軸受けされたロータを、意図したそれぞれの修正面で、軸方向を横断する機械的な打撃力で励振して励振力スペクトルを測定し、その結果誘発されたロータの振動挙動を、軸受け面での力スペクトルまたは振動スペクトル形式の応答スペクトルとして把握し、応答スペクトル対励振力スペクトルの比から影響係数を導き出し、測定工程でロータ回転数に割り当てられた力シグナルおよび振動シグナルを軸受け面で測定し、影響係数と測定工程で測定した力シグナルおよび振動シグナルとを用いて不釣合い修正量を決定することを特徴とする、弾性ロータの不釣合い修正量の測定方法を提供できる。
【0017】
上記測定方法においては、影響係数と、測定工程の力シグナルまたは振動シグナルから導出した数値から作成した等式系の解答を、誤差の二乗和を最小にする最小二乗法を用いて解くことが好ましい。
上記測定方法においては、ロータが剛体と考えられる回転数の範囲内で、しかも、ロータが少なくとも弾性的な撓みを示す回転数の範囲内で、測定を実施することが好ましい。
【0018】
さらに上述の回転数の範囲内で測定を実施する場合、ロータが弾性的挙動を示すn個の回転数の範囲内で、n個の固有モードを検出するために測定を行うことが好ましい。
請求項2記載の方法によれば、2つの軸受け装置で振動自在に軸受けされたロータを、意図したそれぞれの修正面で、軸方向を横断する機械的な打撃力で励振して励振力スペクトルを測定し、その結果誘発されたロータの振動挙動を、軸受け面での力スペクトルまたは振動スペクトル形式の応答スペクトルとして把握し、測定によって得た応答スペクトル対測定によって得た励振力スペクトル比を用いて影響係数を導き出し、これを不釣合い励振下の影響係数に変換することを特徴とする、弾性ロータを釣合わせるための影響係数の測定方法を提供できる。
【0019】
上記の測定方法において、影響係数の工程へモード寄与が及ぼす影響の変化を考慮することが望ましい。
さらに、上述の測定方法では、モード解析によって、モード寄与の影響を求めるようにしてもよい。
上記各測定方法においては、力検出器または振動検出器の測定方向に、力による励振を加えるようにすることが好ましく、この力による励振は、静止中のロータに対して行ってもよいし、回転中のロータに対して行うこともできる。
【0020】
力による励振は、たとえばハンマーによる打撃によって実行することが可能である。
この発明によれば、ロータと軸受け、および次に来るこれらのデータの計算処理からなる全システムを前もって捕捉することなしに、影響係数を測定技術を用いて把握し、不釣合い修正の決定に応用することが初めて可能になる。
【0021】
ロータの静止時あるいは回転中でも、力による励振が選択的に実施できることが、特に有利である。この有利なやり方によって、多くの試しおもり工程を用いる影響係数の測定が不要である。
この発明によれば、試しおもり工程なしに、かつ、測定されたロータと軸受けに固有な基礎データもなしに、弾性ロータの不釣合い修正量を決定することができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下には、図面を参照して、この発明の実施例について詳細に説明をする。
図1は、この発明の一実施形態にかかる測定方法を実施するための不釣合い測定装置の図解的な斜視図である。
図1に示す不釣合い測定装置には、ロータ10を載置するために、第1軸受け装置1および第2軸受け装置2が備えられている。これら第1,第2軸受け装置1,2は、不釣合い測定装置に従来から用いられている、たとえば力または変位を測定する振動ブリッジ形軸受けとして構成されている。これらの軸受け装置1,2は、不釣合い測定装置の位置固定部分に対して振動自在に保持されている。このことは、ばね/物体シンボルの記号3,4および5,6が示すとおりである。
【0023】
力を測定する不釣合い測定装置では、振動の検出は力の検出器により、変位測定の不釣合い測定装置では、振動の検出は振動変位検出器または振動加速度検出器により行われる。いずれも公知の検出方法であり、この不釣合い測定装置には、いずれの検出器が採用されていてもよい。
第1,第2軸受け装置1,2には、それぞれ、検出器7,8が備えられている。検出器7,8は、その測定方向が、ロータ10の回転軸に対して水平で直角になるように配置されている。
【0024】
測定装置には、さらに、ロータ10の回転数を測定するための回転数検出器12が設けられている。
図示されていないが、ロータ10を回転駆動させる装置は、公知の、たとえばロータ・ジャーナルと接続される装置でもよいし、あるいはベルト駆動式の装置でもよい。また、回転数検出器12を設ける代わりに、駆動装置に回転数の検出装置を組み込んでもよい。いずれの駆動装置も、ロータ10を一定の回転数で駆動させることのできる装置であればよい。
【0025】
この実施形態では、ロータ10には、その両側に2個のロータ・ジャーナルが付いていて、ロータ10は、正確に対称形状をしている。
またこの実施形態では、ロータ10の1次固有モードに関する軸弾性挙動だけをまず考慮して修正するために、3個の修正面WE1 ,WE2 およびWE3 が設定されている。
【0026】
測定するロータに対して、n個の固有モードを考慮する場合には、一般に(n+2)個の修正面を設ける必要がある。この場合、実際にはn=3として、3次までの固有モードを考慮すれば足りる。なぜなら、これ以上の固有モードの不釣合い効果は、実際には無視できるからである。
この実施形態では、修正面(負荷面とも言える)WE1 ,WE2 およびWE3 において、静止ロータを測定方向に連続的に力で励振する装置を付属させる。力で励振する装置は、最も簡単な形態として、ハンマー11として作ることができる。ハンマー11には、励振力の時間経過を検出する装置が設けられている。よって、ハンマー11によってロータ10の修正面WE1 ,WE2 またはWE3 を力励振したときの、励振力スペクトルを描き出すことできる。
【0027】
回転するロータを力により励振するか、あるいは不釣合いにより励振する結果として、軸振動、軸受け変位、軸受け速度および加速度等が現れる。
次に、図1に示す不釣合い測定装置における第1軸受け装置1および第2軸受け装置2にかかる力のモデルの一例を示す。
第1,第2軸受け装置1,2にそれぞれ設けられている検出器7,8は、これら軸受け面、または測定面ME1 ,ME2 に軸力の時間経過を描く。その結果、軸受け面ME1 ,ME2 ごとの励振力スペクトル、より具体的には、この実施形態では軸受け面ME1 ,ME2 ごとの励振に起因する3つの複素ベクトルが、3つの負荷面WE1 ,WE2 ,WE3 に描かれる。
【0028】
第1および第2軸受け装置1,2に組み込まれた力の検出器7,8に対して、ロータ10の不釣合いから作用する力の詳細は、それぞれ、次の式で示される。
【0029】
【数1】
【0030】
ここに、
U =不釣合い面での不釣合い
X =左側の軸受け面ME1 からの不釣合い面WE1 ,WE2 ,WE3 までの距離
L =両軸受け面ME1 ,ME2 間の距離
φi (X) =i次の固有モード
ωi =i次の固有角振動数
δi =i次の固有モードのモード減衰定数
mgeni =i次の固有モードのモード・システム質量
m1/2 ei=第1,第2の軸受け装置1,2に関するi次の固有モードに特有な補償質量
Ω =角振動数
回転する一定の大きさの力Fを用いて励振した場合に対しては次の式が得られる。
【0031】
【数2】
【0032】
不釣合いによる励振、または力による励振時の全力(軸受けにかかる力スペクトル)をその時々の原因(不釣合いスペクトルU、または力のスペクトルF)で割ると、次のとおり、影響係数EFKが求まる。
【0033】
【数3】
【0034】
この実施形態では、3つの複素励振力スペクトルと、6つの複素軸受け力スペクトルから、複素マトリクスαij F (n)の形をした影響係数EFKF が導き出される。
[数2]および[数3]において、
j=1,2は測定面あるいは軸受け面を示し、実施形態ではj=2
i=1,2,3は負荷面あるいは修正面数を示し、実施形態ではi=3
F=力−影響係数を示す。
【0035】
n=ロータの回転数を示す。
ロータ10が静止状態と回転時とで、状況が同じか異なるかに応じて、力による励振時に測定事実によって求めたEFKF 行列を、不釣合い励振時のEFKU 行列へ換算または変換する必要がある。この換算または変換は、別の換算方法によって行われる。
【0036】
静止状態と回転間には、たとえば力を測定する従来のバランシングマシンを用いて釣合わせられる紙ロールのような、ローラ状のロータの場合には、実際上これと同じ状況が存在する。この場合には、1次危険速度の下限ぎりぎりまで釣合わせることができる。
1次固有振動数(周波数)とモード減衰度とは、ロータを静止状態で測定しても、回転時に測定しても、実際上変わることはない。1次固有モードについても事情は全く同じである。ジャイロスコープ効果は、無視できる。
【0037】
静止状態と回転時の状況が同じ場合には、力による励振で発生する力−影響係数EFKF またはαij F と、不釣合い−影響係数EFKU またはαij U との関係は、次の式で表わされる。
αij u =Ω2 αij F
ここに、Ωはロータの角振動数である。
【0038】
αij U =Aとすれば、
【0039】
【数4】
【0040】
の関係があるから、
FME1 (n1 ),FME1 (n2 ),FME1 (n3 )
FME2 (n1 ),FME2 (n2 ),FME2 (n3 )
となる。この式と、左側の軸受け面ME1 または右側の軸受け面ME2 で回転数がn1 ,n2 ,n3 の3種類の場合に不釣合い測定工程で測定した力とに、誤差の二乗和を最小にする最小二乗法を適用すれば、
【0041】
【数5】
【0042】
よって、これらから大きさと角位置による不釣合い修正量が求まる。
滑り軸受けの場合、実際にいつも起こることであるが、ロータ静止時と回転時の状況が異なる。このときには、方法を変える必要が発生する。つまり、滑り軸受けの場合には、たとえば、回転数に関係する油膜の性質と、場合によってはジャイロスコープ的な効果によっても状況が変化する。そこで、ロータが静止状態と回転する場合とで、異なる固有振動数とこれに依存するモード減衰度とを測定する必要がある。
【0043】
図2A,Bによって、必要な修正についてさらに詳細に説明する。
図2Aのグラフは、静止時のロータを、たとえばハンマ打撃によって励振させたときの影響係数EFKF ges (Ω)の経過を示したものである。曲線で示された軌跡aとbは、関係するモード的な寄与を示す。一方、直線cは静的な力による一定な寄与を示す。
【0044】
図2Bのグラフは、回転するロータの始動曲線を示す。
図2A,B両方の曲線の軌跡を比較すると、振動数でのモード寄与がずれて、異なるモード減衰度が存在することがわかる。
たとえば、モード分析法を用いて、EFKF ges (Ω)軌跡に関連するモード寄与a,bに対して、これに所属するパラメータωi ,δi と、定数
【0045】
【数6】
【0046】
を確認することができる。
ロータ静止時に、力による励振で求めたωi ,δi 値は、始動時、あるいは不釣合い測定工程から求めた固有の角振動数ωi と、モード減衰定数δi とで置き換えられ、これらは、たとえば再度モード分析によっても確認できる。
ここで、始動時、あるいは不釣合い工程で求めた固有角振動数とモード減衰定数とを考慮して、静的部分とこれに関連するモード的寄与とを合算して、これにΩ2 を乗ずると、不釣合い励振時のEFK行列に対する概略値を得ることができる。[数3]の等式は、次のように示すこともできる。
【0047】
【数7】
【0048】
上式において、右辺の括弧内の最初の値は、静止時の力励振によるEFKF ges (Ω)軌跡に基づく値である。括弧内の値の最後の項は、静止時の力励振によるモード分析で得られるものであり、ωi とδi は始動時または不釣合い測定工程時に発生した値である。
この分野における専門家には明らかなことであるが、上記の等式は近似式である。というのは、高次のモード寄与を無視したためである。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施形態に使用される不釣合い測定装置の図解的な斜視図である。
【図2】ロータが静止状態と回転時との各影響係数の状態を示すグラフである。
【符号の説明】
1 第1軸受け装置
2 第2軸受け装置
3,4,5,6 振動ブリッジ形軸受け機構
7,8 検出器
10 ロータ
12 回転数検出器
ME1 ,ME2 軸受け面(測定面)
WE1 ,WE2 ,WE3 修正面(負荷面)
Claims (2)
- 2つの軸受け装置で振動自在に軸受けされたロータを、意図したそれぞれの修正面で、軸方向を横断する機械的な打撃力で励振して励振力スペクトルを測定し、
その結果誘発されたロータの振動挙動を、軸受け面での力スペクトルまたは振動スペクトル形式の応答スペクトルとして把握し、
応答スペクトル対励振力スペクトルの比から影響係数を導き出し、
測定工程でロータ回転数に割り当てられた力シグナルおよび振動シグナルを軸受け面で測定し、
影響係数と測定工程で測定した力シグナルおよび振動シグナルとを用いて不釣合い修正量を決定することを特徴とする、弾性ロータの不釣合い修正量の測定方法。 - 2つの軸受け装置で振動自在に軸受けされたロータを、意図したそれぞれの修正面で、軸方向を横断する機械的な打撃力で励振して励振力スペクトルを測定し、
その結果誘発されたロータの振動挙動を、軸受け面での力スペクトルまたは振動スペクトル形式の応答スペクトルとして把握し、
測定によって得た応答スペクトル対測定によって得た励振力スペクトル比を用いて影響係数を導き出し、これを不釣合い励振下の影響係数に変換することを特徴とする、弾性ロータを釣合わせるための影響係数の測定方法。
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