JP4019877B2 - 長軸状回転体のアンバランス測定方法及び測定装置 - Google Patents

長軸状回転体のアンバランス測定方法及び測定装置 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、長軸状回転体のアンバランス測定方法及び測定装置に関し、特に長軸状回転体の回転に伴って発生する振動に基づいてアンバランス量を測定する測定方法及び測定装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
車両におけるプロペラシャフトのアンバランス測定は、実車高速走行に近い高回転数(例えば4000rpm)で行われる。この際、プロペラシャフト中央部にスライド機構を有するものについては、一定の負荷トルクを掛けることにより、スライド嵌合部のがたつきに起因するアンバランスを除いた測定が行われる。つまり、プロペラシャフトの曲がりや芯ずれに起因するシャフト本来のアンバランス量を測定し、この測定結果に基づいてシャフト本来のアンバランスの修正を実施する。修正後のチェックに際しては、上記と同じ高回転数で、ただし負荷トルクを掛けずに、つまりスライド嵌合部のがたつきをも考慮したアンバランス測定を行い最終判定が行われる。
【0003】
一方、従来の測定装置は、スライド機構を有するプロペラシャフトの測定を行うにあたり、高回転数でしかも一定の負荷トルクを掛ける必要がある。高回転数で負荷トルクを掛けるには、駆動用モータとプロペラシャフトの間の駆動用ベルトの滑りを防止するため、大きなテンションが必要になる。しかし、図12に示すような倒立板ばね方式の振動枠を有する測定装置では、振動枠34内に取り付けられた振動センサ42で、板ばね36に対して直交方向の振動を測定するにあたり、駆動用ベルト38の張力が振動を押さえ込んでしまい、その結果、本来測定されるべき振動が検出できず、測定へ悪影響を与えてしまう。このため、負荷トルクを掛けて、高回転数で測定を行うためには、図13に示すような構造が必要となる。図13の測定装置は、振動枠34上のスピンドル30から、継手44を介して連結された別置のスピンドル46上に駆動用ベルト38を掛けて駆動する構造であり、駆動用ベルト38の張力が測定へ影響を与えない構造になっている。
【0004】
【特許文献1】
特開平9−280991号公報
【特許文献2】
特開平6−43064号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
プロペラシャフトには、その中央部にスライド機構を有するものや、その両端にユニバーサルジョイント機構を有するものがある。このようなプロペラシャフトにおいては、プロペラシャフトの曲がりや芯ずれに起因するシャフト本来のアンバランスに加え、スライド機構やユニバーサルジョイント機構のがたつきに起因するアンバランスも存在する。このため、従来の測定方法により最終的に負荷トルクなしで高回転数で回転させてアンバランス測定を行った際、アンバランス量が許容量を超えた場合、測定されたアンバランスが何に起因しているのかの判別が困難であった。
【0006】
一方、図13に示す負荷トルクを掛けて高回転数で測定を行うための測定装置は、図12に示す負荷トルクを掛けずに測定を行うための測定装置に比べて大型で複雑な構造になっていた。
【0007】
そこで本発明は、アンバランスの原因特定が容易な長軸状回転体のアンバランス測定方法を提供することを目的とする。また、本発明は、簡易な構成でありながら、そのような測定方法に適した測定装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明に係る長軸状回転体のアンバランス測定方法は、長軸状回転体に対して、負荷トルクを掛けて所定の低回転数で回転させて、初期アンバランス量を測定する初期アンバランス測定工程と、前記初期アンバランス量に基づいて前記長軸状回転体のアンバランス修正を行うアンバランス修正工程と、前記アンバランス修正後の長軸状回転体に対して、負荷トルクを掛けて所定の低回転数で回転させて、有負荷アンバランス量を測定する有負荷アンバランス測定工程と、該長軸状回転体に対して、負荷トルクを掛けずに前記と同様の低回転数で回転させて、無負荷アンバランス量を測定する無負荷アンバランス測定工程と、前記有負荷アンバランス量及び前記無負荷アンバランス量に基づいて、該長軸状回転体の軸方向スライド部のがたつきに起因するスライド部アンバランス量を導出するスライド部アンバランス量導出工程と、を有するものとする。
【0009】
上記構成によれば、スライド部アンバランス量導出工程において、長軸状回転体のアンバランスの中で、スライド部のがたつきに起因するアンバランス量が測定できるため、アンバランス修正の際の原因特定が容易になる。
【0010】
望ましくは、前記スライド部アンバランス量が所定量以下である前記長軸状回転体に対して、負荷トルクを掛けずに所定の低回転数で回転させて、低回転アンバランス量を測定する低回転アンバランス測定工程と、該長軸状回転体に対して、負荷トルクを掛けずに所定の高回転数で回転させて、高回転アンバランス量を測定する高回転アンバランス測定工程と、前記低回転アンバランス量及び前記高回転アンバランス量に基づいて、該長軸状回転体の自在継手部のがたつきに起因する自在継手部アンバランス量を導出する自在継手部アンバランス量導出工程と、を有するものとする。
【0011】
上記構成によれば、スライド部アンバランス量導出工程及び自由継手部アンバランス量導出工程において、スライド部のがたつきに起因するアンバランス量及びジョイント部のがたつきに起因するアンバランス量がそれぞれ独立して測定できるため、アンバランス修正の際の原因特定がさらに容易になる。また、アンバランス修正前の測定が低回転数化されるため、測定装置の振動枠やスピンドルの寿命を伸ばす効果がある。
【0012】
また、上記目的を達成するために、本発明に係る長軸状回転体のアンバランス測定方法は、長軸状回転体に対して、負荷トルクを掛けずに所定の低回転数で回転させて、初期アンバランス量を測定する初期アンバランス測定工程と、前記初期アンバランス量に基づいて前記長軸状回転体のアンバランス修正を行うアンバランス修正工程と、前記アンバランス修正後の長軸状回転体に対して、負荷トルクを掛けずに所定の低回転数で回転させて、低回転アンバランス量を測定する低回転アンバランス測定工程と、該長軸状回転体に対して、負荷トルクを掛けずに所定の高回転数で回転させて、高回転アンバランス量を測定する高回転アンバランス測定工程と、前記低回転アンバランス量及び前記高回転アンバランス量に基づいて、該長軸回転体の自在継手部のがたつきに起因する自在継手部アンバランス量を導出する自在継手部アンバランス量導出工程と、を有するものとする。
【0013】
望ましくは、前記スライド部アンバランス量導出工程は、前記有負荷アンバランス量及び前記無負荷アンバランス量の差に対する前記スライド部アンバランス量の対応関係を表す換算テーブルに基づいて、前記スライド部アンバランス量を導出するものとする。
【0014】
望ましくは、前記自在継手部アンバランス量導出工程は、前記低回転アンバランス量及び前記高回転アンバランス量の差に対する前記自在継手部アンバランス量の対応関係を表す換算テーブルに基づいて、前記自在継手部アンバランス量を導出するものとする。
【0015】
また、上記測定方法に適した長軸状回転体のアンバランス測定装置は、長軸状回転体が連結されるスピンドルと、板ばねに支持され、前記スピンドルを回転可能に挟持する振動枠と、駆動用ベルトを介して前記スピンドルを回転させる駆動用モータと、を有し、前記長軸状回転体が連結されたスピンドルが回転し、回転に伴って発生する振動枠の振動に基づいて、前記長軸状回転体のアンバランス量を測定する長軸状回転体のアンバランス測定装置であって、前記板ばねの厚さは、所定の低回転数から高回転数までの測定回転範囲内で所定の測定精度が確保できる厚さに選定されるものとする。
【0016】
上記構成によれば、この測定装置一台のみで前述の測定方法による測定が実現でき、また、従来の負荷トルクを掛けて高回転数で測定を行うための測定装置に比べて、その構成が単純であり小型化も可能である。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明に係る長軸状回転体のアンバランス測定方法及び測定装置は、車両等に搭載されるプロペラシャフト(長軸状回転体)が回転する際に発生するアンバランスを測定する方法及び装置である。そこで、まず本発明に係る測定方法及び測定装置により測定されるプロペラシャフトのアンバランスについて、図1〜図9を利用して説明する。
【0018】
図1及び図2は、プロペラシャフトの構造を示す図である。図1に示すプロペラシャフト10はその中間部分にスライド部12を、その両端部分にジョイント部(自由継手部)14を有している。図2に示すプロペラシャフト10はスライド部が無く、両端部分にジョイント部14を有している。プロペラシャフト10が回転する際に発生するアンバランスの主な要因は、スライド部12及びジョイント部14のがたつきに起因するアンバランスと、その他、例えばプロペラシャフト10の曲がりや芯ずれに起因するシャフト本来のアンバランスとによるものである。そこで、次に、スライド部12のがたつき及びジョイント部14のがたつきについて詳述する。
【0019】
図3及び図4は、図1におけるスライド部12の拡大図であり、図3はスライド部12にがたつきが発生している状態を示しており、図4はがたつきが発生していない状態を示している。スライド部12は、円筒軸16とスプライン軸18が相対回転不能に、且つ軸方向の移動可能に嵌合されることによって、プロペラシャフトの伸縮を許容している。負荷トルクを掛けずにプロペラシャフトを回転させると、図3の(b)に示すように、回転による遠心力20のためスプライン嵌合部の径方向に偏り、つまりがたつきが発生し、図3の(a)に示すように、円筒軸16とスプライン軸18の軸中心がずれてしまい、アンバランス量が大きくなる。一方、負荷トルクを掛けてプロペラシャフトを回転させると、図4の(b)に示すように、スプライン嵌合部に設けられたスプライン歯の圧力角作用のため、図4の(a)に示すように、円筒軸16とスプライン軸18の軸中心が調芯し、アンバランス量が小さくなる。このように、スライド部12のがたつきに起因するアンバランス量は、負荷トルクが無い場合に大きくなり、負荷トルクが有る場合に小さくなる。
【0020】
図5は、図1におけるジョイント部14の拡大図である。ジョイント部14はU字状の先端部において十字に交差した二つの軸、すなわちX方向軸22とY方向軸24が、各々の軸を中心として回転可能に連結されている。ところが、この連結部にはプロペラシャフトの径方向に僅かな隙間が存在し、プロペラシャフトの回転に伴う遠心力のため、軸そのものが軸方向にずれてがたつきが発生する。このため、ジョイント部のがたつきに起因するアンバランス量は、回転数が高い場合に大きくなり、回転数が低い場合に小さくなる。
【0021】
以上、個々のプロペラシャフトにおけるスライド部のがたつき及びジョイント部のがたつきが、どのように発生するのかを説明した。本発明を想到するにあたり、さらに、がたつきの程度が異なる複数のプロペラシャフトと、負荷の有無や回転数の高低との関連に着目した。
【0022】
図6は、負荷トルクの大きさとアンバランス量の対応関係を示す図であり、スライド部におけるがたつきの程度が異なる二つのプロペラシャフトのそれぞれについて、負荷トルクの大きさとアンバランス量の対応関係を測定した結果である。図6に示すように、スライド部のがたつきが大きいプロペラシャフト(ガタ大品)、スライド部のがたつきが小さいプロペラシャフト(ガタ小品)ともに、負荷トルクが増大するにつれてアンバランス量が減少している。ただし、その減少量に注目すると、二つのプロペラシャフトにおける差異を認識できる。すなわち、負荷トルク0におけるアンバランス量と負荷トルクTにおけるアンバランス量の差について、ガタ小品ではα1であるのに対してガタ大品ではα2であり、α1<α2となっている。この傾向は一般的なものであり、負荷トルクを掛けない場合と所定の負荷トルクを掛けた場合のアンバランス差、つまり負荷トルク有無のアンバランス差と、スライド部のがたつきの大きさには対応関係が成立している。
【0023】
図7は、負荷トルク有無のアンバランス差とスライド部のがたつきの大きさとの対応関係を示す図であり、複数のプロペラシャフトの各々について、がたつきの大きさと負荷トルク有無のアンバランス差とを、測定やシミュレーション等により求めることで得られるものである。予め図7のような換算テーブルを取得しておくと、がたつきの大きさが不明なプロペラシャフトについて、負荷トルク有無のアンバランス差を測定することで、換算テーブルを利用してこのプロペラシャフトのスライド部のがたつきの大きさを特定することができる。
【0024】
図8は、回転数とアンバランス量の対応関係を示す図であり、ジョイント部におけるがたつきの程度が異なる二つのプロペラシャフトのそれぞれについて、回転数とアンバランス量の対応関係を測定した結果である。図8に示すように、ジョイント部のがたつきが大きいプロペラシャフト(ガタ大品)、ジョイント部のがたつきが小さいプロペラシャフト(ガタ小品)ともに、回転数が増大するにつれてアンバランス量も増大している。ただし、その増大量に注目すると、二つのプロペラシャフトにおける差異を認識できる。すなわち、回転数2000rpmにおけるアンバランス量と回転数4000rpmにおけるアンバランス量の差について、ガタ小品ではβ1であるのに対してガタ大品ではβ2であり、β1<β2となっている。この傾向は一般的なものであり、低回転数時と高回転数時のアンバランス差、つまり回転数差によるアンバランス差と、ジョイント部のがたつきの大きさには対応関係が成立している。
【0025】
図9は、回転数差によるアンバランス差とジョイント部のがたつきの大きさとの対応関係を示す図であり、複数のプロペラシャフトの各々について、がたつきの大きさと回転数差によるアンバランス差とを、測定やシミュレーション等により求めることで得られるものである。予め図9のような換算テーブルを取得しておくと、がたつきの大きさが不明なプロペラシャフトについて、回転数差によるアンバランス差を測定することで、換算テーブルを利用してこのプロペラシャフトのジョイント部のがたつきの大きさを特定することができる。
【0026】
以上説明した、プロペラシャフトのアンバランスに関する諸事項に基づいて、本発明に係る長軸状回転体のアンバランス測定方法及び測定装置が実現される。以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0027】
図10には、本発明に係る長軸状回転体のアンバランス測定方法の好適な実施形態が示されており、図10は、スライド部及びジョイント部を有するプロペラシャフトのアンバランス測定方法の全工程を示すフローチャートである。フローチャートの各ステップを順に説明する。
【0028】
ステップ1において、修正前のアンバランス測定を実施する。この際、所定の大きさTの負荷トルクを掛け、所定の低回転数(例えば2000rpm)でプロペラシャフトを回転させて測定を実施する。負荷トルクを掛けているためスライド部のがたつきは小さく、また低回転数のためジョイント部のがたつきも小さい。したがって、ステップ1で測定されるアンバランス量は、スライド部やジョイント部以外のアンバランス、例えばプロペラシャフトの曲がりや芯ずれに起因するシャフト本来のアンバランスであることが分かる。ステップ2において、アンバランス修正を実施する。ステップ1で測定されるアンバランスは、プロペラシャフトの曲がりや芯ずれに起因するシャフト本来のアンバランスであるため、プロペラシャフトにバランス修正用の錘を溶接するなどしてアンバランスを修正する。
【0029】
ステップ3において、所定の大きさTの負荷トルクを掛け、所定の低回転数でアンバランス測定を実施し測定値M1(有負荷アンバランス量)を取得する。また、ステップ4において、負荷トルクを掛けずに前記と同様の低回転数でアンバランス測定を実施し測定値M2(無負荷アンバランス量)を取得する。ステップ5において、測定値M1とM2を比較して、その差が許容値a以下か否かを判定する。測定値M1とM2の差は、負荷トルク有無のアンバランス差であり、スライド部のがたつきの大きさと対応関係(図7参照)が存在する。したがってスライド部のがたつきの大きさの許容値に対応する、負荷トルク有無のアンバランス差の許容値aを予め設定しておくことで、測定値M1とM2の差と許容値aとの比較により、スライド部のがたつきの大きさの許容値以下か否かを判定することができる。つまり、M1とM2の差が許容値a以下であれば、スライド部のがたつきの許容値以下であると判定(OK)してステップ6に進み、M1とM2の差が許容値aより大きければ、スライド部のがたつきの許容値より大きいと判定(NG)して、分解調査を実施する。
【0030】
ステップ6において、負荷トルクを掛けずに所定の高回転数(例えば4000rpm)でアンバランス測定を実施し測定値M3(高回転数アンバランス量)を取得する。ステップ7において、測定値M2とM3を比較して、その差が許容値b以下か否かを判定する。測定値M2とM3の差は、回転数差によるアンバランス差であり、ジョイント部のがたつきの大きさと対応関係(図9参照)が存在する。したがってジョイント部のがたつきの大きさの許容値に対応する、回転数差によるアンバランス差の許容値bを予め設定しておくことで、測定値M2とM3の差と許容値bとの比較により、ジョイント部のがたつきの大きさの許容値以下か否かを判定することができる。つまり、M2とM3の差が許容値b以下であれば、ジョイント部のがたつきの許容値以下であると判定(OK)して測定を終了し、M2とM3の差が許容値bより大きければ、ジョイント部のがたつきの許容値より大きいと判定(NG)して、分解調査を実施する。
【0031】
以上のように、スライド部及びジョイント部を有するプロペラシャフトのアンバランスを、主な発生要因ごとに測定することができるため、分解調査における原因特定が容易になる。
【0032】
図11には、本発明に係る長軸状回転体のアンバランス測定方法の他の好適な実施形態が示されており、図11は、スライド部が無くジョイント部のみを有するプロペラシャフトのアンバランス測定方法の全工程を示すフローチャートである。フローチャートの各ステップを順に説明する。
【0033】
ステップ1において、修正前のアンバランス測定を実施する。所定の低回転数(例えば2000rpm)で測定を実施する。低回転数のためジョイント部のがたつきが小さい。したがって、ステップ1で測定されるアンバランス量は、ジョイント部以外のアンバランス、例えばプロペラシャフトの曲がりや芯ずれに起因するシャフト本来のアンバランスであることが分かる。ステップ2において、アンバランス修正を実施する。ステップ1で測定されるアンバランスは、プロペラシャフトの曲がりや芯ずれに起因するシャフト本来のアンバランスであるため、プロペラシャフトにバランス修正用の錘を溶接するなどしてアンバランスを修正する。
【0034】
ステップ3において、負荷トルクを掛けずに所定の低回転数でアンバランス測定を実施し測定値M2を取得する。ステップ4において、負荷トルクを掛けずに所定の高回転数(例えば4000rpm)でアンバランス測定を実施し測定値M3を取得する。ステップ5において、測定値M2とM3を比較して、その差が許容値b以下か否かを判定する。測定値M2とM3の差は、回転数差によるアンバランス差であり、ジョイント部のがたつきの大きさと対応関係(図9参照)が存在する。したがってジョイント部のがたつきの大きさの許容値に対応する、回転数差によるアンバランス差の許容値bを予め設定しておくことで、測定値M2とM3の差と許容値bとの比較により、ジョイント部のがたつきの大きさの許容値以下か否かを判定することができる。つまり、M2とM3の差が許容値b以下であれば、ジョイント部のがたつきの許容値以下であると判定(OK)して測定を終了し、M2とM3の差が許容値bより大きければ、ジョイント部のがたつきの許容値より大きいと判定(NG)して、分解調査を実施する。
【0035】
以上のように、ジョイント部に起因するアンバランスを測定することができるため、分解調査における原因特定が容易になる。
【0036】
次に、本発明に係る長軸状回転体のアンバランス測定装置の好適な実施形態について説明する。本実施の形態は、従来の技術の説明で利用した図12に示される倒立板ばね方式の振動枠を有する測定装置において、板ばねの厚さのみを変更したものである。以下、図12に基づいて本実施の形態を説明する。
【0037】
本実施の形態における測定装置は、測定の際、スピンドル30のプロペラチャック部32に、プロペラシャフトが連結され、スピンドル30が回転することによりプロペラシャフトが回転する。スピンドル30は振動枠34により回転可能に挟持されており、さらに振動枠34は板ばね36に支持されている。スピンドル30には駆動用ベルト38を介して駆動用モータ40が接続されており、駆動用モータ40の回転が駆動用ベルト38を介してスピンドル30に伝えられる。つまり、駆動用モータ40が回転することにより、スピンドル30に転結されたプロペラシャフトが回転し、回転によって生じる振動に基づいて、プロペラシャフトのアンバランスが測定される。そして、この振動を測定するために振動枠34内には振動センサ42が取り付けられている。このように、倒立板ばね方式の振動枠を有する測定装置では、振動枠34内に取り付けられた振動センサ42により、板ばね36に対して直交方向の振動を測定している。
【0038】
本実施の形態では、この板ばね36の厚さを最適選定して、所定の測定条件下において所定の測定精度が確保できるようにするものである。板ばね36の厚さは、駆動用ベルト38の張力に対する剛性と、測定感度に大きな影響を与える。すなわち、板ばね36が厚いほどその剛性は高くなり、より大きな負荷トルクを掛けられるようになる。その反面、板ばね36が厚いほど振動検出が鈍くなり、測定感度が低下する。したがって、本実施の形態の測定装置が利用される測定条件に合わせて、例えば、所定の大きさTの負荷トルクを掛けた状態で所定の低回転数(例えば2000rpm)での測定、及び、所定の回転数範囲(例えば2000〜4000rpm)で負荷トルクを掛けない状態での測定において、所定の測定精度が確保できるように板ばね36の厚さを設定する。この際、負荷トルクを掛けて測定するのは低回転数時のみであり、駆動用ベルト38にそれほど大きなテンションを必要としないため、駆動用ベルト38の張力が振動を押さえ込んでしまうことがない。このように板ばねの厚さを設定することで、本発明に係る長軸状回転体のアンバランス測定方法に、この測定装置を利用することができる。つまり、この測定装置一台のみで前述の測定方法が実現可能になる。また、図13に示す従来の測定装置に比べて、別置のスピンドルを設ける必要がないため構成が単純になり小型化も可能になる。
【0039】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明により、アンバランスの原因特定が容易な長軸状回転体のアンバランス測定方法を提供することができ、また、簡易な構成でありながら、そのような測定方法に適した測定装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 プロペラシャフトの構造を示す図である。
【図2】 プロペラシャフトの構造を示す図である。
【図3】 プロペラシャフトのスライド部を示す図である。
【図4】 プロペラシャフトのスライド部を示す図である。
【図5】 プロペラシャフトのジョイント部を示す図である。
【図6】 負荷トルクの大きさとアンバランス量の対応関係を示す図である。
【図7】 負荷トルク有無のアンバランス差とスライド部のがたつきの大きさとの対応関係を示す図である。
【図8】 回転数とアンバランス量の対応関係を示す図である。
【図9】 回転数差によるアンバランス差とジョイント部のがたつきの大きさとの対応関係を示す図である。
【図10】 本発明に係る長軸状回転体のアンバランス測定方法の好適な実施形態を示すフローチャートである。
【図11】 本発明に係る長軸状回転体のアンバランス測定方法の他の好適な実施形態を示すフローチャートである。
【図12】 倒立板ばね方式の振動枠を有する測定装置を示す図である。
【図13】 負荷トルクを掛けて高回転数で測定を行うための従来の測定装置を示す図である。
【符号の説明】
10 プロペラシャフト、12 スライド部、14 ジョイント部、30 スピンドル、34 振動枠、36 板ばね、40 駆動用モータ、42 振動センサ。

Claims (5)

  1. 長軸状回転体に対して、負荷トルクを掛けて所定の低回転数で回転させて、初期アンバランス量を測定する初期アンバランス測定工程と、
    前記初期アンバランス量に基づいて前記長軸状回転体のアンバランス修正を行うアンバランス修正工程と、
    前記アンバランス修正後の長軸状回転体に対して、負荷トルクを掛けて所定の低回転数で回転させて、有負荷アンバランス量を測定する有負荷アンバランス測定工程と、
    該長軸状回転体に対して、負荷トルクを掛けずに前記と同様の低回転数で回転させて、無負荷アンバランス量を測定する無負荷アンバランス測定工程と、
    前記有負荷アンバランス量及び前記無負荷アンバランス量に基づいて、該長軸状回転体の軸方向スライド部のがたつきに起因するスライド部アンバランス量を導出するスライド部アンバランス量導出工程と、
    を有する、長軸状回転体のアンバランス測定方法。
  2. 請求項1記載の長軸状回転体のアンバランス測定方法であって、
    前記スライド部アンバランス量が所定量以下である前記長軸状回転体に対して、負荷トルクを掛けずに所定の低回転数で回転させて、低回転アンバランス量を測定する低回転アンバランス測定工程と、
    該長軸状回転体に対して、負荷トルクを掛けずに所定の高回転数で回転させて、高回転アンバランス量を測定する高回転アンバランス測定工程と、
    前記低回転アンバランス量及び前記高回転アンバランス量に基づいて、該長軸状回転体の自在継手部のがたつきに起因する自在継手部アンバランス量を導出する自在継手部アンバランス量導出工程と、
    を有する、長軸状回転体のアンバランス測定方法。
  3. 長軸状回転体に対して、負荷トルクを掛けずに所定の低回転数で回転させて、初期アンバランス量を測定する初期アンバランス測定工程と、
    前記初期アンバランス量に基づいて前記長軸状回転体のアンバランス修正を行うアンバランス修正工程と、
    前記アンバランス修正後の長軸状回転体に対して、負荷トルクを掛けずに所定の低回転数で回転させて、低回転アンバランス量を測定する低回転アンバランス測定工程と、
    該長軸状回転体に対して、負荷トルクを掛けずに所定の高回転数で回転させて、高回転アンバランス量を測定する高回転アンバランス測定工程と、
    前記低回転アンバランス量及び前記高回転アンバランス量に基づいて、該長軸回転体の自在継手部のがたつきに起因する自在継手部アンバランス量を導出する自在継手部アンバランス量導出工程と、
    を有する、長軸状回転体のアンバランス測定方法。
  4. 請求項1又は2記載の長軸状回転体のアンバランス測定方法であって、
    前記スライド部アンバランス量導出工程は、前記有負荷アンバランス量及び前記無負荷アンバランス量の差に対する前記スライド部アンバランス量の対応関係を表す換算テーブルに基づいて、前記スライド部アンバランス量を導出する、長軸状回転体のアンバランス測定方法。
  5. 請求項2又は3記載の長軸状回転体のアンバランス測定方法であって、
    前記自在継手部アンバランス量導出工程は、前記低回転アンバランス量及び前記高回転アンバランス量の差に対する前記自在継手部アンバランス量の対応関係を表す換算テーブルに基づいて、前記自在継手部アンバランス量を導出する、長軸状回転体のアンバランス測定方法。
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