JP3962293B2 - 道路付帯設備及び道路付帯設備の施工方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、道路面、縁石、歩道等の路面に設置され、主に道路利用者の視線誘導を行う道路付帯設備に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
道路付帯設備を路面に固着するのに、その利便性や施工の迅速さから、硬化型の接着剤を用いて接着する方法がとりわけ好適に用いられてきている。但し、道路付帯設備はそのほとんどが屋外に設置され、寒暖、降雨といった過酷な自然環境に曝されることや、それ以上に車両の衝突や踏み付けにより、接着剤から道路付帯設備が脱落してその機能を果たすことができなくなる恐れがあり、かかる脱落を防止するために種々の固着方法が用いられてきている。
【0003】
例えば、道路付帯設備に脚部を設け、路面側に空孔を穿設し、その空孔に硬化型の接着剤を充填して脚部を挿入するものがある。また、空孔に硬化型の接着剤を充填してアンカーナットを挿入し、接着剤の硬化後にアンカーボルトを装着した道路付帯設備を螺着する方法も用いられている。
【0004】
更には、道路付帯設備の路面との固着面に凹凸を設け、接着剤との接着面積を増大させることで接着力を高める方法も用いられてきている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、空孔に接着剤を充填して脚部やアンカーナットを挿入する方法では、コンクリートやアスファルトに空孔を穿設するという作業が必要であり、その作業は特殊なドリルを必要としたり、また粉塵が発生して作業環境が悪いものであった。
【0006】
また、固着面に凹凸を設けて接着面積を増大させても、十分な接着力が得られず道路付帯設備が接着剤から脱離する恐れを払拭しきれない。更には、接着剤と道路付帯設備との固着力は、接着剤と道路付帯設備表面との接着力に頼ることとなり、道路付帯設備を形成するのに用いることができる材質は接着剤との接着力が高いものに限定され、設計における自由度が制限されることとなる。
【0007】
本発明は上記の如き課題に鑑みてなされたもので、路面を加工する必要がなく、路面に強固に固着することができる道路付帯設備を提供せんとするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明は以下のような構成としている。すなわち、路面に固着されて設置される道路付帯設備であって、該道路付帯設備は路面との固着面に奧より入り口が狭くなされた開口部が穿設され、路面に接着剤を用いて固着される際に、該開口部に流入した接着剤が硬化することで抜け止めとなされ、前記開口部は下方が開口されると共に、上方が道路付帯設備の上面により閉塞されていることを特徴とするものである。
【0009】
本発明によれば、開口部から流入した接着剤が抜け止めとなされ、路面への固着力は接着剤と道路付帯設備表面との接着力ではなく、接着剤のせん断力に係わるものとなり、単に凹凸を設けるよりはるかに高い固着力が得られる。また高い固着力が得られることから、脚部やアンカーナットを用いる必要がなく、従って路面への空孔の穿設といった加工は必要でなくなる。
【0010】
また前記道路付帯設備は、外周面より高さが低くなされた凹み部が全周に亘って形成され、適宜間隔で多数のガラスビーズ製の反射器が配設され帯状に形成された帯状反射体が、前記凹み部に全周に亘って取り付けられていることを特徴とするものである。
【0011】
更にまた前記道路付帯設備は、道路鋲であることを特徴とするものである。
【0012】
また、本発明に係わる道路付帯設備の施工方法は、道路付帯設備の路面との固着面に奧より入り口が狭くなされた開口部が穿設され、路面に硬化型の接着剤が塗布され、接着剤が流動性を有する状態で前記道路付帯設備の固着面を接着剤に接触させ、前記開口部から接着剤を流入させて、硬化した接着剤が道路付帯設備を路面に接着させると共に、抜け止めとなされる道路付帯設備の施工方法であって、前記開口部は下方が開口されると共に、上方が道路付帯設備の上面により閉塞されていることを特徴とするものである。
【0013】
本発明によれば、開口部から流入した接着剤が抜け止めとなされ、路面への高い固着力が得られる。また、路面に接着剤を塗布し、その接着剤に固着面を接触させるのみで施工可能であることから、迅速且つ容易に道路付帯設備を路面に固着し施工することができる。
【0014】
ここで、硬化型の接着剤は硬化前には流動性を有するもので、一液型の空気への接触等により硬化するものや、二液型の硬化剤との反応等により硬化するものなど公知のものを用いてよい。またエポキシ系、ウレタン系、アクリル系等、硬化時間や接着力、せん断強度等を考慮して適するものを適宜選択してよく、更にはモルタル等の充填材を適宜配合したものであってもよい。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明に係わる実施の形態について、図面に基づき以下に具体的に説明する。
図1及び図2は、本発明に係わる道路付帯設備の実施の一形態を示すもので、図1は道路付帯設備の一形態を示す説明図、図2はその道路付帯設備を路面に固着する過程を示す側面図である。本実施形態における道路付帯設備10は、円盤状の道路鋲であり、蓋体101の円筒形の中空部に、上方が開口された嵌挿体102が嵌挿され一体化されることで道路付帯設備10は形成される。嵌挿体102は底面に接着剤を流入させる貫通孔11が設けられ、貫通孔11及び中空部12により、路面との固着面に奧より入り口が狭くなされた開口部1を形成している。また、中空部12にはリブRが設けられ、蓋体101の上方からの荷重、例えば車両の踏み付けなどによる蓋体101の変形を防止している。
【0016】
本実施形態に示した道路付帯設備10は、図2に示す如き施工方法で路面に固着される。まず路面20に硬化型の接着剤3が塗布される。接着剤3は、道路付帯設備10の固着面2を接着させる程度より多くして、開口部1に流入できるだけの接着剤3を塗布しておく。次に、接着剤3が流動性を有する状態で道路付帯設備10の固着面2を接着剤3に接触させる。ここで、接着剤3に接触させるのみならず、上方から荷重を加えて強制的に開口部1に接着剤3を流入させてもよい。更に流入した接着剤3は開口部1内部で硬化し、入り口より広い奧に入った接着剤3は抜け止め部31となる。
【0017】
かかる道路付帯設備10によれば、路面20と接着剤3との接着力が十分なものであれば、横方向の方向αからの荷重や、引き剥がす方向の方向βからの荷重に対しても、硬化した接着剤3の、貫通孔11付近の接着剤32へせん断力がかかることとなり、接着剤3の硬化後のせん断力がある程度高いものであれば、接着力のみに頼る場合と較べはるかに高い固着力を得ることができる。高い固着力が得られることで、脚部やアンカーナットを用いる必要がなく、従って路面への空孔の穿設といった加工は必要でなくなる。
【0018】
またかかる施工方法を用いることで、路面への高い固着力が得られると共に、、路面に接着剤を塗布し、その接着剤に固着面を接触させるのみで施工可能であることから、迅速且つ容易に道路付帯設備を路面に固着し施工することができる。
【0019】
蓋体101及び嵌挿体102を一体化させる方法は特に限定されるものではなく、蓋体101及び嵌挿体102が金属製であれば溶接、接着、ビス止め、嵌合部を設けての嵌合等で一体化してもよく、樹脂製であれば前記の溶接以外のものに加え、溶着、融着等により一体化してもよい。
【0020】
図3は、本発明に係わる道路付帯設備の、他の実施形態を示すもので、a)は固着面側の平面図、b)はそのA−A断面図である。本実施形態に示す道路付帯設備10も、図1及び図2に示した円盤形の道路鋲であるが、扇形の窪み13に張り出し部14を設けることで入り口が奧より狭くなされた開口部1を設けたものである。路面に固着される際には、扇形の窪み13に接着剤が流入し、張り出し部14により上述の実施形態の如く、硬化した接着剤3に抜け止め部31が形成され、道路付帯設備10は路面に強固に固着される。
【0021】
かかる張り出し部14を設けることで、道路付帯設備10は1つの部材を路面に固着するのみで施工ができ、容易且つ迅速に施工が可能となる。更に張り出し部14を道路付帯設備10の成形時に同時に設ければ、張り出し部14が脱落する恐れが小さくなり好ましい。
【0022】
張り出し部14を道路付帯設備10の成形時に設けるには、鋳造、射出等の型成形によるものであれば、張り出し部14付近の型をスライド式にして成形するのが好ましい。また外形を成形した後、張り出し部14を切削により形成してもよい。
【0023】
図4は、本発明に係わる道路付帯設備の、更に他の実施形態を示すもので、a)は固着面側からの斜視図、b)は開口部の形成を示す断面図である。本実施形態も同様に道路付帯設備10は円盤状の道路鋲であるが、固着面2には円筒状の窪み部15が設けられ、窪み部15にはねじ孔151が螺刻されている。その窪み部15に、窪み部15の直径よりやや小さい直径のプレート部161及びねじ部162を有する断面T字型の部材16が取り付けられる。部材16はb)に示す如く、ねじ部162がねじ孔151に螺着されるが、ねじ孔151の深さよりねじ部162の長さは長くなされており、ねじ部162が螺着された後、プレート部161は窪み部15に当接することがない。窪み部15及び部材16により、固着面2には入り口が奧より狭く、接着剤が流入し硬化することで接着剤が抜け止めとなり得る開口部1が形成される。
【0024】
かかる窪み部15及び断面T字型の部材16により開口部1を形成することで、複雑な金型や加工を必要とすることなく開口部1を設けることができる。窪み部15及び部材16は、固着面2に適宜間隔をおいて複数設けて路面への固着力を更に高めてもよい。またねじ孔151及びねじ部162は、窪み部15及び部材16にそれぞれ一対に設けられていればよく、窪み部15にねじ部を設け、部材16にねじ孔を設けてもよい。
【0025】
図5は、本発明に係わる道路付帯設備の参考例を示すもので、a)は斜視図、b)はそのA−A断面図、c)は路面に固着されたときの断面図である。本実施形態において道路付帯設備10は断面台形状の道路鋲であり、傾斜された外面に反射体103が取り付けられている。道路付帯設備10にはその中央に貫通孔11が穿設されている。貫通孔11はb)に示す如く上下方向に貫通したものであるが、道路付帯設備10が路面に固着される際には、接着剤3が貫通孔11に流入し道路付帯設備10の上面にはみ出すことでそのはみ出した部分が抜け止めとなる。すなわち、入り口が奧より狭くなされた開口部は、貫通孔11及び道路付帯設備10の上面により形成されるものである。
【0026】
更に前記道路付帯設備10は、図6に示す断面図の如きものであってもよい。a)は参考例であり、貫通孔11の上部にざぐり部111を設け、貫通孔11及びざぐり部111により入り口が奧より狭くなされた開口部を形成するものである。更にb)に示す如く、反射体103を取り付ける前に路面と平行な方向に孔を開けて中空部12を形成し、固着面2から中空部12に貫通孔11を穿設することで、貫通孔11及び中空部12によって入り口が奧より狭くなされた開口部を設けてもよい。
【0027】
図7は、本発明に係わる道路付帯設備の、更に他の実施形態を示すもので、a)は斜視図、b)は路面への固着後の断面図である。道路付帯設備10は、道路に立設されて視線誘導や車線分離等を行う柱状の道路用標示体であり、a)に示す如くポールPとベースBにより構成されている。ベースBの下面が固着面となされるが、b)に示す如くベースBの下面に入り口が奧より狭くなされた開口部1が設けられ、開口部1に接着剤3が流入して硬化することで、接着剤3が抜け止めとなって道路付帯設備10は路面20に強固に固着される。
【0028】
図8及び図9は、本発明に係わる帯状反射体が取り付けられた道路付帯設備の、実施の一形態を示す説明図である。図8は帯状反射体を示すもので、a)は上面図、b)は側面図である。帯状反射体4は、ポリエチレン、ポリプロピレン等を用いて形成した基材41に、ガラスビーズ製の反射器42が取り付けられ、両端には取付用の貫通孔43が穿設されている。
【0029】
かかる帯状反射体4は、図9に示す如く道路付帯設備に取り付けられる。帯状反射体4はa)に示す如く、反射器42を外側にして曲折されることで道路付帯設備10に設けられた凹み部104に囲繞され、b)に示す如く、貫通孔43にビス44等が螺着されることで、帯状反射体4は道路付帯設備10に取り付けられる。
【0030】
本実施形態における道路付帯設備10である円盤状の道路鋲は、路面から突設されていないことで、車両等が踏みつけてもタイヤを傷付けたり、車両の挙動を乱すことがなく、車線端や交差点の表示等に好適に用いられるものである。更に帯状反射体4を取り付けることで、道路鋲の上端の高さが低く、目立たないものであっても再帰反射性により視認させることが容易となり、しかも再帰反射性は方向を選ばないものであることから、とりわけ交差点中央に設けて交差点の存在を道路利用者に喚起させるものとして好適に用いられるものである。
【0031】
本発明に係わる道路付帯設備は、形成する材質は特に限定されるものではないが、例えば図1〜図4に示す如き円盤状の道路鋲や、図5及び図6に示す如き断面台形状の道路鋲では、ABS、AAS、ポリカーボネート等の硬質の合成樹脂や、ウレタン樹脂、PE又はPPとゴム系のアロイ等の弾性を有する合成樹脂を用いてもよく、再生樹脂を用いてもよい。また合成樹脂を用いる場合には、ブロー成型により本発明に係わる開口部を形成してもよい。更にはアルミニウムやマグネシウム、又はそれらの合金を用いて形成すれば車両の衝突や踏み付けに対しての強度が高くでき好ましい。更に例えば図7に示す如き柱状の道路用標示体については、ポールにエラストマー、ウレタン、ゴム系等の弾性を有する合成樹脂を用い、ベースにポールと同系統の合成樹脂を用い、且つポールより硬度の高いものを用いるのが、ベースが変形し難くなり抜け止めとなされた接着剤が抜ける恐れが小さくでき好ましい。
【0032】
【発明の効果】
本発明に係わる道路付帯設備によれば、開口部から流入した接着剤が抜け止めとなされ、路面への固着力は接着剤と道路付帯設備表面との接着力ではなく、接着剤のせん断力に係わるものとなり、単に凹凸を設けるよりはるかに高い固着力が得られる。また高い固着力が得られることから、脚部やアンカーナットを用いる必要がなく、従って路面への空孔の穿設といった加工は必要でなくなる。
【0033】
本発明に係わる道路付帯設備の施工方法によれば、開口部から流入し固化した接着剤が抜け止めとなされ、路面への高い固着力が得られる。また、路面に接着剤を塗布し、その接着剤に固着面を接触させるのみで施工可能であることから、迅速且つ容易に道路付帯設備を路面に固着し施工することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わる道路付帯設備の、実施の一形態を示す説明図である。
【図2】本発明に係わる道路付帯設備の施工方法の、実施の一形態を示す説明図である。
【図3】本発明に係わる道路付帯設備の、他の実施形態を示す説明図である。
【図4】本発明に係わる道路付帯設備の、更に他の実施形態を示す説明図である。
【図5】本発明に係わる道路付帯設備の、参考例を示す説明図である。
【図6】本発明に係わる道路付帯設備の、a)は参考例、b)は更に他の実施形態を示す説明図である。
【図7】本発明に係わる道路付帯設備の、更に他の実施形態を示す説明図である。
【図8】本発明に係わる帯状反射体の一例を示す説明図である。
【図9】本発明に係わる帯状反射体が取り付けられる道路付帯設備の、実施の一形態を示す説明図である。
Claims (4)
- 路面に固着されて設置される道路付帯設備であって、該道路付帯設備は路面との固着面に奧より入り口が狭くなされた開口部が穿設され、路面に接着剤を用いて固着される際に、該開口部に流入した接着剤が硬化することで抜け止めとなされ、前記開口部は下方が開口されると共に、上方が道路付帯設備の上面により閉塞されていることを特徴とする道路付帯設備。
- 道路付帯設備は、外周面より高さが低くなされた凹み部が全周に亘って形成され、適宜間隔で多数のガラスビーズ製の反射器が配設され帯状に形成された帯状反射体が、前記凹み部に全周に亘って取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載の道路付帯設備。
- 道路付帯設備は、道路鋲であることを特徴とする請求項1又は2に記載の道路付帯設備。
- 道路付帯設備の路面との固着面に奧より入り口が狭くなされた開口部が穿設され、路面に硬化型の接着剤が塗布され、接着剤が流動性を有する状態で前記道路付帯設備の固着面を接着剤に接触させ、前記開口部から接着剤を流入させて、硬化した接着剤が道路付帯設備を路面に接着させると共に、前記開口部からの抜け止めとなされる道路付帯設備の施工方法であって、前記開口部は下方が開口されると共に、上方が道路付帯設備の上面により閉塞されていることを特徴とする道路付帯設備の施工方法。
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