JP3962173B2 - コークス炉壁面観察装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、コークス炉壁面の表面状態を観察する装置に関し、特に、これに限定する意図ではないが、撮影カメラの前方に左壁面ねらいの左鏡面と右壁面ねらいの右鏡面を置いて、カメラ旋回駆動して左鏡面と右鏡面に選択的に指向させて、左右壁面を観察する装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
特開平7−243975号公報には、壁面をCCDカメラで撮影し、画像デ−タを処理してレンガ面と目地とを分離する画像処理方法を提示している。
【0003】
カメラを壁面に正面対向させて撮影すると、壁面の自発光が強いので、凹凸が画面上に現れにくい。カメラの視野中心を壁面の法線より傾けることにより、凹突部の把握が比較的に容易になる。横断面がスリット状又はスポット状のレーザを壁面に斜めに投射すると、平面上の凹部又は突部では、レーザ光像が、平面のときの位置からずれるので、カメラの画面上のレーザ光像の位置ずれより、凹,凸を把握することができ、また、三角測量の原理に従って凹,凸の深さ,高さを算出することができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
いずれにしても、基準平面に対するカメラの撮影ねらい角が設計値からずれると、撮影画像の位置把握に誤差を生ずる。凹,凸の深さ,高さを算出する場合は、撮影ねらい角のずれは、凹,凸の深さ,高さ算出値に誤差をもたらす。コークス炉壁面の撮影の場合、カメラのねらい角は、±0.1°以下の誤差範囲内で設定するのが好ましいが、カメラを水冷ランスに装備しているので、人が「ファインダ」を覗くことはできず、撮影ねらい角を正確に設定又は調整するのが難かしい。
【0005】
本発明は、撮影ねらい位置の視認が容易なコークス炉壁面観察装置を提供することを第1の目的とし、壁面状態を比較的に簡易に把握しうるコークス炉壁面観察装置を提供すること第2の目的とし、壁面凹凸の検出精度が高いコークス炉壁面観察装置を提供することを第3の目的とし、コークス炉炭化室の炉壁の損傷に伴う変形,局所的な欠損部の位置や大きさ,深さを認識しうるコークス炉壁面観察装置を提供することを第4の目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
(1)本発明のコ−クス炉壁面観察装置は、コークス炉炭化室の炉壁面の画像をリニアイメージカメラで撮影するコークス炉壁観察装置であって、該コークス炉炭化室の高さ方向をz軸方法、奥行き方向をy軸方向、そして窯幅方向をx軸方向として、z軸を含む平面上において該z軸と直交する軸に対して傾斜したレ−ザ光線を射出し、コ−クス炉壁面にレ−ザスポットを現わす光源;該レ−ザスポットを撮影する、高さ方向zに延びる直線状の視野を有するリニアイメ−ジカメラ(5a);前記光源およびリニアイメ−ジカメラ(5a)を、z軸を中心に旋回駆動する駆動手段(6a);該駆動手段(6a)を支持する支持台(1);前記リニアイメージカメラで撮影した、複数のy位置における撮影画像データを記録する壁面用メモリ手段;該壁面用メモリに記録された撮影画像データを基に画像処理して、前記コ−クス炉壁面上のレーザスポット軌跡を追跡して記録するスポット軌跡メモリ手段;前記レーザスポット軌跡を表示する2次元ディスプレイ;および、前記コ−クス炉壁面上のレ−ザスポットと前記リニアイメ−ジカメラの視野の位置を調整するために、リニアイメ−ジカメラ(5a)と共に旋回して、該リニアイメ−ジカメラの旋回方向の視野位置と一致する、高さ方向zに延びる直線状の光像(13ai)を形成する光を投射する投光器(12a);を備える。なお、理解を容易にするためにカッコ内には、図面に示し後述する実施例の対応要素の符号を、参考までに付記した。
【0007】
これによれば、y軸に対してレ−ザ光線(P1)が傾斜(Ae:図3の(b))していると、コ−クス炉壁面(LW)が、x,y平面に平行な完全平面であると、レ−ザスポット(S1)はz方向の定位置となり、支持台(1)をy方向に駆動すると、レ−ザスポット(S1)の軌跡は、y軸に平行な直線となる。リニアイメ−ジカメラ(5a)の撮影画面上においてレ−ザスポット像(S1)は定位置である。
【0008】
レーザ光線(P1)が傾斜(Ae)しているので、リニアイメージカメラ(5a)が例えばレーザスポット(S1/S1a)を現わす光源(8a1)の上方にある場合(図3の(b))、コ−クス炉壁面に窪みがあると、図3の(b)においてS1にあるべきレーザスポットが、窪みの深さ分、壁厚方向xにシフトした位置のスポットS1aとなり、このシフトすなわち窪みの深さ分、上記定位置よりz方向で上側にずれ、リニアイメ−ジカメラ(5a)の画面上においてz方向にレーザスポット像(S1i)がずれる(例えば図4の(c))。支持台(1)をy方向に駆動すると、レーザスポット(S1a)の軌跡は、窪み位置で上突のカ−ブとなり、リニアイメージカメラ(5a)の撮影画面上に現われるレーザスポット像(S1i)のz位置をy位置対応でプロットすると、プロットの連なりも同様に、窪み位置で上突のカ−ブとなる。したがってリニアイメージカメラ(5a)の撮影画面上のレーザスポット像(S1i)のz位置軌跡に、直線とは異なるカ−ブ又は段差があるかを監視することにより、表面の凹凸を知ることができる。
【0009】
すなわち、支持台(1)をy方向に移動させながら、リニアイメージカメラ(5a)のz方向に延びる線分状の撮影画面の画像デ−タを、y位置対応で、y,z平面画像メモリに書込み、その画像デ−タを2次元ディスプレイに表示することにより、コークス炉壁面(略y,z平面)上のレーザスポット移動軌跡対応の、レーザスポット像軌跡が現われ、ディスプレイ上で、コークス炉壁面対応で、面の窪み,突起,曲り,傾斜(図4の(c)の曲線部)を認識することができる。
【0010】
リニアイメ−ジカメラ(5a)が、高さ方向zに延びる直線状の視野(10c/10,11)を有するものであるので、該カメラ(5a)の旋回方向の視野幅は極く狭いので、レ−ザスポット像(S1i)が該カメラ(5a)の視野から外れ易い。支持台(1)をコ−クス炉の外の、y,z模擬壁面がある試験場に置いて、光源(8a1)および投光器(12a)より光を投射すると、y,z模擬壁面上に、光源(8a1)によるレ−ザスポット像(S1i)、および、投光器(12a)による高さ方向zに延びる直線状の光像(13ai)が現われる。この光像(13ai)は、リニアイメ−ジカメラ(5a)の旋回方向の視野位置に一致する。したがってy,z模擬壁面上で、y,z平面に対するリニアイメ−ジカメラ(5a)の旋回方向の視野位置、ならびに、該視野位置の、レ−ザスポット像(S1i)に相対位置(例えば位置ずれ)を目視確認でき、便利である。
【0011】
【発明の実施の形態】
(2)前記リニアイメ−ジカメラ(5a)の前方にあってコ−クス炉壁面(LW)の光をリニアイメ−ジカメラ(5a)に反射する、前記支持台(1)に装備した反射手段(2,9L1,9L2,9R1,9R2);を更に備える。これによれば、狭いコークス炉炭化室内において、内壁面に面対向して内壁面を撮影するのと同様な撮影画像が得られ、画面上でのレーザスポット像の認知,切出しが容易かつ正確となる。
【0012】
例えばコークス炉炭化室の相対向する垂直2壁面(LW,RW)を、駆動手段(6a)にて光源(8a1)およびリニアイメージカメラ(5a)の向きを、一方の壁面(LW)に対向する反射面と他方の壁面(RW)に対向する反射面に、又その逆に切換えて、2面の観察を選択的に行なうことができる。
【0013】
本発明の他の目的および特徴は、図面を参照した以下の実施例の説明より明らかになろう。
【0014】
【実施例】
図1に、本発明の一実施例の外観を示す。中空のベースビームBBと中空のアッパビームUBは平行梁であって一体に固着され、それらに中空の垂直柱1が、内空間を連続にして一体に固着されている。この垂直柱1に平行なミラー管2が、垂直柱1と内空間を連続にして一体に固着されている。これら、ベースビームBB,アッパビームUB,垂直柱1およびミラー管2は2重管であり、内管と外管の間を冷却水が通流する。これらの組体を以下、水冷ランスと称す。
【0015】
垂直柱1の側面には、透光板3a〜3dで閉じた、垂直壁面撮影カメラ用の4個ののぞき窓があり、また、透光板4a,4bで閉じた、線状のレーザ光線を出射するための4個の窓があり、更に、左垂直壁面LWおよび右垂直片面RWの距離を計測するレーザ距離計(3対、計6個)のレーザ透光用の、透光板4c〜4eで閉じた、3対、計6個の窓がある。垂直柱1の上端には、透光板3eで閉じた、天井面撮影カメラ用の1個ののぞき窓があり、垂直柱1の下端には、透光板3fで閉じた、床面撮影カメラ用の1個ののぞき窓がある。
【0016】
垂直柱1の下端位置に、床面に乗ったシューSHがあり、これを介して水冷ランスの先端部が床面で支持される。水冷ランスの後端は、図示しないコークス押出機の押出ラムに装着され支持されている。炭化室の窯口から、ミラー管2および垂直柱1を室内に入れて、コークス押出機にて水冷ランスを炭化室内に押し込んで行くことにより、ミラー管2および垂直柱1が水平y方向に移動し炭化室の奥に進入する。図1には、ミラー管2および垂直柱1が炭化室内にある状態を示し、図1上の右方が炭化室の奥側、左方が窯口側であり、窯口から奥を見て、左側にある垂直壁面を左壁面LWと称し、右側にある垂直壁面を右壁面RWと称す。
【0017】
図2に、垂直柱1の、透光板3a,4a部の拡大縦断面を示す。垂直柱1の内部には、透光板3aに対向して第1のリニアイメージカメラ5aが配置され、透光板4aの内側には、第1組のレーザ投光器8a1〜8a4および第2組のレーザ投光器8b1〜8b4が配置されている。第1のカメラ5aとレーザ投光器の間には減速機内蔵の第1の電気モータ6aが配置され、この電気モータ6aが垂直柱1に固定されている。電気モータ6aの回転軸(出力軸)にカメラ5aおよび支持板7aが結合しており、この支持板7aに第1組および第2組のレーザ投光器8a1〜8a4,8b1〜8b4が固定されている。
【0018】
カメラ5aにスリットレーザプロジェクタ12aが固定されており、これが、横断面がz方向に延びる直線(スリット)状であって、カメラ5aのz軸廻りの旋回方向では、カメラ5aの視野と同一位置となるレーザを、透光板3aの前方に射出する。カメラ5aは電気モータ6aにてz軸廻りに旋回駆動され、したがってプロジェクタ12aも同時に旋回しそれが出射するレーザは常に、旋回方向での、カメラ5aの視野位置にある。
【0019】
第1組のレーザ投光器8a1〜8a4は、その上方にあるカメラ5aで撮影するレーザスポットを形成するためのもの、第2組のレーザ投光器8b1〜8b4は、その下方にある図示しない第2のリニアイメージカメラ5bで撮影するレーザスポットを形成するためのものである。カメラ5bは、透光板3b(図1)に対向し、第1のカメラ5aを、z方向に下方にずらしたものに相当する。カメラ5bはカメラ5aと同様に、垂直柱1に固定された、減速機内蔵の、図示しない第2の電気モータ6bの回転軸に結合している。ただし、この第2のカメラ5bおよび電気モータ6bには、レーザ投光器は結合されていない。カメラ5bにも、プロジェクタ12aと同様な図示しないプロジェクタ12bが固定されており、このプロジェクタ12bは、カメラ5bのz軸廻りの旋回方向の視野位置にレーザを出射する。
【0020】
第1のカメラ5aならびに第1および第2のレーザ投光器8a1〜8a4,8b1〜8b4がミラー管2の管軸をねらっている状態で、電気モータ6aが正転すると、カメラ5aおよびレーザ投光器8a1〜8a4,8b1〜8b4が、同時に、左壁面LWに対面する方向に同一角度回動する。電気モータ6aが逆転したときは、右壁面RWに対面する方向に回動する。第2のカメラ5bも、z方向には視野位置が異なるが、他の方向ではカメラ5bの視野方向と同一方向となるように、電気モータ6bによって回転駆動される。
【0021】
上述の2組のカメラ5a,5b、レーザ投光器8a1〜8a4,8b1〜8b4,電気モータ6a,6bおよびプロジェクタ12a,12bを1グループとすると、このグループと同様な構成の第2グループが、透光板3c,4bおよび3dの領域にある。すなわち、第1のカメラ5aに対応する第3のカメラ5cが透光板3cの内側にあり、第1および第2のレーザ投光器8a1〜8a4,8b1〜8b4に対応する第3および第4のレーザ投光器8c1〜8c4,8d1〜8d4が透光板4bの内側にあり、第2のカメラ5bに対応する第4のカメラ5dが透光板3dの内側にある。カメラ5cおよび5dにも、図示しないプロジェクタ12cおよび12dが同様な態様で装着されている。
【0022】
図3の(a)に、垂直柱1とミラー管2の水平断面を示す。上述のようにカメラおよびレーザ投光器を、垂直z軸を中心に旋回駆動しうる。ミラー管2には、左壁面LWの正面(90度)観察用の第1左鏡面9L1および斜め45度観察用の第2左鏡面9L2、ならびに、右壁面RWの正面観察用の第1右鏡面9R1および斜め45度観察用の第2右鏡面9R2があり、カメラ5a(およびレーザ投光器8a1〜8a4)を、例えば第1左鏡面9L1をねらう位置に回動させると、レーザ投光器8a1〜8a4が出射するレーザ光線P1〜P4が第1左鏡面9L1に当って反射され、そして左壁面LWに当り、レーザスポット(短ライン:本実施例では、y,z基準平面上でy方向30mm、x方向2mmの各幅)が左壁面LWに現われる。壁面は微視的には荒れた面であるので、レーザスポットから各方向にレーザが散乱する。その一部が第1左鏡面9L1に当ってそこで反射されてカメラ5aに入る。
【0023】
カメラ5aは、z方向を撮影するリニアイメージカメラ(1次元カメラ)であり、例えば第1左鏡面9L1をねらっているときには、図3の(b)に示す、z方向に延びる直線10(ただし、x方向にも少々の幅がある)が撮影視野であり、視野中心線Fcyは、水冷ランスが水平であるときには、水平であり、略y方向に延びる。視野中心線Fcyのy,z平面上の投影線がy軸に平行である。
【0024】
レーザ光がカメラ視野の端から斜めに入射する場合は、透過波長が短い方へシフトする。したがってレーザ投光器8a1〜8a4は、カメラ5aの視野中心付近にスポットを形成するものは685nm、視野周辺部にスポットを形成するものでは670nmの波長のレーザ光を出射するものとしている。
【0025】
図3の(b)に、第1組のレーザ投光器8a1〜8a4が出射するレーザ光線P1〜P4の光路(実線)および壁面上に現われるレーザスポットS1〜S4を
示す。なお、スポットS1〜S4は、壁面が垂直かつ完全な平面であると仮定した場合のものである。
【0026】
レーザ投光器8a1から出射され鏡面(9L1)に至るまでのレーザ光線P1は、カメラ5aの視野中心線Fcyおよびz軸を含む平面上にあり、しかも実質上水平な視野中心線Fcyに対して上向きに角度Aeをなす。他のレーザ投光器8a2〜8a4が出射するレーザ光線P2〜P4も、同様に視野中心線Fcyに対して上向きに傾斜している。ここでレーザ光線P1に注目すると、鏡面を介して、カメラ5aの壁面上の視野が、図3の(b)に示す11であるとし、壁面が完全垂直平面であると、壁面に、レーザ光線P1のスポットS1が現われる。ここで、壁面が下がる(鏡面/壁面間距離が増大する)と、レーザ光線P1が水平線(Fcy)に対して角度Aeの傾斜があるので、レーザ光線P1の壁面上のスポットはS1からS1aに移る。カメラ5aの画面上では、スポット像がS1からS1iに移動する。すなわちz方向に上シフトする。壁面が迫る(鏡面/壁面間距離が減少する)と、逆に下シフトする。すなわち壁面が窪んでいる所で、撮影画面上のレーザスポット像が上シフトし、突出している所で下シフトする。
【0027】
カメラ5a(および5c)はレーザ投光器8a1〜8a4(8c1〜8c4)の上方にあるので、上述のように壁面が窪んでいる所で、撮影画面上のレーザスポット像が上シフトし、突出している所で下シフトするが、カメラ5b(および5d)はレーザ投光器8b1〜8b4(8d1〜8d4)の下方にあるので、上記とは逆に、壁面が窪んでいる所で、撮影画面上のレーザスポット像が下シフトし、突出している所で上シフトする。
【0028】
この実施例では、各レーザ光線P1〜P4は、y,z基準垂直面上には、炉壁レンガのz方向分布ピッチで分布するレーザスポットS1〜S4を表わし、観察対象面が、y,z基準垂直面を形成するレンガ表面であるときには、z方向分布の各レンガのz方向中央位置にレーザスポットS1〜S4が現われる。
【0029】
レーザ光線P1〜P4は、概要で線状であるが、レーザスポットが基準位置S1〜S4からy方向にずれてもカメラ5aによる撮影を可とするために、横断面形状を、y,z基準垂直面上においてz方向幅は狭いが、y方向には広い矩形状としている(短ライン:本実施例では、y,z基準平面上でy方向30mm、x方向2mmの各幅)。Z方向に延びる略直線(図3の(b)の11)の視野を有するリニアイメージカメラ5aを用いて、上述の壁面のx方向の位置ずれをz方向の位置ずれとして観察する計測原理から、レーザ光線P1〜P4の、y,z基準垂直面の現われるスポット形状は、y方向幅は広くてかまわないが、z方向幅は、スポット光をカメラ5aの画像信号上で高いS/Nで摘出しうる限り、狭い程好ましい。y方向幅が広く輝度が均一なレーザ光源は、大型化し高価となる。
【0030】
そこでこの実施例では、小型,安価なレーザ光源を用いてz方向幅は狭く、y方向幅は該光源に対して取り得る広幅の、矩形状スポットを現わすようにしている。
【0031】
水冷ランスをコークス炉の外の、y,z模擬壁面がある試験場に置いて、プロジェクタ12aおよびレーザ投光器8a1〜8a4より光を投射すると、y,z模擬壁面上に、上述のレーザスポットS1〜S4が現われる。カメラ5aの、y,z模擬壁面に対するz方向の視野長は略1mである。プロジェクタ12aのレーザの、y,z模擬壁面上の光像13aiのz方向の長さは略50cmであり、その上端が大略で、カメラ5aのz方向視野の中央に位置し、図3の(b)に示すように、高さ方向zに延びる直線状の光像13aiが現われる。この光像13aiは、リニアイメージカメラ5aの旋回方向の視野位置に一致する。
【0032】
レーザスポットS1〜S4をリニアイメージカメラ5aで撮影するためには、レーザスポットS1〜S4のy方向幅(30mm)内にカメラ5aの視野が定まっていなければならない。
【0033】
プロジェクタ12aが出射するレーザは、鏡面9L1に直線13ar状に当って反射してy,z模擬壁面上に光像13aiを形成し、この光像13aiが、カメラ5aの、y,z模擬壁面上の視野11と重っている。この光像13aiの、レーザスポットS1〜S4に対するy方向(z軸廻りの旋回方向)相対位置が、これらのスポットS1〜S4に対するカメラ5aの視野位置であり、光像13aiがレーザスポットS1〜S4のy方向幅の中央に位置すると、カメラ5aのz方向狙い角と、レーザ投光器8a1〜8a4のz方向投光角の両者が適切であると言える。スポットS1〜S4のそれぞれのy位置は、レーザ投光器8a1〜8a4の図示しない支持機構の支持角度を調整することによって同一にする。スポットS1〜S4に対するカメラ5aの視野11(13ai)のy位置は、モータ6aの回転軸に固定されカメラ5aを支持する機構の支持角度を調整することによって、スポットS1〜S4のy方向中央に調整する。y,z模擬壁面上で、スポットS1〜S4に対するリニアイメージカメラ5aの視野位置を、レーザ光像13aiにて目視確認でき、便利である。
【0034】
再度図2を参照すると、第2組のレーザ投光器8b1〜8b4は、ミラー管2に対して下向き傾斜でレーザ光線を出射する。透光板3bの内側にある、図示しない第2カメラ5bと第2組のレーザ投光器8b1〜8b4との組合せは、第1カメラ5aおよび第1組のレーザ投光器8a1〜8a4を、透光板4aの中心点に関して略、上下対称な関係にあり、上述の第1カメラ5aによるレーザスポットの撮影と同様な撮影を行なう。すなわち、第2組のレーザ投光器8b1〜8b4が出射するレーザ光線の壁面上のスポットを撮影する。この第2カメラ5bの画面上では、第2カメラ5bがレーザ投光器8b1〜8b4の下方にあるので、壁面が窪んでいる所で、撮影画面上のレーザスポット像が下シフトし、突出している所で上シフトする。
【0035】
再度図1を参照する。上述の第1カメラ5a,プロジェクタ12a,第1および第2組のレーザ投光器8a1〜8a4,8b1〜8b4ならびに第2カメラ5bおよびプロジェクタ12b(透光板3bの内側に存在)の組合せすなわち組体、と同様な組体が、透光体3c,4b,3dの内側にある。したがって、多数のレ−ザ光線(P1等)が垂直柱1からミラー管2に出射されそこで反射されて壁面に当り、壁面にはz方向に実質上レンガピッチで分布する多数のレーザスポット(S1等)が現われる。透光板3a,3b,3cおよび3dの内側に各一個、計4台のリニアイメージカメラ(5a等)のそれぞれが、ミラー管1の鏡面を介してそれぞれ複数個のレーザスポットを撮影する。図3の(a)を参照すると、カメラ(およびレーザ光線)の指向方向を第1左鏡面9L1にすると、左壁面LWを正面対向で見る画像が得られ、第2左鏡面9L2にすると、左壁面LWを45度方向斜めに見る画像が得られ、第2右鏡面9R2にすると、右壁面RWを45度方向斜めに見る画像が得られ、第1右鏡面9R1にすると、右壁面RWを正面対向で見る画像が得られる。
【0036】
垂直柱1の上端の上向きの透光板3eおよび下部の下向きの透光板3fの内側には、それぞれ一台の、天井面全幅(x方向)および床面全幅(x方向)の視野を有するリニアイメージカメラが装備されており、これらは、直接に天井面および床面を撮影する。壁面の凹凸の識別を容易にするために、これらのカメラの視野中心線は、水平面に対して45度の角度(45度ねらい)に設定されている。
【0037】
ベースビームBB,アッパビームUB,垂直柱1およびミラー管2ならびにそれらを接続する中継管のすべてが、高耐熱のステンレス2重管であり、それらの内管と外管の間を冷却水が通流し、それらを内部から強制冷却する。ミラー管2の、鏡面9L1,9L2,9R1および9R2は、ステンレス管表面を平面に研磨し、そして鏡面研磨をして鏡面とした後、クロムメッキを施したものであり、鏡面も高耐熱である。
【0038】
次に、上述の壁面観察装置の使用態様を説明する。カメラ5aの指向方向を第1右鏡面9R1又は第2右鏡面9R2に設定して、炭化室内に水冷ランス(BB+UB+1+2)を前進させながら、水冷ランスの移動1mmごとに1パルスの割合で発せられる移動同期パルスが、1パルス発生する毎に、すなわちy方向に1mm進行する毎に、透光板3a〜3dの内側にある各カメラの1ライン分の画像信号をA/D変換して、各カメラ宛ての右壁面用メモリ領域に書込み、同時に、透光板3e,3fの内側にある各カメラの1ライン分の画像信号をA/D変換して、天井面宛ておよび床面宛てのメモリ領域に書込み、しかも、透光板4c〜4e(計6個)の内側にある各距離計(計6個)の計測距離デ−タを、距離計宛てのメモリ領域に書込む。水冷ランスは、蛇行や左右に振れながら前進するので、凹凸計算値を補正するために、先端部に図示しない蛇行センサを、同じく先端部に図示しない傾斜計も備えている。これらの計測値もメモリに書込む。
【0039】
コークス炉炭化室のほぼ全長に渡って、上述の計測を終えると、カメラ5aの指向方向を第1左鏡面9L1又は第2左鏡面9L2に設定して、水冷ランス(BB+UB+1+2)を後退させながら、同様に計測を行なう。ただし、天井面および床面の撮影は済んでいるので、透光板3e,3fの内側にある各カメラによる撮影は、行なう必要はない。
【0040】
次に上述のようにして得た右壁面の画像デ−タの処理を説明する。右壁面用メモリ領域の、各カメラの画像デ−タを、順次に指定して、図4の(a)に示すように不要部の画像デ−タを切捨てる。次に、窯口に入った画像始端からz方向pmmの始端範囲の画像デ−タにシェ−ディング補正を施し、そして図4の(b)に示すように、z方向pmmの始端範囲を、z方向小領域区分した各領域の平均輝度を求めて、各領域内の画像デ−タを規格化する。すなわち平均輝度に対する輝度差デ−タに変換する。そしてz方向各画素位置につき、同一画素位置にある輝度差デ−タを積算し、図4の(c)に示すように、積算値がピ−クとなるz方向画素位置を、レーザスポット軌跡の開始点(y0,z0)と定める。
【0041】
次に、図5の(a)に示すように、開始点y0からy方向m画素(mmm)進んだ位置y1=y0+mの、y方向の3画素の輝度平均値を算出してz方向の輝度ピ−ク位置z1を求める。そしてスポット軌跡メモリにy1対応でz1を書込む。次には、y1からy方向m画素進んだ位置y2=y0+2mの、z方向の、z1を中央とするn画素の画像デ−タ群をz方向にフィルタ処理してz方向の輝度ピ−ク位置z2を求める。そしてスポット軌跡メモリにy2対応でz2を書込む。以下同様な処理を繰返すことによってスポット軌跡を追跡し、y方向m画素ピッチで、z方向のスポット位置デ−タをスポット軌跡メモリに書込む。
【0042】
yi位置においてn画素の画像デ−タ群から抽出した輝度ピ−ク値が設定レベルより低い(スポットが不明瞭な)場合は、図5の(b)および(c)に示すように、y方向に1ピッチ(m画素)進めて、y(i+1)位置のピ−ク位置z(i+1)を算出し、ziを、〔z(i−1)+z(i+1)〕/2とする。
【0043】
上述のスポット軌跡の追跡を終了し、スポット軌跡メモリのz位置を、y方向で隣り合うものの間を線で結ぶ形で、2次元(y,z)ディスプレイに表示することにより、図4の(c)に「切り出し画像」として示すスポット軌跡(横線)が現われる。これらの横線上のz方向に上下している位置が、壁面上の凹凸位置であり、y平行線に対するz方向の上,下ピ−ク位置の差(Δz)が、凹凸の深さ又は高さ(Δx)に対応する。観察面が傾斜又は湾曲している所では、横線がy軸に対して傾斜したものとなり、傾斜角が観察面の傾斜角又は曲り半径に対応する。
【0044】
以上の通り、上述の実施例によれば、コークス炭化室のほぼ全長にわたって、三角測量の原理で壁面の凹凸,傾斜,曲りを表わす計測デ−タを得ることができる。複数本のレーザ光線は、炉壁画像との重ね合せで同時に撮影されるので、損傷位置(y,z)の把握や、振動によるレーザスポットの乱れを容易に判別出来る。損傷部位とレンガの位置の対応付けができるので、補修(例えば溶射補修)位置を特定できる。水冷ランスをコークス炉外の試験場の模擬壁面の場所においたときには、プロジェクタより光を出射して、模擬壁面上でレーザ光線のスポット像に対するカメラ視野(プロジェクタの光像)の相対位置を視認することができ、便利である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施例の外観を示す斜視図である。
【図2】 図1に示す垂直柱1の、透光板3a,4a部の拡大縦断面図である。
【図3】 (a)は、図1に示す垂直柱1およびミラー管2の、透光板3a部の水平断面図である。(b)は、図2に示すレーザ光源8a1〜8a4が出射したレーザ光P1〜P4が、鏡面9L1で反射されて垂直面にレーザスポットS1〜S4を表わし、これらのスポットをカメラ5aが撮影する光路の概要を示す斜視図である。
【図4】 (a)は、図1に示す垂直柱1の内部にあるカメラの画像デ−タを記憶したメモリの、画像デ−タ群の切取処理の概要を示す平面図である。(b)は、切取った画像デ−タ群の中のレーザスポット始点位置を決定するためのデータ処理の概要を示す平面図である。(c)は、始点位置からスポット位置追跡によって得るスポット軌跡を示すグラフである。
【図5】 レーザスポット始点位置からスポット位置追跡を行なうための、画処理対象画像デ−タの摘出と処理を示す平面図である。
【符号の説明】
BB:ベースビーム
UB:アッパビーム
SH:シュー
9R1,9R2:第1,第2右鏡面
1:垂直柱
2:ミラー管
3a〜3f,4a〜4e:透光板
Lw:左壁面
RW:右壁面
CW:天井面
FW:床面
5a:リニアイメージカメラ
6a:電気モータ
7a:支持板
8a1〜8a4,8b1〜8b4:レーザ光源
9L1,9L2:第1,第2左鏡面
9R1,9R2:第1,第2右左鏡面
P1〜P4:レーザ光線
SP1〜SP3:固定の支持板
10:鏡面上のカメラ視野
11:基準垂直面上のカメラ視野
S1〜S4,S1a:レーザスポット
S1i:カメラ5aで見たレーザスポット像
Fcy,Fcx:カメラ5aの光軸
Ae:傾斜角
12a:スリットレーザプロジェクタ
13a:スリットレーザ
13ai,13ar:スリットレーザ光像
Claims (2)
- コークス炉炭化室の炉壁面の画像をリニアイメージカメラで撮影するコークス炉壁観察装置であって、
該コークス炉炭化室の高さ方向をz軸方法、奥行き方向をy軸方向、そして窯幅方向をx軸方向として、z軸を含む平面上において該z軸と直交する軸に対して傾斜したレ−ザ光線を射出し、コ−クス炉壁面にレ−ザスポットを現わす光源;
該レ−ザスポットを撮影する、高さ方向zに延びる直線状の視野を有するリニアイメ−ジカメラ;
前記光源およびリニアイメ−ジカメラを、z軸を中心に旋回駆動する駆動手段;
該駆動手段を支持する支持台;
前記リニアイメージカメラで撮影した、複数のy位置における撮影画像データを記録する壁面用メモリ手段;
該壁面用メモリに記録された撮影画像データを基に画像処理して、前記コ−クス炉壁面上のレーザスポット軌跡を追跡して記録するスポット軌跡メモリ手段;
前記レーザスポット軌跡を表示する2次元ディスプレイ;および、
前記コ−クス炉壁面上のレ−ザスポットと前記リニアイメ−ジカメラの視野の位置を調整するために、リニアイメ−ジカメラと共に旋回して、該リニアイメ−ジカメラの旋回方向の視野位置と一致する、高さ方向zに延びる直線状の光像を形成する光を投射する投光器;
を備えるコ−クス炉壁面観察装置。 - 前記リニアイメ−ジカメラの前方にあってコ−クス炉壁面の光をリニアイメ−ジカメラに反射する、前記支持台に装備した反射手段;を更に備える請求項1に記載の壁面観察装置。
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