JP5842332B2 - コークス炉炭化室内壁面の観察装置 - Google Patents
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Description
また、上記特許文献2に記載の従来技術では、反射鏡が損傷され易い問題については解決していない。特に、撮像のための光路を形成する反射鏡が損傷され易いという問題を抱えることは、コークス炉において長期にわたる安定した使用に適さないことを示している。
そこで、本発明は、光源、撮像部、および光学系全体が断熱保護箱内に収容され、光学系の構造安定性が高いコークス炉炭化室内壁面の観察装置を提供することを目的としている。
本発明は、上記構成において、前記光学系が、反射面が平面状または鏡面状をなす反射鏡を備え、この反射鏡は、前記光源から出射された光線を前記コークス炉炭化室の内壁面へ向けて導くと共に、前記コークス炉炭化室の内壁面で反射した光線を前記撮像部へ向けて導く光路を形成する構成としてもよい。
本発明は、上記構成において、前記冷却媒体が、最も内側の前記内箱内に流通される冷却ガスと、最も内側の前記内箱より外側の箱との間の前記隙間に流通される冷却水と、からなる構成でもよい。
本発明は、上記構成において、前記光源、前記撮像部、および前記光学系が取り付け枠に支持され、これら前記光源、前記撮像部、および前記光学系が、前記断熱保護箱に緩衝部材を介して設けられていることが好ましい。
本発明は、上記構成において、前記移動手段が、移動台車であることが好ましい。
[観察装置の構成]
図1に示すように、本発明の実施の形態に係るコークス炉炭化室内壁面の観察装置1は、複数の観察部ユニット100と、これら観察部ユニット100を支持する、移動手段としての移動台車200と、で構成されている。この観察装置1の動作の詳細については後述するが、図7に示すように、移動台車200でコークス炉炭化室2の炉長方向(図中、矢印yで示す方向)に沿って移動しながら、観察部ユニット100でコークス炉炭化室2の内壁面21を観察・形状計測を行うようになっている。
先ず、観察部ユニット100の概略構成を説明する。図3〜5に示すように、観察部ユニット100は、断熱保護箱として、内箱101と、この内箱101を内側に入れ子状に収納する外箱102との二重構造を有している。外箱102は、内箱101に対して所定間隔を保って図示しないスペーサ等を介して着脱可能に支持されている。
図3および図6に示すように、内箱101は直方体形状である。この内箱101は、ステンレス板、一般構造用圧延鋼板などの金属板や、耐熱性を有するセラミックスその他の材料で製作することができる。この内箱101の中には、左右に対をなすように配置された光源としてのレーザ発振装置103と、撮像部としてのCCDカメラ104と、左右に対をなすように配置された第1反射鏡105と、左右にそれぞれ反射面を持ち、光の出射と入射が行われる第2反射鏡106などを含む光学系107と、が収納されている。内箱101は、これらの部材を取り付けたり、調整したりする都合から、六面体のうち少なくとも一面例えば上面が着脱可能な蓋状体(図示省略する)として設けられている。しかも、内箱101は、一対のレーザ発振装置103、CCDカメラ104、光学系107が、冷却媒体(本実施の形態では水)に濡れないように水密的に密封されている。
このため、CCDカメラ104位置から見て第2反射鏡106に写る反射光の形状が上下方向(図中、矢印zで示す方向)に線状となるように設定されている。したがって、内側壁部108Bには、図4に示すように、この形状の反射光の光路を確保するために上下に長い開口部108Dが形成されている。
図6に示すように、内箱101における、矢印x方向の両側に互いに対向する一対の側壁101Aには、上下に長い開口部に耐熱性ガラス板が嵌め込まれてなる内箱光透過窓111が設けられている。この内箱光透過窓111は、第2反射鏡106と対向する位置に設けられている。
図2〜5に示すように、外箱102は、上記内箱101を収納する直方体形状である。この外箱102は、内箱101と同様に、ステンレス鋼板、一般構造用圧延鋼板などの金属板や、耐熱性を有するセラミックスその他の材料で製作することができる。
図3および図4に示すように、外箱102における、矢印yで示す方向と反対方向側の後壁部102Aには、冷却媒体導入接続部112が設けられている。この冷却媒体導入接続部112は、内箱101の冷却媒体流通口101Cと対向する位置に配置されている。また、外箱102の後壁部102Aにおける、冷却媒体導入接続部112の上方側に後方へ向けて突出する筒状の冷却媒体排出口102Cが設けられている。さらに、図7に示すように、外箱102の側壁102Dには、内箱101の内箱光透過窓111と対向する位置に外箱光透過窓120が設けられている。なお、この外箱光透過窓120は、例えば、熱反射率50〜70%の断熱ガラスを嵌め込んで構成している。このため、外箱光透過窓120では、炉壁からの輻射入熱の影響を抑制できる。
図2〜4に示すように、筒体113の筒穴113Aには、2重管116が挿入されている。2重管116は、外側管116Aと、その内側に隙間を隔てて収納された構造を維持するように一体的に設けられた内側管116Bとでなる。外側管116Aの外径寸法は、内箱101の後壁部101Bに形成した冷却媒体流通口101Cの内径と同一に設定されている。なお、筒体113の筒穴113Aの内径寸法は、2重管116の外径寸法よりも大きく設定されており、外側管116Aの外周面と筒穴113Aの内壁面との間隙が第1流通路117となっている。この第1流通路117には、冷却水が流通される。外側管116Aと内側管116Bとの間隙は、第2流通路118となっており、冷却ガスが排出されるようになっている。また、内側管116Bの内部空隙は、第3流通路119となっており、冷却ガスが導入されるようになっている。なお、本実施の形態では、冷却ガスとして冷却した窒素ガスを用いている。
図2に示すように、外箱102の外側面には、冷却媒体導入接続部112、冷却媒体排出口102C、および外箱光透過窓120のみが露出するように、固形断熱材層121が所定の厚さで設けられている。この固形断熱材層121は、観察部ユニット100に及ぶ熱の影響を防止すると共に、観察部ユニット100が損傷されることを防止する機能を有する。
図1に示すように、移動台車200は、下部に炉内を走行するための走行手段210を備え、内部に冷却媒体供給装置201が搭載されており、矢印yで示す方向の前端の壁部202に、複数の観察部ユニット100が上下方向(図中、矢印zで示す方向)に沿って列をなすように固定されている。なお、観察部ユニット100同士の間隔は、上下方向に互いに隣接する観察部ユニット100で撮像される像を上下に貼り合わせる画像処理を行う際に、上下に隣接する観察部ユニット100同士間で像の欠落が生じない程度の間隔に設定されている。また、観察部ユニット100同士の間隔は、それぞれの光学系107の光学特性に依存するため、それぞれの光学系107の光学特性の設定に応じて決定することができる。
なお、この移動台車200は、自ら駆動手段を備えて走行する構成でも、移動台車200を炉長方向へ向けて押し出したり引き戻したりできる別途駆動手段を有する構成のどちらでもよい。
以下、観察装置1の動作および作用について説明する。
先ず、図7に示すようなコークス炉炭化室2に対して、観察装置1を窯口(図示省略する)から挿入して所定の速度で前進させ、図7に示すように、コークス炉炭化室2の奥(図中、矢印yで示す方向の炉端)まで達したら、後進するように設定されている。具体的には、移動台車200は、一例として毎分8mの速度で前進、後進するようになっている。
先ず、冷却水の流通について説明する。図1に示すように、冷却媒体供給装置201から3重管204を介して送出された冷却水は、図3および図4の矢印Iwで示すように、冷却媒体導入接続部112の第1流通路117から導入され、図4に示すように、外箱102と内箱101との間隙に流れ込む。なお、本実施の形態では、例えば、流量が毎分50〜150リットルで各観察部ユニット100の冷却を行うことができる。
また、複数の観察部ユニット100を1列に配置するようにしているので、内壁面の天井までの高さが異なるコークス炉で観察を行う場合には、観察部ユニット100の個数を調整することにより、任意の高さのコークス炉で内壁面の観察、表面状態の計測を行うことができる。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、この開示の一部をなす論述および図面はこの発明を限定するものではない。本発明は、様々な代替実施の形態、実施例および運用技術に適用することが可能である。例えば、上記の実施の形態では、コークス炉炭化室2の大きさに応じた観察装置1を用意したが、寸法設計の異なる別のコークス炉炭化室に適用可能とするため、図12に示すように、移動台車200の壁部202の上部に追加壁部202Aを付加可能とし、この追加壁部202Aに、追加用の観察部ユニット100を設けられるような観察装置1Aとしてもよい。
さらに、上記の実施の形態では、移動台車200の内部に冷却媒体供給装置201を配置したが、冷却可能なパイプなどを用いて冷却媒体供給装置を炉外に配置する構成としてもかまわない。
さらに、上記の実施の形態では、第2反射鏡106は平面から見てV字状の反射面を有するものを用いたが、曲面状の反射面を用いても勿論よい。
また、上記の実施の形態では、観察部ユニット100の冷却媒体導入接続部112をフランジ部同士の接合構造としたが、固定方法はこれに限定されるものではない。
また、上記の実施の形態では、内箱101の表面に冷却媒体ガイドリブ101Dを形成した、その構造は上記構造に限定されるものではない。なお、内箱101に冷却媒体ガイドリブ101Dを形成せずに、外箱102の内側面に冷却媒体ガイドリブを形成してもよい。さらに、本発明においては、冷却媒体ガイドリブ101Dを形成しない構成としても勿論よい。
Claims (10)
- 光源と、撮像部と、前記光源から出射された光線をコークス炉炭化室の内壁面へ向けて導くと共に、前記コークス炉炭化室の内壁面で反射した前記光線を前記撮像部へ向けて導く光学系と、が前記光線の通過を可能とする窓を有する断熱保護箱に収納されてなる観察部ユニットと、
前記観察部ユニットを支持し、前記コークス炉炭化室内を炉長方向に沿って移動する移動手段と、
を備え、
前記断熱保護箱は、外箱の内側に少なくとも1つの内箱が収納された入れ子状の多重構造でなり、前記外箱と前記内箱との間に隙間が形成され、最も内側の前記内箱に前記光源部、前記撮像部、および前記光学系が収納され、
前記断熱保護箱内には、冷却媒体としての冷却水が流通され、
最も内側の前記内箱の外側面に前記冷却媒体を循環させるための流路を規定する冷却媒体ガイドリブを設け、該冷却媒体ガイドリブは、前記内箱の後壁部から側壁に亘って、該側壁の中央部より下方に至るまで連続して突堤状に延在され、これにより、前記最も内側の前記内箱と該内箱より外側の箱との間の隙間を前記冷却媒体ガイドリブの上下で区画し、前記冷却媒体が、前記冷却媒体ガイドリブの下側を通過した後、上方に向けて流れることを特徴とするコークス炉炭化室内壁面の観察装置。 - 前記光源は前記撮像部の前方に配置され、前記光学系は前記光源の前方に配置されていることを特徴とする請求項1に記載のコークス炉炭化室内壁面の観察装置。
- 前記観察部ユニットは、前記移動手段に対して上下方向に沿って複数が列をなすように配置され、前記列の数は1以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載のコークス炉炭化室内壁面の観察装置。
- 前記光学系は、反射面が平面状または鏡面状をなす反射鏡を備え、
該反射鏡は、前記光源から出射された光線を前記コークス炉炭化室の内壁面へ向けて導くと共に、前記コークス炉炭化室の内壁面で反射した光線を前記撮像部へ向けて導く光路を形成することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のコークス炉炭化室内壁面の観察装置。 - 前記光学系は、レーザ光を反射して前記反射鏡に入射させる補助反射鏡をさらに備えることを特徴とする請求項4に記載のコークス炉炭化室内壁面の観察装置。
- 前記冷却媒体は、最も内側の前記内箱内に流通される冷却ガスと、最も内側の前記内箱より外側の箱との間の前記隙間に流通される冷却水と、を含むことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のコークス炉炭化室内壁面の観察装置。
- 前記光源は、レーザ光を上下方向に延長したスリットレーザ光を出力するレーザ発振装置であることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一項に記載のコークス炉炭化室内壁面の観察装置。
- 前記レーザ発振装置は2つ備えられ、前記反射鏡は水平断面V字形状に形成されて左右一対の反射面を有し、前記レーザ発振装置から出射されたレーザ光が、一対の前記反射面でそれぞれコークス炉炭化室の左右の内壁面に入射され、左右の前記内壁部からの反射レーザ光を前記反射鏡のそれぞれの反射面で、前記撮像部へ向けて反射するように設定されていることを特徴とする請求項7に記載のコークス炉炭化室内壁面の観察装置。
- 前記光源、前記撮像部、および前記光学系が取り付け枠に支持され、これら前記光源、前記撮像部、および前記光学系が、前記断熱保護箱に緩衝部材を介して設けられていることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか一項に記載のコークス炉炭化室内壁面の観察装置。
- 前記移動手段は、移動台車であることを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか一項に記載のコークス炉炭化室内壁面の観察装置。
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