JP3996813B2 - 炉壁観察装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、コークス炉炭化室をはじめとする高温の炉壁を観察する炉壁観察装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
コークス炉の炭化室をはじめとする高温の炉室においては、炉室を構成する炉壁が耐火物で構成され、該耐火物の劣化状況を的確に把握することが必要である。特にコークス炉の炭化室は、過酷な条件下で通常20年以上の長期間にわたって連続操業されるものであり、炭化室を構成する耐火煉瓦は熱的、化学的および機械的要因によって徐々に劣化する。そのため耐火煉瓦の劣化に起因するコークスの押し詰まりが生じたり、耐火煉瓦が脱落したりする。このような耐火煉瓦の脱落などの事故が生じるとその補修は困難であり、操業に著しい影響が及ぼされる。従って、炭化室内の特に炉壁を構成する耐火煉瓦の状況を常時把握しておくことは、コークス炉操業管理上極めて重要である。
【0003】
炭化室炉壁の比較的に小さな損傷部は耐火物を溶射して埋め、レンガ欠落部には耐火レンガをはめ込んで目地に耐火物を溶射して修復する。このため、炭化室内が赤熱している状況において、必要な解像度で表面を観察し、損傷を発見して位置を把握することが重要である。
【0004】
操業の合間の短時間を利用してコークス炉窯口から炉内壁を観察する方法では、炉内が高温であるので窯口の外から内部を観察せざるをえず、炭化室は上述のように炉の奥行きが深いのに対して幅が狭いので、炉奥の内壁耐火物は遠方から浅い角度での観察となり、表面の観察は非常に難しい。
【0005】
特開平3−105195号公報では、コークス炉炭化室の窯口よりカメラ(通常の2次元ITVカメラ)を搭載したカメラ搬送用ブームを炉内に挿入し、炉長方向に移動しながら炉内壁面を撮影する方法が開示されている。炭化室の幅は非常に狭いので、カメラを炭化室内壁に正対したのではカメラと内壁との距離が得られず、撮影範囲が狭くなって必要な範囲の画像が得られないので、カメラを壁面に対して斜めに取り付けて浅い角度で壁面を視野に入れて撮影する。特開2001−3058公報に記載のものも、炉壁に対して斜めの方向からカメラで撮像している。特開2001−11465公報においては、断熱容器内に収容したビデオカメラを炉壁に垂直に向けて撮像を行っている。
【0006】
上記特開2001−3058公報及び特開2001−11465公報に記載のものは、撮像カメラやデータ収録装置を断熱容器の内部に収納している。炉外からの冷却水供給は行わず、従って冷却水配管を必要としない。測定及び得られた画像データや測定データの収録を断熱容器内の検査ユニットの内部にて完結せしめ、高温下にある炭化室内における信号線及び給電線等の配設を不要とし、これらの配線の水冷構造を必要としない簡素な構成にして壁面検査を実現する。
【0007】
特開昭61−114085号公報においては、水冷ボックス内にプリズムとテレビカメラを内蔵し、水冷ボックスの観察窓を通してプリズムに反射して映る炉内状況をテレビカメラに撮影する方法が開示されている。
【0008】
特開平3−105196号公報に記載のものは、コークス押出機の押出ラムヘッドに耐火性鏡面を配設し、鏡面に映される炭化室内壁面の映像を、ズームレンズをそなえた望遠テレビカメラで撮像する。望遠テレビカメラは炭化室の炉外に配設され、窯口を通して炉内の鏡面に映る映像を撮像する。押出ラムヘッドを炭化室の窯口から反対側窯口まで移動することにより、炭化室内全域壁面の状況を、画像情報として位置情報と合わせて収録することができる。鏡面とカメラとの間の距離に合わせてズームレンズの拡大率及び焦点を調整することができる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
特開平3−105195号公報や特開2001−3058公報に記載のものは、このようにして撮影した内壁の画像は、カメラを壁面に対して斜めに取り付けて浅い角度で壁面を視野に入れて撮影するので、カメラに近い側の画像は撮影範囲が狭く、反対にカメラから遠い側の画像は撮影範囲は広いが対象が小さくしか写らず、必要な解像度が得られない。また、このような撮影方法では、全視野にわたってフォーカスを合わせることは困難である。上記公報では、得られた斜視像を画像処理してあたかも炉壁に対して正対させて撮影したような正面画像に変換する発明が開示されているが、このような画像処理を行っても、遠方を撮影した部分の解像度が十分に得られない点、全視野にわたってフォーカスを合わせることが困難である点は変らない。さらに、このような斜め方向からの観察では、炉壁表面における縦方向の細い割れやレンガ間の目地開きが見えにくい。
【0010】
特開2001−11465公報に記載のビデオカメラを炉壁に垂直に向けて撮像を行う方法においては、炭化室の左右炉壁間は間隔が極めて狭く、ビデオカメラのレンズと炉壁との距離を十分にとることができず、ビデオカメラ1視野で撮像できる炉壁表面の範囲が極めて狭くなる。
【0011】
上記特開2001−3058公報及び特開2001−11465公報に記載された、撮像カメラやデータ収録装置を断熱容器の内部に収納する方法においては、装置を軽量化して押出機等の移動装置に簡単に着脱できる利点を有する。一方、断熱容器内の装置は炉外の装置との間で信号の授受ができないので、得られた画像情報を撮像カメラの位置情報と結合することができず、画像情報から得られた損傷個所が炉内のどの位置に存在するのかを正確に把握することが難しい。また、収録したデータは断熱容器から取り出して再生する必要があるので、炉外に取り出した断熱容器が十分に冷却するまでデータを再生することができない。そのため、複数の炭化室を観察したい場合には作業効率が悪い。
【0012】
また、断熱容器といえども単に断熱材によって熱を遮断するのみであるため、コークス炉のように高温状態の炉内に滞在できる時間はせいぜい3分程度である。コークス炉の押出機を炉内に挿入し炉内を1往復するだけでも通常は3分程度の時間を必要とする。従って、炉内に滞在できる時間が最大で3分では余裕時間が少なく、押出しに時間を要すと撮像装置等の電子機器が破損することも考えられる。
【0013】
特開昭61−114085号公報に記載された、ボックス内にプリズムとテレビカメラを内蔵する方法においては、十分に広い炉壁面領域を撮像しようとすると、ボックスに開口する観察窓の大きさを大きくする必要がある。水冷ボックスを用いずに上記断熱容器を用いる場合には、この大きな観察窓から浸入する熱による断熱容器内部の温度上昇が激しく、高温の炉内に観察に必要な時間だけ滞在することができなくなる。
【0014】
特開平3−105196号公報に記載の、押出ラムヘッドに耐火性鏡面を配設し、炉外にそなえた望遠テレビカメラで鏡面に映る炉壁映像を撮像する方法においては、特にテレビカメラから遠い側の窯口付近を撮像する際には鏡面とテレビカメラとの間の距離が大きくなる。炭化室内は粉塵が多いので、鏡面に映る壁面の映像を炉外のカメラで撮像することは困難である。また、耐火性鏡面は、常温の炉外から高温の炉内に挿入する際の急激な昇温で変形を生じるので、挿入前に予熱装置で予熱しておく必要もある。また、高温の炉内雰囲気に曝されることにより、鏡面の表面に曇りが生じ、長期間にわたって光学的性能を維持することができない。
【0015】
本発明は、コークス炉炭化室等の相対する炉壁の表面を観察する炉壁観察装置において、装置が小型軽量でかつ冷却水配管等を必要とせず、押出機等の移動装置に簡単に着脱でき、なおかつ壁面における必要な観察範囲を観察することができ、十分な耐久性を有する炉壁観察装置を提供することを第1の目的とする。
【0016】
本発明はまた、小型軽量かつ簡便という利点を保持しつつ、撮像した炉壁画像情報と撮像位置情報とを結合することを可能にするとともに、撮像結果を迅速に利用して炉壁補修計画を立案することのできる炉壁観察装置を提供することを第2の目的とする。
【0017】
本発明はさらに、小型軽量かつ簡便という利点を保持しつつ、高温の炉内滞在時間を十分に確保することのできる炉壁観察装置を提供することを第3の目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するためになされたものであり、その要旨とするところは以下のとおりである。
(1)断熱容器3内に収納した撮像装置8で観察窓越しに、断熱容器3の外側に配設した鏡面2に映る炉壁表面を撮像して、相対する炉壁42の表面を観察する炉壁観察装置において、断熱容器3は、撮像装置8を設置した空間を囲んで、吸熱能力を有する液体を充填し、且つ上部に注入口、下部に排出口を有するジャケット5と、その外側を覆う断熱材と、耐熱ガラスで構成した観察窓とを有し、炉内での炉壁観察中には液体を供給排出するための配管が接続されておらず、撮像装置8は2次元の画像信号を出力する2次元カメラであり、鏡面2は、内部に沸騰冷却する冷却水を収納する容器の表面に設けられた2枚の平らな鏡面であり、鏡面2それぞれに相対する炉壁42の各表面を映して、撮像装置8で撮像することを特徴とする炉壁観察装置。
(2)断熱容器3内は、ワイヤレス伝送送信機18を収納し、断熱容器3内の炉外側に向いた壁には伝送用の窓17を有し、炉外にはワイヤレス伝送受信機21とデータ記録装置22とを配置し、撮像装置8から出力された画像信号をワイヤレス伝送送信機18からワイヤレス伝送受信機21に送信し、撮像装置8の炉内位置情報を前記画像信号とを併せてデータ記録装置22に記録することを特徴とする上記(1)に記載の炉壁観察装置。
(3)データ記録装置22は、記録装置30と画像処理装置31とを具備し、
画像処理装置31は、外部から入力される撮像現在位置データが設定された距離だけ増加するごとに、前記画像信号から得られた炉壁面の静止画像を取り込んで、次々に撮像される静止画像をつなぎ合わせて連続した1枚の炉壁面静止画像を導出することを特徴とする上記(1)又は(2)に記載の炉壁観察装置。
(4)炉壁42はコークス炉炭化室の炉壁であり、断熱容器3及び鏡面2はコークス炉の押出機43に設置されており、撮像装置8は、押出機43がコークス炉炭化室内の奥行き方向に移動するにつれて炉壁面を撮像して画像信号を出力し、画像処理装置31は、押出機43の現在位置データに基づいて求められた撮像現在位置データに基づき所定の移動量ごとに、該所定の移動量よりも幅の広い前記炉壁面の静止画像を次々と取り込み、隣り合った静止画像の重複部分を用いてパターンマッチング処理を行い、静止画像の重なりについて微調整を行って、炭化室の奥行方向の静止画像として生成することを特徴とする上記(3)に記載の炉壁観察装置
【0020】
【発明の実施の形態】
本発明を図1〜図7に基づいて説明する。
本発明は、狭い間隔で相対する高温の炉壁42を有する炉、例えばコークス炉炭化室41の内部において使用する炉壁観察装置を対象とする。
【0021】
撮像装置8としては、CCDカメラとそれを制御するカメラコントローラなどを用いることができる。撮像装置8の視野方向を図2、図4に示すように炉壁42に平行に配置すると良い。そして、撮像装置8の視野方向に鏡面2を配置し、鏡面の角度は、撮像装置8の位置から観察したときに炉壁表面の映像が鏡面2に映るごとく調整する。通常は、図4に示すように、鏡面2と炉壁42との角度を45°とすれば、炉壁表面を垂直な方向から見た映像を得ることができるので好ましい。従来のように、炉壁を斜め方向から観察する方法においては、炉壁表面における縦方向の細い割れやレンガ間の目地開きが見えにくいという問題があったが、本発明は壁面を正面観察に近い状態で撮像することができるので、縦方向の細かい割れやレンガ間の目地開きを明確にとらえることができるようになる。もちろん、炉壁を斜めの方向から見た方が炉壁表面の凹凸を明瞭に観察できるような特別の場合には、鏡面と炉壁との角度を45°以外の開度とすることによって対応することができる。
【0022】
炉内観察中において、通常は撮像装置8と鏡面2との距離を一定とする。撮像装置8と鏡面2との距離を長くするほど、炉壁に平行な方向の有効鏡面長さを長くすることができ、鏡面を観察する撮像装置視野13の範囲(長辺側長さ)を広くすることができる。一方、炉壁に垂直な方向、即ち幅方向の有効鏡面幅については、炉壁の間隔が狭いので広くすることができず、撮像装置視野13の範囲(短辺側長さ)を広げることはできない。コークス炉炭化室の観察においては、炉壁表面での撮像装置視野13の長辺側長さを500〜600mm程度とすると、一般的なCCDカメラで損傷検出に十分な空間分解能約1mmの観察ができる。炉壁表面での撮像装置視野13の短辺側長さは、炉壁を垂直方向から観察する場合、150〜200mm程度となる。
【0023】
鏡面2の配置方向としては、図2〜4に示すように、鏡面の長手方向を炉の高さ方向、即ち炉の奥行方向と直角の方向とすると良い。炉の奥行方向は炉壁42を観察しつつ炉壁観察装置1を移動する方向であり、移動しながら観察を行うことによって炉の奥行方向の炉壁観察結果を蓄積することができる。従って、鏡面の長手方向を炉の奥行方向(移動方向)と直角の方向とすることにより、炉壁表面の撮像情報を最大限に採取することができる。
【0024】
本発明において、図1〜図5に示すように撮像装置8をはじめとする電子機器は断熱容器3内に収納し、鏡面2は断熱容器3の外側に配置する。断熱容器3に対しては、炉外からの冷却水の供給や電源配線・信号配線の接続を有しない。従って、炉内に設置する炉壁観察装置を軽量かつ小型化することができ、炉内に挿入し移動する構造物、例えばコークス炉炭化室41のコークス押出機43に容易に着脱することが可能である(図2)。図4に示すように、断熱容器3はその表面を断熱材4によって被覆し、短時間であれば高温の炉内に滞在して内部の電子機器を正常に作動させることができる。コークス炉炭化室41であれば、炉内に3分間滞在することが可能であり、炉壁観察装置1を装着したコークス押出機43を炉内に挿入し、炉の奥行方向全長を観察して炉外に抽出するための最低限の時間を確保することができる。断熱容器3を被覆する断熱材4としては、例えばセラミックファイバーボードまたはケイ酸カルシウムボード等を用いることができる。
【0025】
本発明においては、鏡面2を断熱容器3の外側に配置するので、観察装置の視野を確保するための断熱容器3の観察窓16を最小限の大きさに留めることができる。プリズムをボックス内に収納する従来技術においては、ボックスに設置する観察窓の大きさを大きくする必要があり、本発明のように断熱容器3を用いる場合には観察窓から容器内に浸入する輻射熱によって容器内の温度が急速に上昇する問題があったが、本発明のように鏡面2を断熱容器3の外側に配置した結果として、観察窓16を小さくできるので、ここから浸入する輻射熱を最小限に留め、断熱容器内の温度上昇を防止することができる。観察窓16には石英ガラス等の耐熱ガラスを装着する。耐熱ガラスは金属蒸着等の手段によって外部からの輻射熱を反射する機能を有することが好ましい。
【0026】
本発明の鏡面2としては、図4(a)に示すように1枚の鏡面として一方の炉壁42aを観察することとしても良い。一方、上記の発明にあるように(図4(b))、角度の異なった2枚の鏡面(2a、2b)から構成され、各鏡面によって相対する炉壁(42a、42b)の各表面が映し出されるようにすると好ましい。図2、図4(b)に示す例においては、第1の鏡面2aは第1の壁面42a表面を映し出し、第2の鏡面2bは第2の壁面42b表面を映し出し、両者を単一の撮像装置8によって同時に撮像することができる。これにより、1台の撮像装置8を収納した炉壁観察装置を用い、炉の奥行方向に1回移動することにより、左右両側の炉壁表面観察結果を得ることができる。また、左右の炉壁を同時に見比べることが可能になる。さらに、左右の炉壁を1台の撮像装置8で観察できるので、断熱容器内に2台の撮像装置を収容する場合に比較し、断熱容器の観察窓16の開口面積を小さくすることができ、輻射熱が断熱容器内に浸入して温度が上昇する割合が小さくなる。
【0027】
本発明の鏡面2は断熱容器3の外側に配置されるので、鏡面2は炉内の高温雰囲気に直接曝される。本発明の上記においては、図4(b)に示すように、内部に冷却水6を収容する容器11の表面を鏡面2とする。本発明の炉壁観察装置が高温の炉内に滞在する時間は短時間であり、このような時間内であれば、容器11内の冷却水6が温度上昇し沸騰して容器11を沸騰冷却し、容器11の温度を冷却水の沸点(水を用いた場合には100℃)以下に保持することができ、容器表面に形成した鏡面2の光学的性能を長期間にわたって維持することができると共に、鏡面2の平面度を同じく長期間にわたって維持することができる。本発明は、鏡面2の冷却のために炉外から冷却水を供給する必要がなく、また鏡面の予熱装置を用いる必要がないので、コークス押出機等の移動装置に簡単に装着することが可能である。
【0028】
内部に冷却水6を収容する容器11は、図2、図4(b)に示すように断面矩形の長い形状とし、4面の外面のうちの2面を鏡面2とし、残り2面については必要に応じて断熱材12で断熱すると良い。容器11そのものをステンレス鋼製としてその表面を研磨加工して鏡面仕上げにするのが簡単である。
【0029】
断熱容器内の撮像装置8で撮像した映像は、データ記録装置に記録し、最終的に記録したデータを用いて炉壁の画像情報を作成することが必要である。データ記録装置22は、本発明の上記にあるように断熱容器内に収納しても良い(図4)。一方、本発明の上記にあるように、断熱容器内にはワイヤレス伝送送信機18を収納し、炉外にワイヤレス伝送受信機21とデータ記録装置22とを配置するとより好ましい(図5、図3)。撮像装置8で撮像した情報をワイヤレス伝送送信機18からワイヤレス伝送受信機21に送信し、データ記録装置22に記録する。データ記録装置22においては、記録用コンピュータなどの記録装置30に記録すると同時に画像表示装置31にて撮像画像を表示するようにすれば、炉壁観察装置を炉内に挿入して観察すると同時に観察結果を確認することができる。1000℃の炉内から戻ってきた断熱容器は外側が高温になっているので、時間をおいてからでないと内部のデータを取り出すことができない。それに対し、本発明では炉壁観察装置を炉内から抽出して装置の冷却をまって画像データを取り出すという手間が必要ないので、迅速に炉壁の状況を確認することができる。また、炭化室炉内から抽出した炉壁観察装置を、すぐに次の炭化室の観察に使用することが可能になる。
【0030】
炉内の断熱容器から炉外へのワイヤレス伝送については、電磁波を用いた無線送信、あるいは可視光や赤外線などの光を用いたワイヤレス伝送を用いることができる。ワイヤレス伝送を行う場合、断熱容器3の炉外側に向いた壁には伝送用の窓17を設ける。窓17には耐熱ガラスを装着し、伝送媒体として電磁波を用いる場合には、外部からの輻射熱侵入を防止するためのコーティングには金属膜コーティングは用いず、シリカコーティングのような非電導性材料のコーティングを行う。
【0031】
図7に示すように、ワイヤレス伝送にデジタル信号を電波で伝送するデジタル無線送受信機(27、28)を採用することができる。撮像装置8からはアナログの画像信号が出力されるので、この信号をA/D変換器26でデジタル信号とし、このデジタル信号をデジタル無線送信機27で送信し、炉外のデジタル無線受信機28で受信する。受信したデジタル信号はD/A変換器29でアナログ信号に変換して画像表示装置31などの記録計に出力したり、あるいはデジタル信号のままで記録装置30などに記録することができる。
【0032】
断熱容器内にワイヤレス伝送送信機18を配置した場合、撮像情報を断熱容器から外部のワイヤレス伝送受信機21に伝送し、そのデータを外部のデータ記録装置22に記録する。その際、本発明の上記にあるように、撮像情報とともに、撮像装置の炉内位置情報(炉内水平方向の撮像現在位置データ35)を同時にデータ記録装置22に記録することもできる。外部データ記録装置22は炉外に配置されているので、撮像装置8を搭載した押出機43の現在位置データから撮像装置8の撮像現在位置データ35を算出して取り込むことができるからである。その結果、外部データ記録装置22においてリアルタイムに水平方向の撮像位置と撮像データとを対応させることが可能になり、観察中において即座に炉内の損傷個所や要補修個所を特定することができる。
【0033】
上記とは逆に、断熱容器内にデータ記録装置22とワイヤレス伝送受信機を設置し、外部から断熱容器に対して断熱容器の炉内挿入時刻および炉内水平方向の撮像現在位置データ35を常時ワイヤレス送信し、撮像データと炉内水平方向の撮像現在位置データ35を同時に断熱容器内のデータ記録装置22に記録することもできる。
【0034】
ワイヤレス伝送送信機18及びワイヤレス伝送受信機21には、送信と受信の両方の機能を兼ね備えた送受信機を用いても良い。
【0035】
断熱容器3は、本発明の上記にあるように(図1)、吸熱能力を有する液体7を充填したジャケット5と、さらにその外側を覆う断熱材4とを有することとすると好ましい。一般に、液体は質量・体積あたりの熱容量の大きいものを選択することができる。工業的に最も容易に入手できかつ吸熱材料として最適な液体として、水を用いることが好ましい。断熱容器3を高温の炉内に挿入した際、断熱容器の外側を断熱材4が覆っているので、断熱材4を通過して内部に浸入する熱量を小さくすることができる。さらに、断熱材4の内側には吸熱能力を有する液体7を充填したジャケット5が存在するので、内部に浸入した熱はまずこの液体7、例えば水の温度を上昇するのに費やされる。水は熱容量が大きいため、断熱容器内部の温度上昇を遅らせることができる。更に、水の温度が100℃に達すると沸騰により大量の気化熱を奪うため、断熱容器内部の温度が100℃を超えることはない。水の温度が100℃に到達して沸騰を開始した際の水蒸気を放出するため、断熱容器3の上部には開放口を設けるかあるいは安全弁を設けると良い。本発明の炉壁観察装置においては、炉内での炉壁観察中には液体を供給排出するための配管が接続されていない点が特徴である。
【0036】
コークス炉の炉幅は通常400mm程度であり、本発明の炉壁観察装置はこのスペースに余裕を持って挿入可能な寸法とする必要がある。吸熱液体として水を用いる場合、水を収納するジャケットは炉幅方向で水の占める幅を左右それぞれ40mm程度とする。断熱容器外周の断熱材4としては、例えばセラミックファイバーボードを用い、断熱材4の厚さを30mm程度とすることができる。炉壁観察装置の外部寸法をL500mm×W300mm×H500mmとしたとき、炉壁観察装置を収納する内部空間はL380mm×W160mm×H300mm程度となる。
【0037】
このような形状を有する炉壁観察装置を炉内温度1000℃のコークス炉炭化室41に挿入したとき、炉壁観察装置を収納する内部空間の温度は、挿入後経過時間ごとに、3分後25℃、5分後40℃、7分後55℃となる。断熱容器内に収容する各種電子機器の通常使用温度上限は50℃であるから、高温の炉内に5分間は滞在することが可能である。
【0038】
本発明の炉壁観察装置によるコークス炉炭化室の炉壁観察においては、例えばコークス押出機43に本発明の炉壁観察装置1を搭載して測定を行う場合、押出機はレールの上を移動しながら乾留が完了した炭化室のコークスを押し出す作業を5〜10分間隔で連続して次々と繰り返していき、この作業の中で多数の炭化室の炉壁観察を行うこととなる。1回の炭化室挿入によって断熱容器内の液体は温度が上昇しているので、時間をおかずにこのまま次の炭化室に挿入しての測定を行うと、断熱容器内の液体7の温度は逐次上昇し、炉内滞在可能時間が短くなる。図6に示すように、本発明の断熱容器3の下部に内部の液体を排出するための排出口23を設けておき、炉壁観察が完了する毎に温度が上昇した内部の液体を排出して温度が低い新しい液体を投入することにより、液体の温度上昇を防止できる。新しい液体投入時に注入口24から冷えた液体を供給しつつ排出口23からの排出を継続すれば、断熱容器自身の温度も低下させることができる。この結果、各回毎に十分な炉内滞在時間を確保することができる。
【0039】
断熱容器内にワイヤレス伝送送信機18を配置した場合、さらに図7に示すように断熱容器内に断熱容器の温度やジャケット内の液体温度を測定する温度計36を設置し、測定した温度をワイヤレス伝送送信機18によって炉外に送信することもできる。これにより、炉外において現時点の炉壁観察装置の温度を把握することができ、温度が管理上限に近づいたときには測定を中止して炉壁観察装置を炉外に引き出すことにより、異常高温による炉壁観察装置の損傷を未然に防ぐこともできる。
【0040】
本発明の炉壁観察装置は、予め炉内の観察位置を定め、当該位置の炉壁を静止画として撮像しても良い。これにより、損傷の発生が予測された炉壁位置の状況を画像としてとらえることができる。
【0041】
一方、本発明の上記にあるように、撮像装置8を炉の奥行方向に移動しつつ撮像を行い、撮像データをデータ記録装置22に記録することとするとより好ましい。撮像装置8の炉奥行方向移動は、例えば図3に示すように、撮像装置8を収納した断熱容器3をコークス炉炭化室41のコークス押出機43に装着し、ラム駆動装置46の動作によってコークス押出機43を一定速度で炉内に挿入しあるいは抽出する動作によって行う。連続的に撮像を行いつつ撮像装置8を移動し、撮像結果を動画として観察することが可能である。
【0042】
より好ましくは、本発明の上記にあるように、撮像装置8を炉の奥行方向に移動しつつ撮像を行い、データ記録装置22に記録した撮像データを加工して結合することにより、炉の奥行方向の広い範囲を1枚の静止画像として取り出すことも可能である。例えばコークス押出機の移動速度が300mm/秒であって、撮像装置の静止画像撮像間隔が1/30秒の場合、1枚の静止画像撮像から次の静止画像撮像までの間に撮像装置は10mm移動する。従って、1枚の静止画像の幅方向(炉の奥行方向)の撮像範囲を10mmとし、次々と撮像する静止画をつなぎ合わせれば、コークス押出機を移動する全長にわたって、炉壁表面画像を連続した1枚の静止画像として入手することができる。あるいは、幅方向の撮像範囲を100mmとし、静止画像撮像間隔を1/3秒として撮像することもできる。図9には、隣り合った8枚の静止画像を画像接合位置15において接合し、広い領域の画像14とした炉壁画面を示す。このデータ処理は、データ記録装置22において行うことができる。
【0043】
断熱容器内にワイヤレス伝送送信機18を配置した場合であって、撮像情報を断熱容器から外部のワイヤレス伝送受信機21に伝送し、そのデータを外部のデータ記録装置22に記録するとともに、撮像装置の炉内位置情報(炉内水平方向の撮像現在位置データ35)を同時にデータ記録装置22に記録する本発明においては、撮像装置8を炉の奥行方向に移動しつつ撮像を行い、炉内位置情報に基づいて静止画像を選択することができる。幅方向100mmピッチで静止画像を採取し、この静止画像をつなぎ合わせて炉の奥行方向広い範囲の炉壁画像を作成する場合を例にとって説明する。撮像した静止画像を例えば1/30秒ピッチで順次外部のデータ記録装置に伝送する。炉外のデータ記録装置22では、炉内位置情報に基づき、撮像装置が100mmピッチの静止画像採取位置に到達する毎に、その時点で受信した静止画像を選択する。これにより、結果として幅方向100mmピッチで静止画像を採取し、この静止画像をつなぎ合わせることによって炉の奥行方向広い範囲の炉壁画像を作成することが可能である。この方法であれば、断熱容器を搭載したコークス押出機の走行速度がたとえ変動したとしても、等間隔で静止画像を入手することができる。
【0044】
断熱容器内にはワイヤレス伝送受信機を配置し、炉内位置情報を炉外から断熱容器に伝送する場合においては、断熱容器内で上記と同様のデータ処理を行うこととすればよい。また、断熱容器内と炉外の両方に送受信を行うことのできるワイヤレス伝送送受信機を配置した場合であれば、炉内位置情報を炉外から断熱容器に伝送し、断熱容器内において一定間隔毎に静止画像を選択し、選択した静止画像のみを炉外にワイヤレス伝送送信することもできる。
【0045】
撮像装置8を炉の奥行方向に移動しつつ撮像を行って静止画像を採取し、この静止画像をつなぎ合わせて炉の奥行方向広い範囲の炉壁画像を作成する本発明において、隣り合った静止画像同士の間に重複部分が生じるように撮像を行うこともできる。例えば、幅方向で概略100mmピッチで撮像を行い、各静止画像の幅方向サイズを150mmとしておけば、50mmの重複部分が生じる。重複部分においては、炉壁の同じ部分を撮像しているので、炉壁の映像に基づいてパターンマッチング処理によって2つの画像を正確に位置合わせして一致させることができる。この手法を用いれば、各静止画像を撮像した炉内位置情報に若干のずれがあったとしても、そのずれを自動的に修正して正確な炉の奥行方向広い範囲の炉壁画像を作成することができる。さらには、炉内位置情報を用いることができない場合においても、隣り合う画像で重複部分がある時系列採取した画像群に対して、画像の重なり代をパターンマッチング処理で決定して次々と連結し、正確な炉壁画像を作成することが可能である。
【0046】
例えばコークス炉炭化室を観察する場合においては、炉壁は高温のため自発光しており、撮像装置はこの自発光光を撮像することによって炉壁を観察することができる。そして、撮像装置として通常のCCDカメラを用いた場合、シャッタースピードを1/1000秒程度として撮像することができる。この程度の速いシャッタースピードであれば、コークス押出機の移動速度300mm/秒においてもカメラぶれのない鮮明な画像を得ることが可能である。
【0047】
以上のように、炉の奥行方向については、撮像装置を移動装置と共に移動することによってその全長にわたる炉壁表面を1枚の静止画に収めることができる。一方、炉の高さ方向については、鏡面と撮像装置との距離にもよるが、通常は500〜600mm程度の範囲が撮像範囲となる。従って、炉の高さ方向については1回あたりに撮像できる範囲は限定される。一方、例えばコークス炉炭化室においては、炉壁耐火物の損傷が特に激しいのは、例えば炉高方向の石炭装入ライン近傍に限定される。従って、本発明の炉壁観察装置の設置位置を、石炭装入ライン近傍を観察することのできる位置とすれば、たとえ炉高方向の観察範囲が限定されるにしても十分に有用なデータを得ることができる。もちろん、コークス押出機に高さ方向に複数の炉壁観察装置を設置することにより、1回当たりに炉高方向広い範囲で炉壁を観察することも可能である。
【0048】
本発明の炉壁観察装置は形状がコンパクトかつ軽量であり、冷却配管等の設置が不要なので、押出機に取り付ける高さは任意に変更することが容易であり、所定の各高さ毎に取り付け位置を変えて測定を行うことにより、炉高全体の炉壁観察データを得ることも可能である。
【0049】
本発明の炉壁観察装置は測定中は外部から動作電源を供給することができないので、断熱容器内には電源装置10を有する。撮像装置8やデータ記録装置22、ワイヤレス伝送送信機18はこの電源装置10から供給される電力によって作動する。電源装置10としては、乾電池、充電式蓄電池等を用いることができる。
【0050】
電源装置10として充電できない電池を用いると、電池交換のたびに断熱容器を開放する必要がある。また電源装置10として充電可能な電源を用いる場合においても、充電ケーブル接続プラグが断熱容器内部に位置する場合には充電のたびに断熱容器を開放することが必要となる。電源装置として充電可能な電源を用い、さらに図6に示すように充電ケーブル接続プラグ25を断熱容器3の外部に備えることにより、断熱容器を開放せずに充電することが可能になり、作業性を改善することができる。充電ケーブル接続プラグ25は、炉内挿入時には断熱材蓋34でその外部を覆い、充電時に断熱材蓋34のみを取り外して充電ケーブルを接続するようにしても良い。
【0051】
【実施例】
コークス炉炭化室の炉壁の表面を観察する目的で、図1に示す炉壁観察装置を用いた。炉壁観察装置1の外形寸法は、高さ500mm、幅300mm、長さ500mmであり、総重量は約50kgである。
【0052】
炉壁観察装置の断熱容器3としては、外周に断熱材4としてセラミックファイバーボードを用い、断熱材4の厚さは30mmとした。断熱材4の内側には、ステンレス鋼製のジャケット5を配置した。ジャケット内には合計30リットルの水7を充填した。断熱容器3の炉壁に面する部分において、水7の層の厚さは40mmである。
【0053】
断熱容器3の内部には撮像装置8としてCCDカメラを配置した。撮像装置8で撮像した画像信号は、ワイヤレス伝送送信機18によって炉外に送信される。断熱容器3及び断熱材4には観察窓16及び伝送窓17を配置し、観察窓16には金属蒸着を行った石英ガラスをはめ込んでいる。また、電源装置10として充電式蓄電池を配置し、撮像装置8、ワイヤレス伝送送信機18及びそれらを制御する制御装置に対する供給電源とした。
【0054】
断熱容器の前方には図1に示すように鏡面2を配置する。鏡面2の長手方向は炉の高さ方向とし、2枚の鏡面2は炉壁42との角度を45°とし、左右の炉壁42を同時に撮像装置8の視野にとらえることができる。撮像装置視野13は、左右の炉壁毎に長辺側長さが600mm、短辺側長さが200mmとなるように鏡面を配置した。鏡面2は内部に冷却水6を収容するステンレス鋼板製の容器11の表面を鏡面研磨したものを用いた。容器11は、図2に示すように断面矩形の長い形状とし、4面の外面のうちの2面を鏡面2とし、残り2面については断熱材12で断熱する構造とした。
【0055】
炉壁観察装置1と鏡面2を押出機43に取り付けた。炉壁観察装置1の総重量が約50kgと比較的軽量であり、更に冷却水配管や信号ケーブルを配置する必要がないので、押し出しラム14の高さ方向の任意の位置に容易に取り付けることが可能である。本実施例においては、図2に示すように、押し出しラム14の後面の炉壁観察装置1の位置に支持装置15を用いて取り付けるか、あるいはラムビーム47の上の炉壁観察装置1’の位置に取り付け位置を設定し、各高さにおいて順次炉幅測定を実施することにより、広い範囲の炉幅測定データを採取することができた。
【0056】
ワイヤレス伝送にはデジタル信号の電波を用いた無線通信を採用している。撮像装置8の出力及び測定ユニット内の温度を測定する温度計36の出力をA/D変換器26によってディジタル信号に変換し、デジタル信号無線送信機27に送る。デジタル信号無線送信機27がワイヤレス伝送送信機18として機能し、ワイヤレス伝送信号19を炉外のワイヤレス伝送受信機21に送る。断熱容器3の電波が通過する部分には伝送窓17を設け、シリカコーティングを施した石英ガラスを配置している。シリカコーティングによって炉からの輻射熱を遮断し、かつ金属コーティングではないので電波の伝搬を阻害することがない。
【0057】
炉外にはワイヤレス伝送受信機21としてデジタル信号無線受信機28が配置され、データ記録装置22として記録装置30及び画像処理装置31が配置される。デジタル信号無線受信機28で受信したデジタル信号をD/A変換器29及び記録装置30に伝送する。記録装置30に送られたデータはコンピュータ内に記録され、D/A変換器29から出力するアナログ信号は画像処理装置31に送られ、リアルタイムに測定された撮像信号を解析しやすい画像情報として加工する。データ記録装置22には押し出しラム14の現在位置データに基づいて求められた撮像現在位置データ35も送られてきているので、このデータも記録装置30と画像処理装置31に送られる。画像処理装置31においては、各時刻に撮像された撮像情報を撮像現在位置35に基づいて並べ、炭化室の奥行方向全長を1枚の静止画像として生成することができ、炉壁損傷の発生個所を特定することができる。具体的には、押出機43の移動に伴い、撮像現在位置データ35が150mm増加する毎に、伝送された静止画像を画像処理装置31に取り込む。静止画像の炉幅方向(短辺側)長さは200mmなので、隣り合った画像は50mmの重複部分を有する。この重複部分を用いてパターンマッチング処理を行い、画像の重なりについて微調整を行うことができる。このようにして炭化室の奥行方向全長を1枚の静止画像として生成する。
【0058】
炉壁観察結果の一例を図8に示す。図8(a)は、撮像装置全体視野9において、鏡面2aに映った炉壁42aの映像、及び鏡面2bに映った炉壁42bの映像である。いずれにおいても、レンガ48の目地49が明確に識別されている。図8(b)は炉壁42に損傷が発生している箇所の観察結果である。正常な目地49以外に目地開き50が観察される。また、炉壁縦割れ51が観察される。さらに、図8(c)に示すように、炉壁のカーボン付着52も観察することができる。さらに、押出機43の移動に伴って連続的に取得した静止画像を結合することにより、炉の奥行方向広い領域の炉壁画像を得ることができる。図9には、隣り合った8枚の静止画像を画像接合位置15において接合し、広い領域の画像14とした炉壁画面を示す。全長画像は損傷部位の特定が容易であり、さらに全体的な損傷状況が一見して把握できるので、炉体診断・管理を行う上で有用である。
【0059】
測定中にデータ記録装置22に逐次データが伝送されるので、測定完了後に断熱容器3を開ける必要がなく、測定の作業性を大幅に向上することができた。また測定中にリアルタイムで炉壁損傷をキャッチし、当該損傷の発生個所も正確に特定することができるので、遅滞なく当該炭化室の補修計画を立案することができた。
【0060】
一つの炭化室の炉壁観察を完了した後に続けて次の炭化室の炉壁観察を行う前に、断熱容器下部の排出口23を開き、温度が上昇した冷却水7を排出すると同時に上部の注入口24から常温の水を注水した。15リットルの水を注水して断熱容器3の温度を低下させた後、断熱容器下部の排出口23を閉じ、断熱容器内に水7を充填した。このように毎回断熱容器3と断熱容器内の水7の温度を十分に下げてから次の測定を行ったので、連続して炭化室の炉壁観察を行う際にも毎回5分以上の測定時間を確保することができた。
【0061】
測定ユニット内の電源装置10として用いる充電式蓄電池は、連続して5室の炭化室の炉幅測定が可能な容量を有している。充電に際しては、断熱容器外部に配置した充電ケーブル接続プラグ25に充電ケーブルを接続して行うことができるので、充電のために断熱容器を開放する必要がなく、良好な作業性のもとで充電を行うことができた。
【0062】
【発明の効果】
本発明は、コークス炉炭化室等の相対する炉壁の表面を観察する炉壁観察装置において、断熱容器内に撮像装置を収納し、断熱容器の外側に鏡面を配置し、鏡面に反射して映る炉壁表面の映像を前記撮像装置によって撮像することにより、装置が小型軽量でかつ冷却水配管等を必要とせず、押出機等の移動装置に簡単に着脱でき、かつ壁面における必要な観察範囲を観察することができる。内部に冷却水を収容する容器の表面に鏡面を形成することにより、鏡面は十分な耐久性を有する。
【0063】
本発明はまた、ワイヤレス伝送送受信機を用いて炉外にてデータを記録することにより、小型軽量かつ簡便という利点を保持しつつ、撮像した炉壁画像情報と撮像位置情報とを結合することを可能にするとともに、撮像結果を迅速に利用して炉壁補修計画を立案することができる。
【0064】
本発明はさらに、連続して採取した静止画像をつなぎ合わせることによって炉の奥行方向広い領域の炉壁画像を得ることができ、広い領域の画像は損傷部位の特定が容易であり、さらに全体的な損傷状況が一見して把握できるので、炉体診断・管理を行う上で有用である。
【0065】
本発明はさらに、吸熱能力を有する液体を充填したジャケットと、さらにその外側を覆う断熱材とを有する断熱容器を用いることにより、小型軽量かつ簡便という利点を保持しつつ、高温の炉内滞在時間を十分に確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】液体を充填したジャケットを有する本発明の炉壁観察装置を示す平面断面図である。
【図2】本発明の炉壁観察装置を示す斜視図である。
【図3】コークス押出機に設置した本発明の炉壁観察装置を示す側面図である。
【図4】本発明の炉壁観察装置を示す平面断面図であり、(a)は1枚の鏡面を有する場合、(b)は2枚の鏡面を有する場合の図である。
【図5】ワイヤレス伝送送信機を有する本発明の炉壁観察装置を示す平面断面図である。
【図6】液体を充填したジャケットを有する本発明の断熱容器を示す側面断面図である。
【図7】ワイヤレス伝送送受信機を有する本発明の機器接続状況を示す概念図である。
【図8】本発明の炉壁観察装置での観察結果例を示す図である。
【図9】本発明の炉壁観察装置での観察結果例を示す図である。
【符号の説明】
1 炉壁観察装置
2 鏡面
3 断熱容器
4 断熱材
5 ジャケット
6 冷却水
7 水(液体)
8 撮像装置
9 撮像装置全体視野
10 電源装置
11 容器
12 断熱材
13 撮像装置視野
14 広い領域の画像
15 画像接合位置
16 観測窓
17 伝送窓
18 ワイヤレス伝送送信機
19 ワイヤレス伝送信号
21 ワイヤレス伝送受信機
22 データ記録装置
23 排出口
24 注入口
25 充電ケーブル接続プラグ
26 A/D変換器
27 デジタル信号無線送信機
28 デジタル信号無線受信機
29 D/A変換器
30 記録装置
31 画像処理装置
34 断熱材蓋
35 撮像現在位置データ
36 温度計
37 フィルター
41 コークス炉炭化室
42 炉壁
43 押出機
44 押出ラム
45 支持装置
46 ラム駆動装置
47 ラムビーム
48 レンガ
49 目地
50 目地開き
51 炉壁縦割れ
52 カーボン付着

Claims (4)

  1. 断熱容器内に収納した撮像装置で観察窓越しに、断熱容器の外側に配設した鏡面に映る炉壁表面を撮像して、相対する炉壁の表面を観察する炉壁観察装置において、
    前記断熱容器は、前記撮像装置を設置した空間を囲んで、吸熱能力を有する液体を充填し、且つ上部に注入口、下部に排出口を有するジャケットと、その外側を覆う断熱材と、耐熱ガラスで構成した観察窓とを有し、炉内での炉壁観察中には液体を供給排出するための配管が接続されておらず、
    前記撮像装置は2次元の画像信号を出力する2次元カメラであり、
    前記鏡面は、内部に沸騰冷却する冷却水を収納する容器の表面に設けられた2枚の平らな鏡面であり、
    該鏡面それぞれに相対する炉壁の各表面を映して、前記撮像装置で撮像することを特徴とする炉壁観察装置。
  2. 前記断熱容器内は、ワイヤレス伝送送信機を収納し、断熱容器内の炉外側に向いた壁には伝送用の窓を有し、
    炉外にはワイヤレス伝送受信機とデータ記録装置とを配置し、
    前記撮像装置から出力された画像信号を前記ワイヤレス伝送送信機からワイヤレス伝送受信機に送信し、
    撮像装置の炉内位置情報を前記画像信号とを併せて前記データ記録装置に記録することを特徴とする請求項1に記載の炉壁観察装置。
  3. 前記データ記録装置は、記録装置と画像処理装置とを具備し、
    該画像処理装置は、外部から入力される撮像現在位置データが設定された距離だけ増加するごとに、前記画像信号から得られた炉壁面の静止画像を取り込んで、次々に撮像される静止画像をつなぎ合わせて連続した1枚の炉壁面静止画像を導出することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の炉壁観察装置。
  4. 前記炉壁はコークス炉炭化室の炉壁であり、前記断熱容器及び鏡面はコークス炉の押出機に設置されており、
    前記撮像装置は、前記押出機がコークス炉炭化室内の奥行き方向に移動するにつれて炉壁面を撮像して画像信号を出力し、
    前記画像処理装置は、前記押出機の現在位置データに基づいて求められた撮像現在位置データに基づき所定の移動量ごとに、該所定の移動量よりも幅の広い前記炉壁面の静止画像を次々と取り込み、隣り合った静止画像の重複部分を用いてパターンマッチング処理を行い、静止画像の重なりについて微調整を行って、炭化室の奥行方向の静止画像として生成することを特徴とする請求項3に記載の炉壁観察装置。
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