JP3961995B2 - 多チャンネルひずみ測定回路 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ひずみゲージまたはひずみゲージ式変換器を用いることを前提としたひずみゲージ式測定システムに係り、特に、ひずみゲージを接続するための所定の第1、第2、第3および第4の端子を各チャンネル毎に有し、前記第1の端子と前記第2の端子との間に単一のひずみゲージが接続され且つ前記第2の端子と前記第3の端子との間が短絡される1ゲージ法測定モードと、前記第1の端子と前記第2の端子との間に1つのひずみゲージが接続され且つ前記第2の端子と前記第3の端子との間に他の1つのひずみゲージが接続される2ゲージ法測定モードと、前記第1の端子と前記第2の端子との間、前記第2の端子と前記第3の端子との間、前記第3の端子と前記第4の端子との間、そして前記第4の端子と前記第1の端子との間にそれぞれ1つずつの異なる4個のひずみゲージがそれぞれ接続される4ゲージ法測定モードを含む測定モードで選択的に各チャンネルにひずみゲージを接続し、前記各チャンネルを選択的に切り替えて、各チャンネル毎の前記ひずみゲージによる測定を行なうための多チャンネルひずみ測定回路に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば、ひずみ測定において、ひずみゲージまたはひずみゲージ式変換器等を用いて測定する場合、この種のひずみゲージ式測定器には、ひずみゲージの結線方式の相違などによる複数の測定モードが存在する。具体的には、例えば単一のひずみゲージのみを用いる1ゲージ法測定モード、2個のひずみゲージをハーフブリッジ接続して用いる2ゲージ法測定モードおよび4個のひずみゲージをフルブリッジ接続して用いる4ゲージ法測定モードなどが、代表的な測定モードである。一般に、ひずみゲージ式測定器の接続に用いる接続端子は、ある程度標準化されており、複数の端子からなる接続端子に対するひずみゲージ等の結線方式は、個々の測定モード毎に一義的に定まっていることが多い。また、測定器側では、これらの測定モードによって、給電方式、給電個所、計測情報、計測個所および入出力抵抗等の少なくともいずれかが異なるため、ひずみゲージ等の結線に適用された測定モードに応じて測定器側においても個々に測定モードを設定しなければならない。
【0003】
一方、ひずみ測定は、測定器から離れた場所に設置したひずみゲージに接続ケーブルを介して測定器を接続し、遠隔地のひずみを測定しなければならないことも多い。特に、ダム等のように大きな建造物や施設、あるいは工事現場等の多数の個所に、ひずみゲージおよびひずみゲージ式変換器等を含む種々のセンサを多数設置し、それぞれ複数の端子からなる各チャンネル毎の接続端子にケーブルを介して接続し、これら多チャンネルの接続端子を測定器に選択的に走査接続して測定を行なう多チャンネル測定システムにおいては、走査接続に関連して個々のチャンネル毎に接続モードを設定しなければならない。
【0004】
〈(1)ブリッジ抵抗の共用化と切替え素子の制限〉
従来の多チャンネルひずみ測定回路におけるブリッジ抵抗の共用化および切替え素子の制限について説明する。
図12に従来の一般的な多チャンネルひずみ測定回路の一例を示す。図12の多チャンネルひずみ測定回路は、各チャンネルに共通の励振電源E1inおよび増幅器AMP11、AMP12、AMP13、ならびに各チャンネル毎の端子T1a、T1b、T1b′、T1c、T1d、T1d′、T1d″、抵抗R1b、R1c、R1dおよびスイッチ素子S1a、S1a′、S1b、S1c、S1c′、S1dを具備する。
スイッチ素子S1a、S1a′、S1b、S1c、S1c′、S1dは、各チャンネル毎に連動して各チャンネル毎の走査切替え素子SSW1を構成し、選択的にオン動作することによりチャンネルの走査を行なう。これら走査切替え素子SSW1、その連動するスイッチ素子S1a、S1a′、S1b、S1c、S1c′、S1d、ゲージ接続用の端子T1a、T1b、T1b′、T1c、T1d、T1d′、T1d″およびブリッジ構成用のブリッジ抵抗R1b、R1c、R1dは、参照符号の桁数の増大による説明の煩雑さを避けて、理解を容易にするために、各チャンネル毎に共通の参照符号を付して示している(したがって、各チャンネルの各構成要素は、同一の参照符号を付して示していてもチャンネル毎に個々に設けられている)。
【0005】
端子T1aは、スイッチ素子S1a′およびS1aのそれぞれに接続されている。端子T1bは、スイッチ素子S1bに接続されている。端子T1b′は、抵抗R1bを介して端子T1cに接続されている。端子T1cは、スイッチ素子S1c′およびS1cのそれぞれに接続されている。端子T1dは、スイッチ素子S1dに接続されている。端子T1d′は、抵抗R1cを介して端子T1cに接続されている。そして、端子T1d″は、抵抗R1dを介して端子T1aに接続されている。スイッチ素子S1a′は、増幅器AMP12の反転入力端(−)に接続され、スイッチ素子S1aには、増幅器AMP12の出力端が接続されている。スイッチ素子S1bは、増幅器AMP11の反転入力端(−)に接続されている。スイッチ素子S1c′は、増幅器AMP13の反転入力端(−)に接続され、スイッチ素子S1cには、増幅器AMP13の出力端が接続されている。スイッチ素子S1dは、増幅器AMP11の非反転入力端(+)に接続されている。これらは、各チャンネルに共通の構成である。
励振電源E1inの一方、この場合正側、の出力端は、増幅器AMP12の非反転入力端(+)に接続され、励振電源E1inの他方、この場合負側、の出力端は、増幅器AMP13の非反転入力端(+)および共通電位(アース)のそれぞれに接続されている。
【0006】
1ゲージ法測定モードの場合には、ひずみゲージGaのゲージ抵抗の一端に接続された第1端は、端子T1aに接続され、ひずみゲージGaのゲージ抵抗の他端に接続された第2端は端子T1bに接続され、ひずみゲージGaのゲージ抵抗の他端に前記第2端と共通に接続された第3端は端子T1b′に接続され、端子T1d、T1d′および端子T1d″間は互いにシャントされる。
2ゲージ法測定モードの場合には、ひずみゲージGaのゲージ抵抗の一端に接続された第1端は、端子T1aに接続され、ひずみゲージGaのゲージ抵抗の他端に接続された第2端は端子T1bに接続される。ひずみゲージGbのゲージ抵抗の一端に接続された第1端は、ひずみゲージGaの前記第2端と共に端子T1bに接続され、ひずみゲージGbのゲージ抵抗の他端に接続された第2端は端子T1cに接続される。端子T1d、T1d′および端子T1d″間は互いにシャントされる。
【0007】
4ゲージ法測定モードの場合には、ひずみゲージGaのゲージ抵抗の一端に接続された第1端は、端子T1aに接続され、ひずみゲージGaのゲージ抵抗の他端に接続された第2端は端子T1bに接続される。ひずみゲージGbのゲージ抵抗の一端に接続された第1端は、ひずみゲージGaの前記第2端と共に端子T1bに接続され、ひずみゲージGbのゲージ抵抗の他端に接続された第2端は端子T1cに接続される。ひずみゲージGcのゲージ抵抗の一端に接続された第1端は、ひずみゲージGbの前記第2端と共に端子T1cに接続され、ひずみゲージGcのゲージ抵抗の他端に接続された第2端は端子T1dに接続される。ひずみゲージGdのゲージ抵抗の一端に接続された第1端は、ひずみゲージGcの前記第2端と共に端子T1dに接続され、ひずみゲージGdのゲージ抵抗の他端に接続された第2端は、ひずみゲージGaの前記第1端と共に端子T1aに接続される。
1ゲージ法、2ゲージ法および4ゲージ法測定モードの選択切替えに対しては、各測定点に対応する各チャンネル毎にブリッジ抵抗R1b、R1cおよびR1dを備えており、接続されたひずみゲージとの組合せでブリッジ回路を構成するようにしていた。
【0008】
各チャンネル毎にブリッジが形成されるので、チャンネル切替えのための走査切替え素子SSW1に使用可能なスイッチ素子S1a〜S1dの種類は多く、メカニカルリレーから半導体リレーまで、種々のスイッチ素子を選択することができる。その反面、図12の構成では、各チャンネル毎に3個ずつの高精度抵抗が必要となり、例えば、測定点数が最大で1000点にもなる多点の測定用の多チャンネルひずみ測定システムを構成すると高価になるという欠点を持っていた。このような欠点を解決するために、図12における抵抗R1b、R1cおよびR1dに相当するブリッジ構成用の抵抗素子を1組だけ備え、これを各チャンネルの測定に共通に使用して、使用抵抗素子数を大幅に減らしたひずみ測定回路も用いられている。このようなひずみ測定回路の一般的な一例を図13に示している。
図13の多チャンネルひずみ測定回路は、各チャンネルに共通の励振電源E2in、増幅器AMP21、AMP22、AMP23、モード切替え用のスイッチ素子SW21、SW22、SW23およびブリッジ構成用抵抗R2b、R2c、R2d、ならびに各チャンネル毎の端子T2a、T2b、T2c、T2dおよび選択走査用のスイッチ素子S2a、S2a′、S2b、S2c、S2c′、S2dを具備する。
【0009】
選択走査用のスイッチ素子S2a、S2a′、S2b、S2c、S2c′、S2dは、各チャンネル毎に連動して各チャンネル毎の走査切替え素子SSW2を構成し、選択的にオン動作することによりチャンネルの選択走査を行なう。これら走査切替え素子SSW2、その連動するスイッチ素子S2a、S2a′、S2b、S2c、S2c′、S2dおよびゲージ接続用の端子T2a、T2b、T2c、T2dは、図12の場合と同様に参照符号の桁数の増大による説明の煩雑さを避けて、理解を容易にするために、各チャンネル毎に共通の参照符号を付して示している。
モード切替え用のスイッチ素子SW21、SW22、SW23のうちのスイッチ素子SW21は、1つの可動選択端を測定モードに応じて2つの被選択端のいずれか一方に選択的に切替え接続される切替えスイッチであり、スイッチ素子SW22、SW23は、測定モードに応じてオン/オフ操作されるスイッチである。すなわち、スイッチ素子SW21は、1ゲージ法および2ゲージ法測定モードでは、可動選択端を一方の被選択端(1−2G)に接続し、4ゲージ法測定モードでは、可動選択端を他方の被選択端に接続する。スイッチ素子SW22は、1ゲージ法測定モードでは、オンとされ、2ゲージ法および4ゲージ法測定モードではオフとされる。
【0010】
そして、スイッチ素子SW23は、2ゲージ法および4ゲージ法測定モードでは、オンとされ、それ1ゲージ法測定モードではオフとされる。
端子T2aは、スイッチ素子S2a′およびS2aのそれぞれに接続されている。端子T2bは、スイッチ素子S2bに接続されている。端子T2cは、スイッチ素子S2c′およびS2cのそれぞれに接続されている。そして端子T2dは、スイッチ素子S2dに接続されている。スイッチ素子S2a′は、増幅器AMP22の反転入力端(−)に接続され、スイッチ素子S2aには、増幅器AMP22の出力端が接続されている。スイッチ素子S2bは、増幅器AMP21の反転入力端(−)に接続されている。スイッチ素子S2c′は、2ゲージ法および4ゲージ法測定モードでオンとされるスイッチ素子SW23を介して、増幅器AMP23の反転入力端(−)に接続され、スイッチ素子S2cには、ブリッジ構成用抵抗R2bを介して、増幅器AMP23の出力端が接続されている。スイッチ素子S2dは、スイッチ素子SW21の4ゲージ法測定モードで選択される前記他方の被選択端に接続されている。これらは、各チャンネルに共通の構成である。
【0011】
励振電源E2inの一方、この場合正側、の出力端は、増幅器AMP22の非反転入力端(+)に接続され、励振電源E2inの他方、この場合負側、の出力端は、増幅器AMP23の非反転入力端(+)および共通電位(アース)のそれぞれに接続されている。ブリッジ構成用抵抗R2dとR2cは、直列に接続され、これらブリッジ構成用抵抗R2dとR2cの直列回路の抵抗R2d側の端部は、増幅器AMP22の非反転入力端(+)に接続され、ブリッジ構成用抵抗R2dとR2cの直列回路の抵抗R2c側の端部は、増幅器AMP23の非反転入力端(+)に接続されている。ブリッジ構成用抵抗R2dとR2cの相互の接続点は、スイッチ素子SW21の1ゲージ法および2ゲージ法測定モードで選択される前記一方の被選択端に接続されている。スイッチ素子SW21の可動選択端は、増幅器AMP21の非反転入力端(+)に接続されている。増幅器AMP23の反転入力端(−)と出力端との間には、1ゲージ法測定モードでオンとされるスイッチ素子SW22が接続される。
1ゲージ法測定モードの場合には、ひずみゲージGaのゲージ抵抗の一端に接続された第1端は、端子T2aに接続され、ひずみゲージGaのゲージ抵抗の他端に接続された第2端は端子T2bに接続され、ひずみゲージGaのゲージ抵抗の他端に前記第2端と共通に接続された第3端は端子T2cに接続される。
【0012】
2ゲージ法測定モードの場合には、ひずみゲージGaのゲージ抵抗の一端に接続された第1端は、端子T2aに接続され、ひずみゲージGaのゲージ抵抗の他端に接続された第2端は端子T2bに接続される。ひずみゲージGbのゲージ抵抗の一端に接続された第1端は、ひずみゲージGaの前記第2端と共に端子T2bに接続され、ひずみゲージGbのゲージ抵抗の他端に接続された第2端は端子T2cに接続される。
4ゲージ法測定モードの場合には、ひずみゲージGaのゲージ抵抗の一端に接続された第1端は、端子T2aに接続され、ひずみゲージGaのゲージ抵抗の他端に接続された第2端は端子T2bに接続される。ひずみゲージGbのゲージ抵抗の一端に接続された第1端は、ひずみゲージGaの前記第2端と共に端子T2bに接続され、ひずみゲージGbのゲージ抵抗の他端に接続された第2端は端子T2cに接続される。ひずみゲージGcのゲージ抵抗の一端に接続された第1端は、ひずみゲージGbの前記第2端と共に端子T2cに接続され、ひずみゲージGcのゲージ抵抗の他端に接続された第2端は端子T2dに接続される。ひずみゲージGdのゲージ抵抗の一端に接続された第1端は、ひずみゲージGcの前記第2端と共に端子T2dに接続され、ひずみゲージGdのゲージ抵抗の他端に接続された第2端は、ひずみゲージGaの前記第1端と共に端子T2aに接続される。
【0013】
図13の測定回路においては、全測定点、すなわち全チャンネルに対して1組だけのブリッジ構成用抵抗R2b、R2c、R2dを持ち、各チャンネルで共通に使用するようになっている。この回路における1ゲージ法測定モードの接続時には、走査切替え素子SSW2の選択走査用のスイッチ素子(図13の例ではスイッチ素子S2c)がブリッジの辺に入るために、このようなスイッチ素子として、オン状態の抵抗値つまりオン抵抗が低いスイッチを用いる必要があり、例えば、オン抵抗が数mΩ以下のメカニカルスイッチなどを使用していた。すなわち、半導体スイッチは、オン抵抗が数Ω〜数十Ωと高く、図13のような回路には使用することができなかった。
しかしながら、半永久的に使用可能な半導体スイッチとは異なり、メカニカルスイッチの寿命は10〜10回程度である。特に多チャンネルの場合、測定システム全体に占める当該切替え素子のスイッチ素子の部品点数の割合は大きく、図13のシステムは故障率の面で大きな欠点を持っている。また、切替え速度や部品価格の面でも半導体スイッチの優位性が、年々、高まっており、このような面からもブリッジ構成用抵抗素子を各チャンネルで共用することができ、しかも切替え素子として半導体スイッチを使用することが可能な回路の実現が待たれていた。
【0014】
〈(2)1ゲージ法における非直線性〉
定電圧励振電源を用いてひずみゲージを含むブリッジを励振する1ゲージ法の測定においては、ひずみゲージの抵抗値変化により、ひずみゲージ自体を流れる電流が変化する。このため、ブリッジ出力が、ひずみゲージの抵抗値変化、すなわちひずみ出力に対してリニア(線形)にならないという問題がある。この問題による誤差の影響を真のひずみ量とブリッジ出力との関係として図14に示している。図14に示すように、正のひずみ対しては、ひずみゲージの抵抗値の増加によりひずみゲージに流れる電流が減少し、ブリッジの出力電圧はひずみゲージの抵抗値変化と電流値を乗算したものであるから、真のひずみ量に対して実際のブリッジ出力電圧は小さくなる。また、負のひずみについては、反対にひずみゲージに流れる電流値が増加するため、真のひずみ量に対して実際のブリッジ出力電圧は大きくなる。真のひずみ量εとブリッジ出力Eoの関係は、次式で示される。
【0015】
【数1】
Figure 0003961995
【0016】
これを、「1ゲージ法のブリッジ非直線性」と称し、この非直線性による誤差が無視できない場合には、測定と同時、あるいは測定後に、(1)式に従った補正処理を行なう必要があった。
なお、2ゲージ法測定モードにおいても、測定対象となるひずみをアクティブゲージとしての第1のひずみゲージで受け、第2のひずみゲージがダミーゲージとして温度補償のために使用される場合には、そのブリッジは、1ゲージ法の場合とほぼ同様の特性を示すので、上述したような非直線性が発生する。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、各チャンネルにそれぞれ各測定点で測定を行なうためのひずみゲージを接続し、前記各チャンネルを選択的に切り替えて、各チャンネル毎の前記ひずみゲージによる測定を行なうための多チャンネルひずみ測定回路においては、一組のブリッジ構成用抵抗素子を各チャンネルで共用することができ、しかもブリッジ内の切替え素子として、従来オン抵抗値が高過ぎて使用することができなかった半導体リレー等の高オン抵抗値の切替え素子を使用可能にする回路の実現が待たれていた。また、1ゲージ法測定モードおよび2つのひずみゲージの一方をアクティブゲージ、他方をダミーゲージとして用いる2ゲージ法測定モードにおいては、いわゆる1ゲージ法のブリッジ非直線性による測定誤差が発生するという問題があった。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたもので、1ゲージ法測定モード、2ゲージ法測定モードおよび4ゲージ法測定モードを含む測定モードで選択的に各チャンネルにひずみゲージを接続し、前記各チャンネルを選択的に切り替えて、各チャンネル毎の前記ひずみゲージによる測定を行なう多チャンネルひずみ測定回路において、ブリッジ構成用抵抗を全チャンネルで共用することを可能とし且つブリッジ内の切替え素子として半導体リレー等の高オン抵抗値の切替え素子を使用することを可能とする多チャンネルひずみ測定回路を提供することを目的としている。
【0018】
すなわち、本発明の請求項1の目的は、特に、少なくとも1ゲージ法測定モードにおいて、定電流励振を採用し、電流経路における切替え素子のオン抵抗による誤差を除去するとともに、非直線性の発生を防止して、ブリッジ構成用抵抗素子を全チャンネルで共用することを可能とする多チャンネルひずみ測定回路を提供することにある。
また、本発明の請求項2の目的は、特に、少なくとも2ゲージ法測定モードにおいて、定電流励振を採用し、電流経路における切替え素子のオン抵抗による誤差を除去するとともに、非直線性の発生を防止して、ブリッジ構成用抵抗素子を全チャンネルで共用することを可能とする多チャンネルひずみ測定回路を提供することにある。
本発明の請求項3の目的は、特に、1ゲージ法測定モードおよび2ゲージ法測定モードの少なくとも一方における非直線性を防止し且つブリッジ励振電源を全チャンネルで共用することを可能とする多チャンネルひずみ測定回路を提供することにある。
【0019】
本発明の請求項4の目的は、特に、少なくとも1ゲージ法および2ゲージ法測定モードにおいて、共通の励振電源による定電流励振を採用し、電流経路における切替え素子のオン抵抗による誤差を除去するとともに、非直線性の発生を防止して、励振電源およびブリッジ構成用抵抗素子を全チャンネルで共用することを可能とする多チャンネルひずみ測定回路を提供することにある。
本発明の請求項5の目的は、特に、定電圧励振の4ゲージ法測定モードによる測定をも可能とする多チャンネルひずみ測定回路を提供することにある。
発明の請求項6の目的は、特に、1ゲージ法および2ゲージ法測定モードと実質的に共通の定電流励振を用いる4ゲージ法測定モードによる測定をも可能とし、電流経路における切替え素子のオン抵抗による誤差を除去するとともに、非直線性の発生を防止して、励振電源を全チャンネルで共用することを可能とする多チャンネルひずみ測定回路を提供することにある
【0020】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載した本発明に係る多チャンネルひずみ測定回路は、上述した目的を達成するために、
ひずみゲージを接続するための所定の第1、第2、第3および第4の端子を各チャンネル毎に有し、前記第1の端子と前記第2の端子との間に単一のひずみゲージが接続され且つ前記第2の端子と前記第3の端子との間が短絡される1ゲージ法測定モードと、前記第1の端子と前記第2の端子との間に1つのひずみゲージが接続され且つ前記第2の端子と前記第3の端子との間に他の1つのひずみゲージが接続される2ゲージ法測定モードと、前記第1の端子と前記第2の端子との間、前記第2の端子と前記第3の端子との間、前記第3の端子と前記第4の端子との間、そして前記第4の端子と前記第1の端子との間にそれぞれ1つずつの異なる4個のひずみゲージがそれぞれ接続される4ゲージ法測定モードを含む測定モードで選択的に各チャンネルにひずみゲージを接続し、前記各チャンネルを選択的に切り替えて、各チャンネル毎の前記ひずみゲージによる測定を行なう多チャンネルひずみ測定回路において、
少なくとも前記1ゲージ法測定モードおよび2ゲージ法測定モードの測定で使用するブリッジ構成用抵抗素子を全チャンネルで1組だけ具備して各チャンネルに共通に使用し、
前記1ゲージ法測定モードによる測定時には、ひずみゲージから切替え素子を経て基準抵抗となるブリッジ構成用の第1の抵抗素子を通る電流経路で、前記第1の抵抗素子の両端間にあらわれる電圧を所定の電圧とする定電流としてブリッジ励振電流を流して、
第1のバッファ増幅器により、前記ブリッジ励振電流の分流を阻止し且つ前記ひずみゲージの一方の接続端の電位を抽出し、
第2のバッファ増幅器により、前記電流経路における前記切替え素子のオン抵抗により発生する電圧を抽出し、
前記第1のバッファ増幅器の出力端と第2のバッファ増幅器の出力端との間に、抵抗値の等しいブリッジ構成用の第2の抵抗素子と第3の抵抗素子を直列に接続し、
これら第2の抵抗素子と第3の抵抗素子との相互間の接続点から一方の出力電位を得るともに、前記ひずみゲージの他方の接続端から他方の出力電位を得て、これら両出力電位の差の電圧を測定することにより、前記電流経路に入っている切替え素子のオン抵抗による誤差を除去することを特徴としている。
【0021】
請求項2に記載した本発明に係る多チャンネルひずみ測定回路は、上述した目的を達成するために、
ひずみゲージを接続するための所定の第1、第2、第3および第4の端子を各チャンネル毎に有し、前記第1の端子と前記第2の端子との間に単一のひずみゲージが接続され且つ前記第2の端子と前記第3の端子との間が短絡される1ゲージ法測定モードと、前記第1の端子と前記第2の端子との間に1つのひずみゲージが接続され且つ前記第2の端子と前記第3の端子との間に他の1つのひずみゲージが接続される2ゲージ法測定モードと、前記第1の端子と前記第2の端子との間、前記第2の端子と前記第3の端子との間、前記第3の端子と前記第4の端子との間、そして前記第4の端子と前記第1の端子との間にそれぞれ1つずつの異なる4個のひずみゲージがそれぞれ接続される4ゲージ法測定モードを含む測定モードで選択的に各チャンネルにひずみゲージを接続し、前記各チャンネルを選択的に切り替えて、各チャンネル毎の前記ひずみゲージによる測定を行なう多チャンネルひずみ測定回路において、
少なくとも前記1ゲージ法測定モードおよび2ゲージ法測定モードの測定で使用するブリッジ構成用抵抗素子を全チャンネルで1組だけ具備して各チャンネルに共通に使用し、
前記2ゲージ法測定モードによる測定時には、第1および第2のひずみゲージから切替え素子を経て基準抵抗となるブリッジ構成用の第1の抵抗素子を通る電流経路で、前記第1の抵抗素子の両端間にあらわれる電圧を所定の電圧とする定電流としてブリッジ励振電流を流して、
定電流の分流阻止と電位抽出のために用いられる第1のバッファ増幅器および第2のバッファ増幅器により、アクティブゲージである第1のひずみゲージの一方の接続端およびダミーゲージである第2のひずみゲージの一方の接続端の電位をそれぞれ抽出し、
前記第1のバッファ増幅器の出力端と第2のバッファ増幅器の出力端との間に、抵抗値の等しいブリッジ構成用の第2の抵抗素子と第3の抵抗素子を直列に接続し、
これら第2の抵抗素子と第3の抵抗素子との相互間の接続点から一方の出力電位を得るともに、前記第1および第2のひずみゲージの各他方の接続端が共通に接続された共通接続端から他方の出力電位を得て、これら両出力電位の差の電圧を測定することにより、前記電流経路に入っている切替え素子のオン抵抗による誤差を除去することを特徴としている。
【0022】
請求項3に記載した本発明に係る多チャンネルひずみ測定回路は、請求項1または請求項2の多点ひずみ測定回路であって、
前記1ゲージ法測定モードおよび2ゲージ法測定モードの少なくとも一方における前記ブリッジ励振電流を供給するブリッジ励振電源を、単一の定電流源で構成することにより、ブリッジ方式における非直線性を無くし、各ひずみゲージの抵抗値変化に比例した出力を得ることを特徴としている。
【0023】
請求項4に記載した本発明に係る多チャンネルひずみ測定回路は、上述した目的を達成するために、
ひずみゲージを接続するための所定の第1、第2、第3および第4の端子を各チャンネル毎に有し、前記第1の端子と前記第2の端子との間に単一のひずみゲージが接続され且つ前記第2の端子と前記第3の端子との間が短絡される1ゲージ法測定モードと、前記第1の端子と前記第2の端子との間に1つのひずみゲージが接続され且つ前記第2の端子と前記第3の端子との間に他の1つのひずみゲージが接続される2ゲージ法測定モードと、前記第1の端子と前記第2の端子との間、前記第2の端子と前記第3の端子との間、前記第3の端子と前記第4の端子との間、そして前記第4の端子と前記第1の端子との間にそれぞれ1つずつの異なる4個のひずみゲージがそれぞれ接続される4ゲージ法測定モードを含む測定モードで選択的に各チャンネルにひずみゲージを接続し、前記各チャンネルを選択的に切り替えて、各チャンネル毎の前記ひずみゲージによる測定を行なう多チャンネルひずみ測定回路において、
少なくとも前記1ゲージ法測定モードおよび2ゲージ法測定モードの測定で使用するブリッジ構成用抵抗素子を全チャンネルで1組だけ具備して各チャンネルに共通に使用し、
前記1ゲージ法測定モードによる測定時には、ひずみゲージから切替え素子を経て基準抵抗となるブリッジ構成用の第1の抵抗素子を通る電流経路で、前記第1の抵抗素子の両端間にあらわれる電圧を所定の電圧とする定電流として励振電源よりブリッジ励振電流を流して、
第1のバッファ増幅器により、前記ブリッジ励振電流の分流を阻止し且つ前記ひずみゲージの一方の接続端の電位を抽出し、
第2のバッファ増幅器により、前記電流経路における前記切替え素子のオン抵抗により発生する電圧を抽出し、
前記第1のバッファ増幅器の出力端と第2のバッファ増幅器の出力端との間に、抵抗値の等しいブリッジ構成用の第2の抵抗素子と第3の抵抗素子を直列に接続し、
これら第2の抵抗素子と第3の抵抗素子との相互間の接続点から一方の出力電位を得るともに、前記ひずみゲージの他方の接続端から他方の出力電位を得て、これら両出力電位の差の電圧を測定するとともに、
前記2ゲージ法測定モードによる測定時には、前記第1および第2のひずみゲージから切替え素子を経て基準抵抗となるブリッジ構成用の前記第1の抵抗素子を通る電流経路で、前記第1の抵抗素子の両端間にあらわれる電圧を所定の電圧とする定電流として前記励振電源よりブリッジ励振電流を流して、
定電流の分流阻止と電位抽出のために用いられる前記第1のバッファ増幅器および前記第2のバッファ増幅器により、アクティブゲージである第1のひずみゲージの一方の接続端およびダミーゲージである第2のひずみゲージの一方の接続端の電位をそれぞれ抽出し、
前記第1のバッファ増幅器の出力端と前記第2のバッファ増幅器の出力端との間に、抵抗値の等しいブリッジ構成用の前記第2の抵抗素子と前記第3の抵抗素子を直列に接続し、
これら第2の抵抗素子と第3の抵抗素子との相互間の接続点から一方の出力電位を得るともに、前記第1および第2のひずみゲージの各他方の接続端が共通に接続された共通接続端から他方の出力電位を得て、これら両出力電位の差の電圧を測定する
ことにより、前記電流経路に入っている切替え素子のオン抵抗による誤差を除去することを特徴としている。
【0024】
請求項5に記載した本発明に係る多チャンネルひずみ測定回路は、請求項1〜請求項4のうちのいずれか1項の多チャンネルひずみ測定回路であって、
前記4ゲージ法測定モードによる測定時には、4個の前記ひずみゲージからなるブリッジ回路に定電圧を供給する定電圧励振回路を含む測定回路を構成することを特徴としている。
請求項6に記載した本発明に係る多チャンネルひずみ測定回路は、請求項1〜請求項5のうちのいずれか1項の多チャンネルひずみ測定回路であって、
前記4ゲージ法測定モードによる測定時には、4個の前記ひずみゲージからなるブリッジ回路から切替え素子を経て基準抵抗となるブリッジ構成用の前記第1の抵抗素子を通る電流経路で、前記第1の抵抗素子の両端間にあらわれる電圧を所定の電圧とする定電流としてブリッジ励振電流を流す定電流励振回路を含む測定回路を構成することを特徴としている。
【0026】
【作用】
すなわち、本発明の請求項1による多チャンネルひずみ測定回路は、
ひずみゲージを接続するための所定の第1、第2、第3および第4の端子を各チャンネル毎に有し、前記第1の端子と前記第2の端子との間に単一のひずみゲージが接続され且つ前記第2の端子と前記第3の端子との間が短絡される1ゲージ法測定モードと、前記第1の端子と前記第2の端子との間に1つのひずみゲージが接続され且つ前記第2の端子と前記第3の端子との間に他の1つのひずみゲージが接続される2ゲージ法測定モードと、前記第1の端子と前記第2の端子との間、前記第2の端子と前記第3の端子との間、前記第3の端子と前記第4の端子との間、そして前記第4の端子と前記第1の端子との間にそれぞれ1つずつの異なる4個のひずみゲージがそれぞれ接続される4ゲージ法測定モードを含む測定モードで選択的に各チャンネルにひずみゲージを接続し、前記各チャンネルを選択的に切り替えて、各チャンネル毎の前記ひずみゲージによる測定を行なう多チャンネルひずみ測定回路において、
少なくとも前記1ゲージ法測定モードおよび2ゲージ法測定モードの測定で使用するブリッジ構成用抵抗素子を全チャンネルで1組だけ具備して各チャンネルに共通に使用し、
前記1ゲージ法測定モードによる測定時には、ひずみゲージから切替え素子を経て基準抵抗となるブリッジ構成用の第1の抵抗素子を通る電流経路で、前記第1の抵抗素子の両端間にあらわれる電圧を所定の電圧とする定電流としてブリッジ励振電流を流して、
第1のバッファ増幅器により、前記ブリッジ励振電流の分流を阻止し且つ前記ひずみゲージの一方の接続端の電位を抽出し、
第2のバッファ増幅器により、前記電流経路における前記切替え素子のオン抵抗により発生する電圧を抽出し、
前記第1のバッファ増幅器の出力端と第2のバッファ増幅器の出力端との間に、抵抗値の等しいブリッジ構成用の第2の抵抗素子と第3の抵抗素子を直列に接続し、
これら第2の抵抗素子と第3の抵抗素子との相互間の接続点から一方の出力電位を得るともに、前記ひずみゲージの他方の接続端から他方の出力電位を得て、これら両出力電位の差の電圧を測定することにより、前記電流経路に入っている切替え素子のオン抵抗による誤差を除去する。
【0027】
このような構成により、1ゲージ法測定モード、2ゲージ法測定モードおよび4ゲージ法測定モードを含む測定モードで選択的に各チャンネルにひずみゲージを接続し、前記各チャンネルを選択的に切り替えて、各チャンネル毎の前記ひずみゲージによる測定を行なう多チャンネルひずみ測定回路は、特に、少なくとも1ゲージ法測定モードにおいて、定電流励振を採用し、電流経路における切替え素子のオン抵抗による誤差を除去するとともに、非直線性の発生を防止して、ブリッジ構成用抵抗素子を全チャンネルで共用することが可能となる。
【0028】
また、本発明の請求項2による多チャンネルひずみ測定回路は、
ひずみゲージを接続するための所定の第1、第2、第3および第4の端子を各チャンネル毎に有し、前記第1の端子と前記第2の端子との間に単一のひずみゲージが接続され且つ前記第2の端子と前記第3の端子との間が短絡される1ゲージ法測定モードと、前記第1の端子と前記第2の端子との間に1つのひずみゲージが接続され且つ前記第2の端子と前記第3の端子との間に他の1つのひずみゲージが接続される2ゲージ法測定モードと、前記第1の端子と前記第2の端子との間、前記第2の端子と前記第3の端子との間、前記第3の端子と前記第4の端子との間、そして前記第4の端子と前記第1の端子との間にそれぞれ1つずつの異なる4個のひずみゲージがそれぞれ接続される4ゲージ法測定モードを含む測定モードで選択的に各チャンネルにひずみゲージを接続し、前記各チャンネルを選択的に切り替えて、各チャンネル毎の前記ひずみゲージによる測定を行なう多チャンネルひずみ測定回路において、
少なくとも前記1ゲージ法測定モードおよび2ゲージ法測定モードの測定で使用するブリッジ構成用抵抗素子を全チャンネルで1組だけ具備して各チャンネルに共通に使用し、
前記2ゲージ法測定モードによる測定時には、第1および第2のひずみゲージから切替え素子を経て基準抵抗となるブリッジ構成用の第1の抵抗素子を通る電流経路で、前記第1の抵抗素子の両端間にあらわれる電圧を所定の電圧とする定電流としてブリッジ励振電流を流して、
定電流の分流阻止と電位抽出のために用いられる第1のバッファ増幅器および第2のバッファ増幅器により、アクティブゲージである第1のひずみゲージの一方の接続端およびダミーゲージである第2のひずみゲージの一方の接続端の電位をそれぞれ抽出し、
前記第1のバッファ増幅器の出力端と第2のバッファ増幅器の出力端との間に、抵抗値の等しいブリッジ構成用の第2の抵抗素子と第3の抵抗素子を直列に接続し、
これら第2の抵抗素子と第3の抵抗素子との相互間の接続点から一方の出力電位を得るともに、前記第1および第2のひずみゲージの各他方の接続端が共通に接続された共通接続端から他方の出力電位を得て、これら両出力電位の差の電圧を測定することにより、前記電流経路に入っている切替え素子のオン抵抗による誤差を除去する。
このような構成により、特に、少なくとも2ゲージ法測定モードにおいて、定電流励振を採用し、電流経路における切替え素子のオン抵抗による誤差を除去するとともに、非直線性の発生を防止して、ブリッジ構成用抵抗素子を全チャンネルで共用することが可能となる。
【0029】
本発明の請求項3による多チャンネルひずみ測定回路は、請求項1または請求項2の多点ひずみ測定回路において、前記1ゲージ法測定モードおよび2ゲージ法測定モードの少なくとも一方における前記ブリッジ励振電流を供給するブリッジ励振電源を、単一の定電流源で構成することにより、ブリッジ方式における非直線性を無くし、各ひずみゲージの抵抗値変化に比例した出力を得る。
このような構成により、特に、1ゲージ法測定モードおよび2ゲージ法測定モードの少なくとも一方における非直線性を防止し且つブリッジ励振電源を全チャンネルで共用することが可能となる。
【0030】
本発明の請求項4による多チャンネルひずみ測定回路は、
ひずみゲージを接続するための所定の第1、第2、第3および第4の端子を各チャンネル毎に有し、前記第1の端子と前記第2の端子との間に単一のひずみゲージが接続され且つ前記第2の端子と前記第3の端子との間が短絡される1ゲージ法測定モードと、前記第1の端子と前記第2の端子との間に1つのひずみゲージが接続され且つ前記第2の端子と前記第3の端子との間に他の1つのひずみゲージが接続される2ゲージ法測定モードと、前記第1の端子と前記第2の端子との間、前記第2の端子と前記第3の端子との間、前記第3の端子と前記第4の端子との間、そして前記第4の端子と前記第1の端子との間にそれぞれ1つずつの異なる4個のひずみゲージがそれぞれ接続される4ゲージ法測定モードを含む測定モードで選択的に各チャンネルにひずみゲージを接続し、前記各チャンネルを選択的に切り替えて、各チャンネル毎の前記ひずみゲージによる測定を行なう多チャンネルひずみ測定回路において、
少なくとも前記1ゲージ法測定モードおよび2ゲージ法測定モードの測定で使用するブリッジ構成用抵抗素子を全チャンネルで1組だけ具備して各チャンネルに共通に使用し、
前記1ゲージ法測定モードによる測定時には、ひずみゲージから切替え素子を経て基準抵抗となるブリッジ構成用の第1の抵抗素子を通る電流経路で、前記第1の抵抗素子の両端間にあらわれる電圧を所定の電圧とする定電流として励振電源よりブリッジ励振電流を流して、
第1のバッファ増幅器により、前記ブリッジ励振電流の分流を阻止し且つ前記ひずみゲージの一方の接続端の電位を抽出し、
第2のバッファ増幅器により、前記電流経路における前記切替え素子のオン抵抗により発生する電圧を抽出し、
前記第1のバッファ増幅器の出力端と第2のバッファ増幅器の出力端との間に、抵抗値の等しいブリッジ構成用の第2の抵抗素子と第3の抵抗素子を直列に接続し、
これら第2の抵抗素子と第3の抵抗素子との相互間の接続点から一方の出力電位を得るともに、前記ひずみゲージの他方の接続端から他方の出力電位を得て、これら両出力電位の差の電圧を測定するとともに、
前記2ゲージ法測定モードによる測定時には、前記第1および第2のひずみゲージから切替え素子を経て基準抵抗となるブリッジ構成用の前記第1の抵抗素子を通る電流経路で、前記第1の抵抗素子の両端間にあらわれる電圧を所定の電圧とする定電流として前記励振電源よりブリッジ励振電流を流して、
定電流の分流阻止と電位抽出のために用いられる前記第1のバッファ増幅器および前記第2のバッファ増幅器により、アクティブゲージである第1のひずみゲージの一方の接続端およびダミーゲージである第2のひずみゲージの一方の接続端の電位をそれぞれ抽出し、
前記第1のバッファ増幅器の出力端と前記第2のバッファ増幅器の出力端との間に、抵抗値の等しいブリッジ構成用の前記第2の抵抗素子と前記第3の抵抗素子を直列に接続し、
これら第2の抵抗素子と第3の抵抗素子との相互間の接続点から一方の出力電位を得るともに、前記第1および第2のひずみゲージの各他方の接続端が共通に接続された共通接続端から他方の出力電位を得て、これら両出力電位の差の電圧を測定することにより、前記電流経路に入っている切替え素子のオン抵抗による誤差を除去する。
このような構成により、特に、少なくとも1ゲージ法および2ゲージ法測定モードにおいて、共通の励振電源による定電流励振を採用し、電流経路における切替え素子のオン抵抗による誤差を除去するとともに、非直線性の発生を防止して、励振電源およびブリッジ構成用抵抗素子を全チャンネルで共用することが可能となる。
【0031】
本発明の請求項5による多チャンネルひずみ測定回路は、請求項1〜請求項4のうちのいずれか1項の多チャンネルひずみ測定回路において、前記4ゲージ法測定モードによる測定時には、4個の前記ひずみゲージからなるブリッジ回路に定電圧を供給する定電圧励振回路を含む測定回路を構成する。
このような構成により、特に、定電圧励振の4ゲージ法測定モードによる測定が可能となる。
本発明の請求項6による多チャンネルひずみ測定回路は、請求項1〜請求項5のうちのいずれか1項の多チャンネルひずみ測定回路において、前記4ゲージ法測定モードによる測定時には、4個の前記ひずみゲージからなるブリッジ回路から切替え素子を経て基準抵抗となるブリッジ構成用の前記第1の抵抗素子を通る電流経路で、前記第1の抵抗素子の両端間にあらわれる電圧を所定の電圧とする定電流としてブリッジ励振電流を流す定電流励振回路を含む測定回路を構成する。
このような構成により、特に、1ゲージ法および2ゲージ法測定モードと実質的に共通の定電流励振を用いる4ゲージ法測定モードによる測定をも可能とし、電流経路における切替え素子のオン抵抗による誤差を除去するとともに、非直線性の発生を防止して、励振電源を全チャンネルで共用することが可能となる。
【0033】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る実施の形態に基づき、図面を参照して本発明の多チャンネルひずみ測定回路を詳細に説明する。
図1は、本発明の一つの実施の形態に係る多チャンネルひずみ測定回路の具体的な回路構成を示している。
図1に示す多チャンネルひずみ測定回路は、各チャンネルに共通の、励振電源Ein、増幅器AMP1、AMP2、AMP3、AMP4、AMP5、モード切替え用のスイッチ素子SW1、SW2、SW3、SW4、SW5、SW6およびブリッジ構成用抵抗Rb、Rc、Rd、ならびに各チャンネル毎にそれぞれ設けられる、接続端子Ta、Tb、Tc、Tdおよび選択走査用のスイッチ素子Sa、Sa′、Sb、Sc、Sc′、Sdを具備している。
選択走査用のスイッチ素子Sa、Sa′、Sb、Sc、Sc′、Sdは、各チャンネル毎に連動して各チャンネル毎の走査切替え素子SSWを構成し、チャンネル単位で逐次選択的にオン動作することによりチャンネルの選択走査を行なう。これら走査切替え素子SSW、その連動するスイッチ素子Sa、Sa′、Sb、Sc、Sc′、Sdおよびゲージ接続用の接続端子Ta、Tb、Tc、Tdは、参照符号の桁数の増大による説明の煩雑さを避けて、理解を容易にするために、各チャンネル毎に共通の参照符号を付して示している。
【0034】
なお、図1には、多チャンネルのうちの3チャンネル分のみを示しているが、4チャンネル以上の多チャンネルについても同様に構成することは言うまでもない。
モード切替え用のスイッチ素子SW1〜SW6は、いずれも1つの可動選択端を測定モードに応じて2つの被選択端のいずれか一方に選択的に切替え接続される切替えスイッチである。すなわち、スイッチ素子SW1は、1ゲージ法測定モード(1G)および2ゲージ法測定モード(2G)では、可動選択端を一方の被選択端(1−2G)に接続し、定電圧4ゲージ法測定モード(4G)および定電流4ゲージ法測定モード(4GI)では、可動選択端を他方の被選択端(4G/4GI)に接続する。スイッチ素子SW2は、1ゲージ法測定モード(1G)、2ゲージ法測定モード(2G)および定電流4ゲージ法測定モード(4GI)では、可動選択端を一方の被選択端(1−2G/4GI)に接続し、定電圧4ゲージ法測定モード(4G)では、可動選択端を他方の被選択端(4G)に接続する。スイッチ素子SW3は、1ゲージ法測定モード(1G)、2ゲージ法測定モード(2G)および定電流4ゲージ法測定モード(4GI)では、可動選択端を一方の被選択端(1−2G/4GI)に接続し、定電圧4ゲージ法測定モード(4G)では、可動選択端を他方の被選択端(4G)に接続する。
【0035】
スイッチ素子SW4は、1ゲージ法測定モード(1G)、2ゲージ法測定モード(2G)および定電流4ゲージ法測定モード(4GI)では、可動選択端を一方の被選択端(1−2G/4GI)に接続し、定電圧4ゲージ法測定モード(4G)では、可動選択端を他方の被選択端(4G)に接続する。スイッチ素子SW5は、1ゲージ法測定モード(1G)、2ゲージ法測定モード(2G)および定電流4ゲージ法測定モード(4GI)では、可動選択端を一方の被選択端(1−2G/4GI)に接続し、定電圧4ゲージ法測定モード(4G)では、可動選択端を他方の被選択端(4G)に接続する。スイッチ素子SW6は、2ゲージ法測定モード(2G)、定電圧4ゲージ法測定モード(4G)および定電流4ゲージ法測定モード(4GI)では、可動選択端を一方の被選択端(2G/4G/4GI)に接続し、1ゲージ法測定モード(1G)では、可動選択端を他方の被選択端に接続する。
接続端子Taは、選択走査用のスイッチ素子Sa′およびSaのそれぞれに接続されている。接続端子Tbは、選択走査用のスイッチ素子Sbに接続されている。接続端子Tcは、選択走査用のスイッチ素子Sc′およびScのそれぞれに接続されている。
【0036】
そして接続端子Tdは、スイッチ素子Sdに接続されている。選択走査用のスイッチ素子Sa′は、モード切替え用のスイッチ素子SW4の可動選択端に接続され、選択走査用のスイッチ素子Saには、増幅器AMP2の出力端が接続されている。選択走査用のスイッチ素子Sbは、増幅器AMP1の反転入力端(−)に接続されている。選択走査用のスイッチ素子Sc′は、モード切替え用のスイッチ素子SW2の可動選択端に接続され、選択走査用のスイッチ素子Scは、モード切替え用のスイッチ素子SW3の可動選択端に接続されている。選択走査用のスイッチ素子Sdは、モード切替え用のスイッチ素子SW1の定電圧4ゲージ法測定モード(4G)および定電流4ゲージ法測定モード(4GI)で選択される前記他方の被選択端に接続されている。これらは、各チャンネルに共通の構成である。
励振電源Einの一方、この場合正側、の出力端は、増幅器AMP2の非反転入力端(+)に接続され、励振電源Einの他方、この場合負側、の出力端は、増幅器AMP3の非反転入力端(+)および共通電位(アース)のそれぞれに接続されている。増幅器AMP2の反転入力端(−)には、モード切替え用のスイッチ素子SW5の可動選択端が接続されている。
【0037】
増幅器AMP3の反転入力端(−)には、モード切替え用のスイッチ素子SW2の定電圧4ゲージ法測定モード(4G)で選択される前記他方の被選択端が接続されている。モード切替え用のスイッチ素子SW2の1ゲージ法測定モード(1G)、2ゲージ法測定モード(2G)および定電流4ゲージ法測定モード(4GI)で選択される前記一方の被選択端は、スイッチ素子SW5の1ゲージ法測定モード(1G)、2ゲージ法測定モード(2G)および定電流4ゲージ法測定モード(4GI)で選択される前記一方の被選択端に接続されると共に、スイッチ素子SW6の1ゲージ法測定モード(1G)で選択される被選択端のそれぞれに接続されている。モード切替え用のスイッチ素子SW5の1ゲージ法測定モード(1G)、2ゲージ法測定モード(2G)および定電流4ゲージ法測定モード(4GI)で選択される前記一方の被選択端は、ブリッジ構成用抵抗Rbを介して共通電位に接続されている。モード切替え用のスイッチ素子SW5の定電圧4ゲージ法測定モード(4G)で選択される前記他方の被選択端は、スイッチ素子SW4の定電圧4ゲージ法測定モード(4G)で選択される前記他方の被選択端に接続されている。増幅器AMP3の出力端は、スイッチ素子SW3の定電圧4ゲージ法測定モード(4G)で選択される前記他方の被選択端に接続されている。
【0038】
スイッチ素子SW4の1ゲージ法測定モード(1G)、2ゲージ法測定モード(2G)および定電流4ゲージ法測定モード(4GI)で選択される前記一方の被選択端は、増幅器AMP4の非反転入力端(+)に接続されている。増幅器AMP4の反転入力端(−)には、増幅器AMP4の出力端が接続されている。モード切替え用のスイッチ素子SW3の1ゲージ法測定モード(1G)、2ゲージ法測定モード(2G)および定電流4ゲージ法測定モード(4GI)で選択される前記一方の被選択端は、増幅器AMP5の非反転入力端(+)に接続されている。増幅器AMP5の反転入力端(−)には、スイッチ素子SW6の可動選択端が接続されている。モード切替え用のスイッチ素子SW6の2ゲージ法測定モード(2G)、定電圧4ゲージ法測定モード(4G)および定電流4ゲージ法測定モード(4GI)で選択される前記一方の被選択端には、増幅器AMP5の出力端が接続されている。ブリッジ構成用抵抗RdとRcは、直列に接続され、これらブリッジ構成用抵抗RdとRcの直列回路の抵抗Rd側の端部は、増幅器AMP4の出力端に接続され、ブリッジ構成用抵抗RdとRcの直列回路の抵抗Rc側の端部は、増幅器AMP5の出力端に接続されている。ブリッジ構成用抵抗RdとRcの相互の接続点は、スイッチ素子SW1の1ゲージ法測定モード(1G)および2ゲージ法測定モード(2G)で選択される前記一方の被選択端に接続されている。
【0039】
1ゲージ法測定モードの場合には、ひずみゲージGaとしていわゆる3ワイヤ式のひずみゲージを用い、このひずみゲージGaのゲージ抵抗の一端に接続された第1端は、接続端子Taに接続され、ひずみゲージGaのゲージ抵抗の他端に接続された第2端は接続端子Tbに接続され、ひずみゲージGaのゲージ抵抗の他端に前記第2端と共通に接続された第3端は接続端子Tcに接続される。
2ゲージ法測定モードの場合には、ひずみゲージGaのゲージ抵抗の一端に接続された第1端は、接続端子Taに接続され、ひずみゲージGaのゲージ抵抗の他端に接続された第2端は接続端子Tbに接続される。ひずみゲージGbのゲージ抵抗の一端に接続された第1端は、ひずみゲージGaの前記第2端と共に接続端子Tbに接続され、ひずみゲージGbのゲージ抵抗の他端に接続された第2端は接続端子Tcに接続される。
4ゲージ法測定モードの場合には、定電圧励振および定電流励振のいずれにおいても、ひずみゲージGaのゲージ抵抗の一端に接続された第1端は、接続端子Taに接続され、ひずみゲージGaのゲージ抵抗の他端に接続された第2端は接続端子Tbに接続される。
【0040】
ひずみゲージGbのゲージ抵抗の一端に接続された第1端は、ひずみゲージGaの前記第2端と共に接続端子Tbに接続され、ひずみゲージGbのゲージ抵抗の他端に接続された第2端は接続端子Tcに接続される。ひずみゲージGcのゲージ抵抗の一端に接続された第1端は、ひずみゲージGbの前記第2端と共に接続端子Tcに接続され、ひずみゲージGcのゲージ抵抗の他端に接続された第2端は接続端子Tdに接続される。ひずみゲージGdのゲージ抵抗の一端に接続された第1端は、ひずみゲージGcの前記第2端と共に接続端子Tdに接続され、ひずみゲージGdのゲージ抵抗の他端に接続された第2端は、ひずみゲージGaの前記第1端と共に接続端子Taに接続される。なお、図1においては、第1番目のチャンネルに1ゲージ法測定モード、第2番目のチャンネルに2ゲージ法測定モード、そして第3番目のチャンネルに4ゲージ法測定モードにそれぞれ従ってひずみゲージを接続した状態を示しているが、もちろんどのチャンネルにどの測定モードでひずみゲージの接続を行なっても良い。
【0041】
ブリッジ構成用抵抗Rb、RcおよびRdは、ひずみゲージと組み合わせてブリッジを構成する。ブリッジ励振電源Einは、ブリッジ励振用の基準電圧を供給する。増幅器AMP1はブリッジ出力を増幅する差動増幅器であり、増幅器AMP2はブリッジ励振用の第1の電源増幅器、増幅器AMP3はブリッジ励振用の第2の電源増幅器である。増幅器AMP4は、ブリッジ励振電流が抵抗Rdと抵抗Rcの辺へ分流することを阻止するための第1のバッファ増幅器であり、増幅器AMP5は、1ゲージ法測定モードでの接続時には切替え素子の抵抗による電圧発生分を抽出する差動増幅器として動作し、2ゲージ法測定モードでの接続時には増幅器AMP4と同様に抵抗Rdと抵抗Rcの辺へのブリッジ電流の分流を阻止するバッファとして動作する第2のバッファ増幅器である。モード切替え用のスイッチ素子SW1〜SW6は、測定モードに応じて各回路素子を所要の測定方式に従って接続するためのスイッチである。なお、図1においては、モード切替え用のスイッチ素子SW1〜SW6は、2ゲージ法測定モードにおける選択状態が示されており、各チャンネル毎の走査切替え素子SSWを構成する選択走査用のスイッチ素子Sa、Sa′、Sb、Sc、Sc′、Sdは、非選択状態として示されている。
以下、図1に示した多チャンネルひずみ測定回路における各測定モード毎の接続状態および動作を説明する。
【0042】
〈(1)1ゲージ法〉
図1の多チャンネルひずみ測定回路の構成において、1ゲージ法測定モードとして接続した場合、すなわちモード切替え用のスイッチ素子SW1〜SW5を図1に示されるように被選択端が選択された状態とし、モード切替え用のスイッチ素子SW6を図1とは異なる被選択端が選択された状態とした場合、の実質的な回路を図2に示す。この図2には、1ゲージ法測定モードにおける動作に関連する素子および回路だけを示している。例えば、モード切替え用のスイッチ素子SW1〜SW6のうち、図2に示されているのはスイッチ素子SW2だけであるが、このスイッチ素子SW2以外のモード切替え用の各スイッチ素子SW1、SW3〜SW6は、その特性等が測定精度の検討に実質的に大きく影響しないので、図2の回路上に明示していない。
すなわち、図2に示す接続状態においては、増幅器AMP1の非反転入力端(+)にブリッジ構成用抵抗RdとRcの接続点が接続されており、増幅器AMP5の非反転入力端(+)に選択走査用のスイッチ素子Scが接続されており、増幅器AMP4の非反転入力端(+)に選択走査用のスイッチ素子Sa′が接続されており、そして増幅器AMP2の反転入力端(−)はブリッジ構成用抵抗Rbを介して共通電位に接続されている。
【0043】
増幅器AMP2の反転入力端(−)には、また、モード切替え用のスイッチ素子SW2を介して選択走査用のスイッチ素子Sc′が接続されている。増幅器AMP5の反転入力端(−)は、増幅器AMP2の反転入力端(−)と接続されている。
この状態で、ひずみゲージGaには、増幅器AMP2→接続端子Ta→ひずみゲージGa→接続端子Tc→スイッチ素子Sc′→スイッチ素子SW2→抵抗Rbの経路で定電流を流す。その電流は、ブリッジ構成用抵抗Rbの両端の電圧が、ブリッジ励振電源Einの基準電圧(Ein)に等しくなるように、増幅器AMP2により制御された一定の電流である。
バッファ増幅器AMP4により、ひずみゲージGaのゲージ抵抗の一端に対応する第1端に接続された接続端子Taの電位を抽出し、さらに上述の電流経路の選択走査用のスイッチ素子Sc′とモード切替え用のスイッチ素子SW2のオン抵抗(数百Ω以下)に、電流が流れることによって発生する誤差電圧分を増幅器AMP5により抽出し、増幅器AMP4と増幅器AMP5との出力端間に、互いに等しい抵抗値を有するブリッジ構成用抵抗RdとRcの直列回路を挿入した回路を構成して、抵抗RdとRcの接続点から、従来方式のブリッジ回路における正の出力に相当する一方の出力電位を得る。
【0044】
また、ひずみゲージGaのゲージ抵抗の他端に対応する第2端に接続された接続端子Tbからは、従来方式のブリッジ回路における負の出力に相当する他方の出力電位を得る。
これら正負の出力電位間の電圧がひずみゲージの抵抗値変化に比例した出力、すなわちひずみ出力となる。この実施の形態においては、差動増幅器AMP1によって、正負出力電位間の差の電圧を抽出し、必要とあれば増幅する。
図2の構成において、ひずみゲージGaの接続ケーブルにおけるリード線の抵抗値を考慮した場合の回路構成を図3に示している。ひずみゲージGaと接続端子Ta、TbおよびTcの間にそれぞれ挿入されている抵抗値RLがひずみゲージのリード線抵抗値であり、これらは同じ抵抗値と考えて良い。
ひずみゲージリード線抵抗値RLを考慮した場合の図3の回路の等価回路を図4に示している。以下、この図4の等価回路に基づいて、詳細に説明する。
ひずみゲージGaのゲージ抵抗(抵抗値もGaとする)に流れる電流Iは、ブリッジ励振電源電圧Einおよびブリッジ構成用抵抗値Rbに基づいて次式であらわされる。
【0045】
【数2】
Figure 0003961995
【0046】
ブリッジ励振電源電圧Einおよびブリッジ構成用抵抗値Rbは、共に固定値であるから、電流値Iは一定の電流、つまり定電流、である。
接続端子Taの電位、すなわち増幅器AMP4の出力の電位Eamp4は、次式であらわされる。
Eamp4=I×(Ga+Rb+Rsc′+Rsw2+2×RL)… (3)
ここで、Rsc′とRsw2は、それぞれ選択走査用のスイッチ素子Sc′とモード切替え用のスイッチ素子SW2のオン抵抗値である。
また、増幅器AMP5の出力の電位Eamp5は、次式であらわされる。
Eamp5=I×(Rsc′+Rsw2) … (4)
したがって、ブリッジ構成用抵抗Rdとブリッジ構成用抵抗Rcの接続点の電位E1は、次式であらわされる。
【0047】
【数3】
Figure 0003961995
【0048】
また、接続端子Tbの電位E2は、次式であらわされる。
E2=I×(Rb+Rsc′+Rsw2+RL) … (6)
ここで、ひずみゲージGaのゲージ抵抗(Ga)は、初期状態、つまり無負荷時、では、ブリッジ構成用抵抗Rbと等しいので、ゲージ抵抗Gaからひずみによる抵抗値変化分ΔGaを分離して、Ga=Ga+ΔGa=Rb+ΔGaとおけば、(5)式は、次のようになる。
【0049】
【数4】
Figure 0003961995
【0050】
すなわち、ブリッジ出力に相当する電位E1とE2の電位差Eoは、(6)式および(7)式より、次式であらわされる。
【0051】
【数5】
Figure 0003961995
【0052】
電流値Iは、一定であるから、最終的な出力Eoとしては、ひずみゲージGaの抵抗値変化ΔGaに完全に比例した出力が得られる。
〈(2)2ゲージ法〉
図1の多チャンネルひずみ測定回路の構成において、2ゲージ法測定モードとして接続した場合、すなわちモード切替え用のスイッチ素子SW1〜SW6を図1に示されるように被選択端が選択された状態とした場合、の実質的な回路を図5に示す。この図5には、2ゲージ法測定モードにおける動作に関連する素子および回路だけを示している。例えば、モード切替え用のスイッチ素子SW1〜SW6のうち、図5に示されているのはスイッチ素子SW2だけであるが、このスイッチ素子SW2以外のモード切替え用の各スイッチ素子SW1、SW3〜SW6は、その特性等が測定精度の検討に実質的に大きく影響しないので、図5の回路上に明示していない。
【0053】
すなわち、図5に示す接続状態においては、増幅器AMP1の非反転入力端(+)にブリッジ構成用抵抗RdとRcの接続点が接続されており、増幅器AMP5の非反転入力端(+)に選択走査用のスイッチ素子Scが接続されており、増幅器AMP4の非反転入力端(+)に選択走査用のスイッチ素子Sa′が接続されており、そして増幅器AMP2の反転入力端(−)はブリッジ構成用抵抗Rbを介して共通電位に接続されている。増幅器AMP2の反転入力端(−)には、また、モード切替え用のスイッチ素子SW2を介して選択走査用のスイッチ素子Sc′が接続されている。増幅器AMP5の反転入力端(−)には、その増幅器AMP5の出力端が接続されている。
この状態で、2個のひずみゲージGaおよびGbには、増幅器AMP2→接続端子Ta→ひずみゲージGa→接続端子Tb→ひずみゲージGb→接続端子Tc→スイッチ素子Sc′→スイッチ素子SW2→抵抗Rbの経路で定電流を流す。その電流は、ブリッジ構成用抵抗Rbの両端の電圧が、ブリッジ励振電源Einの基準電圧(Ein)に等しくなるように、増幅器AMP2により制御された一定の電流である。
【0054】
バッファ増幅器AMP4により、ひずみゲージGaのゲージ抵抗の前記一端に対応する第1端に接続された接続端子Taの電位を抽出し、さらにバッファ増幅器AMP5により、ひずみゲージGbのゲージ抵抗の前記他端に対応する第2端に接続された接続端子Tcの電位を抽出して、増幅器AMP4と増幅器AMP5との出力端間に、互いに等しい抵抗値のを有するブリッジ構成用抵抗RdとRcの直列回路を挿入した回路を構成して、抵抗RdとRcの接続点から、従来方式のブリッジ回路における正の出力に相当する一方の出力電位を得る。また、ひずみゲージGaのゲージ抵抗の前記他端に対応する第2端に接続されるとともにひずみゲージGbのゲージ抵抗の前記一端に対応する第1端に接続された接続端子Tbからは、従来方式のブリッジ回路における負の出力に相当する他方の出力電位を得る。
これら正負の出力電位間の電圧がひずみゲージの抵抗値変化に比例した出力、すなわちひずみ出力となる。この実施の形態においては、差動増幅器AMP1によって、正負出力電位間の差の電圧を抽出し、必要とあれば増幅する。
【0055】
2個のひずみゲージGaおよびGbを励振する電流の経路にある選択走査用のスイッチ素子Sc′とモード切替え用のスイッチ素子SW2のオン抵抗(数百Ω以下)に電流が流れることによって発生する電圧は、差動増幅器AMP1に対して同相電圧として入力されるので、ひずみ測定値に影響しない。
図5の構成において、2個のひずみゲージGaおよびGbの接続ケーブルにおけるリード線の抵抗値を考慮した場合の回路構成を図6に示している。ひずみゲージGa、Gbの各両端と接続端子Ta、Tb、Tcの間に挿入されている抵抗値RLがリード線抵抗値であり、これらは同じ抵抗値と考えて良い。
ひずみゲージリード線抵抗値RLを考慮した場合の図6の回路の等価回路を図7に示している。以下、この図7の等価回路に基づいて、詳細に説明する。
ひずみゲージGaおよびGbのゲージ抵抗(抵抗値もGaおよびGbとする)に流れる電流Iは、上述の1ゲージ法測定モードの場合と同様にブリッジ励振電源電圧Einおよびブリッジ構成用抵抗値Rbに基づいて(2)式であらわされ、一定の電流、すなわち定電流、である。
【0056】
接続端子Taの電位、すなわち増幅器AMP4の出力の電位Eamp4は、選択走査用のスイッチ素子Sc′のオン抵抗値Rsc′とモード切替え用のスイッチ素子SW2のオン抵抗値Rsw2を用いて。次式であらわされる。
Eamp4=I×(Ga+Gb+Rb+Rsc′+Rsw2+4×RL)… (9)
また、増幅器AMP5の出力の電位Eamp5は、次式であらわされる。
Eamp5=I×(Rb+Rsc′+Rsw2) … (10)
したがって、ブリッジ構成用抵抗Rdとブリッジ構成用抵抗Rcの接続点の電位E1は、次式であらわされる。
【0057】
【数6】
Figure 0003961995
【0058】
また、接続端子Tbの電位E2は、次式であらわされる。
E2=I×(Gb+Rb+Rsc′+Rsw2+2×RL)
… (12)
ここで、初期状態、つまり無負荷時、では、ひずみゲージGaのゲージ抵抗(Ga)とひずみゲージGbのゲージ抵抗(Gb)とは、互いに等しいので、
Ga=Gbとおき、ゲージ抵抗GaおよびGbからひずみによる抵抗値変化分ΔGaおよびΔGbをそれぞれ分離して、Ga=Gb+ΔGa、Gb=Gb+ΔGbとおけば、E1を示す(11)式は、次のようになる。
【0059】
【数7】
Figure 0003961995
【0060】
となる。同様にE2を示す(12)式は、次のようになる。
E2=I×(ΔGb+Gb+Rb+Rsc′+Rsw2+2×RL)… (14)
すなわち、ブリッジ出力に相当する電位E1とE2の電位差Eoは、(13)式および(14)式より、次式であらわされる。
【0061】
【数8】
Figure 0003961995
【0062】
電流値Iは、一定であるから、最終的な出力Eoとしては、2個のひずみゲージGa、Gbの抵抗値変化ΔGa、ΔGbに完全に比例した出力が得られる。
【0063】
〈(3)定電圧(定電圧励振)4ゲージ法〉
図1の多チャンネルひずみ測定回路の構成において、定電圧励振の4ゲージ法、つまり定電圧4ゲージ法測定モードとして接続した場合、すなわちモード切替え用のスイッチ素子SW1〜SW5を図1とは異なる被選択端が選択された状態とし、モード切替え用のスイッチ素子SW6を図1に示されるように被選択端が選択された状態とした場合、の実質的な回路を図8に示す。この図8には、定電圧4ゲージ法測定モードにおける動作に関連する素子および回路だけを示している。例えば、モード切替え用のスイッチ素子SW1〜SW6は、その特性等が測定精度の検討に実質的に大きく影響しないので、図8の回路上に明示していない。
すなわち、図8に示す接続状態においては、増幅器AMP1の非反転入力端(+)に選択走査用のスイッチ素子Sdが接続されており、増幅器AMP3の反転入力端(−)に選択走査用のスイッチ素子Sc′が接続されており、増幅器AMP3の出力端は選択走査用のスイッチ素子Scに接続されており、そして増幅器AMP2の反転入力端(−)に選択走査用のスイッチ素子Sa′が接続されている。このような図8の接続構成の等価回路を図9に示している。
【0064】
図9に示す構成において、接続端子TaおよびTcの電位がそれぞれ基準電圧Einおよび0Vの共通電位となるように増幅器AMP2およびAMP3が制御するので、ブリッジ励振電圧は基準電圧Einとなる。
この図9の等価回路は、一般的な定電圧励振による4ゲージ法測定モードの測定回路である。この定電圧4ゲージ法測定モードは、ロードセルを始めとして加速度変換器、変位計、トルク変換器など種々のひずみゲージ式変換器を接続する際に使用する。各変換器には、定電圧励振電源により較正された較正係数が付属されており、多チャンネルのひずみ測定システムとしては必須の測定モードである。
【0065】
〈(4)定電流(定電流励振)4ゲージ法〉
図1の多チャンネルひずみ測定回路の構成において、定電流励振の4ゲージ法、つまり定電流4ゲージ法測定モードとして接続した場合、すなわちモード切替え用のスイッチ素子SW1を図1とは異なる被選択端が選択された状態とし、モード切替え用のスイッチ素子SW2〜SW6を図1に示されるように被選択端が選択された状態とした場合、の実質的な回路を図10に示す。この図10には、定電流4ゲージ法測定モードにおける動作に関連する素子および回路だけを示している。例えば、モード切替え用のスイッチ素子SW1〜SW6のうち、図10に示されているのはスイッチ素子SW2だけであるが、このスイッチ素子SW2以外のモード切替え用の各スイッチ素子SW1、SW3〜SW6は、その特性等が測定精度の検討に実質的に大きく影響しないので、図10の回路上に明示していない。
【0066】
すなわち、図10に示す接続状態においては、増幅器AMP1の非反転入力端(+)に選択走査用のスイッチ素子Sdが接続されており、増幅器AMP2の反転入力端(−)はブリッジ構成用抵抗Rbを介して共通電位に接続されている。増幅器AMP2の反転入力端(−)には、また、モード切替え用のスイッチ素子SW2を介して選択走査用のスイッチ素子Sc′が接続されている。このような図10の接続構成の等価回路を図11に示している。
この図11の等価回路は、一般的な定電流励振による4ゲージ法測定モードの測定回路である。この定電流4ゲージ測定モードは、接続ケーブル長が数百〜数千メートルと長くなることも多いひずみゲージ式土木用変換器等を接続する際に効果的に使用することができる。定電流励振であるためにケーブルのリード線抵抗による電圧降下の影響を受けることがなく、ブリッジ励振電圧の低下による感度変化を生じることがない。このような測定モードも多チャンネルのひずみ測定システムとしては必須の測定モードである。
【0067】
基準抵抗となるブリッジ構成用抵抗Rbの両端における電圧が、励振電源基準電圧Einに等しくなるように増幅器AMP2により制御された電流が、増幅器AMP2→接続端子Ta→4ゲージブリッジ(Ga、Gb、Gc、Gd)→接続端子Tc→スイッチ素子Sc′→スイッチ素子SW2→抵抗Rbの経路で流れる。なお、4ゲージブリッジ(Ga、Gb、Gc、Gd)部分は、ひずみゲージGaとGbの直列回路と、ひずみゲージGdとGcの直列回路との並列接続である。
選択走査用のスイッチ素子Sc′とモード切替え用のスイッチ素子SW2のオン抵抗の総和(Rsc′+Rsw2)は、その抵抗値がひずみゲージと同程度、例えば数百Ωという大きな値であっても、接続端子Tdにあらわれる出力電位E1と接続端子Tbにあらわれる出力電位E2との間のブリッジ出力(E1−E2)の同相電圧として差動増幅器AMP1に入力されるので、前記オン抵抗の総和(Rsc′+Rsw2)の影響は差動増幅器AMP1によって除去される。
【0068】
以上において説明した通り、図1に示す本発明の実施の形態に係る多チャンネルひずみ測定回路は、4種類のゲージ法による測定モードを全て包含して、チャンネル毎に選択的に切替えて適用することが可能であり、且つブリッジ構成用抵抗を全チャンネルで共用することが可能であって、しかもブリッジ内の切替え素子として半導体リレー等の高オン抵抗値の切替え素子を使用することが可能である。
従来の技術において、図12に示す測定回路から図13に示す測定回路へ変更することにより、ブリッジ構成用抵抗を大幅に削減することが可能となるが、図13のような抵抗の共用は測定のためのブリッジの辺を切り替えることになり、誤差を許容範囲に抑えるためには、切替え素子のオン抵抗値が数mΩ以下に制限されるために、スイッチ素子として使用可能な素子の選択範囲が制限されていた。
これに対して、上述した実施の形態に示すような本発明に係る多チャンネルひずみ測定回路は、かかる制限を取り除くことができ、数百Ωのオン抵抗値を持つ半導体スイッチも使用可能となる。
【0069】
すなわち、本発明の多チャンネルひずみ測定回路によれば、数百Ωのオン抵抗を持つスイッチを使用してもその誤差を除去して適正なひずみ測定データを得ることができる((8)式を参照されたい)。このような、本発明に従った多チャンネルひずみ測定回路により得られる効果は、半永久的な長寿命化、切替えの高速化、そして低価格化と多岐にわたっている。
図1の本発明の実施の形態に係る多チャンネルひずみ測定回路の構成と図13の従来回路の構成とを比較すれば明らかであるが、本発明方式による追加回路部品は、数個の利得設定抵抗を伴う2個のバッファ増幅器と数個のモード切り換えスイッチだけである。これらの部品は、従来の構成に用いられている回路部品と比較して特に高精度である必要はなく、同程度の部品でよい。したがって、多チャンネルのひずみ測定システムを構成する場合にも僅かな部品追加で本発明に係る多チャンネルひずみ測定回路を実施することが可能である。
【0070】
また、上述した構成においては、1ゲージ法測定モードと2ゲージ法測定モードに定電流励振を採用したことにより、定電圧励振で見られるようなひずみゲージの抵抗値変化によるブリッジの当該辺を流れる電流変化により生じるブリッジ出力の非直線性の発生が無く、ひずみゲージ抵抗値変化に完全に比例した出力が得られる((15)式を参照されたい)。
なお、1ゲージ法測定モードおよび2ゲージ法測定モードにおける定電流方式のひずみ測定回路は、図15および図16にそれぞれ示すような回路が典型的である。図15および図16のいずれにおいても2個の定電流電源CCS1およびCCS2を具備し、それら定電流電源CCS1およびCCS2の出力電流は、ブリッジ基準電圧Einをもとにして作られ、両方とも同じ値(I1)である。これら定電流電源CCS1およびCCS2の出力電流I1が、図15の構成では、ひずみゲージGaおよびブリッジ構成用抵抗Rbにそれぞれ供給され、図16の構成では、ひずみゲージGaおよびGbにそれぞれ供給されて、出力電位E1およびE2を得る。これら出力電位E1とE2との間の電圧を差動増幅器AMP10で抽出している。
【0071】
これら図15および図16の回路でも、ひずみゲージの抵抗値変化に比例した出力を得ることができるが、2個の定電流源CCS1およびCCS2を使用することにより、それぞれの電流源固有の独立したノイズが重畳した出力となるため、そのノイズは差動増幅器AMP1において充分に除去することはできず、定電圧励振に比して高精度な測定には不向きであった。本発明に係る図1の回路では、定電流源は1個であるから、定電流源自身が持つノイズやゆっくりとしたノイズである漂動は、同相成分として正負両方のひずみ出力に重畳するので差動増幅器で効果的に除去することができる。したがって、従来の定電流励振電源によるひずみ測定回路と比較しても、より高精度で且つ高安定な測定が可能となる。
また、モード切替え用スイッチ素子SW1〜SW6によるモード切替えは、予め各チャンネルの適用モードを、目視または接続記録メモ等に従ってマニュアル操作で不揮発性の記憶手段等に登録しておき、チャンネルの切替え走査に伴って登録された測定モードに従って逐次モード切替え用スイッチ素子SW1〜SW6を切り替えるようにしても良い。
【0072】
しかしながら、接続端子Ta〜Tdに対するひずみゲージの測定モードに従った接続状態は、接続端子Ta〜Tdにおける端子間の抵抗値等パラメータに基づいて判別することが可能であるので、自動的に、各チャンネルの接続端子Ta〜Tdを順次走査して、各チャンネル毎の測定モードを判別して登録する手段をさらに設け、最初の測定時、測定走査時にその都度、または一定期間毎に、測定に先立って各チャンネルの接続端子Ta〜Tdを順次走査して、各チャンネル毎の測定モードを判別して登録し、チャンネルの切替え走査に伴って登録された測定モードに従って逐次モード切替え用スイッチ素子SW1〜SW6を切り替えるようにしても良い。
【0073】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、1ゲージ法測定モード、2ゲージ法測定モードおよび4ゲージ法測定モードを含む測定モードで選択的に各チャンネルにひずみゲージを接続し、前記各チャンネルを選択的に切り替えて、各チャンネル毎の前記ひずみゲージによる測定を行なう多チャンネルひずみ測定回路において、ブリッジ構成用抵抗を全チャンネルで共用することを可能とし且つブリッジ内の切替え素子として半導体リレー等の高オン抵抗値の切替え素子を使用することを可能とする多チャンネルひずみ測定回路を提供することができる。
すなわち、本発明の請求項1の多チャンネルひずみ測定回路によれば、ひずみゲージを接続するための所定の第1、第2、第3および第4の端子を各チャンネル毎に有し、前記第1の端子と前記第2の端子との間に単一のひずみゲージが接続され且つ前記第2の端子と前記第3の端子との間が短絡される1ゲージ法測定モードと、前記第1の端子と前記第2の端子との間に1つのひずみゲージが接続され且つ前記第2の端子と前記第3の端子との間に他の1つのひずみゲージが接続される2ゲージ法測定モードと、前記第1の端子と前記第2の端子との間、前記第2の端子と前記第3の端子との間、前記第3の端子と前記第4の端子との間、そして前記第4の端子と前記第1の端子との間にそれぞれ1つずつの異なる4個のひずみゲージがそれぞれ接続される4ゲージ法測定モードを含む測定モードで選択的に各チャンネルにひずみゲージを接続し、前記各チャンネルを選択的に切り替えて、各チャンネル毎の前記ひずみゲージによる測定を行なう多チャンネルひずみ測定回路において、少なくとも前記1ゲージ法測定モードおよび2ゲージ法測定モードの測定で使用するブリッジ構成用抵抗素子を全チャンネルで1組だけ具備して各チャンネルに共通に使用し、前記1ゲージ法測定モードによる測定時には、ひずみゲージから切替え素子を経て基準抵抗となるブリッジ構成用の第1の抵抗素子を通る電流経路で、前記第1の抵抗素子の両端間にあらわれる電圧を所定の電圧とする定電流としてブリッジ励振電流を流して、第1のバッファ増幅器により、前記ブリッジ励振電流の分流を阻止し且つ前記ひずみゲージの一方の接続端の電位を抽出し、第2のバッファ増幅器により、前記電流経路における前記切替え素子のオン抵抗により発生する電圧を抽出し、前記第1のバッファ増幅器の出力端と第2のバッファ増幅器の出力端との間に、抵抗値の等しいブリッジ構成用の第2の抵抗素子と第3の抵抗素子を直列に接続し、これら第2の抵抗素子と第3の抵抗素子との相互間の接続点から一方の出力電位を得るともに、前記ひずみゲージの他方の接続端から他方の出力電位を得て、これら両出力電位の差の電圧を測定することによって、前記電流経路に入っている切替え素子のオン抵抗による誤差を除去することにより、特に、少なくとも1ゲージ法測定モードにおいて、定電流励振を採用し、電流経路における切替え素子のオン抵抗による誤差を除去するとともに、非直線性の発生を防止して、ブリッジ構成用抵抗素子を全チャンネルで共用することが可能となる。
【0074】
また、本発明の請求項2の多チャンネルひずみ測定回路によれば、ひずみゲージを接続するための所定の第1、第2、第3および第4の端子を各チャンネル毎に有し、前記第1の端子と前記第2の端子との間に単一のひずみゲージが接続され且つ前記第2の端子と前記第3の端子との間が短絡される1ゲージ法測定モードと、前記第1の端子と前記第2の端子との間に1つのひずみゲージが接続され且つ前記第2の端子と前記第3の端子との間に他の1つのひずみゲージが接続される2ゲージ法測定モードと、前記第1の端子と前記第2の端子との間、前記第2の端子と前記第3の端子との間、前記第3の端子と前記第4の端子との間、そして前記第4の端子と前記第1の端子との間にそれぞれ1つずつの異なる4個のひずみゲージがそれぞれ接続される4ゲージ法測定モードを含む測定モードで選択的に各チャンネルにひずみゲージを接続し、前記各チャンネルを選択的に切り替えて、各チャンネル毎の前記ひずみゲージによる測定を行なう多チャンネルひずみ測定回路において、少なくとも前記1ゲージ法測定モードおよび2ゲージ法測定モードの測定で使用するブリッジ構成用抵抗素子を全チャンネルで1組だけ具備して各チャンネルに共通に使用し、前記2ゲージ法測定モードによる測定時には、第1および第2のひずみゲージから切替え素子を経て基準抵抗となるブリッジ構成用の第1の抵抗素子を通る電流経路で、前記第1の抵抗素子の両端間にあらわれる電圧を所定の電圧とする定電流としてブリッジ励振電流を流して、定電流の分流阻止と電位抽出のために用いられる第1のバッファ増幅器および第2のバッファ増幅器により、アクティブゲージである第1のひずみゲージの一方の接続端およびダミーゲージである第2のひずみゲージの一方の接続端の電位をそれぞれ抽出し、前記第1のバッファ増幅器の出力端と第2のバッファ増幅器の出力端との間に、抵抗値の等しいブリッジ構成用の第2の抵抗素子と第3の抵抗素子を直列に接続し、これら第2の抵抗素子と第3の抵抗素子との相互間の接続点から一方の出力電位を得るともに、前記第1および第2のひずみゲージの各他方の接続端が共通に接続された共通接続端から他方の出力電位を得て、これら両出力電位の差の電圧を測定することによって、前記電流経路に入っている切替え素子のオン抵抗による誤差を除去することにより、特に、少なくとも2ゲージ法測定モードにおいて、定電流励振を採用し、電流経路における切替え素子のオン抵抗による誤差を除去するとともに、非直線性の発生を防止して、ブリッジ構成用抵抗素子を全チャンネルで共用することが可能となる。
【0075】
本発明の請求項3の多チャンネルひずみ測定回路によれば、請求項1または請求項2の多点ひずみ測定回路において、前記1ゲージ法測定モードおよび2ゲージ法測定モードの少なくとも一方における前記ブリッジ励振電流を供給するブリッジ励振電源を、単一の定電流源で構成することにより、ブリッジ方式における非直線性を無くし、各ひずみゲージの抵抗値変化に比例した出力を得ることにより、特に、1ゲージ法測定モードおよび2ゲージ法測定モードの少なくとも一方における非直線性を防止し且つブリッジ励振電源を全チャンネルで共用することが可能となる。
【0076】
本発明の請求項4の多チャンネルひずみ測定回路によれば、ひずみゲージを接続するための所定の第1、第2、第3および第4の端子を各チャンネル毎に有し、前記第1の端子と前記第2の端子との間に単一のひずみゲージが接続され且つ前記第2の端子と前記第3の端子との間が短絡される1ゲージ法測定モードと、前記第1の端子と前記第2の端子との間に1つのひずみゲージが接続され且つ前記第2の端子と前記第3の端子との間に他の1つのひずみゲージが接続される2ゲージ法測定モードと、前記第1の端子と前記第2の端子との間、前記第2の端子と前記第3の端子との間、前記第3の端子と前記第4の端子との間、そして前記第4の端子と前記第1の端子との間にそれぞれ1つずつの異なる4個のひずみゲージがそれぞれ接続される4ゲージ法測定モードを含む測定モードで選択的に各チャンネルにひずみゲージを接続し、前記各チャンネルを選択的に切り替えて、各チャンネル毎の前記ひずみゲージによる測定を行なう多チャンネルひずみ測定回路において、少なくとも前記1ゲージ法測定モードおよび2ゲージ法測定モードの測定で使用するブリッジ構成用抵抗素子を全チャンネルで1組だけ具備して各チャンネルに共通に使用し、前記1ゲージ法測定モードによる測定時には、ひずみゲージから切替え素子を経て基準抵抗となるブリッジ構成用の第1の抵抗素子を通る電流経路で、前記第1の抵抗素子の両端間にあらわれる電圧を所定の電圧とする定電流として励振電源よりブリッジ励振電流を流して、第1のバッファ増幅器により、前記ブリッジ励振電流の分流を阻止し且つ前記ひずみゲージの一方の接続端の電位を抽出し、第2のバッファ増幅器により、前記電流経路における前記切替え素子のオン抵抗により発生する電圧を抽出し、前記第1のバッファ増幅器の出力端と第2のバッファ増幅器の出力端との間に、抵抗値の等しいブリッジ構成用の第2の抵抗素子と第3の抵抗素子を直列に接続し、これら第2の抵抗素子と第3の抵抗素子との相互間の接続点から一方の出力電位を得るともに、前記ひずみゲージの他方の接続端から他方の出力電位を得て、これら両出力電位の差の電圧を測定するとともに、前記2ゲージ法測定モードによる測定時には、前記第1および第2のひずみゲージから切替え素子を経て基準抵抗となるブリッジ構成用の前記第1の抵抗素子を通る電流経路で、前記第1の抵抗素子の両端間にあらわれる電圧を所定の電圧とする定電流として前記励振電源よりブリッジ励振電流を流して、定電流の分流阻止と電位抽出のために用いられる前記第1のバッファ増幅器および前記第2のバッファ増幅器により、アクティブゲージである第1のひずみゲージの一方の接続端およびダミーゲージである第2のひずみゲージの一方の接続端の電位をそれぞれ抽出し、前記第1のバッファ増幅器の出力端と前記第2のバッファ増幅器の出力端との間に、抵抗値の等しいブリッジ構成用の前記第2の抵抗素子と前記第3の抵抗素子を直列に接続し、これら第2の抵抗素子と第3の抵抗素子との相互間の接続点から一方の出力電位を得るともに、前記第1および第2のひずみゲージの各他方の接続端が共通に接続された共通接続端から他方の出力電位を得て、これら両出力電位の差の電圧を測定することによって、前記電流経路に入っている切替え素子のオン抵抗による誤差を除去することにより、特に、少なくとも1ゲージ法および2ゲージ法測定モードにおいて、共通の励振電源による定電流励振を採用し、電流経路における切替え素子のオン抵抗による誤差を除去するとともに、非直線性の発生を防止して、励振電源およびブリッジ構成用抵抗素子を全チャンネルで共用することが可能となる。
【0077】
本発明の請求項5の多チャンネルひずみ測定回路によれば、請求項1〜請求項4のうちのいずれか1項の多チャンネルひずみ測定回路において、前記4ゲージ法測定モードによる測定時には、4個の前記ひずみゲージからなるブリッジ回路に定電圧を供給する定電圧励振回路を含む測定回路を構成することにより、特に、定電圧励振の4ゲージ法測定モードによる測定が可能となる。
【0078】
本発明の請求項6の多チャンネルひずみ測定回路によれば、請求項1〜請求項5のうちのいずれか1項の多チャンネルひずみ測定回路において、前記4ゲージ法測定モードによる測定時には、4個の前記ひずみゲージからなるブリッジ回路から切替え素子を経て基準抵抗となるブリッジ構成用の前記第1の抵抗素子を通る電流経路で、前記第1の抵抗素子の両端間にあらわれる電圧を所定の電圧とする定電流としてブリッジ励振電流を流す定電流励振回路を含む測定回路を構成することにより、特に、1ゲージ法および2ゲージ法測定モードと実質的に共通の定電流励振を用いる4ゲージ法測定モードによる測定をも可能とし、電流経路における切替え素子のオン抵抗による誤差を除去するとともに、非直線性の発生を防止して、励振電源を全チャンネルで共用することが可能となる
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一つの実施の形態に係る多チャンネルひずみ測定回路の構成を模式的に示す回路構成図である。
【図2】図1の多チャンネルひずみ測定回路の1ゲージ法測定モードにおける測定回路の接続構成を模式的に示す回路構成図である。
【図3】図2の測定回路において、ひずみゲージを接続するケーブルのリード線抵抗を考慮した場合の接続構成を模式的に示す回路構成図である。
【図4】図3の回路構成を説明するための等価回路を示す回路構成図である。
【図5】図1の多チャンネルひずみ測定回路の2ゲージ法測定モードにおける測定回路の接続構成を模式的に示す回路構成図である。
【図6】図5の測定回路において、ひずみゲージを接続するケーブルのリード線抵抗を考慮した場合の接続構成を模式的に示す回路構成図である。
【図7】図6の回路構成を説明するための等価回路を示す回路構成図である。
【図8】図1の多チャンネルひずみ測定回路の定電圧4ゲージ法測定モードにおける測定回路の接続構成を模式的に示す回路構成図である。
【図9】図8の回路構成を説明するための等価回路を示す回路構成図である。
【図10】図1の多チャンネルひずみ測定回路の定電流4ゲージ法測定モードにおける測定回路の接続構成を模式的に示す回路構成図である。
【図11】図10の回路構成を説明するための等価回路を示す回路構成図である。
【図12】従来の多チャンネルひずみ測定回路の一例の構成を模式的に示す回路構成図である。
【図13】従来の多チャンネルひずみ測定回路の他の一例の構成を模式的に示す回路構成図である。
【図14】従来の定電圧励振による1ゲージ法測定モードにおける非直線性を説明するための真のひずみ量対ひずみゲージブリッジ出力の特性を示す図である。
【図15】従来一般的に考えられていた定電流励振による1ゲージ法測定モードの原理的な構成を模式的に示す回路構成図である。
【図16】従来一般的に考えられていた定電流励振による2ゲージ法測定モードの原理的な構成を模式的に示す回路構成図である。
【符号の説明】
Ein 励振電源(基準電圧)
AMP1〜AMP5 増幅器
SW1〜SW6 モード切替え用のスイッチ素子
Rb〜Rd ブリッジ構成用抵抗
Ta〜Td 接続端子
Sa〜Sd,Sa′,Sc′ 選択走査用のスイッチ素子
SSW 走査切替え素子

Claims (6)

  1. ひずみゲージを接続するための所定の第1、第2、第3および第4の端子を各チャンネル毎に有し、前記第1の端子と前記第2の端子との間に単一のひずみゲージが接続され且つ前記第2の端子と前記第3の端子との間が短絡される1ゲージ法測定モードと、前記第1の端子と前記第2の端子との間に1つのひずみゲージが接続され且つ前記第2の端子と前記第3の端子との間に他の1つのひずみゲージが接続される2ゲージ法測定モードと、前記第1の端子と前記第2の端子との間、前記第2の端子と前記第3の端子との間、前記第3の端子と前記第4の端子との間、そして前記第4の端子と前記第1の端子との間にそれぞれ1つずつの異なる4個のひずみゲージがそれぞれ接続される4ゲージ法測定モードを含む測定モードで選択的に各チャンネルにひずみゲージを接続し、前記各チャンネルを選択的に切り替えて、各チャンネル毎の前記ひずみゲージによる測定を行なう多チャンネルひずみ測定回路において、
    少なくとも前記1ゲージ法測定モードおよび2ゲージ法測定モードの測定で使用するブリッジ構成用抵抗素子を全チャンネルで1組だけ具備して各チャンネルに共通に使用し、
    前記1ゲージ法測定モードによる測定時には、ひずみゲージから切替え素子を経て基準抵抗となるブリッジ構成用の第1の抵抗素子を通る電流経路で、前記第1の抵抗素子の両端間にあらわれる電圧を所定の電圧とする定電流としてブリッジ励振電流を流して、
    第1のバッファ増幅器により、前記ブリッジ励振電流の分流を阻止し且つ前記ひずみゲージの一方の接続端の電位を抽出し、
    第2のバッファ増幅器により、前記電流経路における前記切替え素子のオン抵抗により発生する電圧を抽出し、
    前記第1のバッファ増幅器の出力端と第2のバッファ増幅器の出力端との間に、抵抗値の等しいブリッジ構成用の第2の抵抗素子と第3の抵抗素子を直列に接続し、
    これら第2の抵抗素子と第3の抵抗素子との相互間の接続点から一方の出力電位を得るともに、前記ひずみゲージの他方の接続端から他方の出力電位を得て、これら両出力電位の差の電圧を測定することにより、前記電流経路に入っている切替え素子のオン抵抗による誤差を除去することを特徴とする多チャンネルひずみ測定回路。
  2. ひずみゲージを接続するための所定の第1、第2、第3および第4の端子を各チャンネル毎に有し、前記第1の端子と前記第2の端子との間に単一のひずみゲージが接続され且つ前記第2の端子と前記第3の端子との間が短絡される1ゲージ法測定モードと、前記第1の端子と前記第2の端子との間に1つのひずみゲージが接続され且つ前記第2の端子と前記第3の端子との間に他の1つのひずみゲージが接続される2ゲージ法測定モードと、前記第1の端子と前記第2の端子との間、前記第2の端子と前記第3の端子との間、前記第3の端子と前記第4の端子との間、そして前記第4の端子と前記第1の端子との間にそれぞれ1つずつの異なる4個のひずみゲージがそれぞれ接続される4ゲージ法測定モードを含む測定モードで選択的に各チャンネルにひずみゲージを接続し、前記各チャンネルを選択的に切り替えて、各チャンネル毎の前記ひずみゲージによる測定を行なう多チャンネルひずみ測定回路において、
    少なくとも前記1ゲージ法測定モードおよび2ゲージ法測定モードの測定で使用するブリッジ構成用抵抗素子を全チャンネルで1組だけ具備して各チャンネルに共通に使用し、
    前記2ゲージ法測定モードによる測定時には、第1および第2のひずみゲージから切替え素子を経て基準抵抗となるブリッジ構成用の第1の抵抗素子を通る電流経路で、前記第1の抵抗素子の両端間にあらわれる電圧を所定の電圧とする定電流としてブリッジ励振電流を流して、
    定電流の分流阻止と電位抽出のために用いられる第1のバッファ増幅器および第2のバッファ増幅器により、アクティブゲージである第1のひずみゲージの一方の接続端およびダミーゲージである第2のひずみゲージの一方の接続端の電位をそれぞれ抽出し、
    前記第1のバッファ増幅器の出力端と第2のバッファ増幅器の出力端との間に、抵抗値の等しいブリッジ構成用の第2の抵抗素子と第3の抵抗素子を直列に接続し、
    これら第2の抵抗素子と第3の抵抗素子との相互間の接続点から一方の出力電位を得るともに、前記第1および第2のひずみゲージの各他方の接続端が共通に接続された共通接続端から他方の出力電位を得て、これら両出力電位の差の電圧を測定することにより、前記電流経路に入っている切替え素子のオン抵抗による誤差を除去することを特徴とする多チャンネルひずみ測定回路。
  3. 前記1ゲージ法測定モードおよび2ゲージ法測定モードの少なくとも一方における前記ブリッジ励振電流を供給するブリッジ励振電源を、単一の定電流源で構成することにより、ブリッジ方式における非直線性を無くし、各ひずみゲージの抵抗値変化に比例した出力を得ることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の多点ひずみ測定回路。
  4. ひずみゲージを接続するための所定の第1、第2、第3および第4の端子を各チャンネル毎に有し、前記第1の端子と前記第2の端子との間に単一のひずみゲージが接続され且つ前記第2の端子と前記第3の端子との間が短絡される1ゲージ法測定モードと、前記第1の端子と前記第2の端子との間に1つのひずみゲージが接続され且つ前記第2の端子と前記第3の端子との間に他の1つのひずみゲージが接続される2ゲージ法測定モードと、前記第1の端子と前記第2の端子との間、前記第2の端子と前記第3の端子との間、前記第3の端子と前記第4の端子との間、そして前記第4の端子と前記第1の端子との間にそれぞれ1つずつの異なる4個のひずみゲージがそれぞれ接続される4ゲージ法測定モードを含む測定モードで選択的に各チャンネルにひずみゲージを接続し、前記各チャンネルを選択的に切り替えて、各チャンネル毎の前記ひずみゲージによる測定を行なう多チャンネルひずみ測定回路において、
    少なくとも前記1ゲージ法測定モードおよび2ゲージ法測定モードの測定で使用するブリッジ構成用抵抗素子を全チャンネルで1組だけ具備して各チャンネルに共通に使用し、
    前記1ゲージ法測定モードによる測定時には、ひずみゲージから切替え素子を経て基準抵抗となるブリッジ構成用の第1の抵抗素子を通る電流経路で、前記第1の抵抗素子の両端間にあらわれる電圧を所定の電圧とする定電流として励振電源よりブリッジ励振電流を流して、
    第1のバッファ増幅器により、前記ブリッジ励振電流の分流を阻止し且つ前記ひずみゲージの一方の接続端の電位を抽出し、
    第2のバッファ増幅器により、前記電流経路における前記切替え素子のオン抵抗により発生する電圧を抽出し、
    前記第1のバッファ増幅器の出力端と第2のバッファ増幅器の出力端との間に、抵抗値の等しいブリッジ構成用の第2の抵抗素子と第3の抵抗素子を直列に接続し、
    これら第2の抵抗素子と第3の抵抗素子との相互間の接続点から一方の出力電位を得るともに、前記ひずみゲージの他方の接続端から他方の出力電位を得て、これら両出力電位の差の電圧を測定するとともに、
    前記2ゲージ法測定モードによる測定時には、前記第1および第2のひずみゲージから切替え素子を経て基準抵抗となるブリッジ構成用の前記第1の抵抗素子を通る電流経路で、前記第1の抵抗素子の両端間にあらわれる電圧を所定の電圧とする定電流として前記励振電源よりブリッジ励振電流を流して、
    定電流の分流阻止と電位抽出のために用いられる前記第1のバッファ増幅器および前記第2のバッファ増幅器により、アクティブゲージである第1のひずみゲージの一方の接続端およびダミーゲージである第2のひずみゲージの一方の接続端の電位をそれぞれ抽出し、
    前記第1のバッファ増幅器の出力端と前記第2のバッファ増幅器の出力端との間に、抵抗値の等しいブリッジ構成用の前記第2の抵抗素子と前記第3の抵抗素子を直列に接続し、
    これら第2の抵抗素子と第3の抵抗素子との相互間の接続点から一方の出力電位を得るともに、前記第1および第2のひずみゲージの各他方の接続端が共通に接続された共通接続端から他方の出力電位を得て、これら両出力電位の差の電圧を測定することにより、前記電流経路に入っている切替え素子のオン抵抗による誤差を除去することを特徴とする多チャンネルひずみ測定回路。
  5. 前記4ゲージ法測定モードによる測定時には、4個の前記ひずみゲージからなるブリッジ回路に定電圧を供給する定電圧励振回路を含む測定回路を構成することを特徴とする請求項1〜請求項4のうちのいずれか1項に記載の多チャンネルひずみ測定回路。
  6. 前記4ゲージ法測定モードによる測定時には、4個の前記ひずみゲージからなるブリッジ回路から切替え素子を経て基準抵抗となるブリッジ構成用の前記第1の抵抗素子を通る電流経路で、前記第1の抵抗素子の両端間にあらわれる電圧を所定の電圧とする定電流としてブリッジ励振電流を流す定電流励振回路を含む測定回路を構成することを特徴とする請求項1〜請求項5のうちのいずれか1項に記載の多チャンネルひずみ測定回路
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