図9には出願人が特許文献1で提案している二缶二水路タイプの追い焚き機能付きの燃焼装置が示されている。二缶二水路タイプの燃焼装置は、給湯熱交換器2と追い焚き熱交換器3を別個のバーナ5a,5bによって給湯熱交換器2の加熱と追い焚き熱交換器3の加熱を行う型式のものであり、給湯側では、給水管11から供給される水をバーナ5aの燃焼火炎により給湯熱交換器2で加熱し、その加熱により得られる湯を給湯管14を通して所望の給湯場所に給湯する。
一方、風呂側は、循環ポンプ17を駆動して、浴槽18内の湯水を追い焚き循環路23を通して循環させ、流水センサ19が循環水流を検出したときに、バーナ5bを燃焼して、追い焚き熱交換器3を通る循環湯水を加熱し、浴槽18内の湯水の追い焚きを行い、風呂温度センサ21が設定風呂温度を検出したときに、バーナ5bを燃焼停止して追い焚き動作を終了させるものである。
浴槽18の湯張りを行うときには、給湯熱交換器2側で作り出した湯を湯張り通路24からホッパー29を介して追い焚き循環路23に導入し、この追い焚き循環路23を通して浴槽18にその湯を落とし込む。この湯張りに際しては、給湯熱交換器2側から浴槽18へ落とし込まれる流量が流量検出センサ26によって検出され、設定水位までの水量が落とし込まれたときに、浴槽18の湯張りを停止するものである。
この図9に示す装置では、浴槽18の湯張りを行う場合、浴槽18内に残水がある状態で設定水量(設定水位までの水量)を落とし込むと、過剰の湯が張られ、残水量が多い場合には湯が浴槽18から溢れるという湯張りの無駄が生ずる。そこで、この装置では、湯張りを行う際には、循環ポンプ17を駆動して流水センサ19により、浴槽18内に残水があるか否かを判断し、残水があるときにはその残水量を検出し、設定水位に対応する設定水量までの残りの水量を演算により求めてその残りの水量を落とし込むようにしている。また、循環ポンプ17を起動して残水量の検出を行ったときに、流水センサ19からオン信号が得られないときには浴槽18内に残水が無いものと判断するが、この場合、追い焚き循環路の循環口の水位に満たない残水量があることを考慮し、まず最初に、設定水位に対応する設定水量の例えば60%の水量を落とし込んで浴槽18内の水量を検出し、次に設定水量(設定水位に対応する水量)までの残りの水量を落とし込むようにしている。
前記浴槽18内の水量Qの検出は、ポンプ17を駆動して、浴槽18内の湯水を追い焚き循環路23を通して循環させて追い焚き熱交換器3で追い焚きし、その追い焚き熱量の情報と、その追い焚きによる浴槽18内湯水の温度上昇の情報に基づき予め与えられる次の(1)式により求められている。
Q=IS×T×η/{1×(t2−t1)}・・・・・・・・(1)
前記(1)式で、ISはバーナ5bによる追い焚き熱交換器3の追い焚き加熱熱量であり、Tは追い焚きの加熱時間であり、ηは熱効率であり、t1は追い焚き開始前の浴槽18内湯水の温度であり、t2は追い焚き開始後前記T時間経過後の浴槽18内湯水の検出温度であり、1は水の比熱である。
このように、浴槽18内の残水量を検出してから、残りの設定水量までの水量を落とし込むことにより、正確に設定水位に対応する設定水量を湯張りすることができるものである。
一般に、この種の二缶二水路の装置は、給湯熱交換器2と追い焚き熱交換器3を別個のバーナ5a,5bで加熱する構成であるため、装置のより小型化を達成することができないという事情があり、このため、最近においては、給湯熱交換器2と追い焚き熱交換器3を一体化し、この一体化した給湯熱交換器2と追い焚き熱交換器3を共通のバーナにより燃焼加熱する一缶二水路タイプの燃焼装置が注目されている。
図3には出願人が開発している一缶二水路式の追い焚き機能付き燃焼装置のシステム構成が示されている。同図において、器具ケース1内には給湯熱交換器2と追い焚き熱交換器3とが一体化されて配設されている。すなわち、複数の共通のフィンプレート4に給湯側の水管を貫通装着して給湯熱交換器2と成し、同じくフィンプレート4に追い焚き側の水管を貫通装着して追い焚き熱交換器3と成している。
これら一体化された熱交換器の下方側には給湯熱交換器2と追い焚き熱交換器3を共通に加熱するバーナ5が配置されており、このバーナ5の燃焼の給排気を行う燃焼ファン6がバーナの下側に配置されている。バーナ5にはガス通路9が接続されており、このガス通路6には通路の開閉を行う電磁弁7(7a,7b),8とガスの供給量(バーナの燃焼熱量)を開弁量によって制御する比例弁10が介設されている。なお、前記比例弁10の開弁量制御は、具体的には、比例弁10に印加される電流(開弁駆動電流)の可変制御によって行われている。
前記給湯熱交換器2の入側には給水管11が接続されており、この給水管11には給湯熱交換器2の入水温度(給水温度)を検出する給水温度検出センサ12と、給水(給湯)流量(湯張りの場合には湯張り流量)を検出する流量検出センサ13が設けられている。なお、給水管11の入口側は水道管に接続されている。
前記給湯熱交換器2の出側には給湯管14が接続されており、この給湯管14は外部配管を介して台所等の所望の給湯場所に導かれている。前記給湯熱交換器2の出側の流路には給湯温度を検出する給湯温度センサ15が設けられている。これら、給水管11から給湯熱交換器2を経由して給湯管14に至る通路は給湯回路を構成する。
前記追い焚き熱交換器3の入側には管路16の一端側が接続され、管路16の他端側は循環ポンプ17の吐出側に接続されている。そして、循環ポンプ17の吸込側と浴槽18は戻り管20によって接続されており、この戻り管20には浴槽18の循環湯水の温度を風呂温度として検出する風呂温度センサ21と流水を検出する流水センサ(流水スイッチ)19が設けられている。前記追い焚き熱交換器3の出側には往管22の一端側が接続され、往管22の他端側は浴槽18に接続されており、浴槽18から戻り管20を介して循環ポンプ17、管路16、追い焚き熱交換器3および往管22を介して浴槽18に至る通路は追い焚き循環路23を構成している。
前記給湯熱交換器2の給湯管14と追い焚き循環路23(図3においては管路16)は湯張り通路24によって連通接続されており、この湯張り通路24には通路の開閉を行う電磁弁等により構成される注湯弁25が介設され、この湯張り通路24には浴槽18への湯張り水量(流量)を検出する流量検出センサ26が設けられている。
前記流量検出センサ13、26、温度センサ12,15,21等のセンサ検出信号は制御装置27に加えられており、この制御装置27にはリモコン28が接続されている。このリモコン28には給湯温度を設定する給湯温度設定手段や、風呂温度を設定する風呂温度設定手段や、浴槽設定水量(浴槽設定水位)を設定する手段や、自動運転、追い焚き運転、湯張り運転等を指令する各種運転ボタンや、必要な情報を表示する表示部等が設けられている。
前記制御装置27は各種センサ検出信号とリモコン28の情報を取り込み、内部に与えられているシーケンスプログラムに従い、給湯運転と、湯張り運転と、追い焚き運転を次のように制御する。
例えば、台所等に導かれた給湯通路の水栓30が開けられ、流量検出センサ13により作動流量が検出されると、燃焼ファン6の回転が行われ、電磁弁7(7a,7b),8の開動作が行われてバーナ5に燃料ガスが供給されると共に、点火器(図示せず)の点火によりバーナ5の燃焼が行われ、給湯温度センサ15で検出される給湯温度がリモコン28で設定される給湯設定温度に一致するように比例弁10への開弁駆動電流を制御し、給湯熱交換器2を通る水をバーナ5の火炎により加熱して設定温度の湯を作り出し、この湯を給湯管14を介して給湯場所へ給湯する。
そして、水栓30が閉められて、流量検出センサ13からオフ信号が出力されたときに、バーナ燃焼を停止し、給湯運転モードの動作を終了する。
また、リモコン28により自動運転のモードや、湯張り運転モードが指令されると、注湯弁25が開けられる。そして、流量検出センサ13(又は26)により作動流量が検出されると、給湯運転の場合と同様にバーナ5の燃焼が開始し、給湯熱交換器2で作り出された湯は給湯管14、湯張り通路24を通り、さらに分岐して管路16から追い焚き熱交換器3を経て往管22を通る通路と戻り管20を通る通路の両側から浴槽18に湯が落とし込まれる。そして、設定水位に対応する湯の水量が落とし込まれたときに注湯電磁弁25が閉じられバーナ5の燃焼が停止して湯張り運転モードの動作が終了する。
追い焚き運転モードの動作においては、注湯弁25が閉じられている状態で、循環ポンプ17が回転駆動され、浴槽18内の湯水の循環が追い焚き循環路23を介して行われ、風呂温度センサ21により浴槽の風呂温度が検出される。そして、風呂検出温度が風呂設定温度よりも低いときには、流水センサ19から流水オン信号を受けてバーナ5の燃焼が行われ、追い焚き循環路23を通して循環する浴槽湯水を追い焚き熱交換器3で加熱する。風呂温度センサ21により浴槽湯水の温度が風呂設定温度に達したことが検出されたときに、循環ポンプ17の停止とバーナ5の燃焼停止が行われて追い焚き運転モードの動作が終了する。
上記の如く、一缶二水路風呂給湯器は、共通のバーナ5を用いて一体化された給湯熱交換器2と追い焚き熱交換器3を加熱する方式なので、別体に設けられた給湯熱交換器と追い焚き熱交換器をそれぞれ別個のバーナを用いて燃焼加熱する方式に比べ、装置構成の簡易化が図れ、これに伴い、装置(器具)の小型化とコスト低減が図れることになる。
特公平2−3105号公報
特公平6−100371号公報
以下、本発明の実施形態例を図面に基づき説明する。なお、本実施形態例における追い焚き機能付き燃焼装置のシステム構成はバーナの構成以外は前記図3に示したものと同様であり、同一部分には同一符号を付してその重複説明は省略する。説明の都合上、本実施形態例の説明の前に、本願の発明に関連する燃焼面切り換え式の参考例を説明する。図1はバーナ5の燃焼面切り換えパターンのいかんに拘わらず、浴槽内水量を正確に求めるための参考例の回路構成を示すものであり、第1の参考例の回路構成は燃焼制御部32と、燃焼パターン切り換え制御部33と、データ格納部34と、燃焼駆動面判別部35と、時計機構36と、浴槽水量検知部37とを有して構成されている。
前記燃焼制御部32は、給湯の燃焼熱量と、追い焚きの燃焼熱量の制御を行うが、ここでは、浴槽内水量の検出を行うための追い焚き燃焼の制御をメインとして示してある。この追い焚き燃焼に際しては、バーナ5の最大燃焼能力と最小燃焼能力の燃焼制御範囲が与えられており、燃焼制御部32は、この燃焼制御の範囲内で、予め与えられる制御形態で追い焚きの燃焼熱量の制御を行う。その燃焼制御形態としては、例えば、一定の最大燃焼能力で燃焼させたり、或いは最大燃焼能力で追い焚き単独運転を行っているときに、給湯熱交換器2内の湯温又は水管温度を検出する第1の熱交温度センサ31aと第2の熱交温度センサ31bの一方又は両方が沸騰温度に近い温度を検出した時には燃焼能力を下げる等の予め与えられる制御形態でもってバーナ5の追い焚き燃焼熱量を制御する。
燃焼パターン切り換え制御部33には第1の熱交温度センサ31aと第2の熱交温度センサ31bのそれぞれの検出温度に対して沸騰温度に近い(沸騰温度よりも所定の温度だけ低い)オフ温度が与えられており、第1の熱交温度センサ31aがオフ温度を検出したときには、電磁弁7aを閉じて図4の(b)に示す如くバーナ5の燃焼面をB面に切り換え、B面の燃焼を行い、燃焼面のA面側は燃焼ファン6の風を通して第1の熱交温度センサ31a側を冷却させておき、次に、第2の熱交温度センサ31bがオフ温度を検出したときは電磁弁7bを閉じ、7aを開いて図4の(a)に示す如くA面の燃焼を行うという如く、バーナ5のA面とB面の燃焼を交互に切り換え制御する。
燃焼駆動面判別部35は、前記燃焼パターン切り換え制御部33の燃焼面の切り換え情報を取り込み、バーナ5の燃焼駆動面がA面燃焼の状態であるか、B面燃焼の状態であるかを判別し、その判別結果を浴槽水量検知部37に加える。
時計機構36はクロックやタイマ等により構成され、時間の計測機能とクロック信号の出力機能を有する。
浴槽水量検知部37は、図2に示すように、データサンプリング部40と、追い焚き加熱量累積演算部41と、風呂温度1ステップ上昇判断部42と、浴槽内水量演算部43と、解法データ格納部44とを有して構成されている。データサンプリング部40は、時計機構36のクロック信号を利用して、所定のサンプリング時間間隔、この参考例ではサンプリング時間Δtを0.1秒とし、0.1秒間隔ごとに風呂温度センサ21で検出される風呂温度(浴槽内湯水温度)Tfと、燃焼制御部32による追い焚き加熱熱量のデータをサンプリングし、そのサンプリング結果を追い焚き加熱量累積演算部41に加える。また、データサンプリング部40は、サンプリング時間ごとに検出する風呂温度Tfのサンプリング結果を風呂温度1ステップ上昇判断部42に加える。なお、データサンプリング部40のデータサンプリング動作は、追い焚き指令の開始後追い焚き動作が終了するまで行われる。
追い焚き加熱量累積演算部41は、前記データサンプリング部40により、追い焚き加熱熱量のデータがサンプリングされるごとにそのサンプリングされた追い焚き加熱熱量iSとサンプリング時間Δtとを掛け算し、サンプリング時間Δtでの追い焚き加熱熱量を求めるとともに、各サンプリング時間ごとに求められる追い焚き加熱熱量を累積演算する。例えば、サンプリング時間Δtごとに追い焚き加熱熱量がiS1,iS2,iS3・・・という如くサンプリングされたときには、追い焚き加熱熱量の累積演算値ISは、IS=Δt(iS1+iS2+iS3+・・・)という如く求められる。
風呂温度1ステップ上昇判断部42にはステップ温度が与えられており、風呂温度センサで検出される風呂温度Tfがそのステップ温度上昇するごとに1ステップ上昇判別信号を浴槽内水量演算部43に加える。例えば、この実施形態例では図5に示す如く、ステップ温度として0.5℃の値が与えられており、風呂温度1ステップ上昇判断部42は検出される風呂温度Tfが0.5℃上昇するごとに、つまり、図5においては、風呂温度が38.0℃から38.5℃に上昇したときに、また、38.5℃から39.0℃に上昇したときという如く風呂温度が0.5℃段階的に上昇するごとに風呂温度1ステップ上昇判別信号を浴槽内水量演算部43に加えるのである。
解法データ格納部44には追い焚き加熱熱量の情報とその追い焚き加熱熱量による風呂温度の上昇温度の情報とに基づき浴槽内水量を求めるための解法データが格納されており、この実施形態例では解放データは演算式のデータによってバーナ5の燃焼パターンごとに分けて与えられており、例えば、バーナ5のA面燃焼時の解法データの演算式は(2)式で与えられ、また、バーナ5のB面燃焼時の解法データの演算式は(3)式により与えられている。
Q=IS×T×ηA/{1×(t2−t1)}・・・(2)
Q=IS×T×ηB/{1×(t2−t1)}・・・(3)
前記(2)式及び(3)式において、ISは前記追い焚き加熱量累積演算部41により求められる追い焚き加熱熱量の累積演算値であり、Tは追い焚き開始時からの追い焚き加熱時間であり、数字の1は水の比熱であり、(t2−t1)は風呂温度の上昇量をそれぞれ示している。また、(2)式のηAはバーナ5がA面燃焼のときの熱効率であり、(3)式のηBはバーナ5がB面燃焼したときの熱効率である。
浴槽内水量演算部43は前記燃焼駆動面判別部35の判別信号により、バーナ5がA面燃焼状態であるかB面燃焼状態であるかの燃焼パターンの判別結果に基づき、解法データ格納部44に格納されている演算式を燃焼パターンに応じて選択する。すなわち、バーナ5がA面燃焼の状態のときには(2)式の演算式を選択し、バーナ5がB面燃焼のときには(3)式の演算式を選択する。そして、燃焼パターンに応じた演算式を用いて浴槽内水量Qを演算により求める。
この参考例では、図5に示す如く、追い焚きが開始したときには、浴槽18から風呂温度センサ21の設置部に至る水管内の冷めた湯温を検出することとなるので、浴槽18内の湯温とは異なる温度を検出する恐れがあり、これを避けるために、図5に示す如く、追い焚き開始時に検出される風呂温度が1ステップ(0.5℃)上昇するまでは浴槽内水量内の演算を行わず、追い焚き開始時の温度に対し次の1ステップの温度の38.5℃が検出されたときに、浴槽18内の湯温が確実に検出されたものと判断して風呂温度が1ステップ(0.5℃)上昇するごとに浴槽内水量Qを求めて順次更新するようにしている。
つまり、図5の例では、風呂温度が38.5℃になったときから次の1ステップ上昇した39.0℃になったときに浴槽内水量Qを演算により求め、次に風呂温度が1ステップアップした39.5℃になったときに再び浴槽内水量Qを演算により求めて更新するという如く、検出風呂温度が1ステップ段階的に上昇するごとに浴槽内水量を求めて更新していく。なお、これら各ステップごとに求める浴槽内水量Qは燃焼パターンに応じた演算式を選択使用して求めることとなる。
このように第1の参考例では、A面燃焼とB面燃焼のバーナ5の燃焼パターンに応じて浴槽内水量を求める演算式を選択して浴槽内水量Qを求めるようにしているので、バーナ5の燃焼面が切り換えられても、その切り換えられた動作状態の燃焼パターンに適合した演算式が選択されて浴槽内水量を求めることができるので、浴槽内水量Qを正確に求めることが可能となる。
また、この参考例では、追い焚きが開始された後直ちに浴槽内水量を求めるのではなく、浴槽18内の湯水が循環して風呂温度センサ21の設置位置に確実に到達した後に、つまり、追い焚きを開始したときから風呂検出温度が1ステップ上昇したときを起点として浴槽内水量を求めるようにしているので、追い焚き開始時に追い焚き循環路内の冷めた湯を浴槽内湯水温度と誤検出することは無くなるので、最初の演算のときから浴槽内水量を正しく求めることができる。
さらに、この参考例では風呂検出温度が1ステップ段階的に上昇するごとに浴槽内水量を求めて更新するように構成しており、追い焚きが開始されてから時間が経過するにつれ、循環ポンプ17の追い焚き循環による浴槽内湯水の撹拌作用が進み、次第に均一した浴槽内湯温を風呂温度として検出できるようになるので、浴槽内水量の演算値が更新されるに従いより正しい浴槽内水量が得られるので、追い焚き終了時には最も信頼性の高い浴槽内水量が演算により得られて更新記憶されることとなり、したがって、浴槽内水量が設定水位に対応する設定水量よりも低い場合に、給湯熱交換器2側から設定水量までの湯を落とし込んで足し湯を行う場合においても、その設定水量までの足し湯の落とし込み水量をより正確に求めることができるという効果が得られるものである。
次に第2の参考例を説明する。この第2の参考例は、図4に示す如くバーナ5のA面燃焼とB面燃焼を交互に切り換える場合に、燃焼していない側の燃焼面を通る燃焼ファン6による風量が追い焚き熱交換器3側を冷却する熱量分だけ追い焚き熱量を補正してより正確な浴槽内水量を求めるようにしたことである。このため、この第2の参考例では、前記第1の参考例の構成に加え、図1に示される如く追い焚き熱量補正部38が設けられていることである。データ格納部34には図4の(a)に示すA面燃焼の場合に燃焼がされていないB面を通るファン風量による追い焚き熱交換器3の冷却分の放熱熱量のデータと、同様に図4の(b)に示す如くB面燃焼時におけるA面を通る風量による追い焚き熱交換器2の冷却による放熱熱量のデータが格納されている。この放熱熱量は、予め実験や理論計算を行い、ファン風量の温度とファン風量等の冷却要因をパラメータとしたデータで与えられるものである。
また、追い焚き熱量補正部38は、前記データ格納部34に格納されている冷却による放熱熱量の要因とるパラメータの例えば、ファン風量やファン風量の温度等のセンサ(図示せず)の検出データを取り込み、そのパラメータデータに応じた冷却分の放熱熱量をデータ格納部34のデータから求め(予め与えられる演算式、グラフデータ、表データ等のデータにより求め)前記浴槽水量検知部37の追い焚き加熱量累積演算部41で求められた追い焚き加熱熱量を取り込み、その追い焚き加熱熱量の累積演算値から放熱熱量を差し引いて追い焚き加熱熱量を補正し、その補正した追い焚き加熱熱量の累積演算値を浴槽内水量演算部43へ加えるようにする。
この追い焚き加熱熱量の補正演算により、A面とB面の燃焼面切り換えによる非燃焼面を通るファン風量の風による追い焚き熱交換器の冷却による影響が考慮されたより正確な追い焚き加熱熱量が求められることとなり、これに伴いより正確な浴槽内水量を求めることが可能となるものである。
次に第3の参考例を説明する。この第3の参考例は、図6に示す如く、バーナ5のA面燃焼とB面燃焼の切り換えを行うほかに、バーナ5の全面の燃焼停止を含む動作パターンによってバーナ5の燃焼面切り換えを行うものである。
この燃焼面切り換えの動作例としては、例えば、第1の熱交温度センサ31aと第2の熱交温度センサ31bの検出温度に対して、沸騰温度に近いオフ温度と、そのオフ温度よりも低いオン温度をデータとして与え、A面燃焼のときに第1の熱交温度センサ31aがオフ温度に達したときにはA面燃焼からB面燃焼へ切り換えるようにし、このB面燃焼状態で第2の熱交温度センサ31bがオフ温度を検出したときにはB面の燃焼を停止し、このとき第1の熱交温度センサ31a側がオン温度まで低下していたときには再度図6の(a)に示す如くA面燃焼状態とし、第1の熱交温度センサ31aがオン温度まで低下していないときには図6の(c)に示す如くA面とB面をともに燃焼停止状態にし、第1の熱交温度センサ31aがオン温度まで低下したときに図6の(a)に示す如くA面燃焼状態にするものである。
このように、この第3の参考例では図6の(a)に示すA面燃焼状態の燃焼パターンと、同図の(b)に示すようなB面燃焼のパターンと、同図の(c)に示す如くA面とB面がともに燃焼停止状態のパターンとの相互切り換えが第1の熱交温度センサ31aと第2の熱交温度センサ31bのそれぞれの検出温度に対して与えられるオン温度とオフ温度との関係に基づき燃焼パターンが切り換え制御されるものである。
この図6に示すような燃焼パターンの切り換えを行う場合、追い焚きモードの運転時には、A面とB面の燃焼面がともに燃焼停止状態のときにも燃焼ファン6は回転駆動されるので、そのファン風量による追い焚き熱交換器の冷却による放熱が行われることとなるので、このA面とB面の全面燃焼停止による追い焚き熱交換器3の放熱熱量のデータがファン風量やファン風量の温度等のパラメータに応じた値でデータ格納部34に格納しておき、その放熱熱量のデータに基づき追い焚き熱量補正部38によりA面とB面の全面燃焼停止前の追い焚き加熱熱量(追い焚き加熱熱量累積演算値)からこのA面とB面の全面燃焼停止時における冷却分の放熱熱量を差し引いて追い焚き加熱熱量を補正するようにしたものである。それ以外は前記第1又は第2の参考例と同様である。
この第3の参考例では、図6に示すようなバーナ5の各動作パターンの切り換えを行った場合においても、各パターンの動作状態のいかんに拘わらず、正確に浴槽内水量を求めることができるものである。
次に本発明の実施形態例を説明する。なお、この実施形態例の説明において、前記各参考例と同一(共通)の構成部分には同一符号を付してその重複説明は省略又は簡略化する。また、使用する用語や、動作説明等において参考例と共通する部分は既に参考例で説明したので、その重複する説明は省略又は簡略化する。
この実施形態例は、図7に示すように、バーナ5は燃焼面が区分されてなく、図7の(a)に示す如く全面燃焼の状態と全面燃焼停止の状態を切り換え制御する動作状態の燃焼装置において追い焚き燃焼モードの動作時に浴槽内水量を求める構成のものである。図7に示すバーナ5の燃焼切り換えの動作例としては、例えば、給湯熱交換器内の湯温を検出する温度サンサを給湯熱交換器側に設け、追い焚き運転時に、その給湯熱交換器側の温度センサが沸騰温度に近いオフ温度を検出したときには図7の(b)に示すようにバーナの燃焼停止を行い、その後一定時間或いは給湯熱交換器内湯温がオフ温度よりも低めに設定されたオン温度以下になったときに図7の(a)に示すように再びバーナ5を燃焼させるという如くバーナ5の燃焼切り換え制御が挙げられる。
この実施形態例の動作例では、図7の(a)に示す全面燃焼状態時の浴槽内水量の解法データである演算式が浴槽水量検知部37の解法データ格納部44に与えられることとなる。そして、データ格納部34には図7のBに示す如くバーナ5が全面燃焼状態から全面燃焼停止状態となったときに、ファン風量による追い焚き熱交換器3の放熱熱量(放熱量)の時間とともに変化するデータが実験等により経時放熱データとして図8に示す如く求められてこの経時放熱データがデータ格納部34に格納されることになる。この経時放熱データは使用されるバーナ5の蓄熱特性に応じて与えられるものであり、バーナの蓄熱量が小さい場合には、バーナの燃焼停止後から直ちに放熱熱量が増加する図8の破線Bに示すデータとして与えられ、また、蓄熱量の大きいバーナが使用される場合には、バーナ5が全面燃焼停止した状態であっても、燃焼停止の直後にはバーナに大きな熱量が蓄積されているので、この非燃焼状態のバーナが熱源として機能し、このバーナの固有熱量がファン風量によって追い焚き熱交換器3に運ばれ、追い焚き熱交換器3がバーナ5の燃焼停止にも拘わらず逆に加熱される現象が生じ、その後バーナの蓄積熱量が放熱されるに従いバーナ自体の保有熱量が減少してファン風量による追い焚き熱交換器3の冷却による放熱が行われる、図8のAに示すパターンの経時放熱データがデータ格納部34に与えられることになる。このように、使用するバーナに応じた経時放熱データが実験等により予め求められてデータ格納部34に記憶される。
この実施形態例では図7の(a)に示すようにバーナ5が全面燃焼状態にあるときには、解法データ格納部44に与えられている演算式によって浴槽内水量演算部43により浴槽内水量を求め、図7の(a)に示す全面燃焼状態から同図の(b)に示す全面燃焼停止状態にバーナの動作パターンが切り換わったときには、浴槽水量検知部37は時計機構36を利用してバーナの全面燃焼停止時からの時間を計測し、そのバーナの燃焼停止時からの時間の経過に伴うファン風量による追い焚き交換器3の冷却分の熱量が追い焚き熱量補正部38により求められる。そして、追い焚き熱量補正部38は、バーナ5の全面燃焼停止前に求められた追い焚き加熱熱量からバーナの全面燃焼熱量停止時からの時間の経過に伴うファン風量による放熱熱量のデータを差し引いてバーナ5の全面燃焼停止時における追い焚き加熱熱量を所定時間ごとに、或いは、図5に示すように風呂検出温度が1ステップアップするごとに順次求めて更新記憶する。
この実施形態例では、バーナ5の全面燃焼停止時における経時放熱データが与えられてバーナの全面燃焼停止時からの経過時間に応じた放熱熱量のデータが求められて追い焚き加熱熱量が補正されるので、この補正された追い焚き加熱熱量を用いることによって得られる浴槽内水量Qのデータを正確に求めることが可能となるものである。なお、図8に示すような経時放熱データはファン風量(又はファンの回転数)やファン風量の温度をパラメータとして与え、データ格納部34に与えたデータから実際に放熱熱量を求める場合には、そのパラメータの要素であるファン風量(又はファン回転数)やファン風量の温度等を検出し、その検出データに対応した経時放熱データを選択して放熱熱量を求めることによりファン風量やファン風量温度が変化しても、その変化に応じた放熱熱量が的確に求まるので、追い焚き加熱熱量の補正をより正確に行うことが可能となるものである。
本発明は上記実施形態例に限定されることはなく様々な実施の形態を採り得る。
なお、実施形態例における全面燃焼停止中の追い焚き加熱熱量の補正の構成は前記図6の(c)に示す全面燃焼停止中の動作時に追い焚き加熱熱量を求める構成として適用することが可能である。
さらに、上記実施形態例では一缶二水路タイプの燃焼装置を例にして説明したが、本発明は二缶二水路タイプの燃焼装置や、給湯機能を省略した追い焚き機能のみの燃焼装置にも適用されるものである。
さらに、上記実施形態例では浴槽内水量を求める解法データを演算式により与えたが、これを表データやグラフデータで与えてもよいものである。
さらに、浴槽内水量を求める解法データを演算式により与える場合には、必ずしも上記実施形態例で示した演算式に限定されるものではない。また、熱効率ηは定数で与えてもよいが、特に一缶二水路タイプの燃焼装置の場合には、熱効率ηは風呂温度によって変化するので、熱効率ηを風呂温度の関数として与えることにより、浴槽内水量をさらに一層正確に求めることが可能となる。