JP3961314B2 - 連続式固形廃棄物炭化装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、都市ごみ、建築廃材等のような各種固形廃棄物を炭化あるいは活性炭化するための連続式固形廃棄物炭化装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、連続式炭化装置としてはロータリーキルン方式の装置が用いられており、内燃式キルンを用いたものと外燃式キルンを用いたものがあった。
【0003】
内燃式キルンを用いた連続式炭化装置は、ロータリーキルンの入口から空気または燃焼ガスを送り込んで原料を炭化させるものであり、機構は簡単であるが、空気あるいは燃焼ガスと原料とが原料の上層面でのみ接触しているので、炭化効率が悪く、単位量当りの炭化炉容積が大きいものとなって、設備コスト及び設置スペースの面で不利であった。
【0004】
一方、外燃式キルンを用いた連続式炭化装置は、ロータリーキルンを外部から熱源ガスによって加熱することにより、ロータリーキルンの内壁から原料が加熱されて炭化されるものであり、熱源ガスと乾留ガスとが混ざらないので高カロリーの乾留ガスが得られるが、ロータリーキルンを外部から加熱するので加熱効率が悪く、内燃式キルンを用いた連続式炭化装置と同様に、単位量当りの炭化炉容積が大きいものとなって、設備コスト及び設置スペースの面で不利であった。
【0005】
これに対して、空気又は燃焼ガスと原料との接触を改善することにより、炭化効率を向上させて装置のコンパクト化を図った装置として、特開2001−200266号公報に記載の連続式固形廃棄物炭化装置がある。
【0006】
この装置は、ロータリーキルンを通気性を持った構造とし、空気又は燃焼ガスをロータリーキルンの下側からキルン壁を通して原料の中を通過させることにより、送入空気又は燃焼ガスと原料との接触性を向上させたものである。
【0007】
図8にその縦断面図を示す。図中で51がロータリーキルンであり、このロータリーキルン51は、両端に設けられた鏡板53、54により摺動して回転自在に支持されており、モーター57の駆動により歯車55、56を介して一定方向に回転するようになっている。ロータリーキルン51の両端近傍を除いた部分は多数の通気孔が形成された通気部52となっていて、通気部52の外周には、円筒状の外胴が少しの間隔を持って設けられており、外胴の下面側には、空気又は燃焼ガスをロータリーキルン51内に送り込むための給気用風箱59が設けられるとともに、外胴の上面側には、乾留ガス等を排気するための排気用風箱60が設けられている。給気用風箱59には給気口61が設けられており、排気用風箱60には排気口62が設けられている。また、ロータリーキルン51の内部には、ロータリーキルン51の回転により原料を移送するスクリュー63が設けられている。ロータリーキルン51の入口側には、ホッパー64及び原料の送り込み手段65が設けられ、ロータリーキルン51の出口側には、炭化物を送り出すフィーダー66及び貯蔵庫67が設けられている。
【0008】
上記のような構造の連続式炭化装置においては、まず、モーター57を駆動してロータリーキルン51を回転させるとともに、給気口61より給気用風箱59を介し通気部52内に熱風を導いて、これを通気部52を通してロータリーキルン51内に導入し、ロータリーキルン51を暖気する。この時、供給される空気等は、外胴と通気部52の間隙が狭いので、上方へ逃げることなく通気孔からロータリーキルン51内に導入される。そして、ロータリーキルン51内が所定の温度になったとき、送り込み手段65を駆動して原料である固形廃棄物72の供給を開始する。供給された原料はスクリュー63により徐々に出口側に移送されるが、この時、通気部52から送り込まれた空気に効率よく接触し燃焼及び炭化が促進される。なお、発生した乾留ガスは、通気部52を通って排気用風箱60に送り込まれた後、排気口62から排出される。
【0009】
このように、特開2001−200266号公報に記載の連続式固形廃棄物炭化装置は、空気又は燃焼ガスと原料との接触が改善されて炭化効率が向上し、装置のコンパクト化が図られている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、特開2001−200266号公報に記載の連続式固形廃棄物炭化装置には、下記のような問題がある。
【0011】
すなわち、ロータリーキルンの本体が鋼板などによる単殻構成にしているために、炭化温度が異常に上昇した場合にはロータリーキルンが変形し、スムースな回転ができなくなる。
【0012】
本発明は、上記のような問題点を解決するためになされたものであり、良好な炭化効率が得られ、コンパクトな装置であるとともに、装置の熱変形を防止し、安定した操業が可能となる連続式固形廃棄物炭化装置を提供することを目的とするものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、本発明は下記の特徴を有する。
【0014】
[1]一端側から被処理固形廃棄物が供給され、他端側から炭化または活性炭化された被処理物が排出されるロータリーキルンと、該ロータリーキルンの少なくとも主要部を覆う外筒部材とを有する連続式固形廃棄物炭化装置であって、外筒部材内部の下部領域にロータリーキルン外面の少なくとも一部に面した空間部を形成し、該空間部に炭化用空気または燃焼ガスを供給するための給気手段と、ロータリーキルン内から外筒部材内に排出されたガスを系外に排出するための排気手段を外筒部材に設けるとともに、ロータリーキルンを外殻と内殻からなる二重殻構造とし、前記空間部に面するロータリーキルン外殻に、ロータリーキルン周方向で間隔をおいて複数の通気孔を貫設し、ロータリーキルン内殻に、ロータリーキルン周方向及び長手方向で間隔をおいて複数の通気孔を貫設し、ロータリーキルンの外殻と内殻との空間を、ロータリーキルン周方向の複数個所でロータリーキルン長手方向に沿って仕切部材により仕切ったことを特徴とする連続式固形廃棄物炭化装置。
【0015】
[2]前記[1]に記載の連続式固形廃棄物炭化装置において、ロータリーキルン内殻内面に通気孔を覆うフードを設け、該フードは、ロータリーキルンの被処理物移送方向下流側にのみ開口し、且つフード内の空間断面がロータリーキルンの被処理物移送方向下流側に向けて拡大していることを特徴とする連続式固形廃棄物炭化装置。
【0016】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の第1実施形態に係る連続式固形廃棄物炭化装置の全体図であり、(a)は縦断面図、(b)は(a)のA−A断面図、(c)は(a)のB−B断面図、(d)は(a)のC−C断面図である。また、図2は、第1実施形態におけるロータリーキルンの説明図であり、(a)はロータリーキルンの斜視図、(b)はロータリーキルンの一部分の縦断面図である。
【0017】
図1、図2において、1が外筒1aの内側に耐火物層1bを設けた断熱容器であり、断熱容器1の内部に、ロータリーキルン3が収納されている。ロータリーキルン3は、円筒形状の外殻3aと内殻3bを有する二重殻構造となっている。外殻3aには、外殻3a内部に炭化用空気を供給するための貫通孔3eがロータリーキルン周方向及び長手方向に間隔をおいて複数設けられており、内殻3bには、内殻3b内部の原料13の中に炭化用空気を供給するための空気吹き出し口3cがロータリーキルン周方向及び長手方向に間隔をおいて複数設けられている。外殻3aと内殻3bの間には長手方向に延びる仕切り板3dが円周方向に一定の間隔で複数個設けられている。仕切り板3dにより、貫通孔3eから外殻3aの内部に供給された炭化用空気が円周方向に分散しないようになっている。
【0018】
また、ロータリーキルン3の両端近くに、外殻3aの外周を取巻くようにリング状のタイヤ3fが取り付けられている。タイヤ3fは、断熱容器1の内壁に設けられた前後二対の回転ローラー5で支えられている。そして、回転駆動モーター4aに連結した回転駆動軸4bがロータリーキルン3に設けられたリムおよびボス3gに差し込まれており、回転駆動モーター4aの駆動によってロータリーキルン3が一定方向に回転するようになっている。
【0019】
さらに、断熱容器1の下面には炭化用空気の供給口8が設けられており、断熱容器1の下面の内壁の円周方向の2個所に、ロータリーキルンの外殻3aと摺動するかあるいはわずかな隙間を有するような状態で長手方向全長に延びるシール11aと11bが空気供給口8を挟むように取り付けられている。これにより、断熱容器1、ロータリーキルン外殻3a、シール11a、シール11bによって囲まれた空間が形成され、その空間に空気供給口8から供給された炭化用空気が円周方向に分散しないようになっている。
【0020】
また、ロータリーキルン3の入口側には、ホッパー6及び原料13の送り込み用フィーダー7が設けられ、ロータリーキルン3の出口側には、炭化物の取り出し口10と乾留ガスの出口ダクト9が設けられている。
【0021】
上記のような構造の連続式炭化装置において、回転駆動モーター4aを駆動してロータリーキルン3を回転させるとともに、送り込み用フィーダー7を駆動して原料である固形廃棄物13をホッパー6からロータリーキルン3に供給する。供給された原料13は徐々に出口側に移送される。そして、空気供給口8より炭化用空気を断熱容器1の下部に供給すると、断熱容器1の内壁に取り付けられたシール11aと11bに挟まれた空間内に分散しながら、ロータリーキルンの外殻3aに設けられた貫通孔3eの内、下面に位置する貫通孔から外殻内部に空気が吹き込まれる。外殻3aの内部に吹き込まれた空気は外殻3aと内殻3bとの間に設けられた仕切り板3dによって仕切られた空間を通過して、内殻3bに設けられた空気吹き出し口3cの内、下面に位置する空気吹き出し口を通って内殻3bの内部に導入される。そして、導入された空気は内殻3b内の原料層13を下部から通気し、原料13の一部が燃焼されるとともにその他の部分が乾留されて連続的に炭化が行われる。なお、発生した乾留ガスは可燃性成分を多量に含むので、ロータリーキルン3内から出口ダクト9を通過して二次燃焼炉に送られ完全燃焼されて大気放出される。
【0022】
上記の連続式固形廃棄物炭化装置においては、ロータリーキルン3内に導入された炭化用空気と原料13が効率よく接触し燃焼及び炭化が促進されるので、炭化効率が向上し、装置のコンパクト化を図ることができるとともに、ロータリーキルン3が二重殻構造になっているので、内部の温度上昇がそのまま外殻3aには伝わらず、ロータリーキルン3の熱変形が防止され、安定した操業が実施できる。
【0023】
なお、上記の実施形態におけるロータリーキルン3の構造は、図3(a)に示しているように、外殻3a、内殻3bともに単純な円筒形状で、外殻3aと内殻3bの間に仕切り板3dを多数設けたものであるが、図3に示すように、種々の形態を採り得る。すなわち、図3(b)は、内殻3bを波板状の表面を有する円筒形状とし、その凹部分が外殻3aと接するようにしたものであり、仕切り板を設けた場合と同じように、外殻3aと内殻3bの間が円周方向に複数に分割されている。(c)は、内殻を山形の表面を有する円筒形状としたものである。(b)、(c)ともに、内殻3bに設けられた多数の空気吹き出し口3cから炭化用空気が原料層内に通気される。また、(d)は、内殻3bが、一枚の連続したものでなく、角型に折り曲げた板を将棋倒し状に配置して円筒形状にしたものである。炭化用空気は、各板の隙間を通って原料層内に通気される。
【0024】
図4は、本発明の第2実施形態に係る連続式固形廃棄物炭化装置の全体図であり、(a)は縦断面図、(b)は(a)のA−A断面図、(c)は(a)のB−B断面図、(d)は(a)のC−C断面図である。また、図5は、第2実施形態におけるロータリーキルンの説明図であり、(a)はロータリーキルンの斜視図、(b)はロータリーキルンの一部分の縦断面図である。
【0025】
この実施形態の第1実施形態との違いは、第1実施形態では、ロータリーキルンの外殻の長手方向及び周方向に間隔をおいて貫通孔が設けられていたのに対して、この実施形態では、外殻3aの長手方向中央部にのみ円周方向に沿って複数の貫通孔3eが設けられている点である。そして、貫通孔3eが設けられていると同じ長手方向位置の断熱容器1の下面に空気供給口8が取り付けられており、空気供給口8を取り囲むように、ロータリーキルン3の外殻3aと摺動するかあるいはわずかな隙間を有する状態でシール12が断熱容器1の内壁に取り付けられている。図6に示すように、空気供給口8から断熱容器1の下部に供給された炭化用空気は、円周方向のシール12aと12bにより、円周方向に分散しないようになっており、長手方向のシール12cと12dにより、長手方向に分散しないようになっている。なお、その他の構造は第1実施形態と同じである。
【0026】
この実施形態においては、空気供給口8より炭化用空気が断熱容器1の下部に供給されると、断熱容器1の内壁に取り付けられたシール12に囲まれた空間内を通過して、ロータリーキルンの外殻3aの中央部に設けられた貫通孔3eの内、下面に位置する貫通孔から外殻内部に空気が吹き込まれる。外殻3aの内部に吹き込まれた空気は外殻3aと内殻3bとの間に設けられた仕切り板3dによって仕切られた空間内を長手方向に分散しながら、内殻3bに設けられた空気吹き出し口3cの内、下面に位置する空気吹き出し口を通って内殻3bの内部に導入される。そして、導入された空気は内殻3b内の原料層13を下部から通気し、原料13の一部が燃焼されるとともにその他の部分が乾留されて連続的に炭化が行われる。
【0027】
これによって、第2実施形態の連続式固形廃棄物炭化装置においても、ロータリーキルン3内に導入された炭化用空気と原料13が効率よく接触し燃焼及び炭化が促進されるので、炭化効率が向上し、装置のコンパクト化を図ることができるとともに、ロータリーキルン3が二重殻構造になっているので、内部の温度上昇がそのまま外殻3aには伝わらず、ロータリーキルン3の熱変形が防止され、安定した操業が実施できる。
【0028】
なお、第2実施形態では貫通孔を外殻の長手方向に一個所としたが、長手方向に複数個所に設けてもよい。
【0029】
本発明の第3実施形態は、前述の第1実施形態あるいは第2実施形態におけるロータリーキルンの内殻に設けられた空気吹き出し口にフードを取り付けたものであり、ロータリーキルン内の原料が空気吹き出し口から外部に落下するのを防止しようとしたものである。
【0030】
図7が第3実施形態の説明図であり、(a)がフードの斜視図、(b)が内殻の長手方向の平面図、(c)が内殻の長手方向の断面図である。
【0031】
図7において、21がフードであり、ロータリーキルン3の内殻3bに設けられた空気吹き出し口3cを覆うように取り付けられている。そして、フード21は原料の進行方向側に開口部を有するとともに、フード21内の空間の断面積が原料の進行方向に向かって徐々に大きくなるような形状となっている。
【0032】
このフード21を取り付けることにより、ロータリーキルン3が回転すると、フード21に入りかけた原料や炭化物の小片が必ず進行方向側に移動するようになり、ロータリーキルン3の外部に落下することが無くなる。
【0033】
なお、空気供給口8から供給された炭化用空気は、ロータリーキルン3の外殻3aにフード21の開口部から内殻3b内に導入される。
【0034】
このような構造にすることにより、良好な炭化効率が得られ、コンパクトな装置であるとともに、装置の熱変形や原料等の落下を防止し、より安定した操業が可能となる。
【0035】
【発明の効果】
本発明の連続式固形廃棄物炭化装置は、二重殻構造のロータリーキルンを用いて原料層を下部から通気するようにしたので、短時間内での異常な温度上昇を緩和し、装置の熱変形を防止できる。これにより、良好な炭化効率が得られ、コンパクトな装置であるとともに、安定した操業が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態の全体図である。
【図2】第1実施形態におけるロータリーキルンの説明図である。
【図3】第1実施形態におけるロータリーキルンの各種構造を示す説明図である。
【図4】本発明の第2実施形態の全体図である。
【図5】第2実施形態におけるロータリーキルンの説明図である。
【図6】第2実施形態におけるシール部の拡大図である。
【図7】本発明の第3実施形態の説明図である。
【図8】従来技術の説明図である。
【符号の説明】
1 断熱容器
1a 外筒
1b 耐火物
3 ロータリーキルン
3a ロータリーキルンの外殻
3b ロータリーキルンの内殻
3c 空気吹き出し口
3d 仕切り板
3e 貫通孔
3f タイヤ
3g ボス
4a 回転駆動モーター
4b 回転駆動軸
5 回転ローラー
6 ホッパー
7 フィーダー
8 空気供給口
9 乾留ガスの出口ダクト
10 炭化物の取り出し口
11a、11b シール
12、12a、12b、12c、12d シール
13 原料
21 フード

Claims (2)

  1. 一端側から被処理固形廃棄物が供給され、他端側から炭化または活性炭化された被処理物が排出されるロータリーキルンと、該ロータリーキルンの少なくとも主要部を覆う外筒部材とを有する連続式固形廃棄物炭化装置であって、外筒部材内部の下部領域にロータリーキルン外面の少なくとも一部に面した空間部を形成し、該空間部に炭化用空気または燃焼ガスを供給するための給気手段と、ロータリーキルン内から外筒部材内に排出されたガスを系外に排出するための排気手段を外筒部材に設けるとともに、ロータリーキルンを外殻と内殻からなる二重殻構造とし、前記空間部に面するロータリーキルン外殻に、ロータリーキルン周方向で間隔をおいて複数の通気孔を貫設し、ロータリーキルン内殻に、ロータリーキルン周方向及び長手方向で間隔をおいて複数の通気孔を貫設し、ロータリーキルンの外殻と内殻との空間を、ロータリーキルン周方向の複数個所でロータリーキルン長手方向に沿って仕切部材により仕切ったことを特徴とする連続式固形廃棄物炭化装置。
  2. 請求項1に記載の連続式固形廃棄物炭化装置において、ロータリーキルン内殻内面に通気孔を覆うフードを設け、該フードは、ロータリーキルンの被処理物移送方向下流側にのみ開口し、且つフード内の空間断面がロータリーキルンの被処理物移送方向下流側に向けて拡大していることを特徴とする連続式固形廃棄物炭化装置。
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