JP3960703B2 - イーストドーナツの製造方法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、イーストドーナツ生地を、油中に投入後反転させ、潜行させ、更に浮上させてフライ処理することを特徴とするイーストドーナツの製造方法に関する。すなわち、フライ処理する際に、生地を油中に投入後、浮上している生地を反転させた後に、生地を油中に沈め、潜行させてフライを行うことを特徴とするイーストドーナツの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、イーストドーナツにおいても、消費者の健康志向、本物志向により、吸油が少なく、しかも、外観、食感、風味共に優れているイーストドーナツが求められるようになってきた。イーストドーナツの製造方法において、一般に、二つのフライ処理方式がある。一つは、油中にイーストドーナツ生地を投入し、浮上している生地を1〜2分後に反転し、更に1〜2分間フライする反転式の方法である。もう一つの方法は、油面以下にある金網もしくは多孔板等で押さえるようにして、投入した生地の浮上を防ぎ、2〜4分間フライする潜行式の方法である。最初の反転式では、フライ後のボリュームは出るが形状及び表面の色付きが不均一となり易く、ドーナツ側面に白いライン模様が出来る。一方、潜行式では、形状及び表面の色付きは均一であるがフライ後のボリュームが不十分で、食感が固くなり、吸油も多くカロリーの高いドーナツになる。即ち、いずれの方法において造っても、消費者のニーズには未だ十分応えられていないのが現状である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、吸油が少なく、しかも、外観(形の均整、揚げ色、ボリューム)、食感、共に優れているイーストドーナツを提供するものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
以上の課題を解決するためにイーストドーナツの製造方法に着目し、鋭意研究した結果、本発明を完成した。即ち本発明は、小麦粉、砂糖、油脂、食塩、膨張剤等、またはこれらのプレミックスと、卵、イースト、及び、水を混合・ミキシングし調製したイーストドーナツ生地を、常法通り、フロアタイム、分割、ベンチタイム、成型、ホイロという工程を経た後、フライ工程において生地を油中に投入後反転させ、潜行させ、更に浮上させてフライ処理することで、前項記載の諸問題を解決出来、良好なイーストドーナツが製造出来ることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0005】
以下、本発明を詳細に説明する。本発明においてイーストドーナツとは、通常のイーストドーナツ、即ち、小麦粉、砂糖、油脂、食塩、膨張剤等、またはこれらのプレミックスと、卵、イースト、及び、水を混合・ミキシングし調製したイーストドーナツ生地を、常法通り、フロアタイム、分割、ベンチタイム、成型、ホイロという工程を経てフライ処理したものを言う。
【0006】
本発明における小麦粉は、イーストドーナツに通常用いられているものであればいずれでもよい。強力粉を主体に、必要に応じて、中力粉、薄力粉あるいはその他の穀粉を適当量加えて良い。
【0007】
砂糖、食塩についても、一般にイーストドーナツに用いられている砂糖、食塩であるならば、種類を問わず利用可能である。
【0008】
イーストドーナツ生地とは、通常、イーストドーナツの材料として使用される、小麦粉、砂糖、油脂、食塩、膨張剤等、またはこれらのプレミックスと、卵、イースト、及び、水を混合・ミキシングし調製したものを言う。添加の順番、混合方法は常法に従う。必要に応じて、脱脂粉乳などの乳製品、澱粉類、砂糖以外の糖類、ナッツ類、香料、香辛料、油脂類、乳化剤等を使用しても何ら効果に支障を来たさない。
【0009】
また、ここでいうプレミックスとは、小麦粉、砂糖、油脂、食塩、膨張剤、その他必要に応じて、脱脂粉乳などの乳製品、澱粉類、砂糖以外の糖類、ナッツ類、香料、香辛料、乳化剤等があらかじめ混合調製されたものをいう。これらプレミックスを一部、あるいは全面的に使用しても全く構わない。
【0010】
必要に応じて用いる脱脂粉乳などの乳製品、澱粉類、砂糖以外の糖類、ナッツ類、香料、香辛料、乳化剤は、一般にイーストドーナツに用いられている脱脂粉乳などの乳製品、澱粉類、砂糖以外の糖類、ナッツ類、香料、香辛料、乳化剤であるならば、種類を問わず利用可能である。
【0011】
以下に、本発明の製造方法について説明する。まず、小麦粉、砂糖、油脂、食塩、卵、水等を混合・混捏する。ミキサーへの原料の投入の順序などは常法に従う。ミキサーとしては、製パン製菓用の縦型ミキサー(フックを使用)、横型ミキサー、スパイラルミキサー等が挙げられる。
【0012】
次に、生地温度27〜28℃でフロアタイムを25〜30分間とる。分割後、ベンチタイムを15分間とる。その次に、成型後、ホイロを37〜40℃で35〜40分間とる。
【0013】
最後に、フライ処理を行なう。フライ装置については特に問わない。フライ処理は、油の温度が160〜190℃であり、浮上している生地を30〜120秒後に反転させた後に、金網もしくは多孔板で生地を油中に沈め30〜90秒間潜行させた後、更に浮上させて10〜30秒間フライを行う。
【0014】
以上の工程を経て得られたイーストドーナツは、通常の製造方法で造った場合に比べて、吸油が少なく、しかも、外観(形の均整、揚げ色、ボリューム)、食感共に優れ、内相は均一なものが得られる。
【0015】
【発明の実施の形態】
発明の実施の形態を実施例に基づき説明する。
【0016】
【実施例】
以下に、実施例及び比較例を用いて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらの例によって何ら限定されるものではない。
【0017】
実施例1
重量部で小麦粉100に対し、砂糖10、食塩1.3、膨張剤1、バニラ香料0.1、卵15、マーガリン12、イースト4、水45を加えて、縦型ミキサーで混合・混捏。低速で3分間、中速で10分間の順の条件でミキシングを行った。得られた生地は生地温度27〜28℃でフロアタイムを30分間とった。分割後、ベンチタイムを15分間とった。その次に、成型後、ホイロを38℃で40分間とった。これを180℃に加熱したサラダ油に入れ、1分後に反転させた後、金網もしくは多孔板で生地を油中に沈め1分間潜行させ、更に浮上させて20秒間フライを行った。
【0018】
実施例2
上記実施例1と同じ方法でホイロ工程まで製造し、フライ工程において、160℃の温度のサラダ油に入れ、2分後に反転させた後、金網もしくは多孔板で生地を油中に沈め90秒間潜行させ、更に浮上させて30秒間フライを行った。
【0019】
比較例1
実施例1の製造工程に沿ってホイロ工程までの処理を行い、これを180℃に加熱したサラダ油に入れた。90秒後に反転させ、更に90秒間フライを行った。
【0020】
比較例2
実施例1の製造工程に沿ってホイロ工程までの処理を行い、これを180℃に加熱したサラダ油に入れた。油面以下にある金網もしくは多孔板等で押さえるようにして、投入した生地の浮上を防ぎ、2分間フライを行った。
【0021】
上記実施例1、2、比較例1、2の各イーストドーナツ製品を、10名の専門パネラーが評価した。尚、イーストドーナツ製品の外観(形の均整、揚げ色、ボリューム)、食感、吸油、内相の評価は、表1〜6に示した基準に従って、10名の専門パネラーにより点数評価し、その平均値を採った。評価結果は、表7に示す。
【0022】
【表1】
イーストドーナツの形の均整評価
【0023】
【表2】
イーストドーナツのボリューム評価
【0024】
【表3】
イーストドーナツの揚げ色評価
【0025】
【表4】
イーストドーナツの食感(ソフトさ)評価
【0026】
【表5】
イーストドーナツの吸油評価
【0027】
【表6】
イーストドーナツの内相評価
【0028】
【表7】
評価結果
【0029】
実施例1,2はいずれも比較例1よりも形の均整、及び、揚げ色に優れ、比較例2と同等以上であった。また、実施例1,2はいずれも比較例2に比べて、ボリュームが優れ、比較例1と同等以上であった。内相については、実施例1、2はいずれも比較例1,2よりも優れていた。食感、吸油、風味についても良好であった。
【0030】
【発明の効果】
本発明のイーストドーナツの製造方法を用いることで、従来の技術では困難とされていた、外観(形の均整、揚げ色、ボリューム)、内相の均一さに優れ、しかも、食感、吸油、風味共に優れているイーストドーナツを製造することが可能なり、これによって、消費者のニーズに十分に応えることが出来るようになった。
Claims (2)
- イーストドーナツ生地をフライ処理する際に、生地を油中に投入後、浮上している生地を反転させた後に、生地を油中に沈め潜行させ、更に浮上させてフライを行うことを特徴とするイーストドーナツの製造方法。
- 油の温度が160〜190℃であり、生地を油中に投入し、30〜120秒後に反転させた後に、生地を油中に沈め、30〜90秒間潜行させた後、更に浮上させて10〜30秒間フライを行うことを特徴とする請求項1記載のイーストドーナツの製造方法。
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